• 乱読の勧め：外山は、特定の分野に偏らず、幅広く多様な本を読む「乱読」を推奨しています。彼は、乱読を通じて予期せぬ発見（セレンディピティ）が生まれ、思考が柔軟になると主張しました。『乱読のセレンディピティ』（扶桑社文庫）では、計画的でない読書が新しい視点やアイデアを生むと述べています。

  

  
• 質より量の初期段階：若い頃や読書習慣を築く段階では、量を重視し、広く読むことが重要だと考えていました。ただし、単に多く読むだけでなく、「未知を読む」姿勢、つまり知らない分野や挑戦的な本に取り組むことを勧めています。

  
• 読書の目的：外山にとって読書は、情報を得るだけでなく、自己の思考を整理し、人生や社会に対する洞察を深める行為でした。彼のエッセイでは、読書を通じて「考える力」を養う方法が繰り返し強調されています。

• 学術的背景：外山は東京文理科大学で英文学を専攻し、文学博士号を取得。シェイクスピアや近代文学、言語学、修辞学など広範な研究を行いました。『シェイクスピアと近代』（1977年）や『修辞的残像』（1961年）などの著作は、深い文献研究に基づいています。これらの研究には、英語および日本語の古典から現代の学術書まで、大量の読書が必要だったはずです。

  

  
• 著作の多様性：外山は584作品以上を執筆または関与したとされ（ブクログのデータによる）、英文学、日本語論、教育論、俳句、家庭教育、老年学など幅広いテーマを扱っています。このような多岐にわたる執筆活動は、関連分野の膨大な文献を読破していたことを示唆します。

  
• 編集者としての経験：外山は雑誌『英語青年』の編集長を務め、『英語文学世界』や『月刊ことば』を創刊。これらの編集業務では、国内外の文献や原稿を読み込む必要があり、日常的に大量のテキストに接していたと考えられます。

  

• 定性的な記述の多さ：外山の著作では、読書体験や本の選び方、読む姿勢についての哲学的・質的議論が多く、具体的な読書量（例：「1日何時間読む」「年間何冊」など）はほとんど触れられていません。
• 時代背景：外山が活躍した時代（戦後から20世紀後半）は、現代のように読書量をトラッキングするアプリや習慣が一般的ではなく、読書量を記録する文化も希薄でした。
• 乱読の哲学：外山が推奨する乱読は、計画的・定量的な読書ではなく、興味の赴くままに読むスタイルです。そのため、彼自身が読書量を意識的に計測していた可能性は低いです。

• 多分野への関心：外山は、文学、哲学、言語学、教育学、心理学など、異なる分野の本を並行して読むことを勧めています。彼自身も、シェイクスピアから俳句、近代日本語論まで幅広い分野の文献を参照しており、日常的に多様な本に触れていた可能性が高いです。
• 継続的な読書習慣：外山は90歳を超えてもエッセイを書き続け、2017年（93歳）には『90歳の人間力』（幻冬舎）などの新刊を発表。こうした知的活動を維持するには、生涯にわたり継続的かつ大量の読書が必要だったと考えられます。

  

  

• 『思考の整理学』の影響：この本は累計263万部を売り上げるロングセラーで、東大・京大生や一般読者に広く支持されました。外山自身が、学生時代からビジネスマン時代まで、読書を通じて思考を整理する方法を模索していたと述べています。このプロセスには、試行錯誤の中で多くの本を読んだ経験が含まれているはずです。

  

  
• 読書環境：外山は戦後の日本で、農村では本が少なく、新聞すら特別だった時代を経験したと述べています（『未知を読む』）。その中で、彼は自ら積極的に本を求め、図書館や書店を活用して読書を続けたと推測されます。

  

• 『思考の整理学』（ちくま文庫）：読書を通じた思考の整理法を解説。
• 『読書の方法: 未知を読む』（講談社現代新書）：読書の意義と方法を深掘り。
• 『乱読のセレンディピティ』（扶桑社文庫）：多様な読書がもたらす発見について。
• 『本を読む本』（講談社学術文庫、共訳）：アドラーによる読書の技術論で、外山の読書観に影響を与えた可能性あり。