2012年、日本経済は大崩壊する  :朝倉慶

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この本は、あの東日本大地震発生後の2011年6月に出版されたものである。この本で
は、2012年の秋までには、日本は財政破綻するだろうという大胆な予想がされていた
が、その予想は外れ、2012年は無事に終わった。しかし、根底に流れる状況は、何も
変わってはいない。時期的に先にずれただけと考えることもできる。
2012年末に総選挙が行われ、それまでの政権与党である民主党は、破滅的な敗北とな
り、大勝利のもとに自民党が、政権与党に帰り咲いた。その自民党は、経済の立て直しを
第一掲げ、それまでの民主党の政策を一転し、国債の大増発や公共事業の大増発を行うよ
うである。それを先取りしてか、円安が急激に進行し始めている。
この円安は、今は歓迎されているようであるが、このまま円安がどんどん進めば、歓迎ど
ころか、日本経済に大きな打撃を与えることになりはしないだろうかと心配になる。
自民党がこれからとろうとする経済政策は、「大きな賭け」のような気がする。うまくい
けばデフレから脱却して経済が立ち直るかもしれないが、失敗だったら致命的になるだろ
う。日本政府が、自ら財政破綻の引き金を引いたことなる。そしてその公算が、高いよう
な気がしてならない。この本を読んで、とても不安な気持ちになった。

はじめに
・日本の財政はぎりぎりの綱渡り状態ですから、些細なきっかけであっても国債が暴落し、
 日本を支えていた金融システムが決定的に崩壊してしまうのです。
・日本の市場が暴走するコンピューターによって破壊されるのは時間の問題です。地震後
 の3月15日、日本の株式市場は先物で一時1600円安という、考えられないような
 暴落が起こったわけです。
・税収38兆円の国家が、どうやって1000兆円もの借金を返すことができるのですか?
 返済は100%不可能です。これほどの借金をした国家が、その借金を返した歴史もあ
 りません。
・リーマン・ショック後の常軌を逸したばら撒き財政は、すでに限界に達しており、これ
 からは、その副作用を体感するのみです。世界中で山のようにマネーが印刷されました
 が、ばら撒かれたのはドルだけではありません。ユーロも円も中国の元も膨大にばら撒
 かれ続けているのです。今後世界に訪れるのは各国の国債市場の大暴落(金利急騰)、
 それに伴う通貨価値に失墜、さらに加速するインフレです。世界経済は鎖のようにつな
 がっているため、一度どこかで市場の波乱が起きれば、その影響は瞬く間に世界各国に
 広がるのです。
・これから訪れようとしている経済のような経済津波も、善良で真面目な人たちを直撃し
 ます。商品高騰、国債暴落、それに伴うインフレで、日本経済は徹底的な打撃を受ける
 のです。一生懸命働いてきた人たちが、一気に蓄えを失ってしまいかねません。

暴走するコンピューター支配で、市場の崩壊は加速する
・3月15日、衣本の株式市場は荒れに荒れました。不安感を持った投資家が一気に売り
 に殺到し、株価はまず先物から暴落。一時、前日の9400円から1600円安の
 7800円になって、午後はパニック的な売り一色の様相になったのです。
・先物取引の取引総額は一般の現物取引に比べて格段に大きいのが特徴で、取引額のおよ
 そ3%の証拠金と言われる担保が必要となります。
・先物取引を行うときの単位は、1単位約1000万円からなのですが、証拠金はこの金
 額の3%にあたる30万円だけでいいのです。
・市場では先物だろうが現物だろうが1000万円は1000万円で、今のシステムでは
 どうしても先物主導になります。
・暴落した3月15日の売買動向をみると、驚きます。圧倒的に多く売っているのはニュ
 ーエッジ・ジャパン証券という証券会社です。3月15日だけでなく、その前後、全て
 ニューエッジ証券が先物市場で莫大な売り買いを行っているのです。
・普通に現物を売り買いする投資家は、その額を考えると相場にはいインパクトを与える
 ことはできません。市場がダイナミックな動きをするときは、特にそうなります。普通
 の投資家はある意味、先物取引の投資家の後について右往左往するだけでしょう。
・ニューエッジ証券とは、六本木ヒルズにあるフランス系の証券会社です。デリバティブ
 取引を得意とする、プロ相手の証券会社になります。おそらく取引に必要な証拠金やそ
 の他で、数兆円の資金を有しているものと思われます。一番高い可能性としては、大物
 のヘッジファンドの注文を仲介しているということでしょう。外務員わずか20人の会
 社が、連日総額1兆円も超える取引など、人間を介してできるわけがありません。
・市場の帰趨を決めるような大口取引が、1000分の1秒というコンピューター間の超
 高速取引で間断なく執行されているのです。人間の介在はほとんどないと言っていいで
 しょう。コンピューターを介して、ヘッジファンド、ニューエッジ証券、証券取引所の
 三者がつながっているだけ。無機質に売買が繰り返されているのです。そしてそのよう
 な注文が、日本の相場を決めていくのです。
・簡単に言えば、まずニューエッジ証券は先物を売り叩きます。そうすると驚いた日本の
 個人投資家が投げ売りしてきます。そこで投げ売りされた現物株を買うと思えばいいで
 しょう。
・2010年5月6日にニューヨーク・ダウが一気に暴落し、たった20分間で600ド
 ル下げ。1日で1兆ドル、約85兆円お時価総額が吹き飛んだ。
・日本で2011年3月15日に起こった午前11時過ぎからの先物急落も、これに匹敵
 するコンピューターの仕業だった。
・米国の証券取引所には、5分以内に10%の値動きがあった場合は取引を停止する規制
 がありますが、1000分の1秒で繰り広げられる取引では、数秒で信じられないよう
 な天文学的な取引をすることが可能なのです。規制など全く役に立ちません。完全に機
 械に操られている世界の市場は、もはや救いようがないのです。
・デリバティブとはゼロサムゲームです。その想定元本は6京円という途方もない、まさ
 に虚構のマネーが踊っているわけです。
・個人投資家は次から次へと市場から去って行っています。市場は超高速取引のコンピュ
 ーター全盛時代になってきています。見放された個人投資家は、世界各国で減少してい
 るのです。英国やドイツでは、個人投資家の比率が2004年の15%程度から2009
 年には10%未満になりました。米国では同じく40%から35%に減りました。日本
 の個人投資家も個別株の売買代金では、2009年から2010年にかけて18%も減
 ったのです。
・個人投資家は泣いています。いったい1000分の1秒、これからそうなる可能性の高
 い100万分の1秒などという取引スピードは誰のためですか?我々人間が普通に取引
 するうえで、そんな超高速のシステムを作る必要がどこにあるのですか?
・行き過ぎたコンピューターのシステムは、やがて破滅的な危機を招くこととなるでしょ
 う。市場も証券取引所も日本全体も機械に魂を売り続けた挙句、コンピューターに滅ぼ
 される運命を歩もうとしているのです。
・米国では今や高速取引が全取引量の7割に達しています。各大手証券会社、そしてヘッ
 ジファンドなどはこの優秀な超高速のコンピューターブログラムを次から次と開発し、
 それを取り入れて毎日のトレーディングを繰り返し、確実な利益を上げているのです。
 中身は完全なブラックボックスで詳細はわかりませんが、人間の手など必要ないことは
 明らかです。そしてそのようなシステムが日本の市場にも適用され、実験的にさまざま
 なことが行われているのが現状でしょう。
・まさに世界の金融の実態は高速コンピューターシステムの優秀性を競う時代に突入して
 いて、それに乗り遅れるわけにはいかない形です。
・当時LTCMのシステムは、米国債と他の債券の価格差が拡大すると、取引を約定するよう
 にプログラムされていたのですが、ロシア危機でこの価格差が拡大していき、それに応
 じてコンピューターが暴走、次々とポジションを作る動きが止まらなくなって、ついに
 破綻したのです。ブラックスワンと言われる極端に稀なケースには、高速取引のコンピ
 ュータープログラムは対応できないのです。
・デリバティブなどはゼロサムゲームですから、誰かの損が誰かの儲けになるわけです。
 ですから、みんな儲けるようになると、突如、変化が起こる可能性が高くなるのです。
 興味深いのは、1回の大変化ですべてを失うほどの痛手を食らってしまうということで
 す。
・それまでのケースで考えてリスクが少ないと思っていても、突如変わってしまうのが、
 今の金融市場の置かれた状況です。今までになかった思わぬことが起こるわけです。
・サブプライムローンで問題になった証券化商品も同じです。最初はゴールドマン・サッ
 クスだけがうまく手掛けていたわけですが、それが欧米金融機関のすべてに広がり、さ
 らには日本のみずほフィナンシャルグループあたりまで手掛け始めた2008年の自店
 で、崩壊に至ったわけです。
・今やこの肥大化した金融が市場で儲けようとすることは金融の自己増殖のような動きで
 あり、世界を取り巻く金融すべてが構造的な問題を抱えていると言っていいでしょう。
・コンピューターによる高速取引や、デリバティブを使って市場で儲けようとする動きは
 加速する一方で、その勢いを止めることはできません。
・このようにコンピューターが支配する、行き過ぎた金融のなれの果ては、安全と思われ
 るもの、まったく危険性がないと思われている取引を突如、変えてしまうのです。日本
 国債も同じことです。日本が借金を返せないと思われた瞬間に、今までまったく安全な
 ものとして扱われていた国債が、急に紙切れ同然になってしまうのです。一夜にして変
 わります。とにかく金融が行き過ぎています。金融関係者が過信しすぎているのです。

商品価格の高騰でインフレ爆発が起こる!
・とにかく世界中で、物価の高騰が止まらなくなってきているのです。どの国も金利を上
 げて、なんとかインフレの波から逃れようと必死なのですが、役に立ちません。中国の
 2011年5月の消費者物価指数は前年同月比で5.5%の上昇。すでに目標としてい
 る4%の水準を8カ月間も上回っているのです。食料品の2ケタの上昇はいっこうに収
 まらないのです。いかに金利を上げて1年物の預金金利を3%にしてくれようが、庶民
 にとっては現金で資産を持っていれば目減りしてしまうわけで、まさに暮らしは楽にな
 らず、物価高に直撃されている形です。
・先進国にも、インフレの波が来つつあります。米国では今やデフレムードなど全くあり
 ません。米国の2011年5月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比で3.6%増。
 1月からは倍増しており、2年半ぶりの高さです。
・ついに日本にも資源高の影響が及んできており、徐々に物価上昇が始まったのです。エ
 ネルギー価格の上昇が収まらなければ、このまま値上げは止まることなく続くのです。
 これに近々、円安が加わって値上げは加速するでしょう。
・各国政府は金利を上げることで調整しようとしていますが、たちが悪いことは、今回の
 エネルギーや食料品価格の高騰というケースは、金利を引き上げても、効果が薄いこと
 です。食料品価格の高騰は、新興国の発展、ならびに人口増加、そして昨今の異常気象
 から来る供給不足、つまり品薄な状態が原因で引き起こされているわけですから、いく
 ら金利を引き上げても価格の低下にはつながらないのです。
・金利を上げて経済を冷やし、物価を調整するというのは、物を売ったり、建物を造った
 り、流通を活発にしたりするような通常の経済活動では効いてくるでしょうが、食料品
 価格にはほとんど関係ありません。
・この金利上昇、言い換えれば債券の下落の流れは、もう止めようもない世界的な動きで
 す。リーマン・ショック後、最初の金利を引き上げたのはオーストラリアでしたが、今
 では日米を除いて、世界中のほとんどの国が金利の引き上げを行っています。
・世界の穀物需要は、1990年代の供給過剰から、2000年以降は供給不足へと百八
 十度転換し、これに伴って価格は1990年代までの「安価な水準」から「新たな水準」
 へと、「均衡点の変化」が起こっているということです。2000年までは主に日米欧
 などの先進国に住む約8億人で、世界の食料を消費していた形だったのですが、2000
 年以降、ブラジル、ロシア、インド、中国など人口大国の30億人が市場に躍り出てき
 たために、状況が一変したというものです。
・現在の資源価格の高騰や、世界人口の伸び方は、まさに幾何学的な勢いです。マルサス
 は人口の増加について25年で倍になると試算していましたが、現実には世界の人口は
 40年で倍の速度で増えています。
・世界の農業生産はほとんど限界といっていいでしょう。人口が増えるだけでなく、中
 国をはじめとするBRICSの経済発展の本番はこれからです。いったい世界はどうなってい
 くのでしょうか。資源や食糧価格が下がると思ったら大間違いです。天井知らずの上昇
 はこれからが本番なのです。
・石油を支配できれば国を支配できる。食料を支配できれば人間を支配できる。
・この食料こそが最大の戦略物質であるということをいち早く予期し、着々と備えてきた
 のが米国です。今後訪れる世界の食糧危機の中で、食料の囲い込みに成功した米国の覇
 権計画の後押しをすることでしょう。今は国力も衰え、ドルも安いですが、米国はおと
 なしく時を待っているかのようです。
・実はトウモロコシはエタノールの原料となるだけでなく、家畜の飼料として需要が膨大
 だからです。我々は、トウモロコシ自体はそんなに消費していませんが、間接的には膨
 大な消費をし続けているのです。ちなみに現在のトウモロコシの世界最大の輸入国は日
 本です。
・今や中国はあらゆる資源を暴食し、世界の商品の需給関係に大幅な変化をもたらしてい
 ます。この巨人、中国は2010年からついにトウモロコシの輸入国になりました。中
 国はトウモロコシの世界第2位の生産国なのにです。それにもかかわらず、昨今は国民
 が豊かになり、肉などの消費が爆発的に増えたため、とても国内のトウモロコシ生産量
 では消費分が賄えなくなってきたのです。中国がいったん輸入を始めれば、加速度がつ
 いたように大幅な輸入国になっていくことは歴史を見てれば明らかです。
・これから中国がトウモロコシを爆発的に輸入するようになると、もはや中国としては、
 米国に生命線を握られた形となってきます。今後訪れる食料危機において、中国は米国
 の要求をのむしかなくなるように思います。現在中国は、日の出の勢いで経済発展をし
 ていますが、この食料で米国に首根っこを押さえられると、いよいよ身動きができなく
 なってくることでしょう。13億人という人口は中国の力の源泉であるのですが、反面
 ネックでもあるのです。今後深刻化していくと思われる食糧問題は人口大国、中国にと
 ってはまさに核爆弾のようなものです。
・世界銀行のゼーリック総裁は、食料の高騰を捉えて、「のんびり構えている暇はない。
 世界の食料価格は危機水準に達している」と警告しました。世界銀行は食料価格の急騰
 により、2010年6月以降、発展途上国の貧困層が約4400万人増えたと発表しま
 した。これでは世界中が不安定になるのは当然です。
・穀物在庫は歴史的な低水準で、農家の数も十分でない。中国は国民を養うためにあらゆ
 る穀物を必要としているが、供給が追い付かない。世界の穀物産地で悪天候が相次げば、
 どんな酷いことになるか。世界は数年のうちに惨憺たる食料危機に見舞われないとも限
 らない。そうなれば穀物価格はうなぎ登りになる。
・アジア開発銀行は、「アジア諸国は、石油と食料品の価格高騰がインフレをあおり、数
 百万人を極度の貧困に追いやりかねない深刻な打撃に直面している」と報告書で指摘し
 ました。
・福島原発の事故が、世界中に改めて原発の恐ろしさを認識させたわけですが、このこと
 は思わぬ影響を世界中にもたらすことになりそうです。発展し続ける世界経済において、
 特に新興国ですが、新しいエネルギー元を封鎖させられた国がいっそう化石燃料に傾く
 のは間違いなく、それが石油や石炭、さらには天然ガスの大幅な価格の高騰をもたすこ
 とになっていくでしょう。そしてエネルギー価格の上昇が世界でくすぶっているインフ
 レに火をつけ、いよいよデフレ化で価格安定に慣れてきた日本をも直撃してくることで
 しょう。
・一度動き出した世論は元に戻すことはできません。今や世界中の人が原発の恐ろしさを
 知り、怯えているのです。
・大幅な補正予算を連続して執行するしかないのですが、その財源がないため、結局、国
 債の増発に頼るしかありません。もちろん増税もあるでしょうが、この時期の増税は、
 経済に大打撃となるでしょう。
・復興需要は膨大で、民間の資金需要は止まることはないでしょう。すでに主要銀行には
 従来の10倍以上の融資要請がきています。これらの要請の多くには応えるしかなため、
 銀行は今までと違って、国債を購入する余裕はありません。
・ゆうちょ銀行も公的年金も国債を買う余力がなくなった今、銀行まで国債を買えなくな
 ってくると、今後の日本国債の動きは急速に危うくなっていくと思います。
・残念ながら、日本国債の暴落は、それほど遠くない時期に訪れることになりそうです。
・これらの一連の動きを考えると、円相場は激しい円安方向に向かっていかざるを得ませ
 ん。一般に円安は輸出産業に有利なため、「円安=株高」という構図となっていきます。
 しかし、これから起こる円安は物価高によるもの、つまり復興需要により石油、石炭、
 天然ガス、その他もろもろの輸入増大、貿易黒字から赤字への変化によって起こるもの
 です。これから日本でも多くのものが供給不足から値上がりしてインフレ気味になって
 いき、食料や燃料などの物価がさらに上昇していくでしょう。その場合、生産コストも
 上昇します。
・せっかく円安になっても、日本国内のインフレが進んでは、円安によるメリットはあり
 ません。これからくる円安は、そのような国内の商品高、物価高に拍車をかけると思っ
 ていいでしょう。経済にはプラスにはならないのです。
・特に注意しなければならないのは、いわゆる必需品、つまり我々が生きていくためにど
 うしても必要で何があっても買わなくてはならないものが、さらに激しく上昇していく
 ことです。
・日銀は、今後出てくる日本企業の予想以上の決算の下方修正を見て、さらなる金融緩和
 に動くかもしれません。そしてこの非常時、そのようなマネーをばら撒く景気対策が世
 間では歓迎されるかもしれません。しかし、今や世界は異常なマネー供給の副作用とし
 て、インフレの高まりに苦しみ始めています。やがて諸外国と同じように、日本ではも
 っと激しく、一気に円安とインフレが大きく頭をもたげてくることでしょう。
・日本だけがデフレの世界に住み続けられると思いますか?日本は食料自給率4割、食料
 のほとんどを輸入しているのです。そして今、世界を苦しめているのは、この食料品
 の高騰なのです。
・今後、商品相場の中でも穀物の動きには要注意です。驚くような物価高が迫ってきます。
 東日本大震災が一夜で世の中を変えたように、ある日、日本の風景は急激な変化を見せ
 るでしょう。驚くほどの物価高騰に人々は声を失うことになるのです。

2012年に向け、日本経済はどうなるのか
・数年前から、日本国債がかなり危機的な状況にあると、頻繁に耳にするようになりまし
 た。ところが2008年から国債の相場を見ても、崩れることなく堅調です。なぜだと
 思いますか?それは単純に日本国債を購入する投資家がいるからです。では誰が買って
 いるのでしょうか。実は、銀行なのです。まさに民間の金融機関が、大挙して国債を 
 購入してきたのです。日本の金融の構図を考えると、ゆうちょ銀行から民間の銀行に資
 金が流れ、これによってゆうちょ銀行は国債を買う余力がなくなった。しかし、その資
 金の受け皿となった民間の銀行が今度は国債を購入していて、結果としては国債の需給
 に変調は来たさなかったというわけです。
・これまでの公的年金や日本郵政グループの国債の買い付けをみると、明らかに国家の意
 志というか胸算用が働いている感じがします。公にはしませんが、当然、国家財政を司
 る財務省、その他からの熱烈な圧力のもと、国債を買い続けたとも読み取れます。とこ
 ろが今度は、国債購入の役者が替って、民間の金融機関となりました。そうなると、今
 までのように財務省の意向に添って運用してくれるかというと、それは難しいでしょう。
・日銀の資金循環統計が算出した2009年度末の国債の保有状況をみると、銀行等が
 38%、保険・年金基金が24.4%、公的年金が11.6%、家計が5%、海外が
 4.6%となっています。
・この公的年金に、従来とは違う決定的な変化が訪れているのです。よく団塊世代の高齢
 化が言われますが、実際問題として、この団塊の世代が定年になり引退すれば、年金受
 注者はかなりの数になります。それに伴って、公的年金が危機的状況に陥っていること
 は周知のとおりです。
・公的年金の積立金は、2008年度末で124兆円弱となり、ピーク時の150兆円を
 大幅に下回っている状況です。ところが給付金は増える一方です。必然的に積立金を取
 り崩して年金の給付にあてるという形になってきているのです。積立金を崩すわけです
 から、資産の売却ということになるわけです。公的年金の資産の6割以上は、国債をは
 じめとする国内の債券で運用されています。当然、この国債を売却して資金手当てをす
 るしかないのです。
・現実問題として年金の給付を止めるわけにはいきません。何があっても払い続けるしか
 ないのです。そうなれば入ってくる資金は少なく、出て行く資金は増え続けるわけです
 から、結果として公的年金の資産は減少、勢い、タコが自らの足を食べるように公的年
 金は先細りになっていく。国債の売却は止まらないということです。国債の売却が始ま
 ったのは2009年度からですが、この動きが始まった以上、加速こそすれ、収まるこ
 とはないでしょう。
・よく「日本国債は国内で95%以上保有されているからデフォルト(債務不履行)の記
 危険性はない」という意見を聞きます。このような短絡的な思考は物事の本質を見てい
 ないため、非常に危険だと思います。
・仮に金利急騰となれば、国債の価格は即座に暴落、その途端に日本全体は金融危機に陥
 ってしまいます。金融機関が保有している国債価値がなくなるからです。日本の金融機
 関が全滅状態になると言っても過言ではないでしょう。
・日本の個人金融資産1400兆円のほとんどが金融機関を通じて国債の購入にあてられ
 ているわけですから、国債が債務不履行になれば、実質日本の個人資産、金融機関に預
 けている資金が水泡に帰すということです。
・個人してはいくら預金を持っていようが、いくら保険に加入していようが、そこの金融
 機関の担保となっている国債が紙くずになってしまっては、我々の資産はまさに何も残
 らなくなるということです。
・日本国は外国に借金はしていないかもしれませんが、結果としては国民のお金を使い込
 んだ形となって、個人の資産は何もなくなるのです。当然、日銀がマネーを印刷して金
 融システムの崩壊を止めようと試みるわけですが、そんな状態になった円相場など誰も
 信用しません。まさにハイパーインフレの出現で紙幣が紙くずになってしまうのです。
 この国債は日本国内で消化されているから安心という議論の盲点は、個人の金と国の金
 を一緒に考えているところです。
・日本の機関投資家やゆうちょ銀行、銀行は膨大な国債を保有していますから、金利の激
 しい上昇があれば、ほとんどの金融機関は債務超過に陥るというわけです。たとえばゆ
 うちょ銀行などは、保有資産の8割が国債で、総資産は約195兆円。そのうち自己資
 本は8兆円程度しかありません。現在、金利が1%上がると、国債の価格は平均して4
 %下落します。したがって、ゆうちょ銀行はここから金利が1%上がっただけで、債務
 超過ギリギリに陥ってしまうのです。
・2011年度に入って国債の売却は加速、ついに郵政グループの国債保有高は215兆
 円に減ったのです。直近の1年で9兆円の売却です。これで国債発行残高に占める郵政
 グループの保有高の割合は28%となったのです。急激な減少です。国債を買い付ける
 ことに限界がきているのです。一度このような流れが始まると、今まで無理に無理を重
 ねて国債を買ってきただけに反動が大きくなります。
・となると、国債を今まで継続的に買い続けた公的年金、郵政グループという二大勢力に
 今後の国債の買い付けは期待できません。
・日本の銀行や公的年金、郵政グループは、持ち過ぎてしまった国債の重みに押されつつ
 あります。バブル崩壊後20年にわたって、国債を買い過ぎているわけです。日本が異
 常に借金できたのも、金融機関が国債を目一杯買い続けるという巧みなシステムが構築
 されていたからなのです。
・この2000年を契機としてデリバティブの世界が大拡張したわけで、ここであり意味、
 世界の経済の仕組みが完全な変化をきたしていたからです。このデリバティブの想定元
 本は増えに増え、6京円になりました。こうなれば、この6京円の動きが世界の経済の
 動きを決めるのは当たり前です。世界のGDPは当時も5000兆円でしたから、このデリ
 バティブの世界ではその10倍以上に拡張されていたわけで、実体経済など関係ない金
 融のゲームの中に世界は陥っていたわけです。
・いわば現在の経済学というのは主流が2000年以前の考えであって、これほど金融が
 肥大化することなど考慮に入れていないのです。以前はこんなデリバティブなどという
 化け物はいなかった。大半の経済学者が昔のメルヘンのような世界での経済を解説して
 いるわけで、現状をみれば時代遅れも甚だしい、今となっては太古の恐竜時代の解説を
 聞いているようなものです。
・経済が市場を決めると思ったら大間違いで、今や市場はマネーの力で荒れ狂うのです。
 リーマン・ショックなどはその典型です。
・事の流れをみると、常に日本がバブル崩壊すべく、最初のターゲットになっているよう
 に思いませんか?日本のケースがいつも先に来ているのです。バブルの崩壊も1990
 年で一番先です。そして革新的な金融緩和策、量的緩和という措置も、世界に先駆けて
 日本で初めて行われたのです。いわば金融という政策面からみていくと、日本は常に先
 を行かなければならない形に追い込まれています。
・プラザ合意で当時の日本は、円相場を240円台から一気に150円台に持っていかれ
 ます。ここからバブルが始まるわけです。あり余った円が国内でバブルを引き起こすわ
 けです。
・これが間違いなく日本のバブルとその崩壊をという歴史を作りました。まさに欧米の罠
 にかかってしまったということです。為替誘導で日本は欧米にやられたということを、
 中国当局は一つの歴史としてはっきり意識しています。「日本はあの時点から転落を始
 めた。同じ轍を踏んではならない。何があっても為替レートで安易な妥協をしてはなら
 ない。そのような妥協は国を滅ぼすことになる!」と確信しているのです。
・現在日本は外国にいいように操られ、経済的な窮地を脱することができません。考える
 と、世界のほとんどの国が市場最高値か、その水準に匹敵するところに株価が上がって
 きているのに、日本の株価が高値の3万9000円にはほど遠く、その4分の1という
 悲惨な値段に留まっています。こんな国は世界を見渡しても日本だけです。
・この金融抑制とは、国家が多額の借金をした場合、そのつけを回すためにインフレで実
 質的な債務負担を減らす一方で、金利の上昇を直接的、間接的な方法で抑え込むという
 ことです。そのために国内に国債の引き受け手を作るのです。借金まみれになった国家
 が強権を発揮して無理やり国債を買わせるように持っていく。最初は日本政府が自ら自
 由にすることのできる公的年金や郵貯を使い、国債を買わせることによって国債の消化
 を問題なく進めることに成功し、結果として市場金利を上げることなく、金利の低位安
 定に成功させました。この結果、日本の預金者は、本来もっと高い金利をもらえるはず
 だったのに、そういうわけにもいかず、割を食ったのです。挙句の果てにゼロ金利とい
 う金利のつかない世界に10年以上も放置され、資産はいっこうに増えませんでした。
 実際に一番得をしたのは、国債の大量発行に成功した日本国家だったのです。
・この国家による金融抑制も、いよいよ限界が近づいてきました。国債の暴落と共に、す
 べての日本の金融機関が例外なく、国家と共に沈むことになるでしょう。
・国債を発行する大本である財務省などは、異常な危機感を持っていると思います。また
 日銀も通貨の番人として、絶対にインフレや債券の暴落は起こしてはならないという強
 い意志を持っているはずです。現在はデフレで、経済は危機的な状況だから景気をよく
 してほしいという世間の要請に応えて、ギリギリのインフレ政策に勇気をもって郁込ん
 でいるという気持ちでしょう。
・これだけ債券が世界中で買われた歴史はありません。またこれだけ日本国債が発行され
 た歴史もありません。GDPの倍の量を出しているわけですから、普通はそれ以前に国家破
 綻に陥っているわけで、そういう意味では未体験ゾーンです。
・今後、世界的に債券の大暴落が起こってくると思いますが、そのようなケースは過去の
 歴史にはありません。一つの国がインフレになって債券が暴落したことはあります。た
 とえば日本は終戦後、国債は紙くずになりました。
・これらの時代と今の根本的な違いはまず、債券、国債が各国でこれだけ異常に発行され
 ていることはなかったということと、もう一つ、債券は今でこそ償還前の途中で売り買
 いされますが、かつての債券は満期まで持つのが当たり前で、途中の売買はされなかっ
 たということです。
・国家破綻の歴史、インフレによる混乱の歴史などは人類史の中には山のようにあります。
 むしろ株の暴落話よりよほど多いことでしょう。19世紀以降で国家の対外債務のデフ
 ォルトが250回、さらに国内債務のデフォルトが68回起きている。
・諸々の事情を考慮すると、震災、原発による補償や二重ローン問題、度重なる補正予算
 などで必要な額は100兆円近くになると思われますが、それを増税で賄えるはずもあ
 りません。国は100兆円も必要であるとは口が裂けても言うことはできず、市場にシ
 ョックを与えないよう、様子をみながら小出しに発表していくのです。たとえ国債発行
 によって一時的にその場をしのげたとしても、もはや国内には国債の買い手がない状態
 ですから、2012年の秋まで持ちこたえることはできないでしょう。唯一、買い手と
 して残っているのは日銀だけです。しかし現実に日銀が引き受ければ、そのショックで
 必ずや国債は暴落します。
・これから起ころうとしている日本の国債暴落、財政破綻の危険性を抱える一方で、この
 問題を異常に楽観視するムードもあり、国としては慎重に世論操縦を行っていくことと
 思います。国債は発行するが、増税してその分を補う。財政再建を進めて健全化させる
 から、国民は厳しい状況だが耐えてほしい、というスタンスです。
・今後、国債の暴落という大津波が来るまでは、日本経済は穏やかに回復基調を続けるか
 もしれません。これこそが嵐の前の静けさというものです。
・S&P、ムーディーズと相次いで日本国債の格下げを行っていきます。彼らは完全なる確
 信犯です。日本の国債の状況をみながら、いつ暴落の引き金を引くべきか、ヘッジファ
 ンドと呼吸合わせて微妙なタイミングを狙っています。彼らからすれば、日本国債の暴
 落ほど確実な投資はないのです。

2012年に向け、米国・EU・中国の経済はどうなるのか
・2010年11月から始まったQE2の開始後に何が起こったかというと、驚くべきことに、
 米国債の年間の発行額のうち、7割をFRBが購入していて、残りの3割を日本と中国が購
 入しているということなのです。QE2でFRBは6000億ドル、日本円にして約50兆円
 という巨額の米国債を購入したわけです。そして、この買い付けが6月末で終了するこ
 とが決まったのです。相場の売り手、買い手という観点から考えると、まさに異常な状
 態が出現するとしかいいようがありません。購入者のうち、その7割を占めていた最大
 の買い手が突如、いなくなるのです。こんな恐ろしいことがありますか?
・米財務省によれば、2011年2月末時点で、市場に流通する米国債の発行残高が約9
 兆6500億ドル。このうち海外保有分は約半分の4兆4743億ドルです。この内訳
 は1兆2787億ドルが中国で、8903億ドルが日本の保有となっています。要する
 に米国債の海外保有分の半分は、中国と日本が持っているのです。しかしながら継続的
 な大口の買い手であった日本の投資家は、震災の影響で今までのような米国債投資はで
 きません。
・昨今、各国が異常に国家財政の赤字を膨らませ、史上かつてないほどの国債が発行され
 ているのです。買い手が消える今後、受け皿はありますか?米国に改革がなされなけれ
 ば、いずれデフォルトに陥ると断じられています。
・いったい中央銀行の仕事とは何なのでしょうか?従来であればマネーの番人としてイン
 フレを起こさないように監視し、政治からの強いインフレ志向を体を張って阻止して、
 マネーの健全さを保つのが役目でした。多少景気が悪くても金融を正常に引き締め、シ
 ステムを維持させる役目が中央銀行にあったはずです。ところが今や役割は一変、中央
 銀行はそのマネーの製造権をフルに行使し、平時だろうが非常時だろうがマネーを供給
 することだけで評価を得るようになってきたのです。日銀もいつのまにか新しい中剛銀
 行の評価尺度に汚染されていったのです。
・中央銀行は何だってできるのです。紙幣を印刷できるということは現在の資本主義シス
 テム上、最も強力なツールであって、まさに打ち出の小筒、これに勝る権利はありませ
 ん。
・中央銀行はどこまでマネーを刷ることが許されるのか、限界に挑戦しているところです。
・経済の大混乱はこれからです。FRBも日銀もECBも、ここからが本当の正念場なのです。
 はたしてインフレを起こさずにソフトランディングできるのか?今までは輪転機を回す
 だけでしたから簡単でした。しかしながら、これからは自分たちのやったことの後始末
 をしなければなりません。撒き散らした紙幣を回収できるのか?金利をいくら上げよう
 が、大量にばらまいたマネーを回収できなければ、インフレは抑えられないでしょう。
・一方で、なぜ金の相場はこんなにも強いのでしょうか?今や、中央銀行を中心とした世
 界経済のシステムが機能しなくなることを見事に予見、確信している投資家の群れが、
 怒涛のように資産を金に逃避させているのです。止めようのない大きな歴史の流れが我
 々の目の前に押し寄せようとしています。もはや誰も止めることはできないのです。大
 地震が一夜にして日本を変えたように、今度は大地震以上の経済津波が全世界を覆うこ
 とになるでしょう。
・株価の判断基準にはいろいろありますが、株価を判断するときに代表的な指標であるPBR
 でみる限り、日本株は突出して割安です。こんなケースは世界を見渡しても、先進国で
 は日本だけです。それほど日本株は割安に放置されてきたのです。
・ここ十数年、日本の投資家の日本株離れが酷いのです。本来、長期投資をすべき国内の
 生命保険などは、日本株離れがはっきりしてきています。それだけではありません。日
 本の個人投資家の日本株離れも激しいのです。
・なんと日本の個人投資家は、日本株を20兆円以上も売り越しているのです。一方この
 間、外国人投資家の買い付け額は40兆円を超えています。知らぬうちに、日本企業は
 外国人に一方的に買われてきているのです。
・そして、とうとう真打ち、中国が登場したのです。中国の外貨準備高は約245兆円。
 この巨大な資金をいかにうまく運用、ないしは利用していくかが国家の命運を決めます。
 日本では90兆円を超える外貨準備の運用は、米国債やドルへの一本投資で思考停止状
 態が続いているわけですが、中国は違います。したたかなのです。
・中国は日本株を大量に買い付ける一方、日本国債などには目もくれません。要するに中
 国側は日本国債など長期間保有する気はないわけです。いずれ日本は財政破綻していく
 と確認しているでしょうから、日本国債など長期に保有するわけもありません。
・「中国証券報」が2011年5月中旬に掲載した評論には、日本の国債は危険な投資商
 品で、いつ爆発するかわからない「火薬庫」と変わりないと書かれていました。そして、
 日本の債券市場に存在するリスクは米国をはるかに上回って、ユーロ圏の国債よりも大
 きく、先進国の中で最も大きなリスクを抱えているというのです。
・中国は、日本の優れた技術やブランドには目がないので、日本の企業がどうしても欲し
 いのです。日本国が潰れたら、企業をいただこうというわけです。その証拠に、中国は
 こうやって極秘裏に日本株の買い付けを行ったわけですが、この間、一切売却はしてい
 ません。まさに新規に資金を投入し続けて買う一方なのです。中国側は日本企業の株が
 欲しい、つまり日本企業そのものが欲しいのです。
・日の出の勢いを見せ、中国の時代がくるかのような幻想が渦巻いているが、これから来
 る世界的なインフレに対応できるか?13億人の不満が爆発しないのか?近々、正念場
 がやってくるに違いありません。
・ブルームバークの調査によれば、世界の投資家は中国が危機に直面することを確信して
 いるようです。この調査によると中国が5年以内に危機に陥ると答えた投資家が全体の
 45%、そしてその後に危機が来るとの予想は40%、なんと7%の投資家だけが危機
 が起きないと回答したのです。
・日本の内閣府の調査によれば、2025年には中国はGDPで米国を抜いて世界1位へ、そ
 して2030年には日米合わせてもGDPでは中国に届かなくなるというのです。いずれに
 せよ中国という国は無視できない存在ですが、国としての闇は相当深い。中国は資本主
 義以上の資本主義というか、富裕層と貧困層の差がすさまじくあります。ですから、こ
 こへ来て問題になっているのが消費者物価指数です。国家統計局が発表した2011年
 5月の消費者物価指数は前年同月に比べ5.5%の上昇ですが、食料品の値段の高騰は
 10%を超えているのです。そういう意味でも中国は非常に厳しくなっていると思いま
 す。
・ちなみに中国のエンゲル係数(生活費に占める食費の割合)は約37%です。これは平
 均になりますが、下の層は50%を超えています。そこへきて激しい物価高が襲ってい
 るわけです。
・2011年には中国の地方を含めた国家の債務残高は39兆8380億元、日本円にし
 て約517兆円にも達するという見通しを出したのです。これは債務危機が叫ばれる日
 本と大差はありません。
・中国は発展したとはいえ、まだ1人当たりのGDPでは日本の10分の1に過ぎず、発展
 の余地があることは疑いありません。しかし、13億もの人間が日本人並みに暮らすと
 なれば、とても地球はもちません。1年で世界中の石油も他の資源も枯渇してしまいま
 す。現在の中国の経済発展は、この世界的な資源枯渇の限界に挑戦しているような勢い
 と言えます。そしていよいよ直近で始まってきた食料やエネルギーの高騰は、中国の発
 展、並びにBRICSを中心とする新興国の発展を大きく阻害していくことでしょう。中国は
 巧みに国家の運営を行ってきましたが、いよいよ世界の「限られた資源と経済発展」、
 そしてそれが引き起こすインフレという問題に直面していくのです。
・ギリシャの再建計画では2014年末までにGDP比10%超の財政収支の改善を約束して
 いる。GDPの10%を、仮に日本に当てはめると約50兆円。日本でこれだけの予算削減
 が可能と言えるだろうか。2011年度税制改正の議論においては1兆5000億円す
 ら見つけられない状況だった。日本でこれほどの予算削減を行えば経済は確実に破綻す
 る。
・しかし、ギリシャはそんなギリギリの要求を突きつけられているのだ。年金の受給開始
 年齢は10歳近くも上がったし、消費税は19%から23%へ引き上げられ、公務員給
 与も凍結する。これで終わりが見えるのだったらまだいいが、それだけやってもまだ借
 金は増える一方だ。
・アイルランドも同様だ。アイルランドの銀行は、少なくとも自国のGDPの7倍もの負債を
 持つとされ、実質破綻に陥った。アイルランドは2008年のバブル崩壊後、銀行に対
 して公的年金を矢継ぎ早に投入して何とか問題を抑えようとしたが、結局は、その大き
 過ぎたバブルの後遺症から抜け出すことができていない。
・ギリシャもアイルランドも、問題の根源には、国債をデフォルトさせてもらえないとい
 う事情がある。その理由には、ユーロという通貨が複雑に絡んでくる。ギリシャもアイ
 ルランドも自国の中央銀行と通貨を有しているなら、通貨を次々と発行することで借入
 金を返済できる。通貨安やインフレには悩まされるだろうが、少なくとも、名目上の問
 題は解決できる。ところが借金を返すにもユーロ建てで返す必要があるとなれば、何十
 年、いや、何世紀かかかっても不可能だろう。ユーロ圏のような統一通貨圏にある国が
 いったん借金地獄に陥れば、それを返済するのは難しく、最終的には確実に破綻に向か
 うことになる。
・真実を言い、ギリシャやアイルランドが実質的に破綻していることを今、認めてしまう
 と、ギリシャやアイルランドの国債を保有しているドイツやフランス、イギリスをはじ
 めとする銀行が連鎖破綻に陥ってしまうのである。
・ギリシャ、アイルランド、ポルトガルが破綻状態にあり、そしてそれはやがてスペイン、
 イタリア、、そして中枢のフランス、ドイツへ波及していくことになる。
・ギリシャやアイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアそれぞれの国債の大幅な債
 務カットが行われることになるだろう。民間や国家の持つ国債を大幅にデフォルトさせ
 て、債務を一気に再編すると同時に、ユーロとして厳しい条件を付けた新しいルールを
 作るというわけだ。
・2011年6月17日の段階で、なんとギリシャの10年物国債の金利は18.3%で
 す。一方、アイルランドの10年物国債の金利は6月15日の時点で11.5%、ポル
 トガルの10年物国債の金利は6月13日の時点で10.7%という高さです。スペイ
 ンは10年物国債金利が5%半ばまで上昇しており、イタリアも5%近くまで上がって
 きています。これらの諸国はマイナス成長か、もしくはほとんど成長していないのです
 から、これらの金利を払えるわけがありません。借金が膨らむ一方なのです。そしてユ
 ーロ圏の銀行を破綻させないためには、ドイツをはじめとする北部欧州諸国が支援を続
 けるしかないのです。このような状態が永遠に続くわけがないので、どこかの時点で金
 融危機が起こることは必至です。
・そもそもギリシャが再興できるわけがないのです。金利を払うこともできない状態なの
 だから融資をしてあげているわけで、それも5%という金利です。ユーロ圏は今でも政
 策金利が1.2%でほとんどゼロに近いわけです。それなのに瀕死の状態のギリシャに
 5%の金利で資金を貸し付けて、本気で資金が返ってくると思っていたのでしょうか?
・現にギリシャの国内の3月の自動車販売は前年比50%以上も減少しているのです。あ
 らん限りの緊縮財政をIMFから強制されているのですから、景気が極端に悪化するのは比
 を見るよりも明らかです。
・このような無理難題を課すのが、IMFのいつものやり方なのです。素人でもわかる破綻
 計画を押し付けて、努力させるフリをする。だから、結果的にIMFの支援を受けても破綻
 に至るわけです。一生懸命やったがどうしようもなかった、という言い訳作りをしてい
 るだけで、結末は最初からみえている。これがIMFの支援策の今までの歴史です。
・ヘッジファンドは格付け機関とも繋がっているのです。考えてみれば、リーマン・ショ
 ックでも格付け会社がクズのような証券化商品を高格付けして、世界中の投資家に販売
 して問題を起こしたわけです。格付け会社は高格付けをいかにして得るかの方法までヘ
 ッジファンドに教えて、この証券化商品においては特別に格付け代金を通常の3倍の価
 格にして売りつけ、儲けていたのです。過去にこれほどの問題を起こし、今でもデタラ
 メの見解を出し続ける格付け会社を、どうしてこれほど権威付けするのか?全く理解に
 苦しみます。格付け機関なんてヘッジファンドと欧米金融機関の手先であって、相場操
 縦におけるグル同士と言っていいでしょう。
・我々が注意しなければならないことは、格付け機関がここにきて積極的に日本国債の格
 下げを示唆するようになってきたことです。明らかに日本国債の暴落は視野に入ってき
 ていて、彼らはタイミングをうかがう体制にあると思わなければなりません。
・先進国にいの一番の国家破綻は、金利上昇に弱い日本から起こすつもりなのです。と
 いうのも日本は長期金利が3%nなろうものなら、その途端に毎年30兆円という金利
 負担が生じます。税収が38兆円で払えるはずもなく、こうなればある時点から一気に
 日本国債の暴落、財政破綻へと至るのです。
・ギリシャ国債の金利はついに10年物が18%、2年物に至っては30%という金利で
 す。日本でこのような金利がつけば、サラ金並みということで犯罪です。このような金
 利が国家の出す国債の金利で、それを中央銀行がユーロを印刷して買い続けているので
 す。
・現在、市場関係者で、ギリシャがデフォルトしないと思っている人は皆無でしょう。
・元々、ギリシャ危機とは何だったのか?それはギリシャの粉飾決算から始まりました。
 2009年の選挙で勝った新しい政権は前政権の粉飾を明らかにして、そこから一気に
 ギリシャの財政問題がクローズアップされてきたのです。

日本人が資産を守るために知っておくべきこと
・金は今後のインフレへのポートフォリオには欠かせない投資の一つと言えます。
 2012年には、さらに大幅な上昇というか、暴騰していく可能性が高いと思います。
 今後はペーバーマネーの時代に一つの破壊的な混乱が起こってくるのは避けられないで
 しょうし、まして日本の場合は、国債という時限爆弾を抱えています。
・通貨は各国当局が自由に発行できますから、気づかぬうちに相当のインフレが進行して
 いるわけです。円もドルもユーロも元も大量発行となっているので、為替だけをみると
 わかりづらいですが、現実にはマネーの価値が徐々に減価しています。
・比較的暴騰状態になっていないのが穀物の相場ですが、これからは急激に上昇していく
 でしょう。
・保有する場合に理想的なのは、コインでの保有です。ロシア危機などの時の例をみると、
 実際に混乱になったときの金のバーなどは偽物と本物も見分けが難しく、流通できなか
 ったケースも多かったからです。また、日本の財政が破綻するとなると、政府は金の保
 有者に関して、売却時に大幅に税金をかけてくる可能性があります。しかも日本では
 2011年の秋からは、200万円以上の金売却に関しては金地金会社は税務当局への
 報告義務を背負うことになりました。これらのことを考えると多少割高ではありますが、
 細かく小額で流通するため税金のかけようがないコインでの保有が理想的と言えるで 
 しょう。
・金のETFであるSPDR&ゴールドや純金信託も悪くないでしょう。大混乱となって金融機関
 が機能しないというケースもあり得ないわけではありませんが、現在のところは問題な
 いと思います。
・金ともう一つ、現物投資が可能なのがプラチナです。銀の投資も悪くはないですが、現
 実問題としてはETFでの投資しかできません。プラチナの価格は、常に金より高いのが
 特徴です。
・プラチナと金の大きな違いは用途です。金は6割が投資用ですが、プラチナは6割強が
 産業用で、4割弱が投資用です。そもそもプラチナは産出量が少ないため、金に比べて
 希少価値が高くなっています。
・株式投資ですが、基本的に悪くないと思います。もちろん日本の国債が暴落すれば影響
 を受け、一時的に暴落するのは避けられません。しかし一方で、国債暴落、つまり日本
 の財政破綻というケースにおいては円の価値が激減しますので、実質的にははい―アー
 インフレのような激しい物価上昇が起こるものと考えられます。あっという間に物の値
 段が急騰するということが起こるわけです。通貨の価値がなくなるからです。
・実物が強くなるわけです。ペーパーマネーは、人々の信頼を失えばただの紙に戻ります
 が、実物であれば、食料だろうが、不動産だろうが、ガソリンだろうが、車だろうが、
 いずれもそれなりの価値があるわけです。そういう意味では株というのは企業そのもの
 ですから、いかに社会が混乱してインフレになろうが、倒産しない限り存続するわけで、
 その企業なりの絶対的な価値はあるわけです。
・このインフレがどの程度、またどのくらい続くかはわかりませんが、少なくともその期
 間は現金や国債をはじめとする債券は実質的な価値を一気に失います。その中で株はハ
 イパーインフレには対応していくということです。また株の中でもインフレに強い株、
 単純にインフレで儲かる企業を考えるとわかると思いますが、商社や非鉄金属、食料関
 係会社の株は有望でしょう。
・原子力エネルギーから太陽光や地熱、風力など自然エネルギーへの転換の流れも必至で
 すから、自然エネルギー関連企業の株もいいでしょう。
・ETFも悪くないでしょう。石油や金、銀、銅、プラチナ、ニッケル、パナジウム、アルミ
 などの非鉄、また、小麦、大豆、トウモロコシと穀物など多くの種類があります。多く
 が商品のETFであり、今後のインフレ到来を考えた場合、有力な投資の一つと言えます。
 ただ投資する場合、流動性の少ないETFもあるので、その辺りは慎重に選んだほうがいい
 でしょう。
・ドル、ユーロ、円、元を比較した場合、私はドルが一番強いと思っています。
・世界経済の崩壊は日本の財政破綻から始まるか、他の原因から始まるかはわかりません
 が、世界的なインフレ爆発、債券暴落という局面が訪れると、世界は一時的な大混乱状
 態となります。その状態では世界の秩序がなくなるため、必然的に喧嘩に一番強い国、
 つまり資源も食料も軍事力も金も保有している米国が圧倒的に強くなると思うのです。
 世界経済が破綻して世界中が大混沌となっても、お金は回り続けます。そのときに、ど
 この国の通貨が一番強いのかを考えればわかると思います。
・究極的な混乱に備えるということでは、ドル投資も必要だと思います。
・FXなど外貨に対する投資も悪くないと思います。
・石油や石炭、鉄鉱石、並びに食糧などはこれから希少価値となり、世界各国からの奪い
 合いが始まる可能性もあるため、今後資源国は、世界的なインフレに向かう中では絶対
 的に強いと思われます。資源国の中では政情が安定しているオーストラリア、ノルウェ
 ー、カナダなどが有望で、これらの国の通貨に投資しておくのは悪くないと思います。
・甘い言葉に誘われる海外投資には十分注意が必要です。現在のにほんの居住者で海外に
 口座を持っても、ほとんどメリットはありません。なぜかと言えば、たとえあなたが海
 外に口座を持っても、そこに口座を開いて高金利を享受できたとしても、あなたは日本
 人ですから、金融商品の利息なり値上がり益は、すべて日本の税制の下に置かれるから
 です。
・かえって日本の金融商品のほうが、税制が源泉分離課税のため利益に対しての税金は少
 なく、今回のケースでは日本で海外の金融商品を購入したほうが得なのです。
・そういう意味では現在、海外に口座を開くメリットはほとんどないと言っていいでしょ
 う。「海外にうまい投資話がある」ということで高利回りの商品の説明を受けることが
 あるかもしれませんが、ほとんどが怪しいと思ったほうがいいのです。なにしろ金融市
 場はグローバルにリンクしており、海外だけに存在するおいしい商品などほとんどない
 のが実情だからです。
・日本の現在の税制は、投資家にとってはそれほど悪いものではありません。まずは源泉
 分離課税ということで、投資商品は他の収入とは別にカウントされます。あなたがいく
 ら儲けても他の収入と合算されることもなく、またその値上がり益もわずか10%の税
 金の支払いですむわけですから、決して悪くなないわけです。危険を冒して海外のわけ
 のわからないところに投資するよりは、日本で海外に投資したほうがよほど安全なので
 す。
・世界のどの国の金融機関に資金を預けておいても危険が生じるわけで、だったら事情が
 よくわかっている日本の金融機関のほうが安心感もあるでしょう。海外への投資におい
 て、銀行に口座を開くときに共同名義にするケースも最悪です。共同名義などというこ
 とは、日本の税務当局からすれば贈与です。安易な気持ちで共同名義にすると、日本の
 税務署の絶好のターゲットになってしまいます。
・このように海外にお金を持っていくことは、経済的なメリットも税制上のメリットも何
 もないのです。唯一メリットとなるケースとしては、日本の金融機関がほとんど閉鎖状
 態になって預金封鎖などが起こった時に、海外の金融機関は問題なしというケースです。
 これもありえないわけではありませんが、混乱の拡大を考えると、可能性は低いと思い
 ます。

あとがき
・物質至上主義はもう限界だと思います。
・不思議と大地震は、時代が大きく変わる時に起こるものです。1923年の関東大震災
 の後、日本は金融恐慌から戦争へと向かっていきました。黒船来航の2年後の1855
 年、安政の大地震が発生。その後10年足らずで、260年以上も続いた江戸幕府が崩
 壊したのです。
・日本人は変わらなければなりません。新しい夜明けを迎えるためには、日本全体に大き
 な混乱、そして大変革が必要なのです。日本の財政破綻は避けられませんが、それによ
 る混乱は我々に一番大事なものは何なのか、気づかせてくれるきっかけとなるのではな
 いでしょうか。混乱期を生きることを積極的mに捉えましょう・きっと一番大事なもの
 は何かを見つけ出すことができるはずです。