「まじめ」をやめれば病気にならない :安保徹

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我々現代人は、自分のからだの健康について、あまりに無頓着なのかもしれない。毎日の
ように深夜まで起きており慢性睡眠不足。じっと動かず一日中パソコン画面に向い慢性運
動不足。仕事上や人間関係からくる過度のストレスやプレッシャー。そしてそれを紛らわ
すための過度の飲食やアルコール摂取。そんな生活を続けていれば、機械ではない生のか
らだは当然ながら悲をあげ、徐々に体調不良に陥っていく。
すると今度は、それを直ちに治そうと、無慈悲な多量の薬の絨毯爆撃によるショック療法。
そして、それで治ったつもりで、からだを休めることなく、また無慈悲な負荷をかけ続け
る毎日を繰り返す。
現代人は、いつまでこんなことを続けるのだろうか。いつまでも「もっともっと」という
剥き出しの欲望のままの生活を続けていれば、いずれからだは破綻をきたす。体調が悪い
からと安易に薬を飲むことが、どれだけリスクが伴うことなのか。この本を読んで、あら
ためて考えされられた。

はじめに
・残業続きの長時間労働、パソコンの長時間使用による眼精疲労、冷房や冷たい飲み物に
 よる冷え、夜ふかし、人間関係から生まれる精神的ストレスなど現代人の病因は多様で
 す。
・まじめやクヨクヨ性格による日常的負担の過剰が原因といってもよいでしょう。お年寄
 りのなかには、薬の飲みすぎによってからだを壊している人もいます。子どもの場合は、
 甘い物のとりすぎや過保護の結果、ストレス耐性をうしなっているという流れもありま
 す。
・いまの日本人は、全体的に働きすぎ、まじめすぎなのです。無駄にきまじめな生き方を
 少し見直してほしいのです。「まじめ」をやめれば病気にはなりません。
・今日の日本の医療は薬を出して病気を治すという流れになっていますが、本来、薬はつ
 らい病状を軽減するための対処病療法なわけです。長期間飲むには適さないということ
 を医師も一般の人も理解することが必要です。
 
悪いのはすべて働きすぎとストレスだった
・日本人が病気になる原因としては、長時間労働、つまり働きすぎがもっとも多いのです。
 アメリカ人の場合には、むしろ食べ過ぎのほうが問題で、アメリカ人の健康に対する関
 心はダイエット運動に向いています。
・日本人もメタボリック症候群が話題になっていますが、太りすぎや運動不足以上にまず
 改善しなくてはならないのは、働きすぎなのです。それが改善されないかぎり、日本人
 はなかなか結構にはなれません。
・パソコンを使っての長時間労働になると、さらにからだを壊しやすいのです。
・夜遅くまで明るいオフィスにいて、しかもずっとパソコンを前に集中していると、自律
 神経のうちで交感神経の緊張状態が長く続くことになります。光を浴び続けるだめでも
 交感神経が緊張しストレスになるのです。
・免疫力をもっとも落とすのは、長く起きていることと、光の点滅を見続けて目を疲れさ
 せることなのです。
・自律神経とは、自分で意識してコントロールすることができない自動的に働く神経のこ
 とです。自律神経には交感神経と副交感神経の二つの系統があって、交互にはたらいて
 バランスをとっています。興奮状態のときには交感神経がはたらき、リラックスしてい
 るときには副交感神経がはたらいています。健康な人はどちらか一方の状態に偏ること
 なく、一日のなかでバランスをとっているのです。
・私たちのからだは昼間活動するようになっています。夜も仕事をしていると、そのまま
 交感神経優位な状態が続くので、当然からだに悪く、そのような状態が長く続けば結構
 を害することになるのです。
・人間は朝型生活が結構にいいのです。いまや、仕事上パソコンは必需品なので、たいて
 いの人はパソコンにむかわざるをえないでしょう。そうであるなら、せめて日中のほう
 が目の負担も軽く、からだも疲れ少ないのです。といっても長時間休みなく画面に向か
 うのは、よくありません。最低でも1〜2時間に一度は休憩をとって目を休めることが
 大切です。
・使う側も使われる側も、効率的に仕事をこなすことをもっと重視したほうがいいのです。
 「長時間会社にいるのがいい社員」という見方は、「会社人間」を高く評価するような、
 これまでの価値観がまだ根強いからでしょう。
・もし会社が働く人の健康を十分に考えてくれないのだとしたら、自分のからだは自分で
 守るしかありません。残業、長時間労働がいちばん健康を損なう危険性が高いのですか
 ら。
・夜はなるべく早く寝て、睡眠時間を確保する。休日はゆっくり休むというように、自分
 のからだは自分で守る工夫が必要なのです。仕事に対して「まじめ」なのはいいのです
 が、からだを壊すほどまじめである必要はありません。そんなまじめさはやめて健康な
 生活を取り戻してください。
・若いから大丈夫だとか、仕事が忙しいのだから仕方がないと、からだの声を無視して、
 そのままの生活を続けたら、いずれはおおきな病気にかかり、場合によっては生命の危
 険すら生じかねないのです。そこで、病気を治すことができるかどうかは、本人が仕事
 よりもからだを守るほうが大切だと考えられるかどうかにかかっています。
・とにかく一時的に酸素を入れれば、すぐに酸素分圧が上がるので、疲れをとる効果があ
 るわけです。では、単純に酸素をたくさん吸うのがいいかといえば、そうとばかりもい
 えません。酸素をとりすぎるのは、老化を促進させることにもつながるのです。老化を
 促進させるおおきな要素である活性酸素もたくさん出るからです。
・酸素を吸えば疲れがとれるからといって、無理に入れるのは、その場はよくても、長い
 目で見ればかえってからだにはよくありません。日ごろの生活では、風呂に入ってよく
 温まるだけでも、酸素は皮膚から自然に吸収されます。血行がよくなるのと同時に、酸
 素吸入ほど急激ではないかたちで血液中の酸素分圧が徐々に上がるのです。ですから、
 風呂に入ると疲れが取れるわけです。
・結構に悪い影響を与えない疲れのレベルとは、夜風呂に入ってぐっすりと眠ればとれる
 程度までなのです。風呂に入り、ぐっすり眠っても疲れを翌日に持ち越すとなれば、そ
 れは働きすぎているサインと考えていいのです。
・ストレスが強い人ほど病気になりやすいといえます。私たちにとって、もっとも手軽な
 ストレス解消法は、食べること、そしてお酒を飲むことです。食べたり飲んだりすると、
 ホッとしてそれまでの緊張から開放されるのは、副交感神経がはたらくからなのです。
 ストレスが強いほど、無意識のうちにバランスをとろうと食べたり飲んだりするように
 なります。
・適度な飲食でストレスが解消できるならば、健康を損ねることにはなりません。しかし、
 ストレスが強くなると、そのバランスがとれなくなります。ストレスが強い人ほど、食
 べたり飲んだりすることで解消しようとしがちです。その結果、食べ過ぎ、飲みすぎを
 招くことになります。
・アリコールは緊張をほぐすものだと思われがちですが、本来、アルコールは交感神経を
 刺激してその優位な状態をつくるものです。しかし、飲んでしばらくのあいだは副交感
 神経を刺激してリラックス状態をつくり出します。その状態は1〜2時間程度です。ア
 ルコールがはじめに少量入ったとき、からだは異物を排泄しようとする反射作用を起こ
 すため、お酒の飲みはじめでは一気に血管が開き、顔が赤くなり、一瞬リラックスして
 気分がよくなります。尿も頻繁に出やすくなります。ですからストレスが強い状態では
 とくに、アルコールを摂取すると一瞬気分が軽くなるのです。
・アルコールが副交感神経に作用するのは飲み始めの1〜2時間程度ですから、つらい気
 持ちが去って気分が軽くなるのは、ほんのわずかな時間にすぎないのです。それ以上に
 飲み続けると、興奮したり顔色も青くなったり、脈が早くなって交感神経が緊張します。
 その状態が長く残ると二日酔いになるのです。翌日、脱水病状になって尿が出にくくな
 り、脈が速い状態が続くことになります。
・つねに強いストレスにさらされる状態にあって、その緊張を緩めるためにしょっちゅう
 お酒を飲むようになると、アルコール依存になってしまいます。一瞬ラクになるという
 効果が依存に結びついてしまうのです。
・人によってアルコールに対する強さは違いますが、一般的には日本酒1〜2合程度、ビ
 ール1〜2本程度までであれば、副交感神経を刺激して免疫力を高める作用をします。
 「酒は百薬の長」といわれるのは、そのためです。しかし、二日酔いになるまで飲むと、
 からだに悪いのは当然です。
・食べたり、お酒を飲んだりすることは、一時的にストレスを解消するにはたしかに有効
 です。しかし、それで解消できないようなストレスは、過度の飲食を招くことになり、
 いっそう交感神経の緊張を引き起こすことになるのです。ですから、食べ過ぎ、飲みす
 ぎ自体を問題にするよりも、その原因となっているストレスそのものをどう解消するか
 が大切なのです。
・結構に恵まれた頑健なからだであれば、多少は無茶な生活をしても30代、40代はじ
 めころまではなんとか乗り切れます。しかし、もともとからだが丈夫出ない人が無理を
 続けたら、若くても病気になるは当然です。たとえ丈夫な人であっても過度な仕事やス
 トレスに毎日さらされていたら、30〜40代で、ある日突然がんにかかることもある
 のです。
・やせている人と、脂肪と蓄えて太っている人とでは、ストレスを受けたときにそれをは
 ね返す力がぜんぜんちがいます。やせた人が無理をしつづけて、それでも食べずにいる
 と病気をはね返す余力がなくなってしまいます。しかし脂肪がついていれば、食べられ
 なくなっても、からだに蓄えがあるので耐えられるのです。
・30代では、まだまだ免疫力はそれほど落ちません。多少の働きすぎでストレスを抱え
 ていても、重篤な病気になるケースは少ないでしょう。しかし、40代になったら、自
 分のからだには細心の注意を払う必要があります。
・太りすぎによる心臓への負担は、狭心症、不整脈、心筋梗塞の道へとつながります。さ
 らには高血圧や糖尿病、痛風、尿路結石など慢性の成人病にもなりかねません。
・日ごろから周に何回か運動を心がけているのなら別ですが、忙しさにかまけて運動不足
 を続けているとしたら、40代にもなれば体力が落ちてきます。
・企業社会では40代がいちばんからだを壊しやすいのかもしれません。20代、30代
 のつもりで仕事をしていたら、とてもからだがもちません。
・一般に免疫力がガクンと落ちるのは、厄年である男性42歳、女性なら33歳前後の年
 齢でした。現代では、寿命が延びただけ、男女とも10年近く遅れて過度期がくるよう
 になっているかもしれません。
・現代で厄年に相当するのは、男性では50歳前後、女性では40代半ばと考えてもよい
 と思います。男女ともに40代半ばを迎えたら、やはり無理は禁物なのです。
・同じ年代でも、あまり飲み食いしないでやせている人は、疲れが重なると、さらにやつ
 れてしまうことがあります。その場合には、発がんの危険性が高くなります。太れる人
 は仕事で無理を重ねでも、心臓、血管系が破裂するまでは生き延びることができますが、
 太れない人は若くして大病して、そのまま逝ってしまうことが多いのです。太ることは
 身を守る反応といえるわけですが、それにも限界があります。ストレスを飲み食いで紛
 らわすことが可能なのは、40代半ばまでと考えてください。遅くとも50歳になった
 ら、自分の生活スタイルを根本的に見なおし、変えることです。
・今後はたして、このまま寿命が延び続けるのかどうかは不確かです。私見ですが、団塊
 の世代はからだも頑健で、精神的にもかなりタフ、しかも、年上の戦中生まれの世代と
 は違って、とてつもない激動の時代をすごしてきたわけでもありませんから、この世代
 の平均寿命は延びるのではないかと思います。しかし、それより下の世代となると、延
 びが止まるどころか、下がりそうな予感がしてなりません。
・たとえ長生きしても、男性は70歳前後にがんなどで亡くなる方が多く、80歳が一つ
 の壁になっています。それにくらべて、女性のほうが80歳をすんなりと超えていきま
 す。その理由は、男性のほうが社会生活のストレスにさらされつづけてきたからではな
 いかと思います。
・しごとの内容や量のみならず、職場や家庭の人間関係もその人の健康に大きな影響をお
 よぼすのですから、ストレスをためない生き方を自分で工夫する必要があります。
・眼鏡は自分では変えにくいからと、ストレスの多い職場でいつまでもきまじめに我慢し
 ていると、結局はからだを壊しかねません。ストレスを抱えないですむ仕事のやり方を
 模索する、それが無理なら、思いきって転職することも、ときには必要かもしれません。
 いちばん大切なのは、自分自身の健康なのですから。
 
「病気は気から」には医学的根拠がある
・脂溶性のビタミンEやビタミンAなどは、サプリメントなどでとりすぎるとかえって悪
 い作用をおよぼすことになります。たとえば、若返りのビタミンといわれるビタミンE
 を排泄量よりも多くとると、活性酸素を吸着したビタミンEがからだに残って酸化物に
 なり、かえって老化を促進することがわかってきています。
・妊婦がビタミンAを取りすぎると、活性酸素をどんどん吸着してしまいます。退治の細
 胞は活性酸素で増殖しているので、活性酸素が減ってしまうと増殖が弱って胎児に危険
 が生じてくるのです。ですから妊娠している女性は、ビタミンAの健康補助食品をとら
 ないようとの警告が出されているくらいです。
・とくに悪いのは怒りの感情です。怒りっぽい人は、つねに交感神経のはたらきで緊張状
 態にあり、興奮系のホルモンの分泌が多くなります。そのため高血圧、高血糖になり、
 消化管のはたらきも悪くなり、心臓もダメージを受けることになります。当然、健康を
 損ねることになります。
・いつも感情を抑えている人も危険です。感情を抑圧した状態では、やはり交感神経が
 緊張しているのです。怒りっぽい人と同じように興奮系のホルモンの分泌が多くなり、
 それによって同様な病気になりやすくなります。
・興奮や抑圧が強いと、筋緊張が起きて肩こりが生じます。長年肩こりに悩まされている
 と、60歳を過ぎてからパーキンソン病を発病する危険性も高いのです。ですから、い
 つも怒ったり不安になったりする生活態度や、逆に自分の感情を抑えすぎている生活は
 危険です。気持ちをゆったりとおおらかに保つことが健康のためにもいいのです。
・熟睡できたときには、肌にハリと艶が出て全身がみずみずしくなりますが、これは成長
 ホルモンのはたらきによるものです。逆に夜ふかししたり睡眠不足だと、肌がかさかさ
 になりますが、これは成長ホルモンが充分に分泌されていないことによるものです。つ
 まり、細胞のみずみずしさを保つのは成長ホルモンです。これは、からだを温めること
 によって分泌が盛んになるので、風呂に入ってゆっくりと温まってから寝ると成長ホル
 モンもよく分泌されます。
・リラックス系の男性ホルモン、女性ホルモンの性ホルモンは夜間に分泌されます。です
 から、女性の場合、夜遅くまで仕事をしなければならないような状態が続いて安眠でき
 ないと、女性らしさが失われて肌艶が悪くなるだけでなく、精神状態もギスギスしてき
 ますし、ひどいときには生理が止まることもあります。
・夜ぐっすり眠れると風邪が治るのは、リンパ球が活発にはたらいてくれるからです。逆
 に日中のストレスが強すぎると、交感神経刺激によって顆粒球が過剰反応を起こし、傷
 口があれば化膿がひどくなったり、歯周病や痔があれば悪化したりします。
・たとえ大きな悲しみに見舞われても、泣いて吹っ切ることができる人は、病気になりま
 せん。しかし、吹っ切れないで悲しみに沈んでしまうと、生きるエネルギーはどんどん
 落ちることになります。
・ストレスを感じやすい人のほうが短命で、ストレスに鈍感な人のほうが長生きなのかと
 いえば、そう単純にもいえません。
・まったくストレスのない生活など、現代社会では考えられません。ストレスを感じでも、
 それを持続させずに、その場で受け流していくことができれば、健康を損なうようなこ
 とも、免疫力を落とすこともないのです。ですから、ストレスに敏感な人が、早めに危
 険を察知できたからこそ健康に長生きできることもありますし、逆にストレスに鈍感な
 ょう。
・神経質な人は、たしかにちょっとしたことで傷つきやすいものです。それだけストレス
 に弱いといえます。このタイプの人は、日ごろからあまり元気がなく、うつうつとした
 気分でいるほうが多いのです。ですから、うつ病になる人は神経質なタイプに多いと思
 われるかもしれません。たしかに、おとなしく神経質の人は、日ごろから自分の感情を
 抑えているので、それが高じてうつ病になったりすることがあります。しかし、このタ
 イプはもともとが元気のいい躁状態はあまりなく、うつな状態が普通なので、うつ病に
 なっても、それほど重いものにならないケースが意外と多いのです。重いうつ病になる
 人は、ふだんは意外に自信過剰な人で、躁とうつの揺れが激しいタイプです。いわゆる
 躁うつ病タイプです。そういう人は日ごろは明るく、仕事をバリバリ精力的にこなして
 いますが、何かの拍子に傷つくと大きく落ち込んでしまいます。
・性格については、持って生まれた遺伝的な気質と、環境要因による後天的な性格が半々
 というのが定説です。生まれ育った気候風土なども関係すると思われます。
・もともと明るくて楽観的な人のほうが、ストレスに敏感ではないので、クヨクヨするこ
 とも少なく、たしかに生きやすいでしょう。しかし、その楽観性が鈍感さや軽率さに結
 びつくと、思っても寄らぬ失敗やワナに落ち込む危険があります。
・おとなしくて悲観的な人は、いつもストレスに悩まされるかもしれません。しかし、そ
 の悲観性が慎重な行動となって現れ、要らざる危険を冒さずに、安全に生きることがで
 きることだってあるわけです。
・たいていの人は、日ごろ交感神経を緊張させる生活を送っているので、きちんと寝る、
 休む、リラックスする、あるいは、ほどよくおいしいものを食べ、適度のアルコールを
 楽しむといったように、副交感神経をはたらかせてリラックス系のホルモンが多く分泌
 され、リンパ球が活発に活動できる状態を意識することが必要です。
・攻撃的で脂ぎっている筋肉質の人は、無理を重ねていて、いつも興奮状態にあります。
 酸素の消費量が多く活性酸素がふえて酸化が進みやすいので、色黒になります。つねに
 興奮系のホルモンが分泌された状態が続くと、高血圧、高血糖になり、いずれは生活習
 慣病につながります。働きすぎの人が、糖尿病や心臓疾患になるケースが多いのはこの
 ためです。
・怒りすぎず、抑圧しすぎず、心をおおらかにして人生を愉しむことが、健康を保ち長生
 きする秘訣なのです。
 
からだの声を聞く力
・私たち現代人は、知識万能、科学万能に毒されて、自分のからだや心についての感性を
 失ってしまった結果、病気になっているように思えてなりません。
・高血圧や糖尿病、あるいはがんも含めた生活習慣病は、からだの声を聞かずに、自分を
 痛めるまで酷使した結果なのです。自分おからだの声に鈍感になっているから病気を招
 いてしまっているのです。
・ことに夜ふかしは非常にからだに悪いことです。夜ふかしが現代人の万病の元になって
 いるといっていいほどです。遅くまで仕事をして、なおかついえに帰ってもパソコンで
 インターネットをしたり、コンピュータゲームをしたりの毎日は、それが会社でのスト
 レスを解消するためというには、あまりにもお粗末です。
・いま日本は、世界一照明が明るい国なのです。日本の家屋は証明が明るいので、そのせ
 いもあってか、みんな自然に夜ふかしになって、12時を過ぎても起きているパターン
 になっています。夜遅くまで起きていれば、朝は眠たい状態で無理して起きなければな
 りません。まだ副交感神経が優位でボーッとしていて、食欲もないので朝食が食べられ
 ず、一日のスタートが悪くなります。慢性的に睡眠時間が足りないので、からだがシャ
 キっとしないまま一日を送ることになります。
・くりかえしますが、現代人のもっとも危険な生き方は夜ふかしです。その夜ふかしが、
 パソコンやコンピュータゲームに長時間向かっていることによるとしたら、なおさら病
 気になる危険が大きくなります。そのような生活を続けていること自体が、すでに人間
 本来の感性を失っている証拠です。
・無理をしていると、必ず体調に表れてきます。肌が荒れて色艶が悪くなります。女性だ
 けでなく、男性もそうです。つまり、体調を見るうえでは、まず顔色や肌の色艶、ある
 いは胃腸の調子に注意すればよいのです。ところが、自分の体調に無関心な人が多く、
 現代人はじぶんのからだの声にあまりにも鈍感になっています。
・顔色が悪い、下痢や便秘が続く、疲れがとれないなど、自分でも体調の悪さはわかるは
 ずです。そんな状態が続いているときには、注意をしなければいけません。人より早め
 に帰る、土日はきちんと休むなどすればいいのですが、まじめな人ほど、周りの人に合
 わせて無理を重ねがちになります。
・本人が疲れやストレスを感じていないつもりでも、どこか体調に異変があるということ
 は、からだが悲鳴を上げているのです。まずは、自分のからだの声を素直に聞く敏感さ
 が必要ではないでしょうか。
・風邪をひきやすく、すぐに高熱を出しやすいのは、もともと副交感神経に偏りすぎて、
 日ごろから低体温の人です。
・高熱が出たとき、慌てて病院で解熱剤を処方してもらって使うのは、かえって風邪を長
 引かせることになります。耐えられるうちは解熱剤は使わないほうがいいのです。一時
 的に使うのは仕方ありませんが、40度近くまでは使わない方がいいのです。 
・本来、風邪に効く薬はありません。一時的に病状を抑えても、無理して仕事に出ている
 と風邪は長引くだけです。薬を飲むことで、自分の免疫力を低下させてしまっています。
 風邪を引いたら、仕事を休んで、ゆっくりと寝ていれば早く回復するのです。
・20代で病気になるのは、子どこのころから、ほとんどからだを動かしていないケース
 が多いのです。最近は小さいときから勉強、勉強で学校と塾の往復となり、遊びといえ
 ば家に閉じこもってゲーム三昧の子どもが少なくありません。そんなふうに、まったく
 運動せずにからだを鍛えることなく大人になってしまった人は、筋肉が少なくてすぐに
 疲れるので、歩いたり体を動かくことを嫌います。それでは気力も湧かないし、気迫も
 でません。
・人間はからだを動かすことで機能を維持するようにできています。運動しなければ、か
 らだの機能を高めることはできないのです。からだを動かさないと免疫力も当然低下し
 ます。免疫力が低下すると気力も湧きません。
・白血球の数は、その人の代謝力と正比例しています。ですから、活発な人は白血球の総
 数が多く、覇気がない無気力な人は、白血球の総数が少ないのです。
・結局、腹を立てて怒るということは、自分で自分を痛めつけるようなものなのです。上
 司にいつも不平不満を抱いている人、つねに部下に腹を立てて怒ってばかりいるような
 人は、結局は自分にとって損なのです。怒りっぽい人は、健康を維持しるのは難しいで
 しょう。心のあり方はとても大事なのです。
・権威的な生き方も病気に結びつきやすいものです。現役時代はそれで押し通すことがで
 きるかもしれませんが、そのような態度では、無事に一生を過ごすには難しいのではな
 いかと他人事ながら思います。定年後も20年近く生きる時代です。現役時代と同様な
 態度では、周囲の人たちはもちろんのこと、家族からさえも相手にされなくなってしま
 うでしょう。彼らはすっかり頭が固くなってしまって、環境が変わっても臨機応変に対
 応ができなくなっているのかもしれません。じつはボケやすいタイプは、そのように頭
 が固い人なのです。また、ビジネスマンでも大企業の部長クラス以上になると、前立腺
 肥大や前立腺がんなどの病気になる人が多いものです。なんでも部下にいいつけて、み
 ずから動くことが少なくなり、腿から腹にかけて肉がついて血流が悪くなるからです。
 フットワークがよく、自分でお茶もいれコピーもとるといったように、からだを動かし
 ていれば血行もいいので、病気にはかかりにくいのです。
・権威をかさにかけて部下を怒鳴り散らす人は、病気になりますいのです。怒ると交感神
 経が緊張して、そのたびに血圧が上がり、心臓に負担がかかります。もちろん、人望も
 ないでしょう。組織にいるうちはいいでしょうが、一歩組織を離れたとたんに、だれか
 らも相手にされなくなってしまいます。えらそうにふるまう人は病気にもなりやすいし、
 行きづらくもなります。自業自得なのです。
・人間も本来、よりよく生きるべき道をはずさない感覚が必要なのではないでしょうか。
 ところが現代人は、みずからがつくり出した仕組みを過信するようになって、人類が長
 い間生きてきた世界とは別の世界で暮らすようになりました。その結果、からだに負担
 がかかるようになったともいえるでしょう。
・現代人はからだの声を素直に聞けなくなっているので、薬で無理やり病気を抑え込もう
 とするのです。風邪をひいたら、多少は熱がでても解熱剤を使わずに、からだを温めて
 リンパ球がしっかりはたらくように安静にしていれば、だいたい2〜3日で熱が引いて
 スッキリと治るのです。そして何より、風邪を引くのは不規則で無理な生活をして免疫
 力が低下していることを、からだが教えてくれているのです。

医者や薬に頼らない生き方
・薬というのは根本的に病気を治すわけではなく、熱があったら熱を下げる、痛みがあっ
 たら痛みを止めるというように、基本的には病状を緩和させる効果だけなのです。同じ
 薬であっても、若くて元気がある人が飲むのと、からだの弱った高齢者が飲むのとでは、
 からだへの負担がまったく違います。高齢者にとっては、薬自体が大きな負担になるの
 です。あまりにも腫れがひどい、痛みがひどいといったケースでは、仕方なく2〜3日
 飲んでもいい薬はありますが、慢性的に飲んていい薬などというものはありません。
・日本の医療では高齢者になればなるほど薬を処方しています。血圧を下げる薬、
 コレステロール値を下げる薬、腰痛の薬、糖尿病の薬、痛み止め、さらにはそれに付随
 して胃腸薬などさまざまな薬をもらって、高齢者は毎食後それらを飲むのです。しかし、
 高齢者が飲んていい薬は一種類もないどころか、薬は毒なのです。
 高血圧は交感神経の緊張状態が続いていることが引き金になっているのです。自分の生
 き方がそういう血液の流れを作ったのです。無理していたとか、継続して強いストレス
 があったとか、食べ過ぎで肥満になって心臓に負担をかけたといった原因が必ずあるは
 ずです。からだはそれに適応するために、必要があって高血圧にしているのです。
・からだが悪いとばかりに薬で血液が固まらないようにしているだけでは、病気はいっこ
 うに治りません。からだの維持に必要な血圧が得られなくなり、血流の定価のため体調
 がすぐれず、いずれは破綻をきたすことにもなりかねません。
・睡眠導入剤を飲めば、無理にでも眠ることはできます。コレステロール値を下げる薬を
 飲めば、無理やりコレステロール値を下げることはできるでしょう。しかし、それは狂
 った状態を恒常化するだけです。そんな状態にすること自体が悪いのだという感覚をも
 たないといけないのです。
・薬を飲む対症療法では、根本的に病気は治らないのです。もし薬で動脈硬化を治せるの
 ならば、この世からあっという間に病人はいなくなります。薬を常用しているとしたら、
 いますぐ全部やねたほうがいいのです。
・働きすぎ、精神的にストレス、飲みすぎ、食べ過ぎなど、病気にいたるさまざまな原因
 が見つかるはずです。まずはそうした生活を変えることが必要であり、それこそが病気
 を治すことになるのです。
・問題の根本は、そのようになるまでの生き方なのです。ほんとうに病気と戦うつもりな
 ら、いまからでも生き方を変えなければいけません。どんな薬よりも、バランスのとれ
 たおいしい食事をとる、規則的な生活を心がける、からだを動かすといったことが健康
 には大切だと自覚をもってほしいのです。
・病状を抑えることだけにとらわれるから、「この病状が出たからこの薬、この病気が出
 たらあの薬」と、薬の種類がどんどん増えていきます。すると薬を処理するために肝臓
 や腎臓に負担がかかるので、どんどん体調が悪くなります。健康な人でも、15種類も
 薬を飲んでいたら、それだけでからだは参ってしまいます。
・実際に大学病院のように大病院に行けばおわかりになるでしょうが、いまは患者さんと
 対面して、話をよく聞いて診察してくれる医者はごくまれです。ほとんどが、感謝の顔
 をみずに、パソコンのデータを見ながら話をする医者ばかりです。そして、マニュアル
 に従って薬を処方するだけです。ところが大病院志向の人は、権威に弱く、自分のから
 だのことをすべて医者まかせ、薬まかせにしがちなのです。
・病院に行くには検査をしてもらって、自分のからだの状態を知るためと割り切るべきで
 す。
・私は、基本的に病院に行くのは、ケガをしたときの応急手当をしてもらう場合や、急性
 感染症の救急処置だけでいいと考えています。
・慢性病については、いまの医療ではどうにもならないのが現実です。薬で慢性病を治そ
 うとすること自体がどだい無理な話だと理解してください。
・日常的な薬として、まず使ってはいけないのは消炎鎮痛剤(解熱鎮痛剤、抗炎症剤)で
 す。消炎鎮痛剤がよくないのは、血管を閉じて血流を止める作用があるからです。鎮痛
 剤は血流を止めることで血管を閉ざすように作用するので、その場の痛みは確かに止ま
 ります。しかし、血流が止まるとリンパ球や組織を再生させるための物質も回りにくく
 なり、患部が治癒されません。
・痛みが起こるのは、すこしずつ血流が回復しているからであって、痛みは血流不足を補
 おうとする自然の反応なのです。ですから、痛みも単純に悪者扱いはできません。
・手軽に使う湿布薬にも消炎鎮痛剤が使われています。痛みがひどいときに2〜3日程度
 であれば問題はありませんが、長く使いつづけるとやはり血流が悪くなり、かえって病
 気が治りにくいのです。
・もちろん風邪で熱が出たときも、よほど高熱が続くといったとき以外は、解熱剤は使わ
 ないほうがいい。
・私はどのような薬でも使わないに越したことはないと考えています。それでも、痛みが
 ひどくてつらい、熱が高くてつらいといったときには、そのつらさを緩和するために、
 わずかな期間だけ使うのは仕方ないでしょう。しかし、痛みはからだの治癒反応なので
 すから、薬を使わずに我慢できるようなら、そのほうがむしろ回復は速いのです。
・どうも日本人が薬を信頼するのは、これまでの歴史で、薬はからだにやさしくものだと
 刷り込まれたからかもしれません。「生薬」という言葉があるように、日本人にとって
 薬はからだによいものだったのでしょう。
・たしかに、日本人が取り入れてきた漢方薬は、直接的に病状を取り除くのではなく、薬
 というかたちで苦いもの、嫌なものを摂取して、それで排泄作用を誘発して病気を治す
 ものが主でした。しかし、明治以降に優勢となった西洋医学の薬は、熾烈な作用をもち
 ます。急性病状には対応できますが、飲み続けると、とてもからだに負担となるものだ
 ったのです。つまり、劇薬なのです。ところが日本人は、いまでも生薬の感覚で薬を飲
 み続けています。
・病状に劇的な効果がある薬は、それだけ毒性も強いのですから、それを飲み続けていれ
 ば健康な若者でもからだを壊します。ましてや高齢者が飲むのですからなおさらです。
 「薬はからだにいいものだ」という意識を変えなければいけないのです。薬は毒、意識
 を改めてほしいものです。
・「がん難民」と呼ばれる人たちが増えています。これは「医師の利用説明に不満足、ま
 たは納得できる利用方針を選択できなかった患者」のことで、がん患者の53パーセン
 トが、がん難民とされています。がん難民が受診した医療機関の平均は3.02ヵ所で、
 それ以外の患者は1.95です。
・日本のがん患者数は薬128万人(2002年)ですから、薬68万人ががん難民と推
 定されます。いかに現状の医療に不満を持っている人が多いかがわかります。
・当然、世間的にがん治療で有名な病院で診てもらいたいと思うでしょう。国立がんセン
 ターなどは、がんの権威だと思われているので、順番を待ってでも見てもらおうと患者
 さんが殺到します。しかし、国立がんセンターなどでは、最新の西洋医学の立場から、
 手術、放射線、抗がん剤という三本柱の治療が基本で、いまでは、たとえば免疫療法な
 どいろいろな治療法が考えられるにもかかわらず、そうした治療法はいっさい行われて
 いません。
・そうした治療をやり尽くして、お手上げ状態になると、患者さんは病院から放り出され
 ます。大病院では、それ以上の治療手段がなくなれば、患者さんは退院させられて自宅
 療養となるか、場合によっては終末医療のホスピスに入れられるのです。私はすでに多
 くの著書で、手術、放射線、抗がん剤の三大療法はやめなさいと主張しています。
・抗がん剤は正常な細胞よりも、がん細胞に感受性が高いという前提があってはじめて成
 立する治療法のはずです。しかし実際にはその前提がすでに崩れていて、がん細胞に対
 してよりも、むしろ正常な細胞のほうにダメージを与えてしまうのです。そのため、髪
 の毛が抜けたり、食事ができなくなります。どんどんからだが弱っていくのです。
 実際には、抗がん剤を使っても、がん細胞が先に死なないことがわかってきているにも
 かかわらず、いまだに抗がん剤をどんどん投与する濃厚治療がぎりぎりまで行われてい
 ます。極端なことをいえば、年間約33万人のがんによる死亡者のうち、6割は抗がん
 剤死だと私は思うくらいです。
・抗がん剤を徹底的に投与すれば、そのために死にいたるのです。抗がん剤が、がんの治
 療薬だという前提がすでに間違っています。いまの抗がん剤は、二割の好結果を出すた
 めに残りの八割は知性になってもいいといわんばかりに投与されているといっていいの
 です。こうした治療は、国立がんセンター、大学病院、国立病院のような大病院で行わ
 れています。このような権威のある大病院でないと、徹底した濃厚治療など怖くてでき
 ません。濃厚治療をすると、あっというまに弱っていって、見ただけで「これはもう生
 きる力がない」とわかるほどになってしまいます。
・それでもなお、国立がんセンターの大病院に順番待ちしてでも入院して治療を受けたい
 というのは、有名で権威がある病院のほうが安心と思うからでしょう。危険な濃厚治療
 を支えているのは、もちろん医師の問題もありますが、患者さんの側のそのような先入
 観でもあるのです。見放された患者さんたちが増えている現実をよくよく見つめてくだ
 さい。
・胃がんや大腸がんのように手術で簡単に除去できのもので、まだ初期であれば、手術も
 一つの選択です。ただし、それ以上の放射線や抗がん剤治療はしないほうがいいと断言
 します。
・すでにがん細胞が進行して大きくなってしまい、大手術になるような場合には、手術自
 体が大きなストレスになります。そのため、いっそうの免疫力を下げることになりかね
 ません。そのうえ放射線治療や抗がん剤治療をするとなればなおさらです。三大治療よ
 りも、生活を改めて免疫力を高めることをお勧めします。
・まだ若くて活力のある人なら、それだけ免疫力が高いのですから、手術せずに、それま
 での生活を改て免疫力をさらに高める習慣を実践すれば、がんが治る可能性はとても高
 いのです。
・そして高齢者の場合には、手術は絶対に控えたほうがいいのです。ことに80歳を超え
 ていれば、エネルギー代謝は低くなるので、それだけがん細胞の進行も遅くなります。
 たとえがんが消滅しないとしても、免疫力を高めて10年近く生きられれば90歳まで
 元気にいられるのです。手術でからだを弱めて、自力で食べることもできず、歩くこと
 もできず、痛みを抱えたまま寝たきりになるよりも、残りの人生が充実できるはずです。
・放射線治療の場合には、影響があとあとまで残り、リンパ球の減少とからだの不調が延
 々と続きます。徹底的に放射線治療をすると、健康な細胞をも壊して生きる力が失われ
 ることになるのです。例外的に放射線を使ってもいいケースは、食道がんの通過障害や
 脳腫瘍の麻痺を取り除くために、わずかな回数だけ行う程度です。
・抗がん剤は、急性リンパ性白血病のように、そのがん自体が抗がん剤に感受性が強く、
 それによって治療にもっていけることがはっきりしているケースであれば、効果も高い
 と考えられるので、体力の許す範囲で使ってもかまいません。
・早期がんの人はもちろん、進行がんの人でも、まだふつうに暮らせる人であれば、進行
 具合によって要する時間は違ってきますが、免疫力を高めることでがんは必ず治ります。
 そのためには日々、免疫力を高める生活を根気よく続ける必要があります。
・免疫力を高めるためには、「自分で食べられる」「歩くことができる(散歩できる)」
 「入浴できる」が基本です。
・よほど調子が悪くないかぎり、病院にはできるだけ行かないほうがいいのです。もし病
 気が見つかったとしても、結局、やらなくてはいけないことは生活を変えることなので
 すから。仕事を減らず、夜ふかしをやめる、食事に注意する、風呂に入ってよくからだ
 を温める、気持ちを切り替えてストレスをためないようにする。まず心がけるべきは、
 これらなのです。日ごろから、からだにいい生活を送ることが大切なわけです。
・がんが見つかったとしたらという恐怖はだれにでもありでしょう。待っているのは、手
 術、放射線、抗がん剤という怖い治療です。「手術しなければ手遅れになりますよ」と
 いわれれば、「やはり手術したほうがいいのかな」と思うのも無理はありません。いざ
 病気を抱えて、医者にいろいろと忠告されれば、気持ちが弱ります。恐怖ばかりが先行
 して、どうしても医者まかせになりがちでしょう。そうなると、人間としての尊厳を維
 持するのはほとんど不可能になってしまいます。
・「病気を治す」とは、ストレスを取り除いて、ふたたび細胞独自の機能を回復すること
 なのです。ここからも、ストレスになるような薬や治療はかえってからだを痛めつける
 だけなのは明らかなのです。
 
「生きる力」をつける生活習慣
・免疫力という視点から考えると、ボケは好奇心を失ったり、からだを動かさないために
 起こるわけですから、からだの無理がたたって生じるがんのような病気とは逆に、過度
 なリラックス状態が原因と考えられます。そのため、たいていリンパ球が通常より多い
 のです。
・お年寄りが好奇心を失い、家でじっとしているばかりで外に出なくなると、ボケの危険
 が高まります。現役時代は地位が高く、なんでもかんでも周りの人たちに支えられてい
 たような人が、リタイヤしてからも周囲に面倒をみてもらい、自分では何もしない生活
 を送っていると、とりわけボケやすいのです。たとえば、お役人さんなどは危険です。
 役所という狭い社会でしか通用しない独自のシステムでえらくなったために、いざ実生
 活になると、「ひとりで生きる力」がないのです。自分では料理も作れない、洗濯もで
 きないということでは、ひとりで暮らせません。まずは身の回りのことができるという
 のが、生きる力の基本です。家ではなんでも奥さんまかせ、会社では部下に命令してこ
 き使っているだけでは、生きる力はどんどん弱くなってしまいます。
・奥さんが実家に帰ったり旅行で留守にした折などを見つけては、定年前から、自分ひと
 りで食事、洗濯、掃除などの身近な家事ができるように訓練しておくことです。ひとり
 で何もできないようでは、生活が困るばかりか、いずれボケることになりかねません。
・社会の高齢化が進み、元気なお年寄りがいっぱいになると、逆に昔のように高齢者が尊
 敬されない時代になりました。すると寿命は延びたのもかかわらず、自分の存在が若い
 人たちの迷惑になっているような錯覚に陥り、身近にボケのお年寄りを見たりすると、
 長生きすることがあまりいいこととは思わなくなってしまうものです。高齢者が増えれ
 ば増えるほど、どうも彼らが幸せに生きるのが難しい時代になってきました。
・もちろん、高齢者がいつまでも権力を握っているというのはよくありません。いつの時
 代でもリーダーシップは若い世代に譲られていくものです。しかし、高齢者は高齢者な
 りに経験を生かして若い人たちをバックアップすることができます。少子化がどんどん
 進む時代ですから、元気な高齢者が社会貢献できる機会は多いはずです。そのためにも、
 仕事をリタイアしたからといって活力まで失うのではなく、いつまでも心もからだも健
 康を保ち、「生きる力」を輝かせていたいものです。
・いまの日本の医療現場を見るとどうでしょう。病人にスプーンで口まで食べ物を運んで
 あげ、意識がなくなったら今度は点滴で栄養を与えて延命させます。自分の手で口まで
 もっていくことができない病人に食べさせるのはいいとしても、点滴で栄養を与えてま
 で生き延びさせるのが、はたしていいことなのでしょうか。
・寝たきりで食べる力がもはやなくなり、意識もほとんどなくなった状態で、ただ生き延
 びさせることがけが目的になった医療。本人に生きる力がなくなっても長生きさせるの
 が日本の現状です。意識を失った寝たきり状態から実際に回復する可能性は、このよう
 な治療をしているかぎりごくわずかです。
・栄養があまり入らないような飢餓状態になったときには、最小限の食べ物でも生きてい
 けるように、からだの働きを整えるのです。すでに蓄えられた脂肪分までなくなったと
 きには、筋肉や骨などからとりあえず不要な一部分をエネルギーに転換します。人間は
 そうやって生き延びてきたのです。人類は、現代のような飽食の時代よりもずっと長い
 間、食べ物の不足した飢餓の時代を生き延びてきました。もともと私たちのからだは、
 飢餓に対応できるメカニズムを備えているのです。
・自力で食べられない人に点滴で栄養を入れるのは、かえって病気と戦う力を失わせるこ
 とになるといえます。治る病気であれば、食べないほうが苦痛も少なく、治りも早いの
 です。
・野生動物は病気になると、何も食べないでじっと回復を待っています。それは、本能的
 にからだの声を聞いて病気を治そうとしているからです。ところが人間は、病気を治す
 ためには食べないと、からだが消耗するだけだと考えます。からだがほんとうに栄養を
 必要としているのならば、病気になっても自然に食欲が増すはずなのです。ところが無
 理に栄養補給をするからかえって病気が治らず、長引いて寝たきりが続くのです。そこ
 に気がつかないと病気はいつまでも完治しない。
・現代医療を進めれば、寿命が延びるのに比例して、ますます寝たきり老人を増やすこと
 になり、自分で自分の死さえ選ぶことができないようになります。生きる力を失い、死
 を待つばかりの人に点滴をして無理やり栄養を注入すると、無駄な労力を使って苦痛の
 死を迎えることになります。不必要な栄養がなければ、苦しむエネルギーさえ生まれま
 せん。
・昔の聖人は死期を悟と、断食して枯れるように安らかに死んでいったといいます。日本
 でも弘法大師が、やはり最期は食を断って死んでいきました。彼らは理屈ではなく、感
 性でからだの仕組みを知り、人間の本来あるべき死に方を見つけたのでしょう。
・野生動物も最期は身を潜めて食を断ち、静かに死んでいきます。それが生物の本能に刻
 まれた本来の死に方なのではないでしょうか。
・テレビやパソコンを前に座っているだけで、瞬時にして世界中のさまざまな情報を手に
 入れられる便利さを享受する代わりに、自分の目でじかに見て、触れて、感じるといっ
 た体験が少なくなりました。文字ができたことで知識の共有が可能になりましたが、反
 面、知識に頼りすぎることの弊害もあります。それでも、自分の体験より過去の知識を
 ありがたがる傾向は強くなっています。
・いまの医者の多くも、医学の知識にがんじがらめになって、カンを鈍らせる一方です。
 目の前にある病気を、机上で学んだ西洋医学の領域でしかとらえられないのです。自分
 のもっている知識から予測できないことは、その可能性すら考えようとしません。視野が
 狭く、活字で学んだことにしがみついているので、「なぜそんなことが起こったのか?」
 と好奇心をもって、さまざまな角度から複合的に考えたりしないのです。
・末期がんの患者さんが、温熱療法やサプリメントでかんが退縮して治ったという実例を
 聞いても、これまでの知識の範囲内では理解できないので、それは偶然にすぎないと考
 えてしまいます。「そんなことはありえない」と怒り出したりするのです。そして、
 「そんな勝手な治療法を試みる患者はもう診られない」と放り出します。彼らが怒るの
 は、自分の知識ではわからないことに不安を感じるからです。学校の勉強ができなけれ
 ば入れない医学部を卒業した彼らは、自分が優秀だと自信過剰になって、自分至上主義、
 権威至上主義に陥りやすいのでしょう。しかし、医者は生きた人間、病気で悩んでいる
 生身の人と相対するのが仕事です。そんな頑固な頭や対応では、人の心に届く医療など
 できるはずもありません。
・医者に含めて私たちは、人間が本来もっている生きる力、感性を失っているのかもしれ
 ません。もっとからだの声を素直に聞いて、本来の生きる力を取り戻さなくてはならな
 いのではないでしょうか。
・最近では、脳内セロトニン神経の活性化のためには、朝30分程度、太陽の光を浴びる
 必要があるという研究もあります。脳内のセロトニンが不足すると、うつ状態になった
 り、キレやすくなったりするというのです。ひきこもり、うつ、あるいはキレて暴力行
 動を起こす人が増えたのは、一つには、脳内セロトニン神経が弱っているからという見
 方です。家にひきこもれば、当然、外の光を浴びないので、セロトニン神経はますます
 弱ります。
・自律神経から見ても、太陽の光に当たらないと、ひ弱になります。ひきこもって日射し
 を浴びることがほとんどないと副交感神経優位に偏りすぎて、過敏で傷つきやすくなり
 ます。いっそうひきこもりがちになり、悪循環です。自殺に走る子どもは、外で遊ばな
 い傷つきやすいタイプが多いのです。そういう子どもはリンパ球の割合が過多で、おと
 なしくて色白で、いろいろな刺激に過敏で傷つきやすいのです。
・私たちは、運動したり動き回って、重力に逆らって生きています。逆らいすぎると疲労
 しますし、まったく逆らうことなくじっと動かないでいると、歩けなくなり、しまいに
 は寝たきりになってしまいます。適度な重力にさらされることで、私たちは健康を保っ
 ているのです。
・運動がからだにいいといっても、元気な子どもや若いうちならいざ知らず、中高年にな
 ってスポーツをやりすぎると、かえってからだを壊してしまいます。
・かつて、終戦直後お60年前は日本中が食べることに困り、栄養失調で病気になって多
 くの人が亡くなりました。いまは食べるものは豊富ですが、食べすぎ、栄養のとりすぎ
 がさまざまな病気を引き起こしているのが現代です。
・セックスレスが最近、問題になっていますが、肥料をやりすぎると花が咲かなくなる植
 物と同じで、人間も豊かになると子孫を残す使命を忘れるのでしょうか。とはいえ、飢
 えてひもじいとなったら、食べるほうが先決ですから、セックスなど後回しになります。
 セックスは、ある程度は満ち足りた世界でないとできないものでしょうが、満ちたりす
 ぎても、欲望が違う方向に向いてセックスレスになるのかもしれません。
・これからは定年後をいかに健康的に生きるかが問題になります。いまは60代になって
 もまだまだ体力があり、好奇心も旺盛な人が多いですから、60歳で仕事をリタイアす
 るのは早すぎる感があります。
・これまで働きすぎがからだを壊すと強調してきましたが、まだ体力も知力も十分にある
 うちに仕事をすっかり辞めてしまうのも、これまた健康を損ないやすいものです。
・趣味ややりたいことがいろいろあって、仕事を離れて自由な時間ができたら、それをや
 るとすでにきめているのならば、60歳で会社を辞めて悠々自適の生活もいいでしょう。
 しかし、仕事一筋で生きてきた多くの人たちは、会社を辞めて仕事からすっかり離れて
 しまうと、何をやっていいのかわからなくなるものです。しかも長年のあいだに、仕事
 中心の人間関係しかなくなっているので、とたんにつきあいもなくなってしまいます。
 そうなると、何をやるでもなく、一日中家でぼんやりと過ごすだけになりかねません。
 そんな生活では、からだは丈夫であっても頭がはたらかなくなり、ボケやすくなります。
・経済的な必要性があるかどうかは別として、からだも脳も健康を保つためには、できれ
 ば70歳くらいまでは仕事を続けることをお勧めします。人それぞれですが、60代半
 ばを過ぎると、それまでと同じような仕事をこなすのは体力的にきつくなります。65
 歳を過ぎても働きつづけるならば、半分くらいのペースに落とすことです。毎日なら午
 後3自から4時くらいには終える、あるいは周の3日だけ出勤するというのが理想的で
 す。
・ある年齢で仕事から離れざるをえないというなら、やはり仕事以外二趣味や好きなこと
 を見つけておく必要があります。もし、その趣味が囲碁や将棋など、からだを動かさな
 いようなものならば、せめて毎日散歩をする、できれば軽い登山やハイキングなど、運
 動の趣味も併せてもつようにしたいものです。からだを動かしていれば、無気力に陥る
 こともなく、身体機能も維持できます。
・人間の体力は年をとるほど、動かないとすぐに低下します。70代、80代になると、
 数日寝込んだだけで、以前のように歩けるまでその何倍もの時間がかかるのです。
・慢性的に血圧を下げる薬など飲んでいると、循環障害を起こして脳の血流障害に結びつ
 くので、認知症になる危険性は高くなると考えられます。また、じっとしていてからだ
 を動かさない生活は、低体温を招き血流を悪化させます。
・遺伝的要因も考えられますが、若年性アルツハイマーも含めて、むしろ、無理を重ねて
 大病したり、ストレスが強くて血流が悪くなることが認知症の原因と考えられるんです。
・病気で寝たきりになったり、ボケたりしたら、せっかく長く生きられても人生を楽しむ
 ことなどできません。まずは健康維持が第一です。そのためには無理をしないことです
 が、だからといってラクをしすぎてもいけません。
・基本的には、日ごろから体操や運動を習慣づけ、入浴でゆっくりとからだを温めること
 です。こうした生活で大病は防げます。そして好奇心を旺盛にすることです。
・私の理想は、百歳まで健康で生き、自力で食べる力がなくなったときには死期を悟って、
 空海のように水も食も断ち、そのまま恍惚状態で死ぬことです。
・個人の健康は第一ですが、生きているかぎり、やはり何らかのかたちで社会に貢献する、
 あるいは次世代に何かを残すことは大切なことです。普通にサラリーマン人生を送って
 定年を迎えた人が、どれだけ社会に貢献したかと問われても、答えられる人は少ないで
 しょう。
・サラリーマンとして、営業であれ、経理であれ、事務であれ、接客であれ、どのような
 職業、職種であっても、与えられた仕事を全うすることも、りっぱな社会貢献といえる
 と思います。社会で必要とされているからこそ、そのような仕事が存在するのですから、
 自分では食べるためにやっているだけで、社会の役に立っているという意識がなくても、
 それなりに社会貢献していると考えていいのではないでしょうか。「こんな営利的な仕
 事は社会のためにならない」と、自分の仕事に誇りもやりがいも持てず、テキトーに仕
 事をするのが当たり前になってしまうほうが問題です。
・長い人生のあいだには、多少きつい思いをしても仕事に没頭する時期があっていいです。
 もちろん無理に無理を重ねるのは危険ですが、ある時期、全力疾走することは必要なの
 です。その多忙な時期に、力を発揮できるだけの体力をそれまでに養っておいて、その
 あいだは耐えられる体調を維持すること。無理を重ねて間違った方向に行ったときには、
 からだが教えてくれているはずなのです。その声をきちんと聞くことができる感性をぜ
 ひ養ってほしいと思います。
 
病気にならない運動と食事
・人間が進化の歴史をたどってきた、生活の中で自然にからだを使う機会、とくに、から
 だの基本である下半身を鍛える機会がほとんどなくなってきています。それを意識的に
 つくるためには、まずは歩くことがいいというわけです。
・歩くスピードは、その人の年齢や体力に応じて、自分が気持ちがいいと感じるペースで
 いいのです。もちろん、からだのためには通常よりもすこし速く、ちょっとは頑張って
 負荷をかけたほうがよりよいのですが、ふだん運動していない人がいきなり一生懸命に
 歩くと、かえって膝などを痛めることにもなりかねません。かといって、あまりゆっく
 りと歩くのでは筋肉を鍛えることにはならないので、無理のない心地よいスピードを見
 つけることです。
・私はからだを揺する運動を勧めています。たとえば腕を上げて、八の字を描くようにか
 らだ全体を揺するのです。手を上げるだけで胸筋など上半身の筋肉を使い、揺すること
 で、腹、腰などの筋肉を使うので、緊張がほぐれて柔軟になります。
・腹筋や配筋がしっかりしていないと、猫背になりやすいのです。猫背になると胸部を圧
 迫して血流障害が起こり、それが進むと肺がんになる危険性も高くなります。肺がんに
 なるような人は姿勢が悪く猫背で、つねに胸部を圧迫しています。たとえば、一日じゅ
 う机に座りっぱなしで書き物をしていたり、前かがみになってパソコンを使っている人
 たちは、たいへん危険です。
・腹筋、背筋を鍛える体操は、一回せいぜい5〜10分程度でいいので、時間もあまりか
 かりません。座りっぱなしで仕事をしている人は、2時間に1回程度このような体操を
 しればいいのです。
・歩くことと体操は習慣づけることが大切です。周に1回か2回まとめでやろうというの
 では、健康を維持できません。生活習慣の中に取り入れて、毎日規則的に行うことです。
・筋肉はしばらく使わないと、すぐに衰えます。ですから、1週間も2週間もあいだを空
 けるのではなく、簡単な運動なら毎日したいものです。もし若い人が負荷をかけてもっ
 と筋肉をつけたいというのであれば、一日ないしは二日おきくらいに筋力運動をするの
 が効果的です。きつい筋力運動を毎日行うのは、かえって逆効果です。
・過度な運動をすれば、からだが疲労するので、夜はぐっすりと休むことができます。日
 ごろまったく運動していない人は、からだが休眠状態に慣れきってしまい、ゆっくりと
 休むことができないのです。からだを適度に動かし、適度に休ませるというメリハリが
 必要です。
・朝食を食べたほうがいい、食べないほうがいいと一律には決められません。大事なのは、
 食べたいかどうかというからだの声です。空腹感があって食べたい人は食べればいいし、
 食欲が湧かないのならば抜けばいいのです。
・あまり神経質になる必要はないと思います。朝食をしっかり食べたほうがいいとか抜い
 たほうがいいという問題よりも、むしろバランスのいい食事を心がけることでしょう。
 そして基本的には、食べ過ぎないようにすることです。腹八分目といわれるように、少
 食のほうが健康にはいいのです。ことに40代半ばを過ぎたら、食べ過ぎは控えるよう
 にしたいものです。
・人間は本来、自分のからだの声をきちんと聞くことさえできれば、間違うようなことは
 ないのです。私たちのからだは、自然といい方向に向かうようにできています。それを
 支えているのが免疫という仕組みなのです。ところが無理に無理を重ねたり、ストレス
 を抱えて、食べたり飲んだりでまぎらわせざるおえなくなると、からだの声が聞こえな
 くなったり、無視したりしてしまうのです。