安倍「壊憲」を撃つ :小林節佐高信

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最近、また米国で銃乱射事件が起こり、なんの罪もない人々が犠牲になった。米国では、
銃規制を強めようとすると、「銃で身を守ることは当然の権利だ」「銃が犯罪の抑止力に
なる」と反対運動が起こるという。しかし、抑止力になる、身を守るというその銃で、多
くの罪もない人々が犠牲となる事件が、後を絶たないのが現実だ。身を守る場合よりも、
無残な犠牲が出る場合の方が、ずっと多いのではないかとさえ思える。「銃」よって身を
守ろうとすればするほど、その「銃」によって安全が脅かされるというジレンマに陥って
しまっている。これがはたして先進国なのか。米国の銃社会を見てると、そんなことを思
ってしまう。
このことは安全保障にも当てはまるのではないのか。軍事力で国と平和を守るというが、
その軍事力が平和を壊している場合がのほうが、ずっと多いのが現実ではないのか。
集団的自衛権行使に反対する理由はここにあると思う。集団的自衛権が抑止力になるとい
う面もあるだろうが、しかしそれ以上に悲惨な戦争へ突き進む危険性のほうが、はるかに
高いのではないのか。
銃とはほとんど無縁で暮らせる日本の社会と、日常的に銃のある米国社会は、両極にある。
なんとかしたくてもなんともできない、そんな米国の銃社会のように、憲法違反までして
今の日本はなろうとしている。近い将来、きっと日本は、このことを後悔する日が来るだ
ろう。

はじめに
・今、私たち日本国民はとんでもない事態に直面している。つまり、主権者国民から一時
 的に国家権力を預かっているに過ぎない権力担当者(政治家以下のの公務員)に対して
 主権者が課した最上位の制約(憲法)を権力者が公然と無視してはばからない事態(安
 倍「壊憲」)である。
安倍政権は、現行憲法9条の条文を改正しないままで、海外で戦争を遂行している米軍
 を支援するために自衛隊を派遣する、という政策を提案し、国会内における多数を頼ん
 でその実現に邁進している。しかも、安倍政権は、それが憲法9条および政府による従
 来の憲法解釈と矛盾しないと「思う」と強弁している。これはまさに「憲法の危機」で
 ある。この国の主という資格を国民から安倍首相が取り上げようとする暴挙である。つ
 まり、安倍首相は「独裁者」になろうとしている。
・「憲法守って国滅ぶ」でよいのか?という返論が来る。しかし、まず北朝鮮が張子の虎
 であることは公知の事実である。また中国も、専守防衛で厳重に守られている我が国に
 は手が出せないので周辺の騒ぎ立てているわけで、その状況は、実は、過去数十年にわ
 たって変わりがない。
・安倍政権が目指している自衛隊の米軍二軍化が実現した場合の危険を、今、私たちは直
 視すべきである。つまり、まず、今までは私たちと友好的であった中東のイスラム教徒
 たちにとって、今後、私たちは、「敵の友は敵だ」という論理でテロの対象になる。ま
 た、「非戦の大国」として尊敬されていた日本のPKOやNGOも、今後は、アメリカ
 の他の 友好国のチームと同様に、派遣先で敵対的な扱いを受けることになる。さらに、
 アメリカに続いて、わが国も「戦費破産」の道を辿ることになるだろう。

危機に立たされる日本国憲法
・安倍政権がやっていることは、まさに「改憲」ではなくて、「壊憲」というにふさわし
 い。
・安倍さんの周りには二種類の人間がいて、一つはあの方と同じような先祖代々の世界の
 価値観の人たち。もう一つは秀才だが、その世襲貴族にゴマをすることで出世しようと
 する政治家や官僚たちです。 
・与党は「殿様」だけを見ているヒラメ議員ばかりですから、安倍官邸にはイケイケドン
 ドンの人しかいない。だから当然、強行採決すると思っていました。
・そもそも憲法は、軍隊が海外に出ていくことをはっきり禁じています。その憲法が改正
 されていない以上、海外派兵をすることになる集団的自衛権の行使を認めることはあり
 えない。 
・どうせ自公は強行採決をやりますから、みんなそこでがっくりしちゃダメですよ。絶対
 にしないでください。強行採決されても、諦めないでください。
・2014年12月の衆議院選挙で自公は約3割の得票で約7割の議席を獲得しました。
 これを裏返せば、雇うが参院選に向けてしっかり選挙協力をして選挙区を住み分けるこ
 とができれば、4割の得票で8割の議席を得ることができることを意味します。
・われわれが今、何よりも考えるべきことは、史上最悪の政権の退場です。ここは賢く、
 安倍政権を倒すという一点で野党は一致団結しなければいけない。一点共闘で野党が協
 力体制を敷けば、まず参議院自民党はびびりますよ。
・2016年の参院選で自民党を敗北させれば、次の衆院選で政権交代の可能性が見えて
 きます。政権交代を実現して、安保関連法廃止法案を成立させれば、この戦争法案は取
 り消せます。
・国家の運命を決めるのは、一次的には政府ですが、最終的には主権者である国民なので
 す。一時的に権力を任されている分際で、好き勝手なことをするエセ権力者には、選挙
 で「ノー」を突きつけなければなりません。こんな「壊憲」政権は選挙で倒せばいいん
 です。
・憲法を権力者から守らなかったら、独裁国家です。それにもかかわらず、権力者が公然
 と憲法を無視する暴挙に出たわけです。安倍首相までの歴代内閣は、さすがに憲法を公
 然と無視することはしなかった。
・権力者が「あなた方のためですよ」と国民のせいにして、自分の手を縛っている条文を
 緩めようとするのは、アウトじゃないですか。それはアンフェアで許せない。「裏口入
 学」と呼んでやめさせました。そうしたら今度は、「いいよ、憲法9条なんか無視する
 から」と表門を蹴飛ばして入ってきちゃった。これは憲法の危機ですよ。
・憲法9条は1項が「戦争の放棄」です。これは国際法の用語として、国際紛争を解決す
 る手段としての戦争、すなわち、侵略戦争のみの放棄を意味します。2項では、「陸海
 空その他の戦力の不保持と交戦権の否認」をうたっています。交戦権とは、戦争をする
 法的資格のことです。以上から、日本は他国と戦争はできません。
・ただし、わが国も独立主権国家である以上、他国から侵略の対象にされた場合に無抵抗
 でその国の植民地になる謂れはない。他国が攻めてくれば、国家としてどの国本来的に
 有している自然権としての自衛権を行使することはできます。そこで、専守防衛です。
・「専守防衛」の意味として、「海外派兵の禁止」と「海外で他国の武力行使と一体化す
 ることの禁止」という二つの原則が確立されています。ところが、今回の法案の中心は、
 集団的自衛権の行使と他国軍支援の二つです。集団的自衛権の行使とは、海外で戦争中
 の同盟国軍とともに戦うために派兵することで、これは海外派兵そのものです。もう一
 つの他国軍後方支援とは、海外で戦争中の同盟国軍をバックアップするために派兵する
 ことで、これは海外で同盟国の武力行使と一体化することです。
・国際法上は、独立主権国家として集団的自衛権は認められているけど、日本は9条2項
 がその行使を禁止している以上、海外派兵はできず、集団的自衛権は「持っているけど、
 使えない」ものなのです。
・後方支援というのは、後ろから他国の軍事活動に合体するということです。後方支援だ
 から安全だということはない。後方支援とは、弾が飛んでいないときを選んで米軍に後
 ろから合流して戦争に参加すること以外の何ものでもでもないんです。
・今回の法案の正体は、自衛隊をアメリカに売り渡すことです。安倍さんはその見返りと
 して日本を国連安保理の常任理事国に入れてもらいたいのでしょう。この法案はアメリ
 カに自衛隊を売り渡すものですから、丁寧な説明なんかできない代物だということでし
 ょう。
砂川事件では、「アメリカが日本に軍隊を置いていることの合憲性」が問題になったの
 であって、「日本が集団的自衛権を行使して、海外派兵することの合憲性」は問題にな
 っていない。だから、集団的自衛権について何の判断もなされていません。砂川事件に
 おいて集団的自衛権は想定外かつ問題外だったので、最高裁判決と集団的自衛権は無関
 係です。安倍政権の主張は合理的でなく、成り立ちません。
・法案が成立して法律が有効になった瞬間から、われわれ国民は、戦後一度も経験しなか
 った「戦争の危険がある状態」に追い込まれます。集団的自衛権を認めるということは、
 海外派兵をするということですから、海外で戦争をする危険が現実のものとして具体化
 するんです。 
・集団的自衛権は、いわゆる新三要件、「わが国の存立と国民の人権が覆される明白な危
 険があり」、「ほかに適当な手段がなく」、「必要最小限にとどめる」の三つがそろっ
 た場合に発動し、その判断にあたっては、政府がすべての情報を総合して客観的、合理
 的に判断すると安倍さんは言っていますが、この基準自体がまったく判断基準になって
 いない。「すべての情報を総合して」判断するということは、事前に何の基準も示さず
 に、担当者に一任せよと要求しているに等しいからです。無条件で戦争権限を政府に一
 任せよと要求しているわけで、これは論外ですよ。
・違憲訴訟は最高裁まで行ったら4年かかります。下級審は違憲判断が出るような気がす
 るけども、わかりません。3年以内に衆院選が来るんだから、違憲訴訟を4年間やって
 いて、政権交代ができたら訴訟を下ろすつもりです。最高裁が判断を逃げて、引き分け
 になったらつまらないですからね。
・日本の最高裁が違憲判決を出してくれないから憲法裁判所をつくったらどうかという話
 ですが、つくっても、同じですよね。いわば第二最高裁ができるだけじゃないですか。
 憲法判断しないと決めて逃げ回っている裁判官が憲法裁判所を構成すれば、今と同じこ
 とですよ。金の無駄です。
・わが国は司法型ですから、裁判所は憲法問題を民事か刑事かの事件を解決する範囲でし
 か扱えないということなんです。だから、事件が起きないとダメなわけです。今の憲法
 の下では、現段階では、法律がつくられている途中の段階では何も事件が起きていない
 から訴えようがないんです。法律ができた瞬間から、事件性を持つと僕は認識していま
 す。 
・三段階の違憲訴訟を考えています。まずは、今の法律が成立して施行されたときに平和
 的生存権の侵害を根拠に違憲訴訟を提起する。次の段階は、具体的に海外派兵の命令が
 下ったときに、その部隊の一員がそこから逃げ出して懲戒処分を受けた場合に、それが
 違憲無効だと訴える。一番悲劇的なのは、実際の海外派兵で自衛隊に死者が出た場合に、
 その遺族が違憲な戦争で家族が殺されたと訴える。
・やり方は集団訴訟です。各界を代表するような知名度の高い100人に代表として原告
 団に加わっていただく。弁護団はこれまでに例のない1000名を超える弁護士に名を
 連ねてもらおうと思っています。

安倍「壊憲」政権の正体
・立憲主義というのは、国民が為政者を管理するためのマニュアルが憲法だということで
 す。
・国民が幸福に暮らすために国があって、その国を運営するための権力機関国民がつくり、
 国民の幸福を増進する。すなわち、国が国民に自由と豊かさと平和を与え続けるならい
 いけれども、それを奪ったら、政府も組織も取り替えていいんですよ。ある憲法を国民
 がつくって政府に与え、政府が誤動作したら、国民はその政府を追い出すだけじゃなく
 て、全部ガラガラポンでつくり直してもいんです。
・選挙で選ばれたわけでもない学識経験者や有識者を集めて、もっと言えば、その分野の
 正統な学識経験者とは思えないような人々や学識はあるにしても結論において偏った人
 を集めて、首相官邸で会議し、それが報道されて権威づけられ、国民の前を素通りし、
 有識者会議が提出した報告書に従って政策を決めようとする。これ自体が民主主義に反
 するんです。
・こういう傲慢さがどこから出ているかというと、やっぱり自分たちは特権階級なんだと
 いう貴族意識です。国会議員の彼らの育ちを想像したらわかるじゃないですか。塀に屋
 根がついているようなすごい屋敷に住んでいて、黒塗りの車がいつも止まっている。代
 議士はほとんど東京に出ていて、選挙区には奥さんと子どもがいる。子どもが小学校に
 遅れたら、秘書に「車で送って」ですよ。小学生のときから黒塗りの車で送迎されたら、
 一般人とは感覚がずれますよ。それから、母親が命令口調で人を使っているから、子ど
 もも同じように秘書や運転手を使う。人は背後にいる父親にお辞儀をしているのに、自
 分がお辞儀をされていると思ってしまう。そういう扱いを受けていると、自分が偉いか
 のように錯覚しておかしくなっちゃいますよ。
・安倍さんが最初に総理大臣になったときに「「美しい国へ」を出しました。その中では、
 「法の支配」と書くべきところを、何度も「法律の支配」と書いて憚らない。「法の支
 配」とは、国会でつくった法律であっても、憲法という上位法に反してはいけないとい
 うことです。法の支配とは、憲法の支配なんです。ところが、「法の支配」と言うべき
 ところを、「法律(すなわち国会)の支配」と書いている箇所がいっぱい登場する。つ
 まり、国会は憲法を無視する、です。ぶったまげました。
・第二次世界大戦を別の角度から見ると、軍人の責任者を東条英機、文官の責任者は、形
 式上はナンバー2であろうと、実質的には岸信介です。要するに、岸はスーパー・エリ
 ートであることを権力者になることに使ったんだと思う。  
岸信介は、戦後、A級戦犯容疑者として、めでたく東条英機と一緒に巣鴨プリズンに入
 れられましたが、東条は絞首刑、一方、岸は起訴もされずに出てきた。やがて巡り巡っ
 て日本の総理大臣になり、日米安保をつくるわけですが、生きて出てこられた理由は、
 アメリカのエージェントになったからでしょう。魂を売って、彼は生き延びた。
・岸は、東大を首席で卒業したのも、二つの憲法学のうち、当時のトレンドを取ったのも、
 すべて出世の道具ですよ。見事、戦争の実質的な責任者に昇りつめ、満州の責任者もや
 った。実質的な責任者だから、敗戦濃厚の気配が見えてきたときに、軍人より先にわか
 るから、さっさと反戦派と手を打つ儀式を、アリバイ工作をやった。 
・岸は、「日本国憲法は占領下に改正したから、これは押しつけ憲法で、違法である。だ
 から無効である。」と考えていた。そうすると、われわれ日本民族が自ら手にした憲法
 は明治憲法しかない。 
・世襲貴族集団が過半数になった今の自民党の構造では、親父さん、おじいさんの貸し借
 りの関係で総理大臣にまでなってしまう。だから、「俺のどこが悪いんだ、売れに価値
 があるからここまで来たんだ」と勘違いしてしまう。根拠のない万能感を持っているか
 ら怖いんです。
・よく彼らは、「日本は侵略者ではない、白色人種からアジア同胞を解放しようと思って
 戦争に行ったんだ」と言うけど、嘘ですからね。世界の歴史が民族自決の時代になり、
 アジア各国は独立したけれど、それは日本が独立させてあげたわけではない。もし本当
 に彼らを独立させる気だったら、西洋人が横文字の言語とバイブルを持っていったよう
 に、なぜ日本語と鳥居を持っていったのか。おかしいですよね。
・軍隊は政権の番犬ですよ。政権が軍隊を持てば国民は守ってもらえるのではなく、国民
 を守らないで、むしろ国民に銃口を向けるものだと思っているわけです。自衛隊は国民
 の生命、財産を守るというのは誤解である。国民の生命、財産を守るのは警察の役目で
 あって、武装集団たる軍の任務ではないと明言している。では、自衛隊は何を守るのか
 といえば、国の独立と平和を守るという。つまり、国の独立と平和を守ることと、国民
 の生命、財産を守るということは、自衛隊のトップの頭の中では分かれているわけです。
・有事法制というのは日本に特殊なことではない。どこの国にもあります。戦争になると、
 軍隊は迫ってくる敵軍とお付き合いで手いっぱいになるんですね。その結果、軍隊はそ
 ういう意味では敵を殲滅して国を守る。政権を守るのではなく、器を守る。器の中で、
 われわれ国民はどういう状態になるかというと、有事法制では、戦争の邪魔にならない
 ように非難して暮らすことになります。その避難している国民の面倒を見るのは自治体
 です。国民の生命、名誉、財産、女性の場合は貞操などを守るのは、犯罪に対する警察
 の仕事なんです。  
・沖縄戦で民間人が犠牲になったのは、軍隊が悪かったんじゃなくて、国がバカな戦争を
 したからなんです。勝ち戦だったら、絶対国民は犠牲にならない。あれは負け戦だから、
 軍隊も兵站もが絶たれて、軍隊自体が穴倉に逃げ回っている状態だった。軍隊にしてみ
 れば、ここで陣地をつくって敵と向かい合うために、おまえらは邪魔だ、出て行けとい
 うのは、軍隊の論理としてはありうるんです。軍人は軍人なりに死ぬ瞬間まで目の前に
 いる敵と対峙して、敵と対決して、敵を退治することによって国を守ることに命を懸け
 るんです。軍人である以上、最後の瞬間まで周りの民間人の面倒を見てはいけない。国
 民の生命と財産を直接守るのが軍隊だというのは、間違いだと思う。
・フランスやアメリカの場合は、国家で一番偉いのは個々の国民だという思想が徹底して
 いる。だから、中央政府というのは雇われマダムだという意識が強い。二品は一番上に
 天子様がいたから上が偉い。どうしても上に向かってお辞儀をしてしまう。もうこれは
 民族性なんです。

自公政権は「憲法泥棒」
・日本会議の彼らに共通する思いは、第二次世界大戦で負けたことが受け入れがたく、そ
 の前の日本に戻したいと思っているようです。憲法改正によって彼らがつくろうとする
 新憲法は明治憲法と同じです。安倍政権のブレーンには日本会議やそれにつながる神道
 系の人たちが多く、今の自民党や安倍政権は事実上、日本会議に乗っ取られてしまった
 と言えると思います。

消えた自民党ハト派の系譜
・櫻井よしこさんが「皆さん、日本国憲法は困ったものですよ。今の憲法は国民の権利ば
 かり保障していて、権利は二十幾つもあって、義務はたったの三つと少ない。おかしい
 じゃないですか。権利と義務は対応してバランスが取れないとおかしい。こんな個人主
 義憲法がこの国をおかしくしたんです」と主張した。しかし、この意見には二つの間違
 いがあります。一つは、憲法の本質がわまっていないということです。憲法というのは、
 そもそも国家権力から国民を守るという前提があるから、国民に人権を与えて、国家権
 力はそれを守る義務があるわけです。万一、権力を濫用して国家権力がフライングして
 きたときは、国民が人権侵害だとして押し返せるように、国民の側に、身を守るための
 人権を保障した。これがわかっていない。もう一つは、憲法の権利はすべて義務がセッ
 トついているということです。権利ばかりではないんですよ。憲法12条と13条を見
 ればわかるように、権利には「濫用しない義務」「公共の福祉に従う義務」が付いてい
 ます。だから、いかなる人権も公共の福祉には従う義務がある。いかなる人権も濫用し
 てはいけない義務が付いている。そういう意味では、すべての人権に義務は対応してい
 る。

憲法をめぐる現実
・私は憲法のことを話すときに、「会社と沖縄は憲法番外地だ」という話をしてきた。沖
 縄はもちろんのこと、日本の会社もそうだと。人権がないということだ。
・会社では私物検査をされるということも覚悟しておかなきゃいけないですよ。会社のデ
 スクは会社のスペースですから、机の中には会社側に見られていいものしか入れておか
 ないほうがいい。 
・「会社には憲法などありません」と露骨に人事か総務の人間に言われたことがあります。
 憲法というのは本来、国家権力と闘うものですから、会社内部での問題は、私的自治の
 世界なんです。
・弁護士は結構、非現実の世界にいるんです。われわれが医者には一生に何回もかかるけ
 ど、弁護士のお世話になることはめったにないでしょう。弁護士というのは、会社の顧
 問弁護士の場合だと、基本的には威張って顧問料をもらっていればよく、会社のアクセ
 サリーみたいなところがあります。それでも会社の紛争を扱う弁護士はまだしも、その
 他の弁護士は社会の病理現象の中にいるクライアントを相手にすることになります。本
 当につまらない争いに代理人じゃないですか。だから、弁護士は社会のひどい側面だけ
 をよく知っている。生活のためとはいえ、お金でももらわなければやっていられないで
 すよ。弁護士がそのフラストレーションを解消するために深酒するのもよくわかる。
 
おわり
・憲法とは、国家権力者をフセイン元大統領のような独裁者にさせないために、主権者国
 民が課した枠です。それなのに、日本政府は簡単に嘘をついて一線を踏み越えていく。