まだ東京で消耗しているの? :イケダハヤト

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私が東京で暮らしていて感じたのは、巨大な機械の中で暮らしているようだ、ということ
だった。自分は東京という巨大な機械の小さな小さなひとつ歯車なんだと思えた。
小さな小さな歯車として、振り落とされないようにと必死に働くが、所詮は小さな小さな
歯車、しだいにすり減り消耗して弱っていく。
一生懸命頑張って、多少、上の役割を与えられても、所詮歯車は歯車なのだ。いつの日に
か、磨り減って使いものにならなくなると、ポイッと捨てられる。捨てられたら最後、も
はや歯車の存在価値は何もない。哀れな歯車となってしまう。そして、歯車がどんどん摩
耗するように、ただただ消耗していくだけだった。そんな東京の暮らしに疑問を感じなが
ら暮らしていたものだった。
この本の内容は、まさにそんな自分の気持ちを代弁してくれている。それに、東京に住ん
でいるときに、あの3.11の東日本最震災を体験して、もし東京直下型大地震が来たな
らば、きっと自分は生き残れないだろうと感じた。今後30年以内に東京直下型大地震が
発生する確率は70%だという。今は東京を卒業して、ほんとに心からホッとしている。
日本は、東京に過度に一極集中している。このままではいけないと、ずっと以前から言わ
れきたが、まったく改まる気配はなく、ますます一極集中の度合いを増している。これは
明らかに政治的な課題なのに、今の政治家たちは、まったく関心がないようだ。東京直下
型大地震が発生して大惨事となったなら、それは今までの政治家たちに大きな責任がある
と思う。もっとも、日本の今までの政治家たちは、責任を取ったことがないし、これから
も取るということはないだろうが。

ぼくは東京を捨てました
・東京で暮らすことのハードルは上がり続けている一方で、今後も東京は生きにくさを増
 していくでしょう。今以上に、若者、障害者、子育て世帯、マイノリティの人々に優し
 くない街になっていくと、ぼくは見ています。
・人生は、もっと自由で創造的なものなのです。たかがお金を稼ぐために、理不尽な環境
 に耐え、自分を殺すことなないのです。
 
東京はもう終わっている
・たしかに、東京では、地方都市よりも高い時給、日当をもらえます。土木作業やコンビ
 ニのバイトにしても、地方よりたくさん報酬を得られるのは事実です。会社員の給与や
 ボーナスにしても、一見すると、東京の企業のほうが潤っているように見えます。が、
 東京での「暮らし」を総合的に見れば、その貧しさは明らかです。馬車馬のように働い
 たところで、高度経済成長期のような「所得倍増」なんてありえません。働いても働い
 ても年収は上がらないのが、これからの時代です。 
・何より厳しいのは、「住宅コスト」です。せっかく稼いだ給料も、その多くが「東京に
 住み続けるための経費」として吸い取られてしまいます。あまり知られていないことで
 すが、東京の家賃は高止まりを続けており、実はバブル期と水準が変わっていません。
・人が密集して住めば、それだけ土地のコストは上がり、居住環境も悪化します。東京の
 土地が倍増するはずもなく、今後も家賃は高止まりを続けていくでしょう。弱い立場に
 ある人や、中流層はどんどん「住みにくく」なり、低所得・高負担という状況から抜け
 出すことができなくなります。 
・東京の住宅事情は、ぼくから見ると「アリ地獄」のような状況です。苦しい人は次々と
 落ちていき、豊かな人も落ちないように必死で張り付く。「住む」ことに関して、これ
 だけハードルが高く、それでいて社会的な意識が低いエリアは、世界中を探してもそう
 ないと思われます。
・東京近郊に住んでいると、「片道1時間以上かけて通勤する」というのは決して珍しい
 話ではありません。いやー、信じられない。なにその人生の無駄遣い。今日死んだら後
 悔しませんか?
・ぼくが東京を離れたのは、移動に嫌気がさしたからです。毎日毎日、移動してばっかり
 で、やるべきことに集中できないんですもの。
・ぼくが東京を離れたのは、移動にかかる時間とエネルギーを、もっと別のことに使いた
 かったからです。
・なにも疑わずにサラリーマンを続けてしまっている真面目な人ほど、ローン、つまり借
 金に人生を縛られます。「返さなければいけないお金がある」というプレッシャーで自
 分を追い詰め、長時間にわたってプレッシャーに身をさらしながら必死で働き続ける。
 安心を得るために、自分の自由を失っていることに気が付かない。
・身の丈にあった買い物をしましょう。ご利用は計画的に。東京は「身の丈を超えなけれ
 ば住宅を確保できない」という時点で、なにかおかしんですよ。
・東京は人が多いので、出会いやすい一方で、そのひとつひとつの出会いは「薄く」なり
 ます。 
・パンパンに予定とタスクが詰め込まれた状態では、人は新しい価値を生み出すことはで
 きませんから。空白こそ、創造性は宿るのです。忙しいというのは、文字通り「心を亡
 くす」ことですから。
・静かに落ち着いた環境に身を置き、やるべきことを密度高くこなしていく。時計を見な
 がら相手としゃべるのではなく、時間を気にせずじっくり話し込む。こういった余裕を
 確保することは、東京ではたいへんに困難です。自分や良くても、周りの人がとにかく
 忙しすぎるので。
・人々は東京という街によって「忙しさ」をインストールされているように見えます。サ
 ラリーマンも子供も、主婦も、定年退職した老人さえも、「忙しい」ことを受け入れて
 います。1分単位で動くことを当然とし、ある種の「美徳」にしてしまっている。
・東京を離れてみると、東京の忙しさがいかに異常であるかに気付くことができます。そ
 して、その不毛さにも、忙しさは仕事の質を落とすだけです。
・ぼくはサラリーマン時代、いい意味で空気を読まず、ほぼ毎日定時で退勤していました。
 当たり前です。定時後は家族と過ごすための、自分の貴重な時間ですから、いつしか会
 社のなかでは、「イケダは必ず定時に帰る」という空気が形成され、残業していると、
 「今日は帰らないの?」と聞かれるほどになりました。法的には帰ってまったく問題な
 のですから、残業に悩む暇があるのならほんの少しの勇気を出して、「定時に帰るキャ
 ラ」になればいいんですよ。 
・東京は、健全な範囲で故人が持つべき「勇気」を、しおれさせるメカニズムが働いてい
 ます。東京で生活をし、仕事をすると、勇気と覚悟のない弱々しい人間に成り下がって
 いきます。そうしていつのまにか、「俺は社畜だからさ」と、自分の行動力のなさを、
 じぶんで冷笑するようになるわけです。自分を守るためなのはわかりますが、それは
 「自分の人生を生きること」から遠ざかっていくんですよ。ぼくはよくわからないシス
 テムのために生きて、死んでいきたくないので、東京を脱出しました。
・「ザ・東京」を感じるのが、真夏のスーツを着て汗だくになっている人たち。脱げばい
 いのに。「暑けりゃ脱げばいい」ということは、幼児でも知っていますよ。こういう人
 たちもまた、東京というシステムに勇気を去勢されているのでしょう。クーラーの効い
 た社用車に乗って出勤する経営者ならまだしも、酷暑のなか電車を乗り継いで出勤しな
 ければならないサラリーマンが、首までぴっちりフル装備を着込むとか、完全に意味不
 明です。ただでさえ満員電車はエネルギーを消耗するのに、コンクリート砂漠で無駄に
 体力を消耗する。こんなワークスタイルでは、成果は出ないのは当たり前です。
・子育ては社会全体で応援するのが当たり前なのに、都心では待機児童があふれてみんな
 困っている。東京では保育園入園という死活問題に親が悩み苦しみ、それこそ偽装離婚
 するほどの、無駄な努力とエネルギーをはらわなければいけないのです。「育児環境」
 ばかりは、東京は圧倒的にダメです。 
・東京は「あなたがどうなろうと、私には関係ない」という冷たい排他性が顕著に共有さ
 れているのです。田舎なんかより、よっぽど「よそ者に排他的」であることに気付いて
 ください。 
・東京都いう都市が「包摂性」を獲得しない限り、格差は広がり、治安は乱れ、多様性は
 失われ、経済も衰退していくでしょう。そして残念ながら明るい未来をこの世紀で獲得
 することは、難しいと考えています。
・東京のようなシステムが肥大化した街に住むと、個人として備えているはずの自然な倫
 理が損なわれ、「落ちてしまった人間」を受け入れる余裕がなくなるでしょう。他人を
 助ける余裕なんてものは、東京に住んでいる時点で、失われてしまうのです。
・東京には、そういう自滅的な「自己責任」の空気が蔓延しています。「あなたがどうな
 ろうと、私には関係ない」という論理は、「自分がどうしようもなくなったときには、
 自分の責任だ」という刃を内包しているのです。不安定なこの社会において、そういう
 考え方は破滅を招くだけです。
  
田舎のほうが圧倒的に稼ぎやすい
・地方に移住する上で、最高に面白くて、同時に難易度も高いのは「起業」です。有名な
 のは、徳島県上勝町の「株式会社いろどり」ですね。料理に入れる飾りの「葉っぱビジ
 ネス」によって大成功した会社です。
・ぼくはいわゆる「コンテンツビジネス」を手がけています。日々、ブログに文章や写真、
 動画といったコンテンツを掲載し、顧客を集め、お金を稼いています。この種のコンテ
 ンツビジネスを扱う人は、東京から地方に移住するとシンプルに年収が上がるんですよ。
 なぜかといえば、地方に移住することで、コンテンツの幅が広がるだけです。東京のメ
 ディアが取材できない情報も多数アップしています。だから、読者層が広がり、アクセ
 スも増え、売上も増加したのです。東京で書ける記事は、他の誰かが書いてくれるんで
 す。東京は「書き手」が多すぎて、ネタがかぶりまくります。
・東京のほうが遅れているんです。それは選挙、政治を見れば明らかです。若い人の意見
 はろくに通らず、高齢者の意見ばかりが吸い上げられ、格差は広がり、衰退していく一
 方です。新しい意見を持つ人は、東京ではマイノリティであり、スーツを着込んだマジ
 ョリティに勝つことはできません。東京で革命を起こすのは無理なんですよ。革命は、
 常に辺境から始まるのです。今となっては、「東京にいること」は時代の最先端ではあ
 りません。「地方にいること」こそが、時代の最先端なのです。
・東京で人脈とスキルを得て、辺境に移住して、顔の見えるコミ二ティのなかで、新しい
 価値を生み出していくことが、これからの「生き残りの道」です。東京にしがみついて
 いると、どんどん消耗していきますよ。年収は上がらないのに、固定費は上がり、加え
 て競争も激しくなりますから。
・地方に住んで、自分にしかできない仕事をしましょう。東京では得難い「やりがい」の
 ある仕事は、地方に無数にありますよ。だって、人が少ないんですから。あなたは「歯
 車」以上の役割を、自然に担うことになるでしょう。  
・「田舎には仕事はいくらでもある」といっても、誰かが仕事を「与えて」くれるわけで
 はありません。当然です。東京でも一緒ですよね。樹上に鈴なりで実っている柿は、自
 分で体を張って収穫しなければいけないのです。ある意味で、地方は常に「起業家精神」
 が求められます。あなたは、自分でビジネスを生み出さなくてはならないのです。東京
 で上司の言いなりになっていた受動的サラリーマンには、ちょっと辛い環境だと思われ
 ます。支持を受けていればメシが食える、というほど甘くはありませんから。
・そういう受動的な人たちは、移住をしたいなら、自分を変えないと生きていけません。
 が、東京でもそれは同じだとも思います。「指示待ち」しかできない人を養えるほど、
 日本はもう豊かではないのです。
・能動的に価値を生み出していける人にとっては、地方はほんとうにパラダイスです。ぼ
 くは限界集落に住んでいますが、誇張ではなく「何をやっても食っていける」自身があ
 りますよ。農家になってもいいし、林業やってもいいし、民宿経営してもいいし。
・本来的に「仕事は自ら作り出すもの」であることを思い出しましょう。大企業の社員だ
 って、同じですよ。ぼくらが生きていく時代は、厳しいものなのです。人から与えられ
 た仕事をただこなすだけの単純労働は、低賃金の外国人労働に取って代わられていきま
 す。もう少し先の未来では、ロボットに奪われていくでしょう。いうまでもないことで
 す。 

限界集落に移住して、こんなに幸せになりました
・「自動運転車」が普及するまでは、「クルマがないと生活できない」というのは残念な
 がら真実です。が!それはあくまで田舎の山間部の話です。地方にはどこでも中心的な
 都市があり、得てしてそこは「コンパクトシティ」で暮らしやすい場所になっています。
 「地方ではクルマが必需品だ」みたいなのは基本的に妄想なので、勘違いしている人は
 認識を改めましょう。地方といっても、様々な場所があるのです。田舎暮らしの移動に
 不安のある人は、まずは県庁所在地をターゲットにしてみましょう。
・生活が徒歩・自転車圏で完結するコンパクトシティは、一度住むと他の地域に住めなく
 なるほど快適です。すごくわかりやすく言えば「飲んだあと歩いて家に帰れる」わけで
 すから!
・もちろん田舎には「売っていないもの」も多数ありますが、今はネット通販があります
 からなんの問題もありません。うちの妻は地元スーパーには決して売っていないマニア
 ックな調味料類を、ネットで見事に買い揃えています。日本の流通は恐ろしいレベルで
 発達しており、東京時代と変わらない値段で、山奥にまで配送してくださっております。
・そもそも東京の食材は「鮮度」が低いんですよ。ぼくはこっちに来てから朝どれの野菜、
 朝どれの魚を食べるのが「普通」になりました。これがまた東京で食べるものとは別物
 なんですよ。舌が鈍い人でも、こればかりは気付くはず。そして何より、そういった食
 材が、信じられないほど安いんですよ。
・地方ではよく言うことですが、如実に「季節」を感じるようになりました。東京にいた
 時代は、季節なんてあったものではありません。景色は年中変わりませんし、食材も
 「旬」を感じることがありません。季節を感じるのは、せいぜい「気温」くらいですよ
 ね。日常生活のなかで旬を感じられるというのは、都会では味わえない豊かさです。東
 京都民は、旬の食材の美味しさと、出会えたときの喜びを知らないわけです。
・地方は東京とは日々の「安心感」が違います。ほら、東京って怖いやないですか。悪い
 人がいっぱいいて。通り魔とか普通にありますよね。最近だとテロの危険も現実的にあ
 ります。痴漢冤罪のリスクもありますし、ホームから突き落ちされるリスクもあります。
・警戒心を解き放つことができる環境というのは、言うまでもなく快適です。ストレス性
 の身体が痛み・喉の違和感がなくなったんです。案外これは警戒心を持たないで済む生
 活になったからなのかも、と思っている。都会でしか生活したことがない方は、ぜひ1
 ヶ月ほどでいいので、安全な田舎に逗留してみてください。「日常的に気を張らないで
 いい」という環境に、心と体が喜ぶと思います。
・今はもう、「閉鎖的な田舎」は少なくなってきています。そういうスタンスの集落は、
 どう考えても衰退していきますから、むしろ危機感のある田舎ほどオープンで、移住者
 に対しても「ウエルカム」な姿勢があります。 
・一口に「地方」「田舎」といっても、その内実はかなり多様です。全体として「閉鎖的
 な田舎」は減っていますが、地元の産業・経済が中途半端に元気な地域、過去の栄光を
 捨てられない地域、人が比較的密集して住んでいる地域は、特有の閉鎖性を感じさせる
 こともあります。これは大企業にありがちな組織の閉鎖性とも似ていると思います。
・地方は都会よりも断然子育て環境が恵まれています。「待機児童」なんて言葉は基本的
 に聞きませんし、何より地域の人たちの関わり方が違います。       
・地方では移動のストレスがないのです。電車もバスもガラガラですし、都心とは違って
 スムーズにクルマで移動することもできます。クルマならオムツ替えも、昼寝も、授乳
 も簡単にできるのでのです!
・東京はとにかく休日の過ごし方に困ります。特にファミリーにぜんぜん優しくありませ
 ん。子連れで入れるお店も少ないですし、何より移動がきつすぎます。地方に来るとレ
 ジャーに革命が起きますよ。どこに行っても空いているので、行列して時間がつぶれる
 こともありませんしね。     
・教育環境を理由に移住を渋っている人がいたら、それはかなり勘違いしていると思った
 方がいいでしょう。受験勉強なんてどうとでもなります。まだお受験で消耗しているの?  
 そもそも、受験なんてちっぽけな話は気にするべきではありません。もっとも大切なの
 は、こどもが「生きる力」を身につけることです。「生きる力を育む」という観点では、
 地方は最高のフィールドになります。
・田舎は、大きな会社はひとつもありません。大半は農家さんを含む「自営業者」。ぼく
 のようなクリエイター、アーティストの方もいます。小さなお店を経営している若者も
 多いです。で、そういう場所に暮らして育つと「スーツを着て就活して、ネクタイ締め
 て企業に勤める」のは、「当たり前」じゃなくなるはずです。
・これからの時代、「自営業」を前提にして子育てをした方がいいんですよ。「会社勤め」
 を前提に育ててしまうと、うつ病一直線。受験うつ、就活うつ、入社うつ。高度経済成
 長期のレールはとっくに壊れているわけで、それに乗ろうとしたら、そりゃあストレス
 もかかります。 
・地方が豊かだというのもありますが、実のところ、東京が「異常」なんでしょうね。慣
 れと無知は恐ろしいもので、その異常さを当たり前のものとして受け入れてしまってい
 る人は、めちゃくちゃ多いわけですが。異常な東京を離れて、人間として正常でいられ
 る地方に、少しでいいので滞在してみてください。
 
「ないものだらけ」だからこそ地方はチャンス
・東京で暮らした時代は、やりたいことなんてそうそう湧き出てはきませんでした。意外
 なことに、東京では欲望は去勢されるのです。東京という狭すぎる街は、ひとりの人間
 が本来持っている欲望、創造性を、受け止めることができないのです。
・コオロギ、めちゃくちゃ美味しいですよ。捕獲して洗って、オリーブオイルでカラッと
 揚げて、粗塩を振るともう絶品。お酒が最高に進むおつまみになります。「コオロギ食
 べるなんてとんでもない!」と思う方は、世間が狭いですよ。世界を見れば昆虫食はむ
 しろ一般的。日本人だってイナゴ食べてるじゃないですか。同じですよ。ましてやコオ
 ロギは「エコフード」としても注目されており、アメリカにはコオロギの養殖をして乾
 燥、粉末にして「コオロギチップス」を生産しているベンチャーもあるくらいです。低
 カロリー高タンパクで、何より生産における環境負荷が少ないんです。
・昆虫食はまだまだ「げてもの」感があります。が、今後世界人口が増加し、食料危機が
 身近になっていけば、ぼくらの生活に再び虫が入ってくることは明らかです。実際に味
 が良くて、しかも環境負荷も低いわけですから、さっさと普及させた方がいいと思うん
 です。 
・東京では欲望が無意識おうちに抑圧され、「やりたいこと」のレベルに自然と押し下げ
 られます。せいぜい「週末にディズニーランド行こう」というレベルでしょう。
・東京で生活していると、無意識的に「創造性の壁」が脳内に形成されるのです。住む場
 所というのはその意味で非常に重要で、環境を変えるだけで、創造性は爆発するんです
 よ。東京で作られたレジャーを楽しむのはもうやめて、地方で面白いことを仕掛けまし
 ょう。
・地方がすばらしいのは、東京都違って「ないものが多い」んです。「ないものだらけ」
 というのはずばらしい環境で、「だったら自分たちでやろう」と思えるんです。 
・東京で暮らしている若者から、しばしば「やりたいことが見つからない」という相談を
 受けます。そんなの当たり前ですよ。だって、東京にはなんでもありますから。自分で
 やったって、それは常に二番煎じになります。つまらないですよね。「やりたいこと」
 になるわけがないじゃないですか。ぼくだって、東京にいた頃はやりたいことなんて出
 会えませんでしたよ。「やりたいことが見つからない」のは、個人の意欲や能力の問題
 ではなく、環境の問題なのです。みんな、このことに気付かず、苦労していますよね。 
・若い人が政治の現場に食い込むようになれば、街はさらに面白くなります。申し訳ない
 ですが、やはり年齢は重要です。今の日本が面白くないのは、街のトップがおじいちゃ
 んばかりだからです。 
・今の元気がない地方を考えれば、「地域を若者が乗っ取る」くらいの勢いがあっていい
 んですよ。高齢化が進めば、どん詰まりになっていくのは、目に見えているわけですか
 ら。「やってみなさい」の精神で若者に立場を譲っていく地域が、これからは生き残っ
 ていきます。 
・うまくすれば、ぼくら若い世代は、自分たちが望む理想の社会を、自分たちの手で作る
 ことができます。東京は大きすぎて無理でも、規模の小さい地方なら、自分たちの「自
 治区」を作ることができます。これ、すごくワクワクしませんか?うまくいくと、将来
 は「実質的に独立している小国家」が日本に乱立するようになると思います。中央に頼
 らないで済む経済・社会システムを作れば、「日本国」である必要はないのです。
  
移住で失敗しないための5つのステップと知っておくべき制度
・移住するなら、まずは中心市街地にソフトランディングするのがベターです。いきなり
 田舎に行くのは、失敗確率がかなり高くなります。田舎暮らしに憧れを抱いていても、
 こればかりはリスクがあるので、まずはおとなしく、それなりに栄えた町に住みましょ
 う。田舎に行くのは、そのあとで十分です。
・移住する上で最初にやるべきこと。それは今の生活のなかで「何が不満か」を書き出し
 てみることです。「やりたいこと」を描くのもいいですが、それは得てして、移住した
 あとに変わっていくものなのです。一方で「やりたいこと」は個々人の人生哲学が一本
 通っており、長期的に変化していくものです。ゆえに、まずは「やりたくないこと」だ
 けを考えればいいのです。    
・やりたいことを明確に描きすぎると、それが実現できなかったとき、勝手に期待を裏切
 られて、地域に幻滅して去っていくことになります。そうではなく、当初は「やりたい
 こと」はぼんやり描く程度にして、移住したあとに明確にしていくべきなのです。事前
 に決めた「やりたいこと」は刻一刻と変化していきます。自分自身の考え方、価値観も
 変わっていくので、事前に描くのはあんまり意味がないのです。
・ここで現実的になってくるのが「二段階移住」という考え方です。東京から地方に移住
 したいと考えている人の多くは、ぼくが住んでいるような「田舎」を探していると思い
 ます。が、田舎は物件を見つけることが困難です。不動産屋はありませんので、人づて
 で物件を見つけるしかありません。運良く「空き家バンク」で物件を見つけたとしても、
 コミュニティに入り込むためのハードルもあります。ゆえに、まずは県庁所在地レベル
 の「地方都市」に居を構え、そこから自分たちにあった「田舎」を探すことを、強く強
 くおすすめします。  
・地方は物件情報がかなりクローズドなので、チェーン系の不動産屋はあまりおすすめし
 ません。やはり、地元業者の方が情報持っているみたいです。物件探しの際には、先輩
 移住者に「どの不動産屋を使いましたか」と聞いてみることをおすすめします。都会と
 地方では情報の流通経路が違うので、基本的には地元業者を頼るのがいいでしょう。
・行政が運営している「空き家バンク」も、地域にもよりますが、参考程度にしかなりま
 せん。また、ほんとうにいい空き家は、得てして空き家バンクには載っていなかったり
 もします。田舎の物件は、完全に「人」を経由して流れてきます。いきなり突っ込んで
 行ってもだめなんですね。ぼくが今住んでいる物件も、たまたまイベントで知り合った
 方から情報をいただき、入居することになりました。ディープな田舎に移住したい人は、
 焦らずじっくり、さまざまな人から情報を集めていきましょう。
・「地域おこし協力隊」は、総務省が実施している事業で、ざっくり言うと「最長3年間、
 役場のスタッフとしてお給料をもらいながら、地方で生活&仕事することができる」と
 いう仕組みです。安倍政権肝いりの「地方創生」施策で、今後も協力隊は増やしていく
 方針とのことです。しかしながら、話はそんなに甘くないのもリアルなところで、協力
 隊は、ぶっちゃけ「失敗」している人が続出している制度でもあります。どんな話かと
 いうと、要するに「協力隊として赴任したけれど、役場が制度自体をよく理解しておら
 ず、まったく活躍できずに任期が終わった」という趣旨です。で、この種に話は各地で
 聞こえてきています。厳しくいえば、現時点の「地域おこし協力隊」は、「若者の貴重
 な人生を無駄にする制度」になってしまっているのです。  
・まあ、とはいえ、行政側だけを非難するのも酷な話です。彼らは採用活動をしたことも 
 なければ、外部からきた人材をマネジメントしたこともありません。現場が対応しきれ
 ないのは、無理のない話でしょう。むしろこれは中央側の不手際であり、「役場に採用、
 受け入れのためのトレーニングをさせる」「募集時にはミッションを明記することを徹
 底する」「ある程度トレーニングされた人材のみを雇うようにする」といった、制度的
 改善を早急に施すべきです。残念ながら、2015年時点では、地域おこし協力隊は
 「ハズレ自治体」が相当数あります。あえて厳しく感覚的に言えば、ウェブサイトに掲
 載されている半分以上の自治体は「ハズレ」です。  
・今はとてもいい時代で、自治体によっては安価に長期間滞在できる「お試し移住」制度
 を用意しています。地方への移住を検討している方は、まずはこうした制度を利用する
 のがいいでしょう。 
・今後、さらに社会が流動化していくと、多地域居住という選択肢も一般的になっていく
 と思われます。わかりやすく言うと、「別荘」が超気軽に持てるようになる、なんてイ
 メージです。「アルバイトの高校生でも別荘が持てる時代」は近いです。現に、ぼくの
 知っている範囲でも「毎月数千円のお金を払うだけで、各地のリノベーション済みの空
 き家に自由に滞在できる」というビジネスを始めようとしている人が複数います。日本
 全国で家は余っているわけですから、ひとりで複数軒の家を利用することは、より身近
 になっていきます。これからの未来が楽しみですね。35年ローンで郊外に家を買っち
 ゃった人は、20年後あたり、後悔する羽目になりますよ。「なんで1軒の小さな家を、
 高額の借金背負ってかっちゃったんだ」みたいな。
・今はもう、毎日都会のオフィスに出勤する時代ではありません。これから「各地の中心
 都市から少し離れた田舎に拠点を構えて、経営コストを抑えつつ、社員の生活満足度を
 高める」という戦略が合理的になると考えています。 
  
<まだ東京で消耗しているの?>
 http://www.ikedahayato.com/