日本は戦争に連れてゆかれる :副島隆彦

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この本は、今から2年前の2020年に出版されたものだ。本のタイトルに興味を持ち読
んでみた。
この本の著者は、銀行勤めの経験があり、その後、有名な予備校の講師をやったりと、少
し変わった経歴の持ち主であるようだ。経済関係の本を多く書いているようだが、政治思
想的には、なかなかユニークな考えの持ち主のようだ。
この本での著者の主な主張は、人間の歴史はおよそ80年周期で繰り返すとしており、大
正末期から昭和の戦前にかけての当時日本の状況が、近年の日本の状況と類似しており、
このままいけば、2024年にはまた大きな世界規模の金融恐慌が押し寄せるという。そ
して2030年には第三次世界大戦に突入するだろうと言うことらしい。
今年の初めあたりまでは、この本を読んでも、「そんなばかな」と思っただろうが、今年
(2022年)2月24日に、ロシアが突然ウクライナに侵攻したのを目の当たりにした
り、昨日(7月8日)安倍晋三元首相が選挙演説中に突然、凶弾に倒れるという事件を目
の当たりにしたにすると、もしかしたら本当にそうなるかもしれないと思える状況になっ
てきた。
ところで最近、「ディープ・スティート」という言葉を時々目にすることがあり、「ディ
ープ・スティート」って何だろうと思っていたのだが、この本の著者によれば、「何が何
でも反中国のアメリカの政治勢力のことを「ディープ・スティート」(陰に隠れた政府)
というらしい。
この「ディープ・スティート」の存在も、今までは、そんなの戯言だと聞き流していたの
であるが、この本を読んで、もしかしたら本当なのかもしれないと思えてきたのだから、
私もこの本を読んで、すっかり洗脳されてしまったかもしれない。

過去に読んだ関連する本:
五・一五事件
妻たちの二・二六事件
それでも日本人は「戦争」を選んだ
「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(メディアと民衆)
「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(外交と陸軍)
大本営発表
人を見る目
PCR検査を巡る攻防

翼賛体制への道(80年前と現在)
・今の日本人は、新型コロナウイルスのせいで、すでに集団発狂状態に入っている。私か
 ら見たら、日本人の多くが狂っているのだ。だが彼らはそう考えない。いつも自分たち
 は正常だと思い込んでいる。
・「日本は新型コロナウイルスで40万人が死ぬ」と言い出す医学者が出てきた。私は
 「そんなことを、いくら専門家でも簡単に言うな」と嫌悪した。
・私は、政府が国民に向かって「危険だからなるべく家にいなさい」などと警戒警報を出
 すことにすっかり慣れっこになってしまった状態を深く疑うようになった。何かおかし
 い、と感じた。
・私の理想は、仙人様になることだ。中国人に聞いたら「仙人というのは『山に住む人』
 という意味だ」と答えてくれた。
・仙人は世捨て人であるから、山に一人で籠もっている。世捨て人になることが、私の理
 想だ。もう、いい齢になったから、世捨て人として生きたい。
・日本の伝承で、久米仙人というのがいたそうだ。奈良の吉野の山に籠もっていた仙人様
 だ。 
久米仙人は霞だけを食べているわけにはいかないので、ときどき雲に乗って下界に降り
 た。あるとき、空を飛んでいると、吉野川で洗濯をしている女の人の脹脛が見えた。そ
 れで性欲が生じて、雲から転がり落ちた、という有名な話である。
・新型コロナウイルスごときで、こんなに騒ぐのだから、政府(権力者たち)は、これか
 らもっと国民を脅かして恐怖に陥れ、国民は集団発狂状態へと連れられてゆくだろう。
・太平洋戦争が始まったのは1941年の12月だ。1941年(昭和16年)の日本国
 はどんな感じだったか。最近は、私は自分の脳で、ある時代をまざまざと再現できるよ
 うになった。あのときの緊張した日本国内の雰囲気は、今の2020年の様子とそっく
 りなのだ。
・その10年前、1931年(昭和6年)9月に満州事変が起きて、日本の関東軍が満州
 を占領した。もう次の年(1932年)には満州国を建国した。日本人は、続々と80
 万人ぐらいが満州を含めて中国大陸に出ていって、居留民となった。彼らは国策会社の
 南満州鉄道(満鉄)で働いたり、自分で会社を作ったり、中には鉱山主になって儲かる
 人もいた。日本人はそれを目指して中国大陸に拡張していったのだ。最盛期には200
 万人ぐらいの日本人が大陸に出た。
・アメリカ政府は中国政府(蒋介石の国民党政権)の要望を受けて、それら居留民と日本
 軍、それから公務員や外交官も含めて、すべて日本に戻せ、引き揚げなさいと「日米交
 渉」で要求した。しかし、「そんなこと、今さらできるわけがない」というのが日本人
 と日本政府の立場だった。結果から見れば、4年後に日本国が戦争に敗れて大日本帝国
 が崩れたので、そういう大陸に残された人たちは、引揚者として命からがら逃げ帰った。
・こんな中国進出など、すべきではなかった。ところが、このことを今も日本では国民に
 教えない。教育しないのだ。 
・NHKや民放の番組で、悲惨な映像をたくさん、私たちはずっと見てきた。だが私たち
 は、その大きな全体を知らないのだ。あの戦争の全体の、何が、どのような理由、原因
 で起きて、そして国家間の取り決め(条約)で終わるのか、ということを知らない。も
 のごとの全体を大きく見る目(頭)がないのだ。
・1941年(昭和16)の12月8日の早朝、「大本営発表」で真珠湾攻撃があったと
 ラジオで放送されたとき、日本国民の全員が一瞬、騒然となって血相を変えた。けれど
 も、次の瞬間から、日本国民は吹っ切れたように、戦争にのめり込んでいった。それま
 での(不景気が続いて)鬱屈した感情がドッと溢れ出て、急に晴れ晴れとした気になっ
 た。このとき日本人は、一瞬のうちに集団発狂状態に陥ったのだ。すでに中国戦線では
 ドロ沼の戦争が丸10年続いていた。
・しかし、日本がアメリカと戦争を始めるなどと思っていた日本人は、ほとんどいなかっ
 たのだ。日本政府の一番上のほうと、軍部の上のほうのわずかな人間たち以外は、アメ
 リカと戦争するなどとは思いもしなかったのだ。これが真実だ。それなのに一気に吹っ
 切れたようになって、日本人は集団狂躁状態に突っ走った。このことが怖いことなのだ。
 「戦争(開戦)反対」を言う人など誰もいなかった。
・だが、戦争に静かに反対した日本人はいた。私は知識として知っている。「清沢洌」が
 そうだ。新聞記者出身の外交評論家である。
・他に、静かに戦争に反対した日本人は、詩人の「金子光晴」と、アナキスト詩人の「
 山清
」だ。
・他の日本の知識人たちは、真珠湾攻撃と、そのすぐあとのシンガポール攻略で、吹っ切
 れたように、それまでの反戦思想を棄てた。日本の進歩的なリベラル勢力の代表のよう
 だった岩波茂雄でも、それから斎藤茂吉、島崎藤村、高村光太郎、徳富蘇峰らが、一も
 二もなく開戦に舞い上がった。
・昭和恐慌の不景気で押し潰されて鬱屈していた感情が、国民の間から、ドッと溢れ出た。
 国民は一斉に、翼賛政治体制に流れ込んだ。
・日本の金持ち層(市民の上層)は、「天皇陛下万歳」「大日本帝国万歳」「聖戦必勝」
 を合唱しながら、羽織袴を着けて皇居の周りをぞろぞろと提灯行列で一周した。
・人間は、集団として、こんなにも愚かに、容易にコロリと騙され、煽動、洗脳される生
 き物なのだ。私は深く考え込みながら、79年前の当時と、2020年の今とを、大き
 な類似として見ている。「また騙されて、同じことが起きそうだ」とオロオロしている。
・今から80年前、日本人は保守層だけでなく、リベラルや左翼だった人たちも含めて皆、
 対米米戦争にのめり込んだ。日本国民も同様にのめり込んだ。
・アメリカ政府はハル国務長官が、「日本は中国から手を引け。政府機関も居留民も、す
 べて日本国内に引き揚げさせよ」と、初めから要求していた。
 交渉官(全権大使)の野村吉三郎は海軍大将であって、もともと外交官ではない。助っ
 人で送られた来栖三郎は外交官だったが、日独伊の軍事同盟(三国同盟)を推進した男
 だ。アメリカに好かれるはずがない。
・この二人の日本の高官は、アメリカ側と、真剣な厳しい交渉などしていない。どうもお
 かしな外交交渉だったのだ。アメリカは初めから日本に戦争を仕掛けようと計画してい
 た。日本はまんまと騙されたのだ。
・12月に交渉は決裂となった。「ハル・ノート」が11月26日に出されて、日本側は
 それを「最後通牒」だ、と受け取った。
・アメリカ側は「突然、日本に攻撃された」と言う。だが本当は全部、計画的に仕組まれ
 ていたのだ。日本が上手に操られ、先に手を出したように事前に設えられていた。
・真珠湾攻撃は、アメリカによって上手に、用意周到に実行されたのだ。戦争が始まると
 きには必ず背後で暗躍する大きな恐ろしい政治の力が加わる。
・アメリカとイギリスは、日本を、まず中国との泥沼の戦争に引きずり込んでおいて、そ
 のあと日米開戦を仕組んだ。 
・日本国民は、アメリカと開戦するなんて思いもよらず、知りもしなかった。
・昭和天皇が出席する御前会議が開かれた。昭和16年(1941)には真珠湾攻撃決定
 までに4回も御前会議があった。
・すべてアメリカとイギリスに仕組まれていた。日本は、昭和天皇以下、国家指導者たち 
 が騙され、策に陥ちていたのだ。
・どんな国の、どんな戦争も、3年ぐらいで流れが変わる。国民は初めの熱狂がすっかり
 醒める。たくさんの死(外国の前線での兵士の死)人が出て、国民も「早く終わらない
 かなあ」と言い出す。 
・昭和19年(1944)になると、外地(外国の戦場)からどんどん白木の箱(中は骨
 壺)が帰って来るようになった。戦死した兵士の遺骨である。必ず町内会に噂が広がる。
 皆で(隣組で)「万歳、万歳」と出征兵士を見送ったのだ。それが骨になって帰ってく
 るのである。もう戦争なんか、やる気が失せる。戦意高揚なんか消えていった。
・それから本土までも、敵のグラマン機による空襲が始まった。 
・もう骨壺の中に骨すらなくて、空っぽだった。激戦地での戦闘や輸送船の沈没で、骨さ
 えなかったのだ。
・明日は我が身で、みんな自分も死ぬのだ、と思うようになった。男たちは40歳までが
 徴兵された。
・人間の歴史は繰り返す。あんなことはもう起こらない、と誰が言えるのか。
太宰治は戦争中、戦争に反対しなかった。それでも戦争中は「富士には月見草がよく似
 合う」「明るさは滅びの姿であろうか。人も家も、暗いうちはまだ滅びはせぬ」と書い
 た。今の戦争の、この騒がしさは何だろう。こんなに愚かなことをしていると、日本は
 滅ぶ、と書いたのだ。
・太平洋戦争が始まる3年前の1938年(昭和13)に、すでに国家総動員法が作られ
 た。続けて電力国家管理法というものができた。国民と資源を国家が統制する時代が、
 すでに着々と始まっていた。
・世界標準で考えると、この国家総動員令とは、14歳以上40歳以下の全国民を戦争に
 駆り立てることだ。
・国家の存亡の危機のときは、権力者は何でもする。まず、商人と金持ちたちが、命から
 がら夜逃げする。 
・アメリカは、「国家非常事態宣言」をよく発令する。この国家非常事態宣言は、戒厳令
 とは違う。
戒厳令は、軍隊がクーデターで政治権力を握って、憲法が停止されることだ。それに対
 して非常事態宣言は、行政はそのまま持続して、国民の自由をある程度、制限すること
 ができる。「二・二六事件」のときに出された。
安倍政権は、アメリカの国家非常事態宣言とよく似た法律である「改正特別措置法」と
 いう緊急時に発令される法律を成立させた。「国家の緊急事態だ」ということで野党を
 押さえつけて、文句を言わせないで、反対する審議さえ行なわず国会で通した。
・安倍政権はどさくさで、この特別措置法と一緒に、これまで野党が反対して審議未了で
 溜まっていた法案を、まとめて一気に通したようだ。
・この特措法に基づいて、政府は「緊急事態宣言」を出せる。 
・あの2020年2月から始まった「新型コロナウイルスがコワイ、コワイ」のバカ騒ぎ
 は何だったのかと思い返している。 
・日本人は集団発狂状態に陥った。人々は煽動された。日本全国で、恐怖心に駆られた民
 衆が、雪崩のようにコロナ恐怖症に罹った。
・新型コロナウイルスは、例年流行するインフルエンザと同じくらいの致死率しかない。
 いや、それよりも低い。感染力も、普通のインフルエンザよりずっと弱い。それなのに、
 人々はひどく怯えた。それで家から出なくなった。経済活動が激しく低下した。これは
 4月から世界的な現象となった。
・日本のコロナ騒ぎは、戦前の大政翼賛への動きと同じだ。真珠湾攻撃のあとと似ている。
・1941年12月8日、大本営発表をラジオで聞いた普通の国民は、「日本はこの戦争
 で勝つ」と思い込んだ。それが大間違いの始まりだ。日本人は集団発狂した。
・国家統制の組織である大政翼賛会ができ始めたのは、1940年(昭和15)10月で
 ある。近衛文麿内閣のときだ。ドイツでナチス政権が1933年から実行した議会閉鎖
 の総動員態勢の真似である。
・この大政翼賛会が、対英米開戦の2年目の1942年(昭和17)に、「国民決意の標
 語」なるものを募集した。このとき、何十万通もの応募があった。そして選ばれたのが、
 有名な「欲しがりません 勝までは」だ。
・国家非常事態で国民が集団洗脳状態に陥ると、奇妙な標語が流行する。ラジオと新聞が
 率先して煽動した。
 「鬼畜米英」
 「贅沢は敵だ」
 「進め一億 火の玉だ」
 戦時中の日本人が唱えたスローガンだ。
・今日の日本はどうか。
 「3密を避けましょう」
 「ステイホーム」
 「おうちで」
 「新しい生活様式」
 こんな標語を、国民も新聞もテレビも、誰も疑うことなく、はやし立てた。
・戦争中の「欲しがりません 勝までは」と、今の「ステイホーム」は、よく似ている。
 自分たちの脳で考えない。上から命令されて、何も考えないでそれに従う態度だ。
 こういう言葉を疑問に思わず、何かいいことだと思い込んでいる。ちょっと待てよ、お
 かしいな、と疑うことをしない。だから今は、あの真珠湾攻撃の直後とそっくりだ。
 「緊急事態ですから」は、「こういうご時世ですから」と同じだ。
・自分がコロナウイルスに感染したらどうしよう。それを人様(他の人)にうつすことま
 で考える。そうやって自主規制(自粛)の思考が大手を振って歩き出した。
・真珠湾の奇襲攻撃では、日本の連合艦隊が、アメリカの軍艦を合計6隻沈めた。計画し
 ていた第2波攻撃はやらないで、さっさと作戦終了にして帰ってきた。戦争を始めた以
 上、ハワイの次のサンフランシスコ上陸やパナマ運河の爆撃撃破(これで米軍の空母艦
 隊が太平洋に出てこられない)をするべきだった。それらはすべて中止された。あとは
 防戦一方になった。
・なぜか、南のほうのインドネシアあらニューギニア方面の占領に向かった。奇妙な戦争
 の仕方なのだ。そして開戦からわずか3年3カ月後には、日本は焼け野原になった。
・対英米開戦で日本国民はワッと舞い上がった。一気に吹っ切れたように戦争にのめり込
 んだ。そのわずか3年3カ月後に、このような結末となった。だから私たちは、一時の
 熱狂と騒然で我を忘れてはいけないのだ。常に、そのあとどうなるか、を冷静に考え詰
 めなければいけない。
・1986年(昭和61年)からの狂乱物価”で不動産バブルが起きた。このときの”バブ
 ル長者”の有名な一人に「麻布自動車」と「麻布建物」の創業者である渡辺喜太郎氏がい
 る。渡辺氏は東京大空襲で両親亡くした戦災孤児だ。戦後、裸足で麻布に移ってきて、
 自転車とバイクの修理業で生きた。そこから這い上がって麻布自動車を創業した。
・この東京大空襲では下町だけが焼かれた。山の手の住宅街や、官庁街や皇居は爆撃して
 いない。それは「停戦の交渉相手である日本の政府を爆撃で消滅させると、交渉ができ
 なくなるからだ」ということである。戦争とは、このように残酷なものなのだ。その国
 の支配者や権力者たちは、総体として打ち倒されないようにできている。少数の戦争犯
 罪者(戦犯)だけが、非人道的な戦争開始責任と戦争遂行責任を問われて、戦勝国の軍
 事法廷で裁かれ処刑された。
・第一次世界大戦では、4年間の戦争でヨーロッパの主要都市が燃えて、ヨーロッパ経済
 は破滅状態になった。ところが、それからわずか20年後に第二次世界大戦が起きたの
 だ。
・第一次世界大戦では、日本は日英同盟を結んでいたことを口実に、ドイツに宣戦布告し
 て参戦。日本の狙いは、これを機会に中国大陸に進出するためだった。日本軍はドイツ
 が中国から割譲、支配していた青島を爆撃、出兵して占領し、接収した。
・戦争をすることで、大きな経済の需要が生まれる。景気がよくなる。第一次世界大戦で
 日本の重化学工業が発達し、外国への主出量も増大した。投機熱が高まって株の暴騰が
 始まった。戦争景気である。日本がやったことは”火事場泥棒”である。
・アメリカも日本と同じように、戦争景気に沸いた。戦争で火の海になっているのはヨー
 ロッパである。日本とアメリカは”漁夫の利”を得て、他人の不幸でボロ儲けした。
・この第一次世界大戦が終わって5年、日本の戦争景気も一段落した。そして、日本では
 関東大震災が起きた。東京から横浜、東海地方にかけて、都市部が地震に続いた火災で
 瓦礫の山になった。
・日本政府は、都市の復旧と被災者の救済の計画を立てた。責任者に選ばれたのは、内務
 大臣だった後藤新平である。後藤は復興に必要な資金を集めるために、「復興債」を発
 行することに決めた。当時の金額で6億円。GNP(国内総生産)の4%の規模だとい
 うから、今なら23兆円ぐらいだ。
・ところが、この復興債という政府の大借金が徐々に重荷になった。翌年には赤字財政に
 転落した。さらに「震災手形」と呼ばれて、関東大震災のために信用をなくして流通で
 きなくなった手形が大量に不良債権化していた。企業が、大景気のあとの隠れ借金を雪
 だるま式に抱えていた。
・関東大震災の復興債発行と同じことが、80年前の戦争中でも断行された。軍事費を調
 達するために、「戦時国債」というのを発行した。政府が戦時国債を発行して、それを
 日銀が引き受けた。
・1937年(昭和12)から終戦の1945年(昭和20)までの8年間で、次々と発
 行、販売された。そうやって増発された戦時国債の残高は、当時の額面で総額1500
 億円だ。今なら400兆円である。この戦時国債は、日本の敗戦で、すべて紙クズにな
 った。
・昭和に入ると、すぐに恐慌が起きた。「金融恐慌(昭和2年)」と言う。大蔵大臣の
 岡直温
が、衆議院予算委員会で「今日、東京渡辺銀行がとうとう破綻してしまいました」
 と失言してしまった。事実を言っただけなのだ。
・これをきっかけに、取りつけ騒ぎの大騒ぎが続々と起きて、銀行が70行ぐらい連鎖的
 に倒産した。人々は、慌てて自分の預金を引き出そうと銀行に押しかけて騒いだ。
・この2年後の10月に、ニューヨークの株式市場で大暴落が起きた。世界恐慌突入の合
 図となった。これと同じことが、今ふたたび起きようとしている。
・世界恐慌で、大不況が世界中で進んでいるというのに、何としたことか日本政府は金の
 外国への輸出を自由にした。これを「金解禁」と言う。
・金地金の輸出の自由とは、日本から金が外国に流出することを政府が許可した、という
 ことだ。いくら紙幣中心の経済に移ったと言っても、世界はまだまだ金の信用で成り立
 っていた。金の裏打ち(担保力)がなければ、国家間や大企業間の取引は成立しなかっ
 た。その貴重な金がむざむざ海外流出することを、政府自身が許した。ここに大きな策
 略があった。このとき、日本は、誰に、どの国に、何の勢力に騙されたのか。今の今で
 も、財政学者や歴史学者が誰もはっきりと研究して書かない。
・当時、高橋亀吉石橋湛山が、「金解禁などするな。愚策である」と論陣を張った。偉
 かった。 
・この「金解禁」は1930年に、浜口雄幸首相と大蔵大臣の井上準之助の二人が断行し
 た。アメリカが二人を脅してやらせたのだ。
・すでに世界覇権は、イギリスからアメリカに移っていた。「金解禁」でますます日本は 
 デフレに陥った。「金解禁」という政策が、このあと襲ってくる「昭和恐慌」の引き金
 になった。
・この「金解禁」を急いで停止(金の輸出の再禁止)したのは高橋是清である。立派な財
 政家で優れた政治家だった高橋是清は「二・二六事件」で殺された。
・金解禁から2年後の1932年(昭和7)に、「坂田山心中事件」という煽情的な事件
 が起きている。日本全国が大騒ぎになった。神奈川県の大磯駅の裏山で、若い男女の心
 中死体が見つかった。男は学生服、女は上品な藤色の和服で、死体の傍らに三越百貨店
 の風呂敷包みと薬の瓶が落ちていた。風呂敷包みには文学書が入っていて、薬の瓶は自
 殺に使った猛毒の昇汞水(塩化第二水銀)だった。
・二人の死体は無縁仏として、大磯の宝善寺に仮埋葬された。身元が判明して、男は慶応
 大学の学生で華族の孫(24歳)、女は静岡県の素封家(代々の名主層)の令嬢(22
 歳)だった。結婚を反対されたことに絶望して服毒心中したのだった。
・騒ぎが大きくなったのは、仮埋葬された次の日に、女の死体が仮埋葬した墓から掘り起
 こされ、消えてしまったからである。女の和服が墓に残っていたので、死体は全裸で何
 者かが持っていったことになる。世の中は、この猟奇事件に引き寄せられた。翌日、全
 裸の死体が大磯海岸の砂浜で発見された。
・人々の関心は、若い男女が心中した理由よりも、令嬢の死体が犯人に凌辱(死姦)され
 たのではないか、という点に移った。 
・犯人は死体が消えてから9日後に逮捕された。令嬢死体泥棒は、六十五歳の「隠亡(墓
 守)」だった。
・このあと、警察が「令嬢の体はきれいだった。純粋無垢の処女だった」と発表した。
 「心中した若い二人は清らかな恋を貫いた」と日本人は受け入れるようになった。
 初めは、金持ちの息子と娘の破廉恥な性愛の果ての心中と思われ、それがエログロ報道
 で過熱した。ところが一転、貞操を守り抜いた二人の大純愛物語に変わった。
・この心中事件を題材にして、なんと素早くその2カ月後には「天国に結ぶ恋」という映
 画が制作され、全国で大ヒットした。
大正デモクラシーの明るい世相がどんどん消えて、次第に暗い世の中になった。太宰治
 のような真面目な帝大生(東大生)たちまでが、左翼運動の疑いで検束(逮捕)された。
・関東大震災から金融恐慌、昭和恐慌へと、どんどん不景気になっていって、人々は頽廃
 的かつ投げやりで享楽的な気分になった。「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉が流
 行した。
・すべての始まりは、大震災のあとの復興債からだ。ここから日本は転がり始めて、そし
 てもう止まらなくなった。 
・それが今の、コロナ騒ぎの2020年4月に、日銀の黒田東彦総裁が「日銀は無制限に
 金融緩和する」と発表したことと重なる。私はどうしても「復興債」と「無制限の金融
 緩和」が、歴史の再現に思えてならないのだ。
・経済学の中に、サイクル理論(波動の理論)というのがあって、歴史は80年周期で繰
 り返す、とする。 
・「世の中、この先どうなるか分らんよ」と斜に構えて、クセラセラとエログロ・ナンセ
 ンスで生きるのは、愚か者のすることだ。
・第一次世界大戦で生まれた軍需景気は、日本にとって1980年代後半の巨大なバブル
 景気とまったく同じなのだ。 
・あのバブル経済のとき、日本は一瞬、アメリカの経済力を追い抜いたのである。ニュー
 ヨークの上場株式時価総額の600兆円を、東京の証券取引所の時価総額が上回った。
 1989年のことだ。日本人は有頂天になった。経営者と資産家たちは投機に熱狂して、
 企業の株価も異常に値上がりした。これと同じことが第一次世界大戦のときに、日本で
 起きていたのだ。
・ところが、この大戦景気の果実は、そのあと戦争後の不景気で世界的な株価暴落となっ
 た。日本では米騒動の激しいインフレで喰い潰された。そして関東対震災、金融恐慌、
 世界恐慌、それに連動した昭和恐慌につながった。
・ここには、その80年後に起きた1993年のバブル崩壊、2008年のリーマン・シ
 ョック
、そして2011の「3.11」東日本大震災、それから2020年の新型コロ
 ナウイルス騒ぎ、との強い類似性、相関性が見える。
・1930年(昭和5)からの昭和恐慌のときには、賢人の高橋是清が緊急に再登場して、
 大蔵大臣に自らなった。高橋是清が、日銀特融で緊急デフレ退治の対策「お札の大増刷」
 をやった。この紙幣は片面しか刷っていない、裏側は真っ白の200円札だった。これ
 を大量に全銀行に配って、市中で使わせるようにしたのだ。
・これは現在の金融緩和、量的緩和、そして「インタゲ」政策である。お札と国債を無制
 限に発行して、ジャブジャブ・マネーで資金不足を無理やり解消して、民間銀行と民間
 企業、商店などの倒産危機を乗り切ろうという策だ。これでデフレを無理やり人為的、
 人工的にインフレに変えようという、もともと無理な政策である。
・高橋是清は1930年(昭和5)の昭和恐慌を、この緊急対策でなんとか乗り切った。
 が、それも直後の世界恐慌で潰えた。 
・日本は1930年代に、世界GDPの6%ぐらいを占めている。それが関東大震災をき
 っかけに、一転して不況のどん底の始まりを経験した。坂道を転がり落ちるように苦境
 に入った。
・大正バブル期が終わって昭和に入ったら、追い詰められた日本国民は飛び降り自殺や心
 中をするようになる。熱海の錦ヶ浦と伊豆大島の三原山火口に身投げする人が続出した。
 生活が困窮して欠食児童が増えた。世の中がどんどん暗くなった。頽廃的な気分に陥っ
 た国民はニヒリズムの投げやりな気分になって、享楽的に快楽を追い求めた。「昭和エ
 ログロ・ナンセンス」の時代になった。坂田山心中事件に人々が色めき立ったのだ。阿
 部定事件というのも4年後に起きた(1936年)。美人の娼婦の阿部定が、愛人の男
 の首を絞めて殺し、その男の性器を切り取って逃げた
。国民はこのエログロ事件に大興
 奮した。
・「五・一五事件」が起きたのは、坂田山心中事件から、わずか6日後である。これは、
 海軍の将校たちが起こした犬養毅首相殺害事件だ。首謀者は古賀清志三上卓海軍中尉
 たちだが、その背後にアメリカの金融財団からの教唆があった。山本五十六米内光政
 風見章が背後にいた。この海軍軍人たちのクーデター計画から4年後に、「二・二六事
 件」が起きた。
・「五・一五事件」の2カ月前に、日本は満州国建国を宣言している。 
・日本は満州事変(1931年)以来、満州だけでなく、中国領にまで進出(侵略)する
 段階に来ていた。 
・近衛文麿が内閣を放り出したあと、東条”戦争”内閣になり、日本は真珠湾攻撃をアメリ
 カとイギリスに騙されて着々と実行した。
・日米開戦で、戦後75年間、ずっと主張されたのが「海軍善玉・陸軍悪玉論」である。
 陸軍が悪かったのであり、海軍は平和主義者で開戦をイヤがったという説だ。とんでも
 ない話だ。これは大きな嘘である。
・本当の悪で、アメリカに操られて戦争に雪崩れ込んだのは日本海軍のトップたちだ。
 米内光政、井上成美、山本五十六の、海軍3人の提督こそが、日本を戦争に引きずり込
 んだ張本人たちだ。外務省では、重光葵外相が、開戦前からアメリカの手先である。
・また同じことが起きるだろう。人類は、80年に一度ぐらい、どんな国も必ず戦争をし
 ている。これは歴史の法則だ。この運命から私たちは逃れることはできない 
・どうせ歴史は繰り返す。
 @好景気が来る        (大戦景気とバブル経済)
 Aそのバブル景気が崩壊する  (金融恐慌とバブル崩壊)
 B大災害に見舞われる     (関東大震災と東日本大震災)
 C大恐慌が襲う        (NY発世界恐慌と2024年恐慌)
 D戦争が来る         (第二次世界大戦と第三次世界大戦) 

次の「大きな戦争」と日本
・2024年に、次の大きな世界規模の金融恐慌が押し寄せるだろう。日本だけのことで
 はない。そのとき、米、欧、日の「先進国ダンゴ3兄弟」の国家財政が破綻する。第二
 次世界大戦の前の世界大恐慌と同じ大変な経済混乱が今、現実に起きている。
・そして2030年に、第三次世界大戦に突入するだろう。
・もう今も、その前触れの戦争準備が着々と進行中だ。新型コロナウイルスのパンデミッ
 ク騒ぎは、形を変えた戦争だ。今の中国人は、おそらく全員が、この第三次世界大戦を
 自明のこととして受け入れながら生きている。そしてそのあとの、中国が指導する新し
 い世界のことを考えている。
・アメリカの対中国強硬派が、「中国に戦争を仕掛ける」と、生物化学兵器戦争を開始し
 た。対中強硬派は、世界反共人間の同盟だ。彼ら反共右翼たちの大きな世界的な連携が、
 新型コロナウイルスを武漢に撒くことで中国に細菌戦争を開始した。この生物化学戦争
 は、アメリカのヒラリー派が仕掛けたのだ。
・民主党のバイデンが大統領になったら、どうせこの男はヒラリー派の言うとおりに動い
 て、操られる。すぐに大戦争になる。だから人類にとって危険なのだ。トランプのほう
 が、ずっとアメリカ民衆の意思を代表している。
・アメリカ合衆国憲法は、大統領が軍の最高司令官と定めている。だから、生物兵器を中
 国に使うことも、大統領の署名がなければできないはずだ。軍隊を動かす権限は大統領
 にある。それなのに、自分たちで勝手に「夜の軍隊」が動き出し、「ディープ・スティ
 ト
」=「裏に隠れた政府」が大統領の権限を侵して、実質的にクーデターを起こしてい
 る。それが今のアメリカだ。
・人類は目下、第三次世界大戦への道を着々と歩みつつある。この戦争は、迫りくる核戦
 争であり、生物化学戦争であり、サイバー戦争である。
・戦争にまで至るには、4つの段階がある。
 ・第1段階:「議論、対立」 激しい外交交渉や話し合い
 ・第2段階:「軍事衝突」  国家間どうしで、ぞれぞれの軍事的公務員がぶつかり合
               う。突発的に機関銃とかで撃ち合って双方に死者が出る
 ・第3段階:「事変」    300人から500人、多くて3000人ぐらいの軍人
               が両方の国でそれぞれ死ぬ。
 ・第4段階:「戦争」    これで本当の戦争状態に突入する。当事国の政府は、そ
               れぞれ「宣戦布告」を出す。全面戦争となる。この宣戦
               布告がきちんとなされず、なし崩しで戦争になることも
               ある。 
 ・第5段階:「和平交渉」  戦争を3年も続けていると、お互いにうんざりしてくる。
               すでに多くの死者が出て、国民がすっかりイヤになる。
 ・第6段階:「平和条約(講和条約)」
・太平洋戦争で、日本は230万人の軍人が戦死して、一般市民の死者は80万人とされ
 ている。あるいは400万人ぐらいが戦争死したとされている。
朝鮮戦争(1950年)では南北の合計で500万人ぐらいが死んだようだ。
・それでも人間は生きてゆく。生き残った者たちは生きてゆく。敗戦後の日本では、もう
 爆弾は降って落ちてこないから安全なのだが、食べる物がなくて困った。戦争中にはあ
 った政府からの食糧の配給もなくなった。食べ物を求めて生き延びようと、日本国民は
 死ぬほど苦労した。 
山口良忠という裁判官は、法律違反の闇米を買うことをしなかった。そして餓死した。
・皇居の昭和天皇も、侍従たちが持ち寄ってくる卵や野菜などの食糧を食べて、生きてい
 たという。敗戦直後の真実、実情はひどいものだったのだ。
・このあと、生き方上手の日本人たちが出現する。生きるためには節操を捨てる。恥知ら
 ずで生き残った。米軍から物資を分けてもらえる特権階級が生まれた。アメリカにベタ
 ベタすり寄っていくことが、新しい金持ち層というか上手に生きる人間の姿になった。
・「カインの末裔」を書いた有島武郎は、私が好きな日本の小説家の一人だ。有島は奥さ
 んを亡くしたあと独身だった。が、人妻の波多野秋子という女性と、軽井沢の別荘で首
 を吊って心中した(1923年)。
・19世紀の世紀末のヨーロッパで、オーストリアの帝都ウイーンに物理学者、数学者た
 ちを中心とした知識人が集まった。彼らは、「自分たちヨーロッパ人は行き詰った。も
 うこれ以上の進歩、発展はない。人類は文明の先行きを失った。人類は、終わりにまで
 来てしまった」と苦しんだ。そして、この知識人たちは集団発狂状態に陥った。その文
 学領域の代表が、フランツ・カフカだ。「狂うしかない」というところまで、ヨーロッ
 パで一番優れた人々が、あのとき追い詰められたのだ。
・人類の課題の突き詰め方と、今が似ている。おかしいのだが、どうおかしいのかを自分
 で考えている。だが、人類は、このあとも、しぶとく生きてゆく。そう簡単には絶滅し
 ない。たとえ100発ぐらい核兵器を射ち合っても。本当に生き苦しい人間は、自分か
 ら命を絶つ。私たちは、そういう時代に突入した。
・権力者たちは、大災害、大惨事、戦争、大恐慌突入を利用して、民衆、国民を脅かす。
 そしてこの危機を利用して、自分たちの思うように、一気に体制変更をする。権力者、
 支配者というものは、それぐらいの残忍なものなのだ。国民が何百万人死んでも構わな
 い。それが統治、支配というものだ、と。
・こういうとき、政府は戒厳令を発令して敷く。この戒厳令は「憲法の(効力の)停止」
 という意味で、「私権の制限」を行なう。すなわち国民の身体の自由(権)、その他、
 財産権を制限し、停止することを政府はできる。
・金の地金が、どんどん買えなくなっている。これまで買ったことのない人で、自分のわ
 ずかばかりの蓄えや親からもらった資金とかがある人は、今すぐに買いにゆきなさい。
 おそらくこの先、数年間で、実質で今の6倍の値段になるだろう。世界経済は、そのよ
 うな方向に向かっている。 
・日本人で株をやっているのは5%だ。600万人だ。残りの95%は、株の動きなんか
 関係ない。関心がない。

新型コロナウイルスの真実
・中国の武漢で新型コロナウイルスをばらまいたのは、アメリカの軍事強硬派だ。
・中国は人口1100万人の武漢市を、疫病対策で完全封鎖した。
・そしてアメリカは、どうやら敗北した。中国は、武漢発のウイルス攻撃を防御、撃退し
 きった。中国の勝利である。このあとアメリカでは、自分が製造して撒いたウイルスが
 自分自身に襲いかかってきた。
・実行犯たちは武漢の別個に、イタリア北部にも別のものを撒いたようだ。こちらは感染
 力が中国のものより少し強かったようである。
・中国では2019年11月から、奇妙な肺炎患者が発生していた。それを武漢の町医者
 たちがSNSで発信して、警告を発していた。だが、武漢市の共産党のトップたちが、
 自分たちだけで対応しようとした。北京の中央政府に露見しないように。彼らは責任を
 問われて2月に免職、クビになった。
・1月19日に、北京から感染症の専門の医師団が武漢に入った。そして李克強首相に現
 場から電話を入れた。事態の深刻さを報告した。それで中国のトップたちがただちに動
 き出した。中国の首脳は、これは米軍の人工ウイルスによる攻撃である、と即座に判断
 した。
・1月23日に、武漢市を完全に都市封鎖した。その直後、生物化学戦争用の軍医を直ち
 に各省から現地に終結させ、対応に当たった。この中国の国家体制の対処の機敏さに、
 世界中が驚いた。
・それでも、まだ反中国で反共主義に凝り固まっている者たちは、「中国は対応を誤った。
 世界に実情を知らせることを、意図的に遅らせた」と批難している。
・この何が何でも反中国(中国ぎらい)の、アメリカの政治勢力のことを「ディープ・ス
 ティート
」という。「陰に隠れた政府」という意味で、正式な大統領のトランプでさえ
 統制が利かず、トランプに襲いかかって、彼を打ち倒そうとするぐらいの勢力であるら
 しい。この「ディープ・スティート」を、トランプを支持する温厚で真面目なアメリカ
 国民がひどく嫌っている。 
・中国は本気で、アメリカとの核戦争であれ生物化学戦争であれ、サイバー戦争であれ、
 本気で準備してきた。この中国の強さを、私たち日本人は、もう少し本気で正面から考
 えたほうがいい。中国の悪口を朝から晩まで言っているような人は愚か者だ。
・人間は、集団で群れのまま、一瞬のうちに煽動され、洗脳される生き物だ。洗脳とは
 「マインド・コントロール」あるいは「ブレイン・ウォッシュ」のことだ。人間とは、
 こんなにも愚か極まりない生き物だ。
・動物には共同幻想がない。動物には思想の集団感染による狂躁がない。動物は目の前に
 現われた脅威に対してしか怖がらない。人間は目に見えないものを勝手に怖がる。
・国家は無理やり税金を取る。契約(約束)に基づかないで取る。国家は強盗団である。
 官僚たちは暴力団である。

暗い未来を見通す
・「清沢洌」が戦時中にこつこと書いた「暗黒日記」を丁寧に読み返している。清沢洌は
 戦争中に、憲兵や特高の家宅捜索を警戒しながら、この「暗黒日記」を書き続けた。
・私はこの本を読み直しながら、今の自分の歳になって初めて、清沢たち日本の本当の自
 由主義者が、開戦の前から戦争に言論人として反対し続けてどれぐらい苦労したか、を
 ずっと丹念に調べていた。 
・清沢の同志で生涯の盟友は、「石橋湛山」である。それと「嶋中雄作」である。
・石橋湛山は、1956年(昭和31)の12月初めに、自民党の総裁選挙に勝って首相
 に就任した。ところが、翌年の1月末には政治謀略で病床に倒れ、たった50日で辞任
 した。このあと大ワルの「岸信介」が首相になった。アメリカの穢い勢力が岸を選んだ。
 この岸信介の孫が「安倍晋三」である。日本は、すっかり政治が汚れた国になった。こ
 のときから日本人は、自分たちの運命を自分たちで決めることができない国にされた。
・「中野正剛」は、東條内閣を倒すクーデターのようなことを計画していた。が、東条派
 からの先制攻撃で、中野の東方会百数十名が検挙、拘束された。中野は追い詰められて、
 自宅で割腹自殺した。
・清沢洌の最大に敵は「徳富蘇峰」だ。生き方上手のワルの権化で言論人の親玉だった。
 山縣有朋が伊藤博文を満州のハルピン駅頭で自分の銃殺隊に射殺させた。そのあと、山
 縣が日本の最高権力者になった。徳富蘇峰は、この山縣有朋とその古文の桂太郎にベッ
 タリとくっついて、御用言論人の筆頭になった。
・「オイコスの正義」というのは、もう食べさせるものがないから、家から出て行け、い
 なくなってくれ、という冷酷な経済法則の思想である。会社や工場で売り上げが減って
 儲からないので、余っていらなくなった従業員を辞めさせる、あるいは奴隷として売り
 に出す。これがオイコスの正義だ。
・この冷酷な経済法則は、戦争に負けて食糧がなくなって、300万人の人が餓死するし
 かないようなときに、「それも仕方がないじゃないか」と、冷酷にそばでじっと見てい
 る態度だ。さらには竹中平蔵のような男たちが、奴隷売買を認める。竹中は、現代の奴
 隷売買である人材派遣業という手配師ピンハネ業のトップだ。民間人がやる人材派遣業
 は、本当はかつて労働基本法が禁止していた違法行為なのだ。
女衒という仕事がある。女性を売春宿に斡旋して売るのが仕事だ。兵隊たちの後ろをぞ
 ろぞろついてゆく者たちのことだ。軍隊の陣営、軍営で、兵隊たちを相手に売春斡旋業
 と博打の金貸し業をやる。これが女衒だ。
・それから、兵隊たちが戦場の戦闘で盗んできたものを買う。これを故買という。兵隊た
 ちは戦利品を処分できないから、女衒が彼らから買い取るのだ。
・日本では年間だいたい130万人が死んでいる。新生児は90万人産まれる。
・やがて年間200万人ずつ減ってゆくだろう。老人が死んでいく。老人が死ぬのは当り
 前だ。しかし妙な人命尊重思想があるものだから、事実を報道しない。
・どうせ誰もが死んでゆくわけで、私だってあと10年で死ぬ。そして孤独死という死に
 方をすると思う。病院で家族に看取られて、医者もいて息を引き取るなどという死に方
 を、私は希望しない。
・そのとき、七転八倒して苦しんで死ぬか、コロッと死ねるかは、その人の運命であって
 どうにもならない。人は死ぬ瞬間を自分で選べない。救急車で担ぎ出されていくことも
 あるだろう。私は、孤独死こそは人間のこれからの生き方、死に方である、と思ってい
 る。誰かひとり、自分の死体を片づけてくれる近親者がいてくれればいい。葬式も仏僧
 (坊主)もお墓もいらない。