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筆者はアメリカの投資家である。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世
界三大投資家」と称されている伝説の人物だ。10年たらずで4200%のリターンを叩
き出したとも言われており、資産総額は2018年時点で約3億4000ドル(約387
億円)とも言われている。そのために、筆者の発する言葉は、多くの人々から注目されて
いる。
そんな筆者であるが、日本の安倍政権については、とても批判的だ。アベノミクスに対し
ては、当初から痛烈に批判している。2013には、「安倍は日本を破滅させ始めた」と
述べており、安倍は政治的災害であり、日本は投資には不適格な国だと述べている。この
本は、そんな日本に対する警告の書である。
本書では、少子化による人口減少の問題を抱えた日本は、その問題を解決するためには移
民を受け入れる以外にないというのが筆者の主張である。しかし、はたしてそれが本当の
解決策になるのだろうか。確かに移民を受け入れれば、一時的には労働力も増え国内需要
も増えて国内GDPの下落は止められるかもしれない。しかしそれはプラスの面ばかりを
見ているのではないだろうか。受け入れた移民の人たちがまだ若いうちはいいが、やがて
年老いていけば、社会保障費というコストがどんどん増えることになる。永遠に移民の数
を増やし続けることができれば別だが、小さな島国の日本ではいずれ移民の受入数には限
界がくる。そうなれば、やはりまた、現在と同じような逆ピラミッド型の年齢構成になっ
てしまうのではないだろうか。移民受け入れ策は、単に一時的な問題の先送りにすぎない
ような気がしてならないが、どうなのだろうか。
それに移民を受け入れたことによる、もともとの国民と移民者との軋轢による社会の不安
定化という深刻な問題を抱えることになる。特に島国で歴史的に見ても外国人との接触が
少なかった日本人にとって、これは簡単には解決できないより深刻な問題になっていくの
ではないだろうか。移民を多く受け入れた欧米の状況を見ると、果たして大規模な移民受
け入れが、少子化対策の解決策になるのか、疑問だと言わざるを得ない。

「安倍首相は数々の間違った政策を実行している」という主張は、私もまったくその通り
だと賛同する。アベノミクスで日本の経済は良くなったと安倍政権やその支持者たちは主
張しているが、アベノミクスの効果は株価を上げただけだというのが、明らかとなってき
ている。その恩恵を受けたのは、一部の投資家と大企業だけだ。その投資家にしても大半
は海外の投資家で国内の投資家は少ない。アベノミクスは、海外の投資家に儲けさせたた
けなのだ。
アベノミクスのために、この国はさらなる大きな借金を抱えることになってしまっている。
すでに天文学的な数字の借金を抱えているこの国で、経済対策と称するお金のバラまき政
策や、さらに防衛費を増やすという政策は、もはや常軌を逸しているとしかいいようがな
い。
単にお金をバラまいたり防衛費をいくら増やしても、この国の将来のためには何の役にも
立たない。もはやこの国の行く末は、どうなってもいいと、開き直っているとしか思えな
い。とくに最近「桜を見る会」の問題で露わになった、この政権の実体を目にすると、ま
さに日本は破滅の道をまっしぐらに突き進んでいるような気がしてならない。

21世紀における覇権国は中国だ、というのが筆者の考えのようだ。確かに、近年におけ
る中国の発展はすさまじいものがある。科学技術の開発への力の入れようも、おそらくい
まや世界一なのではないか。アメリカを追い抜くのも時間の問題のようだ。中国の14億
人という人口は、他国に比べて圧倒的だ。国土も広い。それに、中国は共産主義の国のイ
メージが強いが、共産主義国となっていたのは、ほんの30年程度だ。それ以前は、ずっ
と資本主義思想を持った国だった。そのため、中国人は基本的に商売が上手だ。ひとたび、
歯車が良い方向に回り始めたら、圧倒的な力となる。中国は、近いうちに自己崩壊すると
いうような説を唱える人々もいるが、果たしてほんとうだろうか。今の中国を見る限り、
やはり21世紀の覇権国はアメリカではなく中国のようが気がする。日本はやがて中国に
侵略されるのではないかとおそれる人々もいるが、歴史的の見ると、中国が理由もなく他
国を侵略したケースは少ない。それほど好戦的な国とはいえない。今問題になっている香
港や台湾、それに尖閣諸島、南沙諸島などは、かつて中国の領土だった地域を取り戻した
いという思惑があるからなのだろう。
未だに中国より日本のほうが上だと思いたい人々もいるようだが、日本が世界第二の経済
国だと言われたのは、歴史的に見てほんの一瞬だ。今や中国は日本を抜き去り、はるか彼
方を行っている。日本はすでに二流国、いや三流国になり果てている。能天気な政治家た
ちばかりで少子化にも歯止めをかけられずに人口減少が続く日本は、このままいけば、い
ずれ世界から消滅してしまう国になってしまうかもしれない。将来、この島国に住んでい
るのは、日本人ではなく、中国人になっているかもしれない。日本こそ、自己消滅してし
まう国なのだ。
また筆者は、将来的には韓国が日本を追い抜くだろうと見ている。それには条件があると
いう。南北統一の実現だ。北朝鮮には豊富な地下資源があり、少子化問題もないので労働
力が豊富だという。それが韓国とひとつになることにより、一気に追い風となるという。
今の韓国の文在寅大統領が北朝鮮に対して一所懸命にラブコールを送るのも、そのあたり
に理由があるからなのだろう。いますぐに南北統一が実現するとは思えないが、いずれ将
来的には南北統一が実現されるだろう。そうなると日本は完全に新しい朝鮮半島の統一国
家の後塵を拝する国になるだろう。

「お金は貯めるものであり、使うものではない」という筆者の考えは、やはり我々一般人
とはちょっと違う価値観を持っていることがうかがえる。こういう価値観を持っている人
でないと、世界の大金持ちにはなれないのだろう。ただ、筆者は大金持ちになるために、
お金が欲しかったわけではないという。”自由”が欲しいからお金が欲しかったという。
この考え方はなんとなく私にも理解できる。多くの人たちは、知らず知らずのうちに、お
金に自分の自由が縛られている。多くの勤め人は、欲しいものを手に入れるお金を稼ぐた
めに、企業に自分の自由を切り売りして収入を得ている。つまり欲しいものを買うために、
お金に縛られているのだ。特に、マイホームなどローンを組んで欲しいものを手に入れた
場合には、ローンを完済するまでは、ずっとそのローン返済に縛り続けられる。まさに、
お金によって自分の自由が縛られていると言えるだろう。しかし、多くの人は、そのこと
に気づかないように見える。
それにしても、これほどの大金持ちが、最近まで自家用車も持たず、自分の子どもたちの
学校の送り迎えにも自転車を使ってきたという事実は、驚愕に値する。筆者は、モノへの
執着心がほとんどない人なのかもしれない。それと同時に、お金のほんとうの価値を知っ
ているからなのかもしれない。ムダなお金の使い方は、徹底してしないということなのだ
ろう。この価値観は、我々凡人も少し見習うべき点ではないだろうか。貧乏人ほど金を使
いたがるとは、よく言ったものだ。

まえがき
・「昔はよかった」と変化を嘆くことは、押し戻すことができない勢いの濁流に逆らうよ
 うなものだ。少しの間は抵抗することができても、すぐに力尽きてしまう。変化を受け
 入れ適応する者は、この世界で成功を収め、幸福に生きることができる。逆に変化を嫌
 う人はたいてい成功できず、めったに幸福感を抱かない。これが真理だ。変化は起きる
 ものと理解することが、成功を得る最初の条件である。、
・今起きていることも、これから起きてくることも、歴史を紐解けば見えてくる。この認
 識も重要だ。
・かつて世界を驚かすほどの経済成長を遂げた日本も、今は衰退の一途をたどっている。
 解決することのできない少子化や財政赤字といった根本的問題をこのまま放置していて
 は、行き着く末は破滅にほかならない。
・どのような仕事に就いていようと、世界を自らの目で見ることは人生の成功に不可欠だ。
 国内だけでものを見ていたら、自国のことは半分しかわからない。世界を見て初めて自
 国のことがすべてわかり、世界の中の自分の立ち位置を知ることができる。変わりゆく
 世界の中で、自分の強みや弱み、興味、関心がわかると、成功はより確かなものになっ
 ていくだろう。

日本人が見て見ぬ振りをする、破滅的な未来
・私は、10年以上前から日本社会が抱えている問題を指摘してきた。少子高齢化や多額
 の財政赤字に伴う恐るべき長期債務残高など、今では多くの日本人が認識している問題
 について。
・しかし、私の目から見ると、日本人は問題を認識しながらも、本気で解決しようとして
 こなかったように見える。それはおそらく、彼らが、またも「日本は大丈夫」と根拠の
 ない思い込みを持っていたからではないだろうか。2010年にギリシャが財政破綻を
 起こし、大混乱が起きたことをほとんどの日本人は知っている。それでも彼らは「日本
 とギリシャは違う」と考え、昨日と同じ生活を繰り返してきた。
・破綻というものは、ゆっくりゆっくりと訪れるものだ。2008年のリーマン・ショッ
 クのときもそうだった。リーマン・ブラザーズは160年近く存続し、誰もが今後も存
 続するものと思っていた。しかし、突然リーマン・ブラザーズはなくなってしまった。
 日本にも破綻の日は刻一刻と近づいている。このまま日本人が手をこまねいて何も対策
 を打たなければ、50年もすれば日本は考えられないほど衰退していることだろう。日
 本から豊かさが失われるとしたら、これほど残念なことはない。 
・問題を解決できなければ、数世紀後には日本語を話す人は世界から消えているかもしれ
 ない。日本人の血を引く人が残ったとしても、きっと彼らは中国語を使っているだろう。
 覇権国家は、近隣諸国を直接的に、あるいは間接的に支配するものだ。
・日本の問題は言うまでもなく人口構成に端を発する。出生率が世界で最も低い国の一つ
 であり、国民年齢の中央値が世界で最も高い国の一つである。人口動態からすれば、
 21世紀の終わりを待たずして日本の人口が半分になるのは明らかだ。
・日本は長年にわたって巨額の財政赤字を抱えている。その一方で税金や社会保障費を負
 担する人の数は減少し続けているのだ。財政赤字が減るどころか増え続ける一方の日本
 において、人口減少は致命的なリスクとなっている。  
・子を生まず、移民を受け入れることも嫌なのであれば、生活水準の低下を受け入れるし
 かない。それもひとつの方法だろう。ところが、高度経済成長時代の成功体験を持つ日
 本人は、現状を維持したいと思っている。
・現状を放置した結果、いずれ間違いなく起きる現実を日本人は直視していない。日本人
 の子どもたち、つまり将来世代の破滅という現実を。日本の子どもたちには、気の毒に
 も大人たちのツケを払わされる未来が待っている。私が日本に住む10歳の子どもであ
 れば、一刻も早く日本を飛び出すことを考えるだろう。中国や韓国に移住したほうが、
 よほど豊かに生活できるのだから。
・日本人が経済成長する、もしくは少なくとも現状の生活水準を維持したいと望むのであ
 れば、今すぐ人口を増やすべきだ・。
・1955年以来、ほぼずっと与党であり続けてきた自由民主党の政治家は、無駄な公共
 事業を続けて財政赤字を膨らませてきた。こうした公共事業は、地元有権者と地方の政
 治家のご機嫌をとる以外、何ら経済的意味のないものでもあるにもかかわらず、この悪
 しき伝統が日本の状態を悪化させてきたことは間違いない。
・このままいけば、今10歳の日本人が40歳になる頃には、日本の借金は目も当てられ
 ない状態になっている。今でこそ日本政府は日本人に好きなだけ国債を売ることができ
 るし、買ってくれる外国人もいることだろう。しかし、やがて日本の財政破綻がより人
 々の目に明らかになり国債が買われなくなれば、日本政府は金利を引き上げざるを得な
 くなる。そのとき、日本は高金利によってさらに膨らんだ借金と向きあわなければなら
 ない。
・日本政府は年金を継続するともりだと言っているが、いずれどこかの段階で受給額を大
 幅に減らさざるを得ない事態になるだろう。私なら、日本の年金にお金を払うぐらいな
 ら、中国やロシア、あるいは韓国に投資をする。日本人の子どもは、日本を去るべきだ。
・問題は、日本政府が政権を維持する目的のために、破産しそうな企業を助け、国民の失
 敗の尻拭いをし続けている点にもあるだろう。日本は失われた20年と呼ばれている間
 に、失敗を克服するどころか強化してきたのだ。これが日本の終わりの始まりだ。資本
 主義の優れた点である、現場の成長の芽を育てる方向と逆に走り、こともあろうに古い
 人たちを守ろうとした結果、今の惨状があると私は見ている。
・日本において、新しい人や企業が新たな芽を出し成長することは大変だ。なぜなら政府
 が支える古い人間たちと競争をしなくてはならないのだから。とりわけ外国人が日本で
 企業を成功させることは相当に大変な状況だったし、アメリカや中国のように優れたベ
 ンチャーが育つこともなかった。
・破産を免れた古い人間たちは、既得権益を守るために自民党を支持し続ける。そして自
 民党は新しい活力ある若者や外国人よりも、古い人間を守ろうとする。この状況が続け
 ば、いずれ日本全体が衰退し、誰もが貧しくなっていくことだろう。
・安倍政権は日本円の価値を下げようとしている。アベノミクスによる金融緩和は恐るべ
 き規模で実行され、日銀は日本の国債を買おうという前代未聞の金融政策をとっている。
 これは、言い換えれば紙幣を無制限に刷っていることに等しい。
・今から30年前、日本といえば高潔な魂、そして健全な財政によって世界に知られてい
 た。中央銀行が自らお金を刷って日本円をダメにしようとするなどとは、誰一人として
 考えることもできなかっただろう。
・日本人は気に入らないかもしれないが、20年後には円の価値は今より大幅に下がって
 いるはずだ。米ドルのみならず、韓国ウォンに対しても相対的に価値を落としているこ
 とだろう。
・今の日本政府と日銀は、かつての日本人とは違い、ビジネスにより外貨を稼ごうとする
 よりも、紙幣を刷り続けて日本を救済しようとしている。これはとんでもない間違いだ。
 このような指摘をすると、「アベノミクスによって日本の景気は上向いている」という
 反論が出てくる。たしかに、アベノミクスが始まって以来、日本株は上がっている。私
 が日本株に投資をしたのも、アベノミクスによる株価上昇を予測していたからだ。日銀
 が紙幣を刷りまくり、そのお金で日本株や日本国債を買いまくれば、株価は必ず上がる。
 これは算数ができればわかる話しだ。
・しかし、日本株の株価が高くなったからといって、日本に暮らす多くの人々の生活が豊
 かになるわけではない。株価の上昇と引き換えに、日本円の価値は下がっていくのだか
 ら、いずれ物価は上がり、高齢者や若者はむしろ深刻な苦しみを味わうことにもなりか
 ねないのだ。
・政府がお金の印刷機を回すとき、お金が最初に向かう先は株式市場である。これは歴史
 が証明している事実だ。ほぼあらゆる投資家たちが、その真理に忠実に行動し、日本の
 株価は上がった。さらにNISA(小学投資非課税制度)などの税制優遇措置が始まっ
 たことも、株価の上昇をもたらす要因となった。
・中国株と違い、日本株への投資はあくまでも短期から中期で考えていた。日本株は私が
 10年以上の長期にわたってお金を投資しておきたいところではない。理由は、少子化
 と国の長期債務といった問題を抱える日本は、長期的には衰退の道を辿ると予想してい
 るからだ。
・日本株をすべて手放したのは、2018年秋のことだった。予想どおり私が日本株を買
 った当時よりも株価は値上がりし、利益を得ることができた。そして今は株であれ通貨
 であれ、日本に関連する資産は何も持っていないし、この先買う予定もない。日本経済
 を破壊するアベノミクスが続き、人口減少の問題を解決できない限り、この判断を換え
 ることはないだろう。 
・アベノミクスの第一の矢である金融緩和は、日本の株価を押し上げるとともに、通貨の
 価値を円安に誘導した。このことにより日本企業が息を吹き返したように語られている
 が、こうした通貨切下げ策が中長期的に一国の経済を成長させたことは一度としてない。
・実際、円安や株価の上昇によって、日本人の暮らしはよくなっているのだろうか。日本
 が輸入に頼る食品などの価格が上昇したことで、庶民の生活はむしろ苦しくなっている
 のではないか。企業も、建設コストや製造コストが上がったことで苦しんでいる。アベ
 ノミクスの恩恵を受けたのは一部のトレーダーや大企業だけだ。
・アベノミクスの第二の矢、つまり財政出動もひどいものだった。これは私には「日本を
 破壊します」という宣言にしか聞こえなかった。先進国で最悪レベルの財政赤字を抱え、
 国の借金が増え続ける中で、さらに無駄な公共事業に公費やそうというのは正気の沙汰
 とは思えない。
・安倍首相が借金に目をつぶっているのは、最終的には借金を返さなくて名ならない局面
 になったときには、自分はこの世にはいないからなのだろう。自分や、自らの体制を維
 持することが彼の行動原理であり、そのツケを払うのは日本の若者だ。
・現在の日本の立ち位置は、イギリスやポルトガル、スペインといった、”凋落した覇権
 国”と同じである。衰退を始めたイギリスは、それでも帝国主義時代の後ろ盾があり、
 人口も減少していなかったため、衰退のスピードは緩やかなものだった。ところが日本
 は違う。拠り所のない日本には、ヨーロッパのような緩やかな衰退ではなく、より激し
 い変化が待っているのだ。そうした現実が白日の下にさらされるとき、安倍首相や、彼
 の体制を守る人々はこの世にはいない。 
・日本では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向かって景気が上昇する
 と考える人もいる。たしかに、表向きにはオリンピックによる良く面もあるだろう。し
 かし、歴史を見れば、オリンピックが国家にとってお金儲けになった例しがないことが
 わかる。一部の人に短期的な収入をもたらすことはあっても、国全体を救うことにはな
 らず、むしろ弊害をおよぼす。結局のところ、オリンピックのせいで日本の借金はさら
 に膨らむのだ。これは一般の人々にとって悪い結果にしかならない。
・30年後、日本では今より多くの犯罪が起きているだろう。現代の日本人が将来世代に
 わましてきたツケを払う段階になれば、国民全体が不満を覚え社会不安が募るものだ。
 50年後には、日本政府に対する反乱が国内で起きている可能性さえある。社会不安は、
 犯罪や暴動、革命といった形で明らかになる。「日本人は違う」「暴動など起こさない」
 と言いたいかもしれないが、これは歴史上、どこの国でも起きてきた社会現象なのだ。

日本人が今克服すべき課題
・日本政府は、少子化対策として効果がありそうなことは何でもやるべきだ。日本に最も
 必要なのは赤ちゃんなのだから。子育てにインセンティブを与え、仕事と両立できる環
 境を整えるなど、とにかく何でも、だ。  
・異なる肌の色、食べ物、宗教を持つ人を遠ざけ、受け入れることをない日本人・・・。
 このままでは移民を増やすことが日本にとって唯一の救済策だとしても、日本人は自ら
 破滅を受け入れることになる。
・日本のことは日本人が判断すべきだが、歴史上の事実に耳を傾けるならば、豊かになる
 には移民を受け入れるほかない。もう、「日本だけでやっていける」と言える時代は終
 わったのだ。日本の人口が増えていた時代であれば、国内需要だけでビジネスを成功さ
 せることができた。しかし今は違う。
・日本の人口減少については、労働力の減少の側面から問題視されているが、国内需要が
 減るという面も同じくらい大きな問題なのだ。これからは移民を受け入れるとともに、 
 外国人に受け入れられるビジネスをすることも大切なことになってくる。
・日本はすでに、何かを変化させると痛みが生じる段階に来ている。もし移民が日本に増
 えれば、国民から「これでは痛みが大きすぎる。私たちは苦しみたくない」といった意
 見が出ることだろう。そして政治家は辞任を余儀なくされる、というのが私の予想だ。
・移民を増やさなければ日本に将来がないことに薄々気がついている日本人も、「外国人
 は好きではない」「日本に来てほしくない」と言う。そうして状況は変えなくてはなら
 ない。より多くの日本人が外国人に慣れるような環境をつくるべきだ。 
・日本人にとって、移民は新しい投資対象になるだろう。今はまだ年間七万人程度という、
 取るに足らない数だが、政府がいずれ、さらに多くの移民の受け入れを認めることにな
 れば、移民に向けた住宅供給や移民エージェントなどを手がけるビジネスが成長する。
・移民に向けたビジネスとしてまず思い浮かぶのが不動産ビジネスだ。たとえば日本の古
 民家は安いうえ、外国人の目には魅力的な場所に映る。教育ビジネスにもチャンスはあ
 る。日本の学校に外国人留学生が集まるようになれば、その入学準備のための教育が必
 要になる。もうひとつ、見込みがあると考えるのが、外国人向けの飲食ビジネスだ。た
 とえばインドネシア料理やパキスタン料理など、移民をターゲットとして飲食を提供す
 れば、外国人旅行者によるインバウンドのニーズも相まって、大いに成功できる可能性
 がある。このようなことが実現すれば、日本人はより積極的に海外とビジネスをするこ
 とができるようになる。 
・日本に移民が増えると、ビジネスチャンスが生まれ少子化対策にもなる。それでも「移
 民を受け入れると、日本社会は不安定になる」という声は消えることはないだろう。こ
 うした意見は世界中で聞かれる。アメリカもそうだ。実際には外国人の犯罪者よりもア
 メリカ人の犯罪者のほうが多いにもかかわらず、「移民が犯罪を起こす」と人々は言う。
・アメリカに入ってくる外国人の中に犯罪者がいるのも事実だ。しかし人々は外国人が犯
 罪を起こしたときだけ、ことさらに「外国人」であることを強調し、騒ぎ立てる。アメ
 リカ人が犯罪を起こしたときに、「犯人はアメリカ人だ」と騒がれることはないから、
 世間の人々の中で外国人はみな犯罪者だという先入観が育つのだ。
・だが、考えてもみてほしい。自国を出てきている移民は、勇気や能力があり、成功でき
 る自信があるから出てきているのだ。テロリストでもないかぎり、犯罪を起こすために
 わざわざ外国に移住する人間がどれだけいるだろう。
・親戚や友人に囲まれ、母語が通じる居心地のいい自国を離れ、知り合いなど誰もいない、
 言葉も通じないような土地でチャレンジをする・・・。私だったら、そのような勇気が
 ある人にぜひ自分の国に来てほしい。しかも、異なる文化を持って入ってくる移民は、
 時間がかかることもあるが、間違いなくその国に同化するものだ。
・急速に移民を受け入れ、突然ストップをかけたシンガポールは、今後高齢化に向けた道
 を進むだろう。シンガポールの政府は、労働人口が減りゆく中で、増え続ける高齢者に
 たくさんの社会保障費を費やさなければならない。これは日本と同じ大きな問題となる
 はずだ。
・ドイツでも、2015年に中東やアフリカ大陸からの難民に率先して門戸を開いた。以
 降、ドイツが受け入れた移民の数は100万人以上と言われるがこれは国民の約1.2
 パーセントにあたり、他の欧州諸国と比べて飛び抜けて高い。ドイツをはじめ今はEU
 などで移民排斥の動きが起きているが、これはあまりにも早く多くの移民を受け入れす
 ぎたことも原因のひとつだ。突然の変化に、国民はアレルギーを起こす。
・日本が移民を必要としている事実に変りはない。ただし、一挙にあまりに多くの人数を
 受け入れると、もともと外国人に寛容でない日本社会では新たな問題の火種となり得る。
 まずは学校から外国人の受け入れをはじめ、日本人を外国人に慣れさせるとともに、う
 まく数をコントロールしながら、しかし確実に移民を増やし続けていくことが重要だ。
・私が今、投資家として日本人に最高のアドバイスをするとしたら、「子どもや孫には中
 国語を習わせなさい」ということだ。子孫の未来に希望を託すなら、必ず中国語、それ
 もいわゆる標準中国語を学ばせるべきだ。  
・やがてアジアの時代が来ることを考えると、中国語の語学力とアジアでの経験は最上の
 スキルとなる。アジアの時代が来なくても、中国語は世界中で約15億人が使っている
 原語だ。学んでおいて損はない。何かで成功したかったら、滅びゆくものにしがみつい
 てはいけない。これが真理だ。
・もしあなたが滅びゆく言葉、たとえば日本語しか話せなかったとしたら、ビジネスチャ
 ンスを得られないだけでなく、まともな職にさえ就けなくなる。 
・これから数百年後までに確実に残っている言語は、英語、中国語、スペイン語くらいだ
 ろう。英語は国際標準語の地位を保ち続けるだろうし、これから覇権国家になる中国の
 言語を覚える意味は大きい。
・日本語については、いずれ誰も話さなくなることも考えられるため、日本の子供には必
 ず第二言語を学ばせるべきだ。英語でもいいが、もともと日本語は中国由来の漢字文化
 圏に属するのだから、中国語を学ぶことを勧めたい。
・日本人にとって、日本国外に投資することはきわめて重要だ。日本国内にほとんどの資
 金を保有している日本人は、早急に資金を海外に移すことを考えたほうがいいだろう。
 日本で貯めてきた貯金と政府からの年金を老後資金のあてにしている人は、甘いと言わ
 ざるを得ない。日本政府が今後も紙幣を刷り続けるのであれば、日本円の価値は相対的
 に落ちるからだ。年金も、額面として受給できたとしても、その価値は保証されたもの
 ではない。日本人は、財政破綻した旧ソ連による年金が、急速なインフレに伴いほとん
 どの価値を失ったことを思い出すべきだろう。
・もし日本で自宅を購入しているのであれば、売却して海外に移住するか、資金を移すと
 を私は勧めたい。しかし、昔の考え方で凝り固まった日本人には難しいかもしれない。
 日本の一般の人々が危機を感じるのは、まだしばらく時間がかかるだろうから、私の意
 見が極端に思える日本人もいるはずだ。
・まだまだ老後まで何十年も残る日本の若者には、さらに選択肢がある。毎月の給料の一
 部を海外の株式やFET(上場投資信託)などに投資をするという方法も有効だが、で
 きることなら長期間海外に身をおく経験を積んでもらいたい。
・日本の雇用状況については、ときおり日本の知人から教えてもらっているが、問題を感
 じる点が少なくない。例えば、近年は改善されてきているようだが、ゼネラリストが重
 んじられる傾向があり、ひとつの会社に身を置きながら、さまざまなタイプの仕事を経
 験させるという古いやり方だ。こうしたやり方は、終身雇用が前提だったかつての日本
 企業では有効だったかもしれないが、現代にはフィットしない。なぜなら、その仕組み
 上、社内のルールや人間関係に長けた人間ばかりが重用されることになるからだ。
・多くの日本企業では今、実はリストラを免れた側の社員のほうが、リストラを受けた社
 破滅的員よりも大きな不安を抱えているらしい。このまま会社に残っていても、幸福に
 はなれないということが、何となく感じられるのだろうか。 
・仮に定年まで今の会社に勤めることができたとしても、その後の人生もあるのだから、
 選択肢は多く持っておいたほうがいい。定年後に途方に暮れる日本人は少なくない。趣
 味もスキルもなく、友人もいないのであれば、それは無理からぬことだ。
・品質を売りにすれば、何もがうまくいく。これが私の考えだ。かつての日本人はそのと
 おりにした。戦争で被害を受けた日本では、今とは比較にならないほど円安だったこと
 もあり、あらゆるものが非常に安価に生産された。そうした中で高品質な製品を作ろう
 とした当時の日本人はとても賢かった。この伝統は今の日本にも引き継がれている。
・最高品質のものは何でも日本にある。日本のクオリティに対する情熱は間違いなく世界
 一だ。二番目の国が思いつかないほど群を抜いている。日本ほどクオリティに対して
 「抑えがたい欲望」を持っている国は他に思いつかない。この姿勢こそが、日本を偉大
 な国にしたと言える。  
・ところが、最近は、長年大切にしてきた品質を犠牲にしてまで生産性を高めようと主張
 する日本人が増えているという。テレビ産業がサムスンやハイアールに、スマートフォ
 ンがアップルやファーウェイに完敗したことで、日本は従来のやり方に疑問を抱いたか
 らであろうか。そう考えるのも理解できなくはないが、私は品質を下げることは絶対に
 反対だ。品質を犠牲にし、低価格だけを武器にビジネスをした会社が永続したことは、
 歴史的に見て存在しない。そもそも消費者とは、高品質の製品を欲しがるものなのだ。
 家計が苦しいときに低価格の商品に走るおともあるが、あくまで一時しのぎに過ぎない。
 品質を犠牲にして低価格に走れば、最終的には他の商品との区別がつかなくなる。そし
 て価格競争に追いつけなくなった企業から順に消えていくのが世の常だ。
・日本が20世紀に成功した理由のひとつは、島国という地理的条件にある。同質性の高
 い社会で、似通った思考様式が団結力を生み、この国に成功をもたらしたことは間違い
 ない。しかし、そうした強みと表裏一体して、社会が硬直化しやすいという弱点も持っ
 ている。これは先に指摘した外国人に対する差別意識にもつながる問題だ。 
・効率的なビジネスで世界中に知られた国は、1990年当時にして硬直性と過度の規制
 で窒息しかけていた。この国を栄光に導いたあの創造力と革新性は急速に失われ、敗戦
 直後の世代が持っていた活力と精神を失ってしまったのだ。1980年代の日本は違っ
 た。当時の日本人はできるかできないかにかかわらず、何かを頼むと元気よく「はい!」
 と言ってくれたものだ。営業時間が多少過ぎても一所懸命に対応してくれる”ファース
 トクラス”の国だった。
・かつての日本の良さが失われてしまったのは、複数の要因が考えられるが、ひとつは過
 度なマニュアル主義にあるのではないだろうか。日本人が一見外国人に対して不親切に
 思えるのも、マニュアル主義が影響していることは否定できない。
・マニュアルは時として人から判断力を奪う。目の前の客や、自分自身にとって望ましい
 ことでさえ、マニュアルに書かれていなければ、できなくなってしまうのだ。
・無論、日々のオペレーションを効率化するためにマニュアルが役立つことは否定しない
 が、車のハンドルと同じように、何事も”遊び”を持たせなくては円滑に進まないもの
 だ。
・かつて、日本人の家計貯蓄率は10パーセントを超える水準で、世界的に見ても高かっ
 たのだが、バブル崩壊以降、年々落ち込んでいる。ここ10年の中国の家計貯蓄率が、
 30パーセントを超える一方で、日本は5パーセント未満にとどまっている。政府の財
 政状況はさらに悪化しているわけだが、今に、日本政府と同じように日本人も借金に借
 金を重ね続けるようになるかもしれない。 
・もし私が本の首相になり、国のトップとしての責任を果たそうとするなら、何はともあ
 れ支出の削減に取り組む。それも、斧ではなくチェーンソーで大木を切り倒すような気
 持ちで無駄な出資を削るだろう。社会保障費や公務員に人権費など、あらゆるものが削
 減の対象になるが、最初に手を付けるのは防衛費の削減だ。安倍首相は数々の間違った
 政策を実行しているが、防衛費の増加は過ちの最たるものだ。今や、日本は450億ド
 ルを超える防衛費を支出しているが、防衛費をいくら増やしても、日本の将来のために
 は何の役にも立たず、むしろ国民の生活が悪くなるばかりだろう。 
・防衛費の効果はいつだって非常に限られた範囲にとどまる。武器に予算をつかれば、武
 器の製造やメンテナンスに直接関わる人たちは儲けを得られるとしても、それ以外のこ
 とは何も起こらない。やがて武器は老朽化し、無駄金だったということになる。
・すでに問題を抱えている日本において、防衛費をはじめとする支出を削減するおともな
 く、さらに増税を実施するのであれば、日本人は子どもを増やそうという気をますます
 失くしてしまうだろう。これが行き着く先は国の破滅だ。
・世界的に農業従事者の平均年齢は上がる一方だ。日本でも、農業従事者の平均年齢は約   
 66歳と高齢で、一部の地域では農業従事者がいなくなり、空き農地も増えているとい
 う。農家の子どもたちは、東京や大阪に移り住んで別の仕事をしている。これまでのよ
 うに血縁による後継者だけに頼っていれば、日本国内には農業の担い手はいなくなり、
 やがて日本の農業は衰退してしまう。しかし、担い手さえ見つければ、競争がない日本
 の農業には明るい未来が待っている。食料を生産できるというだけで、かなりのお金儲
 けを期待でき、将来は安泰だ。ライバルが少ない今のうちに農業を始めれば、15年後
 には農家として大成功し、「ここで働かせてください」と言ってくる人が次々と現れて
 いることだろう。
・あなたが日本に暮らす10歳の子どもだとしたら、先行きの見えない日本の大企業や公
 務員を目指すのではなく、農業をやることを真剣に考えたほうがいい。成功を求める意
 味でも、安定を求める意味でも、農業は理にかなっているのだから。
・日本政府は、若者や外国人を農業の担い手として受け入れる環境を整えるべきだ。並行
 して農家を保護する政策は廃止すべきと考える。ブラジルやアメリカといった世界の農
 業と伍していくには、低賃金労働をとり入れて価格を下げることが絶対条件だからだ。 
・農業と同様に日本において将来性のある産業が観光だ。日本のツーリズムは今後も好調
 を維持するだろう。歴史的な建造物や古民家、茶道や武士道の文化など、外国人を魅了
 するものが日本にはまだたくさんある。
・中国人にとってアメリカやドイツは遠い。反日意識を持つ中国人も一部存在するが、高
 い飛行機代を使うくらいなら日本に行きたいと考える中国人は少なくない。
・中国の他にも、約9300万人の人口を擁するベトナムや、経済成長を遂げる北朝鮮・
 韓国など、アジアの旅行者にとって日本は魅力的な国であり続けるだろう。
・日本人は、今一度自国の歴史を学び、誇るべき日本文化の価値を認識すべきだ。そのた
 めには、茶道であれ、読書であれ、興味を持ったものを継続的に学ぶことも大切であろ
 う。  
・もっとも、アウトバウンドを日本政府主導で行うことには反対である。日本政府は「ク
 ールジャパン戦略」を掲げ、海外において発信活動をおこなっているが、あまりうまく
 いっていないようだ。数年ごとに担当者が変わる日本の官僚組織に任せると、やがて利
 権化し、お金を使うことが目的化してしまう。これは歴史上、何度もおこなわれてきた
 ことだ。支持率欲しさにいろいろな政策をしようとする年老いた政治家や、予算と天下
 り先欲しさに余計な仕事をつくる官僚は、今後はむしろ何もしないほうがいい。意欲あ
 る若い民間人に任せたほうが、よほど素晴らしい成果を挙げることだろうから。
・私の場合、歴史や哲学を学び、興味を持ち続けたことで、将来どのような変化が起きる
 かを長期的に予測することができる。誰でも、歴史を知れば、すべてのことがかつて起
 きていたという事実がわかるはずだ。歴史はつねに、世界について多くのことを私に教
 えてくれる。
・なぜ歴史は繰り返されるのか?過去も現在も、そして未来も私たち人間はほとんど変わ
 っていないからだ。
・その一方で、物事は変化するということも歴史から学ぶことができる。自分ではどんな
 にわかっているつもりでも、今から15年後にはそれが当てはまらなくなるものだ。
・今私たちが考えていることは、2034年には何もかも違っているはずだ。こうした大
 きな変化を捉えることで、現在何が起きているのか、そしてこれから何が起きるのかを、
 うまく見つけ出せるようになる。
・未来を予測するには、世界を訪れ自ら感じ取ることも大切だ。出会った人々の様子や街
 並みなどが、投資の判断に役立つことも少なからずあった。ただし、ただ単に観光旅行
 をしても役立つヒントは得られない。世界を見る前に、その国の歴史を調べなくてはな
 らない。歴史をしらずに他国に足を踏み入れても、目に入る大半のことを理解できない
 からだ。 
・たとえ短期間の滞在であれ、密度の濃い経験にする方法がないわけではない。そのため
 に必要な要素が、歴史認識だ。歴史を知ると、同じ現象を見ても人とは違ったとらえ方
 をすることができる。
・私がバイクで世界を回った時は、共産主義と資本主義の戦いが終わりを告げた時期だっ
 たが、共産主義の爪痕はまだ世界に色濃く残っていた。共産圏を走っているときに私が
 気づいたのは、国境線についてだった。共産主義者がさまざまな民族を無理やり押し込
 めて引いた、不自然な国境線に思えたのだ。
・不自然で曖昧な国境線は人々に争いをもたらす。これも歴史により学んだことである。
 枠組みを失った国民は、民族や宗教に自らのアイデンティティーを求め、そのため争い
 が起きるのだ。このような争いは、今後も起きると私は見ている。押し付けられたイデ
 オロギーという枠組みがはずれれば、世界はもっと細かく分断され、国境線は複雑にな
 っていくだろう。
・経済のグローバル化が進み、人々はトヨタ車を運転し、中華料理やマクドナルドのハン
 バーガーは世界中で食べられるようになった。世界を旅して感じたのは、こうしたもの
 が一部の人々にとって食傷気味になっている、ということだ。そうした人々は、もっと
 自分たちのわかりやすく、制御しやすいアイデンティティーを求めている。それは言語
 であったり、民族であったりするだろう。ここの争いの火種がある。
・過去の歴史に学び、世界を旅することで変化をとらえる。そのような日本人が増えれば、
 さまざまな問題を抱える日本にとって、大きな希望になるだろう。 

アメリカ、中国、朝鮮半島、これが変化の本質だ
・アメリカではトランプ生還が保護主義を強めているが、愚策でしかない。これはアメリ
 カの先行きをさらに悪化させる要因になるだろう。
・アメリカの鉄鋼業界は、何十年も前から、「外国企業から自分たちを守ってくれ」と政
 府に頼んできた。その要望をアメリカ政府は受け入れてきたため、鉄鋼業界の人びとは、
 リストラをおこなって効率を上げたり、成功している外国企業の手法を学んだりするこ
 ともなく、政府による保護頼みとなってしまったのだ。
・トランプ政権は、悪しき伝統を引き継いだうえに、さらにひどいものにしている。鉄鋼
 業を保護政策により守ったとしても、恩恵を受けることができるのは国内3万人の鉄鋼
 労働者だけだ。アメリカに暮らす3億人以上の人々は、そのために高い鉄鋼製品を買わ
 なくてはならない。
・ファーウェイに対してもトランプは強硬な姿勢を崩さないが、ここから私が読み取った
 のはトランプの焦りだ。中国はアメリカの8倍以上のエンジニアを毎年輩出している。
 このまま市場競争に任せていては、中国に勝てないとトランプは考えているのだろう。
・トランプはこれまで経済や市場の活況を自身の手柄としてきた。そのため、もし自らの
 失策のせいで国内経済が悪化したと認めれば立場を失うことになる。しかし、トランプ
 はそう簡単に自らの非を認める人間ではない。彼は追い込まれた末に仮想敵国を立て、
 経済悪化の責任を負わせるはずだ。最初のターゲットはやはり中国だ。米中貿易戦争は
 ますます本格化し、さらには輸出が盛んな日本や韓国などに対しても強硬が姿勢をとる
 だろう。 
・トランプは今、中国との貿易戦争に勝てば彼の利益になると本気で考えている。これは
 見当違いもいいところだ。トランプは歴史を知らないか、あるいは歴史よりも自分が賢
 いと思っているのだろう。
・大規模な貿易戦争に陥れば、影響は世界中に波及する。世界の人々は将来に不安を感じ、
 消費や投資意欲は減退するため、世界の景気は急速に悪化することだろう。世界各国の
 債務がかつてなく積み上げっている今、政府や企業の信用力が低下してしまえば、返済
 不安から債権が買われなくなり、金利を上げざるを得なくなる。そして、金利が急上昇
 すれば、債務を抱えている国が苦境に陥るのは明らかだ。
・日本は貿易大国である上に公的債務も大きいため、貿易戦争によって受ける被害は甚大
 だ。債務が少なく資源に恵まれたロシアのような国は比較的影響が少ないと考えられる
 が、結局のところ貿易戦争はすべての国や地域にとってマイナスでしかない。
・トランプはずっと、「貿易戦争はいいものだ」と言い続けてきた。偉大なアメリカを取
 り戻すために必要なことだ、と。トランプ政権に今残っている人間は、トランプに同調
 し、貿易戦争にアメリカが買って利益を得ることができると本気で思っている連中ばか
 りだ。彼らが自らの過ちを認めるのは、取り返しがつかなくなった後になるだろう。世
 界最大の対外債務を抱えるアメリカは、経済悪化により国債の債務不履行を引き起こす
 可能性がある。債務不履行の懸念が強まればアメリカ国債の価値は相対的に下がり金利
 は上昇する。この金利を払う余力を持たないアメリカは、さらに紙幣を刷り続けること
 になり、未曽有のインフレに見舞われてしまう。そのときに直面する問題は、2008
 年の金融危機よりさらに深刻であり、過去最悪なものになるはずだ。
・1930年代、アメリカが始めた貿易戦争は経済の崩壊につながり、第二次世界大戦を
 引き起こした。あのときのように、貿易戦争から武力衝突のような事態に陥ることも今
 は否定できない。 
・どんな戦争でも、政治家による「敵を打ち負かす」という言葉を真に受けた国民の熱狂
 から始まる。戦争が始まると、「悪と闘っている」と誰もが陶酔した気分になるが、取
 り返しのつかない破滅が起きた後になって国民は目が覚める。
・戦争は完全にばかげたものだ。戦争は人間の時間の費やし方のなかでも最悪だと私は思
 う。資本を、金銭を、そして生命を破壊するものでしかない。ひとたび戦争が始まれば、
 敗戦国はもちろん、勝利国も多くのものを失うことになる。
・すべての弾丸を撃ち尽くしたアメリカに代わって台頭するのは、やはり中国だ。好むと
 好まざるとにかかわらず、中国が21世紀で最も重要な国になるのは間違いない。
・一般に中国人は共産主義者だと思われているようだが、私の考えは違う。歴史的に見て、
 中国人こそが最も優秀な資本主義者だったのだ。彼らには長い起業家精神の歴史がある。
 そして中国にはその多くの時代に商人階級が存在した。ここがロシアとの大きな違いだ。
 ロシアは資本主義の伝統をほとんど持たないため、いまだ共産主義の制約から脱するこ
 とができていないが、表向きは共産主義を装う中国は、実にうまく資本主義を取り入れ
 ている。
・毛沢東による革命により、中国に厳密な共産主義が敷かれたのはせいぜい30年程度。
 だから今生きている中国人には資本主義の記憶がまだ残っているはずだ。実際、資本主
 義を捨てられなかった中国人が世界中に移り住み、華僑として経済的な成功を収めてい
 るではないか。
・中国は今やアメリカの10倍近いエンジニアを毎年輩出するようになっており、これは
 驚くほど膨大な数だ。21世紀に中国が台頭するのを止められる国はどこにもないと感
 じさせる。ファーウェイに対してトランプが危機感を抱くのも当然だ。
・中国の人々は勤勉に働き、収入の約30パーセントを貯蓄や投資にまわしている。そん
 な国が成長しないわけがないではないか。中国は、一人っ子政策という愚かな政策によ
 る問題を今後しばらく抱え続けることになるが、長期的に考えると中国の勢力は世界中
 に伸びていくと私は見ている。ただ、中国で急速に広がる経済格差には問題を感じる。
 急に金持ちになった中国の”成金”たちのふるまいときたら・・・。大金を持って海外
 に行き、「あなたたちよりも優れている」という態度をとっている。 
・中国は、他国への影響力も徐々に強めている。たとえば、アメリカの首脳たちは今やア
 メリカよりも中国のことを信頼しているのだ。
・ロシアのシベリア地方にも中国人は押し寄せている。天然資源が豊富なシベリアが、か
 つての中国の領土だったことを覚えているのだろう。いずれ、さらなる中国人がシベリ
 アを占有し、実質的にロシアから取り戻すことも考えられる。
・ただ、中国が他国への影響力を強めるとはいえ、それはあくまでも平和的におこなわれ
 るはずだ。歴史的に見て、中国は比較的平和主義であり、近隣諸国と武力で争うことは
 少なかった。
・イギリスがアフリカに進出したとき、イギリス人は「自分たちの言うとおりにせよ」
 「自分たちがすべてを所有する」と言い、支配をした。アメリカも同じやり方でアフリ
 カを支配したが、中国は違った。中国人はアフリカにお金を与え、「これはあなた方の
 お金です」「自分たちの好きなようにやってください」という姿勢をとってきたのだ。
 領土を巡って戦いを繰り返してきたヨーロッパとは違う方法で、中国は覇権国となって
 いくことだろう。
・現在アメリカがカナダなどの近隣国を実質的に支配していることからもわかるように、
 覇権国家が存在するとき、近隣国は支配されるものだ。次なる覇権国家は中国である。
 このことを知っているのは私だけではない。
・言うまでもなく、日本は中国にとっての近隣国だ。今後、中国はますます日本人に大き
 な影響を及ぼすようになるだろう。もっとも、日本が10年後に中国から支配されると
 いったことは考えにくい。将来を心配して急いで逃げ出すような状況ではまだないが、
 覇権国家による支配は歴史における事実として認識しておくべきだ。 
・韓国は日本よりも成功する見込みが高い。その理由は北朝鮮にある。北朝鮮の経済状況
 は今、世界の最下位と言っていいほど低いレベルにある。これは事実だ。しかし、間も
 なく状況は変わると私は見ている。
・共産主義が北朝鮮をダメにしてしまったが、もともと北朝鮮は資源が豊富で、韓国より
 も裕福な国だった。1970年代から徐々に韓国との差が開き、今では経済力において
 北朝鮮は遅れを取っているが、経済を開放すれば、豊富に残り地下資源を活かして再び
 豊かな国になれる。
・韓国は、国際舞台においては日本や中国ほど重要な国ではなかった。だから私も韓国の
 歴史については無知であったのだが、北朝鮮が変化の兆しを見せる今、考えを改めなけ
 ればならないようだ。
・韓国は、日本と同じような問題を抱えている。出生率が低く、子どもたちが公務員にな
 りたがるといった保守性も共通している。しかし、朝鮮半島の南北統一が実現すれば韓
 国の問題は軽減されるだろう。そして韓国は投資するに値する国に変貌する。
・北朝鮮には若い女性が多く、子どもを生むことに躊躇しない。日本や韓国と違って、北
 朝鮮では出産や育児に対する意識は昔からさほど変わっていないからだ。日本や台湾、
 シンガポールのように少子化に直面する近隣諸国に比べると、北朝鮮から女性が流入す
 る韓国はかなり改善の見込みがある。 
・もともと韓国は、少子化に加えて、「女性が少ない」という問題を抱えていた。かつて
 韓国では胎児が女児だと中絶する傾向があったためだ。韓国人の男女の比率は約120
 対100となるという。この問題も、南北統一によって劇的な解決を見せるはずだ。
・アジアの大国である中国や日本は、少子化問題の解決につながる好材料を持っていない。
 中国は一人っ子政策という実にばかげた政策の影響が残っているし、日本は少子高齢化
 問題に関して世界の最先端にいるが、いまだ根本的な解決策は見いだせていない。これ
 らの国とは違い、韓国には解決のための方策があるのだ。 
・韓国が日本よりも伸びると私が考える第二の理由は、日本人よりも韓国人の気質が多少
 オープンであるという点だ。日本人よりも変化を好み、受け入れる土壌があり、現実の
 課題に対して主体的に変えていこうという意欲が見られる。そう言えるのは、多くの農
 業従事者たちが花嫁を探しにベトナムへ出かけているという話を聞いたからである。女
 性が少ない自分の国では見つからないから、外国に飛び出しているというわけだ。
・経済を悪化させる世界の各国よりも韓国のほうが見込みがあると考えるのは、北朝鮮と
 いうフロンティアがあるからだ。南北統一が実現すれば、サムスンはもちろん、韓国経
 済全体に素晴らしい追い風が吹くことになる。 
・ネックとなるのはアメリカの存在だ。私は外部環境が整えば北朝鮮はすぐにでも開放さ
 れると見ているが、アメリカが韓国に駐留させている3万人の軍隊を引き揚げたくない
 と考えるなら相応の時間がかかるだろう。この場合は段階的な経済開放のほうが現実的
 だ。
・北朝鮮と韓国が統一されると、外国から投資を呼び込めるだけでなく、国内の投資も活
 発になる。北朝鮮に投資をする資金力を備えている韓国の財閥はさらに勢いを増し、韓
 国の人々は北朝鮮に、北朝鮮の人々は韓国に強く興味をもっているから、国内旅行も非
 常に盛んになる。
・日本の経済を復活させるにはインバウンドに頼るほかないが、韓国は国内消費にも期待
 することができる。この点は両国の大きな差だ。24歳の日本人が日本で成功するのは
 難しいかもしれないが、南北統一後を見据えて韓国で起業すれば、かなりのお金持ちに
 なれる可能性がある。
・日本や中国が現状のままでいれば、5年後のアジアで最も幸福な国になるのは、朝鮮半
 島の統一国家だと私は見ている。さらに先の未来を考えると、人口の面などから中国に
 軍配が上がるが、中期的に考えると朝鮮半島の繁栄は既定路線だ。
・私はブラジル、インド、ロシアから投資先をひとつ選ぶとするなら、ロシアを選ぶ。国
 土が広すぎて管理が困難という問題を抱えるロシアは、アメリカや中国のような大国に
 なる可能性は低い。それでも、分野によっては成長する見込みがある。
・ロシアでは、経済制裁により食料を自由に輸入することができない。そうすると自国で
 作物を育てることになる。その結果、本来であれば、グローバル経済のなかであらゆる
 国がアメリカなどの農業大国との競争にさらされるものなのだが、ロシアは影響を免れ
 ているというわけだ。 
・アメリカがこの事実に気づいて経済制裁を解除する頃には、ロシアの農業はすでに成長
 を遂げ、アメリカを凌駕する規模を獲得していることだろう。そのときになって初めて
 アメリカは「なぜロシアの農業はこれほど巨大なのか」といぶかしむことになる。これ
 はトランプ大統領、あるいはオバマ前大統領によってなされたことにあるにもかかわら
 ず。
・債務が少ない国であることも、ロシアにとって有効に働く。アメリカや日本をはじめと
 する多くの国が借金を重ね、次世代に負担を押し付けているが、ロシアは違うのだ。こ
 れは誰もロシアに金を貸さないことが理由だが、昔の中国や今の北朝鮮とも似ている。
 現在、世界の中で、国債を購入するのにふさわしい国はロシアくらいしか思いつかない。
・私の投資手法は、大きな変化をとらえ、ファンダメンタルズに忠実に動くというものだ。
 つまり、変化を見極めることは私にとってある種の習慣であり、投資家としてつねに試
 みてきた。大きな変化とは、3年ごとに起きるようなものではなく、10年に一度、あ
 るいは100年に一度の大きな変化のことだ。そうした変化にでくわすのは難しいと思
 われるかもしれないが、私はよく遭遇している。なぜならば、”触媒をとらえるように
 努めているからだ。何かが変化するときには、必ず触媒が存在する。
・大きな変化を掴むには、小さな変化に目を向けなくてはならない。その小さな変化が積
 み重なってトレンドになれば、どのような大きな変化がもたらされるかを想像してみる
 のだ。その未来予測が当たる確率は、どれだけ小さな変化に気づけたかによる。
   
家族とお金を守るために私が学んだ九つの成功法則
・人生を成功させるために、「これをしなさい」という単純な答えは存在しない。しかし、
 「やっていはいけない」ということであればいくつか思い浮かぶ。
・誰もが同意するような社会通念がある場合、人はつい何も考えずに受け入れ、行動して
 しまう。しかし、「ちょっと待ってよ」と落ち着かなくてはならないのだ。 
・成功したいのであれば、最終判断をおこなうときには自分以外の誰のいうことも聞いて
 はならないのだ。これまでの人生で、世間一般に流布されている見識や通念が、実は間
 違っていたというケースを幾度も目の当たりにしてきた。私が成功することができたの
 は、皆が「素晴らしい投資先だ!」と口をそろえるような企業には投資をせず、見向き
 もされないようなものに投資をしてきたからにほかならない。
・結婚をする前の若い頃は、少なくとも2年は自国を離れて自分自身や世界について学ぶ
 えきと私は考える。故郷にとどまろうなどとは決して思うべきではない。
・とほんどの人間は23歳のときには何も知らないものだ。自分自身についても、そして
 世界についても。自分がどのような人生を歩み、どんなパートナーを望むのかも、なか
 なか理解することができないだろう。物事がわかるようになるまで結婚を待つことは、
 人生で成功を得るうえで重要なことだ。 
・私が知る類いまれな成功を収めた投資家たちも、実は大半の時間を何もせずに過ごして
 いる。いったん投資をしたら、10年間は何もしない。ただ世の中の変化を見守るだけ
 だ。そして感情にとらわれず、適切なタイミングを見極めて腰を上げる。
・何かに成功することは喜ばしいことだ。その喜びを感じるな、と言いたいわけではない。
 ただ、その成功はたまたま得られたものかもしれないし、実は成功でも何でもなかった
 ということもあり得る。だから、成功の喜びを感じるときには、それが自分の能力によ
 るものと安易に考えないことだ。 
・お金持ちになるために最も大切な資質は情熱だ。これさえあれば、何歳になっても必ず
 突破口は見つかる。どんなことであっても情熱を失わずに続ければ、やがて多くの利益
 を得ることができるだろう。しかし、とほんどの人は自分が心から夢中になれることを
 見つけられずにいる。親や教師、友人に言われたことをおこない、情熱に耳を傾けるこ
 ともない。成功を望むのであれば、まずはこうした態度を改める必要がある。
・自分でやりたいことを見つける絶対的なハウツーはないが、たとえば何気なく手に取る
 雑誌がヒントになるかもしれない。最初はほんの些細なことかもしれない。でもそこに
 情熱を傾けていれば、やがて具体的な夢となって人生を切り開いてくれる。
・ただ、幸運なことに好きなことを見つけられたとしても、確信が持てず諦めてしまう人
 は少なくない。好きなことを続けても儲からないような錯覚に陥ってしまうからだ。本
 当は、好きでないことをがむしゃらにやっても、決して大成功はできないのだが。  
・あなたが好きな仕事を選らび、きちんと仕事ができるのであれば、やがてお金は手元に
 入ってくることを私は保証する。お金は後からついてくるものだ。
・仕事を選ぶとき、私ならサラリーを気にしない。求職しるときに「サラリーがいくらか」
 を気にしていると、大切なことを見失ってしまうし、やりたくもない仕事を毎日続ける
 という耐え難い現実を受け入れなくてはならなくなる。それに、お金が十分に入ってこ
 ないときがあったとしても、情熱を燃やすことができれば、それは幸せなことではない
 だろうか。 
・情熱を見つけ、情熱のままに働くことができれば、毎日起きてから寝るまで幸せな時間
 を過ごし、楽しみながら成功に近づくことができる。それは素晴らしい人生を歩むため
 には最も大切なことだ。
・私は、娘たちに変わり者になってもらいたいと常々思っている。既成概念にとらわれず、
 自分の頭で考える変わり者こそが、世の中に良い変化を起こすからだ。
・周りから「バカじゃないか」と言われるのはとてもいいことだと考えよう。「私はバカ
 ですよ」と答えておけばいいのだ。 
・お金の基本を理解していないせいで、多くの人生が破壊されてきた。世間の人々は、お
 金をただ単に使うものと思っている。だからこそ無駄遣いから借金を作ったり、生活費
 の不足から結婚が破綻したりといった問題が起きている。行き当たりばったりでお金を
 使い、家計の破綻を起こす家庭が何と多いことか・・・。
・せめて安全な生活を保証するくらいの最低限のお金は、やはり必要だ。お金は貯めるも
 のであり、使うものではない。今は世界中、銀行に預けていても大した利息はつかない
 が、それでも自分の子どもたちに銀行に預けることはいいことだと認識させることは大
 切だ。
・私にとってお金とは”自由”だ。私は物を買うためにお金が欲しかったわけではない。
 ただ自分が望むときに、自分が望むことができるようになるために、お金を稼いできた
 のだ。
・私は、一度の人生で人が体験するよりも、多くのことを体験したいと思った。冒険をし
 たいと。私はいつか人生を振り返って、ああ素晴らしい時間を過ごした、すごく楽しか
 ったと思いたいから、そのためにお金を稼いできたのだ。だから、私はいくら金持ちに
 なっても、自動車や家、飛行機、船といったものを欲しいと思うことがなかった。いわ
 ゆる華美な暮らしにはまったく興味がなく、長い間自家用車も持っていなかったし、娘
 たちの学校の送り迎えにも自転車を使ってきた。ショッピング自体、まして好きではな
 い。
・幸福を手にしたければ、自分の思い通りのやり方を選ばなくてはならない。これが結論
 だ。自分自身にとって幸福な生き方をすることこそが、成功にほかならない。
 
これからの時代に勝つ投資
・投資家として成功を収める唯一の方法は、自分自身がよく知っているものに投資をする
 ことだ。
・「分散投資にするとリスクが低い」という言葉を信じて、詳しくない株式にも投資をす
 るのは間違いだ。ちなみに、「投資は分散すべき」という言葉が投資の常識として語ら
 れるが、分散したら大金を手にすることはできない。
・よくわからないことを、わからないままにしていては成功から程遠い。
・投資先として気になる企業があれば、その企業の年次報告書に目を通す。まず見る数値
 は「利益率」だ。利益率は企業の競争力を探る目安となる。過去からの利益率の推移を
 見て、変動が激しく、現状の利益率が低い状況であれば投資を検討する。そうして企業
 の利益率は一時的に落ちているに過ぎないため、やがて利益率が上がり株価が上昇する
 と見込めるからだ。利益率が高いにもかかわらず借金を多く抱えている企業を見つけれ
 ば、利益率が下がることを予想し、空売りをすることもある。利益率が同じ程度の複数
 の会社で迷うときは「株主(自己)資本利益率」を比較する。
・業界誌が投資の判断に役立つことも実は少なくない。業界誌を読めば、競合製品につい
 ての情報や、関連する市場に起きている変化を把握することができるだろう。ここから
 将来を予測して投資の判断をするのだ。その業界で働くCEOたちが必ず読むような情
 報源にはぜひともアクセスしておきたい。
・たとえ新聞に書いてあったとしても、他の人の言っている嘘や思い込みをジャーナリス
 トがそのまま使っていることもあるから、報道の裏を取るべきだし、私はそうするよう
 に常に努めている。
・世間の人々は、政府などの権威やニュースの言葉に疑問を呈することがめったにない。
 21世紀になって情報は溢れかえっており確認する術はいくらでもあるにもかかわらず、
 接する情報の真偽を自分で確認する人の少なさに驚かされる。
・どんな政府であっても、その言葉には疑問を持つべきだと若い時期に学んだ。この考え
 方は、今も投資家としての私を守ってくれている。いかにその国の政府が好調ぶりをア
 ピールしていても、現地に行き、そこに暮らす人々の姿を見ていると嘘が見てくるもの
 だ。
・社会通念や慣習から「絶対にそうだ」と考えられていたことが間違っていたというケー
 スを目にしたときに、そのときに何が起きたのか、そして多数意見に従わなかった人々
 が何を考えたのかをしっかりと調べ、考えてみよう。バブルを後から振り返ってみるの
 もいい。なぜ多くの人々が流され、損失を被ったのかを考え、逆に利益を得た人がなぜ
 そうできたのかを考えてみるのだ。
・何かで成功したければ、誰もやっていないことをいち早く始めるべきだ。そのためには、
 自ら情報の裏を取り、真実を見極めなくてはならない。そして、自らにとって都合の良
 い情報だけを信じるのはとても危険だということも理解しておこう。
・世の中の人々は、安全な投資先を探している。リスクが少なく、確実に儲けることがで
 きる投資先を。しかし、世の中に安全な投資というものは存在しない。もし確実に儲か
 ることが約束されているのならば、すべての人がそうしているはずだろう。真っ当な投
 資家にとっては常識だが、すべては自己責任なのだ。
・世界は常に変化している。そのことを認識しなくてはならないし、備えるべきだ。現在
 うまくいっていることが将来正しいなどということはないのだ。誰もが「今回のブーム
 は今までとは違う。まったく新しいことだ」などと言うときに経済的な破綻が起こる。
・投資で大成功をしたいのであれば、ここぞ、というタイミングで集中的に投資をしなく
 てはならない。そうしたタイミングはめったに訪れるものではないが、ひとつ考えられ
 るのは政府による決定打。政策は正しいものであれ、国民の大半にとって無益なもので
 あれ、変化の触媒となり得る。 
・「危機」と言われるような出来事が起きると、私はそこに投資の機会を探るようにして
 きた。投資家らしく考えて、「待てよ、次の段階はなんだろう」と自分に言うのだ。
・日本株を積極的に買い増ししたのは、東日本大震災の直後だった。当時、日本の株価が
 著しく下がる様子を見たからだ。それらの株式は2018年にすべて売却し、ここから
 少なくない利益を得ることができた。こうしたやり方について、「人の不幸を利用して
 いる」と批判する人もいたが、それはまったくの見当違いだ。なぜなら危機に瀕した国
 で困っている人たちは、誰かがお金をもたらすことを望んでいるのだから。投資家が投
 資した資金を活用して危機に瀕した国が復興するのだ。 
・木が天まで伸びることはない。つまり、天井しらずに上がるものなど、この世に存在し
 ないのだが、バブルに特有の熱狂や興奮を目にすると、多くの人は「まだまだ上がる」
 と思ってしまう。
・今、私が危ぶんているのはアメリカの株式市場だ。リーマン・ショックにより2009
 年3月に底を打って以降、10年近くも上昇を続けている。多くの人々がアメリカの株
 式市場はまだまだ上がると期待を寄せているが、歴史を学んでいれば上昇相場はいつか
 必ず止まるものとわかるはずだ。
・金融業界で私は大儲けをすることができたが、そうした時代は終わろうとしている。
 1958年には世界に5000人ほどしかいなかったMBAホルダーは、今やアメリカ
 だけでも5万人を超える。金融業界はかつてなく競争が激しくなっているのだ。現代に
 生きる若者はMBAを取るよりもトラクターの運転を習ったほうがよほどいいと思う。
・今後数十年のことを考えると、金融業界はあちこちで悲惨な状況になるだろう。中国の
 金融業界で働くのであれば、政府による後ろ盾が期待できるが、その他の国の金融業界
 で成功できるとは思えない。
・金融業界の時代が過ぎた後は、何が起きるのだろうか。これも歴史が明らかにしてくれ
 る。実物経済の時代が来るのだ。
・バブルが起きる頃には逆に、すべての人が株に手を出している。街角のカフェや理髪店、
 病院に行けば受付のまわりでも、人々が株のことを喋る。そうした兆候を見て、賢い投
 資家は逃げ出し、相場が暴落する。結果、その他ほとんどの人間が損害を被るのだ。
・外国人が特定の国にお金をつぎ込みはじめたときも、引き際と考えるようにしている。
 外国人はほとんどいつも判断を誤るものだ。 
・こうした大衆の心理や感情を理解できれば投資に勝つことができる。これを言い換える
 と、投資で勝ちたければ大衆の心理に自分が巻き込まれてはならない、ということだ。
 人は群集心理にかられやすい生き物だ。
・年利8パーセントの福利で運用できれば、世界中のほぼすべての投資家よりも良い成果
 を得られるにもかかわらず、ほとんどすべての人がじっと待つことができない。人の話
 を聞いてはひっきりなしに売り買いをするような投資家が成功できるはずがない。 
・事実を調べずに、願望や欲望だけで物事を判断しようとすると、大衆の考えや心理に流
 されてしまう。皆が同じような投資をしたがっているときこそ、冷静に需要と供給のこ
 とを考えるべきなのだ。
・ウォール街で仕事を始めたばかりの頃、誰もが私よりも年上で経験豊かに見えた。「彼
 らは私よりも多くのことを知っているに違いない」と感じたものだ。ところが、やがて
 彼らもたくさんの間違いを犯していることに気がついた。人間は間違いから学ぶことが
 できる生き物だ。たとえ間違えたとしても、いずれ物事をきちんと見極めることができ
 れば勝てる。そのことに気づいてから、私は間違いを恐れなくなった失敗を経験せずに
 成功することは不可能だ。
・優秀なトレーダーは、自らが間違いやすい人間であることを自覚しているものだ。間違
 えたことに気づき、素直にそれを認めることができれば、すぎに正しい方向へ転換する
 ことができる。彼らが優秀なのは、間違いからの立ち直りが早いからなのだ。
・投資で成功するには、自分というものがわかっていなくてはならない。どんなときに冷
 静な判断ができ、そしてどんなときにパニックになってしまうのかを知っていれば、き
 っとうまくやることができる。 

あとがき
・融通が利かない官僚のせいで、まともに旅行することもできなかった中国は、今や世界
 に開かれ、覇権国家としての道を歩んでいる。北朝鮮と韓国の南北統一という、かつて
 は考えることさえできなかった変革も起きようとしている。
・物事は変化するのが常であり、「歴史は繰り返される」という真理を理解すれば、今起
 きていることの意味を理解することができる。
・日本については、あらかじめ予想されていた悪いシナリオが、現実のものになってきて
 いることを感じる。
・世界のファーストクラス、最も豊かな国である日本が今、失望の淵にあるのは逆説的で
 もある。日本は、人口統計的問題を抱えている。自殺率は史上最高だし、出生率は史上
 最低だ。このままでは、100年後には人口は半減し、6000万人程度になってしま
 う。その不足分を移民で受け入れようともしていない。また、巨額の公的負債と、融通
 の利かない規制が問題となっている。