40年ぶりに山寺を訪れた。仙台駅から電車で約1時間弱。仙山線の車窓から見える新緑の景色は清々しく爽やかで新鮮だった。JR山寺駅で下車してさっそく登山口に向かった。
山寺というのは通称で、正しくは宝珠山立石寺というそうで、貞観2年(860年)に清和天皇の勅願によって開かれた天台宗のお山そうだ。有名なのは、松尾芭蕉が奥の細道の道中に、この山寺を訪れたときに詠んだとされている句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」だ。
私が今回訪れたのは平日だったので、訪れる人も少なくさぞ静かだろうと思っていったが、電車から降りる観光客も結構いるし、観光バスで訪れる人たちや学校の遠足かなにかできたと見られる幼稚園児や小中学生でなかなかの賑わいだ。
この山寺の石段の数は全部で1070段あるという。まだ人生経験が浅く人生の荷の軽い小中学生たちは、我先にと石段を駆け登っていく。しかし、今までの長い人生の中で積もり積もった煩悩の荷をたくさん背負った私は、一段また一段と抱えた煩悩を一つ一つ振り払いながら登っていくのが一番似合っているようだ。
最終到達地点は「五大堂」だ。ここは今で言う展望台になっていて、ここから下界を眺める光景はまさに絶景だ。春の爽やかの風も吹き抜け、それまでの登山で汗ばんだ身体を冷やしてくれる。まさに「気持ちい〜!」爽快そのものだ。
下山途中、登山途中でへたばって登山道隅に仰向けに寝そべって動けなくなっている体格のいい中年男性を見かけた。人生の重荷が重すぎたのか。それとも気持ちだけがまだ若くて、我先にと速いペースで駆け登り過ぎたのか。いずれにしろ、無理は禁物だ。若いお姉さんたちも気をつけたほうがいい。ここはミニスカートは禁物だ。階段を登る最中、上を見上げるとスカートの中が丸見えだ。
実は、登る前は、果たして上まで登り切れるだろうかと、一抹の不安を感じていたが、上まで登り切れたことで、達成感とともに「俺もまだまだ」という自信が湧いてきた。今度は秋の紅葉の時期に登ってみたい。また欲が一つ増えた。
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