何かと話題になる靖国神社。靖国神社は1869年(明治2年)に明治天皇によって東京招魂社として創建された。そしてその10年後に靖国神社と改称され、陸、海軍省が管轄する国営神社となった。1945年の敗戦後は国家神道が廃止されて靖国神社と国との公的関係は絶たれ、都認可の宗教法人となった。
しかし、1978年にA旧戦犯が合祀され、その後、首相らが参拝するたびに外交問題化するようになった。中国、韓国などの近隣諸国は、「日本は戦争を反省していない」などと解釈して首相の靖国神社参拝に反発している。
昭和天皇はA級戦犯が合祀されて以降参拝せず、現在の天皇は即位後、一度も参拝をしていない。
靖国神社本殿の隣に近代日本の戦争の歩みを展示している遊就館がある。ここに入ると、かつての日本軍はかくも勇敢に戦ったのだという雰囲気が漂ってくる。零戦をはじめ、人間ロケット「桜花」や人間魚雷「回天」など「特攻」を思い浮かべる兵器も多い。こんなものに若者を乗せて特攻させたのかと思うと、当時の日本軍の戦争指導者たちの冷酷さに背筋が寒くなった。
靖国神社に祀られている軍人には、職業軍人のほかに「赤紙」一枚で召集され嫌々ながら軍人に仕立てられた人たちもいる。その人たちやその親族は、果たしてこの靖国神社に祀られことをよろこんでいるのだろうか。
首相が靖国神社を参拝することについて世論調査をすると半分近くの日本人は賛成だという。その賛成という人たちは、この遊就館を見ても賛成なのだろうか。
戦後70年近く経って、戦争を経験した人たちが少なくなった現在、「平和ボケ」した国民が大半となった。「お上の言うとおり」にする国民性、個人主義が希薄で集団行動意識が強い国民性の日本は、いつのまにか「強いリーダー」によって再び戦争へと突き進んでしまうことはないだろうかと思うのは心配しすぎだろうか。
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