高血圧は薬でさげるな! :浜六郎

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私たちは現代の医学を信用し、世に出ている薬を信用し、医者の言うことを信用して、あ
まり疑問も持たずに薬を服用しているが、この本はそんな現代の医療に疑問を投げかける
本である。
病院に行っても、医者はこちら患者にあまり目を向けないで、ひたすらパソコン画面を見
ながら話すということが、多く見かける光景のようだ。そして儀礼的に簡単に聴診器を当
てて診察は終わる。医者は人を見ないでデータを見ているだけとしか思えない。そして、
血圧がカイドラインの基準値より高ければ、「薬を出しておきましょう」で終わりだ。
我々患者は患者で「薬をたくさん出してくれる病院がいい病院」というような誤った認識
をもっている人も多く、また製薬会社は製薬会社で「飲みすぎや食べ過ぎ」も薬さえ飲め
ば大丈夫のようなコマーシャルをテレビで流し、薬づけの人を増やしていく。こうして毎
年何兆円というお金が医療費として消えていき、医療制度の財政危機に拍車がかかていく。
この本を読んで、ほんとにその薬を飲む必要があるのか。薬づけの現代社会に疑問を持つ
ようになった。

はじめに
・経験から高血圧の治療はきちんとしなければいけないという認識を十分にもちました。
 一方で、一時的な血圧上昇はそれほど心配しなくてもよいことも学びました。
・かなり慎重に使っているつもりでも、降圧剤を使うと不都合なことがよく起こります。
 体がだるくなるのは、よくあることです。
・ところで、日本では古くからあるよい薬の値段が安く、いい加減な新薬がかえって値段
 が高いのです。飲み薬の糖尿病溶剤も、価値はないのにインスリンにひかくしてたいへ
 ん高価です。また、「抗痴呆剤」と称された脳代謝改善剤は、効かないのにたいへん高
 い。現在使われている薬には、値段が高くて無駄なものが多過ぎることが分かってきま
 した。
・降圧剤は、数年前までは年間せいぜい五千億円でした。ところが、2004年には八千
 億円が消費されたと予想されています。なんと5年間で1.6倍です。
・医者任せにしてはいけません。新しい薬が次々に開発され、治療指針も改訂されるので
 すが、ほんとうに薬は必要なのか、薬が必要だとして、いちばん効果があって寿命を延
 ばす適切な薬が使われているのか、確かめる必要があります。
・患者にとって究極の目的は、当然ながら、結構で長生きすることでしょう。ほんとうの
 目標は、血圧の値をガイドラインの目標値に合わせることではないのです。その当然な
 ことに、現代の医療は果たして応えているのでしょうか。
・病院で測ったときに、1回や二回高い数字が出たからといって、すぐに高血圧症と決め
 つけてしまう必要も、薬を飲む必要もありません。薬を飲む前に、すべきことはいろい
 ろあります。
 
医者任せにしてはいけない!
・現在、「高血圧症」という「病気」の「患者」にされてしまう人は、全国で五千万人に
 なります。
・2000年に高血圧の基準値が改訂され、それまでは「最大血圧(上)が160、最小
 血圧(下)が95以上を高血圧としていたが、140/90まで一気に引き下げられま
 した。それまでは「境界域」として降圧剤使用の対象にはなっていなかった人まで「高
 血圧症」という病名をつけ、はっきりと「病人」にしてしまったのです。しかも、降圧
 剤を使って血圧を下げる際の目標値は130/85未満とさらに低く設定されました。
・実は、欧米の調査は日本のある調査では、血圧を下げたり降圧剤の副作用により逆に寿
 命を縮めているケースが、いくつも浮かびあがってきています。しかし、それらはほと
 んど紹介されません。
・降圧剤は、決して気楽に安全な飲み薬ではありません。さまざまな副作用や長期の害が
 あります。ですから、もし高血圧であっても、様子を見ること、そして薬を服用した場
 合の副作用や長期の害を天秤にかけてみる必要があります。
・ところが現在の状況では、降圧剤を処方される場合でも、副作用のことはほとんど知ら
 されないでしょう。脳卒中が防止できる、心筋梗塞の予防になるという効果ばかりが強
 調され、長期の害について説明がなされることは皆無といってよいでしょう。
・「薬は不要」「必要な場合でも、古く安い利尿剤がよい」ことを納得してくれない患者
 さんは、ほんとうに良心的な医者を「変な医者」「時代遅れの医者」とみてしまい、他
 の医者のところに診察に行ってしまいます。いずれにしても、良心的な医者のところに
 は患者が少なくなり、よい医者は貧乏になります。
・私の概算では、高血圧の管理基準を以前の基準から2000年版ガイドラインに変える
 だけで、降圧剤を必要とする人が日本全体で3200万人以上増え(合計5000万人)、
 余分に1兆円の薬剤費が必要になります。そして、心筋梗塞になる人が8000人減る
 かわりに、死ななくてもよいはずの4万人以上の人が、他の病気で死亡するかもしれな
 いことになります。しかも、これは少なく見積もっての話です。
・実はこのガイドライン、そしてHOT研究の背後には、外国の大手製薬会社の影がちら
 ついています。
・血液には、酸素や栄養素を全身の細胞に運ぶという大切な役割があります。加齢に伴い、
 誰でもある程度は血液の循環が悪くなりますから、酸素や栄養分を細胞の隅々まで送り
 届けるのが困難になります。そこで、心臓は送り出すあ強くを強くして血圧を上げて、
 栄養を全身に送り届けようとします。ですから、加齢に伴ってある程度血圧が上昇する
 のはむしろ自然なことなのです。その血圧を無理に薬で下げ過ぎると、どうなるでしょ
 うか。細胞に必要な栄養が届けられないという弊害が生まれる恐れがあるのです。
・高血圧の原因は、加齢や血液循環の悪化だけではありません。ストレスや肥満、運動不
 足、塩分のとりすぎ、栄養バランスの悪い食事など、さまざまな要素が絡んでいます。
 ですから、高血圧の原因となるもともとの要素を改善しないで、薬で血圧だけを下げる
 ことは、車で言うとアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものなのです。
・高血圧の危険性でもっともよくいわれることは、高い血圧を放置しておくと動脈硬化が
 進行し、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を引き起こすというものです。重度の高血圧の
 場合は、確かにそのどおりでしょう。また、原因のはっきりしている二次性高血圧の場
 合も当然治療が必要です。糖尿病がある場合は高血圧が合併症のリスクを高めますから、
 この場合もしっかりとした治療が必要です。
・驚くべきことに、現在薬を処方している軽傷・中等症、そして現在の基準では重症高血
 圧患者においてさえ、降圧剤で血圧を下げることによって寿命が伸びたといえる確実な
 データは、日本でも外国においてもないのです。
 
薬で下げる危険を示すこれだけのデータ
・降圧剤を使用した人と使用しなかった人との間で、死亡率も、また心臓病や脳卒中など
 の降圧剤の効果として期待された合併症の発病率にも、統計学上有意なさはみらません
 でした。
・さらに驚くべきことには、がんの発生率は降圧剤を使用したほうが、使用しなかった群
 に比べて多かったのです。降圧剤を使って予防できるはずの脳梗塞でさえ、降圧剤を使
 ったほうが多いくらいでした。
 コレステロールの問題では、いくつもの疫学調査で、現在の基準のコレステロールの値
 よりも少し高めの人がいちばん健康で長生きであることがわかりました。
・健康を考えるとき、自立の程度はたいへん大きな意味を持っています。高齢化社会は、
 いかに自立できて長寿であるかが、もっとも大切なことと思えます。降圧剤は、単に数
 値合せで飲むのではなく、いかに自立できる状態で長生きできるかを考えて飲んでいる
 はずです。そうでなければ何の意味もありません。
・降圧剤に、肝腎の自立の程度を高める効果がなく、むしろ血圧が少々高めでも降圧剤を
 飲まないほうがより自立の程度が高くなる。こんな確かなデータがあるのに、それでも
 降圧剤を飲むべきでしょうか。
・つまり高齢者にとって、全身に栄養を行き渡らせるために、血圧がある程度高めになる
 ことは自然なことなのです。それを無理に薬で引き下げることで、細胞の隅々へ栄養が
 行き渡らなくなり、自立度が低下するものと考えられます。脳への栄養が不足すれば脳
 の働きが衰え、認知障害が増加する可能性も心配されます。
・茨城県の調査では、がん死亡の危険は正常血圧の人よりむしろ高血圧の人のほうが低い
 という結果が出ています。そして、血圧を下げるために降圧剤を使用した場合、がんに
 なる危険はより増加したのです。
・血圧が、高血圧といわれる160/95以上になると、確かに総死亡危険度は増します
 が、降圧剤を使用して160/95未満に下げると、死亡危険度がさらに増すのです。
 がん死亡による危険は、血圧の高いほうが小さい傾向があり、降圧剤を使用して下げる
 と、がん死亡の危険は大きくなりそうだといえるのです。
・久山町の調査結果を見ると、血圧は上が140以上、下が90以上になると、男性でも
 女性でも脳卒中になる人の割合は確実に増えていきます。しかし、その多くは60歳以
 下の人です。つまり、若くして高血圧になった人の危険度は比較的高いといえます。
・しかし、61歳以上のひとでもさすがに上が180以上、下も110以上になると、心
 筋梗塞や脳卒中が増えるという結果が出ています。
・とくに70歳以上のでは、上が160〜180、したが90〜100程度でも降圧剤は
 まったく不要で、無理に血圧を下げるには及ばないことは確かです。70歳以上の高齢
 者でも、とりわけ女性では厳しい基準は不要です。
・60歳未満、あるいはもっと年齢が若くても、自立度を考えると180/100程度ま
 では、降圧剤での治療は不要かつ有害です。
 40歳から50歳代でときに180/100程度の値が出たとしても、すぐに降圧剤を
 飲むのはやはり不要かつ有害でしょう。それよりも前に、ストレスや不眠不足、食事、
 運動不足など、日常生活の中にある血圧を上げている要因を探してください。
・「若年〜中年者は130/85未満、高齢者でも140/90未満を目業とする」とい
 う2000年のガイドラインの新基準が、いかに問題が多いか、よく理解いただけると
 思います。
 
血圧は自分で測る
・病院での受診や検診で少々高めの血圧が出たからといって、むやみに怖がる必要はあり
 ません。医師はすぐにでも降圧剤を飲むように言うかもしれませんが、相当高めにの高
 血圧でないかぎり、その必要はまずありません。むしり降圧剤を飲むことで、自立度が
 低下したり、死亡の危険が増す可能性があることをさまざまな調査から見てきました。
・ただし、ずっと血圧が高い状態が維持するのは確かによいことではないかもしれません。
 血管に強い圧力がかかりすぎて、血管がもろくなるかもしれないからです。しかし、一
 時的な血圧上昇に合わせて血圧を下げていたのでは、脳やほかの大切な組織が酸素不足
 ・栄養不足に陥り、不都合が生じることは容易に想像がつきます。
・理解してほしい肝腎なことは、血圧が高くなるのは、たいていの場合、必要・理由があ
 ってのことですので、一時的な変動にとらわれてはいけないということです。
・病院で測定した一度や二度の値で、高血圧と決めてしまう必要はありません。
・自宅で測って高くなければ病院にいかない方がよいでしょう。検診で多少高いといわれ
 ても、自宅で測りなおして高くなければ病院に行かないほうが賢明です。また多少高め
 でも、糖尿病など別に持病があるのでなければ病院に行かないほうがよいでしょう。
・運動直後は血圧が上がります。しばらく安静にした状態で測るようにしましょう。
・血圧は、必ず座った状態で測るようにしてください。
・自宅で使えるデジタル血圧計は、比較的ゆっくり測る仕組みになっていますので、測り
 方が速すぎるということがなく大丈夫です。
・マンシェットは、できるだけ服を脱いで巻いて測ってください。
・左右大きく違いがあれば、医師に報告しましょう。
・不整脈のある人は、血圧を何回か測定して、いちばん高く出る値と一番低く出る値を見
 ておく必要があります。
・最低でも深呼吸を10回以上してから測るようにしてください。
・夕食後1〜2時間後の決まった時間に測ることを習慣にするとよいでしょう。
・何かをした直後は、運動や神経の興奮により血圧が上がっているので、血圧を測るのは
 避けましょう。
・マンシェットは心臓と同じ高さに巻くと、より正確な血圧が測れます。
・血圧が高めに出たら、原因を探ってください。
・もうひとつ見直しておく必要があるのは、知らずに血圧を高くする薬剤を服用していな
 いかです。
 
薬に頼らず生活習慣の改善を
・まず、自宅で血圧を測る習慣を身につけるといいでしょう。そして生活習慣の改善で、
 少しずつでも確実に血圧を下げていけるようになれば、多少時間がかかっても問題はな
 いのです。短時間に急激に下げる必要はありません。むしろ薬で急激に下げることは問
 題が多いのです。
・生活習慣の改善では、まず、肥満の解消が重要です。肥満している人は、そうでない人
 に比べて高血圧となる頻度が2〜3倍も高くなります。肥満そのものが高血圧の原因の
 ひとつと考えられているのです。ただし、肥満といっても、そんなに心配はいりません。
 巷には怖い話が流れていますが、少し太めの人がむしろ長生きで自立の程度もよいので
 す。80歳以上にもなったお年寄りを見てください。がりがりのやせ型の人はむしろ少
 ないでしょう。
・実はNIPPON研究では、男性はとくにそうなのですが、BMIが20〜23.9の
 「標準」といわれる人よりも、24〜27.9のやや肥満の人がいちばん寿命が長かっ
 たのです。
・ただし、BMIで28(標準にたいじゅうの130%)以上にもなる肥満は危険です。
 肥満はほとんどの場合、食べ過ぎと運動不足により生じます。 
・肥満の解消は高血圧だけでなく、糖尿病や動脈硬化、そのほか心筋梗塞などたくさんの
 病気のリスクを減らします。
・適度な運動は血管の伸縮をよくし、日頃使っていない予備血管を広げて緊急時にも使え
 る準備をし、活性酸素を消去する酸素を誘導して、日常的にさらされる活性酸素の処理
 能力を高めて動脈硬化の予防につながると考えられます。
・非常に外レスを感じる状況が、だれの人生にも何度か訪れるはずです。受験や事故、大
 病、手術、仕事上の大きなストレス、女性ではそれに出産が加わります。そうした状況
 に際しては、十分なエネルギーと酸素が必要です。心臓を大きく搏動させ、血管を最大
 限広げて、十分な酸素と栄養を補給しなければなりません。適度な運動は、その危機状
 況に対応できるための訓練になると考えるとよいでしょう。食後の散歩、エレベータや
 エスカレータに頼らず階段を使うなど、日常生活の中で少しでも体を動かすことから始
 めるとよいでしょう。
・私は、カリウムやマグネシウム、カルシウムといった、個々の栄養素のことは、あまり
 きにしないほうがよいと考えます。一番大切なことは、「あなたの運動量に見合ったエ
 ネルギーの食事を、バランス良く」です。
・肉よりは、魚や、豆腐など大豆タンパク質をタンパク源とするように心がけるとよいで
 しょう。肉や揚げ物を控えめにして、その分、魚や野菜、根菜、きのこ、大豆類などを
 使った料理を多めにすること。和食のほうが簡単にそれらの要素をクリアできるでしょ
 う。ですから、肥満を感じている人は、基本を和食にして、少し痩せるまで主食や糖分
 の多い間食を控えるのがいちばん簡単でよい方法です。
・アルコールは血圧を上昇させます。日本酒一合、ビール大びん1本でも最高血圧が5〜
 10上昇します。飲みすぎには注意が必要ですが、肝臓に問題がなければこの程度は許
 容範囲と思います。
・運動は少し早足のウォーキング、あるいは軽いジョギングなどの有酸素運動が適してい
 ます。毎日少しでも体を動かすようにし、30分〜時間ほどのまとまった運動を週に3
 日程度は続けることが効果的です。
・仕事である程度のストレスがかかることは仕方がないかもしれませんが、それは昼間の
 短時間だけにしておきたいものです。夕方から翌朝までゆったりとして、血圧が下がる
 ようにし、睡眠を十分とれば、血管に強い負担がかかり続けることにはならないはずで
 す。だから、ストレス解消といってやけ酒で夜ふかしをして、翌朝は二日酔いというの
 は最悪です。これでは血圧が下がる暇がありません。周に最低一日、できれば二日休み、
 趣味や適度な運動でリラックスできる方法をそれぞれの生活と趣味にあわせて工夫をし
 てください。また、几帳面で責任感が強すぎる性格も高血圧になりやすいとされていま
 す。真面目にがんばることは必要でしょうが、たまにはリラックスするゆとりも持ちま
 しょう。
・積極的に深呼吸をしない場合、たとえばストレスが強い場合や、うつ状態になっている
 場合には、ため息が出ます。思わずため息が出るようであれば、それは呼吸が浅く小さ
 くなっている証拠と考えてよいのです。改めて積極的に深呼吸をしてください。
・会社などでストレスを感じた時も同じように深呼吸をうまく取り入れて、血圧を低く保
 つ習慣を身につけるとよいでしょう。例えば、大事な打ち合わせや会議は大きく深呼吸
 を10回ほどしてから臨むようにします。また、イライラしたり情緒不安定になったり
 したときも、意識して深呼吸をすることで血圧の上昇を防げます。根を詰めて仕事をし
 ているようなとき、一時間に何度か深呼吸をすることはとても大切なことです。
・とくにストレスの多い人は、昼間の血圧が上がりやすくなっていますから、しっかりと
 睡眠をとって一日中働いて疲れた体を休ませましょう。それがストレス対策にもなりま
 す。
・うまく睡眠に入るためには、毎日一定の時間に寝る習慣をつけることが大事です。一定
 の時間に早寝、早起きの習慣をつけると、体がそのリズムに馴染んで熟睡しやすくなり
 ます。
・入浴には一日の疲れを取り、リラックスさせる効果があるので、高血圧対策に有効です。
 また、温まることで血管が拡張します。ただし、熱めのお風呂に長時間入ることは、か
 なるの高血圧や心不全の人には大きな負荷をかけることになります。脳卒中などの危険
 につながるおそれもありますので、気をつけてください。ぬるめのお風呂に、ゆっくり
 と入るとよいでしょう。また、寒い日の入浴は、脱衣場と風呂場の温度差によって、急
 激な血圧上昇、脳卒中などのリスクが高まる場合もあります。脱衣場に暖房器具を入れ
 てあらかじめ暖めておくか、浴室の湯気を脱衣場にも入れて温度差を少なくしておきま
 しょう。
・高齢者や血圧が特に高い人など、寒さの影響を受けやすい人は、外出する前に十分体を
 温めておくことが大切です。そのうえで、足がしっかりしている方なら、少し速足で歩
 くなり体を動かし続けることによって、体が冷えるのを防ぐことができます。
・家の中の暖房が不十分で、寒さを何とか我慢している状態から外の冷気に触れると、限
 界を通り越して血圧が急上昇することにもなりかねません。肌着を少し多めにするか、
 セータやマフラーを着て寒さ対策を怠らないことです。

薬の作用と副作用
・利尿剤には、塩分の排出を促すことで、同時に水分も尿として出して体液を漏らし、血
 圧を下げる効果があるのです。
・サイアザイド系利尿剤の最大の利点は、降圧剤の中では高齢者の使用も含めて長期的な
 副作用がもっとも少なく、長期的な有効性と安全性がもっとも確立していて、しかも安
 価であるということです。かつては日本でも降圧剤の主流として使われていましたが、
 最近はあまり使われなくなってきています。それには、薬価が安いということが関係し
 ているようです。薬価が安いために、製薬会社もあまり宣伝せず、医師も積極的に用い
 たがらない傾向があるのです。
・昨今の降圧剤の売上高8000億円などは、医療費の食いつぶし、健康保険財政の食い
 つぶしにほかなりません。降圧剤を使うにしても、もっとも安価な利尿剤がもっとも寿
 命を長くし、医療財政を豊かにします。
・2004年に、国民がARIのために推定で約3000億円を支払ったことになります。
 年間売上高でこれまでもっとも多かったカルシウム拮抗剤を抜いて、降圧剤全体の三分
 の一以上を占めるようになり、降圧剤のトップに躍り出たのです。薬局での調剤料も患
 者に渡るまでの薬剤費として算定すべきですが、そうすると年間3000億円をかなり
 超えるでしょう。安全面からいってお勧めできませんし、値段もほかの降圧剤に比べて
 も非常に高価です。
・カルシウム拮抗剤には、むくみが起きやすい、少し脈が速くなる、便秘しやすいなどの
 副作用があるのですが、あまりそのことが不都合なこととして印象にはのぼっていない
 ようです。しかし、長期に使うと、脈が早くなり尿量が減るむくみが起きます。結果的
 には心臓を休めることになりません。即効性のカルシウム拮抗剤は、この副作用がはっ
 きりしたので、現在は使わなくなりました。しかし、緩やかに効くようにしたカルシウ
 ム拮抗剤は現在もよく使われています。いくら緩やかに効くといっても基本的な作用は
 同じですから、安全というわけではありません。
・高血圧、そして降圧剤について、私たちはもっといろいろな情報を知る必要があると思
 われます。もし仮に降圧剤を服用するとしても、情報を得てからでもけっして遅くはな
 いのです。

降圧剤をやめる方法
・大切なのは、血圧が高くなる原因を見つけることです。思い当たることがあれば、少し
 ずつでもいいから、改めるようにしてください。そうすれば、ほとんど必ずといってよ
 いほど血圧は下がります。深呼吸、とくに吐く息を強くして、適度な運動をし、よく睡
 眠をとり、塩分を控えてください。それほど高齢でなくても、降圧剤で無理に血圧を引
 き下げることはありません。無理な食事制限、とくに粗食は百害あって一理なしです。
・体格と運動量に応じた必要なカロリーと、バランスのよい栄養をとるように心がけてく
 ださい。いわゆるダイエット法や、テレビの「おすすめ食品」「おすすめグッズ」には
 惑わされないように。野菜をたくさんといっても、野菜ばかりでは栄養失調になり、か
 えって血管をもろくします。
・適度な運動で日ごろ使っていない血管を広げておくと、血管が常にしなやかさを保つこ
 とになるはずです。そうして血液の循環をよくし、血圧を下げていきましょう。
・いま降圧剤を服用している人は、自分で測定しながら降圧剤を徐々に減らしていくこと
 が、安全に降圧剤をやめるよい方法です。急に降圧剤をやめると、急激な高血圧をが引
 き起こされる危険もあります。時間をかけて血圧を測りながら降圧剤を減らし、血圧が
 上がる原因を取り除きながら、やがて完全に降圧剤をなくすことが一番よい方法です。 
・血圧の薬は一回飲み始めたらやめられす、生涯飲み続けなければならないという考えが
 蔓延しています。服薬指導も、そうした考えでよく指導がされます。しかし、一定の年
 齢になれば血圧が高くなるのは自然ですし、必要があって上がっているともいえるので
 す。自然の血圧上昇を無理に下げると、まず間違いなく思わぬしっぺ返しを受けること
 になります。したがって、ある程度の血圧コントロールができていれば、薬を減量しな
 がら徐々にやめるようにもっていけるはずです。当たり前のことなのですが、意外とそ
 うした考えはまだまだ少ないのが現状です。
・医師に休薬を申し出ても受け入れられないことは多いかもしれませんが、めげることな
 く試してください。