実は世界NO.1の日本経済 :岩本沙弓

最後のバブルがやってくる 世界恐慌への序章 [ 岩本沙弓 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

実は世界No.1の日本経済 [ 岩本沙弓 ]
価格:1404円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

財務省が日本を滅ぼす [ 三橋 貴明 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

マスコミが絶対に伝えない「原発ゼロ」の真実 [ 三橋貴明 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

日本人が本当は知らないお金の話 (Knock-the-knowing) [ 三橋貴明 ]
価格:1300円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

世界同時非常事態宣言 [ 三橋貴明 ]
価格:1296円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

中国崩壊後の世界 (小学館新書) [ 三橋貴明 ]
価格:842円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム [ 三橋貴明 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

中国不要論 (小学館新書) [ 三橋 貴明 ]
価格:820円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

亡国の農協改革 日本の食料安保の解体を許すな [ 三橋貴明 ]
価格:1500円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

日本経済を殺した真犯人はだれだ!? [ 三橋貴明 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

愚韓新論 断末魔の経済と狂乱反日の結末 [ 三橋貴明 ]
価格:1543円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

真説日本経済 [ 三橋貴明 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

三橋貴明の日本を豊かにする経済学 [ 三橋貴明 ]
価格:1404円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

増税のウソ (青春新書インテリジェンス) [ 三橋貴明 ]
価格:822円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

ドル凋落 アメリカは破産するのか (宝島社新書) [ 三橋貴明 ]
価格:699円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

学校では絶対に教えてくれない僕たちの国家 [ 三橋貴明 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

日本大復活の真相 [ 三橋貴明 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

ぼくらの日本 [ 三橋貴明 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/4/11時点)

日本の財政に関する本を読むと、「日本の財政は破綻する」とする本と「いや日本の財政
は破綻しない」という本に分けれるが、この本は「日本の財政は破綻しない」という側の
本である。日本の経済は、世界的に見てもまだまだすばらしいものであり、日本の財政は
破綻するわけがないという主張はとても励まされるが、その一方、かなり無理な主張の部
分も散見する。
この本の中においては、日本の国債は、そのほとんどが日本国内で消化されている。海外
で消化されているわけではないから、それはたとえれば同じ家の中でお金を貸し借りして
いるのと同じだから問題ではない、というような論理展開がされている。しかし、私には
その論理はおかしいのではないかと疑問を感じた。
それは、国の財布と国民個人の財布をごっちゃにしている。国民個人の資産は、当然のこ
とながら個人のものであり、国のものではないのである。この筆者の考え方は、共産主義
国家ならば通用するかもしれないが。もっとも、国の財政が破綻すれば、そのツケは日本
国民が負うことになるのだろうから、その点では筆者の考えかたが通用するのかもしれな
い。
また「政府の債務がGDPの2倍」という部分を、住宅ローンに例えている部分がある。
「住宅ローンは一般的には年収の4〜5倍までなら無理のない借り入れ金額とされている」
から、「日本の債務がGDPの2倍」でもそれほど問題ないと論じている。しかしGDP
が、家計の年収に当たるのだろうか。もし家計の年収に例えるならば、それはGDPでは
なく約四十数兆円の税収になるのではないのか。そしてそれは家計の住宅ローンに例える
ならば、年収の約40倍にもなるはずである。これがはたして問題ない額なのだろうか。

はじめに
・相場の行方を占うためには、事実は何か、何が起こっているのかをまずは”バイアス抜
 きで”把握する必要があります。
・駆け出しのディーラー時代は、多数派でいることは心地よく安心でもありましたが、ま
 ったく儲かりませんでした。相場では大勢が正しいということはありません。むしろ少
 数派でいるときのほうが儲かる確率が高いことがわかると、マイノリティーでいること
 が心の安寧となりました。
・短絡的なお金儲けよりも、そして自己資産を守ることに固執するよりももっと大事なこ
 とが今の日本にはあります。それは国際金融や世界経済の見方の部分により重点を置く
 ことで見えてくることだと考えています。

世界一のお金持ち・ニッポンー対外純資産21年連続NO.1
・日本の対外純資産が今年も世界第1位となり、これで晴れて21年連続して世界一を達
 成することできました。対外純資産という指標が日本経済の実態を端的に示す、そして
 世界と比べた状況が最もわかりやすい指標であるにもかかわらず、積極的な報道がされ
 ない。
・あれだけ大きなバブルの痛手を負った日本経済が、たしかに数々の問題をいまだにひき
 ずってはいるものの、どこかの国や世界に支援を求めることもなく、こと金融に対して
 は自由化を強要され、規制が厳格化されても、立派に独力で危機から脱したという底力
 が日本にはあります。
・「人の気持ち」こそ経済の重要な要素、というのは国際金融の最前線で実際に取引に携
 わったことのある人間ならば誰でも感じることです。そして、経済理論の限界は、相場
 取引をしていれば、日々感じることでもあります。そういう意味で、やはり日本の景気
 を本当によくしたいと思うのであれば、政府主導でも官僚主導でも、はたまた民間主導
 でもよいので、少しでも前向きな話をしていくということが大切なのではないかと考え
 ています。
・2011年は東日本大震災の影響で年間の貿易赤字は第二次石油危機後の1980年以
 来31年ぶり、赤字幅は80年に次ぐ過去2番目の水準となりました。経常収支全体ま
 でもが赤字に転落するのではないか、といった悲観論が大勢を占めていましたが、結果
 は9兆5507億円の黒字でした。
・日本が経常黒字から赤字になれば日本経済もおしまい、というような極論も時に見受け
 られますが、日本の場合は、昨年のような貿易収支にとっては最悪の年でさえも、所得
 収支の大幅黒字のために、経常収支自体は黒字で推移することがわかりました。
 2012年以降も経常黒字が赤字に転落するとは考えにくい。
・日本の貿易収支も昨年を除けば、ここ10年ほどは毎年10兆円程度の黒字を稼いでい
 ます。
・私が憂えているのは、本来「健全な日本」が、政府の借金の多さだけをもって悲観論が
 流され、「不健全な日本」という認識から海外投資などが推奨されていることです。
・本来一国の政府債務の実態を示すのに使われるのは、「粗債務」から資産を差し引いた
 「純債務」と呼ばれる数字です。日本政府の資産は500兆円ほどありますので、「純
 債務」は500兆円です。社会保障基金、内外投融資、外貨準備などがこれにあたりま
 す。つまり、借金の実態は世間で当たり前のように言われている1000兆円の半分と
 いうことです。
・日本はダメだからという理由で海外投資をするのなら、どこの国がいいといえるのでし
 ょう。債務危機で揺れる欧州は論外、中国もバブルの危険がある。オーストラリアの市
 場規模はきい祭為に変動が激しい。
・ただ紙幣をむやみにばら撒くこうした金融緩和も限界ではないでしょうか。現在米国で
 はこれまで2回の量的緩和策による、見せかけの株価の上昇が続いています。失業率や
 住宅指数が回復からほど遠い中での株価上昇がその何よりの証拠です。3回目の量的緩
 和はかなり積極的で、今後の労働市場や住宅市場の回復が期待されますが、基本的には
 ITのような改革的な「何か」が生まれない限り、今のところ先行きが極めて不安定な
 米国が日本よりも投資先として選好される要素はあまりありません。
・日本政府は現在100兆円相当の外貨預金を保有しています。その投資先は主に米ドル
 であり米国債券です。保有するこの米国債券を売って、あるいは米ドルを売って全額円
 に戻すとすれば、ただでさえ厳しい状況にある米国財政は苦境に陥ることになるでしょ
 う。
・国全体で借金をしながら、なぜ米国が海外投資で儲けられるのか。それには、投資先で
 ある日本企業が無理をさせられている状況があり、それはひいては、一般の日本国民の
 人件費の犠牲のうえに成り立っている側面があるのです。

人口減少と社会保障−年金は破綻しようがない
・2009年の財政検証では、「将来推計人口(少子高齢化の状況)の前提は」は、
 2005年の実際の出生率だった1.26人を中位ケース(仮定の中心値)として算出
 されています。また「経済前提」のほうでは実質経済成長率を使用していますが、こち
 らは年率0.8%が中位ケースとなっています。
・わが国の場合、出生率は長期的には低下傾向にあり、最も低下したものが2005年の
 1.26人でした。確かに低下傾向にはあったものの2005年を堺に、出生率は上昇
 に転じてきています。最新のデータとなる2010年では1.39人までに回復してき
 ました。
・世代間の格差をこれ以上広げないためにも消費税導入に関しては慎重になるべきです。
 消費税を今引き上げなければいけないほど、年金は本当に破綻する危機にあるのか。そ
 れほど切迫をしていないならば、若年層や低所得者層の負担を増やす増税を急ぐ必要は
 ありません。
・今後制度調整の際、場合によっては給付額が下がったり、受注年齢が引き上げられるか
 もしれません。今の風潮ではこうした変更が、イコール「年金制度の破綻」とあまりに
 も直結されがちです。破綻と給付水準の変更とは区別して考えるべきでしょう。
・自分の支払った年金の何倍もの給付を期待するのもおかしなことです。給付水準が変更
 されたからといって、それが年金の破綻になるわけではない、経済情勢に合わせた制度
 維持のための変更であると、もう少し柔軟に受け入れる必要があるのではないでしょう
 か。
・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用していて、平成23年度末の
 GPIFの運用資産は約113.6兆円となっています。
・今回のAIJ投資顧問事件は、この企業年金である「厚生年金基金」部分で起こった事
 件ですので、公的年金部分にはまったく影響はありません。ことAIJ問題として取り
 上げるのなら、公的年金とはまったく別の、企業年金の運用者の失敗という部分をクロ
 ーズアップすべきです。
・報道を見る限り、どうもAIJ投資顧問の破綻=公的年金の破綻という構図にすり替え
 ようとする意図が働いているように思われ、問題の本質から国民の目が遠ざけられてい
 る感じがしてなりません。
・年金制度は破綻するどころか、その前提条件となっている出生率よりも現状では改善し
 ており、例えば2012年度の第1四半期のGDPは年率換算で4.7%増にもなって
 います。
・AIJ問題から我々が学ぶべきことは、公的年金破綻といった無用の不安に煽られ、実
 態の知れない投資信託や海外ファンドに手を出すべきではない、ということです。
・現在の年金制度では、1980年生まれ以降2010年に生まれた人も年金給付の総額
 は、厚生年金は納めた保険料の2.3倍、国民年金でも1.5倍になると言われていま
 す。
・21世紀に入ってからの民間の個人年金保険で、掛け金の1.5倍を超える保険はない
 のです。例えば、有利な掛け金一括払い、35年据え置きの商品でも、100万円が
 35年後に120万円前後になっているか否か、月払いだとすれば1.1〜1.15倍
 がせいぜいだと言われています。つまり、民間の保険会社が扱う個人年金には、公的年
 金ほどの給付を見込める商品は見当たらないということです。
・厚生年金の給付が良い理由は、労使折半といって、勤労者が納付する保険料と同じ額だ
 け企業も納付するので、勤労者が支払った実質額よりも上乗せさせられること、そして
 年金積立金のうち半分に税金が投入されていることが挙げられます。
・国民は税金を支払う義務はあっても、なかなか国からお金を受け取る権利はないもので
 すが、年金は数少ない、国からお金をもらえる権利でもあるのです。この受け取る権利
 をみすみす逃す必要はないはずです。
・先行きが不安であれば、まずは国の手厚い制度を利用すべきですし、他の投資商品など
 よりも、安心で健全であるということです。現在の一部の高所得者の方には、そして事
 業などで成功する、会社のトップに登りつめるなど、見事に高所得者となった方には、
 将来是非年金の受け取りは放棄してもらいたいと思います。年金制度の破綻を心配され
 ている方ならなおさら、日本のためを思って放棄してくれれば年金制度がさらに長持ち
 することに通じます。
・年金保険料の支払いが困難なのは主に低所得者層です。その人たちの将来の社会保障の
 手段が絶たれてしまえば、老齢世代の貧困化にも結びつき、困るのは無年金者ばかりで
 す。現在の生活が優先で、年金まで払えない、という人には免除制度がありますので、
 それを利用し、「未納扱い」となって無年金となるのは避けるべきでしょう。
・たしかに国民年金の未納者は4割に達していますが、厚生年金と国民年金では規模がま
 ったく違います。平成22年度末時点での厚生年金基金は114.2兆円、国民年金基
 金は7.7兆円と14倍以上の差があります。
・厚生年金も含めた公的年金の加入者全体の比率からすると、国民年金の保険料未納の割
 合は5%程度となります。わずか5%ですから、その人たちが保険料を支払っていない
 からといって、それが直ちに公的年金が受け取れないことに結びつくことはありえませ
 ん。
・国民が保険料の支払いをやめる分、将来の年金受領者が減って年金財政は改善に向かう
 、とまでは言うつもりはありませんが、年金財政は潤沢であり、少なくとも急速に悪化
 することはないでしょう。 
・危機GPIFが管理運用を行なっているその金額が平成23年度末時点で113.6兆
 円にのぼり、自主運用を開始した平成13年以降の通期の収益率は1.3%、累積収益
 額は14兆円となっています。
・その運用先としてもっとも比率が高いのは国債債券です。日本が財政破綻しなければ日
 本国債の利回りが保証され、満期には元本もきちんと戻ってくるのです。
 ・国内債券:67%
 ・国内株式:11%
 ・外国債券:8%
 ・外国株式:9%
 ・短期資産:5%
・そもそも日本国にいながら投資をしようとするなら、日本国債の利回り以上のものを期
 待するほうが間違っています。そのような「棚から牡丹餅」のような美味しい話はあり
 ません。その点、公的年金は非常に有利だということです。
・国民の金融資産を狙っているのはハゲタカに代表されるような海外勢だけではないと思
 われます。こうした搾取は何も銃を背中に突きつけられ、資産をよこせとあからさまに
 脅されるわけではありません。したがって余計たちが悪いともいえるのですが、搾取す
 る側は、日本の財政破綻論や年金破綻論を持ち出しては、人々の不安感を煽り、巧みに
 資金を誘い出しているようです。我々一般国民は、悲観論や極論は実は投資商品を売り
 つけたい「誰か」にとって、実の都合のよい論理だということにそろそろ気付くべきで
 しょう。 

増税の前にすべきこと−企業の利益は誰のものか
・全体が上手くいくのであれば、我々が身を削るのもいとわない、被災地の支援を含め、
 必要なお金ならばもちろん出すという日本国民の善意を利用する前に本当に増税が必要
 なのか。
・増税はやむなしとしても、その強引な誘導によって引き起こされた国民の政治不信は、
 最悪の結果といわざるをえません。これは福島原発の放射能漏れとも共通することで
 すが、良いにしろ悪いにしろ、何はともあれ情報を公開することが政府への信頼に通じ
 るにもかかわらず、それが実行されていないのは由々しき問題です。
・「瓦礫」処理に関しても地元で処理をすれば雇用も生み出し、現地支援になるというの
 に、わざわざ莫大な費用を使って日本全国に持って行こうとするのですから、おかしな
 話です。しかも、「瓦礫」の受け入れをしないと非国民であるかのような議論を持ち出
 す始末です。
・こと消費税に関しては、被災地については少なくとも「免税」にする、などという措置
 が取られるならばまだわかります。震災からようやく一年半が過ぎた現状で、被災地か
 らのお金を吸い上げなどはやってはいけないはずですが、そういった措置は議論の俎上
 にすら上がってきません。
・日本以外の各国の税率は一見、高く設定してあるように見えます。しかし、英国では食
 料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、国内旅客輸送、医薬品、居住用建物の建築、障害者
 用機器等にかかる消費税はすべて0%です。また、フランスでも食料品は5.5%、ド
 イツでは7%と抑えられています。米国も医薬品等は0%になっています。カナダ、オ
 ーストラリア、アイルランド、ポルトガルなどは食料品に関して0%になっています。
・それに対して日本政府は、世界各国が採用している0%税率や軽減税率などは設けず、
 贅沢品とされる品物に対しても生活必需品に対しても、一律5%としています。それを
 今後は一律10%にまで引き上げようというのです。これは各国と比較してもきわめて
 特殊といえるでしょう。
・日本の消費税が今後10%に引き上げられた場合、国税に占める割合は37%となり、
 欧州主要国と比べて最も高い比率となります。日本の場合は消費税の比率が高すぎる状
 態であり、その一方で所得税や法人税が少なすぎる。したがって、国際比較で税率を語
 るなら、引き上げるべきは消費税ではなく、所得税や法人税ということになるわけです。
・法人税の「真実実効税率」で見た場合ですが、「資本金100億円以上」の巨大企業の
 負担水準が最も低く、わずか15〜16%の低水準である一方、「資本金5000万円
 〜1億円未満」の中小企業は、もっとも高い負担水準にあり28〜29%となっていま
 す。
・こうした不公平な法人税は、多国籍化した巨大企業が世界的スケールで税のがれをし、
 税源を海外流出させている惨状は近年目に余るものがある。結果として、日本の財政は
 税収減を生じ、歳入調達機能を著しく喪失して、財政赤字の元凶となっている。
・法定税率通りの高い法人税を支払う中小企業を守るためにも、真面目に消費税を払う一
 般国民のためにも、税制度上の抜け道からこうした不公平があるならば、増税以前に制
 度自体を見直す必要があるでしょう。  
・消費税を上げる話は出てくるのに、こうした諸外国では当たり前の「0%税率」のシス
 テムについての議論が盛り上がらないのはどうも腑に落ちません。さらには、政府や一
 部の識者の言い分を聞いてみると、「増税によって財政健全化をしなければ日本は破綻
 する」といいます。にもかかわらず、造成してもやはり財源が足りないから破綻すると
 いうのです。結局は破綻するのであれば、いったい何のための消費税引き上げなのか理
 解に苦しみます。 
・大企業が海外へと製品を輸出しても、日本の消費税を海外から徴収するわけにはいきま
 せん。本来消費税とは「最終消費者」が負担する税制であるという考え方をします。こ
 のままでは輸出大企業は消費税を払うだけになってしまうという観点から、仕入れの段
 階で支払った消費税については国が輸出大企業に還付しているのがこの「消費税還付金」
 制度です。
・平成24年度歳入予算によれば、消費税の還付金額は2兆5400億円に上っていて、
 消費税として徴収された金額の実に21.3%に相当するとされています。5%の消費
 税が10%になれば、輸出企業に支払われる還付金は単純計算で倍になります。
・この還付金だけがこれまでの倍額支払われることになれば、徴収した消費税の3割、4
 割が輸出企業に支払われることになります。 
・2011年の貿易収支が「31年ぶりの赤字」だったというニュースも持ち出されまし
 た。日本は国内でモノを作り、輸出して稼ぐ「貿易立国」ではないのにもかかわらず、
 その立場が危うくなり、企業経営がピンチに陥っているかのような報道が目立ちました。
・雇用者にとっては厳しい話ばかりが続きましたが、その一方で、2012年4月10日
 の日経新聞には「上場企業、利益の7割を株主配分」という記事がありました。
・最大の問題は、企業の上げた純利益を企業自身の将来を見据えた設備投資や、従業員給
 与・雇用確保に使うのではなく、7割近くも株主に還元されている点です。株主配分は
 何割が適正かというのは一概に数値で示すことはできませんが、記事も指摘しているよ
 うに過去は4割程度で推移していたことを考えると、ここ数年の増加は行き過ぎと思わ
 れます。また、ちょうど日本の給与所得が低下した時期、深刻なデフレに陥ったと騒ぎ
 始めた時期と株主配分が増加した時期とが重なることから、日本経済を悩ます元凶のひ
 とつはここにあると考えられます。 
・正規雇用者が増え、安定した所得が保証されれば、たとえ消費税増税となっても、お金
 を使おうという気持ちにもなります。晩婚化、少子化の歯止めにもなるでしょう。正規
 雇用の拡大こそ、消費の活性化にも大いに役立ち、それが企業収益にも繋がります。
・しかし企業側は、とくにこの十数年来、「欧米型の企業経営」の理念を取り入れ、人件
 費を抑えています。企業のコスト削減に最も効果的なのは人権費の抑制です。
・企業はいったいどれぐらい資金を溜め込んでいるのか?企業の内部留保は、平均給与が
 年々下がってきているのとは対照的に、リーマンショックで給与が激減した2009年
 度でも269兆円、2010年度には294兆円となっています。15年前に比べると
 剰余金はほぼ倍となっています。 
・巨額な企業収益を設備投資に回したり、人件費として雇用者に支払ってくれなければ、
 国内の経済活動が行き詰ってしまいます。しかし今のところ、企業は儲かっても、その
 ような利益の分配はしていません。割を食っているのはもっぱら雇用者です。
・限られた高所得者層とその他多くの低所得者層という二極化が進み、日本の中間層は没
 落の一途を辿っています。契約社員やアルバイトなどを含めた非正規労働者は2010
 年の段階で1755万人、雇用全体の34.3%となっています。1985年当時は
 655万人で全雇用者の16.4%に過ぎなかったものが今や倍増しています。
・近年のように、海外ファンドなど「モノ言う株主」が増加し、株主の経営に対する影響
 力が強まってくると、人件費は抑制される一方で、株主への配当が優先される傾向が強
 まることが予想される。実際に、法人年報における大企業の人件費と配当金の推移をみ
 ると、2000年頃から06年度にかけて、配当金が急増する一方で、人件費は概ね横
 ばい圏内で推移している。現在の日本企業の経営者側も「モノ言う株主」に窮している
 ものと思われます。
・企業の見た目の利益を上げるための人件費・投資削減は経済を縮小させるだけです。
 3%、5%と株主に高い配当利回りを渡すのであれば、株主の資本に依存するのではな
 く、超低金利の銀行から借り入れのほうが調達コストも安く済みます。
・株主ばかりが優位となっている状況が改善されなければ、例えば日銀がいくら緩和をし
 ても、物価目標を設定しても本質的に日本の経済が抱える問題は解決しません。

日本国際は危険?安全?ー透けて見える財務省の本音
・現在、日本の国債の保有者の92%は日本国民です。政府がお金を借りている相手は日
 本国民です。政府が借り手、日本国民が貸し手である以上、国債という政府の負債が増
 えれば、それを保有する国民の資産も増えるのです。国債を発行し、そのほとんどを自
 国民が買い取っているのであれば、政府の負債=国民の資産にすぎません。
・購入した国債を遺産として渡せば、将来子孫に資産を残していることにもなるでしょう。
 将来受け取る元利という一義的な資産としての役割を果たす以外にも、国民から借りた
 資金で国が道路を建設すれば、それを使うのは国民ですから、生活が便利になるという
 メリットを享受することになります。国民から借りた資金を使うことで社会保障が充実
 するならば、それもまた国民にとってはプラスです。
・世界各国になかで、日本は最も財政破綻などしないと思われているのが現状です。その
 何よりの証拠が、世界と比べても非常に低い水準にある金利です。
・金利が高いというのは経済的に何らかのリスクを抱えていることの裏返しでもありの
 です。その点、日本は世界で最も安全とみられている国なのです。
・日本の貸し借りは所詮、同じお財布の中でのことです。これまでデフォルトとなった国
 にはロシア(1998年)やアルゼンチン(2002年)エクアドル(2008年)な
 どがありますが、こうした国は自分のお財布の中でまかなえず、海外から債務全体の
 50〜70%を借入れていた国です。海外から借金をすることが、本当の意味での国家
 としての借金です。 
・ちなみに、国家の財政破綻は世界の終わりのように捉えられがちですが、デフォルトを
 宣言したからといってその国がなくなるわけではありません。債務の返済ができないの
 で、債券の金利の減額や、より低金利の債券への借り換えなどを債権者に依頼して負担
 を減らしてもらうのです。
・問題となるのはあくまでも、対外的=海外からの借金がある場合に限られるのです。そ
 ういう意味において、海外からの借り入れに依存しているギリシャと、国内で賃借が成
 り立っている日本とを同じステージで語ることは、置かれている状況がまったく違いま
 すから、非常に無理があるのです。
・お財布から溢れた資金は、海外のお財布が空っぽの国に貸し出されています。世界中で
 お財布が一番大きく、なおかつ空っぽなのは米国です。そこで、日本の余った資金は米
 国やその他の国に貸し出しがされているのです。
・経常収支の黒字が累積した結果として、積み上がったのが対外純資産ですが、2002
 年当時は175兆円でした。年々増加の一途を辿り、ここ終年は250兆円台で推移し
 ています。 
・この250兆円の対外純資産というのは、他国の追随を許さないほど巨額で、21年連
 続で世界一の金額を保っているのですから、世界一支払い能力があるということです。
・外貨準備高は、国が保有している外貨を指します。2002年3月末時点での外貨準備
 高は4015億ドル(約32兆円)、それが2012年3月末現在では1兆2887億
 ドル(約103兆円)と約3倍に増えています。
・データを見るかぎり、日本が破綻することはないでしょうし、破綻するような事態があ
 れば、その前に海外へと貸し出している資金を日本国内に戻すでしょう。すると、日本
 の資金でまかなっている各国のほうが先に破綻するはずです。 
・これだけの資金力があればヘッジファンドがいくら暗躍しようとしても、手も足も出な
 いのです。これまで何度となく、日本国債市場の暴落に賭けてきた海外のヘッジファン
 ドがありました。そして、毎回のように巨額の損失を出して撤収していったのです。既
 存のメディアは海外勢が日本国債の売りを仕掛けた時には嬉々として取り上げますが、
 彼らが撤収していきときにはほとんど報道しません。売り仕掛けをされても、国債の金
 利水準が低いままであるということは、暴落を見込んで売り仕掛けてきた投機家は、す
 べて大損をしているということです。
・「日本の政府債務残高は今やGDPの2倍なので大変だ」といった指摘がされています。
 日本のGDPは約500兆円、その2倍の1000兆円の借金を日本政府は抱えている
 というものです。この金額だけを見ると圧倒されてしまうようですが、そもそも政府は
 借金をゼロにする必要があるのか、ということを考えてみる必要があります。
・住宅ローンでも同じです。一般には年収の4〜5倍までなら無理のない借り入れ金額と
 されています。年収500万円の人が1000万円を借り入れるのに、それほど問題は
 ないでしょう。 
・国際比較をした場合に、日本の財政赤字が対GDP比で突出しているのか、といえばそ
 んなことはありません。 
・自分たちだけ住宅ローンの返済額が年収の2倍になっていて大変だ、ほかの人たちはは  ぼ年収ぐらいか、年収以下に抑えているおではないか、と騒いでいるようなものです。
・日本は家庭内(自国内)の問題で済んでいるということです。親世帯の家計は赤字が出
 ていますが、それを子ども世帯が面倒をみている状態です。それに対して、対外純債権
 国ドイツを除いた先進国、米、英、仏、伊、加は対外純債務国ですから、不足している
 資金を海外からまかなっているのです。誰が彼らに資金を貸しているかといえば、日本
 であり、中国であり、ドイツなのです。 

デフォルメされたギリシャ情報−その先に見えるユーロの行方
・2006年の統計では、総就労者数における公務員比率ではギリシャは23%です。同
 じ欧州をみればランスが27%、スウェーデンが29%、ドイツは12%、英国は21%
 です。ちなみに日本の公務員比率7%と抜きんでて低いために、我々の感覚からすると
 ギリシャの公務員比率が高いように感じますが、同じ欧州域内でみれば平均的、あるい
 は平均よりもむしろ低めな数字といえるでしょう。 
・ギリシャ人の年金は多いどころか、むしろ欧州内では低い部類に入っています。現状で
 はさらに緊縮されたため、定年が65歳前後にまで引き上げられたうえに、年金も3割
 から5割ほどカットされているような状態です。
・EU27ヵ国の退職年齢の平均が62歳であるのに対し、ギリシャはその平均とほとん
 ど変わらない61.9歳である。
・こうしたさまざまなデータをかき集めてみると、ギリシャ人は怠け者でもなければ、夢
 のような年金生活が待っているわけでもない状況がうかがえます。 
・ギリシャ問題が明るみに出てからというもの、市場ではユーロ安で推移しています。
・ギリシャは輸出よりも輸入依存度の高い国です。したがって、通貨安となれば輸出増の
 メリットよりも、輸入価格上昇というデメリットを被りやすい経済体質となっています。
・実は、ただひたすら欧州債務危機を引き延ばそうとするような力が、暗に働いているの
 ではなかろうか、そんな思いに駆られてくるのです。欧州債務危機が長引けば長引くほ
 ど、ユーロ安は継続され、ギリシャ経済は疲弊する一方でドイツ経済は好調を保つこと
 ができる、という事実があります。となれば、危機がくすぶり続けてくれることが、む
 しろドイツにとっては都合がよいことになります。  
・投機家は日々のわずかな動きなど望みません。彼らにとっては上昇でも下落でも、相場
 が動いてはじめて収益チャンスが訪れることになります。上下動が激しければ激しいほ
 ど、市場で取引される価格に値幅が出れば出るほど、取引の機会が生まれ、収益にも結
 び付くのです。 
・投機家にとってはギリシャ危機を材料にして市場が動いてくれたほうが都合がよいので
 す。危機感を募らせた他の市場参加者が慌てふためいてユーロを売り、欧州債券を売り、
 急激な価格変動をもたらしてくれることを望むのです。
・自分は投資とは関係ないと思っている一般の人々も、流れてくる情報や報道を真に受け
 て、必要以上にギリシャ危機を不安に思い話題として取り上げることは、実は投機家の
 術中に嵌っていることになります。ギリシャ問題だけでなく、世間でいわれている経済
 危機について世間が騒げば騒ぐほど、市場価格の変動を大きくする要因となり、その結
 果、めぐりめぐって我々の懐にも影響を及ぼしかねないのです。
・報道に左右されない、扇動的な見解に煽られない、ということは投機の動きを排除する
 ことに繋がり、詰まるところは自分の生活を守ることになります。下手な危機感を募ら
 せないためには、誰が見ても同じ結果となる中立・客観的なデータを冷静に分析するこ
 とが必要となります。 
・今でも外国為替で取引される通貨の8割、世界の貿易取引の7割、そして各国が保有す
 る外貨準備高の6割強が米ドルといわれています。米ドルの信認低下がいわれ始めて久
 しいですが、世界市場における存在感はなお健在です。
・米国にとって米ドルが世界市場で使われることは大変メリットがあります。米国が貿易
 赤字を垂れ流し続けてもなお経済的に持ち堪えていられるのは米ドルのニーズが世界中
 であるからです。
・例えば財政破綻をした国があるとします。そこにはIMFが救済の手を差し伸べるわけ
 ですが、その際に融資されるのは米ドルです。 
・IMFから資金を借りた国は、米ドルを調達して返済に充てる必要がありますので、こ
 こで米ドルの需要が生じます。危機が継続的に発生してくれれば、米ドルの需要も生ま
 れ続けます。 
・経済発展のために不可欠であった原油ですが、その取引はすべて米ドルが独占してきま
 した。産出国は中東などですが、原油の値段はすべて米ドル表示です。つまり、原油を
 買うためには米ドルが必要となるわけです。 
・日本は慢性的な経済黒字国であり、対外純資産は21年連続世界一、保有する外貨も中
 国について世界第2位です。経済的に安定しているという観点から、経済危機などが発
 生したときは、このところとくに通貨市場で円が買われる傾向にあります。 
・変動相場制が施行されて40年、米ドルは減価し続けていますが、それでも、どんなに
 経済的な条件が悪くとも、借金でも、モノの値段でも、米ドル表示であることによって、
 米ドルの需要をもたらすことになるのです。
・通常であれば、輸入品を買うばかりでは自国から資金が流出するだけになってしまいま
 す。モノを作るなり、サービスを提供するなりして海外から資金を得なければ、貿易は
 立ち行かなくなるはずです。しかし、米国の場合は世界から米ドルへの需要が湧いて出
 てくるために、モノを売って外貨を稼ぎ、それを輸入の代金に回すといった必要があり
 ません。ただひたすら輸入品を買い、対価として米ドルを垂れ流す、それだけで経済が
 回ってしまうのです。 
 
米国大統領選とバブル
・1979年以来、米国の超富裕層(所得上位1%)の人たちの所得は4倍に増えた一方
 で、60%を占める中間層の所得はわずか40%の増加に過ぎなかったことが指摘され
 ています。
・2010年の時点で米国の所得上位1%の人たちの富は、米国のすべての人が稼ぎ出し
 た所得の17%を占めている。8%だった1970年代と比べれば、約2倍になってい
 ますから、それだけ富が高所得者に集中しているということになります。それに対して
 日本やフランスは格差の広がりがほとんどないといえるでしょう。
・増税推進派の掲げる理由として、このまま財政赤字を続ければ子どもや孫の代の負担に
 なるというものがあります。しかし、消費税を引き上げれば、消費を最も活発に行う若
 年層がその煽りを一番うけやすいという側面があります。若年層の負担を増やしてしま
 い、直接子どもや孫の生活に影響を及ぼすのが消費税なのです。
  
中国経済と人民元
・中国政府は人民元に関して、貿易等の実需をともなう取引と、それ以外の投機・投資目
 的の取引とに分けた管理を徹底しています。
・基本的に新興国の場合、海外から国内へと入ってくるお金に関しては比較的規制が緩や
 かなのに対して、自国から海外へとお金が出ていく場合には厳しい規制を敷いているこ
 とが多いのです。それは、経済が未熟な段階では、海外からの投資資金を呼び込んで、
 インフラ設備などへの投資をしてもらい自国経済を発展させる狙いがある一方で、気ま
 ぐれな海外投資家の資金撤収の動きをなるべく抑制したいという思惑があるためです。  
・海外の投資家の資金は足が速いものです。未来永劫、投資資金を中国の発展のために使
 ってくれるような殊勝な海外の投資家などこの世に存在しません。稼げるだけ稼ぐ、そ
 れだけの発想しか投資家が持っていないとすると、中国に経済的な魅力がなければ、あ
 っという間に中国市場から資金が退散していきます。
・かつて日本は「プラザ合意」という強引なドル切り下げの合意を飲まされ、外国為替市
 場では急激な円高が進みました。1985年9月20は1ドル=240円だったものが、
 1987年の年末の時点では121円となり、2年でドルの価値が半減しました。
・日本は、これまで為替市場で急激な円高が進むたびに、ドル建て債券である米国債の購
 入を続けました。対外純資産をほとんどドルで貯め込んできたわけです。過去40年間、
 米ドルは1ドル=360円から75円とひたすら減価してきましたから、日本がこれま
 で貿易収支や所得収支などを通じて蓄積した経常黒字、そして対外純資産は、為替変動
 によってひたすら減価されられてきたことになります。  
・米ドルの通貨価値の切り下げは、プラザ合意のような一方的な通貨政策の施行や、サブ
 プライム危機のような米国発の金融危機によるものです。つまるところ、変動相場制の
 歴史は、日本にとってみれば米国の勝手な都合で、膨大な資産減価を余儀なくされてき
 た歴史でもあります。  
・中国の経済成長が促された結果、低賃金労働は中国の代名詞ではもはやありません。今
 後は一層の賃金上昇圧力もかかってきます。実際に中国の賃金の高騰を嫌気して、米国
 企業などは本国に撤収を始めています。  
・つまり、「量」に依存する経済成長は不可能となり、それに代わって「質」で勝負して
 いく経済成長ということになります。日本も高度成長期のモデルが続かなくなったよう
 に、どこかの時点で中国も、経済の効率性を高め、「質」の向上を目指さなくてはなり
 ません。  
・中国としては、早急にというわけではありませんが、長期的な国家戦略として国債金融
 取引の人民元の拡大を目指しているはずです。その延長線上で基軸通貨も狙っているか
 もしれません。  
・米国と中国は軍事的にはますます対立する構図となりつつあります。海洋での縄張り争
 いは熾烈であり、中国初の空母なども登場しています。
・米国の軍事費は中国の約5倍、全体の4割を占め断トツではありますが、それに追いつ
 こうとする中国の勢いもあります。米中の対立構造が激化し、中国が軍事費を使えば使
 うほど、米国にとっては望ましい状況となりえます。というのも、経済成長が鈍化した
 なかで、軍事費だけが増えていけば、中国の財政赤字は拡大せざるを得ません。
・現状では共産党の一党独裁支配が機能して、地方政府も何とかおとなしく従っています。
 しかし財政難に陥れば、政局も不安定となり、内部からの分裂ということも出てくるか
 もしれません。中国の内部崩壊を目指す。それが米国の思惑ではないのか。

おわりに
・日本の財政破綻について、非常に大きなスケールで考えると、何の価値の裏付けもない
 紙幣を無尽蔵に印刷する現在の金融システムが果たして正しいか。そして国債を発行す
 ればいくらでも政府が資金を手にい入れられる調達方法が果たして正しい。現代社会は
 壮大なスケールで考えるべき経済システム上の問題を抱えています。  
・現在、紙幣も国債も度を越して発行し続けているのは米国であり、日本の比ではありま
 せん。節操のない基軸通貨の米ドルこそ、金本位制にでも戻ってもらって、節度ある金
 融経済運営をしてもらいたいものだと切に願っています。  
・現代社会はそうしたペーパーマネーが公然と使われ、国際での資金調達というシステム
 が成立している経済であるのは紛れもない事実です。そのようななかで、果たして日本
 国債が暴落するような状況にあるのか。日本の財政は破綻直前なのか、と尋ねられれば、
 各国比で見た場合には日本は最も破綻から遠い国である、としか答えようがありません。
 仮に、ペーパーマネーや国債というシステムが機能しなくなれば、世界は大混乱に陥る
 でしょう。しかし、その中でも何とか凌いでいけるのは日本です。それは世界一潤沢な
 対外純資産があるためです。  
・やがては訪れるであろう「世界の抱えるスケールの大きな問題」の調整を踏まえて、節
 度ある金融財政運営をしていくというのは大切なことです。それでも、たとえその調整
 があったとしても日本はまだマシな状況でしょう。そのような世界が大混乱に陥った際
 に破綻する可能性の高さは、現状であれはどう考えても日本よりも各国が上ですし、先
 となるはずです。  
・サブプライム危機以降、そして欧州債務危機を経て世界の過剰流動性資金はジャブジャ
 ブの状態になっており、次なる投資先を虎視眈々と狙っている。そのターゲットになり
 やすいのは日本です。世界の投資資金が一気に日本に押し寄せるのではないか。足の速
 い海外の投資資金を当てにするのではなく、日本には世界一の資産がすでにあるのだか
 ら、それを存分に使って50年後、100年後の日本経済の基盤となるような仕組みを、
 海外からのフローをむしろ利用するぐらいの気持ちで、この機会に作り出す必要がある
 と考えています。