「浮気で産みたい女たち」 :竹内久美子

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実に衝撃的なタイトルである。この本のよると、女性が浮気する率は、年齢の増加ととも
に増え、40歳代以降が最も多く10パーセントぐらいになるということである。この率
は高いのか低いのかの問題は別にして、何割かの女性は浮気するというのは間違いないよ
うである。
それに、浮気と言えば、以前は男の専売特許であったが、昨今はそうでもなく、むしろ女
性のほうが浮気に積極的であるという話も耳にする。
本書は、筆者が専門としている動物行動学の観点から、浮気について学問的に探究してお
り、いろいろ興味深い内容が多い。
女性には、自分はなぜ浮気をするのか。男には、自分のパートナーに浮気されないために
はどうあるべきか。この本をじっくり読んで研究してもらいたい。

人間はどのくらい「浮気好き」?
・メスの排卵の方式が自然排卵か、それとも交尾排卵か、ということもオスの睾丸の発達に
 関わってくる。人間の女の排卵は性交とは無関係に起きている。つまり自然排卵である。
・メスが交尾排卵のタイプなら、オスの交尾には常に排卵を誘発する可能性が伴っており、
 とすればオスとしてはむやみやたらと交尾する必要もないだろう。ところが自然排卵とな
 るとそうはいかない。交尾が排卵と結びつくとは限らず、オスとしては往々にしてメスが
 いつ排卵するかもわからない。その分余計に交尾する必要が出てくるわけである。交尾回
 数が多いのなら精子も余計に必要だ。よって睾丸も発達させなければならないことになる
 のである。
・ある動物の睾丸が発達するかどうかを決めている最も重大な要因は、繁殖シーズンの長さ
 でも、排卵の起こり方のタイプでも、メスの発情期間の長さでもないということである。
 それは婚姻形態であった。オスとメスとの関係がいかに乱れているか、卵の受精をめぐる
 複数のオスの精子どうしの争い、つまりは精子競争がいかに激しいか、ということだった
 のである。
・133種の哺乳類のうち、体重から予想される睾丸の重さを最も大きく裏切っている(も
 ちろん重いほうへ)のは、実はネズミイルカである。ネズミイルカに限らず、イルカはだ
 いたいにおいて睾丸が大きい。イルカの社会についてはよくわかっていないことが多いの
 だが、多くの場合乱婚型だろうと考えられている。
・チンパンジーの集団は複数のオスと複数のメス、その子供たちから成っていて、メスは発
 情するとオスを次々受け入れる。これは乱婚的である。
・そういうふうに卵をめぐる複数のオスの精子どうしの争い、つまり精子競争が激しいから
 こそオスの睾丸が発達したのだろう。睾丸の大きさは、精子競争の激しさを示す動かぬ証
 拠というわけなのだ。
・チンパンジーの社会は周知のとおり乱婚的である。複数のオスと複数のメス、その子供た
 ちが集団をなし、発情したメスは次々とオスを受け入れる。メスがオスを拒否することは、
 まずないと言ってよい。精子競争は相当な激しさとなっているはずである。
・人間の社会がたいていの場合に一夫一婦、あるいは一夫多妻の婚姻形態をとっていること
 は皆さんよくご存じのとおりである。少なくとも乱婚的ではない。しかし一方、それら婚
 姻形態が表向きのものでしかないということも皆さんよくご承知のはずである。人間社会
 の精子競争というものは、おそらくチンパンジーほどには激しくはないが、ゴリラやオラ
 ンウータンほど低調というわけでもない。たぶんそう推測できるはずである。

浮気する男、しない男
・社会階層ごとの妻の寝取られ率というものが調べられたことがある。それによると、地位
 の高い男ほど妻を寝取られにくく、しかも自分は他人の妻を寝とる側に回る。そのターゲ
 ットはたいてい地位の低い男の妻である。地位の高い男は1パーセントしか妻を寝取られ
 ないのに対し、中流の男は5~6パーセント、地位の低い男は10~30パーセントも妻
 を寝取られているのだ(この寝取られ率とは実際に子ができている割合である。)
・たとえば男が何日も間を空けてパートナーと性交したとする。すると確かに何日間は間を
 空けているわけだから、それなりの数の精子が放出される。しかし、問題はそれよりも、
 その間にいかに彼女と一緒に過ごしたか、あるいは一緒にいなかったかということにある。
 彼女とべったり一緒に過ごした場合には、日数の割には精子は出てこない。ほとんど一緒
 にいなかった場合には、非常に多くの精子が放出されるのである。
・男とほほ同時か、少しあとのオルガスムスなら確かに喜ばしいことである。子宮と膣との
 何回にもわたる収縮が、既に女の体内にある精液を強力に吸引してくれるからだある。け
 れども男の射精より前の女のオルガスムスにはご用心である。それは男と同時や男より後
 のオルガスムスとはまったく逆の効果を持っている。オルガスムスによって女性は大量の
 粘液を分泌する。粘液がその後侵入してくることになる精液に対し、ブロックを築いてし
 まうのだ。男の射精にいくら勢いがあったとしても、このブロックを突き崩すことは難し
 い。

「いく」女、「いかない」女
・男の後の女のオルガスムスを、よいことだ、好ましい、そうしてください、どうぞごゆっ
 くり、などとする心のゆとりを男は持っていてもいいはずである。なぜならそれは男の遺
 伝子のコピーが増えることに直結するはずだから。ところがそうではない。どうしてだろ
 う。とかく男は自分より後の女のオルガスムスを嫌う。嫌うことが、結局のところ男の利
 益になって戻ってくる。そういうことだろうか。

地位の高い男には息子が生まれる
・人間は男が互いに体の大きさを比べたり、格闘の結果、買った方が女を獲得するというよ
 うな動物ではないが、確かに体が大きいのは男の魅力である。
・母親の妊娠前後や妊娠中の栄養状態が良いときには息子が、悪いときには娘が生まれる傾
 向にある。さらにシングルマザーは娘を産みやすいというデータもある。男からの援助が
 難しいときには何かと物質的に不自由する。なるほど娘を産む方が無難かもしれない。
・地位の高い男は物質的に恵まれている。もし女が地位の高い男とつがったら、彼女はぜひ
 息子を産むべきだろう。地位の低い男を夫にしたら、今度は息子を産むのはよした方がい
 いかもしれない。その場合には手堅い駒である娘を産むべきだろう。

愛人は息子を産む
・世の中の「愛人」と呼ばれるような女には、どうも娘より息子が生まれることが多い。一
 方、本妻の方にはそれに比べれば息子が生まれることが少ない。
・東京目白に本宅を構え、そこから二キロメートルあまりの距離にある神楽坂に別宅を持っ
 た某元首相は、本宅に娘一人であったのに対し、別宅には息子二人を儲けていた。
・二股ソケットや自転車用ランプの考案に始まり、次々新製品を開発、町工場を世界的な家
 電メーカーにまで育て上げた、さる経営の神様は大阪の本宅に娘一人であるのに対し、東
 京の別宅には息子三人、娘一人である。
・愛人の相手の男は地位が高いし、経済的にも豊かだろうから彼女の栄養状態は十分だ。体
 の大きい息子を産むことができる。
・奥さんがいたっていい、この人の子を産みたいと女が思ったら、それは男によほどの魅力
 があるからではないだろうか。魅力の内容は様々で、地位の高いことや金持ちあることは
 もちろんだが、何かの才能を持っているとかルックスがいい、それに単に女に優しいとか
 話が面白いというだけのことかもしれない。地位がなくても魅力がある、そして愛人を持
 つという男は世の中には意外と多いはずである。要はその男の息子を産んだとしたら、彼
 の魅力を受け継いだ魅力のある息子を得ることができる。息子は女にモテモテで大いに孫
 を作ってくれる。女が本当に欲しがっているのは彼の子というよりも、魅力の元となって
 いる遺伝子なのだ。その遺伝子が本領を発揮するとしたら、子は娘ではなく息子でなくて
 はならない。
・愛人はまず相手の男の無力というものをよく評価しており、彼の無力の元となっている遺
 伝子を取り入れたいと思っている。それが彼女の主たる目的である。遺伝子の真価を発揮
 させるためにはぜひとも息子を産むべきだ。具体的な産むわけの方法についてはともかく、
 それが愛人が息子を産みやすいことの第一の理由となるだろう。
・なんの本妻になんか負けてられるかと発奮する。そんな感情面の問題が内分泌系(ホルモ
 ン系)にか神経系にか、とにかく肉体面に働きかけ、息子をよく産むという結果に至るの
 かもしれない。それが彼女にとっても、相手の男にとってみても、遺伝子のコピーを増や
 す最も優れた方法であることは言うまでもない。
・女は男の地位や財力という魅力を感じ取り、子を産み分ける。その際一代で財を成した男
 というように、能力がよりはっきりと証明されるような場合にはより頻繁に息子を産むの
 である。

「楽園の鳥」の驚異の産み分け
・娘は多少器量が劣っていたとしても、そんなことはたいした問題ではないのである。器量
 の劣る娘を持った親、あるいは本人は我が娘、我が身の不幸を嘆き、時に自分たちには未
 来はないかのような思いに捉われるだろう。だが心配はないのである。メス(女)には子
 を産むことができるという最終兵器が備わっている。兵器が機能する限り、引き合いがな
 いということはない。選り好みさえしなければ、文句さえ言わなければ、彼女があぶれ、
 一生嫁に行けないなどということはないのである。

浮気するほど美しい
・メスは美しく派手なオス、より美しくて派手なオスというように古来飽くことなく選び続
 けている。それゆえオスは、時に「何でそこまで」と言いたくなるくらいに美しく、派手
 に進化してしまった。
・メスは簡単には誘いに乗らない。人間の女の子と同じで何羽かで連れだって行動し、あの
 オス、このオスと疲れも見せずに見て回る。そして最終的には気に入った一羽のオスと交
 尾する。当然のことながら、人気のあるオス、ないオスという格差が生じ、多くのメスと
 交尾できるオスもいれば、全くできないオスもいる。事実上、一夫多妻の婚姻形態なので
 ある。メスは巣作りから子育てに至るまでオスの助けを借りることはない。

一夫一妻では夫に不満あり
・オスとメスとは卵の受精が可能な時期には特に頻繁に交尾する。ところがその90パーセ
 ント以上は、メスが誘うことによって始まるという。オスの意志は全くと言っていいほど
 生かされることはない。これだけ見ても、交尾の主導権はどうもメスが握っているらしい
 ということがわかる。
・この島の鳥の非常に面白い点は、浮気に対し、メスが大変積極的な姿勢を見せるというこ
 とである。待つだけでなく、自分からオスの元へと出かけて行く。当然そこには彼の妻と
 いう恐ろしい存在が待ち構えており、時に彼女に攻撃を加えようとする。翼を震わせて威
 嚇、空中戦で翼でたたいたり、地面につき落としたりもする。そういうことがあってもな
 お、出かけて行くのである。
・他のメスが盛んに浮気にやってくるようなモテモテのオスをダンナに持ったメスは、浮気
 にあまり関心がなく、出かけない。他方、他のメスがあまり浮気にやって来ないような冴
 えないオスをダンナに持ったメスは、非常によく浮気に出かけるのである。
・一夫一妻の婚姻形態で、メスは必ずしも思うような相手とつがえるわけではない。相手は
 往々にして今ひとつ魅力に欠ける、やや冴えないオスであったりする。その不満を解消す
 る手段が浮気というわけである。浮気でダンナに足りない魅力の元を取り入れる。その魅
 力とは、何を隠そう生存力という極めて重大な問題に関わっている。メスが浮気をするの
 はだだ浮ついた心からではない。

魅力的なオスには限りがある
・一夫一妻の婚姻で、メスはまずなるべく魅力的なオスとつがおうとする。しかし何分、魅
 力的なオスには限りがある。メスが現実につがうには、たいていの場合には理想とかけ離
 れた、中か中の下くらいのオスである。それでもつがうのは、とりあえずのところ巣作り
 に協力するオス、子の面倒を見てくれるオスが必要だからだ。だが願わくは優れたオスの
 子どもが欲しい。その遺伝子を取り入れたい。そこで実行するのが浮気。浮気は亭主に対
 する不満を補うための手段というわけなのだ。「不機嫌な果実」というけれど、女はたい
 てい不機嫌な存在である。誰もが理想の相手と結婚できるわけではない。そして結婚とは
 そこ浮気をし、浮気の結果の子どもをダンナに育てさせるための方便にすぎない。

クリスマスで、大停電で、SMで
・女にとっての大きな恐怖と不安、男は傷つけ、女は傷つけられる、そして性交排卵という
 現象の、さらに先にあるものはと言えば、それはレイプである。レイプで信じられないほ
 どの高い確率で排卵が誘発され、子どもができることは既によく知られている。
・排卵期の女がよく妊娠していることはもちろんである。それどころか排卵期にレイプされ
 た女が妊娠しなかったという例は、まず見つからないくらいである。
・夫婦ゲンカというものも排卵にとってけっこう重要なのではないかと思う。口喧嘩、物を
 投げたり、取っ組み合いの喧嘩。お互い感情は爆発し、女は軽く傷ついたりもする。排卵
 はおおいに誘発されるはずなのである。喧嘩の仲直りとして性交するとよく言うが、それ
 は実のところ逆の関係があるかもしれない。つまり喧嘩の仲直りとして性交するのではな
 く、効率のいい性交をするために喧嘩をする。一方、仲のいい夫婦はなかなか子ができな
 いという。それは、こういうふうに、派手に喧嘩をすることで排卵が誘発されるという機
 会が少ないからではあるまいか。興奮すると女は排卵する。しかしそれがどういう意味を
 持つのか、まだ定かではない。

女が浮気をするとき
・14~20歳の女が浮気する確率はおよそ6パーセントである(この確率というのは、す
 べての性交のうちで浮気の性交がどれくらいあるかという割合を示している。またこのデ
 ータはパートナーのいる女性についてのみのものである。)
・20~25歳の女のおおよそ5パーセント、25~30歳の女のおおよそ4パーセント、
 30~40歳の女の8パーセント、40歳以上の女の10パーセントの女が浮気をすると
 いうデータがある。
・若いころは幾分浮気っぽいが、結婚年齢が近づくにつれて貞淑となる。しばらく貞淑のま
 までいるが、中年以降にはかなり浮気っぽくなる。
・女が浮気に積極的になるのはどうやら30歳代以降、ダンアとの間に2~3人の子を生し
 てからということになりそうだ。
・浮気の結果、子を作り、その子が実の子ではないと夫にバレたとき、どうなるか。まだ1
 人も子がいない場合と同様で、子ともども(その中には彼の実の子も含まれているが)ダ
 ンナに捨てられるという可能性が残っているからである。もう1人くらいはダンナの子を
 産んでやってご機嫌をとっておくべきなのである。
・では、ダンナとの間に子が2人、3人、それ以上いるとしたら、どうだろう。それだけの
 既成事実があれば、そろそろ大丈夫かもしれない、たとえ浮気の結果、子ができ、それが
 ダンナにバレたとしても、彼は今やかんじがらめの状態である。妻と子を遺棄しようにも、
 自分の子までも多数巻き添えをくらってしまう。仮に実の子だけを残し、妻と不義の子を
 追い出すにしても、残された子の面倒を誰が見るのか。もはやどうしようもないのである。
 彼としてはおとなしく振る舞う。家庭に波風を立てぬこう、その不義の子まで面倒を見る
 ことが最善の策ということになるのである。女の狙いはそこにある。女はその日が来るの
 を首を長くして待ち続けていたのだ。
・女は必ずしも理想の相手と結婚できるわけではない。相手は往々にして今一つの、魅力に
 欠ける男である。その不満を補うのが浮気なのだ。浮気によって魅力ある男の、魅力の元
 となっている遺伝子を取り入れる。そして魅力ある子を得る。魅力は、寄生者に強いな
 ど必ず何らかの実質を伴ったものである。子の養育を保証してくれる男をキープしない
 ままに、ただいい男の子どもを宿していったいどうしようというのか。まずは結婚、浮気
 をし、いい男の遺伝子を取り入れるためには取りあえず結婚することなのである。

あとがき
・浮気の場で女を口説くのは、これがなかなか大変なこと。女は男に妻や子、そうでなくと
 もパートナーがいることを疑っている。関係を持ったはいいが、子ができたと知るやそそ
 くさと逃げ出すのではないかと案じている。男はパートナーを手に入れるときよりも、さ
 らに高度な口説きのテクニック、ますます優れた言語的能力が必要とされるだろう。
・言語能力に長けた男ほど浮気に成功する。言い逃れる口実を考え、話しの辻褄を合せるの
 がうまい男ほど浮気の発覚を防ぐことに成功するのである。彼は浮気をしない場合よりも多
 くの子を残す。その言語能力、思考力は次代によく受け継がれていくのである。
・女も女で言語能力、思考力を発達させる。浮気の発見と追及。亭主に浮気され、特に子が
 できたとすると、自分や自分の子に対する投資が減ってしまう。浮気はなんとしても防止
 し、発見しなければならないのである。
・男の浮気などたいしたことはない。肝心なのは女の浮気だ!男が浮気するとき、相手の女
 にパートナーがいる場合といない場合とがある。パートナーがいない場合、それは女にと
 って浮気とはいわないだろう。彼女はただパートナーのいる男とつがっただけである。彼
 女にもし子ができたなら、それは当の男の子供であることにまず間違いないのである。彼
 女にパートナーがいる場合、そのときこそそれは彼女にとっても浮気である。彼女に子が
 できたら、夫と愛人、どちらが父親であるのかは、往々にして彼女自身さえわからない。
・一方、女が浮気をするときにも相手の男にパートナーがいる場合も、いない場合もある。
 しかしそんなことはこの際、関係ない。彼女に子ができたら、その子の父親が夫であるか、
 愛人の方であるかは、彼女が浮気をした以上、とにかくよくわからないのである。つまり、
 こうしてみると女の浮気のほうがより事態は深刻であることがわかる。女は浮気をすると、
 夫の子でないかもしれない子を宿すのだ。浮気の最大の問題点はここにある。多くの社会
 で男の浮気は比較的寛容なのに、女の浮気に対しては厳しい咎めがある。それは何も女を
 差別しようとしてのことではなく、女の浮気は実はこのように重大な問題を含んでいるか
 らなのである。