カジノ解禁が日本を亡ぼす :若宮健

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賭博(ギャンブル)は、日本でも古代から存在していたといわれる。そして、時の政権の
ほとんどは、賭博を禁止する方向で動いてきた。それは農民がハマりすぎて耕作を放棄す
るなどの社会的マイナス面が多く、放置できなかったからだといわれている。
江戸時代においても、賭博が広く庶民に浸透し、江戸幕府は賭博を頻繁に禁止したが、や
むことはなかったという。時の政権は、昔から、賭博を抑えることに苦労してきだのだ。
それがこともあろうに、2018年8月にカジノ実施法案(IR実施法案)が国会で成立
してした。
これまで日本では、競輪、競馬、ボートにオート、そしてパチンコを、本質的には賭博で
あるのにもかかわらず、なんとかカムフラージュして、認めてきた。しかし、今回解禁し
たカジノは、どうカムフラージュしても賭博であることは隠しようがない。賭博そのもの
だ。今の政府は、賭博そのものを認めるだけでなく、推進まですることにしたのだ。
カジノは、どんなに奇麗ごとを並べても完全なる賭博そのものだ。賭博は、負ける人の犠
牲の上に成り立つものだ。そんなカジノを国が認め、国が先頭に立って推進するとは、日
本の歴史始まって以来のことではなかろうか。これは、もはやこの国の政治は完全な末期
症状にあることを示している。
ギャンブル依存症は、対策をすれば問題ないと推進派は言うが、そんな甘いものではない
と思う。このカジノ解禁が、この国の人々にどんな不幸がもたすのか。それは10年後、
20年後のこの国の社会を見れば明らかになるだろう。もっとも、その時は、このカジノ
を推進した人たちは、知らん顔をしているだろうが。

まえがき
・雇用促進、経済効果、外国人観光客の誘致と、奇麗ごとばかり言われているが、ギャン
 ブルは基本的に敗者の犠牲の上に成り立つものだ。依存症の発生を防ぐ手段もない。カ
 ジノ解禁を唱える政治家の多くは、本気で博打を経験したことがないと思われる。本当
 に博打を経験していれば、その恐ろしさが分かっているはずだから、カジノ解禁が国民
 を幸せにするなどというような発言は、できるはずがない。
・マカオは、ラスベガスを抜いて世界一のカジノ王国になった。世界一といっても、売上
 は日本円にして1兆9千億円にすぎない。この数字は、日本のパチンコ業界全体の19
 兆4千億円の10分の1でしかない。パチンコ店で業界トップのマルハンの売上が、2
 兆3百億円(2011年)だった。1社でマカオを凌駕している。ちなみにラスベガス
 のカジノ全体の売上が約4千6百億円である。
・実は、世界一のカジノは日本のパチンコなのである。知事も政治家も、カジノを解禁し
 て税収を上げたいと声をそろえるが、税収が欲しいのならば、パチンコに課税すれば済
 む話なのである。目の前の世界一の税収源がある。「パチンコは賭博ではない」などと
 いう詭弁は言わせない。  
・先進国で、カジノがないのは日本だけだという。しかし、日本には世界一のカジノ・パ
 チンコがある。カジノを解禁したいのならば、パチンコを全廃してからやるべきである。
・韓国には自国民でも出入りできるカジノが一カ所だけある。そこがいま、大変な問題に
 なっている。ギャンブル依存症でホームレスになったり、自殺に追い込まれる人が後を
 絶たない。 
・競輪、競馬に、ボートにオート。宝くじにサッカーくじ、世界一のカジノ・パチンコ。
 日本は、すでに世界一のギャンブル大国なのである。これに、カジノが加わったらどう
 なるか。これ以上、国民をギャンブル漬にして、どうするつもりだろうか。
 
なぜ、日本でいまカジノなのか
・2011年6月のMSN産経ニュースで「日本のカジノ合法化を目指す超党派の「カジ
 ノ議連」が、東日本大震災の復興計画に一つとしてカジノの施行を位置づけ、収益金も
 復興財源とする方針であることがわかった。従来は東京・お台場、沖縄県で開設する案
 が有力だったが、震災復興を優先して仙台市を候補地とする案も急浮上している」とい
 う報道がされた。
・「カジノ議連」は、震災以降、外国人観光客が激減しているため、観光客の回復を図る
 ため「カジノを早期に合法化する必要がある」と判断した。カジノから国や地方自治体
 に入る収益金については、震災復興の財源に活用すべきだとの方向で一致した。
・震災で「まず東北地方から施行すべきだ」との意見が強まってきたため、すでに地元か
 らカジノ誘致の要望が出ていた「仙台空港近くの工業団地計画地」が候補地として浮上
 した。 
・この記事を読んだ時には、この国会議員たちは正気なのかとわが目を疑った。「外国人
 観光客が激減しているから、仙台でカジノをやりたい」まったく逆ではないのか。「外
 国人観光客が激減しているから、カジノをやっても経営は成り立たない」ではないのか? 
・民主党、自民党、公明党、国民新党、みんなの党までもが賛成している。みんなの党と
 公明党は、普段奇麗ごとを言いながら、いったい何を考えているのか、どうしても理解
 に苦しむ。 
・2011年8月、どうしても納得がいかなくて仙台に向かった。被災地を取材して、宮
 城県庁、仙台市役所、仙台商工会議所、この三カ所の広報課を訪れた。何と驚いたこと
 に、カジノ誘致の要望も出ていないし、そんなことは初耳だ、と三カ所とも同じ答えで
 あった。 
・仙台から帰って、カジノ議連の事務所に問い合わせたら、あの報道は産経新聞の誤報だ、
 と断言した。となると、カジノ議連の誰かが、ありもしない情報を流して、産経新聞に
 記事を書かせたのか、ということになる。 
・宮城県でカジノ誘致の話がまったくないのかといえば、そうした動きもあるにはあった。
 2010年に県議会(定員61人)の超党派議員40人が「宮城県カジノ・エンターメ
 ント施設誘致議員連盟」を結成している。また宮城県松島町議会では、2010年の定
 例会で「ゲーミング・エンターテイメント複合施設誘致対策特別委員会」というものを
 立ち上げている。 
・日本ではカジノに限らず、賭博行為自体が刑法185条で禁止されている。だが、カジ
 ノに関してはこの法律の例外に位置づけ、なんとか解禁しようという動きは以前からあ
 った。自民党政権時代にも、こうした議連が何回か作ってはなくなり、作ってはなくな
 りということを繰り返しいた。ところが民主党政権となり、にわかにこうした声が高ま
 り、超党派の16人の議員が発起人となり、「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議
 連)が2010年に立ち上がった。通称で「カジノ議連」と呼ばれるが、正式の略称と
 いうものがあり「IR議連」というのだそである・
・カジノ議連はカジノ導入に向けた基本法「カジノ区域整備推進法案」をまとめた。その
 骨子は、カジノを中心とするホテルや娯楽施設を含めた複合リゾート施設の地域計画を
 地方自治体が申請し、国が指定する。カジノの運営には地方自治体が選定した民間業者
 があたる。  
・カジノ推進派の人たちが無理やりこねあげるカジノのメリットとは、何なのだろうか。
 彼らの言い分は、大方、以下の点に落ち着く。
 ・税収の増加
 ・雇用の創出
 ・外国人観光客の誘致
 ・それらを総合したところの経済効果
・世界には、公営の賭博場というものもあるが、だいたい民間の業者を公募して選定し、
 その業者に経営を任せるという携帯が多い。国、または自治体は、その売上の何割かを
 税収として納めさせる。つまり、国や地方自治体は一切金をあけずして、その上がりを
 手に入れることができる、とされている。  
・カジノ解禁で懸念されることとしては、
 ・ギャンブル依存症の増加
 ・マネーロンダリングの温床となること
 ・犯罪の増加と治安の悪化
 ・政界や警察との癒着
 ・暴力団の参入を、はたして本当に排除できるのかという問題
 などがある。推進派の議員や知事は、これらに対しては、それぞれセーフティネットを
 かけることによって、充分に対処可能だと述べるのが常である。だが、本当にそうだろ
 うか。  
・韓国にはカジノが17カ所あるが、自国民が入れるカジノは1カ所だけで、それもソウ
 ルからバスで2時間半もかかる山の中にあり、庶民が簡単に行けるところではない。そ
 して、自国民は、カジノに入場できる日数も制限されていて、自国民をギャンブル依存
 症からガードする態勢をとっている。それでも、ギャンブル依存症による弊害が後を絶
 たたず、頭をかかえているのである。
・カジノ解禁の動きには、もう一つ重大な問題がリンクしている。それは「パチンコ換金
 合法化」である。うがった見方をさせてもらうならば、震災のドサクサに紛れて、パチ
 ンコ換金を合法化しようとしているのではないのか。というのは、カジノを解禁するこ
 とになれば、パチンコの換金も違法なままにしておいていいのか、という議論に進むこ
 とは間違いない。そうなれば一気に合法化が進むというわけだ。
・さらに「パチンコ議員」たちの多くが、「カジノ議員」も兼ねているのは、いったいな
 ぜなのか、大体想像がつくというものだ。本当の目的は、パチンコの換金を合法化する
 ことにあるのではないか。  
・国会議員を使って、パチンコ業界が換金の合法化を急ぐ最大の理由は、換金が違法のま
 までは、パチンコ店の株式の上場ができないからである。証券取引所では、いくらなん
 でも、違法な業界の上場を許すわけにはいかない。そのためパチンコ業界は何としても
 換金を合法化して、堂々と上場を果たし、莫大な上場利益を手にしたいのである。
・そのためならば、政治家にいくら献金しても惜しくはない。資金は豊富にある。これが、
 カジノ解禁を急ぐ原因と、筆者は見ている。カジノを解禁したその裏には、パチンコ換
 金の合法化を急ぎたい、パチンコ業界の存在が見えてくる。
・そもそも、カジノが解禁になれば、パチンコ業界にとっては、強力なライバルになるは
 ずなのに、パチンコ業界御用達のマスコミからは賛成の声ばかりで、反対の声が聞こえ
 てこないのが不思議である。
・カジノを解禁した場合、堅気の会社ではカジノの経営はできないことだけは、はっきり
 している。当然のことながら、蛇の道は蛇で、ラスベガスの大資本や、パチンコ業界が
 参入することになるだろう。    
・2010年4月、産経新聞にパチンコ換金合法化検討」というタイトルの記事が出た。
 超党派の「カジノ議連」が、警察の裁量で換金が事実上認められているパチンコについ
 てもカジノ法案と同じ仕組みで立法化していく方針を固めた。カジノを合法化すれば
 「パチンコは賭博ではないのか」との議論が起こりそうなため 、パチンコによる換金
 も行政の観しかで合法化させるのが目的だ。一方、パチンコは現在、「風俗営業等の規
 制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」で「遊技場」と位置づけられ、獲得賞
 球は、日用品などに交換することになっている。しかし、金地金などの特殊景品に交換
 し、外部の景品交換所で現金化されることが多い。現金化は「事実上の賭博」にあたる
 もの、警察が裁量で「黙認」しているのが実態だ。
・産経新聞の記事にあるとおり、「カジノ議連」の議員たちのやりたいことは、パチンコ
 の換金の合法化なのである。この愚行を、日本のマスコミは問題にもしないどころか、
 積極的に手を貸しているようにすらみえる。要するに、国会議員の一部は、パチンコ業
 界の使い走りをしているのである。 
・大阪の前橋下知事は、どんでもない発言を繰り返している。「小さい頃からギャンブル
 をしっかり積み重ね、全国民を勝負師にするためにも、カジノ法案を通してください」
 との発言は、流石に呆れ果てた。博打をやった経験があれば、こんなバカげた発言はで
 きない。日本のカジノ解禁論者の最大の問題はここにある。彼らはこの問題を軽く見て
 いるか、見ないふりをしてごまかそうとしている。カジノはパフォーマンスや思いつき
 でやれるほど簡単な問題ではない。 
・当然のことかがら、カジノ運営のプロを外国から引き抜いてくるという選択もありうる。
 そうなれば、プロたちのやりたい放題になって、好きなようにしゃぶられるのは目に見
 えている。甘ちゃん国家にカジノはムリなのである。
・マカオや韓国、シンガポールに対抗して、すべてに甘い日本がカジノを新たにやって勝
 てるわけがない。 
・先進主要国で、カジノがないのは日本だけだという。確かにそのとおりだが、しかし、
 日本にはパチンコというイカサマ・カジノが、日本国中どんな田舎に行ってもある。他
 国には、買い物袋をぶらさげて主婦まで出入りできるパチンコ屋というカジノはない。
 金さえあれば、一回に10万円以上も負けることもあるパチンコは間違いなくカジノだ
 ろう。カジノの法案促進に対して、ジャーナリストにも正面から反対する人間がいない
 のは不思議である。
・パチンコを、全面禁止にしてからカジノをやるのならまだ話は分からないでもないが、
 パチンコを合法化してさらにカジノもやるということは、この国を潰すつもりなのかと
 言いたい。それにしても、あきれた国である。知事や国会議員が先頭に立って、この国
 の文化を捨て去ろうとしている。滅びの足音が聞こえてくる。
・日本のサービス業の技術は、世界でもトップクラスなのは事実だが、日本のディズニー
 ランドには本家のアメリカからも視察に来ているほどである。だがカジノに限らず、博
 打はすべて、構造的に弱者から巻き上げるものである。外国人から巻き上げるなら、ま
 だ許せる面はある。税収を期待して、博打で自国民から金を巻き上げるのは、ちょっと
 お門違いではないのか。
・国会議員の方たちは、ギャンブル依存症の実態をあまりにも知らなすぎる。それとも、
 カジノを解禁したいばかりに、知ってても知らないふりをしているとしか思えない。
・パチンコの換金を合法化して、さらにカジノをやるのであれば、亡国へ向けてひた走る
 ことになるのは間違いない。これだけは、はっきりしている。   
・日本の国会議員は、なぜかパチンコ業界には弱い。簡単にパチンコ税を引っ込めてしま
 った。 

世界のカジノはいま
・韓国には、1967年にカジノを始めてから44年の歴史がある。韓国の場合、公営と
 民間経営のカジノがあるが、唯一の自国民向けのカジノ「江原ランド」は、公営である。
 皮肉なことに、この自国民向けカジノだけは庶民が押しかけて、大きな利益を上げてい
 る。
・韓国内のカジノ業界は、カジノこそ「無公害観光事業」だと定義し、収入における外貨
 が占める割合である外貨獲得率が94%に達するカジノは、外貨稼ぎの最高の手段だと
 自負している。 
・外国人観光客に、ゲーム場や娯楽施設を提供する機能を果たすことによって、滞在期間
 の延長や消費支出を増加させると説明されている。実際にカジノがある国とない国の観
 光客の平均滞在日数は、2日の差があるとシンガポールの調査は、指摘している。
・韓国の業界のある関係者は、「カジノを贅沢と享楽の代表的な射幸産業として、偏った
 認識を有するわが国のカジノ産業は、規制本位でこれを運営した結果、観光客を競争国
 に奪われ、衰退するだろう」と語った。「カジノ産業活性化法案を策定しないまま、都
 心のホテル付属施設という概念で新規カジノを許可することは、観光客を誘引する代案
 にならない」と、この関係者は付け加えた。
・日本として、韓国から学ぶべき点は少なくない。日本でカジノを解禁して、実際に大金
 を投じてカジノを開業しても、マカオや韓国、さらにシンガポールには、到底敵わない
 だろうということである。
・放射能に汚染された日本にあえて来なくても、世界一のマカオもあればシンガポールも
 ある。好き好んで、日本へ博打をやりに来るもの好きはいない。韓国も、最近では世界
 的な不況の影響で、観光客は減っている。だから、カジノ業者たちは規制緩和を求めて、
 より多くのカジノに自国民も自由に出入りできるようにしてくれと言う声が上がってい
 る。しかし、自国民をカジノに犠牲にしたくない政府は、自国民が入れるカジノはあく
 までも1カ所しか認めてない。たぶん、これからも認めないだろうといわれている。
・韓国では、1967年にカジノが解禁された当時は、自国民もカジノに入れたが、2年
 後の1969年に、外国人しか入れないように法律を改めている。このままでは、国が
 おかしくなると政府が判断したのである。その判断は、間違っていなかった。
・日本はどうだろう。カジノを解禁しても、外国人は期待できないから、自国民から巻き
 上げるしかない。そう。ギャンブルはすべて、どんなギャンブルでも巻き上げるものな
 のである。どんなに奇麗ごとを言っても、博打はすべて、負ける人の犠牲によって成り
 立っている。  
・韓国政府は頑なに、自国民が入れるカジノは江原ランドだけしか許可しない。なぜなら
 ば、自国民向けカジノの引き起こしている問題が、あまりに深刻だからである。江原ラ
 ンドの惨状は、この目で確かめた限りでは、これがもし、自国民が他のカジノへも入れ
 ることになれば、国がおかしくなるだろうと思われた。
・カジノを合法化している国は120カ国以上ある。現在カジノの売上では、マカオが断
 トツの世界一である。マカオの売上は、ラスベガスの4倍強という。
・ラスベガスではカジノはいつも盛況で非常に多くの人々がギャンブルに熱中している。
 なぜあれだけ沢山の人がスロットマシンやブラックジャックのテーブルにかじりついて
 いるのか、理解に苦しむ。ほとんどのゲームがオールドファッションで面白くないし、
 負ける確率が圧倒的に高いことが分かりきっているので、自分のお金であえて賭ける気
 がしないのだ。自分の金を賭けるという行為自体がエキサイティングなことで、しかも
 何度か大勝ちした経験があると、その時の感動が忘れられず、「きっとまた勝てる」と
 自己暗示にかかり、毎日のようにカジノに足を運んでしまうのかもしれない。
・カジノはギャンブルという単純作業だけで人を引き付けているわけではない。実は、非
 常に巧妙に仕組まれたIT(情報技術)によるデータマイニングと絶妙なマーケティン
 グが見事に機能することで、多くのカジノ顧客の「リテンション率」を大きく引き上げ
 ているのである。
・リテンションは、保持する、保つという意味で、顧客を引き付けて再訪させるための施
 策をCRMと呼ぶ。 
・徹底したCRMの結果、優良顧客は、より長くカジノに居座り、より長くギャンブルを
 し、より多くのお金を賭け、たまには勝ち越すこともあるが、大抵の場合、より多くの
 負け金額を出してカジノを去り、そしてより頻繁にカジノを再訪するのである。当たり
 前だが、何度もカジノに行き、ギャンブルをすればするほど負ける可能性は高くなり、
 ギャンブルする時間が長くなればなるほど負ける可能性と負ける金額が高くなり、カジ
 ノの収益は上がっていく。ギャンブルとは、通う回数が多くなるほど負ける金額も大き
 くなり、奈落に落ちていくものなのである。
・「レジャーにでも行くつもりで、気軽にカジノへ行ってくれればいい」と、松沢前神奈
 川県知事が発言していたが、ギャンブルに対する認識不足も甚だしいのである。
・博打を経験したこともない知事や国会議員が、カジノの解禁を急ぐのは、その裏に何か
 があるのではないかと疑っている。
・世界一のカジノ王国、マカオの10倍の売上を誇る、パチンコというカジノがありなが
 ら、先進国でカジノがないのは日本だけだという論法は、詭弁に過ぎないのである。カ
 ジノをやることによって、幸せになれるのは一部政治家と闇の組織だけである。

カジノ・バブルに沸き立つマカオ
・男は、なぜ博打を好むのか、一攫千金を狙えるということもあるが、ロマンを追いかけ
 る面が強い。一瞬に夢をかけるのが博打で、虜になる人間が少なくないのは、たまに勝
 つことがあるからである。負けてばかりいたら、だれもギャンブルはやらないだろう。
 パチンコも同じで、ギャンブルにはビギナーズラックが存在する。
・博打の怖いのは、初心者ほど勝つことである。初心者は、ツキを浪費していない分だけ
 運を持っている。だから不思議と、ギャンブルは初心者が勝つ。これだけは不思議な現
 象で、ビギナーズラックは間違いなく存在する。  
・マカオには現在、37カ所のカジノがある。最近は、カジノを備えた日本のホテルオー
 クラがオープンした。いまやマカオは、規模の大きさでもラスベガスをしのぐ勢いなの
 である。しかし、ショーの楽しみだけは、ラスベガスにはかなわないだろう。ラスベガ
 スは、ショーの歴史が違うし、歌手などの質も、数も揃っている。
・日本でカジノは絶対にやらないほうが良いという。なぜかと聞くと、財産をなくすから
 ということ答えである。その人の友人も、カジノで自宅を売るはめになったという。日
 本円にして、1千万円以上の金を、たった10日間で失ったそうだ。その中国人に職業
 を聞いてみたら、証券会社に勤めていることがわかった。株の売買も、簡単に言えば博
 打と変わらない。毎日、博打を打っているようなものである。その男は、身なりもしっ
 かりしていて、理路整然と話してくれた。株もカジノも引き際で決まるとの意見であっ
 た。
・株の売買も、カジノでのギャンブルも、すべて引き際で決まるのである。よほど馬鹿ツ
 キした時以外は、調子に乗って追いかけるとやられる。株も、ギャンブルも、度胸を決
 めてどっしりと構えることが大事である。一喜一憂しないで、平然として冷静に立ち向
 かわなくてはならない。常に、冷静な心が要求される。勝った時にあまり喜ぶと、博打
 の運に見放される。周りの人間も、何だこの男はということになる。人の反発を招くと、
 微妙に影響が出る。何だという反発心から発生する想念は伝わることがある。だからプ
 ロは、決して顔に出さないで、謙虚に振る舞うのである。傲慢な態度は必ず反発を招き、
 その想念が伝わって、ツキが落ちていくことになる。
・ギャンブルは、マナーが大切である。マナーが悪いと、博打の神様に嫌われる。これは
 間違いない。プロのギャンブラーで、マナーの悪いギャンブラーは、皆無といっても過
 言ではない。もしヨーロッパのカジノに、韓国やマカオで見るように、日本人や中国人
 が、集団で行ったなら間違いなく馬鹿にされるであろう。博打は本来、集団で行ってや
 るものではない。孤独に、一人で勝負するのがギャンブルなのである。  
・マカオや韓国のカジノを、ヨーロッパの人たちが見たら眉をひそめるだろう。カジノは、
 本来はネクタイをした紳士が勝負するものなのである。サンダルを履いて、Tシャツを
 着て勝負するものではない。
・パチンコはもとより、カジノの解禁も反対しているのは、真面目に働いた人たちが、カ
 ジノで不幸になるからである。博打で幸せになれる人はいない。プロならば、少数なが
 らいるだろう。しかし、ギャンブル以外は潰しがきかないので、プロたちも、引退して
 も幸せに暮らす人は少ない。結局、勝負師としての血が騒いで、簡単には引退できない
 のである。ましてや、スリルのある毎日を送っていると、堅気の人間たちと、同じ空気
 を吸って生活を続けることはできなくなるという。スリルと緊張感。プロは、それが生
 きがいと言っても過言ではない。
・緊張感のある毎日を送っていると、当然のことながら、退屈な日々を過ごすことは死ぬ
 ほど辛くなるだろう。本物のプロは、お金もさることながら勝負にこだわる。確かに、
 プロは負け続けることは許されない。負けることがあっても、それを引きずることがな
 く、取り返すのが早いのがプロなのである。
・カジノの売上の80%は、VIPのお客がもたらしていると言われている。VIPルー
 ムで大金を賭けてくれるお客が、カジノを支えているのであって、スロットや大小をや
 るような一般のお客は、ただ遊ばせてやっているにすぎない。期待する収入源はVIP
 にある。 
・とりあえずは、日本円で最低でも300万円の元手があれば、VIPルームで楽しめる
 ことになる。一度は、VIPルームで女性を侍らせて、ギャンブルをやりたいというの
 が、中国人のささやかな夢らしい。マカオのVIPルームに出入りする中国の男たちの
 間では、日本人女性を隣に侍らせて打つのが格好いいと言われていて、それを目当てに
 日本から、タレント崩れの女性が稼ぎに来ているということであった。その女性がたち
 が、隣にいるだけではないのは言うまでもない。特に中国人の金持ちは、日本人女性が
 お好みらしい。昔と立場が逆だよ、と主張したいのかもしれない。かつてはそこそこ売
 れたタレントもマカオに来て、そうして身をひさいでいるということであった。以前よ
 りは少なくなったとはいえ、最近まで、タイやフィリピンから女性たちが日本へ稼ぎに
 来ていた。今は立場が逆になり、日本女性がマカオに出稼ぎに行っているのである。何
 ともやりきれない思いにさせられた。放射能の汚染された日本は、もしかすると没落の
 一途をたどるかもしれない。日本人女性たちが中国本土へ出稼ぎに行く羽目になるのだ
 けは、避けてほしいものである。しかし、マカオでは、それに近いことが実際に起きて
 いる。
・実は、マカオに関して看過できないことがある。なんと、マカオ発の疫病が中国で流行
 していて、日本にもすでに入ってきているのだという。その疫病は「陰滋病」と呼ばれ
 ていて、治療法のない淋病のようなもので、中国では、その実態を隠蔽しようとしてい
 る。罹患すると目のかすみや充血、筋肉の弛緩、舌の変化、そして、口内炎、身体各所
 の痛みや脱力感、下痢、湿疹やむくみなどを訴える。そして、記憶が落ちたり、頭がよ
 く回っていないように感ずるという。痛みが続き、精神的に病んでしまい、自殺を考え
 ることもあるという。疲れやすいので、正規の勤務はできなくなり、アルバイト程度の
 仕事をするだけでも大変になる。女性は、男性よりも症状は軽度らしいが、性交では、
 ゴムも効き目がなく、ディープキスで感染するという。
・この疫病は、免疫がない点ではエイズと同じだが、じわじわと苦しめるので、ある面、
 エイズよりも始末が悪いかもしれない。死にたくなると言うほどの、痛みや精神的な落
 ち込みがあるのであれば、大変である。  
・日本の国民に知ってほしいのは、日本のパチンコが売上が、20兆円もあることだ。世
 界一のマカオのカジノ売上の10倍の金がパチンコに消えているのである。  
・ソウルなら、まだ店員と笑って話せるが、マカオの店員は笑顔がない。ポルトガル領の
 頃は、こうではなかった記憶がある。やはり、カジノだけの特別自治区なので、人間が、
 ガサツになるのかもしれない。もし仙台にカジノができたら、杜の都仙台も、大らかさ
 を失い、品のないガサツな街になるかと思うとやり切れなくなる。

亡者の群れ、韓国「江原ランド」の無惨
・韓国には、自国民向けカジノ「江原ランド」がある。自国民が入れるのは、この江原ラ
 ンドだけで、他のカジノには韓国の国民は入れない。入場者数は毎年増え続けていて、
 年間5百万人にも及ぶ。
・民家の少ない、田舎の道路をカジノを目指して、バスは走り続けた。景色のよい風景を
 見ることは少ない。木々の色も、日本のような鮮やかな緑色の山林を見ることはない。
 木の葉っぱに、灰色が強くにじんている。なぜか韓国に、風光明媚な光景は少ない。つ
 くづく日本には、自然の豊かな、景色のよいところが多いことが、海外に出ると良く理
 解できる。
・昨年訪韓した際に、日本でカジノをやる話があるがどう思うか、と7人の人たちから意
 見を聞いたことを思い出した。そのうち6人が、日本でカジノをやるのは絶対にやめた
 ほうがいいと断言した。日本のカジノの解禁に賛成したのは、ホテルのベルボーイだけ
 であった。ホテルマンの賛成は、ある程度予想できたものの、タクシードライバー2名、
 ジャーナリスト、通訳の女性、レストランの女性、土産もの屋の主人、6人とも反対で
 あった。
・江原ランドの、カジノの近くには車の質屋が何軒もあって、ベンツやレクサスが車の保
 管場所にズラリと並んでいた。多分、知らない人が見たら中古車ディーラーと勘違いす
 るだろう。個人タクシーも一台あった。個人タクシーの場合は、車を質屋に預けたら収
 入の道が途絶えるわけだから、その後どうしているのか心配になる。だがギャンブル依
 存症の男たちは、カジノに負けると、質屋に愛車を質入れしてでも博打を打ちつづける
 のである。
・車を質入れして、手にしたお金も負けたらどうするのか、ソウルまで、歩いて帰れる距
 離ではない。長距離バスの、バス代だけは残しておくのだろう。バス代は、ソウルまで
 千円ぐらいであった。中には、そのままカジノの周辺でホームレスになる人が増えて、
 一時問題になったが、最近は、ホームレスは排除されているという。そうなると逆に、
 周辺の商店などでは売上が落ちたという話も聞いた。ホームレスといっとも、野宿では
 なく、数人で安い部屋を一部屋借りて、カジノでもお客の使い走りをしたりしているの
 だろうだ。
・開業から10年間で、江原ランドの周辺で自殺者が公式発表だけで35人も出て、問題
 になっている。遺書に「アリのように一生懸命働いて一代で成功したのに、ギャンブル
 にはまって財産を全部使い果たしてしまった」と書いてあったという。
・江原ランドは、2001年からギャンブル依存症センターを運営している。2010年
 だけで1600人から相談を受けた。だが、根本的な解決になっていない。江原ランド
 関係者は「不良顧客ならともかく、ギャンブル依存症の人の入場を制限できる方法はな
 い」と話す。 
・江原ランドは年間1兆ウォンを超える収入を上げているが、その裏側では、身代をつぶ
 し、カジノでの日銭稼ぎに転落したり、さらには自分の人生を放棄する人まで続出する
 等、弊害が相次いでいる。カジノは人々に「大当たりの夢」を見させるが、多くの人は
 財産を使い果たしたまま、家に帰ることもできず江原ランド周辺を徘徊している。
・日本国民は、韓国のカジノの現実を知るべきである。韓国のマスコミは日本と違いCM
 提供者や、広告代理店に左右されることがない。きちんと真実を伝えてくる。
・カジノの怖いのは賭け金がどんどんエスカレートすることなのである。カジノのVIP
 ルームでは、千万円単位の金がいとも簡単にやり取りされる。感覚がマヒしてしまうの
 である。もし、日本でカジノが解禁されるようなことがあれば、これに近いことは、日
 常茶飯事に起きることを覚悟しなければいけない。韓国の場合も、自営業の人たちが多
 く被害に遭っている。中小企業の社長が、一夜にしてホームレスに堕ちた話は珍しくな
 い。警察の高官が、カジノで大負けして、公金に手をつけて逮捕された事件もあった。
・「出入り禁止者」は、毎年2倍近いペースで増えているといい、この問題がさらに深刻
 になっていることがわかる。  
・江原ランドだけは、確かに儲かっている。しかし、外国人向けのカジノは半数は赤字に
 あえいでいるのが現実である。しかし儲かっている言っても、多くの国民の犠牲に支え
 られていることが、問題になっているのである。週末になると、1万人以上の人が入り
 カジノは満員になるという。話を聞いた相手の男性は、商売をやっているという。商売
 がおそろかになるから、本当は来たくないが、自然に足が向いてしまうと嘆いた。自然
 に足が向いてしまうのは、パチンコ依存症とまったく同じ症状で驚いた。家族から、車
 のキーを隠されることがあると笑ったが、目は笑っていなかった。間違いなく、ギャン
 ブル依存症である。
・日本で、長年生活したことがある女性で50代の女性は、日本ではパチンコも経験して
 いるが、カジノはパチンコと違って、一瞬で全財産をそっくりつぎ込むこともあるから
 怖いよ、と真面目な顔で答えてくれた。
・自営業の人が、カジノですべてを失い、ホームレス同然に、江原ランドの近くに4,5
 人で部屋を借りて代理ベッドをしたり、使い走りをしたりして、何とか生き延びている
 人たちも少ない。
・江原ランドは、政権の最大の失政と言われている。それだけ、カジノによる国民の被害
 が大きくなっているのである。外国人向けカジノは、赤字にあえいでいるところが多い
 のに、公営の江原ランドだけは、大きな利益を挙げているという、皮肉な結果が出てい
 る。

カジノ解禁を急ぐ大阪
・大阪前知事の橋下氏は、なぜカジノの解禁を急ぐのか、ずっと疑問に思っていた。橋下
 氏は、カジノで税収を増やすというが、税収が欲しいならば、パチンコに税金をかけれ
 ば簡単に解決する。なにも、インフラに大金をかけてカジノを解禁する必要はない。橋
 下氏は次のような発言を連発している。
 「日本はギャンブルを遠ざけるゆえに、坊ちゃん、お嬢ちゃんの国になった。小さい頃
  からギャンブルをしっかり積み重ね、国民全員が勝負師にするためにも、カジノ合法
  化法案を通してください」
 「政治家の判断はギャンブル。根拠のないところで右左と決めるのが政治判だ」
・日本は「ギャンブル共和国」の様相を呈しているのを知らないとは驚く。競輪、競馬、
 オートにボート、宝くじにサッカーくじ、さらに年間20兆円が消えるパチンコ。これ
 で、「ギャンブルを遠ざけて、坊ちゃん、お嬢ちゃんの国」とは、とても言えるもので
 はない。 
・「小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね」ーこれが、知事の職にある人物の発言
 とは思えない。「国民全員を勝負師にするため」とは、「国民全員がギャンブル依存症
 になってくれ」と言っているに等しい。橋下氏は、パチンコ依存症が、どんな被害を被
 っているか知らないのだろうか。少なくとも、知事の職にある人間であれば知っておく
 べきことである。
・ギャンブル依存症は、パチンコ依存症も含めて病気なのである。ギャンブル依存症は、
 WHOでも病気として認められている。この橋下発言に、マスコミが大した反応を示さ
 なかったことに、この国の、救いようのない現実が表れている。
・日本のマスコミは、社会の木鐸としての使命を果たしていない。これだけ酷い発言をし
 ているにもかかわらず、日本のマスコミは、ほとんど批判の声を上げなかった。
・ギャンブル依存症は、個人の性格の弱さといった問題ではなく疾患である。患者本人の
 みならず、家族、社会など周りへの影響も大きい。 
・カジノができることを契機に、ギャンブル依存症に陥る人々が出現することは避けられ
 ない事実である。カジノに携わる者は、このことを十分に認識する必要があり、政治や
 行政は、IR導入を契機に、依存症問題に正面から取組む必要がある。
・依存症に対して十分な対策を取ることにより、依存症患者出現の最小化を図り、患者救
 済システムを構築することが肝要だ。
・「雇用が拡大し、観光客を増やす日本再生の切り札となる」という発言についても、生
 産性のない博打が、なぜ日本再生になるのか、雇用の拡大という発言についても、若者
 をカジノのディーラーにして何になるのか。マカオでは堅気の業界が人手不足に陥って
 いる。カジノのディーラーをやれば、堅気の仕事の3倍の収入を手にすることができる
 からである。
・米国の「ギャンブルの社会的コストの研究」によれば、庶民の生きやすい距離にカジノ
 がある州は、ギャンブル依存症者の数が多くなるという報告がある。大阪のベイエリア、
 東京のお台場など、庶民の行きやすい場所は、アメリカでの研究結果のごとく、依存症
 になりやすい立地条件なのである。だから、韓国の自国民向けカジノは、車で2時間半
 もかかる山の中に作られている。それでも、依存症の群れが、朝10時のオープンを待
 って、入り口でうごめいている。
・カジノは、国民にとってバラ色の未来があるような表現は適切でないことは明らかであ
 る。特に心配なのは、パチンコでも実証されているように、年金受給者や、退職して退
 職金を手にしてカジノにのめり込む人たちである。
・退職金を、カジノですべて失うようなことが頻発する可能性が高いのが、カジノの恐ろ
 しさなのである。20万円勝つと今度は200万円、200万円勝つと、2000万円
 にしてやろうと思うのがギャンブルである。ギャンブルは、人の人生を狂わせるもので
 あることを知らない政治家が、あまりにも多すぎる。知っていても、知らないふりをし
 ているのか?
・依存症を簡単に考えていて、経済が潤うなら、カジノも悪くはないだろうぐらいの、軽
 い考えでいる人が多い。韓国でも、経済的な効果を期待して始めたカジノだが、最近で
 は、外国人向けカジノは、世界的不況の影響から、おおむね芳しくない。カジノで、経
 済効果を期待するのは甘すぎる。
・カジノはパチンコと違い、いくらでも張れるから負けたら大きくなる。20万円ぐらい
 は、すぐにやられる。

カジノ反対の有識者たち
・カジノは「賭博罪」に該当する犯罪である。カジノ議連の提案は、わが国において賭博
 が禁じられてきた歴史、また、賭博が犯罪とされている趣旨をないがしろにするものと
 言わざるを得ない。
・パチンコ、パチスロは、いわゆる三店方式による合法性の衣をまとってはいるものの、
 その実態は賭博にほかならず、日本全体に万余の賭博場が実在するのである。それによ
 り、財産、家族、仕事、友人を失い、罪を犯し、また、死を選ぶ人があまたにのぼって
 いる。わが国のギャンブル依存症者の数は優に百万人を超え、また、その家族や犯罪の
 被害者も含めるなら、現に行われている賭博によって、数百万の人々が、苦しめられて
 いるのである。
・カジノに関して、大した知識もない人たちが、カジノの解禁に賛成している。カジノ解
 禁による、大きな弊害に対して知識に欠けているか、認識が甘いと言わざるを得ない。
 非常に歯がゆくなる。
・カジノと、経済の活性化を結び付ける、そのセンスに疑問を持つ。カジノで、経済が潤
 うことなど少ないと見るべきである。犯罪の多発、人心の荒廃、環境の悪化などなど、
 少しばかり税収が入ってきても、失うもののほうが何十倍も多くなるのがカジノなので
 ある。
・カジノは、負ける人の犠牲の上に成り立つものであることを、知事は理解していない。
 ギャンブルはすべて、負ける人たちの犠牲の上に成り立つものである。パチンコを検証
 すれば、おのずと分かることである。
・不良外国人の跋扈、ギャンブル依存症による事件事故の多発。特にカジノは、闇の組織
 が関与しなくてはできない面がある。これだけは、抑えようがない。素人では、運営が
 成り立たない面は否定できない。
・学者も賛成していたと言う。博打の恐ろしさを知らない学者が、短絡的に賛成している
 のには呆れるばかりである。
・賛成派には、もちろん観光業者が多い。業者の方々は、カジノをやっても、観光業界に
 は大して恩恵がないことを理解できないようである。カジノは、ホテルが付帯施設とし
 てやることになる。当然のことながら、従来のホテルは、逆にお客が減ることになりか
 ねない。
・カジノでギャンブルをやる人たちは、ホテルに籠ってギャンブルに明け暮れることを理
 解していない。ギャンブラーは、ホテルの外に出て買い物をしたりすることは少ないの
 である。特にカジノにの負けたら、買い物どころではなくなる。
・パチンコ店の店員たちにも、パチンコ依存症が多い。ミイラ取りがミイラになって、い
 つもピーピーしている人が少なくない。カジノもパチンコも同様である。
・ギャンブルに身も心も奪われ、生活破綻、家庭崩壊、ホームレス化など社会全体の解決
 すべき問題を多く抱えています。これらの問題を放置したまま、これに加えてカジノを
 許可することになれば、日本はギャンブル超大国になってしまいます。ギャンブル依存
 症になれば個人の生活は破壊され、社会は乱れること必至です。だからこそ、ギャンブ
 ル(賭博)は刑法185条で禁止されているのです。禁止されているのには根拠があり
 ます。
・ギャンブル行為が人間に与える快感はすさまじいものがあります。しかし、きかけは気
 安い遊びとして始まります。しかし、勝てばもっと勝ちたい、負ければ取り戻したいと
 いう、勝っても負けてもギャンブルに追い込まれていく恐ろしい地獄なのです。
・初めは軽い気持ちでゲームを楽しむ、利益配当を楽しむ程度であるが、負けがこむと、
 次第に強迫観念が出てくる。強迫観念が強くなると、理性を超えた衝動のためにコント
 ロールがきかなくなる。快楽を求める心理が依存心を増長させ、ギャンブルを中心に生
 活がまわるようになると、生活が破壊される。生活が破壊されるにもかかわらず(ある
 いは生活が破壊されればされるほど)ギャンブルにアディクトしていく。嗜癖化するの
 である。いったん嗜癖が形成されると容易に元に戻らない。治らないのである。