「ヤバいぜつ!デジタル日本」  :高城 剛

知らなきゃヤバい!防衛政策の真実 [ 田村 重信 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

「一見、いい人」が一番ヤバイ [ 下園 壮太 ]
価格:1296円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

やばい老人になろう やんちゃでちょうどいい [ さだまさし ]
価格:1188円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

これからヤバイ 米中貿易戦争 [ 渡邉哲也 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実 (PHP新書) [ 河合薫 ]
価格:950円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

この歯医者がヤバい (幻冬舎新書) [ 斎藤正人 ]
価格:842円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

職場がヤバい! 不正に走る普通の人たち [ 前田 康二郎 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

ヤバい行動経済学 絶対に損をしない方法 [ 橋本 之克 ]
価格:756円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

超ヤバい話 地球・人間・エネルギーの危機と未来 [ 長沼毅 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/3/22時点)

 この本によれば、これからの時代は、スタイルがもっとも重要になるらしい。スタイルといっても
「スタイルがいい」のスタイルではない。「生活スタイル」とかのスタイルである。
 今の時代はインターネット全盛の時代だが、筆者によれば、このインターネットからはスターは生
まれないという。なぜならば、インターネットの世界では、それに参加している全員がスターだから
ということである。これは、インターネットは今までの映画やテレビなどのマスコミュニケーション
とはちょっと違い、個人が自分で情報を発信することができるからである。
インターネットのもっとも代表的なアプリケーションは「メール」である。今は誰もが、メールを使
いこなす時代である。メールは自分で情報を発信することも意味 する。それに最近は「ブログ(blog)」
というサービスを使って、だれもが簡単に情報を発信できるようになった。
 単に、情報を一方的に受けるだけよりも、自分で情報を発信することのほうが、はるかにエキサイ
ティングである。このことから、インターネットはマス・コンテンツを必要としないと言われる。イ
ンターネットに流れるコンテンツは、個人のコンテンツが主流だと言われる。個人の書いた日記、個
人の撮った写真、そしてこれからは個人が撮ったビデオ映像がコンテンツとなる。個人が作家であり、
記者であり、カメラマンであり、アナウンサーなのだ。
 これからの日本が目指すべきは、経済でも技術でもなく、コンテンツ大国(文化立国)であるとい
うことだ。そしてそのコンテンツは、伝統的コンテンツではなく、ポップ・カルチャーでなければな
らないと言う。
 日本は老人大国に突入しつつある。歳を取った人の最大の楽しみは、懐かしい昔話であるから、こ
れからは、懐かしい時代を切り取ったパーソナル・アーカイブが、最大のエンターテイメントになる
という。そしてこれは、私のこのホームページの目的とするところでもある。

はじめに
 ・すでにビル・ゲイツは、2003年初頭の基調講演で、「この10年で、すべてデジタル化する」
  と言った。多くの革命的な技術革新は峠を越えた、とビル・ゲイツ自身が事実上言ったわけであ
  る。
 ・IT革命など、はじめからない。大体、国家が言う「革命」をだれが信じるものだろうか。ある
  のはコミュニケーションやライフスタイル革命である。何しろ、ユーザーには技術は関係ないの
  で、インターネットだろうが、デジタルだろうがどうでもよい。しかし、コミュニケーションや
  価値観は確実に変わってきていて、今後さらに変化することになるだろう。大切なのは、ITで
  はなく、コミュニケーションや価値観の変化、ライフスタイルの変貌なのである。
 ・時代は、まったく新しいものではなく、また、古いものの完全否定ではなく、ハイブリットな新
  しいスタイルを求めているのだ。技術で言うならば「あわせる技術」がもっとも重要ということ
  になる。
 ・僕には未来を予見する特殊な能力があるわけではない。すべては体験と体感である。まるで巨大
  なスキャナーで世界中を取り込むように自分の足とモバイル機器で現在を網羅し、そこからちょ
  っと先の未来を感じ取ること。これが僕のいまである。

ITとデジタルの終焉
 ・ITは大きなトピックだが、技術であって文化ではないので、未来のビジョンも当然ながら希薄
  だ。しかも、日本のIT企業のほとんどはハードもソフトも作っていない。当然マスメディアで
  もない。ほとんどが、日本語による日本だけの通信技術サービス業である。iモードさえ、そ
  うだ。だから、今後、国際的に活躍できる企業は少ない。国境を越えることが可能なインターネ
  ット時代と言われているのに、おかしな話である。
 ・そんなわけで、日本のIT産業に未来のビジョンを期待するのがおかしいのだ。世界標準の技術
  なきまま急速に成熟してしまった日本のIT産業は、すでに過去のものだ。数多くのIT関連の
  仕事をする僕自身が、そう感じている。
 ・いままで重要だったのは、情報収集能力だったかもしれないが、これからは情報選択力がもっと
  も重要になることだろう。
 ・iPodほど価値観を変えるものはない。オンラインで音楽を入手して、それを1万曲ハードデ
  ィスクに詰め込んで、外に持ち出す。ひとつひとつ、例えばオンラインで音楽を入手するとか、
  CDではなくメモリーで音楽を持ち出すなどはいままででもあった。しかし、一貫して提案でき
  たのは、アップルのiPodがはじめてであった。
 ・つまり、iPodに、新しい技術はほとんどない。iPodの勝利はスタイルだと言える。その
  スタイルには、はっきりとした時代の美学がある。僕が言うこの場合の美学とは、クリエイティ
  ビティと哲学である。
 ・インターネットの本質とは技術的約束事なのである。同じ技術的約束事を持っている同士であれ
  ば、アメリカでも日本でも、どこからでも、必要なサーバーやクライアントに入ることができる
  し、また、どこからでもというのがインターネットの利点だとすれば、机の上のデスクトップパ
  ソコンよりノートパソコン、さらには片手で扱える携帯電話が、より有利となる。すなわち、技
  術的約束事を持った携帯電話、もう少し言うと、携帯トリプルXがこれからもっと世界を席巻す
  るということなのだ。
 ・携帯トリプルXとは、いわゆる携帯電話のことだが、しかし、それはすでに単に電話ではない。
  メールやブラウジングもでき、時にはラジオも聞けテレビも見られてカメラも付いている。
 ・人々の生活を激変させるのは、インターネットではなく、携帯トリプルXだ。インターネットは
  所詮、技術なのだ。
 ・携帯トリプルXは、ハードやコンテンツではなく、スタイルを作ることができる。そして、それ
  を使いこなすスタイルの先頭に立っているのは、いまの段階では日本人であることは間違いない。 
 ・インターネットからまだ本物のスターは出ていない。それは、なぜか?それは、インターネット
  が、スターを生み出すような仕組みを持っておらず、ここでは全員がスターだからだ。というこ
  とは、インターネットは大きな夢を生み出すのが苦手で、マス・マーケットを狙ったエンターテ
  イメントを構築することが難しいのだ。小さな個人の夢は欲望と、マスメディアとは違う大きな
  スキャンダルのようなもので、今日のインターネットのコンテンツは動いていると言える。
 ・インターネットはマス・コンテンツを必要としないのだ。
 ・今後はお金をかけないで、しかし人に見せることを意識したコンテンツ=個人志向から、ヒット
  が生まれることだろう。
 ・なぜIT企業はテレビ局と手を組みたいのか。それは、ITがテレビを駆逐することができない
  と知っているからである。
 ・デザインの観点からインターネット、性格にはWebだが、もはやデザインは二の次というのが
  インターネットの主流である。
 ・インターネットの映像革命は個人映像コンテンツしかない。大体、ブログやmixiなどのソー
  シャル・ネットワークサービスのように、今日のインターネットの流行は、個人コンテンツが主
  流だ。だからこそ、個人コンテンツの映像化が、次のインターネットにおいて重要になることだ
  ろう。
 ・携帯電話にハードディスクが搭載さて、ニュースを映像で見る。電話のテレビ電話化され、メー
  ルもビデオメールが主流になる。きっと、紆余曲折しながら、そんな時代がすぐに来るだろう。

ブランド「日本」
 ・我々はお金ではなく、知恵やアイデアで、この窮地を脱しなくてはならない。というか、それし
  かない。結論的にはライフスタイルを変えるしかない。ITベンチャーの主だった会社の実態が
  投資ファンドであることは周知の事実だが、真のベンチャー化、およびライフスタイルの提案を
  しなければ、これからの日本はさらに大変だと言える。
 ・知恵やアイデアを使ってすぐお金になる世界的ヒット商品を連発すればいいのだ。とにかく、一
  番小さなお金で大きく稼ぐ可能性があるのは、巨大コンテンツと言われる映画および映像産業だ
  ろう。
 ・伝統的コンテンツではなく、ポップ・カルチャーを海外に輸出すること。これに力を注ぐべきで
  ある。
 ・では、ポップとは何か・その定義は、「カット&ペースト」だという。すなわち、すでにどこか
  にあるものを切り抜き、貼り込んでいって、新しいものを作るということである。
 ・書籍や漫画をコピーして読むということはあまりしない。ということは、市場の価格とコンテン
  ツ価格のバランスが適正なのだ。今日のCDやDVDは何かおかしいということになる。
 ・これからのコンテンツ・ビジネスは、コンテンツ単体ではなく、ライセンスを多角化してポート
  フォリオ的に稼ぐことが重要視されている。
 ・人々がコンテンツを見聞きすることが減って、逆に発信側にまわってしまったら、コンテンツ・
  ビジネスは成立しないのでは?と思う人もいろだろう。実際そうである。すなわち、直接的にコ
  ンテンツを稼ぐ時代は終わったということだ。
 ・何より、どんな大ヒット・コンテンツより、彼氏からのメールのほうがすばらしい。このことか
  らもわかるように、時代はマス・コンテンツを思いのほか必要としない。メールのような自分だ
  けのコンテンツ、デジカメ写真のような自分のコンテンツを大切にしている。
 ・これからのコンテンツ・ビジネスは、いままでと大きく変わり、無料でもより多くの人に見ても
  らい、その見ることの対価を直接支払ってもらうのではなく、違う方法で稼ぐことが主流になる
  だろう。
 ・「冬のソナタ」が50歳以上の女性を魅了したのは、彼女たちのゴールデンエイジだった昭和感
  が高いからだ。ゴールデンエイジとは、その人の記憶が中でもっとも自分も時代も輝がしかった
  ときを指す。「冬のソナタ」の昭和感は,今日の日本の映像からは生み出せない。
 ・今後いわゆるソフトパワーの時代になるのは間違いない。創造産業の時代とも著作権産業の時代
  とも言われる。世界の製造工場はとっくの昔に日本から中国に移っている。だから、ソフトを中
  心に考えるのは、すでに日本は世界に対して大きな遅れをとってしまっている。これからの巻き
  返しは、かなり難しいものにだろう。そこで、日本はハードとソフトをつなげて新しい提案をす
  るスタイルビジネスを輸出するべきなのだ。
 ・いつから、日本はスロー志向になったのかはわからないが、現在の多くの人々の志向として速い
  スピードではなく、スローに向かっているのは間違いない。
 ・スローとリラックスを混同してしまっている人も多い。ゆっくりした時間だからと言って、必ず
  しもリラックスできるわけではない。温泉行って、朝7時半にたたき起こされ、給食のような朝
  ごはんを食べさせられて、10時にたたき出される。本当にこれでリラックスできているのか、
  自分で行っていて疑問である。
 ・いまもっとも日本でスピードがあるのは、20代の女性だろう。流行から思考までハイスピード
  で彼女たちは動いている。かつ、姿勢が柔軟である。あとのほとんどの人々はスロー思考で硬質
  である。
 ・ハイスピードでリラックスする方法もいくらでもあると思う。おそらく日本では今後、高速リラ
  ックスが注目を集めるだろう。要は、多くの人がそのスタイルを探し出せないだけだ。
 ・地域ブランディングとは、その地域の良い場所を再発見し、もしくはその場所やモノの新しい活
  用のスタイルを提案することである。よって、プロジェクトリーダーがその地域の出身者で地域
  密着型では、あまりに地元の力関係に引っ張られて、せっかくの良いポイントを伸ばすことがで
  きない。
 ・成功の秘訣は、プロジェクトリーダーがよそ者であること。これがポイントである。これができ
  ない地域は、まず成功することが難しい。
 ・地域ブランディングの成功のポイントは金だけでなく、同時に適正な人を出すことであり、その
  人はより客観的な視野を持つよそ者でなくてはならない。地域ブランディングの基本は、常に他
  者との比較によって成り立つことが多い。その地域の人は、だれよりもその地域を愛している。
  これはすばらしいことだが、同時に、その地域の良いところ、悪いところを、冷静にキチンと見
  る力が失われている。それでは仕方がない。だから、よそ者でなくてはならないのだ。
 ・よくある問題は、その地域の人々が目的意識を失い、悲観的になっていることだ。変化を拒み、
  新勢力を恐れているのだ。90年代前半の英国がまさにそうだった。現実に直面するべき問題が
  生じても目をそむけていた。まるで、現在の日本のようである。しかし、こうした姿勢ではトラ
  ブルの対処ができない。なぜならこのグローバル化する社会で、変化と無縁でいることはできな
  いからだ。変化こそが、そしてスピードこそが、いまや成功のすべての鍵である。
 ・地域としてのアイデンティティを新たに見つけ出し、悲観的で古めかしいその地域のイメージを
  明るく進歩的なものに変え、その地域やその地域の人々に自信を取り戻させるようにすることで
  ある。
 ・複合文化連合体となったハリウッドを除くと、アメリカ文化は突出して世界に飛び出しているわ
  けではない。音楽もアートも、新しい文化のトレンドは、今後アメリカから出てくることは少な
  いだろう。アメリカ文化の特徴は、言わば合理的にまとめられたミックス文化だったが、現在、
  世界でのその機能はインターネットが担っている。インターネットの普及によって、いまや世界
  中から発信されている文化が、合理的にまとめられたミックス文化である。
 ・元来、日本は島国で世界地図で見ても端にあることから、情報に敏感な国であった。だからこそ、
  外からの力に弱かったとも言える。しかし、インターネットが一般化した今日は違う。外からい
  いとこ取りして、内から強いものを生み出すことが望ましい。
 ・我々の国家は、もっとクリエイティブであるべきである。経済ではなく、技術でもなく、文化立
  国を本気で考えねばならない時が来ている。

ハイブリッド日本人の提案
 ・現在日本には大きな危機が3つある。一つ目は、大地震や温暖化による異常気象、二つ目は国内
  外のテロや暴動、そして三つ目は経済危機である。このひとつやふたつが起これば、結局三つ目
  の経済危機に直面するだろうから、国家の財政が破綻したあと、どうしたらいいのかを真剣に考
  えねばいけない。
 ・少なくとも、我々日本は経済大国だという認識をはっきり改めなくてはいけない。今後は、経
  済がわが国を引っ張っていくことはないのである。では、経済に代わって何がリードしていくの
  か。僕は、新しい文化の創出が日本を変えていくと信じている。それも伝統的な文化ではなく、
  新しい流行文化を日本は続々と提案できるのではないか、と思っている。
 ・かつて、日本を代表する産業は製造業であった。100売れれば、20儲かる産業構造であった
  はずのそれの地位は、韓国や中国の成長により、もうない。そして、それにとって代わるべき日
  本のIT産業には国際的に活躍している企業がほとんどないので、国家財政が破綻すれば、すべ
  て破綻してしまう。映画産業を見ればわかると思うが、文化は1作って100儲かる可能性を持
  っている。100売れば、20儲かる産業構造を脱却し、いま日本としてしなくてはいけないの
  は、文化育成と、その国際ビジネス化である。
 ・それより現実のコンテンツ教育の最大の問題は、少子化に伴い、漫画をよく人が減少し、発行部
  数がみるみるのうちに減り、漫画のパワーが減少し、同時に漫画に才能が集まらなくなることだ
  と考える。何より、漫画はすごい。なぜなら、一番お金になるからだ。
 ・もっとも大切なのは変化であり、その速度だ。
 ・人類の最大の特権として、だからこそ最大の産業にしなくれはならないのが、創造産業であると
  思う。だから、僕はどんなときでも創造するこを諦めない。それが、人間の最後の可能性であ
  ると信じているからだ。
 ・クリエイティブ力を上げるには、とにかく、他の人の作品を聞きまくる。見まくる。これが一番
  である。入力を上げれば、出力も上がる。出してばかりでは枯れてしまう。入れてばかりだと、
  太ってしまう。
 ・クリエイティブ力がつき、コミュニケーション能力が高まれば、次は保存となる。いわゆるデジ
  タルアーカイブである。作ったものを伝え、そしてその結果を含め、キチンと保存する。歳を取
  ると、最大の楽しみは懐かしい昔は話である。だからこそ、これから老人大国になるわが国際最
  大のエンターテイメントは、懐かしい時代を切り取ったアーカイブとなることだろう。良かった
  ことは、忘れないように何度でも見る。だから、パーソナル・アーカイブ。これからのコレクタ
  ブルや限定品は、自分の断片であるべきだ。自分の作ったビデオからDNAまで。これこそが、
  困ったり疲れたりしたときの新しい精神安定剤のような働きをすることだろう。
 ・東京には歴史がない。その役目は、京都が持っているので、東京には必要ない。だから、東京は
  いまだけの街だ、すなわち、流行に生きていればよい。名物もいらない。何にもとらわれない。
  東京こそが万博なのである。歴史は京都で、一度見たら終わり。ディズニーランドの成功がリピ
  ーターにあるように、リピーターをいかにとらえるかが、観光立国のポイント。浮遊都市東京は、
  常に新しいスタイルを提案し続けるのだ。
 ・日本人は、とてもオシャレな国民だ。平均点を指し示す指標がないので僕の意見でしかないが、
  ニューヨークやパリなど、オシャレだといわれている都市は世界に多くあるが、間違いなく、世
  界でもっともオシャレな都市は2006年現在、東京だろう。
 ・日本人は機械を使うのが得意な人種である。日本の携帯電話のような、あんな複雑なものを使い
  こなしているのは日本人以外に見たことがない。また、これだけ携帯電話を使っている国民も見
  たことがない。もちろん、これだけ携帯電話に料金を支払っている国民も、見たことがない。