会社の電気はいちいち消すな  :坂口孝則

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この本は、企業での節約、コスト削減について説いたものである。
著者によると、多くの企業や個人は現在、間違った節約やコスト削減をしていると説いている。
効率化やカイゼンでは、利益はあがらないと説いている。そして、本当の利益につながる節約
方法を具体的に述べている。この節約術は会社のみならず、個人においても、とても参考にな
るものではないかと思う。
収入が増える見込みの期待ができない社会である。本書の内容を参考に、節約生活に励みたい
ものである。

はじめに
・モノが売れない現在、これまでの肥大化した収益構造では生き残ることは難しい。節約、
 コスト削減による費用の最小化は、移りゆく市場に柔軟に立ち向かう強力な武器となる。
・持続可能な社会実現に向けた活動ができない企業は、市場から受け入れられない。大量消
 費の時代から、限りある資源を大切にする時代になった。際限なく買っては捨てるという
 ライフスタイル自体が、今では許されない。
・これからは、企業の業績は不確定で、個人の将来も行き先が見えない時代が続くと予想さ
 れる。社員一人ひとりが、国民一人ひとりが、利益と支出を気にして生きていかなければ
 ならない。

「効率化すれば利益が上がる」のウソ
・個別原価計算上は外注が優位だとしても、それが減らない人の作業を奪うだけのものであ
 れば、やめたほうがいい。
・最善策は、安価な外注企業を使うのではなく、内部の社員を活用することだ。
・利益向上のために「カイゼン」「効率化」をすすめる書籍群や人に決定的に欠如している
 のは、そのカイゼンによって、どのように利益が向上していくのかという根源的な問いに
 ほかならない。
・減価償却とは、会社が買った資産を一度に費用よして処理するのではなく、定率法、定額
 法等の計算に従って、特定期間、各年度に配分していくことだ。その期間のことを耐用年
 数という。
・決算書というものは会社の実情を映し出すものではなく、半ば税金の計算のためにのみ使
 われるものである。
・見た目の粗利が高い仕事を一つだけ受注して、残り時間、社員を遊ばせておくのと、薄利
 でもたくさんの仕事を受注するのと比べると、後者のほうがトータルとして多くの利益を
 得ることができる。

なぜ節約・コスト削減が必要なのか?
・現在のような市場環境にあっては、しなやかで、かつ低コスト体質になることが求められ
 てくる。すなわち、グローバル化を前提としたうえで、安価な仕入品を集めてくること、
 節約を心がけ、低コスト体質を創り上げることだ。
・売上原価率だけを見て、節約やコスト削減が進んでいないと判断するのは早計といえる。
 むしろ、その節約、コスト削減を進めなければ、より利益が減っていたはずなのだ。
・「前年より今年、近年よりも来年」というスローガンは魅力的ではあるものの、デフレ時
 代の今、売上を伸ばさず、最低でも現状維持を継続するということも、十分意味がある。
・これまでの時代がアウトプットを前提としているのに対して、エコロジーではインプット
 に注目する。まず、無駄なものを購入しないこと。購入するにしても、安価で環境負荷の
 低いものを買うこと。そして、買ったものは徹底的に使い切ること。
・馴染みの業者に慣例的に発注している場合、今後は、なぜその業者に発注を決めたのか、
 なぜその金額で決めたのか、その企業内の承認フローはどうなっているのか、その決定が
 株主価値を源氏させることになっていないか、というようなことが問われていく。

節約術100連発
・販売単価、販売数を動かせないとしたら、あとは変動費と固定費を削減して利益を捻出す
 るしかない。
・会社ぐるみで節約、コスト削減を進めるときに、社員の善意に期待してはいけない。それ
 は、社員を疑ってかかるべきだということではなく、そもそも意気込みだけでは長続きし
 ないからだ。社員が無意識のうちに節約してしまう、あるいは、節約せざるをえない仕組
 みを作ることが大切だ。
・人間は、愉しいこと。自分の利益になることしか進んでやろうとしない。
・人間は、ルールやシステムがないと、高い倫理観を持ち続けられない。
・人間は、強制的にやらされることしか達成できない。
・客先へ定期的に物品を提供することを見直す。
・接待は、買い手企業と売り手企業の交流深化のためではなく、営業担当者と仕入担当者の
 個人的な飲食のために使われる場合がほとんど。接待によって仕事を決める企業は古い体
 質であると考えたほうが良く、それよりもよい商品の提供を心がける。