「自転車生活の愉しみ」 :疋田智

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 この本は、自転車生活に入る人のために書かれた本である。自転車に乗るということ
はどういうことなのかから始まり、どんな自転車を選んだらいいのか。自転車とはどん
なパーツから出来ているのか。自転車はどんな乗り方をしたらいいのか。自転車の手入
れはどうしたらいいのかなどなど。自転車生活の初心者にとって、とても参考になる内
容が多い。
 それから、筆者が自転車先進国であるヨーロッパの自転車事情についても書かれてい
る。ヨーロッパの国々と比べると、日本がいかに自転車後進国であるかがわかる。とも
かく自転車乗りを趣味としている私にとってはバイブル的な本である。

はじめに
・自転車に乗るのは楽しいよ。風をきって自分の力で道路を進むのは気持ちがいいよ。
・自転車の魅力は、本来、人が歩く5倍6倍のスピードを、自分の脚力以外に何の動力
 もなく、楽に出せるところにある。
・健康、環境に貢献する。それもいい。だが、それ以上にその自由さ、楽しさは、きっ
 と自分自身のアタマも活性化させてくれる。

目下のところの東京自転車環境
・自転車というものが、車道ではクルマに邪魔にされ、歩道に上がると歩行者から危険
 扱いされる。そんなあり方は、やっぱり間違ってるよ。

でも自転車の乗るのだ
・自転車に乗って会社に行ってみませんか?
・ダイエットにも抜群に効きますよ。そして、身体がスマートになるだけでなく、ココ
 ロまでスマートになりますよ。
・毎日、サドルに跨るようになってすぐに、私は東京にも季節があることを発見した。
・自転車通勤が、都市生活者にもたらすもう一つの恩恵は、こうした寄り道の良さ、つ
 まり「通勤」を「苦行」から「自由な楽しい時間」に変えてくれることだ。
・今まで意味もなく放棄していた季節と自由。そして、それがどんなに素晴らしい権利
 であるかに、今更ながら気づくのだ。

「自転車生活」をライフスタイルに
・東京、そして日本はもうクルマに甘えている場合ではないと思う。これだけたくさん
 の車を生産して世界中に輸出してきた。そして我々はなにがしかの豊かさを手に入れ、
 今、便利な生活を営んでいる。だが、その生活を支えてきたクルマたちが、世界中で
 有害物質と二酸化炭素を吐き出している。
・ようやくクルマを手に入れ始めた途上国に、ストップをかけることは恐らくできない。
 我々がそうしてきて、彼らの羨む生活を手に入れたのだから。ならばできることは何
 か。それは我々自身がスリムになることだろう。
・だいたいこの東京で、人間を運ぶだけのためにクルマに乗ることが必要だろうか。今
 の量のクルマがこの街に必要なのか。
・自転車に乗ればいい。そうでなくても電車に乗ればいい。無駄を減らず、ゴミを減ら
 す、排気ガスを減らす、街の贅肉をそぎ取る必要があるのだ
・自転車で通勤する人々は、やがて何かにきづいていく。ある人は季節の移り変わりか
 もしれないし、ある人は交通システムの不備かもしれない。でも、やがて共通して気
 づいていくのは、会社と自宅が地続きで、ワケの分からないシステムを内蔵するこの
 巨大な街も、同じ地べたの上に張り付いていることだ。

大きさと重さ
・大抵のママチャリは17〜20キロ程度の重量がある。ホームセンターなんかで「大
 特価9800円」なんて書いてある手合いのものは、まず20キロ以上ある。
・3万円程度の「フルサスMTB」は最低でも18キロはある。
・10キロから15キロの範囲内、なるたけ10キロ寄り、10キロを切ったらもっと
 いい、というところが常識的なところだと私は思う。

タイヤと直径と幅について
・私のオススメは700Cという一般的な自転車の中では、最も大きいサイズのもの。
 これはなかなか快適に走ります。
・基本的にママチャリの太さは、やはり幅がありすぎる。軽快さを損ねる。乗り心地は
 悪くないけどね。
・空気を入れた状態で20ミリとか32ミリ、52ミリなど色々あるけど、30ミリ弱
 程度が乗り心地とスピードのバランスが取れてて街乗りにはオススメだ。
・私の好みは「700C×23C]だ。
・オフロードのブロックタイヤは、街乗りの中ではあまり役に立たないので、これまた
 ちょっと見のワイルドさに惹かれて飛びつかないように。街乗りではツルツル目のタ
 イヤの方が全然快適よ。

ディレイラー
・後ろ7段、前3段の21スピードってのが大流行。でも、前2段後9段の18段のほ
 うがはるかに高性能なのよ。
・で、見るべきは段数じゃなくて、リアディレイラーの歯車の大きさの差だ。

ブレーキ
・一番お金をかけるべき部品はブレーキだ。多少大袈裟に言うと、我々はこの小さな部
 品に自分の命を預けている。多少なりともいいものを選びたい。

サドル
・自転車とより仲良くなれるかどうかを決めるのは、サドルである。と、そう言い切っ
 てしまっても過言ではないほどサドルは重要なパーツだ。これはほんとのことで、ち
 ょっといい自転車を買ってみた初心者が「痛いからいやだ〜」と最初に言い出すのは、
 脚でも腕でもなく、ケツ。これは誰にとっても事実だ。
・硬くて細いロードレーサー用のサドルじゃなくて、柔らかいものをピックアップしよ
 う。専門店で大体3000円ぐらいから。ゲル入りのものなどは比較的オススメ。柔
 らかくて。
・それと最近多いのが、真ん中に縦の溝が入っているタイプ。最初のうちは少し違和感
 があったりするけど、慣れてくると快適きわまりないです。私に言わせても、目下の
 ところこれが一番オススメだ。
・いずれにしろ、自転車に乗る生活、というのに慣れてくると、ケツの痛さなんて、い
 つの間にか忘れてしまうもの事実だ。何度も言うけど、要は慣れなのだ。

ロードレーサー(ロードバイク)
・一番最低のランクでも10万円弱。コンポーネントに、それなりのものを使ったり、
 フレーム素材がちょっといいアルミ系だったりすると、すぐに15万円以上になって
 しまう。

クロスバイク
・値段も4万〜15万円というところでなかなかリーズナブル。8万円も出せば、かな
 り満足のいくクロスが買える。
・街乗り自転車の王道は結局のところこのタイプだと私は思う。
・毎日の「自転車生活」と銘打った上では、一番のオススメはずばりこれ。誰が乗って
 もそこそこの満足は得られるはずだ。

上り坂
・上り坂のコツはただ一つ。「ゆっくりと上ること」だ。ギアを一番軽い歯にあわせて、
 ゆっくりと上る。これだけで上り坂は画期的に楽になる。

下り坂
・むしろ坂で危険なのは、下り坂だ。スピードを出し過ぎに注意なのは当たり前のこと
 だけど、一番気をつけるべきは、側道から出てくるクルマとの出会い頭だ。
・街乗りの下り坂はスピードを出しすぎちゃだめ。数字で言うと時速40キロまで。こ
 れを超えると危険だ。
・下り坂は小刻みにブレーキをしつつ、ゆっくり目を心がけること。もう一つ、なるた
 け前輪に重心がかからないように、腰を後ろにずらしてブレーキを握るのもコツの一
 つだ。要するに「ぺっぴり腰スタイル」で適度な力でブレーキを握る。


・自転車は風の影響をホントに受けるのだ。空気抵抗が大きい。
・向かい風にどう対処すべきか。この結論は一つしかない。あきらめる。残念ながら対
 処法はこれだけ。ギアを軽めにして、風に負けずにひたすらペダルを踏もう。

車道を走ろう
・そもそも自転車は道路交通法上、軽車両に属するわけで、基本的には車道を走るべき
 なのだ。
・海外の先進各国で、自転車をおおっぴらに歩道走行させているのは、実は日本だけで
 あるということは知っておいた方がいい。

どこに置く
・マンション住まいで、結局のところベランダに置いている。

荷物はどこに?
・最も一般的なのは、背中にリュックを背負うことだ。

ポタリング
・身近な地域、30キロとか40キロとかをのんびりのんびり走る極小旅行。自転車お
 種類はそれこそママチャリでも充分だ。とのかく気軽に手軽に、でも、いつもだった
 ら来ないよなあ、というような街を走ってみる。意外なほどたくさんの発見や収穫が
 あるはずだ。
・都内にもポタリングに適した目的地はたくさんあるぞ。とりあえず、週末に東京北東
 のはずれ「水元公園」などに出かけてみてはいかが。

サイクリングロード
・東京で言うと、「タマサイ」多摩川サイクリングロードと「アラサイ」荒川サイクリ
 ングロードの代表的な二種類がある。特にアラサイは金八先生が歩いた道。

怒涛のヨーロッパ自転車紀行
・ボンの街の中央部は、ヨーロッパのこの辺りの都市のご多分に漏れず、石畳でできて
 いてクルマは容易に入れないし、中心部を離れた車道にはきちんと自転車レーンと自
 転車専用信号機が用意され、そこを自転車は通る。クルマ側は自転車にちゃんと遠慮
 する。自転車というものが、交通システムの中にきちんと組み込まれている。
・クルマは自転車に遠慮して走らなくてはなりません。これは現代の交通の鉄則です。
 なぜならクルマは自転車に対して、より「正義のない」移動手段だからだ。
・日本の街々が、往々にして自転車で走りにくい原因の一つは、乗る人のマナーにもあ
 る。右側通行、無灯火、二人乗りなどなど、いちいち取り上げる必要もないぐらいに、
 日本の自転車マナーはデタラメだ。
・それはきっと交通システムの中の自転車の立場、というものに問題があるからなのだ
 と思う。自転車の位置づけがきっちりとできて、権利と義務と責任というものが明確
 になって初めてマナーというものは確立されるものだ。
・自転車の事故は、クルマが関わらない限り、滅多に人命を損なわない。エコロジカル
 であるというだけでなく、コレも特筆すべきことだと思う。
・日本では年間8000人が交通事故で死亡する。1日20人強が全国のあちこちの路
 上で命を落としている。その主因はもちろんクルマだ。日本に限らず世界中の人々が、
 この事実があまりに当たり前であるということに麻痺してしまっている。
・自転車の活用は確実にその悲劇を劇的に減らすことに役に立つ。もちろんインフラを
 整えることを前提としてだが。
・木漏れ陽の中を自転車で走ることの何というすがすがしさ。森の木の葉の吐く酸素が、
 あたりに充満しているのを、鼻が舌が感じる。それを吸い込んで、自らの肺から、少
 量の二酸化炭素を出す。その空気の循環の中には窒素化合物も二酸化硫黄もない。
・慢性的な渋滞の中で、東京都心の移動スピードは、実はまったく自転車に劣る。クル
 マ以外の交通機関を利用しても同じことで、都心、山手線内の移動スピードは自転車
 に優るものは存在しない。急いで急いでと思いながらも、実はその程度のもの。
・無駄に目を吊り上げて、無駄に燃料を使って、でも現実はそんなものなのだ。いつも
 忙しがっているのに、実は何もしていない上司、なんて人があなたの会社にもいませ
 んか?私にはそういう上司と、東京の姿とが重なって見える。
・そりゃロードレーサーの細いタイヤなんかで爆走しちゃダメだ。でも、郊外ならいざ
 しらず、街の中心部をそんなスピードで走る必要なんてあるんだろうか。歩行者にも
 危ないよ。ボクは都心での自転車のスピードは歩行者の3倍から4倍程度でいいと思
 っている。
・自分の人生の価値基準の中で、ある種の優先順位をつけること。それは人が成熟する
 ということと、ある意味、同義だ。そして、その中で「これだけは譲れない」という
 市民意識が自然に、生まれてくる。小さな不具合は捨てても、譲れない大きな何かが
 ある。オランダの場合、それが地球環境で、都市環境で、とりもなおさず、自転車的
 なる何かだったのだ。
・環境のため、健康のための自転車。だけど、当たり前のことなのだけど、自転車は別
 に空気清浄機でも何でもないのだ。自転車が環境に貢献するのは、別に自転車自体が
 環境に良いわけではなく、今までクルマに乗っていた人が、クルマを降りて自転車に
 乗るからなのだ。排気ガスが減るのはあくまでその結果なのである。ヨーロッパの各
 都市が「自転車を優遇する」のと同時に「クルマを制限する」という方向に政策を転
 換しているのは、そういう意味で、まさに整合性がある。
・たとえば現在の首都高の高架の下に、もしくは首都高の真ん中を壁で仕切って、自転
 車道を作ってみる。信号機のないアスファルトの道は、普通の人間が漕いで、平均時
 速25キロは出せる。ちょっと慣れれば30キロも楽勝だ。これは現在の首都高の平
 均時速を10キロ以上上回る。