新・シンプル生活入門  :川北義則

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私の生き方の基本のひとつにしてきたが「お金があれば買う。なければ貯めてから買う。
貯まらなければ買わない。」だ。これは現在の我が家の家訓でもある。クレジットカード
やローンを多用する人たちにしてみれば、「なんと古めかしい考え」と苦笑するかもしれ
ないが、私はこれからもこれを生き方の基本にしていくつもりだ。
かつての高度成長時代においては、モノをたくさん持つことが豊かさの象徴だった。しか
し、モノをたくさん持つことが本当の豊かさではないということがわかってきた。日本も
やっと豊かさに対する感覚が洗練されてきたのだ。
最近の「爆買い」で話題になる中国人を見ると、かつての高度成長時代の日本の姿を連想
する。今の中国を見ると、まだモノをたくさん持つことが豊かさであるとの価値観が主流
のようだ。かつての日本も、西洋の先進国からはあんなふうに見えたのだと思うと、なん
だか恥ずかしくなる。

まえがき
・収入が伸び悩み、クビや倒産まで心配になる一方で公的負担が急増する時代に、ない物
 ねだりをして自分の境遇を嘆いてみたもしかたない話だ。それなら発送を転換して、な
 いならないなりに楽しく暮らす「素敵なシンプルライフ」をめざした方が、結構的だし、
 カッコいい。
・世の中が家の中にモノがいっぱいの時代だからこそ、本当はモノがない方がカッコいい
 のだ。本当のお金持ちはスキマ家具を買って、モノを詰め込むようなことはしない。家
 の中は本当のシンプルそのもの。モノは極端に少ないが、いいモノがある。空間にゆと
 りがたっぷりあるのが、豊かさなのである。
・「お金がなければ買えない」と、きっぱりあきらめることだ。「つつましく生きる」こ
 とが、この国の人々の正しい生き方だと信じられていたのは、それほど昔のことではな
 い。その生活を取り戻せばいいのだ。
・お金があれば買う。なければ貯めてから買う。貯まらなければ買わない。借金はまだ手
 にしていない収入を当てにすることだからあとで怖い。基本的に「お金がなければ買わ
 ない」に徹した方がいい。
・いままでなら、「たくさん持つ」ことが豊かさだったが、いまの時代は「長く持つ」こ
 とが豊かさになってきている。モノの豊かさより心の豊かさの時代になったのだ。
・マイホームについては、基本的にお金がない人は無理に借金してまで買わない方がいい。
 住宅ローンの重圧に何十年も縛られる暮らしより、生活がキツくなれば、さっさと安い
 家賃のところへ引っ越せる賃貸暮らしの方が、これからのシンプルライフには合ってい
 る。
・仮に家を建てる場合やマンションを買う場合でも、万人に通用するような、なるべくオ
 ーソドックスな設計のものを選ぶ。平凡な設計、平凡な間取りがいい。そしてそこに住
 むとき、好きな花や植物に囲まれるガーデニングに夢中になるのもいいし、家具のまっ
 たくないガランとした部屋にのびのびと寝っ転がるのも個性的な住み方である。

女性が世の中を変えてしまった
・成長社会から成熟社会への変化は、男性化社会から、女性化社会への変化を呼んだ。男
 の時代は、「いいか、わるいか」でされた物事の判断は、女の時代に入って「面白いか、
 面白くないか」「楽しいか、楽しくないか」での判断となった。
・日本ではモノにあふれかえっているが、情報通信や福祉などの分野では、必要なサービ
 スがまだまだ不足している。そうした分野への参入を阻んでいる規制を撤廃し、サービ
 ス関連企業をどんどん増やしていく。そうすれば事務職OLだけでなく、主婦のパート
 や派遣・契約社員にも働く場所を提供できるはずだ。
・いずれにしろこれからは単純な大企業志向は捨てたほうがいい。そしてほんとうにやる
 気も実力もあるなら、小さくても伸びそうなベンチャー企業に目を向けるべきだ。
・94年の民法改正で、「浮気した夫が5年以上家を離れ、別居という条件を満たしてい
 れば離婚を認める」という「破綻主義」が導入された。妻に何の責任がなくても、夫が
 浮気し、勝手に女のところに転がり込んで同居生活を始めてしまえば、5年経過した時
 点で離婚が成立してしまう。2、3年OLをやったら、適当にいい男を見つけて「寿退
 社」し、専業主婦になろうなんて、一種の博打勝負でもある。「理想の結婚幻想」を抱
 くのは勝手だが、トンネルを抜け出したら、突然、二人のレールが左右二手に分かれて
 いるかもしれないのだ。
・絶滅の危機に瀕している一般職OLを見ていると、マンションを生き甲斐にして「一生
 働く」と誓った彼女たちの決意が、果たして全うできるかどうか、疑問に思う。貸す方
 も貸す方で、公庫や銀行はとてもではないが、まともな時代感覚、状況認識を持ってい
 るとは到底思えない。
・コトは収入だけの問題ではない。いちばんヤバいのは購入者の多くが、いざとなれば、
 「売ればいい、貸せばいい」と考えている点だ。転売や賃貸はそんなに簡単なことでは
 ない。
・戦後の神話が次々と崩壊するなか、サラリーマンはいま、「マイホームを持つこと=幸
 福」ではないことを日々、痛感している。持ち家幻想を捨てるサラリーマンは今後ます
 ます増えるだろう。
・その一方でマンションを「生き甲斐にしたい」という独身女性が増えている。「結婚=
 幸福」ではないとわかったとき、彼女たちは自分探しの旅の果てに「自分の居場所」を
 かつての男たちがそうであったように持ち家に求めたのだ。
・過去の基準からどんどん抜け出している女性たちが就縛される唯一の「心のバブル」、
 それがまた「不動産」なのである。

何のためのマイホームなのか
・いま住宅ローンの返済に苦しむ人が増えている。バブル崩壊後の長期不況でリストラや
 倒産が頻発し、収入もかつてのように右肩上がりで伸びなくなった。そうした厳しい賃
 金・雇用状況のなかで計画どおりローン返済できない人が続出しているのだ。
・返済に行き詰まるのは何も特別な人たちではない。ごく普通のサラリーマンが、ある日
 突然、「住宅ローンが返せない!」の落とし穴にはまるのだ。
・公庫の場合、返済が六ヶ月以上滞っただけで、ローンの全額を繰り上げ償還するように
 ローン利用者に請求する。そして期限までに償還しないと、ローンを組むときに連帯保
 証人引き受けた公庫住宅保証協会が、負債の全額を借り手に代わって公庫に返済する。
 もちろんそれでローン利用者の借金がチャラになるわけではない。保証協会は代位返済
 後、ただちに弁済額の一括返済を借り手に要求する。しかし、毎月のローンも払えない
 人間に一括返済などできるはずがない。そこで保証協会は抵当権を行使し、借り手のマ
 イホームを裁判所で競売にかけることになる。競売にかけられてしまえば、せっかく苦
 労して買ったマンションも人手に渡ってしまう。
・しかし、それで済めば、まだマシである。時価がローン残高よりも低い「担保割れ」を
 起こしている物件が多い。これは競売で物件を「質流れ」させても、借金が帳消しにな
 るどころか、多額の負債が残ってしまう。
・住宅ローンを滞納し、マイホームを手放さざるをえないひとたちに借金を帳消しにする
 だけの財力などあるはずもない。こういう人たちに残された道は、「自己破産」しかな
 いのである。
・自己破産は特に40〜50歳の中高年層に増えている。破綻の原因としてはリストラが
 らみが圧倒的に多い。給料が伸び悩んでいるうえ、残業代のカットやボーナスの減額、
 各種手当の打ち切り、さらには出向・解雇・倒産などで予定した収入が得られず、住宅
 ローンの返済に行き詰まった挙げ句、借金を重ねて破綻する、というパターンだ。
・賃貸物件なら、「いまの家賃じゃちょっときつい」と思えば、もう少し安いところに引
 っ越せばいい。そうすれば月々の賃料負担を下げることができる。しかし分譲マンショ
 ンはそうはいかない。「ローンがきつくなったら、さっさと売ればいいじゃないか」と
 思うかもしれないが、コトはそう簡単ではないのだ。現実は時価がローン残高より低い
 「担保割れ」を起こしている物件が多い。これでは売却しても借金が残るから売るには
 売れない。
・担保割れでも損切りできるような資金力のない人は、ローン返済が苦しかろうが何だろ
 うが、いまのマンションに住み続けるしかない。とにかくこれからは「いざとなったら
 売っちゃえばいい」という選択はあり得ないと考えておいた方がいい。
・賃貸に出すにしても、ローンが返せるだけの賃料が取れる保証はまったくない。供給過
 剰の分譲マンションが賃貸市場に大量に流れ込めば、賃料相場も下がる可能性が高い。
 都心立地など客付けが容易な物件ならいい。しかし郊外の、しかも駅からバス便などの
 物件などは借り手がつくかどうかさえ怪しい。これからは「いざとなれば売ればいい」
 だけでなく、「いざとなれば貸せばいい」という選択も、あまり当てにしない方がいい。 
・この先日本の人口は少子化でどんどん減る。長男、長女の一人っ子時代は新たに住宅を
 取得する必要がない。世帯主が65歳以上の持ち家率85%。長男、長女が結婚すれば、
 両方の家から家がもらえることになる。しかも人口が減れば、当然家が余る。その大半
 は一戸建て、マンションは1割程度にすぎない。一戸建てが余れば地価も安くなるから、
 みんなマンションより一戸建てを買う。マンション需要はさらに減り、中古マンション
 の買い手はますますいなくなる。
・もはや家が資産となる時代は終わった。構造的にも築10年を超えるとマンション価格
 はガクンと下がり、30年で限りなくゼロに近づく。これが常識だ。マンションを修繕
 するにはかなりのお金がかかる。購入時に払う修繕積立基金や月々払う修繕積立金で足
 りればいいが、実際には不足するので、新たに管理組合で借り入れるケースが少なくな
 い。
・買い換えが難しくなっているため、最近はよく「一生住める永住型のマンションを選び
 なさい」という話を聞くが、そんなマンションが本当にあるのだろうか。構造式から見
 たマンションの耐用年数は60年とされているが、現実には「築30〜40年が限度で、
 それを超えると古くなりすぎて、もう取り壊すしかない」というのが業界の見方だ。
・建て替え費用は全額入居者が負担しなければならない・土地代はかからないが、いざ建
 て替えるとなれば、解体費用なども含め一戸当たり数千万円の費用はかかると見ておい
 たほうがいい。建て替えには入居者の5分の4以上の合意が必要だが、こうなると合意
 を取り付けるのは外壁などの修繕工事以上に難しい。建て替え期間中の借住まいの手当
 や建て替え費用の問題などで、反対者が続出するのは確実だからだ。 
 ・さらにいえば、巨大地震でもくれば、住む家をなくし、住宅ローンだけが残る恐れだ
 ってある。事故って廃車にしたクルマのローンの残りを延々払い続けるようなもので、
 これほど虚しいことはない。それでも払えればいいが、払えなければ自己破産するしか
 ない。そんな悲惨な結末を迎えるくらいなら、何もいま無理をして「金利が安いから」
 「物件価格も安いから」「住宅控除が受けられるから」などという理由でマンションを
 買うことはない。
・どうせマイホームを購入するなら、ロクに頭金もないのに30歳でマンションを買って
 35年ローンを組むより、30代は賃貸に住んでせっせと貯めて頭金を大きくすること
 に専念し、40歳で一戸建てを買って25年ローンにしたほうが賢明ではないか。
・マイホームは買ったが最後、買い換えできない限り、一生、そこに住む続けなければな
 らない。しかもマイホームの集合体では何事もお互い様だから、文句ひとついうにも気
 が使うが、賃貸なら、イヤなヤツがいれば、すぐに大家に頼んで注意してもらえばいい
 し、どうしてもいうことを聞かないときには、「バカにいくら言ってもダメだ」と諦め、
 さっさと出ていけばいい。 

3年後、5年後の収入を当てにするな
・これからのサラリーマンはバブル時代のライフスタイルはきれいさっぱり精算し、つつ
 ましく、シンプルな暮らしを心がけないといけない。具体的には、
 ・借金はなるべく早く返す(マイホームの購入はよくよく考えた方がよい)
 ・家計のムダを見直す(趣味、旅行、ムルマ、ショッピング、保険など) 
 ・背伸びをした暮らしは慎む(友人、知人などに見栄を張ったりしない)

計画的生き方の時代は終わった
・ビジネスに栄枯盛衰はつきもので、一つの企業、産業のヤマは約30年といわれる。そ
 の何十年も時代の寵児でいられるはずがない。結果、先の業種に50〜60年代に入社
 した人は、入ったときが全盛で、40歳、50歳になったら、会社は生き残りをかけた
 企業変身の真っ最中で、自分はリストラに脅えるつらい日々を過ごしている。 
・いい大学を出て一流の呼び声高い企業に就職したとしても、その会社がこれから先もい
 まの地位にあるとは思えないし、たとえ卓越した舵取りで一流の地位を保っていたとし
 ても、自分がそこに安泰でいられる保証はまったくない。
・日本の財政赤字は、いまは先進国中最悪の水準だから、財政赤字の削減は緊急課題で、
 「公務員を減らせ!」の声が高まるのは必至だ。これからは庶民の公務員の見る目はい
 っそう厳しくなる。彼ら彼女らを税金で雇っているという意識がより強くなるからだ。
 官僚もしかりである。今後、一流企業だろうが、公務員だろうが、一生を安堵してくれ
 る存在にはなりえない。「寄らば大樹の陰」と思って就職したのに、気がつけば、枝葉
 はバッサリ切られ、しまいには「大樹と心中」という可能性だってある。
・勉強が苦手な子どもに高い月謝を払って学習塾にやる必要はない。受験のために暗記で
 詰め込んだ知識は、時間がたてばすぐに忘れてしまう。それよりも創意工夫に満ちたひ
 らめきや斬新な発想が湧き出る頭にすることの方がずっと大事だ。それには子どもが本
 当にやりたいことは何なのか、それをまず親が知ることである。好きこそものの上手な
 れで、自分が好きでやりたいことなら、子どもは放っておいても一生懸命やる。
・学習塾に子どもを放り込むくらいなら、自然の神秘や生物の不思議さをたくさん体験さ
 せた方が、よっぽど個性や創造性は磨かれる。
・個性や創造性は、子どもの頃に「どれだけ夢を見る力を養ったか」で決まることが多い。
 学習塾の机に向かって描ける夢など、たかが知れている。
・子どもの幸福のためにも学習塾に通わせるお金があるなら、もっと自然体で好奇心をか
 きたてるような環境を心がけ、またそんな機会をたくさんつくってやった方がいい。
・東大を頂点とする大学ヒエラルキーは完全に消滅とはいかなくとも、かなり変動がある
 だろうし、企業も出身校より「何を学んだか」をいまよりずっと重視するよういなって
 いるはずだ。膨大な額の投資をして手に入れる学歴は、もはやかつてのような輝きを発
 していない。     
・これから広い意味でプロとして職人が認められる時代が来るのではないか。落ち着きを
 取り戻した時代には、本物をつくれる職人たちがクローズアップされてくるに違いない。
 
自分のお金はどうすればいいか
・生きがいなんて大げさに考えることはない。肩の力を抜いて、自分が何をすれば気晴ら
 しになるか、生きがいを「気晴らし」くらいに考えて、毎日、気晴らしになることをす
 ればそれでいい。朝散歩して、家の近くの公園で犬と遊んでいるのがいちばん愉しく、
 それが気晴らしになれば、それはそれでその人の生きがいだ。
・いままで会社人間に徹して会社や仕事のことしか考えなかった人間に、ある日、突然定
 年になったからといって、すぐに考え方を切り換えるなどしょせん無理な話だろう。例
 えば、ボランティア活動ひとつ取り上げても、何か世のため、人のためにやらなければ
 ならないといった義務感みたいなものを背負うと自分がつらくなる。やるなら肩に力を
 入れないで自分が楽しめるボランティアをやりなさい。そうでないと、ボランティアを
 して何か報われないときには不愉快になる。
・とにかくいまの高齢者は元気でお金ももっているから、もっと自分のためにどんどんお
 金を使いなさい。高齢者こそ、これからの大きな消費のターゲットだ。老人問題は社会
 問題としか考えていないのが現状で、経済問題としてもっとクローズアップすべきこと
 だろう。 
・いまの高齢者は明るく元気で何をやるにも積極的である。老人は生活能力がなく、新し
 いものに興味を示さず、頑固で意地悪、寂しがり屋で孤独、性やセックスに興味を持た
 ないなどというのは、まったくの固定観念。その逆こそ事実なのである。
・年寄りは病気がちで弱いからいつも優しくしてあげないといけないという思い込みばか
 りがなぜこんなに強くなったのか。それというのも「いたわり」だけをキーワードにし
 ているから日本の老人向けビジネスは伸びないのである。
・介護や介助が必要な寝たきり・痴呆、虚弱高齢者などをあわせても全高齢者の約1割。
 残り9割、ほとんどの高齢者は弱者で病気がちどころか明るく、元気なのにもかかわら
 ずである。  
・いまこそ高齢者世帯は子どもたちに遺産として、自分たちが住んでいる土地や住宅くら
 いは残そうと思っているが、預貯金まで残そうと思っていない。しかし現実には消費し
 たくても高齢者向けの商品がない。お金は使いたいが使うチャンスがないのである。
・これからのシニア向きの市場は明るくのびのびとした市場でないと成功しない。高齢者
 にお金があるということは、サービスひとつとっても何も無料である必要なない。たと
 えば趣味の会や看護でも有料にして差別化するとかすればいい。 
・介護が必要な老人には適切な保険や年金を、元気な老人にはお金を使いたい時に使える
 環境を、それぞれ国や企業が整えなければいけないのだが、その現状も厳しい。
・「銀行が潰れない。政府が何とかするに決まっている」という銀行不倒神話も色あせ、
 公的年金や医療保険もまたその将来が危ぶまれている。「大事なのは財産を銀行をはじ
 め他人任せにしていても安全」という考えはまさに幻想になっている、というのは実情
 なのである。ならばいっそのこと銀行にお金を預けておかないで、お金持ちの高齢者は
 できるだけそれを消費に回す。モノでもコトでも、高齢者がお金を使ってくれれば現実
 に景気も少しは回復すれかもしれない。
・預金は銀行に対する「無担保の貸し付け」である。それは銀行に対する一種の投資であ
 り、その結果は預金者自らの責任において引き受けなければならない。では、もし危な
 い銀行とも知らずにお金を預け、倒産してしまったら、預けたお金はいったいどうなる
 のか。
・証券会社はたんなる販売窓口だから潰れても心配ない。では証券会社を通じて購入した
 株券や債券はどうなるのか。これらは証券会社の「保護預かり」にするのが普通で、そ
 の場合は証券会社が「保護預かり資産」として自己資産とは別に管理することが法律で
 義務づけられている。所有権はあくまで投資家にあるため、万が一、証券会社が倒産し
 ても、投資家は破産法87条の「取戻権」を行使して他の債権者に先立って取り戻すこ
 とができる。列に並んで待っていさえすれば、株券などは自分の手に戻る。銀行の取り
 付け騒ぎみたいに「バカ野郎、オレが先だ!」などとパニックになる心配はない。ただ
 し、不安がないわけではない。潰れるほど経営状態が悪い場合、証券会社が保護預かり
 資産に手をつけないとも限らないからだ。
・もうひとつ問題なのは、株式などの買い注文を出すに当たって預けられた買付代金や委
 託証拠金、未納の売却代金などの「預かり金」の取扱いだ。これらは法律上、別管理の
 義務はなく、証券会社の勘定に入る。このため証券会社が潰れたときには、一般債権と
 なり、他の債権者と同じように配当を待つしかない。証券会社の手の内にある株券や預
 かり金は別勘定であろうとなかろうと、いざとなれば回収できなくなる恐れがある。銀
 行同様、危ない証券会社には近づかないことである。
・もし破綻した場合、保険契約はどうなるか。これは大蔵省が指導・斡旋し、破綻した保
 険会社の契約を他の保険会社が引き継ぐことになっている。「包括移転」という方法で、
 理屈上では、保険の契約先がA会社かららB会社に移るだけだ。
・このままでは公的年金は破綻する。これは脅しでもなんでもない。このまま少子化・高
 齢化が進めば、加入者負担の激増は避けられない。そうなると給付額の引き下げは必至
 だ。
・年金改革は、未曾有の少子化・高齢化の進行にともなう深刻な財源不足の前には、「し
 ょせん、小手先の延命措置にすぎない」という声が多い。病巣の悪化は明らかなのに、
 痛み止めの薬で誤魔化しているようなもので、根本治療になっていないからだ。
・年金は標準的なサラリーマンが40年加入したと仮定すると、本人と配偶者の分の基礎
 年金と厚生年金部分を合わせて月額約23万円になる。 
・全国の夫婦を対象にした「個人年金に関する市場調査」(97年)によると、老後に必
 要な最低限の生活費は月額28万3千円。また公的年金で受け取り可能な予想額は23
 年5千円。しかも同調査によれば、充実した豊かな老後を送るには一ヶ月で最低38万
 円必要だ、という安渓都結果が出ている。
・となれば公的年金だけで老後の暮らしを維持するのは到底無理ということになる。自営
 業者の場合は国民年金(基礎年金)だけだからもっと大変だ。仮に老後の必要資金をそ
 うゆとりがあるともいえない月額33万円と見積もっても、サラリーマンなら10万円、
 自営業者なら20万円足りない。この分は、各々老後プランに応じて、自分で何とかす
 るしかない。これから公的年金は減ることはあっても増えることはない。自助努力は絶
 対に不可欠で、公的年金を当てにした老後生活など、ゆめゆめ考えないことである。
・とにかくお年寄りは医者にかかる。一人当たりの年間診療費を見ると、老人が約64万
 円もかかっているのに対し、それ以外の世代は平均17万円にすぎない。他の世代に比
 べて老人世代は約3.7倍も医者がかりしている。少し調子が悪いとなれば、「医者に
 見てもらわなければ損だ」となって、すぐに病院に行く。当然いくつもの病院での重複
 投薬の問題も起こる。これを是正するのはお年寄りにコスト意識を持ってもらい、病気
 を治すときだけ病院に足を運んでもらうようにするしかない。
・老後の生活資金が確保できるのか、という不安はことさらに大きい。今後予想される数
 々の負担のなかで家計が破綻することのないように、いままでいじょうに家計をリスト
 ラし、その分、貯蓄力を高めておきたい。そうした貯蓄がいずれ貴重な老後資金になる
 のだ。 
・家計リストラのポイントは、次の三つである。
 ・保険の見直し
 ・ローンの見直し
 ・節約テクニックによるやりくり
・住宅ローンを借りる際には団体信用生命保険に加入するため、万一の場合、ローンの残
 りは相殺され、チャラになる仕組みになっている。つまり一家の大黒柱にもしものこと
 があっても、そのときは住宅ローンの終了したマイホームを家族に残すことができる。
 しかも不幸にしてサラリーマン家庭が主を失っても、家族に対しては遺族厚生年金が支
 払われることを忘れてはならない。 
・住宅ローンを払う必要のないマイホームがある。遺族厚生年金支給もある、会社から死
 亡退職金などのまとまったお金も出る。となれば、残された家族が食べていくだけなら
 何とかなるだろう。そう考えれば、高額の死亡保障のために毎月5万円前後の保険料を
 延々と払い続けるのはいかにももったいない。もちろん死亡保険金は多いに越したこと
 はないが、贅沢を言えばきりがないし、いまの暮らしを犠牲にしてまで、「まさか」の
 ために多額の保険料を支払うのはバカげた話でもある。
・貯蓄型の保険をやめるのもポイント。これからは生保も倒産する可能性があるから、保
 険を貯蓄として利用するのは危険。保険は保険、貯蓄は貯蓄で分けて考える。保険と貯
 蓄を切り離して考えれば、その分、保険料が浮く。その浮いた分を貯蓄や家計の足しに
 回す方が、これからは賢明である。
・いずれにしろ住宅ローンをはじめとするローンは定年までに返済しておきたい。そのた
 めに借り換え、繰り上げ返済を有効に使う。そうすれば退職金を個人年金などで弾力的
 に資産運用できる。
・賃金カットやリストラなどで実質的に収入アップが望めない以上、借金は原則的にしな
 い方がいい。
・子どもが二人とも大学生という家庭では教育費の圧迫は相当なもので、借金せざるを得
 ないケースもある。そもそも教育にそこまでカネをかける必要があるのかも大問題だ。
 勉強の嫌いな子どもに無理して大学まで行かせる必要もない。また、これからはそんな
 時代でもないのだ。まず「教育費は絶対削れないもの」という幻影を捨てることが先決
 だ。
・将来、子どもが親の面倒を見てくれるかどうかもわからない時代、子どものために親が
 過重な教育負担を強いられるのは理屈に合わない。これからの「個」を育てる教育には、
 いまのような「無尽蔵にカネをつぎ込んででも一流大学へ」という方法は成り立たなく
 なる。働く意味とお金の値打ちを考えさせる意味でも、入学の手伝いはしても、そのあ
 とは自分の力で学生生活を送らせた方が子どものためなのだ。 
・「超低金利の不安な時代」の資金運用は、信頼のおける金融機関の安全確実な商品選び、
 基本的には短期運用に徹することだ。この超低金利で長期間預金を縛りつけるのは賢明
 ではない。 

優雅なシンプル生活の愉しみ方
・「お金が足りない」と愚痴って、ウジウジ不健康に暮らすより、ないならないなりに楽
 しく暮らすシンプルライフ、つまり「素敵なビンボー」をめざした方がいい。
・これからは「豊か」の基準自体が、多様化していく。もっとも本来そうでなければおか
 しかったのだ。実力に応じて収入格差がどんどん広がる時代に、「隣がクルマを買うな
 ら、うちも買う」式の一億総中流の生き方は自分のクビをしめるようなものだ。
・「中流」が良しとした日本の世帯も、他人の暮らしぶりを横目で見ながら、そこから少
 しでもはみ出るのを恐れて、「夏休みには海外旅行に行かなきゃ」「うちもマンション
 を買わなきゃ」と追い立てられる生き方は、もうそろそろやめにしないといけない。
・何百人も呼んでド派手な結婚式・披露宴がしたいのか、ごく内輪のささやかなジミ婚に
 したいのか。都内に墓地を確保し、いざというときには高価な戒名をまとい、盛大に送
 られて逝きたいのか。墓に入るのを好まず、自分の好きな山や海に散骨してもらえばい
 いのか。   
・どんなにシンドくても、「これこそ我が人生」と信じてやる分にはそれも生きがいにな
 るだろうし、幸福の一つの形かもしれないが、「本当はどうでもいいんだが世間体もあ
 るから」といった程度の気持ちで無理してやっているのだとしたら、これほどバカげた
 話もない。
・これからは世間体を気にして無理をするのはやめよう。タテマエからホンネの時代なの
 だ。そして各人が自分で「これがいい」と感じる消費を選択し、そのなかで自分にとっ
 ての豊かな暮らしを志向する。クルマにしても住宅にしても旅行にしても、それを手に
 入れるために無理をするのはちっとも豊かなことではない。
・本当のお金持ちで、「老後の心配なんてまったく不要」という人は、どんなに国民負担
 率が高くなろうが、都心に大きなマンションや一戸建てを買い、ベンツやポルシェやジ
 ャガーを乗り回して、週に何回も高級レストランで食事を楽しめばいい。
・「マイホームを持つこと=幸福」という図式は、経済が右肩上がりの時代には有効だっ
 たが、これからの時代は保障の限りではない。それに資産としての価値も、これからは
 買ったときからどんどん下がっていく。何千万円もの頭金をポンと出せるようなお金持
 ちはともかく、ボーナスを当てにしないと買えないような普通のサラリーマンは、むし
 ろ不幸のタネを抱え込む可能性の方が強い。 
・都会で我慢して暮らすのは仕事や子どもの教育のため。定年で仕事を離れると都会に縛
 られる必要がなくなるので、定年間近になると、自然の豊かな環境のなかでのんびり暮
 らしたくなる人が増えているらしい。ただし本当に田舎暮らしをしたい人は、若いうち
 から田舎暮らしの実態をつぶさに調べて、田舎の暮らしとはどういうものか、よく理解
 しておく必要がある。
・およそ都会人が考える都会的刺激とは無縁で、そうしたものを田舎に求めるような人は
 ハナから田舎暮らしなど考えない方がいい。
・週末利用な避暑・避寒用の別荘ならともなく、それを唯一の住まいとして田舎暮らしを
 するには相当の覚悟が必要だ。都会生まれの都会育ちで、田舎暮らしを知らない人は、
 田舎幻想を過大に膨らませない方がいい。田舎の人間にしても、「何だコンビニもない
 のか」と田舎をバカにするような都会モンに来てもらっては迷惑だ。 
・都会的な豊かさの基準で田舎を考える人は、何もない、実に退屈な時間しか手にできな
 い。そういう人は田舎暮らしなど絶対に考えない方がよい。
・日本人は何事にも勤勉で、週末を一生懸命遊ぶ。まるで何もしないのは罪悪とてもいう
 ように家族でヘトヘトになるまで行楽地をかけずり回る。しかしこれは貧しい。
・娯楽とは本来、ぼんやり時間をやり過ごすことである。だから週末にはまず休む。ガツ
 ガツ遊ぼうとしない。少なくとも土曜日の午後は早い時間あたりまで何もしないでパス
 タイムと決め込む。ごろ寝でボーっとしていればいい。それこそ豊かな休日である。
・家族サービスは大切だが、それが父親の無理と義務と犠牲のうえに成り立ってるとした
 ら、これほど哀れな話はない。何より生活リストラが必要な時代に楽しくもないことに
 お金をかけるムダは、救いがたい愚挙である。
・これからは家族サービス抜きの自分だけの週末をつくった方がいい。少なくとも土日の
 どちらか一日は自分のために使う。ボーっとするのに飽きたら、本を読んだり、CDを
 聴いて過ごすのもよし。近所の公園にぶらりと散歩に行ってもいい。   
・ゴルフは大半の人が仕事がらみで始める。興味半分、付き合い半分で始めるケースが多
 い。その証拠に定年で会社を辞めると、機会も人脈も失われるため、途端にゴルフをや
 る人が減る。趣味というには日本のゴルフは仕事臭が強すぎる。
・よく定年過ぎてからは「趣味に生きろ」というが、仕事がらみでやっていたゴルフを趣
 味だと錯覚すると、定年してから、「あれ?」という話になる。
・定年後の生き方は人それぞれだが、いちばん重要なのは自分が好きなことをやることだ。
・自分の本当の趣味を探すには子ども時代に原点を求めるといい。ただし、「本当にやり
 たいこと」は、ある日突然出てくるものではない。好奇心を持つのは大変重要なことだ
 が、人にいわれたから、人がやっているからやってみようという姿勢では結局長続きし
 ない。  
・最近は両家の顔合わせがすんだら、あとは籍を入れるだけで結婚式も披露宴もしない、
 というカップルが増えている。「何もしないのはなんだから」と、イベントらしいもの
 をやるにしても、両家の親兄弟が集まって式をやるだけで、あとは仲間内の顔見世パー
 ティくらい。正体不明の伝統行事である結納も「あんなものはいらない」とやめるカッ
 プルの急増中だ。
・お金の多寡ではなく、コト、モノの充実にこそ価値を見い出すのがシンプルライフであ
 る。
・結婚と同じように、最近は「自分らしく死にたい。弔われたい」という人が増えている。
 ごくごく身内だけで葬儀・埋葬をすませてしまい、しばらくなってから「実は・・・」
 と訃報を送り、「まことに勝手ながら、拙宅へのご来訪はご辞退させていただきます」
 というケースもあれば、「故人の希望により葬儀と告別式は執り行わない」というパタ
 −ンもある。生前に葬儀社と葬儀内容や埋葬方法を取り決めておく、「生前契約」を利
 用する人も増えた。