安倍政権とは何だったのか  :適菜収
                  (時代への警告)

この本は、いまから6年前の2017年に刊行されたものだ。
第2次安倍政権は2012年12月から2020年9月まで続いたので、安倍政権の真っ
ただ中に書かれたものだ。
この本の著者は、作家でありコラムニストであるようだが、なかなか過激な文体である。
 「デタラメナ国会運営」
 「安倍は国家を軽視している。自衛隊もおもちゃ程度にしか見ていない」
 「安倍は政治も知らない。歴史も知らない」
 「安倍は皇室を完全にバカにしている」
などなど。気持ちいいほどに安倍政権をぶった斬ってくれている。
ここまであからさまに批判できる人は少ないだろう。
これだけじゃない。乙武洋匡氏の不倫問題や菅義偉氏、稲田朋美氏、高市早苗氏らが、
政治資金集めのパーティー券代として白紙領収書を受け取り、みずからの事務所で記入し
ていたという疑惑問題など、いまでは忘れかけていた問題の暴露もあり、とても興味深い
内容の本であった。 

過去に読んだ関連する本:
美しい国へ
アベノミクスは何を殺したのか
安倍官邸の正体
安倍政権のメディア支配
安倍政権を笑い倒す
悪だくみ

安倍政権とは何だったか
・民主党政権の三年間でひどい目に遭ったという意識が国民には強く残っていて、その反
 動で「民主党よりマシ」「民主党時代に戻すのか」といったテンプレート、思い込みの
 ようなものができた。それが安倍政権を支えていたのだと思います。
・しかし、本当に民主党よりマシだったのか?
 むしろ、民主党の一番危険な部分、愚劣な部分を引き継いだのが安倍政権ではないでし
 ょうか。 
 憲法の恣意的な解釈、デフレ下の増税、移民政策、農協や家族制度への攻撃といった愚
 策中の愚策を急進的に押し通してきた。
 やって来たのはシンプルな対米追従・売国路線です。
・結局、民主党政権の三年間に日本人は何も学ばなかったのです。
 本質を見極めることができなかった。
 だから、それ以上に腐っている安倍政権に飛びついてしまった。
・これはメディアの問題でもあります。
 安倍政権に対する本質的な批判、有効な批判をしてこなかった。
・「安倍政権が通したおかしな法案の多くは、民主党時代に作られたものだ」と擁護する
 人たちがいますが、普通に考えたら変ですね。
 もし民主党が作った法案が間違っているなら、それを通さなければいいだけの話。
・民主党が下野していたから、一体何年たったのか?
 いまだに民主党のせいにして、より悪質な法案を通し、デタラメな国会運営を続ける安
 倍政権に対しては口をつぐんでいる。
・徹底したメディア対策を自民党は行ってきた。
 政権に批判的なメディアに対しては露骨に嫌がらせを行い、ネットで世論誘導を行う専
 門チームを整備してきた。
森友学園問題加計学園問題はじめとする一連の安倍事件では、官房長官の菅義偉が、
 「総理のご意向」と記載された文部科学省の記録文書について「まったく、怪文書みた
 いな文書じゃないか」と発言。
 追加調査で文書の存在が明らかになると、「怪文書という言葉だけが独り歩きして、極
 めて残念だ」とごまかした。
・前次官の前川喜平が具体的な証言や証拠を出すと、読売新聞にデマをリークし、一私人
 である前川に人格国劇を繰り返した
・新聞の一面に一私人のプライバシーを垂れ流す。
 どう考えても異常な国になっている。
 これで安倍政権の正体は明らかになり、読売新聞は報道機関として終わったんです。
・安倍政権はこれまで何をやって来たのか?
 実質賃金も下がり続けていますし、外交に関してはデタラメもいいところです。
 ロシアには3000億円を貢がされたあげく、北方領土はロシアの方の下にあるという
 話になってしまった。 
 むしろ驚いたのはロシア人です。
 なぜ、安倍政権は日本の主権を放棄したのかと。
・日本が北方四島の主権問題を棚上げし、共同経済活動の開始に合意したことに対し、
 ロシアの報道機関は「日本はなぜ主権の問題について疑義を唱えなかったのか」と報道
 しています。 
 ロシアの記者団が「ロシアの方に基づいて共同経済活動を行うことに、日本側は抗議し
 なかったのか」と質問すると、ペスコフ大統領報道官は「主権問題は一切話し合われな
 かった。ロシア側の主権に議論の余地はないからだ」回答している。
・要するに、安倍はプーチンに尻尾を振りたいだけ。
 「もはや国境や国籍にこだわる時代は終わりました」という安倍の発言からもわかるよ
 うに、主権の問題などはどうでもいいのです。

・2015年の安保法制の根本は、そもそも集団的自衛権を現行憲法の枠内で通せるか否
 かです。
 憲法を普通に読めば通せないことは自明です。そこで話は終わりです。
 集団的自衛権の行使が必要なら、正当な手続きを経て、法案を通せばいいだけの話。
・ところが安倍は、お仲間を集めて有識者懇談会をつくり、そこで集団的自衛権を行使で
 きるようにお膳立てをしてもらってから閣議決定し、法制局長官の首を挿げ替え、アメ
 リカで勝手に約束してきて、最後に国会に諮り、強行採決しました。
・順番が逆です。集団的自衛権が必要であったとしても、国を運営する手続きを歪めてし
 まったら、大変なことになるという前提が社会から失われてしまった。  
・集団的自衛権の行使が必要かどうかという話と、現行憲法に照らし合わせて合憲といえ
 るかどうかは全く別の話なのに、それをごっちゃにして発狂している自称保守も散見さ
 れた。
・当時、産経新聞はこう書いた。
 「憲法改正による集団的自衛権の行使容認には、さらに膨大な時間がかかる。その間に
  も日本を取り巻く安全保障環境が悪化していくことは容易に想像できる。憲法解釈の
  見直しによる行使容認は次善の策には違いないが、急ぐ必要があるのだから仕方ない」
 アホにも限度がある。
 急ぐ必要があれば何でもできるなら、法治国家ですらない。
 これは左翼カルトか全体主義者の発想でしょう。
・しまいには首相補佐官の「磯崎陽輔」が、「法的安定性は関係ない」と言い出した。
 安倍は「憲法解釈の基本的論理は全く変わっていない」「アメリカの戦争に巻き込まれ
 ることは絶対にない」「自衛隊のリスクが下がる」などとデマを流し続けた。
・法案を正当化するために「存立危機事態」として挙げた例も全部デタラメ。
 ホルムズ海峡に機雷がまかれたケースも日本人の親子が米艦艇で移送されるケースも、
 事実上撤回に追い込まれています。
・さらに安倍は、「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な
 危険」が「ない」と判断できない場合に、集団的自衛権の行使に踏み切る可能性に言及。
 完全に頭がイカれている。   
 明白な危険が「ある」場合、つまり「存立危機事態」に武力行使できるという話をひっ
 くり返してしまっている。
 「ない」ことなど判断できるわけがないので、やりたい放題やるということでしょう。
・安保法制の問題の本質は、時の政権がルールを都合よく変えたということです。
 法的安定性などどうでもよくて、時の政権が勝手な憲法解釈をできるなら、人民政府と
 同じです。

・安倍は立憲主義について、「憲法が権力を縛るためのものだったのは王権の時代。その
 考え方は古い。今われわれが改正しようとしている憲法は、国家権力を縛るためだけで
 はなく、私たちの理想や国のありかた、未来について語るものにしていきたい」などと
 言っていた。
 アホですね。
 当然、憲法は今も昔も権力を縛るためのものであり、民主権力もその対象になります。
・同時に、憲法は国家の秩序の根本規範です。
 それは伝統による正当性を持った規範であり、「私たちの理想や国のありかた、未来に
 ついて語るもの」であるはずがない。
・結局、安倍は国家を軽視しているんですね。
 軍隊もおもちゃ程度にしか見ていない。
・安倍の国家に対するふざけた態度は、加憲を言い出したことからも明らかです。
 憲法九条第一、二項を残しながら、第三項を新たに設け、自衛隊の存在を明記するとい
 うが、そもそも一項、二項と、追加する三項の整合性すらありません。
 要するに、自国の軍隊の法的な立場を明確にするという改憲派が積み上げてきた議論を
 全部ぶち壊したということ。
 戦後の欺瞞に欺瞞を重ねただけ。
・お友だちを集めて、内輪だけで盛り上げり、私的な感情を公的な領域に押し付けていく。
 きわめて異常な政権が北朝鮮の隣に発生してしまった。
 アホにつける薬はない。
・世の中にはいろいろな人がいます。
 それぞれ夢や理想を持っている。
 政治に対する意見も違う。  
 その調整を図るのが政治です。
 だから、統治者が熱くなって夢や理想を語りだしたり、その個人的な夢や理想を多様な
 価値観を持つ国民に押し付けるのはおかしいんですね。
 それは人民政府がやることです。
・安倍は著書「美しい国へ」で、「私が政治家を志したのは、ほかでもない、私がこうあ
 りたいと願い国をつくるためにこの道を選んだのだ」と語っています。
 これは人民政府の発想である。
・安倍は吉田松陰が引用した孟子の言葉「自らかえりみてなおくんば、千万人といえども
 われゆかん」がお気に入りのようで、自分が信じた道が間違っていないという確信を得
 たら断固として突き進むのだと繰り返している。
・「この道しかない」「この道を。力強く、前へ」といった安倍政権のスローガンはここ
 からきているのでしょうが、これは保守思想の対極にある発想です。
 保守とは理性や理念、合理や正義といったものに対し常に疑いの姿勢を崩さないことで
 す。 
・結局、安倍は政治を知らないんです。
 歴史も知らないし、憲法も知らない。
 本人はそれでいいと思いっている。
 間違いを指摘されたら思春期の女の子のようにプンプン怒る。
・国会で民進党の山尾志桜里から批判されると、「議会の運営について少し勉強していた
 だいた方がいい」と逆切れし、「議会についてはですね、私は立法府、立法府の長であ
 ります」と発言。
 勉強不足はお前だろう。
・要するに、安倍は自分が何をやっているのかわからないまま権力を動かしていたという
 ことです。
 アメリカやロシアの大統領が自分の権限を知らなかったら、世界はひっくり返る。
・安倍が目指しているのは、シンガポールのような人工国家、独裁国家です。
 「シンガポールに追いつき、できれば追い越したい。真剣に、そう思っています」と安
 倍は語っているが、これは外資を呼び込み、主婦を労働力として駆り立て、日本をシン
 ガポールのような移民国家、複合民族国家にするという明確な意思表示です。
・2016年11月、安倍は国会で「わが国がTPPを承認すれば、保護主義の蔓延をく
 い止める力になる」と発言しています。
 安倍の正体を示す貴重な言葉でしょう。
 国家の役割は、国益のため、国を守るために、その権限を行使することです。
 国益にかなうなら保護主義を選べばいいし、かなわないならやめればいい。
 それだけの話であり、保護主義自体を否定するのは、政治の放棄に等しい。
   
・安倍は皇室に対して、一貫して不敬な態度をとり続けてきました。
 2016年8月、天皇陛下が「お気持ち」を表明されると、官邸は、宮内庁長官の首を
 すげ替えます。
 あきらかにいやがらせですね。
・安倍が陛下のものまねをやって、からかった話も報道されました。
 亀井静香は政治資金パーティーで「総理は、こんなふうに、陛下の真似をして「あんな
 ことまでして、本当に危ない」と言っていました」
・安倍が陛下のものまねをして茶化したという話は、すでに「月刊日本」で、毎日新聞編
 集委員の伊藤智永が紹介していた。  
 「ある有力政治家の話ですが、彼が官邸の総理執務室で安倍さんと生前退位の話をした
 ら、安倍さんはカーペットに膝をつきながら、「こんな格好までしてね」と言ったらし
 いのです。ちょっと何て言うか、天皇陛下が被災者の方々に寄り添うお姿を、そういう
 風にちゃかしてみせるというのは・・・信じがたいですね」
・安倍は皇室に対して正気の沙汰とは思いえない嫌がらせを仕掛けてきた。
 政府は、2019年1月1日に皇太子殿下を新天皇に即位させる案を検討している。
 また、政府は、新天皇が即位する半年から数カ月程度前に新元号を発表することを計画
 している。 
 その理由はカレンダーなど印刷物の都合らしい。
 要するに、元日に新天皇を即位させれば、改元のタイミングとして手間が省けると。
 天皇?
 めんどくせえと。
 完全に皇室をバカにしているんです。
・日本人の九割以上は皇室を大切に思っています。
 安倍はかつて大統領制を唱えていた橋下徹と改憲でタッグを組む意欲を見せている。
 橋下は日本の伝統に対する悪意を隠しもしない人物だが、これが皇室にとってどのよう
 な意味を持つのか、日本人は正気を取り戻して考えるべきだ。
  
・安倍は「政治も外交もリアリズムが大切だ」と言うが、問題は安倍およびその周辺に、
 リアリズムの欠片もないことです。
 世界各国の指導者が移民政策の失敗を認める中、得意気な顔で移民政策を進め、グロー
 バリズムの問題が噴出する中、おかしな方向に進もうとしている。
・安倍はいみじくも「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言いました。
 身内には飴を与え結束させる。
 仲間内だけですべてを決めて、それに対して悪びれることもない。
 法を軽視するのが、人民政府の特徴です。
・結局、社会が病んでいるんです。
 だから、安倍を引きずり下ろせば一件落着という話ではない。
 社会全体、そして日本人が根本的な反省をしないかぎり、同じことの繰り返しになりま
 す。  
・日本人は正気を取り戻すべきです。
 この四半世紀にわたる改革ブーム、戦前戦中戦後を貫く無責任体質に対する根本的な反
 省が必要です。
・安倍の問題は、森友問題、加計問題に収まるものではない。
 わが国の根幹に致命的なダメージを与えたということであり、政治思想の基本に立ち戻
 って考えなければならない問題です。
・右も左も上から下まで改革幻想に侵されている。
 とにかく変えろ。破壊しろ。改革すれば理想社会がやってくると。
 夢や理想を利用して現状を破壊する。
 こうした左翼史観、進歩史観に日本人は深く汚染されている。
・安倍と安倍周辺の一味が何をやったのかをきちんと検証することは必要です。
 しかし、それだけでは足りない。
 我々は正気を取り戻し、政治を修復して作業を地道に続けなければなりません。
 人は追いつめられると自分や家族の命にかかわることでさえ、真っ当な判断ができなく
 なる。 
 ガン患者やその家族がいかがわしい民間療法に飛びついてしまうように。
 大事なのは治療法を間違えないことです。
 
だからあれほど言ったのに
・アイドルグループ「SPEED」にいた「今井絵理子」が夏の参院選(2016年)に
 出馬するという。
 安倍晋三は「政治にはスピードが必要」と言ったとか言わなかったとか。
・それにしても今井の手話を使った出馬会見はいかがわしかった。
 彼女はシングルマザーで先天性高度感音性難聴の長男がいるという。
 家族の障害を公にするやつは最低。
 以前、元モーニング娘。の「加護亜依」が弟の障害を公表したときも私は批判しました
 が、いくら落ち目のタレントの家族とはいえ一般人のプライバシーを晒すべきではない。
・最初の直感は当たるもの。「週刊ポスト」が今井の闇をすっぱ抜いた。
 半同棲中の今井の恋人は、2015年まで那覇市で経営する風俗店で中学生を含む少女た
 ちに本番行為をさせていたが、今井はこれを知っていた可能性が高い。
 男の経営者によると、今井はその風俗店を訪れたことがあり、男が逮捕された際には弁
 護士費用を払っている。
 「知らなかった」「キャバクラだと聞いていた」との言い訳は通用しないだろう。
・貧すれば鈍する。自民党は「五体不満足」の「乙武洋匡」を擁立しようとしたが最終的
 に断念。   
 安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の目玉としたかったそうな。
・しかし、世の中には活躍しない方がいい人間もいる。
 それが乙武。
 彼の人格については以前から指摘されていたが、「週刊新潮」が不倫をスクープ。
 乙武には妻と三人の子供がいるが、愛人を旅行に連れ回していたという。
 また、結婚生活中に五人の女性と不倫していたことを告白した。
 乙武曰く「肉体関係もあります。不倫と認識していただいて構いません」
 ショーン・マクアードル川上 
・2016年3月放送の「報道ステーション」が話題に。
 安倍が導入を目論む「緊急事態条項」とナチスが悪用した「国家緊急権」の類似性を指
 摘。
 キャスターの古舘伊知郎がドイツに渡り、世界一民主的と言われたワイマール憲法下で
 ナチスが合法的に拡大していく経緯をレポートした。
・自民党による憲法改正草案の内容を精査し、専門家の見解を交えながら、権力の集中や
 法治の軽視を批判。発動要件も甘い。
・結局、「ナチスと同一視する安倍を叩きたいだけ」「緊急事態条項なんてどこの国にも
 ある」とか言い出すような奴が問題なんだよね。
・もっともこの番組も民主主義と独裁の親和性についてはほとんど突き詰めていない。
 「世界一民主主義的なワイマール体制化にもかかわらず全体主義が発生した」のではな
 くて、民主主義の構造的欠陥が独裁、大衆運動である全体主義につながったわけで、
 このあたりはテレビとはいえきちんと説明すべきだった。
・2016年に熊本で大震災が発生したとき、いつものことだけど、こういう時に人間性
 が明らかになる。
 募金詐欺が続発し、非難による不在の家に泥棒が入った。
 災害にかこつけて「緊急事態条項」の導入を訴えた官房長官の菅義偉も火事場泥棒のよ
 うなものだろう。 
 「緊急事態条項」は発動要件も低く、政府の権限をむやみに拡大する極めて危険なもの
 だが、それ以前に大災害は現行の法制度で対応できるのである。
・安倍晋三の女房、昭惠が「AERA」(2016年6月)のインタビューで「主人は、
 政治家にならなければ、映画監督になりたかったという人なんです。映画のなかの主人
 公をイメージして、自分だったらこうするっていうことを、いつも考えているんです。
 だから私は、主人は安倍晋三という日本国の総理大臣をある意味演じているところがあ
 るなと思います」 
 映像のなかの主人公を演じるのは勝手だが、国民を妄想に巻き込むなよ。
・2016年5月、第42回先進国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)が三重県で行われ
 た。 
 サミット終了後の記者会見で安倍は、2017年4月に予定されていた消費税率10%
 への引き揚げを再延長する方針を表明。
 それ自体はかまわない。
 しかし、首脳会議で世界の経済状況について2008年のリーマン・ショックを繰り返
 し例に出したのは常軌を逸している。
・安倍は「今回のサミットで、世界経済は大きなリスクに直面しているという認識につい
 ては一致することができた」と自画自賛していたが、ドイツ首相のメルケルは「世界経
 済は、そこそこ安定した成長を維持している」、イギリス首相のキャメロンは「危機、
 クライシスとまで言うのはいかがなものか」と反論。
・フランスの「ル・モンド」紙は、「姉晋三の無根拠なお騒がせ発言がG7を仰天させた」
 と切り捨てた。 
・イギリスの「テレグラフ」紙は「英国は日本経済で失敗した安倍総理のアドバイスに耳
 を傾ける価値なし」とすでに報じている。
・サミット閉幕後の2016年5月、オバマは現職の米国大統領として初めて被爆地の広
 島を訪問。 
 日本政府はアメリカ側に謝罪を求めなかったという。
亀井静香が「反省もされず、謝罪もされないのであれば、おいでいただかないでほしい」
 「見物するなら、大統領を辞めた後にして欲しい」と言っていたが、これに尽きるので
 はないか。
・原爆投下は人類史上最悪のジェノサイドであり、明らかな戦争犯罪である。
 原爆投下を命じたのは、トルーマンだ。
 敗戦国を「人道に対する罪」という事後法で裁きながら、連合国の明確な犯罪はスルー。
 「人道に対する罪」が成立するなら真っ先に裁判に欠けなければならないのはアメリカ
 である。
 でも、戦勝国だからそのあたりは適当に流して、敗戦国にはいろいろ条件を飲ませてと
 いうのが戦後レジームですね。
・で、「戦後レジームからの脱却」などと言って人気を集めていた男がいたが、化けの皮
 が完全に剥がれたようだ 
 国会でポツダム宣言を「つまびらかに読んでいない」と発言して騒ぎになり、その後、
 本当は読んでいるなどと言い出したが嘘だろう。
・「Voice]の対談で安倍は「ポツダム宣言と言うのは、米国が原子爆弾を二発も落
 として日本に大変な惨状を与えた後、『どうだ』とばかりにたたきつけたものだ」と語
 っている。
・ポツダム宣言は1945年7月、原爆投下は8月。
 政治家としての資質がどうこう以前の問題で、中学生レベルの歴史の知識がすっぽり抜
 け落ちている人なんだよね。
 「戦後レジームからの脱却」と言いながら、アメリカに尻尾を振って戦後レジームの固
 定化を図っているわけで、こんなのに騙される「自称保守」も頭がどうかしている。
・歴史に対する無知と、歴史に対する謙虚さの欠如は、そのままつながっている。
 政権の支持率が上がるだろうくらいの感覚で被爆地を利用するのは許されることではな
 い。 

無知とデマで世界はまわる
・憲法学者の「樋口陽一」が「かつての自民党と現在の政権与党は同じ政党ではない」と
 インタビューで語っていた。
 「現政権を『保守』と呼ぶ人が多いが、本来の意味での『保守』には3つの要素が不可
 欠です。
 第1は、人類社会の知の歴史遺産を前にした謙虚さです。
 第2は、国の内・外を問わず他者との関係で自らを律する品性。
 第3は、じかんのけいかとけいけんによる成熟という価値を知るものの落ち着きです。
 私たちをいま取り巻いているのは、そのような『保守』とはあまりにも対照的な情景で
 す」
・かつての自民党は、巨大な国民政党であり、多様な意見を吸収する包容力があった。
 派閥も機能していたので、党内でのバランスもとることもできた。
 問題は今の自民党が保守の要素を完全に失ってしまったことだ。
・安倍晋三に「愛国者」のラベルを貼ってきたメディアの責任は重い。
 かつて民主党の売国政策を批判していた連中は、移民政策、TPP、家族制度の解体、
 恣意的な憲法解釈と言った安倍の売国・壊国には口をつぐみ、価値判断ができない人た
 ちをミスリードしてきた。 
・こうして無知と忘恩の政治が蔓延るようになる。
 目指すべき方角を間違えれば、待ち受けているのは地獄だ。
・舛添要一の東京都知事辞任をめぐる騒動は、いろいろなものを炙り出した。
 メディアに煽られて「舛添辞めろ!」と、いきり立っていた人々が、今度は都知事選に
 50億円に費用がかかることについて「怒りの声」を上げているそうな。
 だったら小遣いをちょろまかした程度の舛添にやらせておけばよかったという話。
・なお、舛添騒動に助けられた形となった甘利明は、早速、朝食会という名の政治資金パ
 ーティーを開いていた。
 弁当しか出ないのに会費は2万円。
 舛添も甘利に倣って雲隠れしていればよかったのに。
・2016年7月、安倍政権はイラク戦争に関し、米英の武力行使を支持した当時の首相
 小泉純一郎の判断を「妥当」と判断した。
 小泉の判断を事実上追認した2012年の外務省報告も見直さない方針だという。
 その理由として、「イラクは当時、大量破壊兵器を保有していない事実を証明しようと
 せず、査察受け入れ求める国連安全保障理事会決議にも違反した」だって。
・2014年5月には安倍はこんなことも言っていた。
 「累次にわたる、いわば国連決議に違反をしたのはイラクでありまして、そして大量破
 壊兵器がないことを証明できるチャンスがあるにもかかわらず、それを証明しなかった
 のはイラクであったということは申し上げておきたい」 
・当然イラクに挙証責任はない。
 かつて小泉純一郎と同じことを国会で言い、世間の笑い者になり、菅直人からさえたし
 なめられた。

安倍晋三の正体
・アメリカのシンクタンク「大西洋評議会」が安倍に「地球市民賞」を授与。
 世界が「グローバリスト」であることを認めたわけですね。
 私が昔から指摘しているように、安倍の正体は「地球市民」である。
・2016年9月、安倍はニューヨークの講演で、日本の高齢化や人口減少について、
 「重荷ではなくボーナスだ」
 「日本の人口動態に全く懸念を持っていない」
 などと意味不明な発言を連発。
 だったら、一連の少子化対策や移民政策の目的は何なのか。
 また、「日本の開放性を推進する」として、「一定の条件を満たせば世界最速級のスピ
 ードで永住権を獲得できる国になる」とアピール。さすがは「地球市民」ですね。
・2016年6月、安倍は所信表明演説で、北朝鮮の核実験問題を取り上げ、海上保安庁、
 警察、自衛隊の活躍に対し、「今この場所から、心からの敬意を表そうではありません
 か」と呼びかけた。
 すると、自民党議員らは一斉に立ち上がり10秒近く拍手を続けた。
・前例のない事態に野党は反発。民進党の「細野豪志」は「首相自身も拍手したのを見る
 と『この国の国会ではない』との錯覚を覚えた。立法府と行政府の緊張関係を考えた方
 がいい」と批判した。
 すると安倍は、
 「私がスダンディングオベーションをしてくれと一言も言っていない」
 「どうしてこれがことさら問題なのか私にはよく理解できないわけであります」
 と逆ギレ。
・なお、自民党は議員の起立を「自主的なもの」と説明したが嘘がった。
 報道によると、官房副長官の「萩生田光一」が事前に指示を出していたようだ。
・考えてみれば当たり前の話だが、「自分が良いと思うもの」、あるいは「歴史的な価値
 基準に照らし合わせて優れているもの」が売れるのではない。
 「世の中の大多数の人間が良いと思うもの」が売れるのである。
・そこを間違えると、定年退職したオッサンが居酒屋を始め、借金を背負ったりする。
 彼はサラリーマン時代に経費で飲み歩いた経験を生かし、酒を厳選し、つまみを研究し、
 酒器にこだわり、「これなら間違いない」と確信して店を開く。
 そして見事に客は来ず、半年後には店を閉めることになる。
・大衆社会においては、大衆の琴線に触れたものだけが売れる。
 書籍も映画も音楽も同じ。
 世の中の大多数の人間の下世話な部分に訴えかければ、それなりの支持は集まる。
 問題はこの理屈を政治に適用していいかどうかだ。
・全体主義は大衆の熱狂の中で、既成組織を解体しながら拡大していく。
 政党は地域に密着した住民の声をすくい取るシステムを放棄し、怪しげな「世論」を重
 視する。  
 自民党が農協などの中間共同体に攻撃を仕掛けたり、移民政策や配偶者控除の廃止の検
 討により家族制度の解体を図ろうとするのも支持基盤が変質してしまったからですね。
菅義偉稲田朋美高市早苗らが、政治資金集めのパーティー券代として白紙領収書を
 受け取り、みずからの事務所で記入していたことが発覚。
 連中は事実を認めたものの、その後、完全に開き直った。
 菅は「政治資金規正法上、政治団体が徴収する領収書に際して発行側の作成法について
 の規定はなく、問題ない」と答弁。
 白紙領収書のやり取りは政界で慣例化しており、疑惑を追及していた共産党内でも不祥
 事が発生。
 大阪府議会議員の朽原亮は、自筆の領収書を使って政務活動費を受け取り、議員辞職に
 追い込まれた。
 当然、菅も稲田も高市も議員辞職して範を示すべきだ。
・しかし稲田は相当ダメだね。
 安倍も任命責任を問われるからクビにできないだろうが、言っていることも支離滅裂。
 南スーダンでは死傷者が出ているのに「比較的落ち着いている」との認識を表明。
 若者全員を対象にした自衛隊体験制度を遣れば、「『草食系』といわれる今の男子たち
 も背筋がビシッとするかもしれませんね」などと述べていたことが国会で問題になった
 が、自衛隊はお子様の教育機関ではない。
 これは自衛隊に対する侮辱だろう。
・稲田は「サンデー毎日」を名誉棄損で訴えていたが二審でも敗訴(2016年10月)。 
 同紙は「安倍とシンパ議員が紡ぐ極右在特会との蜜月」という記事で、稲田の資金管理
 団体が在特会(在日特権を許さない会)に近い人物から寄付を受けていたと指摘。
 訴訟を起こして黙らせようとしたが、逆に在特会との関係を法廷で認定された「弁護士」。