老後破綻  :岩崎博允

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日本は、会社で言えば「放漫経営」によって、膨大な借金を作ってしまった。これは、今
の政権を担当している民主党だけではない。過去に政権を担当した自民党にも責任はある。
日本の借金は、その額があまりにも膨大過ぎて、もはや返せる状況にはない。
多くの経済識者が、日本がデフォルトとなるXデーが近いことを囁いている。もはや日本
が、デフォルトになるかならないかではなく、いつデフォルトが来るか、何がトリガーと
なるかという状況である。
3.11の東日本大地震発生直後に、アメリカの経済識者が「まことに残念ですが、日本
は貧しい国になるでしょう」と言ったという。これは、東日本大地震の被害の大きさから
そう言ったのではないと、私は思っている。恐らく、東日本大地震が日本のデフォルトの
トリガーになると、この識者は思ったのでのではないかと私は思っている。幸いにも、ま
だでデフォルトには陥っていないが、時間の問題であろう。
これは、政治家の責任だと言ったところで、どうにかなるものでのない。こうしている間
にも、Xデーは確実に近づいてきている。デフォルト後の経済大混乱社会を、どう生きて
いくか。一般市民の我々に、できることは少ないが、できることは少しでもやって、その
日が来るのに備えるしかない。この本は、その日のために、どんな備えができるかが、書
かれている。

はじめに
・現在の日本が置かれている立場は非常に微妙だ。莫大な財政赤字に加えて、東日本大震
 災や東京電力福島第一原発事故などによる経済的なダメージが日本経済を疲弊させ、日
 本国内だけでなく、対外的にも「日本は大丈夫なのか?」と心配されるようになってし
 まった。
・1000兆円近い財政赤字の削減についても、根本的な財政改革を標榜して生計を取得
 した現政権だが、国会議員の一人も削減できずにいる。公約した議員報酬の削減も議論
 すら始めていない。
・2012年以降、800万人ともいわれる団塊世代が一斉に満額の公的年金受給者とな
 り、日本を一気に高齢化社会に進める。さらに、贅沢な暮らしをしてきた団塊世代が預
 金を取崩し始めることで、預金率が下がり、日本経済に悪影響をもたらすのではないか
 といわれている。
・政府は定年延長を制度化するなど、何とか国民が65歳まで働けるように働きかけてい
 るが、いまや新卒の職すらない時代だ。2013年以降、毎年毎年「無年金時代」を余
 儀なくされる老人が大量に発生することになる。

前人未踏の財政赤字、東日本大震災・・、絶壁に立たされた日本経済
・政府は、最大25兆円の被害総額といっているが、40兆円程度の被害額に50兆円を
 超える復興コストがかかる可能性も取りざたされている。
・復興国債を日本銀行が引き受けるという方法もあるが、かつてその方法で凄まじいイン
 フレを引き起こしてしまったケースが、歴史的に数多く記録に残っている。
・日本銀行というのは、日本の中央銀行であり、紙幣を発行している紙幣発行銀行、言い
 換えれば、日本銀行が国債を引き受けるということは、ただ輪転機を回せばいくらでも
 資金調達ができることを意味している。
・日本銀行が国債を引き受ければ、引き受けるほど、日本銀行のバランスシートは悪化し、
 信認が低下する。しなわち、それは「円」の価値が低下することを意味しており、為替
 相場が円安に振れてしまう。円安が進行すれば、食料品やエネルギーの大半を輸入して
 いる日本にとって、消費者物価指数が跳ね上がるインフレを引き起こす可能性は大きい。
・昭和恐慌が起こった直接の原因は、関東大震災で発生した大量の不良債権だったといわ
 れる。
・そう考えると、今回の東日本大震災が「関東大震災→昭和金融恐慌」といった経済危機
 の連鎖を再び起こす可能性は、まったくないとはいい切れない。
・本来、日本の財政法では「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入を以て、その財源
 としなければならない」と定められており、法律で赤字国債の発行を禁止している。
・太平洋戦争で莫大な赤字国債を発行した結果、ハイパーインフレを引き起こしてしまっ
 たことを反省して、貨幣価値を変えてしまうような事態を引き起こさないように赤字国
 債の発行を厳しく制限しているのだ。それにもかかわらず、現在の日本の状況は、太平
 洋戦争末期よりもひどい状態となっている。戦争国債を発行し続けたために、ハイパー
 インフレを引き起こした日本だが、たまたま戦争がなくて、いまだに借金を続けられて
 いる、というだけとも言える。
・もう10年以上も前になるが、ムーディーズが、日本の赤字国債の発行残高を「前人未
 踏の領域に入った」と表現したことは衝撃的だったが、いまや前人未踏というよりも、
 よく言えば「孤高の一人旅」、皮肉っぽく言えば「壮大な社会実験」、悪意を持って言
 えば「国民生活破綻プロジェクト」と言ってもいいかもしれない。
・日本を本当の意味での破綻に追い込むのは、自身でもなければ、津波でもない。まして、
 極東が戦場になる戦争や中東で起きたジャスミン革命のような市民運動でもない。日本
 にとどめをさすとすれば、それは「金融マーケット」であると考える。日本政府が大量
 の国債を発行することで、国債に対する信認が低くなり、格付けの下落で、長期金利が
 上昇していく。
・金融市場で「株価」「債券価格」、そして「為替」というトリプル安となって、日本売
 りが始まってしまう。このトリプル安が極端に進んだとき、日本経済は崩壊を迎えてし
 まうだろう。
・米国に次ぐ世界第の経済大国と言われた日本も、誰もが気がついているように、そして
 みんなが心配しているように、欧州のスペインやポルトガルのように、アジアの最貧国
 になってしまうのではないか。
・日本経済の破綻は、株価や日本国債を大暴落させ、極端は円安をもたらす可能性が高い。
 銀行が経営破綻し、輸入物価はハイパーインフレ状態に。ロシアのように、自国通貨が
 2万分の1になれば、年金収入や預貯金はたちまち紙くず同然になってしまう。国家破
 綻は、すなわち「老後破綻」に直結する。

老後に向けて、これからの日本はどうなるか
・現在の日本経済は、いまや完璧に「クラウディング・アウト」の状態に入っているとい
 っていいだろう。クラウディング・アウトというのは、簡単にいえば政府が国債を発行
 しすぎて、企業活動を阻害してしまうという状況を指す。政府が、将来的に大量の国債
 償還や利子の支払いを迎えることは確実で、大量の国債を発行すると、それによって市
 中の金利が上昇し、民間企業や個人の資金需要が抑制されてしまう。お金が全部政府に
 集まって民間に回ってこない現象ともいえる。
・「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」
・900兆円を超えると言われる日本国債を支えているのは、すべて国民のお金であると
 いうことだ。言い換えれば、日本国債が万が一にも紙くずになってしまうような事態に
 なれば、大半の銀行は経営破綻し、保険会社も保険金を支払うことができなくなって破
 綻してしまう。国債全体の11.7%を支えている「公的年金」も、言うまでもなく破
 綻の道を進んでしまうというわけだ。
・つまり、日本国債は政府の借金であり、その借金先は日本国民であり、我々の老後が
 「担保」にされていると言ってもいいだろう。この現実をきちんと理解しないと、日本
 国債のリスクは理解できないと思ったほうがいい。
・もし日本国債の格付けが下落した場合、銀行などの金融機関は、格付けの下落によって
 日本国債を保有することに経営上のリスクを伴う。そうなれば、保有する国債を売却す
 る動きに出てくる。銀行が国債を売却すれば、当然長期金利も上昇するわけだ。
・銀行は格付けが行われるたびに、あるいは見直しの動きがあるたびに、徐々に国債の保
 有ウエイトを現象させていくはずだ。国債の売りが増えれば、当然のように金利を高く
 しないと誰も買ってくれなくなる。そこで、さらに金利が上昇するというわけだ。
 
日本炎上! 年金生活者はどうなる
・国内で消化されている限りは、日本国債も安全なのかもしれない。しかし、日本は米国
 のように基軸通貨という打ち出の小槌を持つわけではないし、欧州のように互いに助け
 合う仲間がいるわけではない。
・日本国債は、まさに綱渡りしながらかろうじて円の価値を守っているという状況だ。そ
 して、国債の資金繰りを外国に頼るようになり、頼りの外貨も減少していけば、そのと
 きには日本国債のデフォルトが頭をもたげてくるというわけだ。
・日本では外資系ヘッジファンドなどのリスクマネーに、先物やオプション市場の大半を
 握られ、日本の投資家の存在感は極めて弱い。せいぜい株式市場の個別銘柄をちまちま
 と売買する投資家が、ときどききまぐれで成功する程度だ。
・財務省が販売している国債の大半は「入札」という制度を使い、金融機関などに入札を
 行わせ、最も高い価格をつけたところに販売(売却)するという方法をとっている。こ
 のときに、目標とする入札を消化できないことを「未達」というのだが、これが頻繁に
 起こるようになると、かなり危なくなってくる。東日本大震災以後、この未達の状態が
 しばしば見られるようになった。
・おそらく長期国債の金利が現在の1%から5%に上昇しただけでも、日本政府はデフォ
 ルトを起こしてしまう可能性がある。一度でも、デフォルトを起こしてしまえば、株式
 市場は暴落し、通貨の円も信用力を失って暴落する。国際社会での信用力を失って、日
 本経済は大混乱に陥るというわけだ。
・実際に、金利が上昇して国債が暴落を開始すれば、銀行はそれまで保有していた国債を
 一気に投げ売りしてくる。ヘッジファンドや大手銀行、証券会社の自己勘定部門などは、
 暴落する国債を何とか換金しようとして、あらゆる手段で売ってくるはずだ。もしそう
 いう事態になれば、日本中の金融機関が投げ売りを開始して、6時間で日本の国債は紙
 くずになると、シミュレーションするエコノミストもいる。
・具体的に日本国債が暴落したら、どんな被害が出るのか。
 ・円が信用力を失いハイパーインフレになる
  国債の暴落→通貨の下落→ハイパーインフレ
 ・外国人投資家に日本国債を買い占められる
  実際に、そうなったら政府はデノミを行ない、徳政令を発令して、日本の資産が海外
  に流出するのを防ぐ。結局、ここでも円が暴落して、日本は凄まじいインフレに見舞
  われる。
 ・IMFが救済に入り改革を実行される
  ・年金は一律30%以上カット
  ・消費税率を20%に引き上げる
  ・課税最低限を引き下げ年収100万円以上から徴税する
  ・資産税を導入し不動産に対しては公示価格の5%を課税、債券や社債については5
   〜10%を課税
  ・預金については30〜40%カットする
 これらのシナリオでもっとも可能性の高いのは、やはりIMFの介入だろう。
 
年金制度崩壊、大増税、そして静かなる老後破綻
・マクロ経済スライドの導入は、まぎれもなく「老後破綻を前提とした制度改革」だと思
 っている。国家破綻による老後破綻が、国民全員を巻き込んだ大規模な崩壊だとすれば、
 公的年金制度による老後破綻は、年金受給者が高齢化すればするほど経済的に窮地に陥
 る仕組みを国家レベルでシステム化した崩壊だといえる。
・消費税率が現在の5%から10%になると、可処分所得は確実に減少することになる。
 現在よりも10%分の消費税率がアップしたとすれば、企業なども一斉に10%分を値
 上げしてくることになる。
・日本の財政赤字の額は半端なものではない。たとえば、英国の付加価値税は税率20%
 だが、いわゆる食料品などの生活必需品は対象になっていないために、年金受給者など
 の低所得者層にはあまり影響はない。その点、日本の消費税は例外がほとんどなく低所
 得者層の生活にダメージを与える。
・消費税率のアップや医療費のアップで老後を破綻させてしまう人も出てくるかもしれな
 い。特に、長期間の病気療養生活を強いられるようになったときには、家計を圧迫する
 のは避けられない。

もっとも悲惨な「老後破綻」を防ぐためには
・ハイパーインフレでなくとも、高いレベルのインフレは、国民の生活を確実に貧しくさ
 せる。可処分所得が減少して、食べるのにやっとの状態になりかねない。
・現在の日本の公的年金は、一部に「物価スライド制」が採用されているものの、マクロ
 経済の変化を導入した「マクロ経済スライド」が導入されているために、高齢者の数が
 増えていく状況では年金の給付額は増えていかない。実質的に年金では食べていけない
 お年寄りが、凄まじい勢いて増えていくことになる。
・金利が高くなれば、国債の管理コストが上昇するために、政府が実施してきた行政サー
 ビスも滞ることになる。今回の東日本大震災で、国家公務員の給与を10%削減する方
 針が民主党政権から出されているが、政府だけではなく年金受給なども、給付金額の削
 減や給付開始年月の引き上げなど、様々な負担を強いられる可能性がある。
・日本経済そのものも活力を失い、東京電力福島第一原発の後遺症で、東京名物といえば
 「突然の停電」という事態になっているかもしれない。
・消費税率は20から30%に達して、それでも財政赤字は減っていかない。利払いと原
 本償還だけで手いっぱいで、経済成長など望めるすべもない。そんな恐ろしい近未来が、
 意外と簡単に想像できてしまう。
・現在の日本の銀行は非常に大きなリスクを背負っている。日本国債という「爆弾」を、
 どの銀行もたっぷりと抱えてしまっている。そんなリスキーな銀行に自分の財産をそっ
 くり預けてしまうという危険性を、日本国民はまだ気がついてないのだ。
・もしもハイパーインフレのような事態が起きたときには、間違いなく経済がパニックと
 なって、凄まじい変化が起こる。東日本大震災でもわかったことだが、高度に発達した
 現代社会というのは、意外と脆い部分を数多く持っている。
・日本国債暴落のような経済危機だけが老後破綻の原因になるわけではない。経済危機が
 くる以前に年金制度の崩壊、大増税や医療費の負担増といった変化で、家計が成り立た
 なくなってしまう高齢者世帯もあるはずだ。ただし、経済危機はそれこそ全員が巻き込
 まれる。
・では、経済危機がくるまでにしておきたい準備というものを考えてみよう。結論からい
 えば、老後の生活基盤が根底から覆される可能性があるのだから、崩壊する可能性のあ
 る生活基盤を増やす方法がある。たとえば、公的年金だけで暮らしている人、あるいは
 これから公的年金だけで暮らしていこうという人は、経済危機がくる前に公的年金以外
 の生活基盤、要するに公的年金だけに特定される収入源を、できるだけ増やす努力をす
 ることだ。
・日本の公的年金制度には「マクロ経済スライド」方式で、年金受給者人口の増加などマ
 クロ経済全体の動きを考慮に入れた制度が導入されており、物価上昇が反映されない可
 能性が高い。瞬間的に物価が上昇しても、すぎに年金給付金がアップされるとはとても
 考えられない。年金生活者にとっての最大のリスクは、インフレだから、日本がインフ
 レになればなるだけ、年金受給者の生活が苦しくなるわけだ。
・この失われた20年というのは年金受給者にとってはひたすらデフレの連続で、理想的
 な経済環境にあったといっていい。年金給付額そのものが多少は減少したものの、デフ
 レによって貨幣価値は年々上昇し、同じ1万円でも以前に比べれば、現在は使い出が
 る。
・これまでの年金受給者は、ある程度の年金をもらっていれば、それ相応な暮らしができ
 た。ただ、残念なのは豊かな暮らしを謳歌せずに、将来の不安に備えてひたすら銀行へ
 預金をおこなった人が圧倒的に多かったことだ。もっとも、そのおかげで銀行にはたっ
 ぷりと資金が集まり、銀行はそのお金で日本国債を購入して、日本政府は超低金利で資
 金調達ができる状況を続けることができた。
・年金だけに頼る老後は、今後の経済情勢を考えるとやや厳しいだろう。また、その補完
 機能として、退職金などの貯蓄に頼る生活も同様だ。要するに、貨幣価値が下落してし
 まうような状況に対応しなければならないということだ。
・何らかの形で貨幣価値の変化に対応できる方法を見つけておく必要がある。たとえば、
 店舗を運営して日銭を稼いだり、駐車場や不動産の賃貸収入といったインカムゲインが
 入るような経営ビジネスや賃貸ビジネスがいいかもしれない。リスクは当然あるが、銀
 行に預けておいて、インフレで無価値になってしまうよるはまし、という考え方もでき
 る。
・将来が心配だからといって、コツコツと爪に火をともすような慎ましい生活を送ってい
 ても、日本国債が暴落して、凄まじい経済危機が起こってしまえば、そんな努力も水の
 泡だ。それよりも大切なことは、それまでに年金収入を喪失した場合の収入源をそれま
 でに確保しておくことだ。老後破綻のリスクを最小限に抑えるには、その方法しかない。
・たとえば、年金収入を補完する「第の年金」作りという方法がある。一番手っ取り早い
 のは、年金収入以外の「定期的な収入」の道を確保する方法。退職金や預金を元手に資
 産運用で増やすという方法もある。ただし、こちらは市場の変動などで不透明極まりな
 い。10〜15年先の貨幣価値がどうなっているのか、皆目見当もつかない状況の中で、
 資産運用だけで老後を支えるのは相当ハードだと思ったほうがいい。
・確かに、年金生活に入っている人がもう一度働き始めるなんていうことはなかなかでき
 ないかもしれないが、たとえ海外で暮らす方法を模索してみるというのもひとつの方法
 だ。
・世界には、日本よりもずっと財政赤字が少ない国は数多くあるし、原発事故が起こって
 も国民に本当のことをきちんと伝えてくれる国はいくらでもある。現在の資産を、ある
 程度外貨に換えて、その外貨を使って海外で暮らす。海外にも拠点を作っておけば、日
 本が大パニックになったときに緊急避難ができる、ということだ。
・日本の銀行は現在、極めてリスキーな経営を余儀なくされている。日本国債への投資に
 偏った経営を続けているため、これでは万が一、日本国債が暴落するような事態になっ
 たときに、日本の銀行はシステミクリスクを起こして連鎖破綻をしてしまう。仮に、日
 本の銀行が連鎖破綻した場合は、預金保険機構などが機能するのか不透明だ。
・金利の上昇などで株価が下落し、輸出企業は空前の好決算となるかもしれないが、総じ
 て景気低迷となる可能性が高い。
・財政赤字の増大→消費税などの増税→社会保障費の負担増→国民生活の可処分所得の低
 下→個人消費による景気低迷→国の税収のさらなる落ち込み→国債発行高の増加→国際
 市場の過剰流動性→国際価格の暴落→長期金利の上昇→日本政府が長期金利に耐えられ
 ずデフォルト→超円安の進行→超インフレの到来→国民生活の破綻
・瞬間的な超円安は、食料品などを一斉に高騰させ、国民経済を破綻させる。

老後難民にならないための「7つの処方箋」
・円預金は極力減らして分散投資を心掛ける。
・外貨建て資産を徐々に増やしていく投資方法をとる。
・外貨預金をどこで作るかが大きな意味を持ってくる。もし、日本国内の金融機関で外貨
 預金を作った場合、その金融機関が破綻しても外貨預金は「預金保険」の対象外になる。
 円預金のように1000万円までの元本とその利息が預金保険では保護されない。
・外貨預金をしたかったら、海外の銀行に講座を開設して、そこで外貨預金をすべきだろ
 う。ただし、日本国内の金融機関でも、安心して預けることができる外貨建ての商品が
 ある。証券会社などが取り扱っている「外貨建てMMF」だ。元本確定というわけでは
 ないが、過去、名国のエンロン事件などで元本割れを起こしたことはあるが、実質的に
 は安全な金融商品といえる。この外貨建てMMFなら、投資信託と同じで顧客の資産は
 信託銀行に管理運営されるために、たとえその証券会社が経営破綻しても守られる。
・投資信託はMMFに限らずあらゆる商品が、その販売会社や運用会社とは別勘定で信託
 銀行が管理・保管しているために安全だ。円安の進行に強い投資信託などに投資してお
 くことは「あり」なのかもしれない。ただし、ひとつだけ注意が必要なのは、金融機関
 によっては引き出すときに、外貨ではなく日本円での引き出しに限定される場合が少な
 くない。
・最近は一般的な金融商品になった「ETF」などを活用する人が増えているが、これも
 お勧めといっていいだろう。ETFというのは簡単にいえば「株式と同様に証券取引所
 に上場されている投資信託のこと」で、外貨建てのETFを購入することで外貨建て資
 産にシフトできる。ちなみに、東京証券取引所や大阪証券取引所に上場されているET
 Fよりは、海外の証券取引所で売買されているETFを考慮したほうがいいかもしれな
 い。日本国債の暴落で大混乱になったときに、こうした証券取引所も大きな影響を受け
 るからだ。
・現在の金価格は、米ドルの価格が下落すると金や原油価格が上昇し、逆に金や原油価格
 が上昇すると米ドルが下落するという特性を持っている。つまり、基準通貨(=米ドル)
 の価格が下落して行くときには、金価格が上昇していくという特性をもっているわけだ。
 一方、金の国内価格、円建ての金価格の推移は、明らかに為替レートに反映される
・日本の場合、金価格が、為替レートに大きく左右されるためだが、言い換えれば日本国
 債の暴落によって、円が売られて超円安が進むとすれば、金ほど超円安のリスクを回避
 できる金融商品はないといえる。
・日本国債の暴落に対して、金投資がどの程度有効なのかは明らかだ。国債の暴落から円
 の信認が落ちて、通貨円も暴落。当然、世界経済全体に影響が及び、リスクマネーが一
 斉に動き始める。そして、金価格も暴落。そのタイミングを逃さず金の安値を拾って金
 投資で超円安のリスクを回避するという方法をとることができる。
・つまり、金は平時にコツコツと買っていくというリスク回避の方法もあるが、国債の暴
 落などで経済危機が起きたり、リスクマネーが一斉に質への逃避を始めたとき、暴落し
 た金を購入するという方法だ。
・金価格はリスクマネーが質への逃避をやめれば、また上昇していく。だが、日本国債は
 政府のデフォルトなどで起こるものだから、そう簡単には回復しない。むしろ、円安は
 長期にわたってずるずると進行するだろう。まさに、先人が唱えるように「有事の金
 買い」を、日本国債暴落のときこそ行うのがいいのではないか。
・老後になってから、あるいはまもなく老後を迎えるという人にお勧めはしないが、金の
 積立いわゆる「純金積立」という資産形成手段もある。なぜお勧めしないかというと、
 すでに十分に金価格は上昇しており、何らかのイベント(経済的な大きな変化)があれ
 ば、金価格が暴落する可能性もある。金を購入するのであれば、暴落したときに購入す
 ればいいだけのことだ。
・もうひとつは超円安が始まったと思ったら、瞬間的に円を金に換えることだ。そのため
 には、いつでも好きな時に、大量の金が購入できる口座を持っておくことが大切だ。も
 っとも堅実な方法としては純金積立の口座を使って行う金投資である。例えば、田中金
 属工業の純金積立を利用する方法だ。
・今後起こるかもしれない経済危機は、これまでの経済危機とは根本的に異なる可能性が
 ある。その理由は、日本国債の過剰流動性、すなわち国債バブルが崩壊したことで起こ
 る経済危機、リスクマネーが大きく関わり、そのリスクマネーの演出によって、国債バ
 ブルは瞬時に膨れ上がり、凄まじい勢いて起こるかもしれないからだ。太平洋戦争直後
 の経済危機を除けば、戦後最大級の経済危機が起こっても不思議ではない。今回想定さ
 れる経済危機の最大のリスクが、円の価格が暴落して、輸入物価が高騰。食料品やエネ
 ルギーといった日本人の生活を支えているものが、常識を超える価格になってしまう。
 そんな想定外のことが起こる可能性がある。そうした状況に対応するもっとも有効な方
 法は何か。時間とコストはかかるが、可能であれば不動産に投資しておくという方法も
 ある。

今できること、今しなければいけないこと
・新しいことにチャレンジすれば、きちんと見返りがあるということを日本人は忘れてし
 まったかもしれない。もっとも、江戸時代という封建社会を自力で開放できなかった日
 本は、内側から変革するのは難しいのかもしれない。そういう意味では、このまま場当
 たり的な対応に終始して、IMFが乗り込んできて、構造改革を実行する、というシナ
 リオが現実味を帯びてくるかもしれない。
・デフレそのものには大きな影響はない。収入が一定で、物価が安くければ、生活は豊か
 になる。むしろ、心配するのは「インフレ」だ。今後を考えるときに、まずインフレに
 対応できるプランを考えるべきだ。
・もっともまずいには、景気低迷時代にインフレが起きる「スタグフレーション」の現象
 だ。収入が増えない中で、インフレになるわけだから、ますます可処分所得が減ってい
 く。
・老後破綻しそうな世代の人の場合、とりあえずできそうなのが、少しでも自給自足の体
 制を整える方法だ。完全な自給自足は無理としても、ある程度の食料は自分で作る。過
 疎地では農地はいくらでも余っているから、地方自治体などが行なっている貸し農園を
 借りて、野菜や根菜類、穀物を作って自給自足を目指す方法がいいかもしれない。
・4〜5年間の生活費を確保しておけば、インフレによる被害を最小限に抑えられるので
 はないか。国債が暴落あるいは超円安になれば、IMFなどの支援によって、貨幣価値
 は大きく変わるかもしれないが、日本の公的年金制度そのものは継続される可能性は高
 い。つまり、4〜5年の間、生活費を引き出すことができる金融商品を保有し、それを
 現金化できる金融機関を確保しておけば、ひとまず安心と言えるだろう。その金融機関
 が海外口座であれば、よりよい。金融商品も円建てではなく、外貨建てであることが望
 ましい。
・マレーシアの人気が高い理由は、「レンタルアパート」と呼ばれる住環境が整っている
 のも理由のひとつ。3ベットルームで月額4万から6万円程度の格安家賃で、プール、
 スポーツジム付きのコンドミニアムでの暮らしを楽しむことができる。
・どうしても日本の銀行に預けておきたいというのであれば、決算書などを見て、どの程
 度国債に投資しているのか。自己勘定部門の明細などもチェックして、国債に偏った投
 資をしていない銀行を選ぼう。
・そういう意味では、国債には投資していないような銀行もいいかもしれない。例えば、
 セブン銀行のようにATM決済に特化した銀行などは、安心できそうだ。あるいは、ソ
 ニー銀行のように外国為替の商品ラインアップを充実させている銀行なども、いざとい
 うときのフットワークがいいかもしれない。
・注意したいのが、ただやみくもに資産を外貨にシフトすればいいというものではないと
 いうことだ。問題はタイミングだ。インフレになる兆しが起こったときに、とっさに対
 応できる投資ツールを駆使するスタンスが必要なのだ。それまでに我々ができることは
 せいぜい田舎暮らしか、海外での生活基盤を整える程度だと考えればいい。
・誤解して欲しくないのは、日本の場合、景気がよくなる、上向くことは必ずしもいいこ
 とではないということだ。景気がよくなれば、当然経済活動が活発になって、物価が上
 昇していく。物価が上昇すると、インフレの心配が出てくるために、日本銀行は金利を
 上昇させなければならない。ところが、金利の上昇は、日本国債の利払いが増えること
 を意味しており、より財政が悪化すると見られる。
・景気が上向けば税収も増えるとよく言われるが、タイムラグもあるし、日本政府の財政
 危機が一気に浮上してくる可能性もある。943兆円の財政赤字の1%といえば9兆4
 300億円、3%上昇しただけで28兆2900億円にも跳ね上がる。税収が50兆円
 に満たない日本政府はたちまち行き詰ってしまう。
・日本経済に回復の兆しが見たとき、実はこれが一番リスクマネーに狙われやすいタイミ
 ングなのかもしれない。
・日本の貿易黒字の本質は、製造業にあるというのは錯覚で、実は「債券」による配当や
 償還金の収益が大きいといわれる。日本は、ずっと超低金利を実施し、莫大な国債を発
 行して、その資金が循環することによって、企業も、そして個人も外貨建て債券や投資
 信託などに投資してきた。そこから発生する金利や償還金などが、毎年莫大な金額とな
 って入ってくる。それが国内に入ったときには、外貨を売って円を買うために円高にな
 っていく。つまり、日本人の豊かさを支えているのは、金貸し=債券投資なのだ。
・高い技術力がなんとなく未来永劫、日本の経常黒字を維持し続けてくれそうなイメージ
 だが、債権国・日本の立場は意外と脆い。とりわけ、日本経済がおかしくなったら、海
 外にある日本の資産は一斉に引き揚げられて、超円高になり、日本を代表する国債輸出
 企業などは致命的な打撃を受けてしまうだろう。
・現在の日本の繁栄は、製造業による技術の優位性というよりも、債権国という「ペーパ
 ー(債券)上の繁栄」といっていい。そのような日本の豊かさは、今後は長続きしない
 ということだ。こんなときには、混乱する日本国内にとどまるよりも、海外にロングス
 テイするほうがいい。移住ではなく、なぜロングステイかというと、海外移住はビザの
 取得手続きの面で大変だからだ。あくまでも海外は一時避難の場所と考えればいい。日
 本はいずれ復活するし、おそらくIMFの介入により構造改革を半強制的に行うことで、
 ふたたび活気を取り戻すはずだ。
・ほんとうに日本経済が破綻したら、最終的には「金」や「外貨」しか役に立たないはず
 だ。過去の歴史から学べば、ハイパーインフレや凄まじい経済危機の状態においては、
 自国の通貨は役に立たない。何かを売買するには、物々交換になったり、金のコイン外
 貨で決済することになる。
・そのときに備えて、純金の、それも個口の単位のコインをある程度揃えておいたほうが
 いいかもしれない。経済危機が起きてから、金を現物に変えようと思ってもなかなかで
 きないだろう。普段、日常的にできることが、いざというときにはできなくなってしま
 う。それが経済危機というものだ。
・大切なことは、我慢せずに生き残るためには手段を選ばないことだ。働けなくなるまで
 何らかの形で財産を作っておくことも必要だが、ここはどんどん財産を処分して生き残
 ることだ。そして、子どもや孫、次の世代を担う人たちを助けること。そのためにも資
 産を思い切って使うこともときには必要だ。

あとがき
・現在の高齢者は例外もあるが、その多くは裕福である。日本の高齢者は1世帯あたり平
 均で2000万円の現金を起こしてこの世を去る、ともいわれている。
・老妓破綻リスクは、社会全体のメカニズムにとっても極めて重大な影響を与える。年金
 暮らしをしている親がいるような人はなおさらだ。無一文になった親の面倒を見なけれ
 ばならなくなる子供の急増が社会現象になる日も近いかもしれない。
・日本の高齢者は、1450兆円の金融資産を保有しているといわれるが、それも政府機
 能が磐石であればこそのものだ。政府が不安定になれば、日本円の価値も不安定なもの
 になる。1450兆円が幻のように消えてしまう可能性もあるのだ。
・日本は貿易黒字があるから大丈夫という人もいるが、貿易黒字を稼ぐためには海外で稼
 ぎ続けなければならないわけで、そのためにはせっかく稼いだお金を、海外に持って行
 って投資をしなければならない。そして、海外で稼いだお金はなかなか日本に持ち帰る
 ことができない。近年、日本の外貨準備高や個人の金融資産が増えていかないのもその
 せいだ。