「エリートセックス」 :加藤鷹 |
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この本の筆者はアダルト男優で、今までに約6000人の共演女優とセックスしてき たとのことである。一人で6000人という驚異的な数の女性とセックスした経験のあ る男って果たして他にいるだろうか。この本は筆者のそういう経験をもとに、男として セックスはどうあるべきかを論じた崇高なものである。 この本の中で筆者が特に強調していることは、「セックスは心でする」べきものであ るということである。現代社会は、アダルトビデオを筆頭に、とかく偏ったセックス情 報が氾濫しており、多くの男たちがその偏った情報に踊らされて、理想とはほど遠い貧 しいセックスをしている。これはそんな貧しいセックスをする男もかわいそうだが、そ んな貧しいセックスに付き合わされる女性は、もっとかわいそうである。 セックスは、人間に神が与えてくれた最高のものである。セックスは、動物の交尾と は次元が違うものである。偏ったセックス情報に踊らされている男たちよ。そしてそん な男の相手をさせられている女性たちも。この本を読んでもっと「いいセックス」をし て欲しいと切に願うものである。 |
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セックスの絶対理論は6000人の女性とのセックスから生まれた統計学 ・セックスのうまい人は、いろいろな体位ができて、それを一度のセックスの中にふん だんに盛り込むものだと思っている人がいたら、その考え方は捨てたほうがいい。僕 は3つの体位で十分満足できるし、女性も満足させてきた。 ・相手の女性をどうすれば気持ちよくすることができるか、歓んでもらうことができる か、それだけを常に意識してきた。 心の「読解力」が質の高いセックスに直結する ・セックスはテクニックやハウツーではない。女性に「あなたのセックスは素晴らしい」 と認められるような男は、何が優れているかと言えば、相手が何を求めているかを感 じ取ろうとする力、つまり、心を読む「読解力」に優れているのである。 ・素晴らしい仕事をしている男性には、その人と同レベルか、それ以上のいい女が必ず そばについているものだ。そういう女性は、男性に対してもひるむことなく、時には 厳しく、時には鋭く、時には優しく、いいアドバイスができるものだ。いい女という のは、男性が満たしてくれるからこそ、その男のそばについている。 まずは正しいクンニから。股間から顔まで、直線ラインの情報を見逃すな ・いったいクンニのときに、男はどうすべきなのか。まず、クンニをしながら、顔をち ょっと上げて、女性の顔を見る。そして、自分の目と女性の顔を結ぶ直線ラインに視 点を移してみるのだ。 ・自分の目と女性の顔を結ぶラインの間には、胸やお腹がある。まずは、この胸とお腹 の動きを観察することで、女性がどんなふうに変化しているかがわかる。本当に気持 ちよければ、お腹がひくひくと動いている。胸で浅く呼吸していたのが、だんだん深 くなり、腹式の深い呼吸へと変わってくるのである。 ・首筋もものすごい情報源だ。感じ始めると、次第に力が入って筋張ってくる。 読解力と観察力。セックスのエリートはビジネスのエリート ・様々なテクニックをインプットして駆使しようとする男性ではなく、逆に人間的な感 性を重視できる、柔軟な男性こそが、エリートなんじゃないだろうか。 テクニシャンを自負する男ほど下手という事実 ・相手の女性の表情、個性、変化、すべてをしっかり観察できていない男に、女性を 「イカせる」ことなんて、まず無理だ。 ・多くの女性が「本当のセックスの気持ちよさを知らない」「本当にイッたことがない」 と言っている。だが、そういうセックスしかできない男性をつくってしまっているの は、女性たち自身にも責任の一端があるのだ。 ・「感じなきゃ」「イカなくちゃ」と思い込んでいる女性は、世の中にものすごくたく さんいる。実は、そういう女性って、僕から見ると、根が真面目なファザコンである ことが多い。父親に対して、なんとか気に入られようとか、いい子にしなきゃいけな いと意識して育ってきた女の子たちは思っている以上に多くて、本人が気づいていな いケースもたくさんある。 女性が本当に感じているかどうかの身分け方 ・お互いが向かい合った体位のときに、女性がセックスで激しく感じて、シーツや枕を ぎゅっとつかむ、というシーンをAVなどでも見かけるだろう。実は、なんとこれは 「本当は感じていない」というサイン。 ・もし、あなたに愛情を感じている女性が、心底気持ちよくなれば、男性と一体になろ うとする無意識が働いて、枕やシーツのほうへ両手が泳いでいったり、バンザイをし たりせず、自然とあなたの腕や背中など体のどこかをしっかりつかんだり、引き寄せ たり、まさぐってくるはずだ。 ・目をつむったまま、視線を合わせずに行為をすることも、僕はまだまだ未熟セックス だと思っている。基本的に、僕は経験上、目を見てセックスするほうが、確実に女性 は感じる。 ・行為中に、女性が「ちゃんと男性の目を見る」「手は男の腰を引き寄せる」という2 つは、僕の中の判断基準としては、いい女の条件になると思っている。 「女性は大きくて長いのが好き」の嘘 ・「大きいのがいい、長いのがいい」というのは、明らかに男側の発想だ。実は、男が 誇りに思うほど、女性はそこまでいいことだとは思っていない。 ・大きくて立派なペニスを持っていて、自信満々で「やってやる」という態度の男と、 たとえペニスのサイズが小さくても、優しく愛情を持って丁寧なセックスをしてくれ る男。女性がどちらを選ぶかと言えば、間違いなく後者だ。 ・もしあなたが、深く挿入して、子宮口を突くようなピストン運動をしていたとしたら、 それは多くの女性にとって、苦痛でしかない。 ・もし、女性が「奥まで来て」と言っても、彼女が感じる「奥」というのは、Gスポッ トのこと。Gスポットというのは、入り口から約5センチあたりの上部(腹部側)の 少し膨らんでいる部分にあたるので、子宮よりずっと手前ということになる。 ・大きかったり長すぎるペニスの場合には、横から挿入してみたり、女性の両足を閉じ た状態にしてあげて、ピストン運動で奥まで突かないように気をつけ、女性の気持ち よさを優先してあげること。 質問はするな、女性に選択肢を与えよ ・セックスにおいて、「誘導」はよくても「質問」はタブー。言葉で質問をしてしまう から、感性で応えられない状況を作りだしてしまっているのだということを、頭にし っかりおいて欲しい。 ・僕は女性に対して、男というのはあくまで先導役で、旅行会社の旗持ちと同じだと思 っている。「こちらにはこんな名所があります。あちらもよろしいとおもいます」と、 女性に選ばせながら、どんどんいい場所に連れて行ってあげる役目だ。ひたすらその 役目に徹する。どんなことがあっても、セックスの主役は女性なのだ。 7割の女性はイッた経験がまったくない ・僕が今まで女性に聞いた感触では、「イッたことがない」と言う女性が7割、自分で 「イッたと思っている」女性が3割。その3割の中でも、イッたと思い込んでいるケ ースが9割で、残り1割だけが、本当にイッたことのある女性だと思っている。 日本人のセックスレベルは世界最低 ・先進国のほとんどが、年間セックス数100回以上、世界平均だと103回なのに対 し、日本はなんと最下位の46回。 ・単に「回数を増やせばいいのか」と、勘違いして欲しくないのだけど、「セックスの 苦手な日本人像」や「セックスレスの増加」が浮き彫りになっているこの結果は、深 刻かもしれない。 ・46回という数字も、相当見栄を張った回答なんじゃないか、という気がしてしまう。 46回ということは、だいたい8日に1度。ほぼ1週間に1度くらいという計算だ。 でも、実際のところの日本人夫婦(カップル)の夜の営みは、せいぜい1カ月から2 カ月に1回あればいいほうではないだろうか。 ・70代であれば仕方がないが、40代前半くらいの僕の同級生たちに聞いても、ほと んどセックスをしていない夫婦が多い。僕の感覚では「年間10回」が日本人夫婦の 平均と見ている。そう考えると、日本人の年間セックス回数は、どうがんばっても 46回に届かないと思うわけだ。 女性は本当にレイプ願望があるのか ・AVは、現実でのセックスのやり方を教えるものではなくて、あくまで大人の娯楽。 男の妄想。そこをしっかりと認識して欲しい。だから、AVで観たものと同じプレ イをすれば、女性が歓ぶだろうとか、感じるだろうなんて短絡的に考えて、そのま ま実践しないこと。 生身の女性がセックスで大きく変化するギャップこそ美しい ・女性には乱暴な言い方になってしまうけど、いわゆる顔立ちが整った、イイ女と言わ れる女性は、まず、セックスのときにそれ以上いい顔にはならない。ギャップが少な いのだ。 ・ところが、あまりお顔がよろしくない女性は違う。顔立ちの整った女性より、そうい う女性のほうが、普段は見せないような、非常にいい表情を見せる確率が高い。僕は そのギャップの大きさが、ものすごい魅力だと思っている。 「もうイッちゃったの?」と言われる前に ・体力がないとか、射精までいくのが大変な人の場合は、正常位で女性の腰の下に枕等 をはさみ、女性の腰の位置を高くすることで、かなり動きやすくなるはずだ。 ・早漏で悩んでいる人の場合。そもそも「早漏」の定義は「相手より先にイッてしまう こと」だ。その時間というのは、2分でも長く感じたり、10分が短く感じたりと、 相対的なもの。なるべく早く射精しないよう、自分なりに工夫をすることだ。 ・肝心なセックスの前に、何日も溜めすぎないようにするとか、セックスのときに部屋 を暗くして、視覚的な強い刺激を避けるとか、または、挿入時に、女性の両脚を閉じ てもらうのもいいと思う。女性に両脚を閉じてもらうことで、奥まで挿入できなくな るし、視覚的にもペニスへの刺激が少なくなるというわけだ。 ・セックスはコミュニケーションだ。だから、相手に特別な言葉を言おうとするのでは なく、その場で感じたこと、あるがままを素直に言えばいいと思う。気持ちいいと思 ったら「ああ、気持ちいい」イッちゃいそうだと思ったら「もうダメ、イッちゃう」 って。 神秘のオーガズム・メカニズム ・女性の快感の根底には、妊娠するためのメカニズムが機能している。このことは、し っかりと認識しておくべきことである。 ・まず、女性にキスをして前戯が始まると、興奮して粘液が出てくる。これはペニスを 膣内に受け入れるための準備が始まるから。そして、大陰唇がやわらかく膨らんで、 小陰唇が開き、受け入れ準備完了、というふうに身体が変化していくわけだ。 ・さて、挿入後、さらに興奮すると膣が締まってくるのは、射精された精子を漏らさな いようにするためだ。そして、子宮の位置が奥へ移動し、次第に子宮の入り口あたり が広がって、精液を溜めやすい状態をつくりだす。 ・女性はなぜオーガズムを感じるか。それは、オーガズム期を迎えるときに、膣の奥が 膨らむバルーン現象が起きて、子宮の中に精子が入りやすいベストコンディションに なるから。気持ちいいとか、イクとかの問題ではなくて、オーガズムのメカニズムそ のものが、受精をスムーズに行うためのものになっているのだ。 「本当にイクのが怖い」という女性の本心。溶かすためには手を握れ ・実は、非常に多くの女性が、「イキたいけど、イッてしまったらどうしよう」という 不安を持っている。「もし、本当にイッちゃったら、自分を見失うのが怖い」と思っ ているのだ。 ・そういった状況をふまえても、女性が安心してイケるようにするためには、まず男性 のほうから、「女性が安心してセックスできる」という状況をつくって上げることが 絶対条件になる。 ・そのために、僕がとても大事だと思って、日頃からやっていることがある。それは、 セックスの最中、指をからませて手を握っていてあげること。 女性の快感の波をつくるチャンスは、前戯のみ! ・女性が癒され、心地よいと感じるセックスは、どうやったらいいのか。それは、女性 のボルテージが上がるゆっくりしたリズムの波に、男性がどれだけ合わせられるかで決 まる。 ・男性にとって、興奮する波がやってくるのは、勃起する瞬間と射精する瞬間、そのた った2回の極端な津波だけ。一方、女性は、何階段かに分けて大きな波のうねりが訪 れる。その波のギャップを、男性が埋め合わせていくしかない。 ・スロースターターの女性は、自分が興奮して気持ちよくなる前に挿入されてしまうと、 もう追いつけなくなって、そのままおいてきぼりでフィニッシュということになる。 つまり、男が埋め合わせできるチャンスがあるのは、挿入前の前戯だけということに なる。だからこそ、時間をかけた丁寧な前戯が必要不可欠なのだ。 年をとったほうが、男のオーガズムは大きくなる? ・年をとったらセックスはおしまいだ、なんて思っているかもしれないが、そんなこと はない。たとえやりたいという肉体欲求はなくなっても、女性の裸を見たいとか、セ ックスされたいという感情は、ずっとあるのだという話を年配の人に聞く。今は、老 人ホームに入っている男性だって、性欲があって元気な時代。生涯現役でもおかしく ない。 前戯の前儀はマッサージごっこから ・セックスの平均時間調査から見ると、だいたい40〜50分くらいというのが相場ら しい。これが挿入時間についてだけ言っているのだとしたら、ものすごい長い時間だ と思う。僕でも30分挿入していられるかというと自信がない。やはり当然、前儀の 時間を入れた数字だろう。 腰を動かさずイカせる方法 ・前戯でうんとお互いの気分が高揚して、女性側から挿入を求める状態になったら、挿 入したままじっとしてみよう。前戯で本当に高まっていると、挿入したまま、摩擦し なくても、至福の時を感じることができるはずだ。大事なのは、挿入したまま、お互 いの目と目を見つけ合って、表情でも感じあってみること。それだけで、ビクンビク ンとペニスもヴァギナもお互いがいきそうになる。 ・女性が本当に気もちよくなってきて、じっとしているよりも摩擦か欲しいと思えば、 自分から腰を動かしてくる。そういうふうに女性主導の腰使いで射精したあかつきに は、精子がいつもより大量に放出されるはずだ。 後戯記憶を次のセックスの布石にせよ ・特別な後戯をしなくっちゃいけないかというと、まったくそうじゃない。手を握った り、体を触ったりしながら、ベッドの中でしばらくセックスの余韻に浸っているだけ でいい。 ・逆に、「はい、おしまい」で、自分勝手に遮断してしまう男とは、その後味の悪い記 憶が甦って、次に誘われても、女性はセックスをしたいという気持ちにはなれない。 ・そうやって考えると、日本男性は、世界で一番後戯がヘタクソなのだろうと思う。だ から女性が満足感を得られずに、セックスの回数が世界一少なくなっているんではな いだろうか。 エネルギー配分の法則は5対2対3と心得よ ・「いいセックス」は、キスに始まりキスで終わるものだと、僕はいつも言うのだけれ ど、最初にキスはしても、射精の後にキスができる男って少ないんじゃないだろうか。 ・最初のキスから終わりのキスまで、前戯、挿入、後戯のおおよそのエネルギー配分の 比率をあえて数字にしてみるなら、5対2対3になればベストじゃないだろうか。も し、仮に50分だとしたら、前戯25分、挿入10分、後戯15分、ということにな る。 心せよ!セックスには男の人生そのものが表れる ・セックスには、その人が今まで生きてきた人生がそのまま出る。ものの見かたや考え 方はもちろん、人に対する思いやり、協調性、読解力や観察力などもすべて。 ・今の世の中は、目に見えるものやお金に価値を置く「物質崇拝主義」に偏ってしまっ ているので、それが精神をゆがめ、愛情をゆがめ、人間にとって不自然な状況をつく りだしている。そのことで、男と女が、自然に触れ合うことができなくなっている。 知識で頭がいっぱいにすると、セックスが下手になる ・昔と比べると、最近は、子供をできるだけ早くおっぱいから引き離したり、早くから 勉強を教えたり、早く立派な大人になって自立しろっていう教育をしているように見 える。ところが、そうなってしまうことで逆に、周りの人たちから学ぼうとか、吸収 しようとする能力が育たなくなって、協調性のないまま、実は自立しにくい大人にな ってしまう。 女性の子宮をくすぐるカギが、究極にいい男? ・結局、男と女は、単純に「ガキと母親」になれれば、うまくいくんだと思う。「いた ずらしないでいい子にしているのよ」とか、「暗くならないうちに早く帰って来なさ い」なんて言われたら、うっとうしくは思うけど、お腹が空けば必ず母親の元に帰っ てくるし、疲れたら安心できる寝床で眠るものだ。 ・男の携帯の着信やメールをチェックしたり、「浮気しちゃダメ」って言葉で縛ったり すると、鎖でかんじがらめになってしまうけど、「浮気くらいいいわよ。どうせ帰っ て来るんだから」って、男のことを信頼する余裕が持てたら、理想的な関係が築ける のだと思う。 ・多くの人が勘違いしているが、「いいセックス」をしたいなら、テクニックを磨くと か、潮吹きのやり方を覚えるなんてことばかり考えるのは、本末転倒。表面的な技術 より前に、心の持ち方が、本当に「いいセックス」をするためにいちばん必要なこと なんだと思う。 |