ロハスビジネス :大和田純子、水津陽子

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今の世の中を見ていると、成長至上主義の時代の終焉感じる。地球の持つ資源の有限さを
考えても、もはやこれ以上成長を続けて行くことは、無理なんではないのかと思えてなら
ない。
今までの時代は、先進の国や地域・会社が開発途上の国・地域・会社から安く資源・原材
料や労働力を得て、それを自工して高く売りつけて成長してきた時代であった。つまり、
先進と開発途上との間の格差を利用して、利益を上げていた時代であった。
しかし、先進と開発途上との格差が縮まり、資源・原材料の価格が上がり、かつてのよう
利益は上げられなくなった。そして、利益を上げるためには、薄利多売に走らざる得なく
なった。しかし、これは地球の有限資源を、ただただ乱暴に消費していくことにつながる。
このまま、乱暴な資源消費を続けていいのか。人類は、もっと控えめな生き方をすべきで
はないのか。このままでは、人類は滅亡にまっしぐらだ。

いま、なぜ「ロハス」なのか
・日本のビジネスパーソンは、先進国の中で最も長時間働いていて、特に男性の多くは自
 分の趣味の時間や自分と向き合う時間、さらには家族と過ごす時間が十分取れていない
 のが実態です。つまり、「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、「ワーク・ライフ・
 バランス」な人生を送っている人が多いのです。
・IT(情報技術)の発達でこれまで以上に創造力を活かした仕事が求められていますが、
 生活を楽しむ余裕すらないのに、創造力や発想力を活かした良い仕事ができるはずがあ
 りません。かえって、仕事と生活の調和がとれていないことなどが原因で、うつ病状を
 訴えるなど心の病にかかる人が増えています。
・消費社会が行き着くところまで行ってしまい、地域の「個性」がすっかり消えてしまっ
 たことも改善しなければならない喫緊の課題です。ここ20年ほどで日本中の地方都市
 の郊外に、巨大な24時間型のショッピングセンターやファーストフード関連のロード
 サイドショップが、それこそいたる所に進出しました。人間は、「便利さ」には勝てな
 いもので、これらのショッピングセンターが流行る裏側で、かつては中心街だった駅前
 商店街が「シャッター通り」になって、すっかりさびれてしまいました。
・「食料」や「木材」の自給率が低いことも、今後のことを考えると心配でなりません。
 耕作面積がどんどん減り、それにつれて食料自給率も下げ止まらないのが現状です。現
 在の農業の担い手は65歳以上のお年寄りが中心ですので、この担い手たちが引退した
 ら、日本の農業はいったいどうなってしまうのでしょうか。時間はあまり残されていま
 せん。
・日本のみならず全人類が直面しているのが気候変動の問題です。いま地球は猛烈な温暖
 化の危機に直面しています。現状のまま推移すれば2100年には日本の夏の平均気温
 は4.2℃上昇し、降水量も約19%増えるという予測結果が出ています。
・一連の現象に共通した背景として、現代人の生き方の弊害を挙げる人も多いでしょう。
 ひと言で言えば、エゴイズムです。今の日本人は利己的で、他者や社会のために何かし
 ようという発想がそもそも希薄です。モノがあふれ、仕事一辺倒の生活を続けた結果、
 成長神話の「限界」がわからなくなったことも一因でしょう。バブル崩壊で経済の成長
 神話はもろくも崩れさりましたが、「生き方」というライフスタイルの面ではバブル以
 降も成長神話には止めはかかりませんでした。
・「ロハス」は、新しい価値観、ライフスタイルです。健康と維持可能な社会を志向する
 ライフスタイルを意味します。
・地球規模で物を考えるからといって、修行僧のような禁欲的な生活を送る必要はありま
 せん。また、「地球のために懸命に我慢を重ねる」などと、ストイックな生活を強いる
 必要もありません。日々の暮らしの中で、自分のできるところから、少しずつ無理なく
 楽しく取り組んでいく、それがロハススタイルです。
・日本にはもともと自然に感謝し、その恵みを最大限に活かしてモノづくりをしていこう
 という価値観が根付いています。また、モノを大切にするという意味でロハスに通じる
 「もったいない」という日本語は、今や世界語になりました。そうした日本人にとって、
 ロハスの考え方は肌にしみ入るように馴染みやすいものだったと言えるでしょう。
・地球温暖化の問題はもはや待ったなしです。実は、これから10年後くらいまでにCO2
 排出を抑制する有効な対策を打たないと、人類は「逆戻りできない地点」を突破して気
 温は上昇続けると言われています。
・ロハスは、「バランスを取る」ことを重視する考え方です。仕事と自分の時間のバラン
 ス、都市生活と田舎暮らしのバランス、外食・昼食と手作りのバランス、企業社会では
 収益性と社会性のバランス。どちらかに偏るのではなく、それぞれ自分なりの「バラン
 ス」を考えていけばいいのです。そしてライフスタイルは十人十色ですから、自身のラ
 イフスタイルが変化すれはそれに合わせて、「バランス」を変えていけばいいのです。
・例えば、ウィークデーはシナリオAの都市に暮らし、週末はシナリオBの田舎で時間を
 過ごす、という「デュアルライフ」はどうでしょうか。田舎暮らしが気に入ったら定年
 後に田舎に比重を移せばいいし、「私はやはり都会のにぎわいが好き」というならデュ
 アルライフを続ければいい。生活の「バランス」をどう取るかそれぞれの個人が選択す
 ればいいのです。
・ロハスは決してストイックな生活を目指すものではありません。あくまで血中にやさし
 い生活スタイルを基本にする考え方です。

ロハスな人たちの横顔
・「地産地消」の考え方が大事である。取れた農作物は、そこから距離が離れていない所
 で消費するのがよい。輸送するとそれだけガソリンを使うので環境に負荷がかかるがそ
 れも防げる。
・今は週末に田舎に行くのがたまらなく好きになりました。ひなびた温泉宿もいいし、農
 家に泊まる「農家民宿」もいい。おばあさんが作ってくれる郷土料理をいただくのは、
 何よりの贅沢だと本当に思います。

これがロハスビジネスだ!良心が経営と社会を変える
・未来のことを想像するのは、簡単なことではありません。自らの思うところを進む以外
 には道はないというあたり前のことです。ただ一つ付け加えるのなら、「どんな社会にし
 たいのか」「どんな暮らしがしたいのか」を自らが考え抜いて、そこを出発点にするこ
 とが大事なのではないでしょうか。
・人は、それまで生きてきた過去から完全に自由になることはできません。時に若者たち
 は純粋な想いを社会にぶつけ、変革を願って行動を始めます。結局は挫折して社会の秩
 序の中に戻るのですが、「純粋な思い」はその後の人生でも折々に顔を出してきます。
 思いの深さに差はあるものの、多くの人が「青春の尻尾」を引きずっているのです。

ロハスなら地方も活きる
・ロハスビジネスは「持続可能性」のある社会を重視しますが、日本で今、その「持続可
 能性」が危ぶまれているのが「地方」です。若者の流出による過疎化じゃ言うに及びま
 せんが、農業の担い手はどこも65歳を超えたお年寄りばかりですし、伝統産業も次々
 に姿を消しています。集落そのものが消滅の危機に瀕している「限界集落」も、全国で
 2600を超える規模に達しています。
・産業がない→雇用の場がない→若者が都会へ出て行く→地域はさらに疲弊する→さらに
 産業が減る。多くの地方が、この「負の悪循環」陥っているのです。
・政治の場で都会と地方の「格差」が一つの焦点になっていますが、国頼みで公共事業や
 補助金を待っているだけでは地方に未来はありません。
・実は、ほとんどの人が気づいていないのですが、負の悪循環や都市と地方の格差を解消
 する一つの方法がロハスビジネスの中にあります。ロハスビジネスの手法を採用すれば、
 多くの地方が輝きを取り戻す可能性があるのです。ポイントは、地域そのものが持つ
 「資源」です。
・団塊の世代の田舎暮らしへの憧れたよく話題になりますが、少なからぬ都会人がゆった
 りとした自然に囲まれた田舎の生活を望んでいます。永住するかどうかはともかく、都
 会と地方を行き来する「デュアルライフ」なら希望者はもっと増えるでしょう。
・自らの足元にある「資源」(特産品など商品はもちろん、森林、田畑、自然、文化、歴
 史など何でもいいのです)をロハス層に近い人たちに提供すれば、そこには必ずニーズ
 があるのです。ただし、今の状態のままで、都市のニーズを把握しないまま商品やサー
 ビスを開発しても見向きもされないでしょう。また、これまでの「まちおこし」のよう
 に、一過性のイベントでは、真の地域活性化につなげることはできないでしょう。
・ロハス層のように意識の高い消費者が主流となる消費社会は、成熟社会にほかなりませ
 ん。そこで求められるものは、「本物」であることです。
・成熟社会では高いものを買うのは富裕層だけではありません。自分の好きな分野で「本
 物」に巡り合えば、価格が高くても買い求める人は大勢います。つまり、自ら持つ「資
 源」を磨き上げ、ロハス層が好む「本物」を育てることができれば、必ずその地方は浮
 かび上がるのです。
・プロジェクトに必要なものは、何をおいても「ヒト」「モノ」「カネ」です。しかし、
 ロハスビジネスの「ヒト」「モノ」「カネ」は、これまでのように単に事業の効率性を
 求めたり従業員の効果的な配置を考えたりするような経営資源の使い方を意味するもの
 ではありません。自らの「資源」のブランド価値を高めたりするなど、「付加価値型」
 の「ヒト」「モノ」「カネ」が何より重視されます。
・経済優先主義で、男性が地域や家庭を顧みなかった時代はもう過去のものになりつつあ
 ります。団塊世代だけでなく、ワーク・ライフ・バランスを求める動きが各方面から澎
 湃と湧き上がっています。 

ロハスビジネスの黄金ルール
・自立した意識の高い生活者は、自己啓発や能力開発など自分への投資も惜しみません。
 会社の研修だけに頼る時代は終わりました。会社員でも収入の一定割合を書籍や教材の
 購入、外部の研修の受講などに充てて、自らの能力・スキルに磨をかけています。こう
 した時代にロハスビジネスを展開しようという経営者は、まず自らがロハスの価値観を
 持っていることが基本です。きっかけはどうであれ、自分の家族、地域や社会、そして
 地球の健康のために、事業を通じて貢献しようという気持ちがないと始まりません。
・ロハスビジネスを行なっている企業家たちは、「利他的発想」で商品・サービスを提供
 している人が少なくありません。いろいろな過程を経て売り上げ至上主義の呪縛に気づ
 き、その呪縛から自らを解放した人たちです。彼らの生き方、ビジネスの存在そのもの
 が、新しいタイプの経営者の誕生を示唆しているのかもしれません。
・ビジネスですから売り上げや収益は大事ですが、顧客満足や従業員満足、事業の社会性
 に関するビジョンも欠かせません。とりわけ、収益性と社会性はロハス企業の両輪です。
・ロハス企業は楽しく明るく、社員たちの元気が良いことも特徴です。「職場で笑うな」
 などという堅物な上司は皆無です。そして、他の人や取引先に対しても思いやりを持っ
 て接しています。そこには、「勝ち組」と「負け組」を分ける考え方はありません。
・ロハス企業に「誰かを真似る」という発想はありません。他の同じようことをやってい
 る人がいないからこそ、自分で創ろうとチャレンジしているのです。 
・ロハスな人たちの商品選びは徹底しています。インターネットなどで情報を探し、資料
 を請求し、商品や現場を見に足を運ぶのはもちろんで、場合によってはその企業の経営
 者の著書を読んだり、講演会にまで参加したりして、トップの姿勢を見極めようとしま
 す。そんな「目利き」ができる消費者ですから、広告で恐怖心をかきたてたり煽ったり
 するのは論外です。もはや企業と顧客の関係は、「売る・買う」ではなく、「共に広め
 る・共に創る」で、お互いがコミュニティを形成するような関係に入っていると認識し
 たほうがいいでしょう。
・企業は地域社会の一員でもありますから、ロハス企業は、会社や支店のある地域社会の
 清掃やボランティア活動などにも積極的に関わっています。自分たちのビジネスが地域
 に支えられていることがわかっているので、つながりを大事にするのです。こうした環
 境対応や企業市民活動など事業活動を含めたすべてを、ウェブサイトやレポートにして
 外部に公表し、会社を透明なものにしていこうというものです。
・透明性とは企業のオーセンティシティ(正統・本質的であること)を表すものです。プ
 ロセスを見せる。どうやって作っているのか、使われた後にどうなるのか、従業員をど
 のように処遇しているのかなど会社を一人の人格として、そのストーリーを語ることで
 す。顧客はそれを知ったうえで、その会社と関係性を持ち続けたいかの判断をするので
 す。

ロハスビジネスの始め方
・ロハスビジネスでは「オーセンティック」、つまり本物であることが重視されます。し
 かし、もはやこれはロハスビジネスだけに限ったことではありません。環境問題や安全
 安心などに対して、消費者のめが厳しくなった現在、どんなビジネスでも本物でないと
 生き残っていけない時代に入っています。

<この本で取り上げたロハスビジネス関連事例リンク>
 ・アグリス成城(菜園)
 ・星のや軽井沢(リゾート)
 ・サンクゼール(ペンション経営から発展)
 ・大地を守る会
 ・八王子市 長池公園(管理運営)
 ・くずまきワイン
 ・古利根沼