田舎の家のたたみ方  :三星雅人

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今、日本の田舎が壊れようとしている。いや、どんどん壊れていっている。人口がどんど
ん都市に集中し、田舎は過疎化につぐ過疎化で、人がいなくなっている。若者は田舎を出
て、田舎に残っているのは、ほとんどが高齢者ばかりだ。田舎がどんどん廃墟化していき、
人が住まない地域がどんどん拡大していっている。
都会にだけ住んでいる人には感じられないかもしれないが、まさに日本の田舎は、どんど
ん壊れているのである。
このまま進めば、将来的には人は都市にだけしか住まないことになるだろう。しかし、果
たしてそういう社会は、住みよい社会なのだろうか。
田舎を出て都会に出たが、残った田舎の家をどうしたらいいにかと、悩んでいる人も多い
のではと思われる。できるなら、思い出深い田舎の家を、そのまま残しておきたいという
気持ちもあるだろうが、人の住まない田舎の家を維持していくのも、なかなかたいへんな
ことのようだ。思い切ってたたむことに決めても、それもまた、なかなかたいへんなこと
のようである。田舎に残っている、あの家をどうしたらいいのか。悩ましい問題である。

はじめに
・現在、日本中で空き家が増加しています。2008年の住宅・土地統計調査によると、
 空き家の総住宅数に占める割合(空き家率)は、13.1%にのぼって過去最高となっ
 たそうです。
・2010年度の国勢調査によると、65歳以上の総人口に占める割合は23.2%と、
 過去最高でした。
・人口の半分以上を65歳以上の高齢者が占める集落を「限界集落」といいます。そのま
 ま推移すると冠婚葬祭ができなくなり、インフラも途絶えて「廃村」になる集落です。

田舎の家の土地、把握していますか?
・宅地や家屋は地方法務局へ申請し、財産として登記します。申請の際に必要なものは所
 有権移転登記申請書、相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、固定資産課税評価証明
 書、登記簿謄本または権利証。その他、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明、住民
 票の写し、あれば遺言書も。固定資産課税評価額の1千分の4が登記の費用としてかか
 ります。
・法務局で不動産登記簿をみてビックリということもあります。ずっと固定資産税を払っ
 ていたにもかかわらず、不動産自体は何年も前に亡くなった人のもののままとなってい
 ることがあるのです。いわゆる「未相続」で、これは田舎では意外と多いのです。

空き家の放置はマイナスだらけ
・田舎の空き家を管理してもらうために、地元の土木業者や不動産業者などが副業として
 始めている「空き家管理サービス」に依頼できる場合があります。年間契約から1回実
 に行ってもらって1万円弱、といった契約までいろいろあります。
・住んでいなくても地域とのつながりを保つため、区費を払っている都会人の例もありま
 す。
・税金の他にも、空き家をきちんと維持するには様々なお金がかかります。
・全国の各市町村において、「空き家バンク」が活動するようになりました。放置家屋の
 弊害を憂慮した地方自治体がそれを賃貸・売買物件として紹介し、新住民の定住促進を
 行う事業です。

貸家にする?農地・山林はどうする?
・田舎の物件となるとまったく事情が異なります。多くの場合、流動性が極端に低く値が
 つけられない。一口に財産とはいえないのが田舎の不動産なのです。田舎の不動産を処
 分して一財産作りたい、と期待しても、たいがいの場合は裏切られます。田舎不動産に
 は「相場」がないため、結果的に小遣い程度にしかならないケースも少なくないのです。
・あなたが実家を貸し出そうとして駅前の不動産者に問い合わせをしても、相手にしてく
 れる可能性は低いでしょう。理由は簡単、田舎の家賃は月5万円以下が当たり前で、1
 万〜3万もザラです。法的に不動産者の手数料は貸し主・借り主から合わせて家賃1ヵ
 月分しか取れないため、仲介しても赤字になりかねないのです。
・「近々必ず買うからその前に体験的に住まわせてほしい」などの要望に応えて貸してし
 まうと、マイホーム(居住用財産)として売る場合に期限限定で受けられる3千万円の
 譲渡税の特別控除が受けられなくなります。
・故郷に残した家を貸す・・・一見いいアイデアに見えますが、空き家バンクなどの協力
 なしに「いい借り手」と出会い、代わりに住んでもらって適当な時期に出て行ってもら
 おうというのは、虫のいい考えといえそうです。
・家賃の回収が大家の仕事になることを考えると、リスクや手間がバカになりません。家
 を貸す選択肢は、地元とのつながりが残ることや、多少の収入と建物の維持が見込める
 だけと考えていいでしょう。
・登記簿上の地目が「田」または「畑」となっている土地の場合は、「農地法」も関係で
 簡単には売ったり譲ったりできません。
・最も宅地に転用しにくいのは「農振地域」にある田畑です。
・空き家を取り壊そうと思っても、取り壊しに200万円とかかかってしまいます。
・農地もさることながら、山林はもっと大変です。土地がある限り固定資産税はかかり、
 まるでコストに見合いません。かといって固定資産税を払わないでいると、いずれ市町
 村からあなたの財産の差し押さえの通知が来ます。「じゃ代わりに山林をもっていって
 よ」と頼んでも、山林の物納による清算は認められません。
・山林は農地よりさらに暗澹たる状況ですが、ふり返ると、前後日本が工業化と都市集中
 を進めてきたツケが田舎の様々な部分にわだかまっていることがわかります。
・農地よりさらに暗澹たる山林の現状を見てきました。ふり返ると、前後日本が工業化と
 都市集中を進めてきたツケが、田舎の様々な部分にわだかまっていることがわかります。
 お金と手間暇がかかるから、目を背けて現状維持する。放置する。その結果、田舎はさ
 らに荒れる。そうした負の連鎖は、なんとか私たちに代で止めたいものです。
・森林の手入れには現在1haあたり20万から30万円ほど費用が必要といわれますが、
 必要な経費うち約7割を国、都道府県が助成してくれるため、この制度を活用すれば森
 林の持ち主の負担は経費の残り3割で済みます。
・森林を売るためのシステムはまだありませんので、CO2の排出量削減が叫ばれる現在、
 「売る」のではなく、森林保護という観点で思い切って「守ってみる」という選択はい
 かがでしょうか。

田舎の家を売るには
・「更地のほうが売りやすい」と言っていますが、実は更地が動きやすいのは、人口流動
 性の高い都会の現象です。
・田舎暮らしをしたい人にとって、ニュータウン的な環境は魅力がないからです。土地が
 安いといっても新築するには最低1300万円程度は必要ですから、成功するかどうかわ
 からない田舎暮らしの最初に、それだけの出費をするのはリスキーだ。
・田舎物件は原則、ローンが組めない。金融機関は田舎物件に対して冷酷なことが多く、
 そもそも遠隔地に担保物件をもちたがりません。購入者が週末田舎暮らしをするサラリ
 ーマンであれば別ですが、リタイヤ後であったり、田舎に引っ越して農業を始めたいな
 どの人にはローンはほとんど認められません。
・全国的な傾向かどうかはわかりませんが、やはり家屋があったほうが買い手はつきやす
 い。価値が0円のあばら家でも、リフォームするか新築するかは買い手の判断すること
 ですから。
・更地にすると固定資産税が増える。税制には庶民が家を建てる際の優遇措置があり、家
 が建っていれば、200u以下の土地は税額が6分の1に、それ以外でも3分の1にな
 るのです。
・あなたの田舎の家の市場価格が1千万円程度だったとしましょう。それを不動産業者に
 買い取ってもらうなら、3分の1の300万円がいいところです。業者にしてみれば、
 流動性の低い商品を背負い込むリスクに加え、様々な費用がかかる物件なのです。相場
 価格の1千万円で売りに出すとしても、仕込み原価は300万円でトントンといったと
 ころでしょう。
・「仲介」はどうでしょう。700万〜800万円程度の価格設定を提案されるはずです。
 不動産業者の取り分は通常、売買主の双方から手数料3%+6万円+消費税です。
・地元業者が扱ってくれるエリアかどうかは、近所に賃貸物件があるか否かが一つの目安
 になります。
・田舎暮らしをしたい人の多くはリタイア組ですから、見た目や便利さよりも、周囲の自
 然とのどかさを重視されます。
・いっそ自己負担でリフォームし、付加価値を高めてから売りに出すことも考えられます。
 汲み取り式トイレを水洗にし、風呂場を直すだけで見学者の印象はだいぶ変わります。
 その程度のリフォームなら、地域差はあるものの、通常100万円前後で済みます。

Uターンを決意できますか?
・ご主人の故郷より奥さんの故郷にUターンした夫婦のほうがおおむね仲良く生活してい
 るようです。