家庭モラル・ハラスメント :熊谷早智子

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夫のモラル・ハラスメントによって、離婚に追い込まれる妻がいる。ハラスメントという
と、職場などでのセクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントを思い浮かべること
が多く、このモラル・ハラスメントというのは、まだまだ認知度が低いようだ。私自身も、
最近まで、この言葉をあまり見たり聞いたりしたことはなかった。
というのも、このモラル・ハラスメントは、家庭内という密室での精神的な暴力・虐待で
あり、ドメスティック・バイオレンス(DV)のような身体的な暴力は伴わないため、証
拠が残らず、被害者が他の人に訴えても、なかなか理解してもらえないからである。それ
に、加害者は普段は、外面がとてもよく、しかもズル賢く、他の人にはわからないように
行動するので、原因は被害者のほうにあると誤解されることも多いようだ。しかし、言葉
による暴力・虐待という面から考えると、このモラル・ハラスメントもDVの一種と考え
てもいいのではないかと思う。
どうしてモラル・ハラスメントの加害者はそんな行動を取るのか。それは加害者自身の心
の中ある大きな劣等感から来ているのではないかと思う。自分の持つ劣等感を封じ込める
ために、常に自分は優秀なのだと思っていなければならない。しかし、外の世界では、当
然ながらそんなことはできないし許されない。そのために、自分の家庭内において身近に
いる弱い人間を自分の支配下におくことによって、自分が優秀であるというプライドを満
足させるのだ。そして妻はその犠牲者となるのだ。
おそらく、このモラル・ハラスメントの加害者は、一生、変わることはないだろう。モラ
ル・ハラスメントから、次第にエスカレートして身体的な暴力・虐待へと発展していく可
能性も、じゅうぶんあり得るのではないのかとも思える。
昔から、この夫からのモラル・ハラスメントというのは、数多くあったのではないかと想
像する。そして、離婚したくてもできず、じっと耐え忍び、一生辛い思いをして人生を終
えた女性も数多く存在したのではないかと想像する。現代では、昔と比べると、比較的離
婚し易くはなったものの、それでも離婚となれば、それによるダメージは男性より女性の
ほうがはるかに大きいのが一般的だ。経済的に自立してる女性であればまだよいが、専業
主婦ともなれば、離婚した直後から生活に困ることになることが多い。女性が子どもを抱
えながら経済的に自立していくことは、男性ですらなかなか正社員になれない今の社会に
おいては、とてもたいへんなことであるだろう。それでも、モラハラ夫の支配の下で一生
を過ごすよりも、離婚してその支配から逃れるほうがマシかもしれないと思える。
ところで、このモラル・ハラスメントは、家庭内ばかりではなく、職場内でも意外と多く
存在するのではないか。自分自身も、かつての職場で、このモラル・ハラスメントと非常
によく似た行為をする直属の上司がいて、悩まされたことがあった。その上司もまた、自
分のプライドを保つために、なりふりかまわない行動を取っていた。その職場はまるで冷
蔵庫の中にいるみたいな冷たい空気が流れていた、サラリーマンは自分の上司は選べない。
上司が他に異動するか自分が他に異動するか。それまでじっと耐えし忍ぶしかない。まさ
にサラリーマンの悲哀である。

<モラル・ハラスメント被害者同盟>
http://www.geocities.jp/moraharadoumei/

<こころのサポートセンター・ウィズ>
http://www5a.biglobe.ne.jp/~with3/

はじめに
・モラル・ハラスメントとは、直訳すれば「精神的嫌がらせ」であるが、「精神的虐待」
 や「精神的暴力」を意味する。
・毎日、夫の放つ一言で血の気が引き、一挙手一投足、目の動きにすら恐怖を覚え、足音
 におびえ、バタンと閉まるドアの音で夫の機嫌を探る。日々の暮らしのなかで、朝から
 晩までオドオドと夫の顔色を窺がいながら生きてきた。
・モラル・ハラスメントは、人間対人間の感情のはざまに介在する、じつの巧妙な暴力で
 ある。セクハラ、パワハラ、ドクガラ、誹謗中傷、嫌がらせ、いじめ等々、社会のさま
 ざまな場面で、それは起こる。そして、家庭内で起きるモラル・ハラスメントは、「家」
 という密室で行われるため、他人の目に触れることがない。かつて神の前で、永遠の愛
 を誓ったはずの相手が、家庭という狭い空間のなかで、今や悪魔のように、「黒いオー
 ラ」をまとい、耳をふさぎたくなるような言葉を吐き散らし、血も凍るような冷たい眼
 差しを向ける。そして夫は、家から一歩外に出れば、温厚な人格者に早変わりする。
・幸せになれないのは、自分のわがままのせいでも、努力が足りないからでもない。夫に
 とって、ハラスメントの対象は誰でもよかった。自分より弱い人間だったら誰でもよか
 ったのだ。   
・モラハラは、通常、暴力を伴わない。ではどうやって妻を追い詰めるのか。夫は、「俺
 はお前に対して非常に怒りを感じている」という態度を示す。これがモラハラの一番厄
 介なところである。なにしろ「態度」は証拠にならない。口をきかない、無視する、食
 事を一緒にとらない、家事の不出来をつぎつぎと指摘する、わざと大きな音をたててド
 アを閉めたり、おおきなため息をついたりする。いったん始めると数週間から数カ月続
 くこともある。これが家庭内モラハラ最大の特徴である。
・妻は家庭の平和のために、何とか機嫌をとろうとしたり、話し合いを求めたりするが、
 夫は話しかけても無視する。妻は夫の怒りを買わないように、日頃から夫の顔色を窺が
 う癖がついてしまう。そうするように夫が「調教」するのだ。
 
「優しい人」が仮面を剥ぐ時
・彼はスラリと背が高く、かなりのイケメンだった。まわりの誰に聞いても、親切で働き
 者と、評判を上々。でも、私が彼に惹かれた一番の理由は、彼の優しさだった。物腰も
 ソフトで、よく気がつき、いつでも私の話を一生懸命に聞いてくれた。どんなわがまま
 も笑って受け止めてくれ、私は彼といると、まるで自分が大切なお姫様になったような
 気分だった。  
・夫は、一歩外に出れば、私が結婚前に知っていた、温厚で優しい、よく気のつく朗らか
 な人になり、私と二人きりになると、まったく別人になった。もちろん、夫婦なんてそ
 んなもの、家にいる時くらいは素も自分にもどりたいという気持ちはわかる。しかし、
 彼の「内の顔」と「外の顔」は、あまりにかけ離れていた。結婚して一カ月も経たない
 うちに、もう10年も連れ添った夫婦のように、私は、夫の顔色を窺がっては一喜一憂
 する、くたびれはてた妻になっていた。
・自分の欲しい物は、無言でそれを指さした。彼の指がさしている物を私が取り、差し出
 すと、無言で受け取った。リモコンが欲しければ、黙ってリモコンを指さす。私は、夫
 がつぎつぎ要求する物を、一つ一つ取って、手渡した。それはまるで、ご主人様に仕え
 るロボットのようだった。
・彼と「話し合い」をしたことが19年間のうちどれくらいあっただろうか。一方的に自
 分の考えを押し付ける夫に対して、私は赤ベコのように首を上下に振るしか許されなか
 った。  
・夫が不機嫌になるのは段階があった。まず口をきかなくなる。次に動作が荒々しくなる。
 完全に無視を始める。そお無視がどのくらい長く続くのか、まったくわからなかった。
 そしてその次は私が作ったものには手をつけなくなる。私が淹れたお茶もいったん流し
 に捨ててから自分で淹れ直す。自分が買ってきたお惣菜を部屋の片隅でテレビを見なが
 らひとりで食べ始める。それが何カ月も続くことがある。それでも食事は彼の分も作ら
 なければならない。「なぜ食べもしないものを作るのか」と聞かれることがある。作ら
 なければ後から「お前は俺が食べないと食事も作らないのか」と責められる。だから夫
 が食べなくても作らなければならない。
・家のなかで、夫婦の会話らしい会話は、ほとんどなかった。事務的な話には、「する?
 しない?」と聞く。イエスは顎を上にしゃくる。ノーはかすかに横を向く。それが合図
 だった。 
・私は夫が怖くてたまらなかった。無視は突然に始まり、ある時は数日、またある時は数
 週間から数カ月、無言の日々が続く。ただ無言なのではなく、体じゅうから不快感を発
 散させている。無視の理由がわからない私は、悲しくて、ただ混乱するばかりである。
 そして、いきなり怒鳴られる。「お前、なんとも思わないのか!!」
・「釣った魚にはエサはやらない」という言葉がある。夫は、その典型と言えた。夫はケ
 チだった。ケチと言っても、外の人にはわからない。夫には夫の価値基準があった。自
 分に必要のある物は買い、そうでない物は買わなくていい。それが基準、例えば、自分
 が着るスーツは必要だからオーダーする。私が着る服は、不必要。夫は私が服を着替え
 ると、じっと見て、「それ買ったのか?」とよく聞いた。「ううん、前からもっていた
 よ」と私。夫は不満そうだが、それ以上は言わない。
・モラル・ハラスメントの被害者は、ほとんど例外なく体の不調を訴える。その多くは不
 眠、全身倦怠、頭痛、肩こり、腰の痛み、循環器の異常、激しい動悸、湿疹などである
 が、血液系、免疫系の病気をもっている人も少なくない。睡眠導入剤や精神安定剤が手
 放せなかった被害者が、ハラッサー(加害者)と離れたとたん、嘘のように病気が治っ
 てしまうという事例を、後年たくさん見聞きした。ストレスは万病のもとである。いつ
 夫が怒りだすかわからないモラハラ家庭にいる人は、戦場で最前線にいる人と同じくら
 いのストレスにさらされていると言われている。自殺未遂もまれではない。あなたの病
 気の原因が夫であると口では言っても、診断書にそう書いてくれる医師は少ない。だか
 ら生き延びたかったら、自分で自分を守るしかない。

「モラ夫」は自分も人も愛せない
・「モラ(モラル・ハラッサー)は突発性記憶回路障害」。ハラッサーの特徴である。平
 気で嘘をつき、さらに自分のついた嘘を本当のことだと信じ込む。事実を捻じ曲げ、相
 手を攻撃する。それが嘘だという証拠を相手が出してくると、逆ギレして暴れる。
・ハラッサーは、常に自分が中心なので、他人の痛みを理解することができない。そもそ
 も共感する能力がないという。にもかかわらず、ときにハラッサーが、人に対して優し
 い言葉をかけたり、人を助けたりすることもあるのはなぜか。それは、相手が「かわい
 そうだ」と思って助けるわけではない。彼らの行動はすべて、自分にとって損か得か、
 人から賞賛が得られるか否か、それによって決定される。お金にしろ、名誉にしろ、自
 分が得をすると思えば、がむしゃらに働く。良心がないから平気で嘘をつくし謀も何の
 苦もなくやってのける。だから、それなりに社会的成功を収めている人間も多いのだ。
・口の贅沢な夫のために、私の財布のエンゲル係数は50パーセントを超えていた。頼み
 の綱のボーナスは、全額、夫に渡さなければならなかった。「俺が貯金をしておいてや
 る」と夫は言った。「結構です」とは、もちろん言えない。
・20代、30代を中心に「ヒモラ」が増えているという。昔の「ヒモ」は、お金が目当
 てで近づくから、ぜびる相手にお金がなくなると、次のカモに鞍替えする。しかし、現
 代の「ヒモラ」は、昔のそれとは違う。自分も職業をもち一応収入があるのだが、その
 お金を家族のために使おうとしない。全部自分の趣味や持ち物に使ってしまい、それば
 かりか妻の収入もあてにし、自分の道楽に使ってしまう。
・高年齢層の場合、社会的ドメスティック・バイオレンス(DV)と言って、妻を家に縛
 りつけ、自由を奪うケースが多いが、若年層の場合は、むしろ妻を働かせ、その収入で
 遊び暮らすというパターンが非常に目立つようになった。
・妻がお金を出さなければ、拗ねて無視をしたり、物にあたったり、怒鳴ったりをくりか
 えす。それが怖い妻は、独身時代の貯金を取り崩して足りない分を補ったり、実家へ無
 心することでなんとかやりくりするが、サラ金に走る場合もある。それが膨大な借金と
 なって身動きがとれなくなり、相談所へ駆け込むケースもある。夫から売春を暗に強要
 される場合もある。金がないと訴えても、「やりくりがへただ」「無駄遣いが多すぎる」
 と夫は責め立てる。夫は好き勝手に遊びまわり、高級車をつぎつぎと買い換える。彼ら
 は家庭をもち、父親になっても、永遠に責任から逃れようとする少年なのだ。
・夫は、人の目につく仕事はするが、そうでなければしない。それはじつに撤退していた。
・母は「あの人のやっていることは、小学生のイジメと同じだ!」と吐き捨てるように言
 った。 
・モラル・ハラスマントのハラッサーは、ノーとは言えない相手にはひどく居丈高になる。
 たとえば、自分の部下やお店の店員、タクシーの運転手など、自分が絶対優位の立場に
 いると、無理難題を相手に押し付けることが多い。相手が「できません」などと言おう
 ものなら、いきなり怒鳴り散らしたり、イヤミなことを言ったり、意地悪を始める。
・モラ夫には、いくつかタイプがあるが、一番わかりやすいのはエリート型とヒモラ型で
 ある。エリート型は、文字どおり小さな頃から優秀で、苦労をまったく知らずに育った
 場合と、家の事情などで経済的に恵まれず、辛酸をなめながら成功した場合とに分かれ
 る。前者は人の痛みがわからず、後者は自分がした努力を他人にも強要する。そして、
 できなければ罵倒する。
 ヒモラ型は、自営業や芸術関係の人に多く存在する。自営業者は、無計画に会社を作っ
 てはみるが、自分中心のいい加減な経営で、結局うまくいかない。面倒なことは妻に押
 しつけて、失敗を人のせいにする。芸術家タイプは、小説家や演劇人などとして成功を
 夢見るが、地道は努力をしないため、成功にはほど遠く、そのイライラを妻にぶつける。
 彼らは、自分の思うように事が進まないと、すぐにキレる。なぜなら、彼らの頭のなか
 で自分の都合のよいサクセスストーリーが出来上がっており、その通りになると固く信
 じているからである。それが実現しないのは、まわりの人間が無能だから自分の才能を
 認めないか、自分の才能に嫉妬しているからにちがいないと思い込んでいる。
   
亭主関白という名の精神的暴力
・モラル・ハラスメントのハラッサーの特徴的な行動のひとつに、「後出しじゃんけん攻
 撃」というのがある。何かやれば「なぜやったのだ!」と怒り、やらなければ「なぜや
 らないのだ!」と怒鳴る。「これをやっていいですか」と聞けば、「そんなこと聞かな
 ければわからないのか!」、「聞かないと「なぜ聞かなかったのだ!」と叫ぶ。何をし
 ても、あるいは何をしなくても彼らは怒り、叱られた妻は縮み上がり、必死に許し請う。
 なぜ彼らは具体的に要求を言葉にしないのか。答えは簡単。それは、自分から指示を出
 してしまえば、攻撃材料がなくなってしまうからである。
・モラル・ハラスメントのハラッサーの大きな特徴のひとつに、「責任をとらない」こと
 があげられる。何か事件が起きても、それを全部他人のせいにしてしまう。DV殺人で、
 妻を殺しても「妻が口答えするのでカッとなって」と言い訳をする夫がその典型である。
 どこまでも自分は悪くない、口答えをした妻が悪いと彼らは主張する。それが報道され
 ると、「奥さんも口答えしないでハイハイと言っていればよかったのに」と、世間も加
 害者を援護する風潮がある。
・ハラッサーは口がうまく、外では「優しい、いい人」を装っている場合が多い。モラル・
 ハラスメントの仲裁に誰かが入っても、ハラッサーは上手に嘘をつき、言葉巧みに「相
 手が悪いから」といってのける。かれらに丸め込まれた仲裁者は、「奥さんもちゃんと
 しないと」と言い出し、まるで被害者のほうが悪いようになってしまうことがよくある。
 ハラッサー相手に調停、裁判を起こす場合は、彼らの性質をよくよく知っている弁護士
 に頼まなければならないという所以はこれである。
・ハラッサーは、「逆コナン」と言える。「名探偵コナン」は、体は子ども、頭脳は大人
 だが、ハラッサーの場合、体は大人、精神は三歳の子ども並みである。しかも困ったこ
 とに、権力をもち、知能は大人なのである。
・ハラッサーは、育ってきたどこかで、精神の成長が止まってしまったのである。まわり
 の人間は大人の姿をした三歳の暴君に振り回される。
・それは、小さな子どもだから許されることで、大きくなった彼らには、大人としての分
 別が必要なはずである。しかし、周囲の人間は口をそろえて、「男っていつまでも子ど
 もなのよ」「甘えたがりなのよ」と、男が子どもでいることを受け入れるよう女性に求
 める。どうして女に、いつまでも寛容で慈悲深い母親でいることを求めるのか。男に甘
 い社会DV。それが今日まで「モラル・ハラスメント」に支配された異常な家庭をそこ
 かしこに生み出した、大きな要因のひとつではないだろうか。
・「何で言われっぱなしにしているの?言い返せばいいのに」「自分の思っていることを、
 ちゃんと伝えなさいよ」そう助言する人は多い。だが実際は、言い返すことなど不可能
 だ。もし、一言でも言い返せば、百の罵倒が待っている。一日の無視で済むところが一
 カ月になる。なによりその攻撃が矛先をかえ、子どもに向かうのが一番つらい。
・子どもに向かって、お前の母親はどんなにダメな人間か、最低な母親か、延々と夫は話
 して聞かせる。幼い子どもは、「お母さんがちゃんとしていれば、お父さんは怒らない
 のに」と母親を恨むようになる。成長した子どもが、「こんな父親から母を守りたい、
 救いたい」と脱出に手を貸そうとすることもある一方で、父親と一緒になって母親をい
 たぶる子どももいる。 
・DV家庭で一番問題なのは、そういう夫婦関係を見て育った子どもが、親と同じふるま
 いをする、いわゆる「負の連鎖」」状態に陥ることである。つまり、母親を愚弄する父
 親を見て育った子が、自分の母親を罵倒し、結婚すれば、妻や子に同じことを繰り返す。
 それが家庭の「負の連鎖」である。もちろん、「自分は絶対あんな親になるものか」と、
 育った環境を否定し、理想の親になる人も少なくない。どの方向へ子どもが進むか、わ
 からない。自分がしっかりしてさえいれば大丈夫、と言う母親もいるが、そう簡単なも
 のではないと私は思う。
・ドメスティック・バイオレンス(DV)は、一般的に、身体的暴力ばかりが先行して伝
 えられて、誤解を招いているが、殴る蹴るの暴行に限らない。DVは、主に身体的暴力、
 精神的暴力、社会的隔離、経済的暴力、性的暴力の五つに分けられる。身体的暴力をふ
 るう人間は、この五つのDVすべてを行っている場合が多い。そして、身体的暴力を受
 け入れる人は、一様に精神的暴力のほうがつらかったと証言している。
・傷ついた体はいつか治る時が来るが、心の傷はいちまでもじくじくと膿を溜めている。
 加害者の発する刃物のような言葉で精神的に大きなダメージを受け、PTSD(心的外
 傷後ストレス障害)を抱えてしまう人もいる。非難され、人格を否定され、谷底に引き
 ずり落とされてしまう。自分さえしっかりしていればと頭で思っても、真綿で首を絞め
 られるがごとく、妻も子どもも、じわじわと心を破壊されていくのである。
・DVのひとつ、「社会的隔離」とは、妻を孤立無援にさせることで、DVを行いやすく
 するために血縁者、友人知人との交際を妨害または禁止することである。ハラッサーは、
 巧みに妻を孤立させる。主婦のうつ病や自殺、もしくは自殺未遂の理由を調べれば、き
 っとたくさんのモラル・ハラスメント被害者がいるにちがいないと私は思っている。
・モラハラ被害者の特徴
 ・責任感が強い
 ・争いを好まない
 ・人の役に立つことをするのが好き
 ・基本的にまじめ
 ・劣等感を持っている。向上心がある。
 ・明るくて聡明
 ・我慢強いがんばり屋
 ・小さな幸せで大きな満足を持つ

私たちの苦しみには名前があった!
・モラル・ハラスメントの被害者がモラハラ禍から脱出するのは短い人で数週間、長けれ
 ば何十年とかかっている。モラハラという言葉を知らなくても、「耐えられない」と家
 を出、離婚する。社会的に孤立させられている妻の味方になり、援助の手を差し伸べて
 くれる実家があれば、離婚までの期間は短い。しかし親族は利害関係があるので、共感
 を得るのがむずかしいこともある。古い土地柄だったりすれば、「家族に離婚者がいる
 のはみっともない」とか「離婚して家にもどらてると世間体が悪い」などといった理由
 で、娘さえ我慢すれば世の中うまくいくと我慢を個人に押しつけ、自分たちの体裁を保
 つことにやっきになったりする。実家が脱出に協力的かどうかがモラハラ禍からの脱出
 において重要な部分であることはまちがいない。
・モラル・ハラスメントとは精神的暴力のことである。その攻撃方法は狡猾であり、つね
 に密室で行われる。最初、加害者は魅力的な人間として近づき、相手が自分から離れな
 いとわかった瞬間、態度を豹変させる。加害者が被害者に求めるのは服従であり、その
 ためには手段を選ばない。暴力は伴わず、言葉と態度で相手を貶め、混乱させ支配下に
 置く。加害者が服従を求めるのは、常に自分が相手より優れているという優越感を持続
 させなければ、自身が持っている劣等感に押しつぶされてしまうからである。被害者は
 加害者が常に優越感にひたっていられるよう、従属させられる犠牲者である。だからと
 いって、常時、虐待を加えているわけでもないし、ときには褒め言葉やプレゼントなど
 の恩恵がある場合がある。それは、相手を逃がさないためのアメであり、アメをもらう
 喜びを知ってしまった被害者は相手に対して「悪い人ではないのだ」という感情を持っ
 てしまう。加害者は相手の感情を自由に操る天才なのである。
・モラル・ハラスメントの加害者は、二面性を持つことが多く、他人の前では「いい人」
 を装う。そのため、まわりの人も悪いのは被害者であり、加害者こそ被害者であるよう
 に見えるので、なかなか理解が得られないし、被害者本人も相手を怒らせるのは自分の
 せいではないか、未熟のせいではないかと罪悪感をもってしまう。そう思わせるように
 加害者は「お前にために言っているんだよ」「俺を怒らせるようなことをするお前が悪
 い」などと責任を転嫁する。悪いのは、常に相手であり、それを証明するためならどん
 な嘘でもつくし、本人自身それが嘘だという認識すらない。しだいに被害者は畏縮し、
 自分の意志で動くこともできなくなり、加害者の小さな動作ですら恐怖感を覚えるよう
 になる。他人は利用するためだけに存在し、利用価値がなくなれば情け容赦なく切って
 捨てる。共感能力が欠如しており、他人の痛みを思いやることができない。
・一見するとみんな同じように見えるハラッサーだが、子細に見ていくと少しずつ違って
 いる。無視をするのをA、怒鳴り散らすのをB,食事に文句を言うのをC,怒ると妻の
 料理を食べなくなるのをD,生活費を渡さないというのをE、同じ場所へかならず家族
 旅行に行くのをF、妻子が病気をすると怒るのをG,ケチがH、・・・・というように
 行動様式を項目別に分けると、ある家ではACEJK、別の家ではBCDFH、という
 ように、その組み合わせはさまざまだった。100のモラハラ家庭があれば、100の
 パターンがある。 
・離婚には、協議と調停と審判、そして裁判がある。夫婦が話し合いによって離婚を決め
 るのが協議離婚、家庭裁判所で調停委員を交えて話し合って決めるのが調停離婚、それ
 でもお互いの主張が食い違った場合は審判離婚へと進む。審判による離婚はめったにな
 く、調停が不調になれば裁判に移行するという。モラル・ハラスメントでは、「自分の
 都合のいいようにコロコロと意見を変え、嘘をつく加害者との離婚は、調停になる場合
 が多い」とのことだ。
・夫やパートナー、恋人、婚約者など「親密な」関係にある(またはあった)男性からの
 暴力に苦しむドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者は、加害者のよる一時被
 害に加え、さまざまな所で「二次被害」にさらされる。「殴られるあなたが悪い」「多
 少の暴力はどこにでもある」「妻は夫に従うべき」などと、救済を求めた司法関係者(
 調停員、裁判官、検察官、弁護士)や警察官、生活保護担当者等の言動によって、さら
 に深く傷つけられる被害者が後を絶たない。身体的暴力による傷のように目で見てわか
 る証拠があれば、周囲もDVと気づくが、外から見えないモラル・ハラスメントの場合、
 第三者に理解を求めるのはいっそう困難である。モラル被害者は、何とか他の人にわか
 ってほしいと訴えるが、「話し合えば理解し合える」「話し合いの仕方に工夫が必要」
 「どこの家もみんな同じ」などの一言で片づけられてしまう。親兄弟が親身になってく
 れればよいが、親も夫にだまされている場合が多々ある。「あなたも悪いところがある
 んじゃないの?」「そういう気の強いところがあの人の気にさわるのよ。自分を変えな
 さい」と見当はずれなことを言われ、さらに傷が深くなってしまう。これは近親者によ
 る「二次被害」である。加害者は世間的には「いい人」で通っているので、「まさがあ
 んないい人がそんなことをするはずがない」と知らない人は考える。
・友だちからも親族からもわかってもらえず、被害者は孤立感にさい悩まされることに
 なる。転勤族などでまわりに友だちがいなかったり、小さな子どもがいて、なかなか外
 に出て気分転換をはかることができなかったり、妻自身が内向的な性格だった場合は、
 ノイローゼやうつ病になる危険性が高くなり、最悪の場合は自殺に走ることもある。自
 殺してもその原因は「ノイローゼ」で片づけられてしまい、真実は闇に葬り去られてし
 まう。一番重要なのは、自分が受けているのはモラル・ハラスメントであることに気づ
 くことである。そして、わかってくれそうな人にモラル・ハラスメントのことが書いて
 ある本や資料を見て、自分に起こっていることを事実だけ淡々とは語っていただきたい。
 
離婚調停に向けて臨戦準備
・被害者にとって、いい医師、いいカウンセラー、いい相談員に当たるかどうかは、その
 後の経過を大きく左右する。とくに心療内科や精神科は、医師によってその対応はまっ
 たく違うと聞いた。多くの病院は、五分話を聞いて薬を処方するだけよ、と言う人もい
 た。なかには「あなたがもっと夫を理解すればいい」と言う医師や相談員もいる。
・離婚調停には、調停員がいる。男ひとり、女ひとり、民間から任意で選ばれ、任命され
 る。というのは表向きで、実はそれなりの地位のある人が知り合いを紹介し、裁判所が
 履歴書などを審査し、名誉職としてその地位につくのが慣例という。五十代以上の中高
 年が多く、封建的な考え方をして、人が傷つくようなことを平気で言う人も少なくない
とのことだ。
    
モラル・ハラスメント
・家庭内モラル・ハラスメントを、ジェンダーの問題と言う人は多い。確かに家庭内モラ
 ハラは、ジェンダーの問題とは切っても切り離せない。長い間の家父長制が、「亭主関
 白」の名を借りて、夫の横暴を許してきた。そのうえ、悪いのは夫ではなく、それを許
 さない妻のほうだと世間は言う。夫は手のひらで遊ばせるものなのだと、妻たちはたし
 なめられてきた。 
・夫は何をしてもよかった。暴力を振るえば、「叩かれるようなことをする妻が悪い」
 「どこの家でも一発や二発あるものだ」「女は口が達者だから殴って教えるんだ」と言
 う。調停という公の場で、夫はそんな言葉を堂々と言い放つ。それを許す空気が「世間」
 にはある。妻たちは沈黙し、涙を飲む。
・妻たちが耐えきれず、離婚をしようとすれば、「片親の子どもはグレる」「妻さえ我慢
 せれば丸く収まる」と、責められるのは妻ばかり。ひたすら夫のため、子どもたちのた
 めに耐え忍ぶ妻が賞賛されてきた。子どもは、親の言いつけは絶対と言われ、体罰はし
 つけとされてきた。その歪んだ関係のなかで妻の心と体は蝕まれ、子どもへの人格はガ
 タガタに崩壊していく。家庭内のモラハラは、クモの巣のように拡がって、学校へ、職
 場へと連鎖し、今、社会はその脅威におびえている。
・2006年4月号「AERA」には、「調停員は何様なのか」という記事が出た。その
 なかに、「調停員の手当は1日15,950円を上限に、時間に応じて支給される」と
 あった。仕事をリタイアし、暇をもてあましている老人たちに、「調停員」という肩書
 が与えられ、彼らはこの報酬を受けとる。父親が調停員をやっているという方からの投
 稿では「元教員の父が調停委員をしているのは、裁判所の門をくぐる晴れがましさから
 だけです。月に何度もほかの調停員と夜の町を、お互い「先生、先生」と肩をたたき合
 いながら飲み歩くのです」という内容のものもあった。すべての調停員が悪いわけでは
 ないだろう。なかには人格者もいて助けられたという証言もある。だが残念ながら、
 「悪いのはごく一部」というわけではなさそうだ。調停委員が問題なのは、その選出方
 法にある。元教員、警察官あるいは有力者の妻など「地域の「名士」的存在の人が多い」
 とある。民事調停委員および家事調停委員規則第一条に定められた「人格識見の高い」
 者ではなく、実際には社会的地位がそれなりに高かった者、あるいはその配偶者が任に
 つく。そういう人が「先生、先生」と呼ばれてその気になってしまうと、もうどうにも
 ならない。法的知識もなく、豊かな人生経験で培われた暖かい人間性もなく、ただ知っ
 たかぶりをしたり、説教を始めたりする。調停そのものは、安価で、第三者を入れて話
 し合いができる。悪くない制度であるだけに、ひじょうに残念だと思う。
・ハラッサーは変わらない。
・一番大切なのは、本人が自ら離婚を決心するまで周囲は意見を押しつけず、そっと見守
 るというスタンス周囲が持つことである。離婚を決めるには誰かに無理強いをされるの
 ではなく、自分で決心することが大切になる。自分の意思で決めなければ離婚後に後悔
 が待っている。私がそうだった。離婚直後は、「これしかなかったのか」と思った二秒
 後、「これしかなかった」とつぶやく。しばらくはその繰り返しだった。自分の意思で
 離婚を決めなければ、「私に離婚を勧めたあの人が悪い」と、いつまでも回復できない
 ことになる。必要なのは「私はあなたの気持ちがよくわかる」という共感である。
・モラハラ加害者の特徴
 ・家のことはすべて自分中心に回らなければならないと思っている
  ・家族の予定は無視。自分の欲求のみを押し付ける。
  ・自分の欲求はほのめかすだけできちんと言わない。
  ・家のすべてを支配し、言うことを聞かせるために、長期間無視したり、妻の作る料
   理をわざと食べないなどの嫌がらせをする。
  ・暴力は伴わない。
 ・人と比べて自分がいかに優れているか自慢する。
  ・いかに自分が有能であるか、人から尊重されているか、どんな小さなことも取り上
   げて自慢する。
  ・同調し、褒めてやらないと不機嫌になる。
 ・人を利用することを何とも思っていない。
  ・他人に対する評価基準は、自分にとってその人が利用できるかできないかだけであ
   る。
  ・利用できない相手は人間は相手にしない。
  ・利用できなくなった人間は冷たく捨てる。
  ・妻のことは使い減りしないモノとしかおもっていないので、妻はさんざん働かされ
   る。
 ・人の痛みに鈍感だが、自分の痛みは大げさに表現する
  ・家族が病気になっても無関心、あるいは本人の自己管理が悪いと怒る。
  ・自分が病気になると大騒ぎする。
 ・嫉妬心が強く、人の行動を制限したり、チェックしたりする
  ・親兄弟や友人に会うことを妨害したり、しつこく電話して在宅を確認したりする。
 ・話し合いを否定する。たとえ話し合いをしても、常に自分が正しいという態度で、都
  合が悪くなると話を過去に戻したりして巧みにごまかす
  ・家事の不出来や子どもの躾がなっていないなどといった関係のない話を持ち出して
   悪いのは妻だと思わせる。
 ・平気で嘘をつく
  ・自分が正しく他人が間違っているようにし向けるためには、どんな嘘でもつく
 ・二面性がある。
  ・外面がよく、家の外では法や常識を遵守し、人に優しく世界中の人を愛しているか
   のように振る舞うが、一歩家に入るとガラリと性格が変わる。
  ・親兄弟にさえ「外の顔」を見せる。
  ・本当の顔を見せるのは妻子だけで、決して他の人からはわからない。
 ・勝ち負けにこだわる
  ・どんな小さなことにも勝たなければならない。
  ・勝つためには事実をねじ曲げたり、恫喝したり、あらゆる手段を使って「私が悪か
   った、間違っていかもしれない」と相手に言わせる。
 ・モラ夫はケチ夫
  ・モラ夫はケチである。
  ・ほかの人からはそう見えないかもしれない。なぜなら、彼は自分の好きなことや好
   きな人には大盤振る舞いをするからである。
  ・自分の親、親戚、友人には気前よく使うお金が、自分の妻子にはもったいないと感
   じている。 
 ・人に共感できない
  ・人の喜び、痛み、苦しみに共感することができない。
  ・妻も病気になったり、疲れたり、時間は同じ24時間しかなかったり、同時に二カ
   所に存在できないことが理解できず、具合が悪かろうが、ほかに用事があろうが、
   自分の要求に応じさせる。
 ・子どもを利用する
  ・妻を思うように支配できない場合は、代わりに子どもをいじめたりする。
  ・子どもの前で妻を怒鳴りつけたり、悪口を吹き込んだりして子どもを洗脳する。 
 ・大切な物を捨てたり、ペットをいじめたりする
  ・妻が大事にしている物を適当な理由をつけて捨てたり、かわいがっているペットを
   いじめたりする。
  ・自分のしたことで妻が悲しそうな顔をすると、自分がとても大きな力をもっている
   ように感じるからである。
 ・妻が不機嫌なのは嫌い
  ・モラ夫は妻が不機嫌なのは許さない。
  ・妻は(心を)殴られても蹴られても、ニコニコと笑って立ち上がらなければならな
   い。
 ・食事にうるさい
  ・食事に対して異様に執着する。内容はもちろんのこと、それを作るのに妻がどれだ
   け気を配ったかを重んじる。手抜きは許さない。
 ・健康マニア
  ・モラ夫が一番怖いのは「死」である。だから、普段は「俺はいつ死んでもいい」と
   言いながら、せっせと健康グッズを買い揃え、健康番組をチェックする。
  ・人間ドックも毎年入り、自分の健康状態を家族が心配しないと腹を立てる。
 ・冠婚葬祭が好き
  ・大勢の人が集まる冠婚葬祭は、モラ夫の晴れ舞台。忙しく立ち回り、いかに自分が
   儀式に精通しているかを自慢する。
 ・人にものを聞くのが嫌い
  ・モラ夫は自分が世界で一番偉いと思っているので、誰かに教えてもらったりするの
   が大嫌いである。結果、積極的に何かに挑もうとすることが少ない。やって失敗
   するくらいなら最初からやらない。
  ・あとから「あの時やっていたらできていたのに」と、負け惜しみを言う。
  ・その反面、人に教えるのは大好きである。
 ・言葉で冒とくする
  ・モラ夫は相手が「絶対人には言われたくないこと」を探り出す天才である。そして
   その部分を徹底的に言葉で攻撃する。
  ・相手の弱いと思う部分を集中的に攻撃する。相手に言い返せばモラハラが始まるの
   で黙って聞くしかない。
  ・その攻撃は妻が「すべて私が悪かった」と言うまで何時間でも続く。  
 ・自己紹介する
  ・「言葉で冒とくする」というのは、モラ夫自身のことかと思える場合が数多くある。
  ・モラ夫は他人を鏡のように使って自分のイヤな部分をいい表す。 
 ・いつも怒っているわけではない
  ・何週間も口をきかないというのは、日数にすればそれほどのことではない。普段は
   外にいる時と同じようなので、妻は、夫は実はいい人で、自分のせいで怒らせてし
   まったのではないかと思う。
 ・レポートを書かせる
  ・小言の後に「反省文を書け」「レポートを出せ」と妻に命じることがある。
  ・モラ夫はこうすることで、自分が相手よりも上の人間だと思い込ませたいのである。
 ・おだてに弱い
  ・ヨイショされる木でも天でものぼるので、「はぜこんなバカな誘いに乗るのか」と
   いうような話に簡単に飛びつく。