「古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家」  :井形慶子

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 筆者は60回近い渡英経験を持つインテリア雑誌の編集長である。
イギリスの住宅に興味を持ち、いくどもイギリスの家とインテリアを見て回ったという。
イギリスの家と比べると日本の家は貧困である。それは単に、東京に住む人の三割が今でも一間し
かないアパートに住んでいるとか、日本の住宅の広さは欧米の三分の一しかないウサギ小屋だとか、
そんな単純なことではないという。それは、経済大国であると言われる日本の家が本質的にズレて
いるからだという。
私が特に同感だったのは、家の中の照明についてである。日本の家庭では、照明に青白い蛍光灯を
使っている家庭が多い。これでは家庭に暖かさを演出はできない。蛍光灯を使うにしても、せめて
オレンジ色の蛍光灯を使いたい。それだけでも暖かさを演出することができる。

なぜ日本人はイギリスに憧れるのか
  (1)あるがままに育つイギリスの家
   ・日本人の中高年にイギリスの「庭」「インテリア」「暮らし」がブームになっている。
   ・イギリスの建物は、木や草花と同じ、土地から生え育ち、その土地の風景に溶け込んでいる。
   ・イギリスには豊かな田園風景があり、都会を脱出すれば、確実に静かで平穏なたたずまいを
    見せてくれる。
   ・日本の田舎は画一化されて都市と見分けがつかない。
  (2)イギリスの家並みはなぜ永遠に美しいか
   ・イギリス人にとって、「家」は「城」であり、人生最大の「夢」である。
   ・イギリスでは大半の人々は中古住宅を購入し、そこで暮らしている。
   ・築60年以上の家が人気が高い。そのため古い街並みも壊されることはない。
   ・イギリス人は自分の家のある街並みにこだわる。
   ・日本人は自分の家のユニークさにこだわり、周囲との調和を無視したため、その結果として
    世界でも有数のちぐはぐな魅力に乏しい街並みが日本に続々と登場した。
  (3)時間をかけ自分の家を作り上げる姿勢
   ・家は持った時からが始まりである。イギリス人は家と関わる喜びと楽しみを知っている。
   ・イギリス人は家を買う時、利便性よりその家の個性や歴史を重視する。
  (4)「招きの家」とは何か
   ・家はイギリス人のとっては「ホーム」だが、アメリカ人や日本人には「ハウス」である。
   ・イギリスの家は、一般的に質素で、いたってシンプルな作りである。外に向かって目立たず、
    主張しない。住まいとして必要な最低限の機能だけが付いている。
    そこには、誰もが参考にできる、手に届く範囲の夢がある。そして人を隔絶するすごみもな
    い。 
  (5)ナット・イン・マイ・ナックヤード考
   ・ミドルクラス以上のイギリス人のほとんどは自分の家を中心に生活サイクルを形成していて、
    それを何一つ変えられたくないという思いがとても強い。
   ・自分の家を中心に近隣が点在していて、その小さな世界の中にイギリス人は至上の幸福や充
    足感を見出し、毎日を過ごしている。
   ・日本人にとっては、家そのものより、近所の評判や対人関係の方が優先される。日本人は近
    所に対して断固とした自己主張もしないかわりに、遺言を残すほどの思い入れの深い場所を
    家の周囲に見出すこともしない
  (6)セットバックのない国
   ・日本では街づくりをする時、あまりにも目先のことにとらわれて動いているような気がする。
    これは街づくりだけではなく、日本人の思考の基本形のような気がする。
   ・日本は国政レベルにおいても「当面の課題」をクリアするのが最優先であり、政治家も国民
    も何がどうなったかよくわからないまま、尻切れトンボで次の緊急課題がわき起こり、それ
    に躍起になる。
   ・300年以上前にロンドンに広い道を作ったイギリス人は、物事を考えるスパンがとても長
    い。
賢すぎる日本の家
  (1)お宅拝見番組を見たイギリス人の感想
   ・日本人は家中棚だらけにして、今すぐ使わない物を山のように抱え込んで生活している。そ
    のこと自体、誰もおかしいと思わない。
   ・考え尽くされているのに冷たい家。とても便利なのは分けるけど、日本人はどこまで家を機
    能的にすれば気がすむのか。そのうち日本の家はオフィスビルのようになってしまうのでは
    ないか。
   ・日本人が誉め言葉で使う「生活感がない」というキーワードが、最先端の日本の家のキーポ
    イントになっている。
    しかし、無機質で非現実的な感じを、なぜ非本陣は賞賛し憧れるのか理解できない。家をそ
    んなに進化させて何を目指すのか。
   ・イギリス人にとって住み心地がいいという感覚は、便利だとか機能的と同じではない。むし
    ろ、家の中の不便なところには喜んで手をかける。不便だったところ、痛んだ場所が自分の
    手で改善されていけば、家に対する愛着が湧いてくる。
  (2)日本のトイレはスペースシャトルか
   ・欧米人には用を足したのと同じ場所でお尻を洗う感覚が理解できない。トイレとビデが別々
    にあるなら、それはおしゃれな生活習慣で受け入れるが、同じ場所だと生理的に嫌悪感を覚
    える。
   ・一般大衆の暮らしの中で温水便座が定着しているのは先進国では日本だけなのだ。
   ・イギリスのトイレは通常風呂場と同じ部屋にあり、バスルームと呼ばれている。家のサイズ
    に合わせて10畳以上もあるような広いバスルームが多い。そこはまるで子供部屋のような
    暖かい心地よさが漂っている。
  (3)食器があふれる理由
   ・外国製、とりわけアメリカ製のキッチンはトラブルが多い。キッチンは毎日使いだけに、デ
    ザインよりも機能性だとつくづく思う。
   ・イギリスのキッチンはいたってシンプルである。
   ・イギリス人は日本人のように調理道具から食器までを山のように持ち続ける習慣がない。
   ・日本人はすべてを持とうとする。食器から服まで、すでに必要なものは持っているのに、さ
    らに持とうとする。これは習性を通り越した心の病ではないのか。
  (4)イギリスのキッチンはセミパブリック
   ・イギリスでは今、働く女性が圧倒的に増え、専業主婦はとても少ない。そのため夕食は一枚
    の皿に盛られた単純な料理が多い。これはこれでリズムのある快適な暮らし方だと思う。
   ・日本の働く主婦は消耗しきっている。疲れているからか大声で子供を叱り飛ばし、あるいは
    口封じに子供にお菓子をつかませている。これでは母親も子供も生活に疲れ果てて、夜のわ
    ずかな時間ですら会話さえできないのではないのか。パソコンやホームビデオを買い揃える
    お金があるなら、もっと快適に生活できるように考えるべきではないか。
   ・日本の母親はイギリスの母親よりきちんと料理を作っている。
    日本では「食事」は「教育」や「健康」と並ぶとても大切な価値観である。だから毎日料理
    を作り続ける。ところがイギリスはちがう。イギリス人の家庭における優先順位のトップは
    「パートナーとの交流」である。
   ・イギリスの働く女性はウィークデーにはインスタント食品や冷凍食品で手短に夕食をすませ
    たあと、夫婦でゆっくり話をしたり、時には映画やパーティーに出かけたりする。
   ・イギリスでは家にもどると誰もが頑張ることをやめる。仕事を持った忙しい母親は家の中で
    も優雅におしゃれをして、手抜きのワンプレートディッシュをワインとともに楽しむ。
   ・だいいち、年がら年中、夫も妻も子供もそんなに頑張る必要があるのか。そんな風に頑張っ
    て完璧にやり遂げなければ評価が得られない家庭や社会であるとすれば、それこそが問題な
    のではないか。適度な息抜きや怠惰は生活の中で重要だし、それが許されるから「家」はや
    すらぎであり、よりどころなのである。
  (5)ドアフォンのないイギリスの家
   ・イギリスの玄関ドアは内側に開き、日本のは外に向かって開く。内側にドアを引くというこ
    とは、玄関先に立った人に対してウェルカムの姿勢を示しているという。
   ・この玄関ドアの開き方はイギリスにドアフォンがないことと関係しているのではないか。
   ・日本で一戸建てにドアフォンは常識である。これは日本人の自分のテリトリーの中に他人を
    簡単には立ち入らせたくないという心理からきているのではないか。
   ・日本人はつねに他人を警戒し、ますます家族や親しい人とだけしか付き合わなくなったので
    はないか。そればかりか若い世代の中には、自分の姿を見られ、声をかけられることすら苦
    痛だと思う人も急激に増えているという。

家具とインテリアの向こうに見えるもの
  (1)家具への愛着と粗大ゴミの関係
   ・イギリス人は、家具を買う時にはとても慎重になる。自分の目指すスタイルが明確なため、
    じっくり見て周り、本当に納得できる物を一点ずつ買い足していく。
   ・衝動的に家具を買うことはお金を捨てるようなもの。慎重に生涯の一点を選び、これまで買
    い揃えた家具と共に使い続ける。
   ・日本人は家を新築するとそれに合わせて、これまで使っていた家具はほとんど捨てて、そっ
    くり新しい家具に買い替える。
   ・イギリス人は一つの物を使い続けることはゴミを出さない、資源を大切にすることにつなが
    ると考えている。
   ・日本ではゴミと呼ぶにはあまりにも立派な粗大ゴミが後を絶たない。
   ・コストダウンして大量販売していく日本の商法の在り方と、それをありがたがり、とびつい
    て離れない買い手の終わりなき関係があるからだ。
  (2)家具を捨てるアメリカ人と日本人ン共通点
   ・中流以上のアメリカ人にとって住まいとは社会的スティタスである。
   ・イギリスでは、手に入れた家具はカバーを張り替えたり、ニスを塗りながらいつまでも大切
    に使い続ける。ケチだからとか、お金を使いたくないからではなく、好きだから持ち続ける
    のだ。    
  (3)イギリス人が南向きに執着しない理由
   ・イギリスでは家がどちらの方位を向いて建っているかはあまり重要な要素ではない。日本に
    比べると一年を通じて太陽の光が弱く、曇りがちなので、人々はむしろ家の中から見える景
    色や周辺の環境にこだわる。
   ・むしろ、南向きで陽射しが差し込む家というのは、「家具が焼ける」「傷む」などの理由で
    むしろ敬遠されている。
   ・石造りのイギリスの家では、全体的に窓の数も少なく、日本の掃き出し窓のような大きなサ
    イズの窓はあまり見られない。
   ・北向きは一日中、太陽の光が安定しているので、窓から見える景色が変わらずとても落ち着
    くと考えられている。
   ・書斎を北向きの部屋に作る人も多い。大切な本が陽の光で焼けるからだ。
  (4)なぜイギリス人の照明はあんなに暗いのか
   ・日本人の家は、まるで昼間のように蛍光灯がつけられ、いたる所をスポットライトやスタン
    ドが照らす。その明るさに、神経が休まらないとイギリス人は言う。
   ・イギリス人と日本人ではレストランに行く目的が全然違う。イギリス人はレストランという
    雰囲気を楽しみに行くのだ。イギリスのみにかぎらず、ヨーロッパではキャンドルも含めた
    小さなランプを店内のあちこちに置くことで光量を調整して特別な空間を作り出している。
    そして、そんな空間を楽しむためにレストランに集まるのである。
  (5)絵や人形を飾り続けるイギリス人の習慣
   ・イギリス人は家に名前を付け、自分のスタイルを家に刻み、そこに自分の個性を残す。

こうもちがう築年数と家の価値
  (1)日本の家、築20年で価値ゼロの論理
   ・イギリスでは築100年以上たった家でも現役の住宅として売買され、住み続けられている。
   ・日本では20年たった住宅は古家と呼ばれ、資産価値はほとんどゼロになる。
   ・日本で家が短命に終わってしまうのは構造的な世の中のシステムにある。
   ・より豊かな生活に波に乗って変化し続ける日本では、世の中のスピードについていけない家
    や家電は買いなおされる。
   ・家は、家庭を持った日本人のビジネスマンにとっては、近年「ねぐら」になってしまった。
    劣悪で狭い住まいは、いつしか寝るに帰るだけの場所となり、家に対する愛着も希薄になっ
    ていく。
  (2)イギリス人が築60年以上の家を好む理由
   ・イギリス人は「古い家」「成熟した家」歴史ある家に最大の敬意を表す。
  (3)日本の家が消耗品であり続けるもう一つの理由
   ・イギリスでは、まず人権や文化の基礎としてとらえている。
   ・日本人一人ひとりの住意識は低い。それが日本の家や街並みを魅力に乏しく、貧しいものに
    している。
   ・日本人は、長年頼りになるのは国ではなく自分自身なのだと国民は当たり前に思ってきた。
   ・日本では、休まず働きバチになり、収入は貯金に回し、自分のことは自分で面倒みるという
    考えが明治時代から始まり今まで続いている。
   ・イギリス人はあらゆる福祉が停滞している今でも貯金をしない。たとえ貧しくても、イギリ
    スに住み続けるかぎり、国が一生面倒みてくれて、放り出されることはないと信じている。
   ・日本人は日常レベルはおろか国政レベルにおいても、国から大切にされているとは思えない。
  (4)日本の増改築とイギリスのリノベーションはどうちがうのか
   ・イギリスでは30歳以下の若いカップルでも、約60%の人たちが自分の家を持つことがで
    きる。
   ・イギリスのリノベイションは、今あるものを再利用するという考え方だ。使わないですむも
    のは資源も、お金も、労力も使わないという合理的な発想がもとになっている。
   ・日本人は新しいものを良しとし、新しいだけで満足する。たとえ、その中身が粗末でうすっ
    ぺらなものであっても「新しさ」はすべてに勝るのだ。

何が家を醜悪にしたか
  (1)部材にこだわれない日本のシステム
   ・日本では古材は少なくて高い。住宅を取り壊して出る山のような古材はどこに消えるのか。
   ・イギリスでは古材は驚くほど種類も多く安い。
  (2)洋風住宅になぜか松の木のある庭
   ・イングリッシュガーデンブームだか「洋」と「和」の組み合わせに一貫性がない日本住宅が
    多い。
  (3)住宅産業のスペシャリストは何を売るのか
   ・日本では家を建てた人の半分近くは不満を抱えている。業界は職人不足で高い品質とデザイ
    ンへの対応力にも欠ける。
   ・イギリスでは職人のネットワークが行き届いている。彼らに何かたずねて「知らない」「で
    きない」はまずない。
  (4)物を知らない業者と疑心暗鬼になる施主
   ・日本では建築の専門家にも施主がうるさく口を出す。
   ・イギリスでは信頼したら建築家に全面的に任せる。
   ・醜悪な家がどんどん生まれる背景には、施主と建築家の信頼関係の欠如にある。
   ・建築家や業者に任せておけないといった極端な心理は、日本人の中に、専門家を認めるとい
    った態度が欠落しているところから発生している。専門家も最後には責任をとるといった姿
    勢が薄くなっている。
  (5)この家にはいったい誰が住むのか
   ・無国籍でちぐはぐな日本の洋風住宅は、欧米人には理解できない建物だ。
   ・何から何まで非現実的なモデルハウス。やがてバカ高い建築費と現実とのギャップに打ちの
    めされる。

家は手に入れたらそれで終わりか
  (1)家でも何でも使い捨てるという感覚が危ない
   ・家の補修はすべて自分たちでやるのがイギリス流。そんな親の姿をみて子供も家は手を入れ
    ながら住むものと考える。
   ・日本では家を買ったら最後、ローンを払うためにせっせと働き、仕事に追われ、ペンキ塗り
    も補修もやらず、故障したら専門業者を電話で呼びつけ、手早く修理してもらうものとだと
    いう考えしか持たない。
   ・子供は、家族のステージである家からさまざまな物が作り出され、生み出されていく過程を
    目の当たりにできずに育ったしまった若い世代は、買っても買っても埋められない空虚さを
    どうすることもできないでいる。
   ・だから若い日本人は料理もできず、棚一つ作れない。人間としての基本的生活能力を持たな
    いまま結婚し、子供を育てる。そして、これは確実に次の世代に引き継がれていき、さらに
    物欲にまみれた日本人を作り出していく。
  (2)水圧の低いシャワーを使い続けるイギリス人
   ・日本では便利かどうかもわからない商品開発が延々と続けられている。もっとも不気味なに
    は、開発された便利商品が個人の意思とは関係なく、暮らしの中に入り込んできて、それを
    私たちがいつしか日常的に使うことになる。
  (3)イギリス的DIYは究極の家づくり
   ・家を持つことでストレスをため込む日本人。住まいヴァージョンアップを楽しむイギリス人。

とてもおかしな日本の家庭と家の関係
  (1)セックスができる家、できない家
   ・日本人の急速なセックスレス化は、どの部屋にいても家族の行動が透けて見える日本の住宅
    事情とも密接に結びついている気がする。
   ・イギリスでは何をおいても夫婦のパートナーシップこそが結婚の中でもっとも重要と考えら
    れている。
   ・正常な夫婦関係を維持するためにはセックスや会話、二人の時間が不可欠だと考えられてい
    る。
   ・家において、夫と妻はさながらキングとクィーンだ。たとえ子供といえども、彼らの空間に
    勝手に踏み込みことは許されない。
   ・日本では基本的にはすべての部屋は家族のものである。親は子の部屋に踏み込み、子供も親
    の寝室で友達と一緒に平気で遊んだりする。しかも、壁もドアもイギリスのそれに比べとて
    も薄い。
   ・イギリス人のほとんどは赤ん坊に対してすらベビールームという部屋を与え、自分達の寝室
    で四六時中面倒をみるということはしない。
   ・生まれた時から子供には独立心を持たせ、夫婦のスペースはこれまでどおり守っていこうと
    する。
   ・日本の場合、子供ができたら多くの女性はいつの間にか妻であることをやめ、永遠の母親に
    なるのだ。
  (2)なぜか机がないイギリスの子供部屋
   ・イギリスではほとんどの子供部屋に勉強机がない。子供達は宿題や試験勉強を自分の落ち着
    ける気に入った場所でやろうとするから、机をわざわざ部屋に置く必要もないのだ。
   ・何よりもイギリスでは、子供といえども勉強は個人の問題だと考えられる。勉強をするがし
    ないかは当人の責任であって、勉強しなくて受験に失敗したり、大学にいけなくても、それ
    は子供の問題なのだ。
   ・日本人を見ると、夫婦はバラバラ。父親は透明人間。母親は自分の生活のすべてを子供のた
    めに投げ出している。そうしなければ、自分が冷血な母親だと思ってしまう。
   ・日本の家庭の中では、なぜか父親が一番低いポジションにいるのもイギリスとの大きな違い
    だ。
  (3)犯罪のうまれやすい住まい
   ・高層住宅という家はすさんだ心を育てる温床だった。
   ・イギリスでは家が狭くても自分の判断で個性的な教育を実践している夫婦は多い。
   ・イギリスではたとえ念願の大学に落ちても、次のやりたいこと、目指したい道が日本以上に
    容易に見つかる。
   ・日本では成功する人生の道はただ一つだけ。中学生の段階でそこにすすめるかどうかの判断
    が下される。そこですべったら後はない。
  (4)カギっ子のやすらげる家
   ・イギリスでは12歳までは子供を一人にすることは違法とされている。
   ・イギリス人の女性はパートでも専門職でも働き続けねばならない。一般的にイギリス人の給
    与はとても低いからである。上層階級の最低ラインが年収で約400万円。大手企業の重役
    や政府の要人でさえ年収が約800万円である。
   ・イギリスで暮らすことは日本よりはるかに条件が悪くなる。そして生活も質素にならざるを
    得ない。
   ・少ない収入のため質素に生活し、将来を見据えるイギリス人。比較すると甘さばかり目立つ
    日本の若夫婦人。
  (5)二世代住宅の裏側を見ると
   ・イギリスの親は子供が18歳になると自立を促す。自分達は老後の面倒を見てもらう気はな
    い。