中年童貞 :中村淳彦

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本書は、「童貞」の人々が童貞が故に社会に適合できない人が多く、いろいろな面でトラ
ブルの原因となっている、というような展開になっているが、「童貞」が原因で社会に適
合できないのではなく、社会に適合できないが故に「童貞」のままでいることが多いので
はないだろうか。もっとも、「童貞」の人でも、立派な人もいるし、ちゃんと社会に適合
している人もいるし、童貞の人を一緒くたに問題児扱いにするのは如何なものかと感じて
しまうのは私だけだろうか。 本書の内容は、「童貞」の人に対する差別に繋がらないか
と心配してしまう。
それにしても、本書で述べられている高齢者介護施設における労働者数の絶対的な不足と
質の問題は深刻だ。これでは、激しい競争を勝ち抜いて運良く高齢者介護施設に入れたと
しても、そこで地獄のような日々が待っているとも限らない。これでは、果たして高齢者
介護施設に入ることがほんとうに幸せなのかと滅入ってしまう。高齢者介護施設はまさに
現代の「姥捨て山」になっているのではないかと愕然とさせられた。
この本を読むと、現代社会が病んでいることを痛感する。生涯、童貞のまま一生を終える
男性が増え続けているという。それは本人の責任にあるだろうが、現在の社会環境そのも
のにも、いろいろ問題があって、そういう童貞男性を作り続けているような気がする。
理想を追求するあまり、特定の男性に女性が群がり、他の男性は見向きもされない。逆に、
特定の女性に男性が群がり、その他の女性は見向きもされないというようなことが起きて
いる。世の中の男女関係は冷酷だ。
人にやさしい社会ではなくなった。企業論理が優先され、個人の生活の優先度がすっかり
後退していしまった社会となってしまっている。強いものだけが生き残り、弱いものは生
きられない社会となってしまっている。

はじめに
・童貞とは「性交未経験者の男性」のことだ。国立社会保障人口問題研究所の調査による
 と、20〜24歳の未婚男性で性交経験がない人は、40.5%、30〜34歳の未婚
 男性のうち性交経験がない人の割合は26.1%となっている。およそ、4人に1人以
 上が童貞という計算だ。この数値を元に計算すると、30歳以上の未婚男性はおおよそ
 800万人、全国に209万人の中年童貞がいることになる。性交経験のない男性はこ
 こ20年の間、上昇し続けている。
・介護事業は日本の中にで数少ない成長産業として、民間企業を中心に現在進行形で急拡
 大している。ただ、元々不人気職種であるため、人材不足は深刻だ。極端な売り手市場
 であり、健康であれば誰でも介護職にありつける。本来、介護は経験と知識と技術によ
 って高齢者の命を預かる専門職である。にもかかわらず、人材の選別はまったく機能し
 ていない。希望者全員が採用され、他業種でじゃありえない人材の異常な質の低下が全
 国的に進行している。
・介護の世界のおける困難のすべては介護を必要とする要介護高齢者ではなく、働く介護
 人材の問題である。そこではかなりの確率で30代、40代、50代の中年男性にぶつ
 かった。彼らは総じて未婚中年男性たちだった。どうして彼らが繰り返し人間関係でト
 ラブルを起こすのか。すべての問題は、彼らが周囲の人間と軋轢を起こしたり、他人を
 攻撃したり、いじめたりすることから始まる。そお行動がいかによくないことか注意し
 てもまったく理解してもらえない。彼らは決定的に物事の考え方や行動が周囲とはズレ
 ていた。  
・「中年童貞」の定義は、女性と交際した経験がなく、性風俗にも行ったこともない30
 歳を超えた真正童貞男性を「中年童貞」、女性と交際した経験はないが、性風俗店でプ
 ロの女性相手に経験がある男性を「素人童貞」とした。
・これほど大量の中年童貞は、100%近い人が結婚していた時代にじゃ現れえなかった
 人々だ。1950年(昭和25年)の生涯未婚率はわずか1.5%。それが2010年
 には20.1%に跳ね上がっている。
 
秋葉原は中年童貞天国
・男性独自の冷静沈着、客観的な判断力というのは、多く童貞を失うことによって得られ
 るものだからであります。童貞のあいだのものの考え方には、どうも禁欲からくるマイ
 ナスがある。「貞潔は、ある人々においては徳であるが、多くの者においては、ほとん
 ど悪徳である。 
・男性の冷静沈着で客観的な判断力は、すべて現実に根づいている。現実に対する冷静で
 客観的な判断は、我々の社会を作る大きな要素の一つである。性とは個人的なものでは
 なく、他者と親密な関係を築き社会に関わることだと考えるならば、中学校でぶつかっ
 た異性の壁を乗り越えられず時間が止まっているのは非常に危惧すべき事態である。
・オタクに共通しているのは処女崇拝です。多くのオタクは、処女以外は人間じゃない、
 といった思想を持っています。若い世代は最初から美少女キャラクターに処女を見てい
 るし、求めています。 
・オタクの強固な処女信仰は、単純に自分が童貞だから。自分は童貞のまま運命の人と巡
 り合って、それは理想の汚れない女性で、結婚して、みたいな。理想の恋愛、完璧な恋
 愛を何十年も妄想し続けると、処女信仰に行きつくのでしょう。もう一つの他人に汚さ
 れていないことを求めることは、女性に他人と比較されるのがこわいということもある
 でしょうね。
・18〜34歳の未婚女性の処女率は、1987年に65.3%だったものが、2010
 年には38.7%と激減している。80年代以降、童貞は増えているのに対して、処女
 は減っている。さらに婚姻率も下がり続けている。恋愛に興味のない女性も増えてはい
 るが、オタク男性が妄想しているような理想の恋愛がしたいという声は聞こえてこない。
・よく童貞に「風俗に行けば?」みないなことを言う人がいるけど、彼らが性風俗に行く
 などありえない。それは自分が汚れるから。
・基本的にオタクの人は真面目で、一つのことに集中できる職人気質な性格です。40代、
 50代の人の時代は、高卒とか大卒で就職できる社会に職人気質な人が高給をとれる仕
 事がたくさんあった。あと、公務員になった人とかも高給ですよね。現在の50代が該
 当する80年代初期のオタクは難関大学の学生が多く、難関になるほど大学生のロリコ
 ン率も高かった。 
・今、就職に必要なのはオタク男性が持っている真面目さとか職人気質じゃなくて、コミ
 ュニケーション能力。オタクは就職活動しても、真っ先に弾かれる。IT系でも自分で
 営業して仕事をとってくるようなスキルが必要だし、居場所がない。40代以上はオタ
 クであることを隠しながら普通の人と肩を並べて勉強して就職したけど、若い世代は
 10代の早い段階でダメだと諦めるようになった。  
・アニメ、アダルト系メーカーは、オタクを囲い込み、お金を持っている中高年オタクが
 生涯所得を注ぎ込めるように商品開発をしているという。企業は中高年のオタク男性は
 将来的に恋人ができたり、結婚したりすることはなく、一生オタクコンテンツに依存し
 て終末を迎えると想定している。死ぬまでオタクを囲い込むため、オタク専門の特別養
 護老人ホーム建設を検討するアニメ関連会社も存在するようだ。
・昔のオタクは博識だし、今でも40代以上のオタクは高学歴でいろいろな知識がある。
 若いオタクになるとアニメしか知らない、アイドルしか知らないという人が増えている。
 インテリジェンスが低下して、ひたすら好きなものだけに逃避することが一般的なオタ
 クになってしまった。理由はコンテンツが多すぎること。それはメーカーやプロダクシ
 ョンがオタクを囲い込んで、生涯独占しようという戦略なんです。だから趣味が細分化
 しすぎて、今のオタクは孤立している。同性の友達もいないオタクが増えている。コン
 テンツの消費を続けるオタクは、企業に消費活動を操られながら、死ぬまで仮想商品を
 購入し続けるだけの人生を送る。過去の日本に前例がないだけに幸せなのか。不幸なの
 かよくわからない。

妄想に生きる高学歴中年童貞
・大学偏差値別の童貞率のアンケート調査結果によると、偏差値70以上が46.6%、
 60〜70未満は40。9%、50〜60未満が34.3%、50未満が28.2%と、
 大学の偏差値が高くなるほど童貞率が高くなるという結果だ。女子の性体験についても
 同じ傾向があり、大学の偏差値が高くなるほど処女率は高くなる。勉強している時間が
 多く、遊んでいる時間が少ないほど難しい試験を突破するのは当然で、その傾向が顕著
 に大学の偏差値と童貞率に表れている。
・中年童貞には様々なタイプがいるが、大きくは低学歴、高学歴と分類ができるようだ。
 一人の作業である勉強だけはできるという中年童貞は多く、採用のハードルの低い労働
 集約型産業の末端に多く存在する低学歴の中年童貞とは明らかににタイプが異なる。
 高学歴の中年童貞は勉強という成功体験がある。しかし、女性、コミュニケーションと
 いう壁が越えられずに排除されている。勉強、学歴という成功体験があり、学生時代の
 同級生たちの多くは社会の上層で生きているので、「自分は本来はこんなはずじゃない」
 と現実的なプライドが高い。それなのにうまくいかない人生に深く悩むか、自傷に走る
 傾向があり、「生と死」のギリギリを生きている。
 
ネット右翼と中年童貞
・「ネットウヨ」には中年童貞がメチャメチャ多いですよ。中年童貞はオタク系男性が象
 徴しているが、正義感が強くて真面目な人が多い。それに加えてコミュニケーション能
 力が低いので融通が利かない。不正や特権、既得権などに敏感で、人間関係が希薄なの
 で時間があり、居場所がネットにある人が多い。
・日本は法治国家であり、当然個人や法人は法を守らなければならない。しかし、厳密に
 突き詰めていくときりがない。例えば道路交通法違反であっても、自分で安全を確認す
 れば赤信号でも渡る人はいる。法人は法令遵守が利益を生むわけではないので、どの業
 界にもある程度の本音と建前がある。正義や権利だけを主張していたら、経営がとても
 まわらなくなる業界は多い。
・インターネットの登場で社会はどんどん個人主義になり、人々は狭量になっている。そ
 れを突き詰めていくと、レイシストとなり右傾化する。そして、ネット上でのマジョリ
 ティに現実世界の大多数が取り込まれる。左翼のアンチだったはずのネットウヨはこの
 数年で優位に立ち、どんどん巨大化している。
・中年童貞のネットウヨは「こんな正義感があって立派な人間である僕が、社会に受け入
 れられないのはおかしい。そんなおかしい社会を変えよう」くらいに思っていますよ。
 自分自身が閉じこもってなにもよいことがない中で、不正とか不正義がどうしても許せ
 ない。  
・中年童貞はネット右翼になりやすい。人間関係や社会において孤立して不遇だったこと
 も一つの理由のようだ。ネットの中での韓国人や朝鮮人への過剰なヘイトスピートは、
 介護施設の末端で頻繁に起こっている弱い者イジメと同じ性質のようだ。人間関係で成
 功体験が少ないので弱い者や不正義を働く者をマジョリティ側に立って安全な匿名空間
 から一方的に叩くのである。 
・多くの中年童貞は「素晴らしい俺様はどんな会社でもほんとうは活躍できるけど、仕方
 がないから介護程度はやってやる」みたいな感覚。農業も一緒。介護も農業も国や自治
 体の政策で、補助金出して人を集めている。政策が絡むと失業者のセーフティネットに
 なって、本当にとんでもない奴ばかりが集まる。職場が破壊されるのは当然、産業も破
 壊される。今は社会的制度で介護と農業に流れているけど、昔は親が養っていたはず。
 ニートみたいに、ネット右翼にも「俺、介護職です」って奴がいっぱいいて、そいつら
 が目指すのは小説家。「介護なんて奉仕事辞めて、一発逆転で小説家になる」みたいな
 意識ですね。 
・市場は国際化してさらなる格差が広がる流れにある。現在、介護や農業、ネットのチャ
 ットなどを居場所にしている中年童貞や中年童貞的な人々が、さらなる下層になること
 は間違いない。 

女への絶望から男で童貞喪失
・女性が嫌いな理由は、「おそれく自分を受け入れてくれない」という自信のなさと、自
 己嫌悪だった。回避である。自分を受け入れない存在なので嫌いだけど本心は近づきた
 いし、できることなら仲よくなりたいという感情である。傷つきやすい心や性格が複雑
 に絡まっていくうちに先鋭化し、諦めて、「嫌い」という一刀両断しているようだった。
・女性はどうして深く考えることなく、常に「強い種」を持っていそうな男に惹かれるの
 だろうか。モテるのは、いつの時代もヤンキー、運動部のエースである。女性は、無条
 件に強者を選択する。私は中学生くらいからずっと疑問に思っている。女性は、どんな
 に真面目で誠実であっても、自信のなさやコミュニケーションに難があったり、また流
 行からズレていたりする男性は弱者として排除する。
・男が女性に排除されないためには、強者に見えるコミニュケーション能力、それが叶わ
 ないならば弱者として切り捨てられない現況に身を置くことが必要なのだおるか。  

童貞喪失を目指す学校
・中年童貞の存在が少子化に直結しているのは当然のことだが、彼らの多くが人間関係に
 歪みを抱え、職場など様々な場面でトラブルを起こし、多くの社会的損失の発生に繋が
 っている。さらに女性は安定して強者を求めているために容赦なく排除され、勉強や学
 歴で成功体験にある高学歴系の中年童貞は深く悩むことになる。心の穴を埋めるために
 宗教やAV業界という極端な世界に走ったり、去勢願望や自殺という破滅的な道を歩ん
 だりする。
・「童貞処女の問題=望まないヴァージン」は、誰もが一度はぶつかる大きな問題である
 にもかかわらず、社会的な支援がまったない状態です。社会の中で男女交際が自由にな
 ればなるほど、性の問題はパーソナルな問題になるため、本人がどんなに困っている状
 態にあっても、ヴァージンを卒業するための支援や教育が一切行われません。セックス
 は、経験にない人にとっては、ときに恐怖や回避の対象になります。未婚化と晩婚化の
 進展に伴い、なかなか恋愛やセックスの経験を積むことができない。そのため性的に自
 立できず、自分や他人の性と向き合うことから逃げ続けている人が増加しています。性
 的な自立は、社会的な自立とも繋がっている。もちろん、今は様々な価値観があるので、
 性に興味がなくても幸せという人は、そのままでなんの問題もないと思いますが、性的
 に自立をしたい欲求のある人は、なるべく早いうちに性体験を済ませるべきだと思いま
 す。
・童貞処女を卒業するためには、不特定多数の異性にモテる必要はまったくなく、たった
 一人のパートナーと、信頼できる人間関係を築くことができれば、それで十分なわけで
 す。  
・50代になっても女性との接し方がわからなくて暴走、というのは、本人にとっても周
 囲にとっても、非常につらいことだなと思いました。施設の中だけの生活や、家と作業
 所の往復を繰り返すだけの生活の中では、異性との人間関係を築くスキルを身につける
 場も機会もないわけです。見えづらい問題ですが、その原因のありかを一つひとつ可視
 化して、解きほぐしていくべきだと思います。
・童貞問題は、社会問題のデパートなのでは、と思いました。それほど多くの社会問題と
 リンクしています。にもかかわらず、性教育やNPOの世界では、ほとんど誰も言及し
 てこなかった。中年童貞のようなレベルまでこじらせてしまうと、多くの場合、もう取
 り返しがつかない。長年にわたって、異性に対する誤った思い込みや偏見で思考を凝り
 固めてしまっている上に、経済・労働問題に伴う困難が二重三重に積み重なってしまう。
 それらを一枚一枚取り除くには、膨大な手間と時間がかかるし、そもそも個人の努力や
 自己啓発で解決できるような問題ではなくなってしまう。深刻な中年童貞になる前に手
 を打つのが大事だと思っている。
・ヴァージンの人が囚われがちな恋愛観、結婚観は二つあります。一つ目は「完璧な人し
 か、恋愛・セックス・結婚はできない(だから完璧でない私に、恋愛・セックス・結婚
 する資格はない)」というもの。ヴァージン卒業を目指すにあたって、あなたが何より
 も最初にすべきことは、こういった「コンプレックスがあるからできない」「完璧な人
 間しかできない」」「完璧な人間としかしたくない」という思い込みを直ちに捨て去る
 ことです。恋愛は「お互いの完璧さを競い合うレース」ではありません。お互いの強み
 を生かし、弱みを補い合うためにするのが、恋愛であり、セックスであり、結婚です。
 「完璧な存在」=一方的に相手を経済的に養ったり、圧倒的な魅力で相手を引きつける
 必要はまったくないのです。
・戦後、憲法が変わって、婚姻を親が勝手に決めるのはよくない、ということになった。
 自由主義や個人主義が社会の主流になったわけです。それに伴って、初体験の相手や恋
 人、結婚相手を見つけることもすべて自己責任になった。ほんの数十年前までは、親や
 社会がパートナーを見つけて、半自動的にマッチングしてくれるのが普通だったのに、
 自分の努力と根性で相手を見つけて交渉しなさい、という自己責任の時代になると、そ
 れができない人も当然生まれてくるわけです。恋愛ができないから結婚できないという
 のは、ここ最近30年の間に生まれた一時的な価値観にすぎません。歴史的に見ると決
 して常識ではありません。  
・戦後すぐは婚姻カップルの7割が見合い結婚だった。半世紀で逆転現象が起き、恋愛結
 婚が88%、見合い結婚が8.1%というのが現在である。結婚=セックスと考えると、
 半世紀前までは親や地域が介入するが一般的だったが、その風習はなくなってしまった。
 性は自由主義、個人主義となって、時代の変化によって取り残されてしまったのが中年
 童貞という考え方である。
・個人の価値観の問題ですが、異性とのセックスをしたい人は、できれば一定の年齢まで
 に経験した方がいい。年齢を重ねると、自分の考えがガチガチに固まって、柔軟性や応
 用が利かずに方向転換できなくなるリスクがある。  
・恋愛をはじめとする人間関係は、相手との価値観のすり合わせです。相手の気持ちや立
 場を理解した上で、自分の言葉や行動を相手に投げかけていくキャッチボール。このキ
 ャッチバールができるだけの想像力や柔軟性がないと、関係は続かないので、やはり恋
 愛やセックスへの第一歩を踏み出すのは、社会に出るのと同時に同時期が望ましいと思
 います。  
・性的な自立は、社会的な自立に直結します。性的に自立することは、社会の中で多くの
 人と関わって生きていくためのきっかけになります。性的に自立すれば、自分に自信が
 つき、行動がしやすくなり、生きやすくなる。童貞のまま、不必要なコンプレックスを
 抱えたままだと、他者と付き合うことに対して劣等感や負い目を抱えてしまい、どうし
 ても社会的にアクティブになれないケースが多いと思います。 

中年童貞の受け皿となる介護業界
・介護業界では、本業に暗雲が垂れ込め始めた能力の低い零細経営者、お金と社会的名誉
 の両方を掴みたい自己顕示欲が強い社会起業家、安定だけを求める個のない人々、能力
 がないのに意識だけは高い若者、圧倒的需要を利用しようとする雇用政策関係者、そし
 て中年童貞を筆頭とする社会から弾かれた行き場のない人たちが、介護福祉という美名
 に群がって、様々な思惑を複雑に絡ませ合っている。もちろん真面目に働いている人も
 いるものの、それ以外の人の割合があまりにも多いのだ。 
・私はライターとして、一般的に壊れているとされるAVや性風俗、裏社会の取材を続け
 てきたが、介護ほど深刻に壊れている世界は見たことがない。どんなに巨大な需要が待
 っているとわかっていても、離職率が高く、逃げる人材が多いのは末端の現場を眺めて
 いれば当然といえる。 
・国の政策やハローワークの勧め、膨大な求人量がある広告などを経由して、解雇やリス
 トラ、能力が低いなどの理由で行き場をなくした中年男性たちが大量に介護業界に流れ
 ている。そして全国的に人材不足のため、誰でもほぼ無条件で採用されている。現在の
 トラブルまみれの介護現場の末端の荒廃は、採用のハードルの低さと、社会的に必要と
 いう「美名」を強調したアナウンスが招いた結果である。 
・介護事業所に異常な人材や中年童貞が激増したのは2008年、世界的な金融危機で景
 気がさらに落ち込んで失業者が激増したリーマン・ショック以降である。麻生政権時に
 厚生労働省が失業対策として大々的に「緊急雇用創出事業」と創設し、民主党に政権交
 代してから長期雇用に結びつく「重点分野雇用創造事業」に移行している。要するに失
 業者を人材不足の産業に送り込むという国策である。介護は高齢者の命を預かる専門職
 だが、この政策以降、介護現場の末端は全国的にムチャクチャなことになっている。
・介護は本来、専門的知識と経験に基づいてサービスを提供する専門職である。実施計画
 では職業の専門性、高齢者の命を預かる重要性がまったく考慮されていない。ホームヘ
 ルパー2級は8時間の座学を8日間、それと会議施設での2日間の研修で取得できる極
 めて簡単なもので、介護人材としての能力やスキルを担保する資格ではない。訪問介護
 ではホームヘルパー2級の資格が必須であるが、ほとんどの施設ではホームヘルパー2
 級は無資格未経験と同じ扱いとなっている。介護事業所に社会人として未熟な人材や、
 中年童貞などが激増したのは、この都道府県の「重点分野雇用創造事業」が始まってか
 らである。 
・官僚や行政が机上で計画した失業者対策や雇用対策が、現場で働く介護労働者のさらな
 る負担になって、結果的に高齢者たちの損失になっている。未経験な上に人間的に問題
 を抱え、常に誰かに依存している人物に社会常識から教え、職業訓練をするのは日常の
 介護労働者と比較にならないほど精神的嬢労働である。その人物がどうすれば常識的な
 レベルになれるのか職員間で何度も話し合ったり、他の職員や利用者とトラブルを起こ
 したりするので、その人が存在することで担当者はもちろん、多くの職員の膨大な時間
 が割かれることになる。その無駄な時間は利用者のサービスを削るか、残業で補填する
 しかない。運悪く社会性のない「重点分野雇用創造事業」流れの人材を採用してしまっ
 た施設は、相当な負担を強いられている。
・元々、不人気職で人材が不足しているにもかかわらず、東京、大阪、千葉、埼玉、神奈
 川などの大都市圏では介護事業所が次々と増え続け、さらにアベノミクスの景気回復に
 よってサービス業全体での人手不足という状態となった。離職率の高い施設は、存続が
 危ぶまれるほど深刻な事態に陥っている。
・中年童貞は推定209万人と膨大な数が存在する。その中にはコミュニケーション能力
 が高く、常識や協調性があって仕事ができる、また秀でた特殊能力がある人も多数存在
 するだろう。しかし、女性との性交を望んでいるのに逃避する彼らの多くは、内面にな
 にかしらの問題を抱えている。私が介護現場で目撃した中年童貞たちは、自己完結して
 閉じこもっているだけでなく、他人を攻撃したり、常識を逸脱したり、周囲にも迷惑を
 かけている人たちだった。 
・給料が安く汚い仕事で重労働と呼ばれる介護職は、現在進行形で高い離職率が継続して
 いる。しかし、実際の離職理由は給料が安いからでも重労働だからでもなく、「人間関
 係」を理由に挙げる人が圧倒的に多い。 
・介護現場で働いている中年童貞の多くは、能力は低いが真面目でプライドが高い。コミ
 ュニケーションが苦手なことを自覚して悩む高学歴系の中年童貞とは異なり、自分自身
 から逃げ続けていて精神年齢が低いという傾向がある。女性に対する純粋さ、幼児性を
 秘めている。そして社会からズレたまま精神的に成長することなく、すでに完全に取り
 返しのつかない40代に突入すると、いつかすべてを受け入れてくれる天使のような素
 敵な女性が現れるという妄想が強くなる。 
・中年童貞に侵食された多くの介護事業所や採用のハードルの低い産業の末端は、異常に
 高い離職率、反響のない求人、終わりのない職員同士のトラブル、いがみ合い、仕事が
 終わらないといった状態に悩まされているはずだ。低賃金と人材不足の問題だけは表面
 的に社会に可視化されているが、人材の質の極端な低下には蓋がされ、隠蔽されている。
 介護施設のような社会的に過剰評価されている職場の末端にいる中年童貞は、プライド
 が高い。彼らのことを思って意見を投げかけても会話ができないので矯正は難しい。
 自ら「社会的な死」を望んでいるとしか思えない状態なのだ。

中年童貞はこの社会が生んだ
・男に安定、安心、外見、収入、コミニュケーション能力を求める女性たちは残酷だ。条
 件に該当しない男を容赦なく排除する。それでも弱い男性たちは、生きなければならな
 い。犬や猫を去勢せずに強い欲求を残したまま交尾させないと、大きなストレスになる。
 異常に吠えたり、喧嘩を繰り返したり、手足を噛み切る自傷行為に走ったり、肉体的・
 精神的な病気や問題行動を引き起こすという。人間も同じだ。女性に排除された男は幻
 想に依存したり、自意識を肥大化させたり、さらに弱い者を叩いたりする。そしてコミ
 ュニケーション能力が重要視される現代社会の中では、女性に排除された者の多くは社
 会的な敗者にもなる。  
・オタク叩きは間違っている。オタクや中年童貞は基本的に幼少時代から地味で目立たな
 い存在で、遵法意識の強い真面目な人たちだ。中年オタクの一部には博識のインテリ層
 が存在するが、大多数が自分に自信がなく、コミュニケーションが苦手で引きこもりが
 ちでエネルギーが弱い人間だ。遵法意識が強く真面目すぎるが故に融通が利かず、他者
 が少ない環境に身を置き、人間関係の貧困に陥って社会から孤立している。だから、淋
 しさを埋めたり、充実感や刺激を得たりするために各メーカーが続々と開発するオタク
 コンテンツに依存して、社会との関係が貧困のままなんとか生きているという現実があ
 る。オタクコンテンツは問題があるどころか、孤立を埋めるための最後の処方箋的なセ
 ーフティネットとなっている。問題があるとすれば、多くの男たちの孤立を生んでいる
 社会だ。見合い結婚が激減して低下する婚姻率の数値を眺めてもわかるように、現在の
 日本は孤立する男性たちを続々と生む。  
・孤立している男性の処方箋としてよく挙げられるのが、全国各地で開催されている「婚
 活パーティー」である。 
・パーティーでは1割ほどしかいない普通以上のスペックを持つ女性を男性全員が取り合
 う。勝つのは若くて外見が優れている上、上場企業社員や社会的地位の高い職業に就く
 高収入の男性ばかり。パーティー一応全員に平等に機会が与えられるが、計算されたよ
 うにスペックの高い男性順にカップルとなっていく。
・コミニュケーションに問題を抱えて恋愛競争に負け続けている中年童貞には、とて手に
 負える場ではないようだ。中年童貞だけではなく、中高年の婚活は就職活動を超える厳
 しい状況だった。相手に外見と収入、勤務先と趣味くらいしか伝わらないため、そもそ
 も婚活をする必要のないスペックが高い男性だけが、女性とカップルになるという現実
 がある。 
・婚活女性が結婚相手に求めるのは年齢、外見、収入の3点である。どれが欠けても排除
 の対象となる。残念ながら多くの中年童貞が誇りにしている純粋さや優しさ、異性に対
 する潔癖さは、女性が男性に求める条件には入ってこない。
・40歳を超えてからは結婚どころか、友達を作るのも難しい。40歳を超えた一般的な
 男じゃ基本的に無理。中年童貞とか素人童貞とか、非正規社員とか低収入では、相手に
 対して相当な妥協をしても厳しい。普通の女性ならば同じ年齢くらいでいい人がいるわ
 けだし。それと、40歳を超えた自分と年齢が近い女性は、余りものというか、やっぱ
 り問題があるから残っているわけ。こちら側が妥協するしない以前の問題で、例えば理
 想が高すぎたり、諦めきれない男がいたり、性格が悪かったり、すごいブスだったり、
 やっぱり適正年齢で結婚をできなかった人間は男も女も問題がある。
・男女共に結婚を意識すると、ある程度条件をつけざるをえない。年齢を重ねるほど、条
 件は厳しくなる。外見は人並み以上が男女共最低条件で、これから家庭を築くとなると
 年齢、収入、性格とたくさんの問題をクリアしなければならない。中高年に突入すると、
 婚活パーティーのような刹那的な出会いの場で成功するには、自分の負けを認めるとい
 う妥協は絶対条件となるようだ。   
・35歳を過ぎた未婚男性が、44歳までに結婚できる割合は3%という衝撃的なデータ
 が出ている。2006年、35〜39歳男性の未婚率は30.9%、2010年の40
 〜44歳は27.9%という内訳で、35歳を過ぎた男性は、ほぼ結婚できない。
・童貞の人に見られる傾向は、自分を過大評価していることです。適正年齢を超えてしま
 って、年収も低い、外見も悪い、コミニュケーション能力もないって状態なのに、自分
 の価値が低いって意識がない。婚活市場は本当にシビアで厳しい。相手の女性がなにを
 求めているのか、自分になにが足りないのかを客観的に理解して、直していかないと、
 とても成功しないです。童貞の人や、ある程度の年齢で結婚できない男性や女性は、そ
 ういう現実がわからない。自尊心が強い人が多い。市場が求めているレベルに自分自身
 が達していなかったり、コミニュケーション能力が欠如しているのが失敗の原因なのに、
 パーティーにろくなのがいないって文句や苦情を言ったりする。
・男女とも激しい排除がまかり通っていて、奇跡は起きない「婚活パーティー」には、中
 年童貞は当然、コミニュケーションが苦手な男性は手を出してはならない。自身を失っ
 て傷を深めるだけである。
・中年童貞の周辺は社会からの排除、孤立、対立、関係性の貧困、少子化、職場の混乱、
 幻想への依存と問題だらけだが、正面から議論されることがめったにないどころか、ほ
 とんどの人が問題意識すら持っていない現状がある。
・中年童貞と中年処女はまったくタイプが異なるようだ。中年処女は精神的に引きこもっ
 ている女性が多く、徹底的に能動的じゃない人生を送っているという。諦めの境地に達
 している、というのが実態のようだ。諦めているのでどんなに自分が不遇だなと思って
 も攻撃的にはならない。労働集約型産業の末端で働く中年童貞に多く見られる、したの
 立場に威張る、イジメるなど、中年処女は人間関係に軋轢を生じさせることはない。
・中年処女は中年童貞と同じく、関係性の貧困から生まれる客観性のなさがマイナスとな
 り、自分の魅力を知らなかったり、諦めなくてもいいところで諦めたりする傾向がある
 ようだ。時間をかけて繰り返し魅力を伝えて、前を向かせ、30歳や40歳で初めて彼
 氏を作る人もいるという。
・中年童貞が目立つ存在になった理由に、職場が合理化して無駄がなくなったこと、そし
 て女性がどんどん社会進出して力が強くなったことがある。格差が広がって下層が固定
 されて、女性はそういう人たちをまったく相手にしなくなった。加えて、団塊世代に父
 親になる力がなかったこと。60代の団塊世代と70代以上の人たちでは、父親として
 の能力が違う。団塊世代は甘やかされて育ったから、何事も自分を優先する。そういう
 人は子供を育てられない。 
・引きこもりやニートなど、関係性の貧困が問題視されたのは、この20年のことである。
 昭和までの男性は容姿が悪くても、就職ができたし、結婚できた。働いて稼いで家庭を
 維持することで社会から認められ、それが自信にもなった。90年代以降にだんだんと
 自由が生まれたと同時に、たくさんのものを失った。中年童貞とは社会が生んだものだ
 ったのだ。  
・中年童貞は長い時間、屈折したことで生物として劣化している。自分が雌を受け入れて
 もらえないから、自分より弱い雌を自分色に染めるって妄想でしょ。それは本来の硬派
 な彼らの原点ではない。単なる逃げだ。
・女性が選択するのは、常にコミニュケーション能力が高く、なにかに優れている男であ
 る。真面目で気持ちが重い男はさけられ、軽くて楽しい人物に流れがちである。それは、
 とっつき易いから。女性は安心を求めている。告白して断られるのが嫌なの。だから、
 大前提としてなるべく断られなさそうな男を選ぶ。断られないって安心感があるからモ
 テる。チャラチャラしている男って柔軟だし、なんでも受け入れるし、断らない。どう
 してあんなのがモテるの?って男はたくさんいるけど、それは安心感を女性に与えてい
 るから、よく観察するとモテない男には柔軟性とか、隙がない。男も女も今は精神的に
 弱くなっているから、隙がないと避けられちゃう。
・恋愛やセックスや結婚は、まず友達ができて、明るくなってからでいい。だから必要な
 いプライドを捨てるために、男女が集う場所や、他人と対等に付き合える場を見つける
 ことが先決。中年童貞は結婚市場に金を払うより、共通点のある男女が集まるサークル
 みたいな場所に謙虚な気持ちで参加する方が効果的なのでは。
・心をこじらせる中年男性は、格差が広がるほど増える。現在、政府が議論しているネオ
 リベラリズムや雇用の規制緩和が進行すると、非正規雇用が中心の労働集約型産業の現
 場は、格差の下層となる。非正規雇用の中年童貞を受け入れている職場が、現在以上に
 混乱するのは想像するだけでも恐ろしい。おそらく職場として成り立たない。
・数々の規制緩和によって競争が激しくなり、格差が広がっている。それと同時にインタ
 ーネットが整備されて、個人主義が進み、様々な価値観が生まれてくる。企業が自由に
 競争して、自由にコミニュケーションができるようになった代償として孤立する人間た
 ちも増えた。女性や社会から弾かれた中年童貞だけでなく、ある一定層の男女にも生き
 づらい世の中である。また、その自由な風潮を利用する人物や業界によって、この10
 年間で人の心は操られ、搾取されている。
・最近ではワタミの理念経営が象徴する、会社理念で社員や従業員を拘束するブラック企
 業や、民営化された介護や保育業界での、ポエム的な言葉で職員を洗脳する「やりがい
 搾取」が一般的になっている。
・職場でイジメやパワハラを繰り返し、一日中誰かの愚痴や悪口を言っている中年童貞の
 源は被害者意識であり、負のエネルギーという。そのエネルギーは職場の混乱や産業の
 破壊だけでなく、AKBなどの流行にもリンクしている。
・AKB商法では、常識の範疇で応援しているならいいけど、破壊しかねないような金額
 を突っ込むのは「自分の存在が彼女たちの人生を左右できる」という幻想を与えられて
 いる。実際にCDを100枚、200枚と買って、自分の選んだ女の子の順位を上昇さ
 せることができる。たくさんのファンの一人として応援するのではなく「自分の持って
 いる影響力は弱くない」って夢を持っている。大金を投入した人は「俺があの娘を育て
 た」って思うだろう。そう思う彼らが悪いのではなくて、同じCDやDVDをたくさん
 買わせるシステムが歪だ。「愛されない」って被害者意識のある男たちの心を突いてお
 金を搾取するビジネスが、彼らの状況をますますヤバくしているわけだから。 
・マザコンであることが「すべての負の連鎖」の根本原因なんじゃないかな。母親に支配
 され続けて癒着を切ることができずに育って苦しかった人間は、女性ならなにかに依存
 するようになるだろうし、男性なら「女」に復讐しようとする。マザコンの中年童貞は
 他人とのコミニュケーションするスキルを母親に奪われて、普通に働くことができず、
 厳しいことを言われると逆上してキレる。40、50歳になった男が、60、70歳の
 母親と2人で暮らして、帰宅するとご飯が出て、機嫌が悪いと文句をつける。甘えなが
 ら同時に憎んでいる。  
・処方箋としては「厳しいお父さんの存在」「マザコンからの脱出」、それに「自立」の
 三つが浮かんだ。自分を思ってくれる父のような存在である厳しい男性の話に耳を傾け、
 数十年間面倒を見てくれた母親から独立し、ポエム企業には入社せず、淋しさを埋めて
 くれる各種コンテンツやアイドルからはなるべく逃げる。そして自分がオープンマイン
 ドできる居場所を見つけて、対等な関係の誰かと積極的にコミニュケーションをとるべ
 きなのだ。
・介護現場の末端には、社会から弾かれた人材を操って、金と社会的名誉を掴もうとする
 地獄の商人のような薄汚いベンチャー企業がむれている。現状は、社会のゴミ箱だ。将
 来的にはどこかに破棄されるだけの存在である。生きている価値がない、死ねばいいの
 に、常にそんな声がするような底辺だ。能力が高くて、真面目に良心的に取り組んでい
 る人たちもたくさんいるが、近寄ってくる者すべて吸収しないと成り立たない、「ゴミ
 箱」という表現は事実なのだ。