生きる :小野田寛郎

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筆者(小野田少尉)は、戦後30年間、終戦を知らずに、フィリピンのルバング島のジャ
ングルに潜伏して、ゲリラ活動をし続けた。もはや戦後ではないという意識が一般的だっ
た時代に、突然、「日本兵が生きていた」とのニュースをテレビで目にして、驚愕したの
を今でも覚えている。ジャングルの中で隠れながら、30年間も生き抜いたというその不
屈の精神力は、まさに「ラストサムライ」と呼ぶにふさわしいものではある一方、それは
戦争がもたらした、悲劇でもあると思う。
そんな悲惨な戦争から70年、便利になりすぎた現代社会において、現代人は野生をすっ
かり失ってしまった。あらゆることがお金で解決でき、それゆえに生きる意味さえ見失っ
てしまって、自殺に走る人が増えた。
それを著者は指摘している。人間は、もっと野生を取り戻さなければならない。大自然に
対して、人間はとても弱い存在だ。ナイフ1本なければ生きてはいけない。弱いがゆえに、
それを補うために、生きる知恵と信念が必要だ。筆者が自分の経験からそう訴えている。

まえがき
・今の日本人からはたくましさが消えた。その一つの現れが平和ボケである。すべてが安
 全だと能天気に信じきっている。危険ということを一つも考えない。
・ジャングルの中では、自分の身は自分で守るしかない。健康を損なっても、医者がいる
 わけでもないし、薬があるわけでもない。自分が一瞬でも判断を誤れば、敵に殺されて
 しまう。常に神経を研ぎ澄まして注意していないと、即、死につながる世界である。

成功する秘訣は目的、自信、実行
・大きなこと、小さなこと、何でもいい。目的を持とう。つぎは「必ずできる」と自分を
 信じること。あとは、それに向かって行動にかえる。焦らず、諦めず、そして休まず、
 コツコツ続けること。必ず成功する。
・生きるためには、やはり目的意識がはっきりしていることが大切だし、また、そのため
 の覚悟が必要だ。  
・成功するための三つの要素は、まず目的がありこと。二番目には信念がありこと。三番
 目には、絶え間なく実行すること。 
・自分の目的意識を支えるもの、あるいは信念を持ち続ける頭脳の働きを支えるものは、
 健康だと思う。 
 
死ぬことは、負けること
・日本も現在は民主国家だが、民主国家の一番の泣き所は、国民全体の意識が反戦、厭戦
 に傾いた時に、いかに大統領といえども戦いをやめざるを得ないことだ。
 
食べなければ、知恵も能力も、百パーセント使うことはできない
・「食べる」これは「生きる」ための根源である。「食べる」「食べたい」これほど大事
 なことを日々の生活では忘れている。  
・一日三時間でも睡眠をとるとか、最低限のカロリーを痩せながらでも口に入れない限り、
 せっかく自分が鍛錬した力も、勉強した知識も、百パーセント発揮できない。
・どうも人間というものは、頭が先に走って、身体の方はあまり考えない傾向にあるのは
 確かなようだ。

もうよい、信じる方に行け
・運が強い人間はどんな人なのか。戦いの中で感じたものは、「執着がない」「捨てる」
 ことができる。「やるだけやる」そうしたら、あとは「信じる」。
・「信じた」壺にすぽっとはまったら、あとは「なるようになる」と思う度胸が大切。

一番最初のボタンの掛け違い
・最初の考えの掛け違いの原因を考えることによって、かえってよくなることがある。何
 事も、順風満帆にいった時は、むしろ警戒することが肝心だ。
・誰でもボタンの掛け違いをする。この時、どのように立ち上がるかが、人生を大きく左
 右する。

全力をあげない限り、人を納得させることはできない
・理想の話は、ちょっと気休めの時は、相手も聞いてくれる。理想の話、言葉だけの説得
 はその程度のものである。
・しかし、これだけは納得させなければならない特、「納得」させるには、全力のエネル
 ギーが必要である。
・全力とは相手を理解しなければならない。その上で、何を求めているか。その求めてい
 るものを、いかにして、与えることができるかを説得する。そのためには、自分は感情
 的にならない。情に流されない。誠意をもって応じる。そうした核をもって、焦らず、
 しかし、時を刻むごとく、休まず伝えることである。

死生観
・人は、「生まれて」「死ぬ」これが道理である。ならば、「生かされている」のなら、
 とことん、生きて、生きて、生き抜いてみよう。 
 
恐怖のとりこに陥ったとき
・恐怖の大半は「自分」が作り出している。「もし、こうなったら」「このままだったら」
 人は現実を突きつけられたら、自分でも驚くほどの力を出して挑む。恐れの感情とは、
 まだ起きてもいないことをどんどん肥大化させている感情である。そんな時は、「これ
 以上悪くはならない。今はどん底だ」と思うこと。 
 
油断
・疲れているとき、怪我をしているとき、人は弱気になる。満腹なとき、体調のいいとき、
 人は油断する。これさえ知っていれば安泰と思っていた。それが油断だった。敵は思わ
 ぬ方から災害は忘れたころにやって来る。 

孤立無縁の戦場をどう生きるか
・私は、「孤立無縁」の中でこそ、生き方を学ぶのではないかと思う。つまり、「孤立無
 縁」によって、自己の発見を見い出すことができる。 
・「生きる」とは学ぶこと。「学ぶ」意欲は、安穏の中では退化する。人生の闘いも、戦
 場での戦いも、その人の生き方が最もらしく表れるものだと思う。 
・「その時、どう生きるか」日々の生き方が行動に表れるものだと思う。孤独感は、集団
 を意識するからこそ、感じるもの。
・見つかったら、見つかった時のこと。その時は弾のある限り、一人十殺の覚悟で応戦し、
 暴れるだけ暴れて、暴れ死にするつもりだった。敵を十人でも二十人でも殺せば、それ
 だけ兵士として死にがいがあると思っていた。 
・よく、最後の一発を自決用にとっておけというが、私は最後の一発まで撃ち尽くすつも
 りだった。わざわざ自決しなくとも、敵が簡単に私を殺してくれるだろう。永い間苦労
 して保管し、手入れをした自分の弾で自分が死ぬなんて、もったいなさすぎる。一人で
 も多くの敵を殺し、一発でも多くの敵に弾を使わせる。それこそ戦士だと思っていた。
・私がフィリピンに派遣される直前、つまり日本軍の旗色が極度に悪くなった昭和19年
 ごろは、「一億玉砕」というのが日本国民の合言葉になっていた。私だけでなく、皆が
 それを額面どおりに信じたはずである。すなわち、日本が滅びる時は、一億の日本人が
 一人残らず死んだとき、言い換えれば、たった一人でも日本人が生きていり限り、日本
 は断固、戦うのだ、と。 
・私が兵隊になったのは、国の目的を肯定し、戦争の完遂に少しでも手助けとなることを
 約束したからだ。軍人として国に尽くすことを約束し、約束したからには、最後までそ
 れを守りぬこうと決心していた。まさに不退転の決意だった。  

健康が宝、最大の武器
・「一番大切なものは何か」。それは健康である。どんなことがあっても、何が起きても
 「健康」という宝があれば乗り越えることができるのだから。  
・生きる上での最大の武器は「健康」
・人間は、まず水と塩があれば、最低限生きる条件が整っているような気がする。私たち
 は塩を「魔法薬」と呼んでいた。  

住居、衣服の智恵
・私たちは先祖の代から社会というものに住んでいて、よく考えると社会から外れたら、
 もう生活する能力を失っているということを自覚させられた。  
・刃物一つなければ、おそらく私は生きられないと思う。私たちは自分の犬歯、あるいは
 爪で、兎一匹の皮すら剥ぐことができないし、また、あらゆる食物を、全部加熱しない
 で食べられるほど、人間の胃袋は丈夫にできていない。
・本当に人間の弱さ、人間は社会の中でしか生きられないんだなあと思う。社会から外さ
 れた人間は生きる術を持たず、死ななければならないんだなあ、ということがよくわか
 る。   

最大の味方は「笑う」
・慰めも、励ましも、弱気になる時、なった時、支えになる。しかし、それ以上に私の味
 方になってくれたのは「笑う」ことだった。  
・私は日常、できるだけ陽気に暮らすことを心がけていた。失敗や苦しさを一つ一つ気に
 かけていては、自分で自分を落ち込ませてしまう。何ごとも笑い飛ばしてしまうくらい
 でなければだめである。  
・どんなに覚悟ができていても、人間は本能的に死というものを怖れる。ささいなことで
 動揺してしまう。常に落ち着いて行動するためには、毎日異聞の最善を尽くしておく以
 外にない。それ以上は、自分には生きる能力がなかったんだと諦めることだ。まさに
 「人事を尽くして天命を待つ」という言葉通りである。  

人間の人からのもろさ、自然の力のつよさ
・私たち人間はいかに弱く、自然が強いのかということである。どんなに科学が進歩して
 も、雨のコントロール、台風のコントロールひとつできない。月までいけるというのに、
 それだけの力で、何とか台風でもコントロールしてくれないかと思うのだが、やはり人
 間の力より、自然の力の方が強いのである。  
・地球のありとあらゆる物が自分の同族であり、同類であり、仲間であったはずである。
 その大きな自然、宇宙を含めた大自然に対して、我々人間が自然に挑戦するとか、ある
 いは自然を征服するとかというのは、間違ったものの考え方だと思う。
・私は体験から、自然の怖さ、大きさ、人間の弱さ、あるいは社会から離れた時の無力さ、
 こういうことを痛感した。だからこそ、自分の本当の限界というものが、自分なりに納
 得できたのである。  

命は毎日のトイレで決まる
・自分の身体は自己管理する。もっと言えば、自分の身は自分で守るのが自然の法則とい
 うもの。いくら社会が発達し、人智が発達しても、自分の安全とか健康は、決して人ま
 かせ、医者まかせにするものではない。  
・健康状態が良くない限り、創意工夫も才のひらめきも出ないのである。すべてが健康に
 依存していることを自覚し、常に自分で管理するということを忘れないようにしたい。

毎日の積み重ねが宝となる
・夢はたとえ、アリの歩みであっても、続けていれば叶えられる。私は、自分の人生を諦
 めなかった。毎日の生活は、あの過酷な状況でも続けた。人間らしく、自分らしく生き
 るために。食事に、歯磨きに、どんな小さなことでも、人間たらん生き方を続けた。

迷いの心はしばらく置くことに
・迷いは欲。欲は感情、もっともっとという欲は、不安と怒り。そんな時は、しばし横に
 置いておくこと。

目的を持て、生きる活力はそこから生まれる
・人生の道案内は人ではない。物でもない。それは「目的意識」である。どんなに困難に
 ぶち当たろうが、「確固たる目的」を持っている人は強い。人は、「目的」さえ持って
 いれば絶望感に陥ることはない。  

「生きる」か「死ぬ」か、戦場を「逃げるか」そこに正しい判断の基準がひかれる
・この戦争で、人間がいかに弱いものか、あるいは人間本来の生きようとする本能はどん
 なものか、ありとあらゆることを経験した。懸命に生きる努力をしたが、死の影は常に
 私の後ろにあった気がする。
  
人事を尽くして天命を待つ
・迷いは欲。その欲を間違えたら、欲は捨てる。自分が「こう思った」なら、それを貫く。
 たとえ、その道が辛くても、誰が決めたわけではない。私が決めた道だと気づけば、信
 じて、休まず歩き続ける。歩み続ける道は、私の意志の証。信じた先は、神のみぞ導い
 てくれる。  
・戦争に敗れて「戦う」という職を失い、そのうえ30年も遅れて帰ってきたレイト・カ
 マーの私には、もはや自分の入っていける隙が日本にはなかった。それと、権力を笠に
 きて理不尽なことを強制する人や、平和に酔いしれている国全体の雰囲気もいたたまれ
 なかった。  
・人間、絶体絶命のピンチに陥っても、必死で生きる道を探れば、眠っていた潜在能力が
 目を覚まし、思いもよらぬ力が出るものだ。

自然は偉大な師
・人間がたった一人で生き抜くつらさ、怖さ、友達と一緒にいる喜び。生きるという意志
 の大切さを知ってほしかった。
・人間は自然の一部であるということ。本来、人間の力など自然には到底及びべくもない
 小さなものでしかない。ところが集団で生活していると、いつの間にか尊大になって自
 分の意のままに操れると錯覚してしまう。木は一か所に生えたまま動けないから、人間
 より下等だろうか。そんなことはない。人間の寿命などたまだか百年。木には二千年も
 生きているのがいる。 
・人間が集団で生活するとき、何が一番大切か。人間は決して一人では生きていけない。
 だから人はお互いに感謝の気持ちで接しなければならない。と同意に、集団で生活して
 いくには、決められたルールで守らなければならない。  
・どんなに小さな目的でもいいから、それをやり遂げるまでは何が何でも頑張るという気
 力。失敗しても失敗してもあきらめず、もう一度やってみる。そこに工夫というものが
 生まれてくる。  

約束と拘束
・束縛は相手と自身との感情。拘束は相手との力関係。自分が今どちらに立っているか。
 明確にわかれば、自らの考え方しだいで、そこから抜け出せる。  
・今日の青少年問題の典型をみたような気がする。親がすべてに手を出し、口を出す。だ
 から子供が素直になれず、問題行動を起こしてしまうのである。植物にたとえると、芽
 を摘み取られた草花ほど哀れなものはない。芯を打ったり、枝を打ったりするのが早す
 るぎると、樹木も正常な発育ができない。  

信じるに足りるものとは
・どんなに苦難なことがあろうとも、どんなに辛い試練が続こうとも、嘆いてはいけない。
 それは、「生きている証」でもあるからだ。生きている証の支えは、自分を信じること。
 これよりほかに強いものはない。
・世の中には必ず不心得者というのがいる。いくら豊かな生活をしていても、泥棒に入ら
 れたらおしまいだ。泥棒というのは、自分が怪我をする心配のある家へは入らないもの
 だ。我々は準備万端「この家に入ったら怪我をするぞ」と警告しておかなければならな
 い。   
・口では平和を叫び、戦争の愚かを語るのはやさしいが、現実の世界ではそんな理想論は
 通用しない。不心得者はいつの時代にもいる。できれば、子供にはなるべく早いうちに、
 世の中には常識の通用しない悪い人間がいることをしっかりと教えるべきだ。そして、
 社会には生存競争というものがあり、国際間にもそれがあるということを。
・今日の日本は危険ということに鈍感な国になっている。もし他所の不心得者が日本をね
 らい打ちしてきたら、ひとたまりもないかもしれない。それは必ずしも戦争を意味しな
 い。経済でも外交でも、日本は今、つけ入れられる隙だらけである。
・人間は本来、自然の中での厳しい生存競争に打ち勝って今日の繁栄を築いてきた。その
 人間本来の野生を取り戻すことが、たくましさにつながるはずだ。
・戦後の日本人がたくましさを失った背景には、アメリカ流の個人主義を無批判に受け入
 れたことがあったのではないかと思う。もともとそういうものを受け入れる素地のない
 ところへ、形だけ個人主義が入ってきたために、混乱して日本人がバラバラになってい
 る印象がある。欧米の個人主義というのは、長い歴史の中から生まれてきた筋金入りの
 ものである。個人と集団を比べれば、個人は絶対に集団に勝てない。自分や家族の生命
 と財産を守るためには、国家というものが絶対に必要。こういう認識が欧米人にはある。
 だから、欧米人にとっては、もともと「個人主義を守るための国家」なのだ。これが、
 昔から何となく大家族主義でやってきた日本とは全然ちがう。安易な個人主義が民族の
 弱さを生んでいるのではないか。 
  
忘れる
・執着は捨てる。後悔や怒り、不安は「忘れる」ことが一番だ。子供が「元気」といえる
 所以は、その日のことは、その日のうちに「忘れる」からだ。人は、「忘れる」ことが
 なかなかできない。欲が出るほど「忘れる」こと難しい・。しかし、力強く前に一歩踏
 み出すエネルギーは「忘れる」ことだ。
・今は簡単に自分の命を絶つ人が多い。大地震など人間の力ではどうすることもできない
 災害にあった人が、絶望してしまうのも無理はない。しかし、自分の命を絶つことだけ
 はしてほしくない。  
・人間はもともと殺し合うようにはできていない。戦争という状況の中で一時的にケダモ
 ノに変わってしまっただけ。戦争が終わったら人間にもどって、ケダモノの時のことを
 引きずってはいけない。そうでないと前に進めない。
・目的を忘れていると正しい判断ができない。もし自分の目的を忘れたら、それは死んだ
 ほうが楽に決まっている。目的があるから、死なない方法を考えるのだ。どのみち人間、
 死ぬときはブツッと死ぬ。
・人間、目標があれば生きられる。もし、絶望の淵に追いやられたら、どんな小さなこと
 でもいいから目標を見つけることだ。その実現のために生きることだ。死を選んではな
 らない。なぜなら、人は「生きる」ために生まれてきたのだから。