「仕事とセックスのあいだ」:弦田有史・斉藤珠里

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日本は少子化時代に突入して久しい。いろいろ対策も講じられてはいるようであるが、
一向に改善の兆しは見えてこない。一番大きな原因は結婚しない人がどんどん増えて
いることが原因であるみたいであるが、結婚しても子供ができない、あるいは作らな
い夫婦も増えているらしい。そして、そもそも、セックスそのものをしない夫婦も増
えている。世界的にみて、日本は一番セックスをしない国であるとのことである。
どうしてそんなにセックスしなくなったのか。そこには仕事が大きく影響しているよ
うである。この本はセックスと仕事の関係について、まじめに探求した本である。
いままで日本人はセックスと正面から向き合ってこなかったように思う。この本を読
んで、もう一度仕事とは何か、そしてセックスとはなにかを考えなおしてみたいもの
である。

セックスレスの実態
・夫婦のセックスを見てみると、頻度として最も多いのは「月に2~3回程度」という
 答えだ。回答者全体のうち23.6%と、およそ4組に1組がこの範疇の属する。
・一方、ここでやはり顕著なのが、膨大なセックスレス・カップルの存在だ。
・既婚就業者のうち、セックスレスの状態にある割合は、45.2%に達していることになる。
 まさに日本では、2組にほぼ1組がセックスレスになっていることになる。
・昔は新婚旅行に出かけるカップルに「やりまくって来いよ」なんて声をかけていたの
 に、最近は「体を休めに行ってきます」という新郎がいるくらいだ。
・新婚でセックスレスになるのは、9割が男性側の拒否によるものだ。結婚前に性交渉
 を持たないという社会的規範が崩壊した今日、結婚が性衝動を解放する契機とは、も
 はやなりえないのかもしれない。
・セックスレスを理由に離婚を考える夫婦は、日本では少数派と指摘する。それは、セ
 ックスの存在がパートナーとの関係成立に不可欠なフランスとは対照的だ。
・まずセックスを拒むようになったのはどちらからかをたずねてみると、夫婦のどちら
 も「妻から」という割合が多くなっている。成田EDなど、新婚夫のセックスレスは
 話題性こそあるのだが、実際にはセックスレスになったきっかけは妻からというのが、
 ほとんどのようだ。
・若い頃はセックスの体験を強く望んでこなかった人、端的にいってしまえばセックス
 への関心が薄かった人ほど、結婚後もセックスレスになりやすいという傾向は、実際
 にあるのかもしれない。
・コンドーム出荷4割減、ラブホテル売り上げ3割減と、業界も驚くほど「セックスレ
 ス時代」は進行している。
・ちなみに10代の初体験は、結婚後の不倫とも密接にかかわっているようだ。10代
 でセックスをはじめて体験した人は、明らかに不倫に走る割合も高い。20代以上で
 初体験した人のうち、不倫経験のある割合は43.0%であるのに対し、10代で経験した
 人の場合には64.9%とかなり高くなっている。

世界一セクシーな国の女性労働者
・セックスは、夫婦の絆の証。夫婦が家庭をつくり、それが集まって社会を築き、国家
 ができる。だから、カップル間のセックス問題は、国家をゆるがす一大事ともいえる。
 フランスでは、そのような理屈が、まことしやかに語られている。
・一方の日本では、世界からも注目されるほどのセックスレス大国。
・性生活への満足度を女性が10点満点で評価した結果を見ると、フランス女性の平均
 が7.0点だったのに対し、日本女性は5.2点に留まった。
・結婚後、夫とのセックスで何か努力をしたことがあるかを尋ねてみると、「まったく
 ない」が28%、「あまりしていない」が35%にも上り、合わせて6割以上がセックスレ
 スを特に問題視していいなかった。全回答者を対象に「セックスレスを理由に離婚す
 るか」という問いかけにも、「それだけを理由にには離婚しない」が53%、「スキン
 シップがあればいい」が29%も占めた。つまり、性生活のあるなしは、夫婦にとって
 それほど重要ではないという平均的な日本女性の意識が浮き彫りになったのである。

仕事とセックスレス
・働く実態がセックスレスに影を落としているとしても、問題は働く時間の長さといっ
 た量的な部分だけではない。むしろ、実際にどのようにしてその時間働いているかと
 いった労働の質こそが、真に問題なのかもしれない。
・一般的な傾向として、女性が専業主婦でありよりも、ほどほどに働いて収入を得てい
 るほうが、夫に収入を稼がなければといった過剰なプレッシャーをかけずにすむ。生
 活や時間に余裕が生まれる結果としてセックスレスに なりにくいかもしれない。すく
 なくてとも女性の多くが社会出て働くようになったことがセックスレスを増やしてい
 るというのは、どうやら事実ではなさそうだ。
・30代男性の労働時間は90年代以降、慢性的な長時間化が進んでいる。長時間働い
 ていても、それがやりがいや達成感につながっていればいい。しかし職場で実際には
 やらされ残業、サービス残業が繰り返されており、しかも職場の雰囲気もよいと思え
 なければ、その長時間労働は過酷なものだ。そんな男性の場合、家庭に戻ったとして
 も、高揚感もなく、強い疲労感だけが残り、セックスに対しても前向きになれないの
 かもしれない。
・気になる異性の存在によって「やる気が出る」とも答えている。男女の違いは大きく、
 女性の場合、半数以上の53.7%が気になる異性によって、やる気が高まるとしている。
・コンドームメーカーのデュレックス社の国際比較調査を信頼する限り、日本は婚外交
 渉において決して奥手の国でもなんでもなく、ごくグローバル・スタンダードなのだ
 そうだ。
・年代別で見ると、30代で不倫している場合が9.2%と最も高くなっている。
・既婚者のうち、年収の高い人ほど、パートナー以外とセックスしていることが多い。
 年収が700万円以上の人では12.3%と大きく増加する。
・経済的に余裕がある人でなければ、なかなか不倫もできない。その意味で、不倫は文
 化というよりも、むしろ経済状況によって左右されるという方が正しいのかもしれな
 い。
・1週間の労働時間が長い人ほど、不倫をしている人が多い。得の週労働時間が60時間
 を超えると、不倫中の割合は急増している。帰宅時間についてみても、帰宅が遅い人
 ほど明らかに不倫をしている割合が高くなっている。
・一つには働く時間が長く、帰宅時間が遅いのが隠れ蓑となって、不倫を続けていると
 いうこともあるのではないだろうか。
・不倫をしている人のうち、インターネットで知り合ったというのが最多で34.6%に達し
 ている。総合すると、不倫の約4割は、職場や仕事関係で出会っていることになる。

ヒト・フェロモンと職場の関係
・男性はどこで「気になる異性」と、判断するのだろうか。男性たちがよく話題にする
 のは、女性の胸の大きさ、腰のくびれ、尻、太もも、足首など。セックスアピールの
 強い身体的部位を挙げることが多い。しかし、女性たちが源氏物語でいうところの
 「雨夜の品定め」をしたなら、筆頭に上がるのが男性の手だ。以前に、「アエラ」で
 取材した時も十中八九の割合で、男性の身体で真っ先に目が行くのは「手」と答えた。

負け犬とワーク・ライフ・バランス
・勝ち犬は、家庭という世界において子供という有機物を生産しています。そして負け
 犬は、経済社会においてお金という無機物を得ている。両者が生産したもの、しなわ
 ち、「子供」と「お金」を比べた時、子供の方がまっとうで価値が高い生産物とされ
 るから、負け犬は「負け」ていると判断されるのです。
・仕事に邁進して来た女性であればあるほど、30歳を過ぎてから「ちょっと待てよ、
 自分の人生はこれでいいのか」と、立ち止まる時がやってくる。その心理は、隣の芝
 生が青く見えるとか、何でも手に入れたがるエゴイストといったレベルの説明では追
 いつかない。むしろ、仕事に没頭するあまり意識から忘れ去っていた、女という性に
 目覚める瞬間ではないかと思う。
・女性の排卵機能は、2ドアタイプの冷蔵庫に似ています。今月は右のドアを開けて
 卵を1個割る。翌月は左のドアを開けて1個、という具合です。卵は全部で3万個ほ
 ど、女性という性が決まった時点から貯蔵されているので、年齢を経れば経るほど卵
 の鮮度は落ちていくわけです。35歳も過ぎれば、中には腐った卵も混じっていたい
 するわけです。

変わりゆく職場で
・出生率の低さでは大差のない日本とイタリアも、こと年間のセックス頻度にいたって
 は、日本人はイタリア人の半分にも満たない。イタリア人がセックスことするものの、
 避妊などによって子供を持つことを慎重になっているのに対し、日本は世界的にも珍
 しいくらいに、セックスをしない国、セックスレス大国になっているようだ。
・バブル経済の崩壊後、日本の完全失業率は上昇の一途をたどり、過労死の他にも、長
 時間労働や職場のメンタル問題など、多くの働く個人は疲弊していった。そんな働く
 環境の悪化と歩調を合わせるかたちで少子化は進んだ。
・独身無業者がセックスから縁遠くなっている傾向は、男性と女性の両方について共通
 してみられた。されには同じ独身でも、一人暮らしの場合に比べて、親など誰かと同
 居している場合など、セックスの頻度が有意に少なくなるという傾向も、同時に発見
 された。
・なぜ、仕事がない独身者はセックスをする機会が少ないのだろうか。その原因には職
 場や仕事を通じて恋人に出会う機会が奪われていることが、なんといっても大きいの
 だろう。
・これから働いていく上で、会社でどんな評価を受けようとも、最終的には、自分の仕
 事の価値を判断するのは、会社や上司ではなく、自分自身だ。「他人の評価などどう
 でもいい、自分のボスは自分だけだ、それにたかが仕事じゃないか」と開き直ること
 も大切になる。
・私たちは、失われた10年と呼ばれた激動と不安定の時代に翻弄されるなか、ちょっ
 と真面目になりすぎてしまった。仕事と家庭をよい意味で切り離し、自分のための本
 当の「遊び」を一人ひとりが考え、そして行動すること。それが少子化社会や低成長
 経済を超えた、本当の意味での成熟社会において、個人が尊厳を守って生きるため
 の条件である