「男はつらいらしい」 :奥田祥子

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最近の男は頼りないとかすっかり弱くなったとかよく言われが、男にも男の事情がある
のである。この本は、そんな男の事情を女性の視点から調査して書かれたものである。
現代の男性の2大悩みと言ったら、やはり「結婚できない男」と「男の更年期」であろ
う。結婚できない男がどんどん増えているのは自分の周囲を見渡しても実感できる。い
い年をした未婚の男性のなんと多いことか。結婚できない事情にはいろいろあると思う
が、この本の調査結果を見ると、そこには男の精神的な未熟さがあるように思う。
社会が豊かになって、あまり苦労をしないまま大人になったために、年齢的には大人に
なっても、精神的には大人になりきれない大人が多くなってきたためなのだろうか。女
性の側を見ても、昔と違い結婚しなくても、なんとか生きていける社会になって、なに
も無理に結婚しなくてもという心理が働くところがあるのではと思う。
確かに、結婚せず子どもも作らないほうが自由で経済的にもゆとりにある生活が送れる
と思う。でも、結婚しないで子どもも作らなかった人生って、死ぬ直前に自分の人生を
振り返ったとき、果たしてほんとに幸せな人生だったと思えるのだろうか。
男の更年期が注目されたのは最近のことである。女性に更年期があるように、男にも更
年期があるというのは当然のように思われるのだが、男の更年期というと、なんだか女
々しく思われるところがあるから、今まではずっと表沙汰にされてこなかったのだろう
と思う。しかし、男も40才を過ぎたあたりから、がくんと体力や気力が落ちてくるの
は確かである。そして50才を過ぎると、それはもはや、ごまかしがきかなくなる。そ
のことを男自身が納得し受け入れるとともに、周囲の女性も、男にもそういう時期があ
るんだということを知っておく必要があると思う。表面的には強がっていても、男とは
弱い生き物なのだ。

結婚できない男たち
・私は少子化の最大の要因は、晩婚化であると考えている。その重要な晩婚化問題はこ
 れまで、女性の社会進出により、結婚することで自身のライフスタイルを崩されたく
 なかったり、仕事と子育てなど家庭との両立への不安を感じていたり、といった女性
 側にその要因を求める視点がほとんどだった。だが、結婚は男と女の合意によって成
 立するもの。男性にだって要因はある。
・リストラという社会の荒波をもろに受け、仕事でも女性との関係でも自信を失ってし
 まっている。これまでの交際経験の乏しさからなのか、女性を一方的に判断して、相
 手の気持ちをなかなか分かろうとしない。
・男と女というものは、そんなに単純なものだろうか。理性的範疇を超えるからこそ、
 恋は燃え上がるのではないか。過去の経験を、理性的には学習しても、必ずしも次の
 恋愛で生かせるとか限らない。なぜなら、そこには激しい感情が働いているから。
・誰にでも理性はあるのだろうが、まずは異性と出会い、互いを少しずつ知り合うなか
 で、相手に求める条件がすべて揃っていなくても、惹かれ合い、恋へと発展していく
 ものなのではないだろうか。当初の理想とはかけ離れた異性と交際し、結婚したケー
 スも少なくないだろう。
・相手の女性を知る前に、自分なりの理性や理論を働かせすぎて、何も心が触れ合いな
 いまま、せっかくの「縁」を自ら閉ざしているように思える。
・「結婚できない」男性たちに会って感じたことは、最大の要因は、心理的要素である
 ということだ。ある女性を結婚相手として求める際のためらいや戸惑い、自身が思い
 描く理想と目の前の現実とのギャップといった、心理面に大きく影響されていると思
 うのである。
・どこから生み出されたかは不明だが、「三低」。つまり、「低姿勢」(女性を尊重し
 た真摯な態度)、「低依存」(家事を妻に頼らない、男女の役割分担を求めない)、
 「低リスク」(リストラや事件・事故に巻き込まれない職種、スキルや資格を持って
 いる)も、女性が結婚相手に求める新たな理想らしい。
・経済力が低いのも、女性に対するコミュニケーション能力が劣るのも、「できない」
 男性たち自身がマイナス要素として、考えすぎているように思う。そして、そのこと
 をプレッシャーに感じて、男としての自信をなくし、女性にアプローチできない。
・結婚するのにはやはりそれなりのエネルギーが必要であり、相手選びについてあれや
 これやと考える理性を上回る衝動もある程度、必要だろう。
・そもそも、男と女は互いのベールに包まれた神秘性に惹かれ、もっと相手のことを知
 りたいと思い、付き合いを深めていくものなのではないか。それが、今は互いのこと
 を知る前から、慎重に秤にかけ、男女がすれ違っているようだ。
・社会進出して活動の場が広がり、以前に比べて経済力をつけた女性が「強く」なった
 のだとすれば、相対的に男性は「弱く」なったのかもしれない。
・結婚相手の男性に「強さ」や「頼りがい」を求める女性は少なくない。さらに、女性
 は恋愛や結婚に向けた行動に積極的になったという見方がある一方で、依然として男
 性からのアクションを待っている女性は意外に多いのが現実なのだ。
・恋愛や結婚を怖がっていたらダメよ。男と女は好きあって結ばれても、いつかは必ず
 別れるもの。死別だったり、離別だったり。だから、思い切って経験してみなさい。
 嫌になったら、別れればいいんだから。一度も結婚しない人生を送りよりも、ずっと
 生きがいがある。

更年期の男たち
・男性ホルモンの低下の大きな引き金の一つと考えられるのが、ストレスだ。ストレス
 は、男性ホルモンのバランスに悪影響を与えるとされる。
・ストレスが性機能障害を引き起こし、性機能低下が男性としての自信を喪失させるな
 どして、精神的な病状を招く。ストレスが高じて精神病状を発病すると、性機能が低
 下する。