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昨今の国際経済は、まさに大激震期に入った感じである。日本の経済はもちろんのこと、
アメリカもヨーロッパも、ヒタヒタと危機的状態に近づいている感じである。特にヨーロ
ッパでは、ギリシャがもうデフォルトは避けられない状態に陥っており、もしギリシャが
デフォルトに陥れば、連鎖反応的にヨーロッパの数カ国で、同じようなことが起こると言
われている。
そうなれば、日本もただでは済まないだろう。元々日本は、財政的に厳しい状態であった
ところに、あの大震災である。これから大震災の復興のために、巨額の公的資金を投入し
なければならない。そうなれば、日本の国家財政は、ますます窮地に立たされるだろう。
日本のデフォルトも、ますます現実味を帯びてきた感じがする。
それなのに、今の日本の政治の低落さはどうだろう。国会議員定数削減や公務員制度改革
が叫ばれて久しいが、まったく手を付ける気配すら感じられない。考えることは、手っ取
り早い増税ばかりである。果たして、弱り切った日本経済は、この増税に耐えられるだろ
うか。
そんなことを考えると、もはや資産運用などというような平和ボケ的なことを考えている
場合ではないような気がする。なけなしの自分の資産をいか守るか。デフォルト時代をい
かに生き抜くか。それを真剣に考える時が来ているように感じてならない。
それにしても、終章にある「アップル社ジョブズ会長のスピーチ」の内容には感動した。

まえがき
・われわれは今までのやり方を変えなければならない。公共事業に頼り、時に談合を行い
 道路を掘っては埋めるようなことをいつまでも繰り返す。そんなところに投資のマネー
 を投入していてもわれわれに未来はない。
・一人ひとりが賢い投資家になることでマネーは最適に利用されるようになり、日本の、
 そして世界の成長に役立つ。

第1章 震災でマネーの流れが変わった
・震災によって首都圏の地価マップが劇的に変化した。高層マンションは怖い。麻布、青
 山、赤坂の地区、人気の高いこの地域の高層マンションの価格が震災後一気に下落し
 たのだ。
・ひとことで言うと、これまで「資産」だと思っていた不動産は、震災を機に一気に「リ
 スク」となってしまったのだ。とりわけ集合住宅においては、その「リスク」は大きい。
・現在の建築基準法では地震に対して震度6強から震度7まで耐えられる構造が求められ
 ているが、現在、日本国内には震度5強までなら耐えられるという旧耐震基準法で建て
 られたマンションが全体の5分の1あるという。
・「資産」だと思っていたマンションが原因で他人への補償金を払う羽目になる。こうい
 った状況が出現するに及んで、人々の不動産に対する見方が変化し始めた。
・マンションだけでない。千葉県浦安市の一戸建て住宅が、地震による液状化で家そのも
 のが3cm傾いてしまった。
・それだけではない。原発事故の影響で日本の首都・東京はブランド力を完全に喪失して
 しまったのである。結果は東京の不動産価格全体の地盤沈下だ。
・イタリア人はチェルノブイリ原発の事故直後、国民投票ですべての自国原発を停止し
 ただけに、原発事故にはことさら敏感だ。
・フランス政府が東京に住むすべてのフランス人に「国外退避」か「国内移動」を勧告し
 た。国内電力の80%を原子力で賄う原発大国フランスも、日本の原発事故と事故処理
 に危機を感じたようだ。
・2011年4月の東京、帝国ホテルの稼働率は34%にまで落ち込み、ホテルニューオ
 ータニに至っては稼働率が20%へと低落してしまった。
・大震災のあとには恐慌がついてくることがある。私たちはすでに関東大震災後の昭和恐
 慌と、阪神淡路大震災後のデフレ不況を体験した。
・神奈川県沖を震源地として起きた関東大震災(1923年)の直後、巷には噂やデマが
 大量に流され、東京は大混乱に陥った。そして4年後の1927年、昭和大恐慌が起き
 る。
・阪神淡路大震災(1995年)では、2年後にデフレ不況が起こっている。関東大震災
 と阪神淡路大震災の共通点は、不況のさなか震災に見舞われ、さらなる不況を呼び込ん
 だことだ。「東北地方太平洋沖地震」と名づけられた今回の地震も同じ不況下で起きて
 いる。
・日本の国債発行残高は759兆円(2011年3月末)。これに借入金、政府短期証券、
 政府保証債務を加えれば、日本政府はトータルで969兆円の負債を抱えている
 ことになる。そういつまでも国債発行にばかり頼っていられない。
・消費税を上げれば人々はますますお金を使わないようになる。
・いずれにせよ日本は復興財源のかじ取りを誤れば、これから先ますます底の見えない不
 況へと落ち込んでいくことになるだろう。いまわれわれに必要なのは小さくて効率的な
 政府である。
・民間企業が生き残りのために乾いた雑巾をさらに絞っている状況に比べれば、政府部門
 はまだまだ無駄が多いと思う。
・日本人がこれを機に原点に戻れば、日本企業は過去20年に及ぶ茹でガエル状態から脱
 し、力強く復活できるかもしれない。
・もう信じられない。日本株はとても買う気になれない。クロをシロと言い張る「既得権」
 型の日本企業の株はごめんだ。癒着と談合、馴れ合いで大きくなってきた日本企業の株
 はとても買う気になれない。
・日本について、長期的にはとても心配しています。最大の問題は人口減。日本は世界各
 国の中で最も深刻です。さらに、日本政府は巨額の借金にも悩まされています。人口が
 減る一方で、借金は増えていく。こうした状況で何も手を打たなければ、いずれ最悪の
 事態を迎えます。最近、一部の格付け会社は日本国債を格下げしましたが、日本人は現
 実に向き合わなければいけません。
・東北地方は再建しなければなりません。しかし、他への支出はなるべく避けるべきです。
 役に立たない道路などの建設はやめること。
・日本でもかつてのイギリスやポルトガルと同じようなことが起きつつある。この危機を
 回避するための方法として、人口の増加と外国人や外国資本を受け入れることを提唱す
 る。日本はアジアの国際金融センター、商品取引センター、教育センターにもなり得た
 のに、それを果たせなかったのは外国人や外国資本を拒否していたからだ。
・国家の無策に呆れたり腹を立てたりするばかりでなく、私たち個人個人も大幅な変化
 を強いられている。しかし、固定観念や慣習を劇的に変えるのはむずかしい。いったい
 今後、何をどう変えれば自らの「マネー崩壊」を防げるのだろう。とくに中高年世代は
 自分たちの「マネー」を崩壊させてしまえば、老後の見通しが一気に狂うだけに状況は
 より一層深刻だ。
・東北を震源とした巨大地震が東京にも波及したあの日、「帰宅難民」と呼ばれる人が初
 めて出現した。JR各線は早々と運行をとりやめ、渋谷駅、新宿駅などでは非常にもシャ
 ッターが閉まった。あふれかえった人たちは幹線道路を徒歩で自宅へと向かった。
・「帰宅難民」体験をした多くの人が、「職住接近」の利点を改めて考えたにちがいない。

第2章 資産がメルトダウンしていく
・日本人の個人金融資産は1476兆円にも上る。世帯主が60歳代の世帯の平均貯蓄残
 高は2300万円を超える。これだけの資産を抱えているにもかかわらず「老後は安泰」
 と考えている中高年はほとんどいない。国全体を覆っているのは「老後への不安」であ
 り、「閉塞感」だ。
・日本国債の残高を無尽蔵に膨らませることもできないだろうから、政府はいずれ消費税
 を上げてくるだろう。年金についても支給開始年齢を遅らされてしまうかもしれない。
 厚生労働省の言う年金「100年安心プラン」では2010年の賃金上昇率を3.4%
 と見ていた。
・死ぬまでいくら必要か。そんなことは考えたくもないし、細かく計算したこともない。
 しかし今ある資産ではもしかすると老後を乗り切れないかもしれない。
・自分がいま持つ資産がこれから先、メルトダウン(溶け落ちる)してしまうのではない
 かという恐怖だ。
・日経平均株価は過去5年間で36%下落した。過去10年に遡れば29%の下落。20
 年まで遡ると下落率は実に61%にも達する。
・今からちょうど10年前、アルゼンチンがデフォルトを宣言し、国民は自分の預金でさ
 え銀行から下ろせなくなってしまった。
・震災後、計画停電が有無を言わさず強行されたように、預金封鎖もある日突然やってく
 るかもしれない。有無を言わさずに。多くの人は「まさか」と思いながらも、頭の片隅
 では「もしかすると」といった不安を持っているのだ。
・天災はいつまた襲うかわからない。とくに首都圏、東海圏に自宅を持つ人の不安は大き
 い。たとえ今回の地震被害が微々たるものだったとしても、つぎに大地震が起きたらど
 うなるのか。首都圏直下型地震が予測される東京周辺の方や、東海大地震の予測範囲に
 家が含まれる東海・中部地方の方々の恐怖は、並大抵のものではない。ましてやマンシ
 ョンや家の老朽化問題を抱えている人、津波や液状化の被害に見舞われるかもしれない
 海沿い・川沿い埋立地の住民からは、「できるならすぐにでも引越ししたい」との声が
 上がっている。
・老後はいくら必要か。モデルケースで算出すると1億777万円となる。これから年金
 総額7274万円を引くと3502万円不足することになる。世帯主が60歳代の世帯
 の平均貯蓄残高は2300万円を超えると述べたが、これだけあっても不足分3502
 万円は埋めきれない。
・身体は着実に年を取っても、思考パターンは若いころとあまり変わらないものだ。資産
 の運用に関しても、つい若い頃と同じように考えがちだが、これを「中高年」に改めな
 いと大きな落とし穴にはまりかねない。
・たとえば30代の人が運用するなら、定期的な給与収入もあるし、最終的に30年、40
 年後に儲かればいいのでリスクもとりやすい。だが、給与収入が途絶える定年後の運用
 は、リスクをとると老後の蓄え分も失いかねない。
・案外身近なところに「危険」は転がっている。いや、これから先まとまった退職金が入
 るあなたを狙って、さまざまなところから誘惑の手も伸びてくるのだ。
・それでなくても難しい世の中だ。人の言葉に騙されて自ら率先して自分の資産をメルト
 ダウンさせてしまうようなバカなことをしてはいけない。
・サラリーマン時代の定期収入を失ってからの借金は、定年後の生活に必要な退職金や年
 金を返済に回すことになるので、負のスパイラルに陥る危険性もある。
・投資の世界にさまざまな格言があるが、「1とのカゴに卵を盛るな」もその一つ。たく
 さんある卵を一つのカゴだけに入れておくと、そのカゴが落ちた場合すべての卵が割れ
 てしまう危険性がある。
・退職金はたとえば半分は定期預金、残りの半分は運用にまわしたらどうだろう。人によ
 っては預金8割、運用2割でもいい。
・定期預金よりも普通預金のほうが換金性が高いが、たとえば3年ものの定期預金をすぐ
 に解約しても、普通預金とほぼ同程度の金利が付く。
・一つの銀行に預ける預金は1000万円までにして預け先を分散させたほうがよい。
・運用についても絶対確実はないということを知って、運用先を分散させる。そしてこま
 めにニュースをフォローして危ないと思ったらすぎに運用先を変える。
・繰り返して言うが、運用に絶対安全はない。だからこそ、複数のカゴに卵を分けておく
 スタンスが重要なのだ。
・老後の不足金が埋まらない場合はどうするか。答えは2つだ。生活の質を落とし、老後
 の必要生活資金を切り詰める。あるいは退職後も何らかのバイトをして少額でも収入を
 得るようにする。収入を府や増やすか支出を減らすかの2つの方法しかない。
・ファイナンシャル・プランナーに言わせると、「3%くらいの利回りで安定運用すれば、
 不足分は解消されます」「分散投資をすればリスクを押さえて3%の利回りを実現でき
 ます。ポートフォリオの半分は先進国債券、残り半分は日本株、先進国株、新興国株、
 世界リートに均等に分割しましょう」しかし3%の利回りでコンスタントに運用してい
 くというのは大変なことだ。
・「3%の利回りを実現させましょう」などという言葉を信じてはいけない。こういった
 言葉に乗せられてしまうと、あなたの資産はメルトダウンを始める。

第3章 震災後のマネー術
・「一寸先は闇」この言葉の意味を、われわれは今回の震災で改めて突きつけられた。同
 時に、安心のシンボルだと思っていたマイホームや、かつて「優良」と呼ばれた株もア
 テにはならない、ということも学んだ。
・今、一番強いのは現金を持っている人だ。
・この先何が起こるか、経済学者でさえ意見が割れている。デフレが続くのかインフレが
 やってくるのか、円高が円安か。今の日銀の方針がよいのか悪いのか。
・日本の場合も、国債がどうなるか不透明な状態だ。2001年にデフォルト宣言したアルゼンチンの二の舞にならないとも限らない。当時のアルゼンチンは年率40%のイン
 フレが進行し、失業率は30%近くに達するなか、預金封鎖を行った。
・ある日突然、日本国債を買う人がパタッと途絶える日がやってくるかもしれない。そう
 なったら、2001年のアルゼンチンのように急激なインフレが起こり、100万円で
 買った国債が50万円になることもあり得る。
・そんな事態が間近に迫ってきたと分かったとき、自分の資産をすべてドルに変えるなり、
 不動産を買っておくなり、即座に対応する必要が出てくる。その肝心なとき、あなたの
 資産を複雑な仕組債や換金に制限がかかったファンド、一部の投資信託などに投資して
 いたら、簡単に現金化できない。不確実な時期には、チャンスをつかむ意味でも、ピン
 チをしのぐ意味でも、すぐに換金できる資産が大事なのだ。 
・もちろん現金をたくさん手にしたまま激しいインフレに突入したら大変なことになる。
 アンテナを張り巡らせ、危険を察知する。自分の資産を守り資産で成功するには、優
 良な情報を入手し、不穏な動きを察知する努力を怠ってはならない。
・今回の原発事故で大新聞の報道はあたかも大本営発表を追従するようで意外と参考にな
 らないことに気づいた人も多いだろう。これから先、万が一、日本の経済情勢が怒涛の
 波に巻き込まれていくとした場合、日本の新聞だけに頼っていては危険だ。
・戦後の高度経済成長期には活力に溢れていた日本も、いつの間にかまったく成長のない
 国になってしまった。われわれ投資家はそれを嘆いたり分析するより、さっさと日本市
 場に見切りをつけて世界に目を向けたほうがいい。
・アジアに目を向けると、その輝きは眩しいほどだ。たとえばベトナム、タイ、中国には、
 日本の高度成長期に見られるような、がむしゃらなパワーがある。国全体として見れば
 貧富の差が激しいなど問題点はあるだろうが、それだけに豊かな暮らしへの渇望は強く、
 目の色が日本人とはまるで違う。生きるため、豊かになるために必死に前に進もうとす
 るパワーが実に爽快だ。
・これからは日本企業にこだわらず、勢いのある企業を応援したい。投資に関してここで
 発想の転換を図らなければ、時代の波に乗るどころか、さらに深みに沈み込むことにな
 ってしまうのだ。
・個人として直接株を購入するのではなく、新興国に積極的に投資している投資信託を買
 ったらどうか。これも買ったとたん1.0〜3.0%程度の申し込み手数料を取られる
 うえ、毎年1.2〜3.0%の手数料(信託報酬等)を取られるものが多い。新興国の
 波に乗るどころか手数料倒れに終わってしまう可能性が高い。途上国の企業に直接投資
 するのは、やはりむずかしい。だか、直接的に新興国の成長に乗って利益を得る方法が
 ある。それらの国々で積極的に事業を展開しているグローバル企業の株を買う方法だ。
・米国の株価上昇率と日本の株価の下落率は、まさに対照的だ。日本は4分の1になった
 が、米国は4倍になった。つまり日米で16倍もの差がついてしまったのだ。これだけ
 差がついてしまったことの要因の一つとして、企業が世界のマーケットに目を向けたか
 どうかの差が挙げられる。
・高い伸び率を示しているのは米国や欧州以外の地域。主として新興国である。であれば、
 われわれ投資家としては何もインドネシアの企業を研究して、リスクを取ってインドネ
 シアの株を買う必要はない。世界の新興国に現に足場を築き、新興国の成長を補足でき
 る体制を整えているグローバル企業に狙いを定めて投資していく。こういった手段があ
 る。そして恐らくは、その方が理にかなう。
・米ダウ平均株価に採用されている30社の株であれば、ネット証券で2000円程度の
 手数料で購入することができる。流動性・換金性にも優れ、売りたいときにはいつでも
 売って現金化できる。流動性を確保しながら新興国の成長の波に乗ることができるのだ。
・投資信託は銀行にとっても証券会社にとっても、うまみのある商品である。リスクをな
 くして儲かるからだ。逆に言えば、これを買う投資家はリスクを取らされたうえに、手
 数料を払わされる立場に置かれる。投資家にとっては、あまりうまみのない商品なのだ。
 実際「この投資信託で儲かった」という人があなたの周りにはたしてどれだけいるだろ
 うか。
・投資信託の場合、買う時に1.0〜3.0%程度の申し込み手数料を取られるうえに、
 毎年1.2〜3.0%の手数料(信託報酬等)を取られるものが多い。なかには売却し
 て現金化(換金)するときに手数料を取られるものもある。
・投資信託の運用は委託会社が行う。その道のプロであることには間違いないが、日本の
 場合はしょせんサラリーマン。もし失敗しても会社を辞めさせられるわけではない。個
 人投資家と違って自分たちの資産が減るわけでもない。プロが運用するから大丈夫とい
 った言葉に軽々に乗せられないように注意したい。
・さらに付け加えると、申し込み手数料や毎年の手数料(信託報酬等)を打ち返して、
 これを上回るだけのリターンを運用で上げるのは実に大変なことなのだ。世界的に低金
 利が続く中ではなおさらのこと、手数料以上のリターンを上げるのが難しくなる。
・日本では、投資信託の中でも毎月分配型のものが7割を占めている。年に20〜30%
 も分配される商品の最近出ているので、年金生活者などに魅力的に映るのだろう。なか
 には「分配金」=「儲け」と誤解されるような説明をするセールスマンもいる。だが、
 分配金が必ずしも儲けとは限らない。元本を減らして分配金を払うようなケースでは、
 タコが自分の足を食っているようなものだ。
・たとえは退職金2000万円を定期預金にすると、数日後に銀行の人が自宅にやってき
 てこう囁く。あるいは2000万円の定期預金を設定しようとした、その時に銀行の窓
 口でこういった会話がなされるかもしれない。「私ども権校の損になるようなお話は本
 来したくないのですが、退職金すべてを定期預金になさるのはもったいない。昔なら定
 期預金は年6%の金利がついていたましたが、今はたったの0.03%。2000万円
 お預けになっても、付くお利息はたったの6000円です。半分ぐらいは運用にまわさ
 れたらいかがですか?」運用はもちろんその道のプロが担当いたします。
 こちらの投資信託は毎月配分金が出ますのでお孫さんにプレゼントなど買って上げられ
 ますよ。
・ポートフォリオとか、リスク、リターン、分散投資といった言葉が説明に説得力を持た
 せる(実はこういった言葉を使うように研修で始動されているケースが多い)。
・EB債はかなり売れた。しかしその内容はというと、ほとんどの場合とんでもないもの
 であった。買った人に無限大の株価下落リスクを取らせ、一方では株価上昇のメリット
 はほんの数パーセントまでしか与えない。
・ごまかされて損をしないためには、よく分からない名前の商品には手を出さない。「高
 金利」「為替市場でドルが○○円になったなら」といった条件がついている商品も避け
 る。
・仕組み商品の裏に隠されているオプションなどの本当の価格は、商品を売っているセー
 ルスマンでさえ知らない。知っているのは商品を作り出した金融工学に長けた専門家だ
 けだ。したがってこれを購入している投資家は実のところ生半可な理解のまま、こうい
 った商品を購入していることになる。被害ななかなか表面化しないのは、「騙された自
 分がばかだった」と思い、泣き寝入りする人が多いからだ。
・日本の投資家のうち大半の方が、塩漬け株や投資信託を今も持っていることだろう。こ
 のままではいけない。誰もがそう思っているはずだ。そう、塩漬け株とは決別したほう
 がいい。しかし、潔くそれを実行できる人は意外と少ない。
・要は今の株価を起点にして、5年後に伸びるのはどの会社かを考えることだ。株式投資
 とは過去を振り返るものではなく、企業の未来に賭けるものである。
・塩漬けとなってしまった株というのは、理由があって塩漬けになってしまった株なのだ。
 成長戦略に狂いが生じたとか、大企業病に陥ってしまったとか、経営者に問題があった
 とか、何らかの理由があって企業価値が減価してしまったのである。
・塩漬け株となってしまった多くの日本企業はいまだに「世界的に金融危機の影響で・・」
 と業績不振の言い訳をしている。そういった企業にいつまでも付き合っていても状況は
 好転しない。むしろズルズルと損失が拡大していってしまうリスクの方が高い。
・2011年3月11日。この日以降、あらゆるものの流れ、あらゆる価値観が変わった
 はずだ。その日をいま一度振り返れば、塩漬け株を持つことの無意味さが自ずと分かる
 と思う。過去を引きずっていては未来は開けない。
・狭い日本から世界に目を向け、一人ひとりが賢い投資家になることで、マネーは最適に
 利用される。それがひいては人間社会にとってプラスに作用する・「立ち止まる日本」
 のリスクをある程度回避することもできる。

第4章 日本を超えたところに成長あり
・ETFの場合、毎年信託報酬を取られてしまう。たとえ0.2%程度の低率であったと
 してもバカにならない。そして、その結果得られるのは、「市場平均並みのリターン」
 マイナス「信託報酬手数料率」という「正味のリターン(運用結果)」だ。
・「そろそろ頭打ちだな」こう思えて来たら核の購入は控えて、その時に株を持っている
 人は逆に、売却を考えた方がいい。
・残念ながら日本経済は過去20年間あまり成長してこなかった。日経平均株価は、20
 年前は2万5000円だったが、今ではその約4割の9500円前後だ。20年経って
 60%安になったということである。
・株式投資の世界では、一般的には鉄鉱石、原油などそれぞれのマーケットで第1位の会
 社の株を買っていく方が、「中途半端な事業内容の寄せ集めの会社1社」に投資するよ
 りも高いパフォーマンスを上げると考えられている。

第5章 「利回り」と「換金性を狙う
・金は200年から10年以上、一貫して右肩上がりで上昇を続けている。その背景にあ
 るのは、ドルを始めとする通貨全体に対する信認性の低下だ。
・有史以来、人類が世界中でこれまでに掘り出した「金」の総量{地上在庫)は約17万
 トン、オリンピックプール3杯半ほどにしかならない。
・世界では、金の価値に重きを置いて、代々、金を持ち続ける人々もいる。ベトナムの富
 裕層もそれで、フランスに占領されてもアメリカと戦っても、隠し持っている金で凌いで
 できた。
・中国やインドは、最近になって政府が金を多く保有するようになった。ドルやユーロだ
 け持っていては外貨準備資産としていずれ危なくなる、読んでの措置かもしれないが、
 中国やインドの動きがまた金の価格上昇を招く結果にもなっている。
・今、金に投資すれば、あと1年ぐらいは儲かるかもしれない。だが、私は買う気になら
 ない。17世紀のオランダで大ブームになった珍種のチューリップ球根に賭けるのと同
 じで、投資ではなく投機的な側面が強いように思えるからだ。
・この世界では、病的な用心深さと、それ以上の臆病さを持ち合わせている奴だけが、生
 き残れる資格を持っている。
・気を付けなければならないこともある。豪ドルにしてもブラジル・レアルにしても、こ
 の10年の間に数カ月で為替が約半値になるという暴落を経験していることだ。リーマ
 ンショックで海外の投資家が一斉に資金を引き揚げて自国通貨に変えたことなどの事情
 によるものだが、こうしたリスクがあることを認識しておく必要がある。
・オーストラリアは資源価格高も手伝い、最近の経済はたしかに順調だ。しかし、何せ経
 済の底が浅い。人口はたったの2200万人。東京都と神奈川県を足し合わせた数しか
 人がいない。資源の輸出国としては強い力を誇るが、カメラも車もつくっていない。資
 源は豊富だが、オーストラリアには世界を牽引するような、これといった製造業がない
 のだ。
・たとえ余裕資金の運用であっても期間は1か月程度にして、これをロールオーバー(再
 設定)するといった形の方が無難かもしれない。1年間という期間を設定すると、為替
 が激しきアゲンストに動き始めたとき、下ろすに下ろせないということになりかねない
 からだ。
・やはり米ドル投資で「利回り」と「換金性」を狙うには、米国債が一番だ。
・人の儲け話に付き合って、自分も同じ真似をすると火傷をする。つまり「設けた」と語
 られる話に乗ったところで、自分にもその幸運が巡ってくるチャンスはほとんどないの
 である。しかし現実は、「これで儲かった」と言われると、つい同じことをやりたがる
 人が多い。投資の「マネー本」に「これで儲かる」というような記述が並んでいると、
 深く調べもしないで実行してしまう人も多い。
・基本的にはゼロ・サムゲーム。FXからは何の価値も生まれない。宝くじに当たる人が
 いるように、FXで儲ける人もいるだろう。だが、もしFXを始めるなら、あらかじめ
 10万円というように額を決めて、それが無くなったらやめるというルールを自らつく
 ることをお勧めしたい。
 
終章 死ぬ前にどう生きるか(アップル社ジョブズ会長のスピーチより)
・人は未来を見通して点と点とを繋げて見ることはできない。できるのは過去を振り返っ
 て繋げることだけだ。だからこそ点と点とは将来それが何らかのかたちで繋がっていく
 と信じなくてはならない。自分の直感、運命、人生、宿命、何でもいい、そういったも
 のを信じなくてはならない。
・点と点とが自分の歩んでいく道の途上のどこかで必ず1つに繋がっていく、そう信じる
 ことで人は確信を持って己の心の赴くままに生きていくことができる。たとえそれが人
 と違う道を行くことになってもだ。そしてこう信じることこそが人生に決定的な違いを
 もたらせるようになる。
・時として人生は我々の頭をレンガで殴りつける。しかし信念を失ってはいけない。私が
 困難にもめげずにやってこられたのは、煎じ詰めれば、自分のやっていることが好きだっ
 たからだ。
・あなたたちも自分がやって好きなことを見つけなければならない。好きだということ、
 愛するということ、恋人に対してそういう感情を持つのと同じように、仕事に対しても、
 好きだということ、愛するということが重要だ。
・あなたたちにとって仕事が人生に占める割合は大きい。したがって人生に真に満足でき
 る方法はただ一つ。あなたが素晴らしいと信じる仕事をやることだ。そして素晴らしい
 仕事をする方法はただ一つ。自分のしていることが好きで愛せねばならない。好きなこ
 とを仕事にすることだ。もしまだ好きなことが見つかってないならば探し続けることだ。
 妥協してしまって好きでもない仕事に就いてはいけない。
・好きということは心が感じる ことだから、すべての心が感じることがそうであるよう
 に、どんな仕事が好きかという ことは自然とわかる。あなたが好きな仕事に出会え
 ば、あなたは自ずとそのことがわかるようになる。
・そして好きということがベースにある関係は、それが仕事とあなたとの関係であっても、
 あたかも恋愛関係のように、年が経過するごとにどんどん良くなっていく。だからそう
 いった仕事に出会うまで探し続けることだ。好きでもない仕事で妥協してしまっては
 いけない。
・毎日、これがあなたにとって人生最後の日だと思って生きる。実際にその通りになる。
 誰にもいずれは必ず人生最後の日というのがやってくるのだ。
・もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることを私は本当にや
 りたいだろうか。
・自分は遅かれ早かれ「いずれは死ぬ」、そのことを思い出す。これは私が人生で重要な
 選択を迫られた決断を下すとき、もっとも役に立つ方法だった。
・自分もいつかは死ぬということを思い出す。このことは、自分は何か失うものがあるん
 じゃないかと思ってします「わな」に陥るのを避ける最善の方法だ。われわれは失うも
 のがあると恐れる必要などは何もない。もうすでに素っ裸なんだ。自分の心が導くまま
 に生きる。そうしない理由などどこにもないはずだ。
・誰でも死にたくはない。天国に行きたいと願っている人ですら、そこに行くために死に
 たいとは思わない。しかし死はわれわれ誰もが共有する終着点だ。そこから逃れられた
 人はこれまで誰一人としていない。そしてそれは、そうあるべきことなのだ。
・あなたたちの時間は限られている。だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にし
 てはいけない。他の人たちの考えた結果とともに生きていくという協議に惑わされては
 いけない。他の人たちの意見という雑音によって、自分の内面から生じる声を消されな
 いようにしないといけない。そしてもっとも重要なことだが、自分の心や直感に従って
 行動するという勇気を持つことだ。心や直感は、どういうわけかあなたがほんとうにな
 りたいことを既に知っているんだ。だからそれ以外のことはすべて、二の次でいい。
・ハングリーであれ。利口ぶらずに馬鹿げたことでも熱狂しろ。