日本大沈没  :藤巻健史

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筆者は市場原理主義者のようである。日本は、世界一の社会主義国家だという。それが今
の日本の財政破綻状態に至った原因だというのが、筆者の主張のようである。
「所得再販分は、政府の仕事ではない」という筆者の主張は、確かにそうなのかもしれな
いと思ってしまう。しかし、まったく政府が介入せず、市場にすべてを任せておけば、市
場の自動調整機能が働いて、すべてうまくいくというのは、疑問を持たざるを得ない。
市場にすべて任せてしまえば、「富める者はますます富み、貧しきものはさらに貧しくな
る」という方向に、どんどん突き進んでいくのではないのか。一部の圧倒的な勝者と、多
数の圧倒的敗者を生んでしまう。やはり、ある程度の介入が必要ではないのかと私は思う。
しかし、日本の国家財政はまさに危機的状態、崖っぷちにあるということは確かだ。この
原因はいろいろあるだろうが、個人の生活に例えれば、今まで日本は「身の丈以上の生活」
をしてきたことに尽きるのではないのか。歳入が46兆円しかないのに歳出は90兆円。
収入の倍近い支出をする生活をしてきたからだ。これでは、家庭であろうと企業であろう
と成り立つはずがない。しかし、日本という国は、ずっとそれを続けてきたのである。
自分の懐は痛まないためか、日本の国会議員たちは、延々とそれを許してきた。国会議員
たちは、選挙がすべてだ。自分の票を減らすような国民に不人気なことはしない。国家財
政がどんなに悪化しようと、「大衆迎合」な政策で、大盤振る舞いを続けてきた。例えそ
れが、最終的には国民に大変な苦しみを与えることになろうとも、「知ったこっちゃない」
なのだ。
日本の国民も能天気だったと思う。何かあれば、「国がなんとかしろ」と、お国まかせ。
その反面、税金は払いたくない。政治には無関心。いまのような危機的な状態は、なるべ
きしてなったということだろう。
このままいけば、遅かれ早かれ、筆者の言うように「日本大沈没」が起こるだろう。もは
や、避けることができないと私も感じる。もはや、我々庶民ができることは、あまり残さ
れていない。日本の国家財政が破綻して、ハイパーインフレが到来すれば、日常の食料を
確保することすら困難になるだろう。その時のために、家庭菜園でもして、少しでも自前
で食料を確保する準備でもするしかない。

はじめに
・消費税10%への増税では、いまの日本の財政状況にとって「焼け石に水」に過ぎない
 のです。「財政破綻で国家機能がマヒしてしまう」か、もしくは「ものすごいインフレ
 (ハイパーインフレ)になり生きていくのがやっと」の時代がほんのちょっと後にずれ
 るだけなのです。
・今回くる財政(金融)危機も、第2次世界大戦と同じ程度のショックだと私は思ってい
 ます。社会の仕組み、価値観、財産価値等すべてが土台からひっくり返る「ガラガラポ
 ン」をマーケットが引き起こすと思うのです。
・「ガラガラポンの後、どういう時代が来るか」の認識もとても重要です。ガラガラポン
 後の時代を「日本の未来は明るい」と理解し、力強く生きていく人と、「日本はもうだ
 めだ」と自暴自棄に生きていく人とでは、生活力、生活レベル、そして財産の防衛力に
 雲泥の差が出てくるからです。
・予想される近未来が暗いからといって、「見たくないものは見ない」態度はいっそう、
 まずいと思います。「原発事故は絶対に起きない」という安全神話が、「いかに悲惨な
 結果を生み出したが」を考えればわかることです。
・マーケットは人気投票的な動きをしますから、当初は多くの人間の考え方に流されやす
 くなります。しかし、経済学的におかしな動きは、時がたてば修正されるのです。膿が
 たまり、おできが破裂するのと同じ動きです。
・外国人は現在、日本の財政状況をかなり厳しくみています。外国人のほうが、外から客
 観的にみているせいか、日本の情勢を正しく分析、予測できた例を、私はたくさん見て
 きています。

日本沈没の経緯
・ユーロ危機は、人為的、そして作為的な仕組みが限界に達し、起こるべくして起きたも
 のなのです。「国が違うのに同一通貨で取引きする」という経済学の基本に反する仕組
 みを、強引につくって実施してきた結果なのです。
・ユーロとは、「ユーロ圏という一つの地域内の同一通貨」です。それは、まさにその地
 域が「通貨の固定相場制」を採用しているのと同じことです。
・固定相場制とは、中央銀行が自国の景気に合わせて金利を上下させることができなくな
 る仕組みなのです。日本とアメリカという経済格差がそれほどでない2国間でさえ固定
 相場制は無理なのに、「ギリシャとドイツ」「ドイツと南欧諸国」「ドイツと東欧諸国」
 のように大きな経済格差がある国の間での同一通貨は無理だ。
・今回は一時的に、危機を回避できたとしても、5年とか10年のスパンで見るならば、
 ユーロは消滅しているだろうと思っているのです。地域ない同一通貨が成立する唯一の
 方法は一つの国になることですが、ユーロ圏諸国がそうなるのは、無理だと思うのです。
・日本の為替システムは「変動相場制」にみえますが、実は「固定相場制」なのです。景
 気がよかろうが悪かろうが、固定相場制を放棄したと宣言してから約40年間、一貫し
 て円は強くなった。そんなのは変動相場制ではありません。
・円が安くなるということは円で輸出するモノ、サービス、労働力を海外で値下げできる
 ということです。
・商売では景気が悪いときの最大の販売テコ入れ策は値下げだと思いますが、円が安くな
 れば、国内価格は同じでも、海外での販売は実質値下げとなります。そこで国際競争力
 が回復し、景気が持ち直すのです。さらに円安になれば景気が過熱し、過度のインフレ
 にもなってしまうでしょう。そうなると円金利はかなり高くなっていきます。皆がお金
 を借りて商売をしようと思い、お金の取り合いになるからです。
・このような動きは円買いを伴うので、今度は円が強くなっていくのです。円の価値が強
 くなるとは、お金の価値があがること。お金の価値が上げれば、そこ氏のお金でモノが
 買えるのです。価格が安くなるということです。
・変動為替相場には「景気の自動安定装置」という偉大なめメリットがあるのです。ユー
 ロ圏はその偉大なメリットを放棄してしまいました。
・債券市場で利回り7%は中長期の財政運営が難しくなる「危険水域」と言われています。
・私にはなぜ7%が「危険水域」なのか、よくわかりません。というのも、ここまで借金
 に頼っている日本は、すでに「財政が維持できない」とも言えるからです。
・ロシア危機nときのロシア国債の金利は80%近くまで上昇しました。そのときは「7%
 のとき、どうのこうの」という話は聞きませんでしたし、1979年に米国債の金利が
 20%近くまで上昇したときも、「これは異常金利だ」とは言われましたが、「7%を
 超えたので財政破綻する」とは騒がれませんでした。
・「金利があがっているということは、市場が警戒警報を鳴らしているんだぞ」という認
 識は極めて重要です。「何%に下がったから大丈夫だ」とか「何%になったから危機的
 状況だ」という知識はあてにならなくとも、「大きかろうが小さかろうが、火事が起き
 れば火災警報は鳴る」仕組みはとても重要だということです。
・すでにギリシャの富裕層は金融機関から資金を引き出し、ユーロ建てのドイツ国債を購
 入したり、ドイツの銀行に預け替えをして、ドラクマの復活・急落に備えている人が多
 いようです。
・ギリシャがユーロを離脱すれば、そのような悲惨な状況がギリシャを襲うわけですが、
 それをみた他のユーロ諸国はさすがに同じ轍を踏まないよう緊縮財政にも耐え、必死で
 ユーロ残留を図ると思うのです。それがゆえに私は、ギリシャがユーロを離脱しても、
 危機は連鎖しないと思うのです。連鎖しないのであれば、ギリシャ自身はユーロ諸国の
 2%くらいの経済規模しかないのですから、大きな問題とはならないと思うのです。
・今回のユーロ危機から学ぶべきことは、まずは「ポピュリズム政治はやばいよ」という
 ことです。ポピュリズム政治を継続していると、いずれはギリシャのように、そのつけ
 で最貧国に落ちる可能性さえあるということです。
・日本は、社会の仕組みが海外への資金還流を妨げる仕組みとなっています。そこを正せ
 ば円安になったはずなのですが、為替のレベルを修正しようという努力を怠ってきたた
 め、通貨(円)が国の実力より強いままになっています。そのために景気は悪化する一
 方で、回復のきざしがみえないのです。
・日本とギリシャ、どちらが危機的な状況かというと、私は明らかに日本のほうだと思っ
 ています。ただギリシャのほうが世界中の新聞やテレビで騒がれているから危機的にみ
 える。それだけだと思います。
・1997年末の借金総額は369兆円でしたが、放置し続けた結果、2012年3月末
 では960兆円と2.6倍に膨れ上がりました。
・1997年末の名目GDPは523兆円、2011年末の名目GDPはなんと468兆
 円なのです。
・財政赤字の深刻化を理由に外国勢(ヘッジファンドなど)の仕掛け(空売り)が起き、
 日本国債の暴落、財政破綻に突き進んでしまう可能性も高くなるのです。
・ギリシャ国債の60%から70%は、ドイツやフランスの銀行が購入しています。した
 がって、ギリシャがこけると、フランスやドイツの銀行が大損をします。それで世界が
 ギリシャに注目し大騒ぎしているのです。
・一方、日本の場合は、国債の91.7%(2011年度末)を日本人が持っています。
 日本がこけたところで、直接的に損をするのは日本人だけです。ですから世界は騒いで
 いないのです。
・日本は、ユーロ圏以上にポピュリズム政治が蔓延していると思います。政治家が国民に
 迎合して、大規模な「ばらまき」を行っているからです。
・しかし、それにもかかわらず、長期金利が史上最低レベルの0.8%と低位安定してし
 まっています。警戒警報が鳴っていないのです。ここが日本お大問題です。
・日本では、いくら政治家がばらまきを行っても、長期金利が上昇しません。警戒警報の
 スイッチを切ってしまっているためです。ばらまきをしても警報が鳴りませんから、政
 治家はばらまき放題です。その結果、とんでもないほどの累積赤字がたまり、財政破綻
 というつけが回ってくることになるのです。チェック機能が効かないところでは、バブ
 ルは想像を絶するほど大きくなってから破裂します。
・「自主規制をつくり、それに抵触しそうだ」と騒ぐ米国と、「自主規制などお構いなく、
 増発に増発を重ねている」日本、どちらが健全なのでしょうか。
・日本国債の91.7%を日本人が持っているということは、外国人にとって日本国債は
 まったく魅力がないということです。日本国債は「日本人にまず売って売れ残った分を
 外国人に売る」わけではありません。「よーいドン」でいっせいに売るのです。外国人
 には興味がまったくわかない商品を、なぜ日本人は競って買うのでしょうか?
・先進国の中で、これほど自国民しか買っていない国債は他にあるのでしょうか?
・日本人は「財政破綻問題は、しょせんは国の問題」と自分自身の問題として真剣に考え
 ていないのではないでしょうか。現在、ほとんどの日本人は、間接的にですが、大量に
 日本国債を保有しています。というのも、金融機関が預かった預金で大量の日本国債を
 買っているからです。
・1980年代には保険料の50%以上を貸し付けて運用していた生命保険会社の融資は、
 いまや資産の13.7%でしかありません。融資が減った分は国債投資に回してきまし
 た。
・もし財政破綻で国債の価値がなくなれば預金は戻ってこず、年金も支払われず、生命保
 険も払われないことになるです。
・個人金融資産の17%を預かる世界最大の銀行であるゆうちょ銀行は、いまでも預かっ
 た預金の80%を国債で運用しています。一時は88%を占めていました。
・政治家がばらまきを行ない、その結果、国債の増発につながっても、ゆうちょ銀行が買
 ってくれるのです。市場原理にのっとれば向かうはずの「もっと儲かる市場」、すなわ
 ち民間企業にも海外にも資金はいかず、国債のみに資金は向かっていったのです。その
 結果、「長期金利上昇」という警戒警報は鳴らず、国債発行に歯止めがかからず、累積
 赤字は極限まで膨れ上がってしまったのです。政治家はばらまきに痛みを感じないから、
 ばらまき放題。こうしてバブルは極限まで膨れ上がってしまったのです。
・国債市場には市場原理が働いておらず、したがって財政が非常事態に陥っているにもか
 かわらず、「長期金利上昇」という警戒警報が鳴っていないのです。
・2011年末の日本の名目GDPは468兆円。1991年末の469兆円と変わらな
 いのです。20年間も名目GDPが伸びていないのです。情けなや、です。
・米国はこの20年間で名目GDPは2.5倍以上、オーストラリアもこの19年間で
 3.3倍と聞きます。
・名目GDPは伸びていないのに、国の累積赤字の伸びかたは凄まじく、この15年間で3
 倍近くに膨れ上がってしまったわけです。
・日本企業の最終利益は、欧米や韓国企業の10分の1から100分の1に過ぎないので
 す。日本企業の利益の低さを世界経済の低迷のせいにする人もいますが、他国企業も世
 界経済の影響を受けています。でも彼らは儲けているのです。
・バブル崩壊以降、日本が力を入れてきたのが財政政策です。財政を思い切り出動させま
 した。それでも景気はちっともよくならずに、GDPは落ち続ける一方、累積赤字は
 960兆円という巨額な額に膨れ上がったのです。
・少子高齢化で国内需要が減って条件がさらに悪くなっているのに、いままで一回も成功
 しなかった政策が成功するわけがないのではないですか。それにもかかわらず「格差是
 正」という名目でばらまいていたのですから、何の効果もなしに累積赤字だけが増えて
 いったのはあたりまえです。
・外国人の日本株買いは、日本の負債の増加を意味しています。純資産とは、「総資産か
 ら負債を引いた額」ですから、外国人が日本の株を買い増すと、日本国の対外純資産は
 減ります。これは日本の財政状況が悪化したことなのでしょうか?
・日本への海外からの投資が少ないことが、いま問題になっています。日本の対外純資産
 が大きいには、投資先として日本に魅力がないからで、財政が健全な証拠にはまったく
 ならないのです。
・いま日銀は、量的緩和の手段として、国債買い入れ額を急増させています。政府は日銀
 に、「デフレから脱却するために、もっと量的緩和を進めろ」と圧力をかけています。
 政治家や識者の中には、「財政破綻を防ぐために、日銀は国債の引き受けをすべきだ」
 「と主張する人さえいます。無責任もいいところだと私は思います。過去、中央銀行の
 国債引き受けは、間違いなく、制御の利かないハイパーインフレーションを引き起こし
 ています。今回だけはそれを回避できるというのでしょうか。
・日銀は金融緩和を極限まで行ない、さらには政府や世論の圧力に屈して無意味に近い過
 剰な量的緩和を行っているので、日銀のバランスシートにはかなりの問題が出てきてい
 ます。
・日銀の保有資産が大幅に劣化すれば、日銀が発行する紙幣を誰が信用するでしょうか。
 日銀券の信用がなくなれば、日銀券は暴落すると思います。
・現在の日銀の資産の6割以上は日本国債です。1991年の国債保有額は24.4兆円
 で2011年末は90。2兆円です。
・財政破綻で国債がデフォルトになれば、日銀券の価値も暴落してしまうのです。つまり、
 円の大暴落ということです。
・日本の失敗は、為替政策を無視してきたことなのです。「超円高」で経済に低い天井を
 設けてしまったので、財政政策を最大限発動しても、金融政策を最大限発動しても、そ
 「の低い天井に跳ね返されて効果がなかったのです。
・「健全な国内政策や国債通貨制度で不均衡が調整されなければ、いずれは金融危機を通
 じて市場が調整を迫る。」と言われています。
・「景気が悪くなれば円が安くなり、景気を回復させる」という調整機能が日本では働か
 なかったので、国際も円もバルブになってしまい、破裂の危機にあるのだ、と私は思い
 ます。
・唯一の景気対策は、円高是正、つまり円安政策だったのです。円安にしておけば景気は
 回復し、財政出動をする必要もなかったと思います。円安政策はもっともパワフルで安
 上がりの政策なのに、それに気がつくことなく、枝葉末節の議論が横行しました。
・円安誘導策をとらなければ何をやっても無駄ですし、円安政策こそが根幹とすべき政策
 です。
・円高とは「外国人が円を買っている」せいではなくて、「日本人が円を売って外国に投
 資しない」ほうが主因だと思います。

明るい未来をミカエルための資産防衛術
・財政赤字の額と無駄遣いの額では桁が違うのです。無駄を省けば、財政再建ができるわ
 けではありません。財政赤字がちょっと減るだけです。「無駄を省いてからでないと、
 消費税上げは認めない」というのは単なる感情論です。
・今年度の予算においては歳出は90兆円ですから、その4割、約36兆円が社会保障費
 ということになります。防衛費や国家公務員の給料、その他の歳出の合計が54兆円と
 いうことです。歳入は46兆円ですから、それで「その他の歳出54兆円」をまかなっ
 ています。すると社会保障費の36兆円は、借金でまかなっていることになります。つ
 まり我々の社会保障費は、すべてを子ども、孫、ひ孫からの借金に頼っているというこ
 とです。
・「財政は大丈夫なのに消費税を上げるのは何事だ」などと言う政治家は、事態を理解す
 る能力を欠いた人か、状況を理解していながら「耳障りのいいこと」を言って、国民を
 欺く人のどちらかだと思います。
・「消費税1%上げるごとに、国の歳入増加は2兆円と考えてよいかと思います。
 2011年度の赤字は44兆円。212年度の赤字も予算段階で44兆円ですから、そ
 れを黒字化するためには、44兆円÷2兆円で22%の消費税増税が必要になります。
・消費税の10%への上げでは、残念ながら「焼け石に水」だということです。消費税
 10%にしても、960兆円の累積赤字はさらに増え続けていくでしょう。
・ここまで累積赤字がたまってしまうと、歳出カットや消費税上げだけでは、財政破綻を
 避けることはできません。累積赤字の急増を抑えることは不可能だからです。
・ハイパーインフレというのは、政策としては最悪の政策です。ものすごい逆進性(実質
 的な税の負担が、高所得者よりも低所得者にくること)があるからです。
・ある程度、お金を持っている人たちは、株や土地、外貨などインフレ・ヘッジの効くも
 ので運用できます。なんとかインフレに追いついていけるのです。
・所得が高くて株や不動産、外貨で運用できる人はダメージが小さくで、現金・預金しか
 持っていない低所得者の人が、ものすごく貧乏になるのです。
・「逆進性が高いから消費税反対」などと言っていると、「とんでもなく逆進性の高いハ
 イパーインフレの襲来となり、低所得者の人たちは何十倍も苦しくなる」ということで
 す。
・歴史的にみても「ハイパーインフレ」とは制御不能なものです。ドイツで1923年の
 1年間に起きたパンの値段は、1月に250マルクだったパンが、12月には3990
 億マルクになっています。換算すると、タクシー初乗り780円が1年後には約1兆2千
 億円になったということです。これがハイパーインフレというものなのです。社会生活
 は滅茶苦茶になります。
・財政破綻時に、国が借金を返せなくなるのは事実です。しかし、そう捉えると、財政破
 綻とは「国にお金を貸している人だけが大騒ぎすべき」と受け取らえてしまいそうです。
・日本人は間接的に大量の国債を保有しているおですが、それもあまり気がついていない
 ようです。
・毎年の赤字がそれほど大きくなれば、国債の元本と利息の支払いを止めさえすれば、あ
 との政府の必要経費はなんとかやりくりできるでしょう。しかし、現在の日本は、税収
 よりも借金額のほうが多いのです。財政破綻すれば、もう借金はできないでしょう。そ
 れでもお金を政府に貸し続ける人は、能天気ではなくアホです。
・そのような状況では、国債の元金利の支払いを止めても、政府の必要経費はまかなえな
 くなります。そこで、政府機能がシャットダウンしてしまうのです。銀行への取り付け
 騒ぎが起こるでしょうから、世の中はパニックに陥ります。
・日本の金融機関は、景気悪化で不必要になった融資向けのお金を、国債購入に振り向け
 てきました。しかし、やりくりはもう限界です、国債入札で未達(国債が完売できない
 こと)が起きれば、財政破綻になる可能性が十分にあります。
・国債未達のニュースが流れた瞬間に、「国債・株式・為替」市場は一巻の終わりなので
 す。政府にお金がなくなってしまうので、日本の財政は破綻し、政府機関の閉鎖という
 ことになるのです。
・通常、国債入札は、民間の金融機関のみが参加しています。ですが、取り付け騒ぎを回
 避するために、売れ残った分を日銀が引き受けるのです。
・「財政破綻リスク」が注目されて、日本国債の価値に疑いが出ると、国債で担保されて
 いる日銀券の価値が急落します。お金の価値が下がるということは、ものの値段が上が
 ることですからインフレです。
・現金、預金はいまでこそ一番安全資産と言われていますが、それは現金に価値があるデ
 フレだからで、ハイパーインフレになると一番危ない資産になるわけです。
・ハイパーインフレになるなら株式投資がよい選択と言えますが、それは一度危機を乗り
 越えた後の話です。ハイパーインフレになるまえに企業がつぶれてしまえば、元も子も
 なくなります。
・万が一、財政破綻、またはハイパーインフレになったら、仕事から財産から将来の年金
 まですべて失う。国は助けてくれない。
・外貨建て資産は急騰しますから、保険として極めて有効だと思います。
・「日本で働き、円資産のみで資産を運用している」人は、「倒産しそうな会社に勤めな
 がら、資産はその会社の社内預金と自社株だけ」の人と同じということです。
・会社の倒産の場合は雇用保険等で政府が助けてくれるでしょうが、国の財政破綻の場合
 は、国自身が倒産してしまうのですから、助けを期待できません。ですから外貨建て資
 産の購入を保険として考えるべきなのです。
・「自分自身は日本から逃げなくても、財産お一部は逃がしておけ!」ということです。
・財政が破綻しても、日本国が破綻するわけではありません。銀行は社会インフラですか
 ら、すべての銀行がなくなってしまうことはありえません。 
・「国の財政の補てんのために、国民の財産が没収されてしまう可能性」に関して言えば、
 その対策として「資産を日本から脱出させて、外国金融機関の本店や外国支店に預ける」
 などの対策は必要ないと思います。
・海外に口座を開設すると、税金の問題が出てきます。日本お金融機関の海外支店での取
 引や、海外の金融法人の本店や海外支店での取引には、税の優遇は適用されないのです。
 総合課税になりますから、所得の高い方は、税金面でかなり損をするのです。
・海外に物理的に資産を逃がす人は、「預金封鎖」を怖がっているのでしょう。預金封鎖
 は、日本でも1927年と1946年に実施されました。
・預金封鎖とは、新券を流通させるための前段階です。旧紙幣は新券への切り替え後は使
 えなくなるわけですから、タンス預金があぶりだされます。銀行預金にしておかないと
 新券に換えてもらえず、タンス預金の旧紙幣は流通不能な、単なる紙くずとなってしま
 うからです。
・新券に交換する際には、たとえば旧紙幣1万円に対し、新券1万円と交換することにな
 るのです。こうすれば、国は国民の財産を実質的に没収することができるのです。国民
 から財産を没収すれば、財政も再建できます。しかし、預金封鎖、そして新券発行は、
 ハイパーインフレ時に実施されるのが普通です。
・この先、日本政府が預金封鎖などという「憲法違反もどき」をするとは思えません。イ
 ンフレ、またはハイパーインフレで、国民の財産を正々堂々と没収できるからです。ハ
 イパーインフレは債権者から債務者への富の移行であるのです。
・いまの憲法下で預金封鎖などという財産没収行為ができるのか、私には疑問です。
・外貨建て資産の購入のために、海外にある金融機関を使う必要はないと思います。外貨
 建て資産は、日本にある金融機関、日本に進出している海外の金融機関の日本支店で簡
 単に購入できます。
・それでは何を買ったらいいか。先進国の株や、MMFなど、どれを選ぶかはたいした問
 題ではありません。私自身は、日本の金融機関が運用しているMMFと、海外の金融機
 関が運用しているMMFの両方を日本で購入しています。
・くのが膨大なる借金を実質的にチャラにしなければならない状況に追い込まれている以
 上、いずれはハイパーインフレになるだろうと思うのです。
・まずは外貨建て資産という保険を用意したうえでの、不動産購入が望ましいと思います。
 よく「少子化だから住む人が減って地価が下がる」とおっしゃる方がいますが、ハイパ
 ーインフレがくれば、下がるわけがありません。
・不動産投資ですが、日本の不動産にこだわらず、海外の不動産も考慮に入れるべきです。
・海外REIT(不動産投信)も一考です。
・いまだったら私は、米株を中心とする先進国株に投資します。もっとも、先進国といっ
 てもユーロ圏の株は避けます。
・日本株に関しては、大幅円安になり、国内企業の業績が回復しそうになったときに投資
 を再会すると思います。
・世界で一番強い国は、今でもん米国だと思います。米国は市場原理が発達しているので、
 膿が大きくたまることはない。これが大きなる強みです。
・金は安全資産ではありますが、重くて持ち運びに不便なのが欠点です。金庫に保管して
 おいても泥棒が怖くて、おちおち外出もできなくなります。それでは現物を金庫に保管
 しないで、金取引業者の金庫に預けておいて、保管所を持っていれば預金通帳と同じで「
 はないかと思うかもしれません。しかし、財政破綻やハイパーインフレなどの社会的大
 混乱が起きたとき、その会社が万が一つぶれてしまえば、預かっている金が返済されな
 い可能性もあります。顧客の金を会社のものとして使ってしまった上で倒産した会社と
 取引をした場合、「違反だ、金返せ」と訴えて経営者を牢獄にぶち込むことはできでも、
 金は返ってこないでしょう。ないものは返せないからです。こうなると、絶対の「安全
 資産」とも言えなくなります。
 
さらば社会主義国家・日本
・私は遠くない将来、ハイパーインフレか財政破綻により、大幅円安になると思っていま
 す。その後は、日本経済は劇的によくなると思っていますが、それは一時的な改善にす
 ぎないかもしれません。日本の仕組みが大本から変わらないと、また同じことが起きま
 す。
・政治家がばらまきを再開し始めたとき、マーケットがチェック機能を果たさないと、再
 び財政赤字が大きくなります。リターンの高い海外に資金が還流する仕組みがないと、
 国内のみに資金が滞留し、国債バブルが起きます。もしくは国内不動産か株式に資金が
 回り、そちらのバブルが起きます。大きくなったバブルは破裂して、社会が再度混乱し
 ます。円バブルも起きて企業収益は低迷し、日本経済も低迷します。
・日本は外からの圧力がないと変われない国民だと思います。明治維新しかり、第2次大
 戦後の改革しかり。今度のクラッシュでも同じような外圧、つまりIMFが入ってきて、
 はじめて日本は変われると思うのです。屈辱的なことですが、致し方ありません。
・日本はこれまで社会主義的で、市場原理が働かなかったから、ここまで財政赤字が膨れ
 上がったわけですが、そこにIMFが介入してくると思います。
・現役世代の社会保障はまさに若者の犠牲の上に成り立っていて、その犠牲があまりにも
 大きい以上、彼らが拒否権を発動できる仕組みが、ぜひとも必要だと思うのです。
・資本主義とは最悪の制度である。ただ人類は、それ以上の制度をいまだ発明していない。
・資本主義が行き詰まったから日本もダメになったのではありません。社会主義だからダ
 メなのです。その認識が非常に重要です。
・外国人の間では「日本は世界で一番の社会主義国家」というのは常識だ、と聞いたこと
 があります。
・資本主義とじゃ「多くの人間が市場に参加し、市場が資源の最適配分を決める」仕組み
 ですから、資本主義は市場が存在して初めて成り立ちます。資本主義=市場主義なわけ
 で、市場機能が働かないのは、まさに社会主義国家なのです。
・大きな政府があって、規制が多くて、結果平等の税制がある」これが私の定義する社会
 主義国家です。もっと政府が大きくなると共産主義っぽくなるし、さらに税制ばかりに
 なると共産主義になるし、まったくの結果平等税制になれば完璧な共産主義になるとい
 うことです。
・世界で一番大きい銀行であるゆうちょ銀行が国営なのです。世界最大の国営銀行を持つ
 国を社会主義国家と呼ばず、何と呼ぶのでしょう。ゆうちょ問題とは、「全国一律のサ
 ービスを提供するか否か」が問題なのではなく、ゆうちょ銀行が莫大なお金を集めて、
 それを国債ばかりに投資しているから問題が起きる。それを何とかしなくちゃ日本の将
 来はないということです。
・国民皆保険制度、しかも公的なものは、世界ではかなりユニークな制度ともいえるので
 す。日本人は皆、公的な社会福祉制度があるのはあたりまえだとおもっているのでしょ
 うが、それは歴史的にみても、地域的にみても、常識ではないのです。
・米国では、公的年金の加入は強制されてはいません。健康保険も公的ではありません。
・米国は、「過剰な社会保障は国の財政赤字に直結する。健康保険に入りたいのなら、民
 間の保険に入ればいい」という発想の人が多かったのです
・日本の手厚い公的年金社会保障は、世界では常識ではないという認識が重要です。手厚
 い公的社会保障の国は、それがゆえに財政赤字も大きくなっているわけです。
・年金制度は80%の納付率を前提に設計されているにもかかわらず、4割上もが国民年
 金の保険料を払っていない。すなわち国民が国に期待していないサービスを、国が国民
 に強制する必要があるのかと疑問が残りますし、本当に制度が持続可能なのかも心配に
 なります。
・日本の課税最低限が、先進国の中ではフランスと並んでダントツに高い。そのせいで、
 国民の3分の1ぐらいしか所得税を払っていないようです。ちなみに、課税最低限は、
 4人家族(妻と子ども2人)の給与所得者で325万円で、月27万円です。月収27
 万円以下の人は所得税を払わなくてもいいのです。
・「225.5万円以下の収入の人の割合が多い日本は、貧困層が多い国だ」と言ってい
 るわけですが、私は強い抵抗感を覚えます。
・国内総人口の35%以上の人たちが栄養不足の国は、世界には27ヵ国あると聞きます。
 そういう国を「貧困層の多い国」というのであり、「225。5万円以下の収入の人の
 割合が高い日本は貧困層の多い国だ」というのには抵抗があるのです。
・日本のような絶対的貧困国ではない国での過剰なる平等思想は、単なる悪平等で、経済
 の低迷を長引かせるだけではないでしょうか。 
・「中間層とは年間5千ドル以上の世帯」ということなのです。5千ドルとは40万円で
 す。年間収入40万円以上は中間層の世帯になるのです。その定義だと、きっと日本人
 はほぼ全員が中間層以上です。
・富裕層とは年間3万5千ドル以上、すなわち280万円以上の世帯なのですから、日本
 には(世界標準でいうところの)富裕層でも、所得税を払っていない人がいるわけです。
・グルーバルスタンダードでは年収280万円以上で富裕層入りするのに日本では325
 万円までは課税最低限以下なので所得税を払う必要がないとは驚くべきことだと思いま
 せんか? 
・外国人が一様に、「日本は世界で一番成功した社会主義国家だ」と言うのです。
・大企業の社長とフリーターの年収の差など、外国人の目からみれば、なきに等しいと言
 えます。
・2012年2月時点で生活保護受給者は209万7401人だそうです。過去最高の更
 新が続いているそうで、2012年度の支給は3兆7千億円。法人税収の約半分という
 ことです。
・生活保護受給者は戦後の混乱期は200万人を超えていたのですが、いまは209万人
 です。戦後の200万人はよくわかります。あのころは生活が本当に苦しい人が多くあ
 ったと思うからです。しかし、当時とほぼ同じ数の受給者がいるというのは、なにかし
 っくりきません。いまの日本は戦後と同じくらい貧乏なのか、という疑問がわくからで
 す。そんなことはないと思います。そうではなく、支給の基準が甘くなり過ぎたせいで
 はないでしょうか。
・生活保護なしでは本当に生きていけない人を助けるのは国の義務です。しかし、「生活
 保護支給額が高すぎて皿洗いが集まらない」という話をレストラン経営をしている友人
 から聞きましたが、その事態は間違いだと思うのです・「働かざる者食うべからず」と
 いう言葉はどこにいってしまったのでしょうか。
・フランスだったと思うのですが、生きているときにくにから特別の援助をもらっていた
 人は、死んだ後、住んでいた家を国に渡すなどして、生前、特別に援助してもらった分
 を国に返却するそうです。生活保護をもらう際、生活拠点の家を売却するわけにはいか
 ないでしょうから、非常に合理的な考え方だと思います。
・日本のように生活保護をもらって生活し、死後、数千万円する自宅を子どもに相続させ
 るのは、どう考えても不公平な気がします。日本でも本当に必要な人のみが生活保護を
 受ける仕組みをつくることが必須でしょう。
・日本の会社の社長と新入社員の給料を比べてみたことがありますか。少なくともこの程
 度の給料の格差は、是正を図る必要などないと私は思うのです。
・米国の主要500社の社長の平均が10億円なのに対し、日本の企業の雄、トヨタの社
 長・会長は1億円ちょっとなのです。
・日本経済全体にとって、悪平等は日本大沈没の原因となる。
・いまの日本の医療制度はエコノミークラスしかない、いつ墜落するかもわからないオン
 ボロ飛行機に乗っているようなものだ。ファーストクラスやビジネスクラスを設置する
 ことによって飛行機会社も儲かり、安全で近代的な飛行機を購入できる。そうなればエ
 コノミークラスの人たちも、快適な空の旅を楽しめるようになるのだ。
・私の予想する財政破綻が起きれば、公的保険に頼っている、いまの健康保険制度は崩壊
 します。
・日本では、優秀な科学者でもボンクラ科学者でも、報酬の意味では格差はないのです。
 けっして報酬のためだめに研究しているわけではないでしょうが、日本人は、あまり報
 酬に無頓着です。東大には「菓子折りで、くれてやるのか先端技術」という川柳もある
 そうです。 
・日本には是正すべき格差などありません。それなのに格差是正が政治の中心課題となっ
 てしまったから、どんどんパイが小さくなってしまいました。パイをどう切り分けるか
 ではなく、パイを大きくする国にしなくてはいけないのです。市場原理が働く真の資本
 主義国家にしなくてはいけないのです。
・政府の仕事のもっとも基本たるものは「国民の生命と財産を守ること」で、これはどこ
 の国でも共通です。いま、多くの国が直面している課題は、高福祉(=所得再分配)を
 してきた結果、財源不足で財政破綻のリスクを抱えるに至ったということです。つまり、
 「政府機能がマヒする財政破綻」か「ハイパーインフレに陥る」かの悪夢の選択が目前
 に迫っているのです。
・そもそも年金等の社会福祉は「国民があんていした生活を送れることによって、暴動や
 革命が起こらず、国民が財産や生命の危機にさらされることがなくなる」というロジッ
 クでつくられたものです。格差是正自身が目的ではなく、「国民の生命と財産を守るこ
 と」が究極の目的だったのです。
・過剰なる社会福祉は、財政破綻の危険をもたらし、増税につながる。日本のように、財
 政破綻状況になったから、そのために増税するというのは、国民の財産を奪うことなの
 です。
・「過剰なまでに格差是正を求める」社会主義的思想を追求するより、日本経済がこれほ
 どまでに落ちぶれてしまったことに気づくべきです。
・日本周辺のアジア諸国では、通貨切り下げ競争が起きているが、政治的な理由で円ドル
 為替レートをあまり動かせないとすれば、日本経済はこれから大変である。為替調整も
 賃金調達もできずに財政に負担を強いると、財政が破綻して、長期的には大幅な円相場
 の下落が起きるだろう。
・行政サービスの内容は国によって異なり、英国では安全保障、教育、弱者への医療など
 最低限の社会保障に限定されてきた。英国のように、最小限社会福祉にとどめていた国
 のほうが、手厚い福祉を提供する国より民間経済の勢いが強い。少なくとも企業活動
 の自由度は高く活気もある。国家政府による行政介入の少ないことと並んで、社会福祉
 負担も軽くしていることが、米英型の株主資本主義の重要な側面である。

おわりに
・ここまで累積赤字が蓄積した日本は、遅かれ早かれ、借金ができなくなると思います。
 消費税上げは財政破綻、またはハイパーインフレの時期を多少遅くするかもしれません
 が、10%への上げくらいではどうにもなりません。
・やむを得ず紙幣を増刷する道を選ぶ可能性が高いと思いますが、当然の帰結としてハイ
 パーインフレが起こります。それによって国民の富は政府に移行するのです。これで政
 府の莫大なる借金は実質的にご破算となります。しかしこのときは、株、債券、円など
 が暴落するとともに、失業者が町にあふれるなど社会的大混乱が起きるでしょう。です
 から国民は、外貨建ての資産の購入などで自分の資産を守らなければなりません。
・現在日本で閉塞感を生み出している円高や巨額の財政赤字は、市場機能が働かず、市場
 が微調整をできなかったゆえに、おできが大きくなった結果です。政治が何も決められ
 ないのも、市場がチェック機能を発揮できなかったからです。
・日本人は残念ながら、自分で自分を変えられないでしょう。明治維新も、第2時世界大
 戦後の大変貌もすべて外圧に頼っています。
・今回も財政破綻時にIMFが日本経済の立て直しのために日本に介入してくるでしょう。
 IMFの力により、日本は本当の意味での資本主義国家になると思います。
・いまの44兆円の赤字を所得税のみで埋めようとすると、税率を3倍以上に上げなくて
 はなりませんから、当然消費税に頼らざるを得ません。こうなると社会保障を手厚く受
 けている人を含め、日本国民全員が社会保障のレベルを真剣に考えざるを得なくなりま
 す。高福祉社は高消費税率でしか達成できないのですから。
・円安が競争力向上の大きな武器になります。ただ終身雇用制は崩れ、競争は激しくなり、
 本当の実力社会が到来するのです。成功した人は欧米並みの高級を得ることになるでし
 ょう。
・円安ですから工場は日本に戻り、日本人の仕事はあり余るほど増えます。欧米並みの高
 級をもらえない人でも、いまの所得よりかなり多くなると思います。会社だけではなく、
 社会全体が競争社会になるのは事実です。
・クラッシュの後、きちんと社会主義国家から資本主義国家にシフトできれば、円安の恩
 恵とともに、日本の未来は輝くのです。そのうち強くなった国力を背景に今度は円が強
 くなり始め、過度なインフレを防いでくれるのです。市場を大きくして、市場が働く仕
 組みを確率すれば、市場が微調整をして経済の自動安定装置の役割を果たしてくれるよ
 うになるのです。