潰れない生き方 :高橋克徳

潰れない生き方 (ベスト新書) [ 高橋克徳 ]
価格:827円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

職場は感情で変わる (講談社現代新書) [ 高橋 克徳 ]
価格:814円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

回復力 失敗からの復活 (講談社現代新書) [ 畑村 洋太郎 ]
価格:902円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

誰とも争わない生き方 人生にも魂にも善悪はない [ 秋山佳胤 ]
価格:1430円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

戦わない生き方 [ 横山信治 ]
価格:1320円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

地球をこわさない生き方の本 (岩波ジュニア新書) [ 槌田劭 ]
価格:902円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

定年後不安 人生100年時代の生き方 (角川新書) [ 大杉 潤 ]
価格:902円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

死ぬための生き方 (集英社文庫) [ 佐藤愛子(作家) ]
価格:471円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

尾畠春夫 魂の生き方 [ 尾畠春夫 ]
価格:1320円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

忘れて捨てて許す生き方 [ 塩沼亮潤 ]
価格:1320円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

【バーゲン本】尾木ママの凹まない生き方論 [ 尾木 直樹 ]
価格:523円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

定年後 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書) [ 楠木新 ]
価格:858円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

「ゆるす」という禅の生き方 [ 枡野俊明 ]
価格:1430円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

日本人だけが知っている神様にほめられる生き方 [ 岡本彰夫 ]
価格:1047円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

本当の自分 幸せな生き方の発見 [ 高木善之 ]
価格:1430円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

ゆるやかな生き方 (実業之日本社文庫) [ 五木寛之 ]
価格:662円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

はたらく人の結婚しない生き方 [ 池田園子 ]
価格:1518円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

生き方’元気になるには 人間通になるために [ 坂東眞理子 ]
価格:858円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

【バーゲン本】うつにならない老後の生き方 [ 渡辺 昌祐 ]
価格:825円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

がんばらない生き方 (講談社文庫) [ 植西 聰 ]
価格:638円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

しない生き方 「食べない」生活で気づいたこと [ 秋山佳胤 ]
価格:1430円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

60歳からの後悔しない生き方 [ 櫻井 秀勲 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

後悔しない生き方 [ マーク・マチニック(著)、弓場隆(訳) ]
価格:1430円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

ためない生き方 (SB新書) [ アルボムッレ・スマナサーラ ]
価格:880円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

「損する生き方」のススメ (Forest 2545 shinsyo) [ ひろさちや ]
価格:990円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

60歳からの生き方再設計 (新潮新書) [ 矢部武 ]
価格:770円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

風通しのいい生き方 (新潮新書) [ 曽野綾子 ]
価格:792円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

お金に支配されない生き方 [ 沢上篤人 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/7時点)

生きていると理不尽なことや辛い目に合うことがある。そのとき、その理不尽さに立ち向
かうことも大切であるが、たいていの場合、相手が圧倒的に強い立場であり、こちらは弱
い立場というケースが多い。そんな時に、まともに相手とやり合っても、こちらが潰され
てしまうことになってしまう。そういう理不尽な状況におかれた場合、どんなふうに対処
していったらいいのか。そのような時の対処の仕方をこの本は指南している。
人生は立派なことを成し遂げなくてもよい。立派に生きようとして潰れてしまっては元も
子もない。生きていく上で、「まあ、いいか」「あなたのおっしゃるとおりです」「人そ
れぞれ」の三つを上手く使っていくことが必要だと言われる。生まれてきた以上、立派で
なくても、とにかく最後まで生き抜くということが一番大切なことではないかと私は思う。

はじめに
・どの時代だって、生きていくことは大変なことなのだと思います。だから今の時代だけ
 が、不幸な時代だとは思いません。でも、どうも生きにくい、生きていくことがしんど
 んいなと思っている人たちが、増えているように思います。特に、人と人との関係が希
 薄になり、心から信頼できる存在、自分を見てくれる、必要としてくれる存在が見つか
 らず、いつも不安を抱えて生きている人が増えている気がします。
・特に、職場という人生の多くの時間を費やす場で、自分は誰にも必要とされていないん
 じゃないかという不安を抱えている人が増えています。家庭でさえ自分が必要とされて
 いることが実感できず、居場所がないと感じている人が増えています。お互いを思いや
 り、お互いを必要とし、ともに生きる。これは本来、自分らしく生き生きと生きていく
 ために不可欠なことです。
・職場や周囲の人たちあkら疎外され、追い込まれていると感じている人たちにとっては、
 自分の周囲に良い感情を配ることはなかなかできないことなのだと思います。だからと
 いって、このまま周囲との関係を遮断して自分を守り続けても、心は不安に耐え切れず、
 いつかは潰れてしまうことでしょう。だから、どこかで周囲と自然に関われる自分を取
 り戻さなくてはなりません。
・自分という人間を知り、自分の弱さを認め、そんな自分を情けないと思いながらを、で
 も何か憎めない、愛着を感じる。そんな自分を見つけることができれば、本当の自分を
 素直に人に見てもらうことができるようになるのではないでしょうか。
・これだけ、いろいろなプレッシャーや不安にさらされて生きていかなければならない世
 の中なのですから、ときには自分ではどうにもならい、もう前に進めないと思うことは、
 誰にでも起こることなのだと思います。でも、そこで自分を傷つけたり、自分を見捨て
 たりして、好きになれない自分をつくってしまったら、それは自分を潰してしまうこと
 になってしまいます。

プロローグ
・厳しいグローバル競争の中で、業界再編や合併が容易に起こるようになり、気づいたら
 別の会社になってしまうかもしれない。業績が悪化したら、リストラが起きて、自分の
 身ももしかすると危うくなるかもしれない。そこまでいかなくても、成果主義が浸透し
 て、自分の成果が悪いと給与ダウンや降格になってしまうかもしれない。こんなリスク
 が高まっている中で、いつも働きながら不安を抱えている、また企業という場に期待が
 持てない。そんな気持ちになっている人が増えていると思います。
・こうした状況の中で生まれてきたのが、お互いに関わり合えない、協力しあえない「不
 機嫌な職場」です。一人ひとりの役割や仕事が細分化され、自分だけで仕事をしなけれ
 ばならず、気づくとみんなが小さな「タコツボ」の中に閉じこもって仕事をする。何が
 あっても助け合うことができない、そんな職場です。
・職場や組織の空気に押し潰されて、心や体を壊している人には、責任感が強く、まじめ
 な人が多いといわれます。何かうまくいかないことがあると、自分でどうにかしなけれ
 ばと抱え込み、気づくと抱えきれない仕事とその責任に押し潰されてしまいます。そう
 いう意味では、抱えきれない状態になていることに気づいて、助けてあげられなかった
 職場に原因があります。お互いに関心を持ち、もし潰れそうな人がいたら、お互いに手
 を差し出す。これが当たり前の職場であれば、強いプレッシャーを浴びていても、どう
 にか乗り切れるものです。やはり、潰れないためには、支え合う仲間がいることが大切
 です。
・ただ現状に耐え続けたり、仕事を諦めてしまったり、虚勢を張っていたり、勝手な行動
 をして周囲に迷惑をかけていたり、理性を失い、不正に走ってしまったり。こんな行動
 をとる人たちがいます。自分が潰れないように、自分を守るためにとっている行動が、
 ますます自分を追い込んでしまう。周囲から信頼を失い、自分にも自信をなくしていく。
 そんな悪循環に陥っている人たちです。
・これらの人たちの根底にあるのは、自分が認められない、自分が見てもらっていないこ
 とへの不安感です。だから、自分を認めさせるように周囲に自己アピールして強く出る
 か、逆に周囲から否定されないように自分を隔離して引きこもるか。どちらにせよ、周
 囲との関係を変えることで、周囲から自分自身を守ろうとしている人たちです。
・自分は周囲に認められていないという気持は、自己否定感を生みます。自分はダメなん
 だという否定が出発点にあります。だから、自分を認めさせたくて、自分らしくない振
 る舞いをしてしまったり、逆に自分を認めさせることを諦めなて引きこもる。どちらに
 しても、このままではなかなか相手にが受け入れてくれない。そうなるとますます自分
 が認められていないという気持ちが強くなり、自分をダメだと卑下したり、周囲に攻撃
 的になる自分をつくってしまう。  
・潰れない生き方とは、自己研磨し、他社より優れた自分をつくる生き方でも、潰れない
 ように人に対して強く主張できる自分をつくる生き方でもありません。自分で自分を潰
 そうとする行為から、自分を守る生き方をさします。自分を全否定するのではなく、自
 分への小さな肯定を積み重ねながら、自分がラクになり、周囲とももっとラクに向き合
 えるようになる。それは自分を大事にする、自分を大切に扱う生き方であるともいえま
 す。
・もし、自分で自分を「ダメなやつだ」と否定していたら、そんな自分を人前にさらすこ
 とが嫌いになり、人と本音でつき合うこともできなくなってしまいます。弱い自分を隠
 さないと、自分は見捨てられるかもしれない、排除されるかもしれない。だから違う自
 分を演じ、そんな自分を見透かされないように、人には踏み込まれないようにする。
・一人ひとりは唯一無二の存在なのです。その人にしかない何かが必ずあります。他の人
 と比べる必要はないのです。自分の中にある、ちょっとした頑張り、ふるまい、生き方
 を見ていったら、「自分なりによくやっているよ」「自分も悪くないよ」と率直に思え
 ることがきっとあります。だから、まずはありのままの自分と向き合ってみてほしいの
 です。いきなり認めることはできなくても、自分の中に「小さな肯定」を積み上げてみ
 てほしいのです。まずは自分を一人の人間として、大切に扱ってみてほしいのです。そ
 こから、人と真剣に向き合い、人からも受け入れてもらえる新しい自分の生き方、潰れ
 ない生き方が見えてきます。

不機嫌な職場で潰れる人々
・パラハラとは、「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的
 に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、あるいは雇用不安
 を与えること」とされています。現在、このような「職場いじめ」がいたる会社で増え
 ていますが、社員をいじめのようにして追い込む上司がいること自体が明らかに問題で
 あり、組織として改善策を講じる必要があります。
・なぜパワハラをする上司が増えているかというと、実は上司もストレスにさらされてお
 り、そのはけ口として部下や周囲に罵詈雑言を吐いてしまうことが多いからです(もち
 ろん、たんに性格が歪んていて、悪意から暴言を吐く人もいますが)。このようなギス
 ギスした職場では、上司は部下への暴言でストレスの発散ができたとしても、部下には
 発散の場がありません。溜まる一方です。職場の中で「こんなのおかしい」と声をあげ
 る人がいなく、ただひたすら耐え続ける状態に置かれてしまうわけです。このパワハラ
 体質が組織全体に波及しているというのが、不機嫌な職場でよくみられる現象の一つで
 す。職場が重く苦しい空気に包まれてしまいます。
・こうなると、それぞれが自分の仕事に閉じこもり、自分には被害が及ばないようにと、
 肩をすぼめるように仕事をするようになる。タコツボに閉じこもり、ひたすら息をひそ
 めている状態になる。また周りの人も同じように耐えている。
・明らかに不健全で病的な職場なのだから、いっそのこと辞めてしまったり、あるいは社
 長や人事に移動を直訴すればいいと思うのですが、なかなかそうはいきません。辞めて
 も条件の良い転職先はなかなか見つからないでしょうし、また移動を直訴してうまくい
 かなかったら、その事実が上司に伝わって、却ってパラハラ上司からの締めつけが厳し
 くなるかもしれません。そう考えると、結局「耐えて嵐が過ぎ去るのを待つしかない」
 といった心境にならざるをえなくなる。
・問題は、このような暴言をまともに受け取ってしまうことです。本来は、パラハラとい
 う明らかに問題のある上司による発言なので、真に受ける必要はないのです。しかし、
 多くの人は、こうした暴言をまともに受け取り、耐え続けてしまう。この状態が続くと、
 さまざまなストレスが体に蓄積されて「壊れてしまう人」になってしまう危険性が高ま
 ります。このようなパラハラ上司のもと、ストレスの蓄積が限界を超えて、心や体を壊
 してしまう人が急増しています。
・これが抑うつ状態になると、精神的な落ち込みの大きさもさることながら、体に変調を
 きたし始めます。最初は眠れなくなります。不眠状態とは、「なんとなく寝つきが悪い
 な」「寝た気がしないなぁ」といった次元の話ではなく、ずっと頭の中でいろいろなこ
 とが駆け巡って、寝て夢を見ているのか、眠れず自分が考え続けてしまったのかがわか
 らない、こんな状態です。
・実は、このような病状は、「もう限界だ、このままではまずいぞ」という体からの貴重
 なサインなのです。このサインに気がつけばいいのですが、責任感が強いと、それでも
 無理して会社に行って働こうとする。なぜかというと、どうしても、人には迷惑をかけ
 れらないと思ってしまうからです。しかし、冷静に考えると「人に迷惑をかけられない」
 という気持ちの裏には、迷惑をかけることによって自分の立場が守れなくなるのが怖い
 という心理が働いています。本当は周囲に迷惑をかけないために、自分が健康であるこ
 とが大事なのですが、そこまで思考が回らなくなる。 
・この抑うつ状態が2週間以上続くと、通常、うつ病であると診断されます。食欲不振、
 不眠、体重の急激な減少などに悩まされ、朝は起きられず、頭痛や耳鳴り、手足のしび
 れなどが治まらない。そのような中で、何でも自分のせいにするようになり、自責の念
 にとらわれ、自分なんかいないほうがいいと思うようになる。これが典型的なうつ病の
 病状です。 
・うつ病は、「心の骨折」だと言われています。だから、骨がくっつくまでは無理して働
 いていはいけません。「会社に行きたい」と自ら思うようになって、やっと骨がくっつ
 いたと言えるのです。
・うつ病になるのは心の弱い人、と考える人も多いでしょう。しかし、実際には弱いので
 はなく、責任感が強く、そのぶん人一倍頑張る努力ができる人も多いのです。その意味
 では、むしろ心の強い人ほどかかりやすい病気と思ってもいいのかもしれません。強い
 がゆえに過度の負担を背負い込んでしまう。過度に頑張ると、心も体も耐えきれなくな
 るのは当然です。
・過剰に自分の仕事をアピールする人もいます。「お前、こんなこともできないのか!」
 と管理職としての威厳を部下に示そうとする。指示すると言っても、「どうやればうま
 くいくのか」がわからないので、「とにかくやっておけ」が口癖で、中身に関してはま
 ったくアドバイスや指示がない(できない)ので、部下のフレストレーションは募るば
 かりです。このような管理職には、「自分はもう時代遅れでキャッチアップは無理だけ
 ど、自分の立場は守らなければならないため、部下に強くモノを言うことで立場を保ち
 たい」という心理が隠れています。何もしなければフリーライダー(他人の業績をタダ
 乗りする人)と思われてしまう。だから、そう思われないために、過剰にアピールする、
 虚勢を張るのです。過剰アピールの根底にあるのは、やがて捨てられるんじゃないかと
 いう「排除不安」が大きくあるかもしれません。そういった不安を助長させてしまう、
 周囲の問題も大きいように思います。
・自分を認めてもらいたいという過剰意識のなかで、完全に独りよがりな行動や勝手な行
 動をとり始める人もいます。自分が他の人と違うことで認めてもらいたいと思うと、周
 りがやってほしくないことまでどんどん踏み込んでしまうわけです。本人はいたって一
 生懸命であり、中には確かに手柄と言える成果もあったりします。しかし、勝手に踏み
 込むゆえに迷惑なこと、ミスも発生します。それを責められると、一気にモードが変わ
 り、「自分を認めない組織が悪い。みんなは自分を妬んでいる」と、周囲に攻撃的にな
 るのが特徴です。
・勝手な行動をする人には、確たる自分なりの正義があります。しかし、これをやって良
 いかどうか、もはや自分でもわからなくなり、やってはいけないことに踏み出してしま
 う人もいます。つまり、理性を失っ人たちです。「なんとか成果を出さなければならな
 い」「自分を認めさせなければいけない」というプレッシャーから、例えば、架空売り
 上げや架空契約まで計上し、実績を粉飾してしまう。あるいは、大幅なコストダウンを
 強要され、品質基準に満たないものまで検査を通過させてしまう。このようなコンプラ
 イアンス上、明らかに問題になることや違法な行為に手を出してしまう人も増えていま
 す。
・本人自らが手を出す場合もありますが、周りがやっていることを知りながら見過ごす人
 たちもいます。当初は不正行為の傍観者だった人が、やがて自分も気づいたら加担して
 いたというケースも少なくないようです。
・立場上、弱い人なら上からの命令には逆らえません。自分が不正や誤りを指摘したら、
 逆に組織を守るために自分が切り捨てられたり、追いやられたりするかもしれない。そ
 う思うと、おかしい、間違っていると声をあげることができなくなります。
・経費の私的流用も一回やってバレないと、「自分はこんなに仕事をやっているのだから
 当然だ」という感覚になっていきます。やがて「文句を言われる筋合いはない」と、感
 覚が麻痺していくわけです。まさに、理性を失った状態です。
・不機嫌な職場の存在は、一人ひとりを追い詰め、潰れていく人を生み出していきます。
 個人が潰れないためには、まずは自分自身と自分が置かれている状況を知り、そこから
 できることを探して自ら踏み出していくしかありません。そのためには、自分と周囲に
 関心を持ち、人を思いやる気持ちを持つことが第一歩になります。しかし、自分と周囲
 に関心を持つ前に、すでに自分をあきらめてしまったり、すでに自分で自分を壊しかけ
 てしまっている人が増えているのも事実です。 
・自分だけで解決できないと思ったら、あきらめてしまうのがいちばんラクな選択肢かも
 しれません。しかし、どのような選択をしようが、自分で「何か」をしなければいけな
 いのは事実です。大切なのは、向かうべき「何か」を見つけ出すこと。歩みだすために
 何をするかは人によって異なりますが、一人ひとりがそうした術を身につけて、生きて
 いかなければならないということです。 
・人は何らかの組織に関わって生きています。しかし、組織は自分の思い通りに動いてく
 れるわけではありません。組織には必ずある種の力学が働いていて、それが一人では出
 ないような力を引き出してくれることもあれば、逆に自分の活力を奪ってしまうことも
 あります。だからこそ、この力学を知ったうえで組織や人とは、うまく付き合っていく
 必要があるのです。組織や人とうまく付き合いながら、あきらめない生き方をする。決
 して、成功や大きな成果を出して認められようと頑張る生き方ではありません。そんな
 あきらめない生き方が、いまの不安定な時代を「強く生きること」なのであり、同時に
 自分を大切にする生き方になるのです。

潰れない人は何が違うのか
・組織には同じ厳しい状況にいても、うまく自分を生かすことができる「潰れない人」が
 いるのも事実です。潰れない人といっても、自分を追い詰めるものと闘い、はねかえす
 強い人ばかりではありません。自分から強い主張をしたり、潰そうとする相手と正面か
 ら闘わなくても、潰れずに生きていく人たちはいます。
・いい意味での「受け流し」ができることが必要なのです。受けておきながら、実際には
 自分で見極め、対応の順番を決めたり、とりあえず置いておいたりしても問題ないこと
 を言われるまで放っておく。そんなことをうまくやっていくことができる人たちです。
・こういった「受け流し」ができる人は、いくつかの特徴があります。まずは、自分の仕
 事をするうえで、これだけは外してはいけないことをきちんと心得ているということで
 す。その仕事の成果を出す、質を高めるうえで、何を大切にしなければならないかを知
 っているということです。
・「受け流す」とは、その仕事をしていくうえで最優先すべきことがわかっていて、だか
 らこそたくさんの要求の中でも外してはいけないこと、放っておいても大きな問題が起
 きないことを見極めることができるということです。それからもう一つ。自分自身の限
 界を知っているということも大切です。これ以上の仕事を抱えたら、仕事がパンクする。
 自分でも仕事が雑になるし、精神的にも肉体的にも追い込まれて、あせって仕事がうま
 くいかなくなる。そんな限界点を知っておくことも必要です。
・よく考えてみると、状況が変わって置き去りにされる。忘れ去られる仕事というのは、
 けっこうあるものです。だったら、本当に優先度の高いものだけをしっかり確認してや
 りながら、あとの仕事は状況を見ながら必要であればやればいいわけです。そうすれば
 意外に多くの仕事を受けながらも、「良い加減」で受け流すことができます。組織の関
 心とは領導的なもので、「すみません、まだなんです」と言っているうちに、状況が大
 きく変わることが多々あるものです。
・むしろ仕事は受け流すほうが大事なこともあると知るべきです。だから自分の中に、
 「ここまではやるけれども、これ以上はやらない」という線引きをし、「早くやれ」と
 言われるまで放っておくという柔軟さが大切になります。
・仕事の優先度には、スピードなのか、効率なのか、利益なのか、品質なのか、創造性な
 のかという考え方があり、また人の優先度には、上司なのか、社長なのか、取引先なの
 か、顧客なのかという選択すべき対象があります。どれを優先するにしても、最後は
 「顧客のためになること」「社会のためになること」です。「社内よりもお客さんのた
 め」という基準を自分の中に持たないと、結局うまく受け流すことができなくなってし
 まいます。
・「自分はこれを実現するために働いているんだ」という信念のある人は、追い込まれて
 も強い。優先すべきことが見えており、ブレないからです。自分が働く目的が社会やお
 客さんのためとなると、もはや信念というよりも「大義」や「志」になります。大義が
 あれば、横暴な上司がいても「負けてたまるか!」という意気込みが湧いてきます。
・人が信念をもつにいたる理由はさまざまですが、経験上、本物の信念を持っている人の
 根底には決まって「怒り」があります。怒りというよりも、世の中の不条理や矛盾に対
 する「義憤」といったほうが良いかもしれません。
・いまは社会や会社が人の夢や希望をそぎ落とす時代。みんな会社に入ると、「理想もい
 いが、現実を知れ」「夢もいいが、利益が出ないじゃないか」などという言葉に去勢さ
 れ、納得してしまうわけです。しいか、こうして削ぎ落としてしまったものこそが、実
 は自分の拠りどころであり、強さの源なのに。
・社員が協力し合う体制ができている優れた会社を取材すると、共通して感じるのは、社
 員が礼儀正しく謙虚で、心遣いができ、きちんとしているということです。心遣いがで
 きる理由は、個人の脂質や性格というよりも、周りの人がみんなそうだから自然と体に
 なじんでくるのだと思います。ちょっとした気づいたことなどがあると、みんなで相談
 したり、引き継ぎカードのようなものに注意事項を書いて共有したりします。
・職場があまりにもドロドロしていると、かえって潰される対象に選ばれてしまうことも
 ないわけではありません。しかし、そこまでひどい会社でないなら、誠実にふるまい続
 ける人の存在は、組織に良い感情を配ります。
・怒りや恐れの感情がコントロールできず、周囲にそのままダイレクトにぶつけてしまう
 人は、弱に人を遠ざけることになります。怒りが止まらず、周囲を怒鳴りつけたり、も
 のを壊したり。そんな苛立ちを自分で抑え込むことができない。こうなると、もはやわ
 かりやすい人、表裏のない人の範疇ではありません。
・実際のところ、たいていのことは何とかなってしまうものです。命をとられるわけでも
 ないし、クビになったわけでもない。よく考えれば、人の失敗なんて、ときがたてばみ
 んな忘れてしまい、どうにかなってしまうものです。大切なのは、そんなときに気持ち
 をリセットできるかどうかですが、これにはコツがあります。毎日、その日その日をリ
 セットする習慣をつくることです。
・良くないことががあっても、「明日は明日の風が吹く」と心に呪文を唱えてみる。ある
 いは朝起きたときに、必ず大きな声で「おはよう」と言ってみる。
・嫌なことは忘れようと努力しても、かえって記憶に残ってしまうものです。必要なのは、
 忘れることではなく、「まあ、どうにかなるさ」という前向きな気持ちになれるように、
 自分の呪文をかけること、暗示をかけることです。そうすれば、たいていのことは本当
 に時間とともに、状況が変わり、どうにかなってしまうものなのです。
・人生に遠回りはありません。あなたがいま経験していることは、すべてあなたにとって
 必要だから起きていることです。その一つひとつの意味を真剣に考えてください。
・いくら経験を意味づけるといっても、本当に厳しい状況ならすべてが薔薇色になるは限
 りません。しかし、耐え抜き、その中で考え抜いたことは、自分の財産になっていきま
 す。大切なのは、ふりかえったときに、そう思える自分になっているかなのです。
・良い仲間に囲まれている人、身近に信頼し合える仲間や味方がいる人も、潰れにくい人
 たちです。仲間や味方、あるいは理解者の存在は、潰れそうになったときに自分を守っ
 てくれます。 
・仲間がいる効果は絶大です。不条理なことを押しつける上司というレベルだったら、集
 団で対抗すればまず勝てるのです。それで上司を追いつめてしまってはいけませんが、
 でも自分たちを守ることはできます。
・逆に、どんなに自分が正しく、まっとうに闘っていても、周囲に自分を理解してくれる、
 協力してくれる仲間がいないと、まず潰れてしまいます。ポイントは、「つらいのは自
 分だけではない」「自分を同じ想いをもっている人がいる」という感覚。これが安心感
 を呼ぶのです。
・潰れない人たちに共通していることがあります。それは、自分の感情、心を守るための
 術、方法をもっているということです。自分を追い込まないように切り捨てる基準をも
 つ、逆にゆるぎない信念をもって本質的でない要求ははねかえす。あるいは、誠実であ
 る自分や率直な自分を絶えず出せるようにしたり、もし追い込まれても自分をリセット
 したり、経験をふりかえってそこに意味を見い出してみる。
・潰れない人たちは、自分の感情が追い込まれそうになったときに、自分と対話して、自
 分を見失わないようにするための術、方法をもっています。それは、決して、特別なこ
 とではないと思います。ちょっと自分で意識するだけでも、できることはあります。

あなたを追いつめるものの正体
・第一のタイプは、自分本位で身勝手な人たちです。たんに周囲の感情を考えず、自分の
 思いつきで行動して周囲を振り回す人もいます。中には、自分の力を誇示するために周
 囲に高圧的な態度をとり、人を押さえつけ、自分の思いどおりに人を動かそうとする人
 もいます。前者は、ただのわがままなのですが、後者は周囲を抑え込むことで、自分が
 優位に立とうする人なので、直接、相手を追い込みます。人事権などの権限を握ってい
 る上司や管理職であると、厄介さ存在になります。逆らったら給与を下げられる、飛ば
 される、クビにされるかもしれないと思うと、耐えて彼の言うとおりにするしかない。
 そうすると、彼に抵抗する人がいなくなり、ますます高圧的な態度をとるようになりま
 す。周囲が結果的に、高圧的な行動を助長してしまうのです。彼らの問題は、誰も止め
 る存在、注意してくれる存在がいないということです。それは彼らにとっても不幸なこ
 となのです。
・第二のパターンは、「組織のシステムに服従する人」です。当の本人は、経営者や上司
 に言われたから、会社のしくみ、システムだからと、厳しくやっているにすぎないこと
 がほとんどです。その意味では、会社に忠誠的、服従的、同調的であり、会社から見れ
 ばやる気がある人とさえ言えます。人事制度や方針が無謀だからと異を唱えたり、成果
 が出ない部下を守ると、自分が追い出されるのではないか。だから、上が言うとおり、
 会社の方針どおりにする。その結果、追い込まれる人、潰れる人が出たり、職場がギス
 ギスしても、それは自分のせいではない。自分はあくまで会社の指示に忠実にやってい
 るだけだ。そんな心理で、人を追い込むしくみにのっかっている上司が多いのです。
 会社のシステムに服従する上司が、部下が潰れるまで追いつめてしまうのは特別なこと
 でないことがわかります。上から「厳しくやれ」と言われると、暴言にもブレーキがか
 からなくなってしまうわけです。システムや経営者が強力であればあるほど、上司は代
 理の心理状態によって、同じことを部下にやってしまうのが組織の力学です。
・第三のパターンは傍観者です。組織がギスギスし、追いつめる人、追い詰められる人が
 いても、見て見ぬふりをする人です。たんに傍観者であるだけでなく、自分自身が気づ
 かない間に加担しているケースもあります。トラブルや問題が発生しても、成果主義や
 担当者のせいにして、自分には関係ないと思って関わろうとしない。同じメンバーの人
 が追いつめられていても、自分に被害が及ぶといけないからと、遠目で見ているだけ。
 個人を追いつめるしくみはおかしいと思っても、何も言わず、触れないようにする。か
 りに誰かが「助けてくれ」とSOSを出していても、自分の殻に閉じこもっている人ば
 かりなので、結局誰も助け出さない。
・道端で犯罪を見たときに、「傍観者効果」が働くのは仕方がありません。しかし、職場
 という閉ざされた空間でも「傍観者効果」が働くというのは、かなり不健全な状態です。
 これは、いじめの構図と同じです。いじめは、主犯がおり、共犯者がおり、そして傍観
 者がいる。まさに、いじめはこの三つのタイプのメンバーによって構成されている集団
 の圧力がかかった状態だといえます。こ傍観者が増えると、自分が追い込まれたときに
 誰も助けてくれる人が現れず、自分だけが責められ、孤立し、潰れてしまう。このよう
 な構図が企業レベルでも、職場レベルでも、個人レベルでも起きてるのが実態なのです。
 問題は、共犯者はもちろん傍観者も、人を追い込む行為に加担していることです。
・自分のポジションを得るために、人を恫喝するような態度をとるリーダー、あるいは傲
 慢でわがままなリーダーは、昔のほうが多く見受けられました。同時に、人をいじめる
 傍若無人な上司に迎合し、自分も一緒になっていじめて、上司の傘の下で守られようと
 する人もいました。また、上司の命令は何でも聞いて、部下には何でも押しつけ、直
 接、弱い者を追いつめる人もいました。
・昔は、追いつめられる人がいると、必ず一人くらいは「大丈夫かよ?」と声をかけたり、
 相談にのる人がいたものです。そういう人がいまは極端に少なくなったのではないでし
 ょうか。ところがいまは、「あいつはもダメだな」と冷たい目で眺めている人がいたり、
 自分には関係ない、関わりたくないと遠目に見ている人が数多くいます。このあたりが
 昔の職場とは大きく変わってしまったところなのではないでしょうか。
・注意しなければならないのは、傍観者でいることは周囲の人が追い込まれているのに加
 担し、自らも潰れる危険にさらしているということです。「傍観者は加担者である」と
 いう認識が必要です。
・自分を苦しめている制度や会社の考え方がおかしいと思って、正面から闘うことが必ず
 しも正しいことではないというケースもあるということは、頭にいれておいてください。
・経営の論理と社員の論理をただぶつけても、何もそこから発展的な解決策は生まれてき
 ません。気をつけたいのは、価値観の違いで争わないということです。「人にとって何
 が幸せか」という問いに対しては、「お金である」「出世である」「人を幸せにするこ
 とである」「友情である」「安定である」などと人によってその答えは違います。その
 どれが正しいかを議論しても、結論はなかなか出ません。特に経験上、「人のため」と
 いう利他的な価値観を持つ人が、「お金が大事」という論理を持っている人と向き合い
 闘うと、こちが側がまず潰されます。
・この人は「人を人と思わない人」と思えるような人と真っ向からぶつかればぶつかるほ
 ど許せなくなる。でもこういう人に自分の気持ちをぶつけても、相手は相手の論理をく
 りかえずだけです。
・もし相手が自分にとって大事な人であるなら、価値観が違っても最後まで真っ向からぶ
 つかってください。しかし、そう思えない人であれば途中で撤退し、距離をおくことも
 必要です。自分が壊れないようにする、自分を守るためです。それよりは、身近な傍観
 者の中から少しでも信頼できそうな人を見つけて、徐々に変えていくように働きかける
 ほうが良いと思います。
・自分を苦しめる上司やシステムがあったら本気で向き合うことが必要なのですが、これ
 には覚悟を要します。そして向き合ったなら、味方を増やすことと、撤退がどうかの見
 極めが大事です。向き合った結果、毒をもらうというなら撤退すべきです。いちばん良
 くないのは、最初から「どうせ無理」と思って、何もせず逃げてしまうことです。人と
 向き合うことを最初からあきらめてしまうと、やがて行き場が見つかれず、自分が潰れ
 ることにもなりかねません。
・何が正しく、何が間違っているのかを決めるのは、実は極めて困難であり、突きつめて
 いけば絶対に正しいと言えることはほとんどなくなります。ことの正否を問うことその
 ものに意味がないことも多々あります。正しさや正義というのは、そもそも後からしか
 決まらないものなのかもしれません。だから、すべて自分の考えが正論であり、正しい
 のだ、当たり前なのだ、と考えるのは間違っています。結局、方向性はそのとき、その
 ときで、お互いに関わる人たちがいちばん良いと思う考え方を選択するしかないわけで
 す。
・人は出来事に対し意味づけを行うためにまず語りかけをしている。そして、そのときに、
 絶対にやってはいけない語りかけがある。それは「私はこうでなければならない、絶対
 にこうすべきだ」「あなたもこうでなければならない、絶対にこうすべきだ」という語
 りかけです。まさに決めつけですが、このような語りかけは、「周りはどうせ自分を理
 解してくれない」というネガティブな中でも特に深刻な気分に定着させてしまう大きな
 原因になるからです。
・不安な気分は放っておいても転換はなかなかできないので、自分の中の感情との語りか
 けを見つめ直し、ポジティブな方向へ適正化することが必要です。

潰れないための対処法
・理解不能な人に出会ったらどうするか。理解不能とは、自分の価値観ではとても考えら
 れないことを言ったり、やろうとする上司や同僚のことです。いつも無責任なことを思
 いつきのように命令し、しばらくすると今度は「もう、そんなことはどうでもいい」と
 怒り出す人です。
・まずはどんな相手であろうと、その人の行動の背景にあるもの、その行動が意図してい
 るものを知ることが必要です。そのために、相手に踏み込んでみて、相手が何を考えて
 いるのかを知ろうという努力をすることを一回はやってみるべきです。ここで問題にな
 るのは、踏み込み方です。いきなり「あなたのやっていることはおかしい、間違ってい
 る。それではついていけない」と、頭ごなしに相手の行動を否定するのは賢明ではあり
 ません。それではケンカになってしまいます。
・まずは同じ土俵にあがらない。心理的に距離を置いて、遠くからその人を眺めてみるよ
 うにしてください。本当は良くないことではあるのですが、「あんな考え方しかできな
 いなんて、かわいそうな人だな」「きっと誰も本当に信頼してくれる人なんていないん
 だろうな」「多分、定年で会社を辞めたら、誰も一緒に飲みに行ったりしてくれないよ
 うな人なんだろうな」と、人としてその人を客観的に見ることです。 
・そうはいってもその人の言動が自分を精神的にも身体的にも追い込むものであり、心身
 の危険を感じるようであれば、物理的に距離を置くことも考えてください。良くないの
 は、関わっているうちに相手がもっている「毒饅頭」を知らず知らずに食べさせられ、
 自分も不快な感情を周囲に伝えるような人間になってしまうことです。人を悪意で振り
 回す人は、誰からも信用されないため、いつはは潰れていく人です。このような人の心
 に汚染されると、結局は自分も潰れてしまいますから、汚染されるくらいなら逃げると
 いう選択肢を選ぶのも自分のためです。
・相手と闘わなければならなくなったときも、大切なのは自分を汚さないことです。「叩
 き潰してやる!」「ボロボロになるまで追いつめてやる」と思って闘えば、自分も相手
 と同じようなことをすることになり、自分の心を汚してしまいます。気づくと嫌な自分
 になってしまうかもしれません。
・自分が成果を出しても、認めようとしない上司、自分には態度の冷たい上司、自分のこ
 とをバカにする上司に悩む人もいます。何か失敗すると、「給料を下げるぞ」「地方に
 飛ばすぞ」と脅したりします。ときには、「人間としてクズだ」「生きている価値がな
 い」とまで言う上司もいるでしょう。こうなると、「自分の存在が否定されている」あ
 るいは「自分はこの人に嫌われている」と思えてくる。それは誰にとっても受け入れが
 たい事態です。こんな状態になったら、対処法はやはり受け入れるか、受け入れざるか
 の見極めが必要になります。
・しかしながら、ここで考えてほしいのですが、「否定されること」自体が問題なのかと
 いうことです。人生において自分を否定されることは、何らかの意味があり、また大事
 なこととも言えます。
・10年、20年と真剣に働いていれば何回かこのような転換点があっても当然だと思い
 ます。なぜなら、誰しも本当はどこかのタイミングで「自分壊し」が必要なときがくる
 からです。ずっと同じ自分のままでは生き残るのは困難だと考えたほうが自然です。
・孤独な状態になったらどうすれば良いのでしょうか。自分の本音を語り、共感し合える
 人を探す努力を続けることです。対処法としては、たとえ孤独な状況のままでも、自分
 なりの指針をもち、真摯に仕事をしていく姿勢を保つことです。そうすると、誰かが自
 分を見てくれていて、「欲頑張っているね」と言ってくれるかもしれない。言ってくれ
 なくても、少なくとも、「自分はしっかりやっている」というプライドが支えになって
 くれます。 
・孤独になっても、仕事人として真摯に目の前の仕事をきちんとやり続ける。そうすれば、
 いつかは異動や組織改編などの不可抗力によって事態が好転する芽も出てきたりするも
 のです。
・もう一つの対処法は、自分のことを職場で理解してくれる人がどうしてもいないなら、
 まずは職場外で理解してくれそうな人を探して相談にのってもらうことです。このよう
 な状態の人は、社内の人といきなり仲良くなるのはハードルが高いはずです。ですから、
 まずは社外の人と仲良くなるところから始めてみるのもいいかもしれません。
・よくよく考えてみると、自分のことを本当に深く理解できる人なんて、現実にはそうは
 いないものです。なぜなら、本当の自分がどういう人間かだなんて、自分でもよくわか
 っていないものなのですから。でも、自分の感情や状況に共感できる人はいるはずです。
 会社の他部門、社外、ネット上にまで広げればどこかには見つかるものです。理解者を
 探すとき、とにかく数打てば当たると思って、いろいろな人たちとコミュニケーション
 をしてみることが大事です。
・悩んだときは、自分とは違う世界の人と話すのが効果的にです。世の中には、必ず自分
 の悩みを理解できる人、同じように悩んでいる人がいるもの。そういった人と出会い、
 自分の悩みを話したりしながら人と仲良く明るく話せる感覚を取り戻していくのです。
 劇的に孤独な状況から抜け出すことはできないのですから、あきらめず少しずつ、共感
 し合える人を探していけばいいわけです。
・上司との折り合いが悪いだけで、成果を出しているのに地方に飛ばされてしまった、無
 謀なノルマを課せられる、残業代が一切出ないのに夜遅くまで働かされるなど、会社や
 上司のやり方が不条理だと思うことは必ずあるものです。このとき、選択肢は「これは
 試練だと受け入れてみる」ことと、「納得ができないと会社を見限る」ことの二つです。
 見限れればいいのですが、転職先がままならないとなると、どうしても受け入れざるを
 得ず、つらい状況に陥ります。
・たとえば名ばかり管理職などの不条理は訴えることに正当性があると言えます。ただし、
 問題はみんなのためにと自分が代表しで闘うのがいいことなのかどうかです。経験上、
 中途半端な形で闘うと、味方が誰なのかわからず、結局自分だけが潰れるということが
 往々にして起こります。もし闘うなら十分な覚悟をして、味方をしっかりと固めてから
 闘うべきです。ふつうは労働組合を組織して闘います。これをしないで闘うと、組織の
 論理で潰される可能性がたかいということは知っておく必要があります。
・実際、残業代が出ないという不正を労働基準局に告発し、会社に指導が入り、その後社
 内でリストラ(人減らし)が始まり、結局経営者ではなく、告発した当人がみんなから
 恨まれるということもあります。結局は自分が思っていたよりも厳しいことになる可能
 性があります。
・組織には間違ったことには、間違っていると堂々と言える人が必要だと思います。でも、
 それはかなり自分にダメージを受けることも覚悟しなければなりません。特に、自分の
 闘いが独りよがりではないかと思い始めると、自分の行為自体が間違っていると不安に
 なって、自分を追い込んでしまうことがあります。だからこそ、仲間の後ろ盾が必要で
 す。自分の正義感だけで突き進んで、自分を潰さないように、決して無理はしないでく
 ださい。
・大切なのは、自分の心を汚さないことです。会社批判は仲間と飲み屋でいあっているう
 ちはいいのですが、仕事中も批判的なことばかり言っていると、自分の心が汚染され、
 ちょっとした障害も会社や上司のせいだと考えるようになります。これでは、働く気力
 も失われてしまいます。
・会社や上司の悪口ばかり言っていると、周りの人はその人から逃げていくものです。悪
 口は周囲の人にも影響を与えます。結局、批判体質にはならないことが自分を大事にす
 る生き方になるのです。
・不条理は一般社員では解決が難しい問題です。対処法としては不条理を過剰に意識せず、
 自分を追いつめない方法を探ること、どんな経験にも必ず意味があるのですから。
・最近は若手社員でもリストラされることが増えていますが、ここで大切なのは会社や上
 司、あるいは社会に復讐心や敵意をおたないことです。復讐心や敵意は、「自分は被害
 者である」という意識から生まれます。この被害者意識をもったまま次の会社に行った
 りすると、自分を理解しない人が駆逐すべき敵に見えて攻撃する、あるいは防衛本能か
 ら今度は自分が加害者になりやすいという悪い状況に陥ります。
・大きな不条理に遭ったときは、会社や人を見限ることも必要です。見限るにしても、見
 限らないにしても、大切なのは自分の感情が悪いほうに流されないことです。しかし、
 なかなかそうは思えないのが人間です。では、どうすれば「人生誰しも不幸が降りかか
 ることもある」と自分の感情を良いほうに変えることができるのでしょうか。このとき
 必要になるのが「自分を信じてあげること」です。
・どんな会社でも、どんな肩書きでも、あるいは別の道でも、自分なりにしっかり頑張れ
 ばとうにかなる。無理せず、やれることをやっていこう。こんな気持ちがあれば、不条
 理な事態に巻き込まれても再生への道を模索することができます。自分への信頼感は、
 あるがままの自分を認めることから生まれます。いままで一生懸命生きてきた自分を褒
 めれあげられれば、「またやり直せばいい」と思えるのです。
・よく日頃から「ストレス耐性を高めておきなさい」と言われますが、これは、使い方を
 間違っていると思います。そもそもストレスにさらされたとき、「耐える力があればい
 い」というのは非現実的な話です。ストレスをすべて受け止め、耐えて、耐え切れる保
 証はないからです。むしろ、耐えようとするのはかなり危険です。したがって、ストレ
 スにさらされたとき、考えるべきことは「ストレッサー」と「ストレス反応」の二つに
 なるます。
・「耐える」とは、まさにストレスを受けて、我慢することです。嵐が過ぎ去るまでじっ
 と待つ。対処法としてはありなのですが、確実に心と体には負荷がかかります。なので、
 適当に受け流しながら、耐えることが必要です。でも、さすがに耐え切れなくなったら、
 ストレスの要因から精神的にまたは物理的に距離を置く。つまり、「逃げる」ことです。
・「ストレッサー」は人だけが対象ではなく、顧客や仕事の仕方、制度やシステムの場合
 もあります。これらを解決するのは容易ではありません。一人では解決できなければ周
 囲の力をかりること、周囲を巻き込むことが必要です。そういう意味では、自分を守る
 もっとも適切な対処法は、「助けを求める」ことです。まずは、声をあげること。自分
 の状況といまの気持ちを周囲に伝えてみる。そこから、周囲が動き出し、解決に向かう
 こともあります。そこまでいかなくても、同じように周りに悩んでいる人もいるのであ
 れば、自分だけでないんだと心が少し軽くなる。これがストレスの受け止め方を変えて
 くれます。
・自分の力で「ストレッサー」と対峙しなければならないときはあります。そのときはど
 うすれば良いのでしょうか。そのために必要になるのが、自分の中にブレない軸を持つ
 ことです。たとえば、何があっても守りたい人がいる、どうしても実現したいことがあ
 る、どうしても曲げられないこだわりがある、などです。
・本当に自分が大切にしてきたものが壊されるかもしれない、大事にしているものを捨て
 なければ生きていけない。そう思ったとき、どうすれば良いのでしょうか。もし、本当
 に自分の心が壊れそうになり、悲鳴をあげていると感じたら、緊急事態と認識して逃げ
 てください。とりあげず休みと取り、嵐が過ぎ去るのをじっと待ってください。たいて
 いのことは過ぎ去ってしまうものです。でも、いつまでも逃げていたら、いつかは追い
 込まれてしまいます。だから、自分が大切にしたいものまで壊されると思ったら、やは
 り向き合う勇気をもってほしいと思います。いきなり自分を追いつめる対象(上司など)
 と向き合うのではなく、まずは悩み、苦しみ、苛立っている自分がいることを素直に認
 めることです。
・要は、自分に自分で声をかけるわけです。自分の声をかける理由は、自分の状態を客観
 視するためです。客観視できれば、解決の手段を冷静に考えようという気になってきま
 す。危険なのは、ここで思考停止になってはいけないということです。考えるのを止め
 たら、すなわち自分をあきらめることになるからです。

感情力を磨く四つのステップ
・潰れないようにするには、そのストレスに対処する方法論を身につけ、自分の中にブレ
 ない軸をもつことは大切です。ただ、それでも自分を追いつめるものの力が大きければ、
 潰されそうになることはあります。このとき大事なのは、思考を止めず、自分の感情と
 向き合うことです。自分の感情に語りかけ、自分の感情を良い方向に変えることができ
 れば、自分を守ることができます。
・大きなストレスにさらされているうちに、感情が麻痺し、うれしいことをうれしいと感
 じられない、ちょっとした変化を感じられない自分になっている可能性があります。ま
 ずは、素直な気持ちでものごとを感じられる自分を取り戻す必要があります。
・次に、「ちょっと良い自分づくり」をやっていきます。それは良い感情状態をイメージ
 し、そうした感情をもてる自分を役づくりすることです。そして、そんな自分になれる
 ように、ちょっとした自分の変化を見つけ、褒めてみる、肯定してみる。そうすると、
 少しずつ「ちょっと良い自分」に近づいていけます。そして最後に、「自分の感情を周
 囲に伝え、周囲と共感していく」体験を重ねていきます。最初はちょっとした感情表現
 で構いません。感情を素直に伝える中で、同じ感情をもつ人たちと共感していく。この
 プロセスを通じて、周囲との壁を徐々に壊していける自分に出会えます。
・自分が大切にしたいものが見つからない、自分が何のために生きているのかわからない
 など、自分を見失ってしまっている人は、そもそも「無感情状態」になっているもので
 す。もし、自分の「感じる力」を落ちていると思ったら、まず小さなことに感動する、
 好奇心をもつ、ちょっとした良いことを喜べるようになることです。
・感情が疎くなってくると、何かちょっとした変化があっても自分の思いどおりにいかな
 くなったとき、いちばん良い方法は動じないこと(気にしないこと)だと考えるように
 なります。そのうち、自分の感情に気づかないふりをし始め、やがて本当に自分の感情
 を感じなくなるのです。
・まずは日常の中のちょっとしたことで五感を解放してみる。気持ちが安定してきたら、
 次はスポーツ観戦など非日常体験を増やして感情を動かしてみることです。
・自分がほんとうに落ち込んでしまったときに、「このまま何も変えられない」「仕方が
 ない」とあきらめてしまわずに、「自分を変えてみよう」と一歩前に踏み出す力が湧い
 てこないと、現実は何も変わりません。自分を変えるとは、行動パターンや考え方を変
 えることですが、自分の性格を変えようと思っても、現実には時間がかかりますし、根
 っこの部分は変わらないので、かえってプレッシャーになるもんです。だから、「とり
 あえずちょっとだけ良い方向に変えてみようか」と思う程度でいいのです。そのために
 はまず、いきなり自分を変えようとするのではなく、いまの自分を少しでも肯定できる、
 褒めることができる自分になることが必要です。まず、過去をふりかえって、これまで
 頑張ってきた自分を褒めてみる。自分の長所をふりかえって褒めてみる。もし、頑張っ
 ていない、長所がないと思ったら褒められません。褒められない理由は、客観的にダメ
 な人間だからではなく、褒めるという習慣がないからです。しかし、よく考えてみれば
 誰でも自分を褒めることはできるはずです。 
・悩んだり、潰れそうになっている人は、本当は人一倍頑張っている人です。だから、自
 分を認めて褒めてあげてください。「自分を否定するか肯定するか」それは自分の考え
 方次第で決まるのですから。
・大切なのは、「自分はすごいやつだ」という万能感ではなく、「悪くないじゃん」「こ
 れでいいじゃん」と、あるのままの自分を褒めてあげること。それが自分を認める力を
 つけ、ひいては自分を変える力につながっていくのです。

潰れない生き方とは
・大事なことはやはり、何をするかではなく、どう生きるかなのではないでしょうか。ど
 んな選択をしようと、これが正解だなんてものは誰にも決められません。決められると
 したら、それは本人がそう思う込めるかだけです。だとすると、本人が自分の選択が良
 かったと素直に思える、あるいはその選択がどうであれ、自分はよく頑張った、精一杯
 やったと心から思えることが大切なのではないでしょうか。
・人生の選択肢の多さに惑わされないでください。今自分が何をしているかで、自分の人
 生を判断しないでください。大切なのは、何をしているのかではなく、どう生きている
 かなのですから。
・大切なのは、何を実現できたではなくて、どう生きているかなのです。そのプロセスを
 ふりかえったときに、「自分なりに良くやったな」と褒めてあげられるかどうかです。
・人は何のために生きていくのか。その目的は誰にもわかりません。人は良い大学にいく
 と、良い会社に入ること、出世すること、人より多く稼ぐことを「良い人生」とつい考
 えてしまいます。しかし、それが本当に良い人生なのかどうかは結局誰にもわかるませ
 ん。いくら地位や名声、お金があったも、本当にその人を慕い、集まってくれる仲間が
 いなければ、それはさびしいことかもしれません。何を手にいれることが自分にとって
 の最大の喜びになるのかは、人それぞれ違うものです。だとすると、やはり大切なのは、
 「生き方そのもの」なのだと思います。自分がどんな生き方をしてきたのか。他人を追
 い込み、他人を傷つけ、他人を壊して、自分だけが成功者になっても、そのような生き
 方を自分で肯定できるでしょうか。同じように、自分を追い込み、自分を傷つけ、自分
 を壊してしまうような生き方を続けてしまったら、どんなことをやっていようとも、良
 い生き方とは言えないのではないでしょうか。
・「良い生き方」とは、自分自身が恥ずかしくない生き方、自分自身を誇れる生き方をし
 かたどうかで、決まるではないかと思います。どんなに苦しくてもあきらめずに頑張っ
 た自分、小さなことかもしれないけれどコツコツやり続けた自分、どんなときも他人の
 ために汗をかき続けた自分。そんな自分に出会えたとき、自分は良い生き方をしたと、
 心から思えるのではないでしょうか。
・「あせらず、くらべず、あきらめず」ということが大切だと痛感しています。他人の子
 どもとくらべて、あれができない、これができないと不安になり、あせってこどもに教
 えようとしても、なかなか理解してくれない。応えてくれない子どもを見て苛立ち、声
 を荒げてしまう。こんな親を見れば、子どもも不安になり、親の顔色ばかり見るように
 なる。本人も自分ができないことを認識し、自信をなくしていく。これでは親も子ども
 も潰れてしまいます。
・「あせらず、くらべず、あきらめず」。そして、「褒めてあげること」。これは子ども
 を育てるプロセスですが、大人が自分を育てる、自分を追い込まないためのプロセスと
 まったく同じです。
・人はいくつになっても成長できるものです。だから、子育てと同じように自分を育てて
 やることです。あせらず→くらべず→あきらめず→褒めてあげる、を回していけば自分
 を育てることができます。
・個人成績が問われる会社であっても、自分の成績を他の人の成績とはくらべない。うま
 くいかなくてもあせらないで、やり続ける。そして、成果が出なくてもくさらないで頑
 張っている自分を褒めてあげる。もし本当に疲れてしまったら、そのときは立ち止まっ
 たり、ちょっと戻ったりする。それでも大切なのは、「もういいや」と投げ出さないこ
 とです。子育てで褒めることが大事ですが、自分育てでは投げ出したくなったとき、
 「きっと、どうにななる、ぼくは大丈夫だ」と自分を励ますことも大事です。自分を励
 ますというより、自己暗示をかけるといったほうが良いかもしれません。「人一倍努力
 したから自分は大丈夫」と自分に信じこませることができたら、何事もなんとかなるも
 のです。
・人は悩みがあったり、つらいことがあると、少なからずは努力をしているものです。だ
 から、その努力に対して「それなりに良くやっているよ、よく耐えているよ」と自分を
 認め、自分を褒めてみる。毎日、会社に行っていること、毎日、何かしらをしているこ
 と、それだけでも立派な行為なのですから。
・自分を育てることは、自分を大切にする生き方そのものです。大人も子どもも、植物と
 同じように大切に世話をしないと、しっかりとは育たないのです。 
・自分が肯定できないと、他者を肯定したり、認めることもできません。なぜなら、自分
 肯定感がないゆえに自分の良い部分があってもフィルターをかけて否定的にみてしまい、
 そのフィルターをかけたまま他者の行動を見てしまうからです。他者を表面的に認めて
 も、それは劣等感からくる妬みであって、その人に対する尊敬、賞賛の意味で、認めて
 いるわけではありません。
・自分を大切にするためのサイクルは次のようになります。自分を大切に扱う→自分を求
 められる→他者を認められる→他者から認められる→自己肯定感(前向きな感情)→さ
 らに自分を大切にする。
・逆に、自分を潰すサイクルは次のようになります。自分を雑に扱う→自分が認められな
 い→他者を認められない→他者から認められない→自己否定感(後ろ向きな感情)→さ
 らに自分を雑に扱う。
・大切なのは、自分を雑に扱わないこと。自分の心のちょっとした変化に気づき、ちょっ
 とずつ傷つけるのではなく、褒めてあげることです。もし自分を雑に扱えば他者も雑に
 扱ってしまい、人かますます認められない、嫌われるという悪循環のままです。
・結局、どんな人も自分で自分を「役に立つ人間だ」「偉い人間だ」「すごいやつだ」な
 どとその存在価値を決めて主張しようとしても居場所は見つかりません。自分の居場所
 は、自分を必要としてくれる人が見つかって初めてできるもの。そのとき自己肯定もで
 きるようになるのです。
・人のことに関心をもたず、自分のことにも関心がもてない。だから、自分も人も大切に
 することができない。こんな人たちばかりの社会で、お互いにお互いを追いつめている
 のがいまの世の中です。