久しぶりに多聞山からの眺めが恋しくなりドライブがてら訪れてみた。
前回訪れたのは確か2018年だったから4年ぶりである。
ここは松島四大観のひとつに数えられる景勝地だけあって、眺めがとてもすばらしい。特に気温が低い冬季は空気が澄んでいて遠くの島々までよく見える。
近くの塩釜港に出入りする船の往来をのんびり見るのも楽しみの一つだ。
ところで、ここに深山権現という神社がある。前回訪れたときにも、なんだろうと気になっており、調べて見たら、次のような言い伝えがあるという。
昔、代ヶ崎の浜に、見かけたことのない、みすぼらしい女の修験者がやって来た。
飢えと寒さで途方に暮れている様子を見、浜のある人が気の毒に思い、お世話することを申し出た。
修験者は大喜びでその申し出を受けたが、「土間の片隅でええがら」と言って、そこから離れようとせず、
温かい食べ物や着物を差し出しても、どうしたわけか固辞して受けようとしなかった。
そして、日が経つにつれて体も回復し、家事や田仕事まで手伝うようになった。
家の人達は不思議に思って、その修験者の行動を注意してそれとなく見ていると、流し口の布袋をさげて、たまったものを食べているようであった。
その家の主人がおかしい人だと思ってある晩、そっと起きて庭の片隅を除いて見たら、修験者が仏の姿になり、後光がさしていた。
ところが朝になってみると、仏の姿は消えていたという。そこで、仏の像を造り、被葉衣観音と名付けて多門山の一番高い所に祀ったというのだ。
なんとも不思議な言い伝えである。
【所在地】
宮城県宮城郡七ヶ浜町七ケ浜町代ヶ崎浜字八ヶ森