日本の平均労働分配率はどの程度?

日Q.本の平均労働分配率はどの程度?

日本の労働分配率については、どの統計や計算方法を用いるかによって水準が異なりますが、近年は低下傾向にあることが指摘されています。

代表的な数値として、いくつかのデータをご紹介します。

  1. 法人企業統計調査に基づく労働分配率(全産業)

    • 一般的に用いられることが多いこの基準では、1990年代後半に70%前後だったものが、2000年代以降、中長期的に低下傾向にあり、足元(近年)では60%近傍、あるいは歴史的な低水準にあるとされています(例:2023年には60%近傍)。

    • 2022年度実績では、経済産業省の調査に基づき、全産業の労働分配率は前年度差で低下しています。

    • 企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)は50%台前半(例:51.3%)、中小・小規模企業は70%台後半(例:中規模企業76.0%、小規模企業78.5%)と、企業規模によって大きく差があります。

  2. 国民所得に基づく労働分配率(マクロベース)

    • 国民所得を分母、雇用者報酬を分子として計算するマクロベースの労働分配率は、長期にわたって低下傾向を続けており、例えば2023年度は**38.1%**と過去最低を記録したというデータもあります。

重要なポイント

  • 低下傾向: 労働分配率は、様々な統計で1990年代後半から長期的に低下傾向にあることが共通して指摘されています。

  • 計算方法: 「労働分配率」は、付加価値の算出方法や分子・分母に用いる統計によって数値が大きく異なるため、「平均」という単一の値を出すのは難しいです。

  • 最新の動向: 企業の収益が拡大する一方で、賃金・福利厚生費などの人件費の伸びが相対的に限定的であった結果、労働分配率が低下している状況が見られます。

どの時点の、どの統計に基づく数値を知りたいかによって、参照すべきデータが変わってきます。




Q.海外のの平均労働分配率は?

海外主要国の労働分配率も、どの統計(国民所得、法人企業統計など)や計算方法(分母をGDPにするかGNIにするか、自営業者の所得を含めるかなど)によって水準が大きく異なります。

ここでは、いくつかの代表的な国際比較のデータ(概ね近年、マクロベースまたはそれに近い定義)をご紹介します。

1. マクロベース(国民所得等に基づく)の労働分配率

国民総所得(GNI)やGDPを分母、雇用者報酬を分子としたマクロベースの労働分配率は、多くの先進国で趨勢的に低下傾向にあるという点が共通しています。


国名 労働分配率の目安 (近年) 備考
フランス 69.0% (2023年) 比較的高い水準にある例
韓国 67.4% (2022年) 比較的高い水準にある例
ドイツ 65.5% (2023年) 比較的高い水準にある例
英国 63.1% (2022年)
米国 59.6% (2021年)
イタリア 59.3% (2023年)
日本 57.5% (2023年) 比較対象国の中では低い水準
カナダ 57.4% (2021年) 比較対象国の中では低い水準


注:データ出典や計算方法の違いにより、数値は変動します。上記の数値は、ある資料で示された「労働時間あたり人件費 ÷ 労働時間あたり名目GDP」の比較に近い例です。

2. OECD諸国の中位値

OECD諸国全体で見ると、労働分配率の中位値は、1990年代初めの**66.1%から、2000年代末には61.7%**に低下したという分析があります。これは、世界的な傾向として、労働分配率が低下していることを示しています。

3. 法人企業統計に近い基準での比較(G7)

別の分析(GNIベースなど)では、G7諸国の中では、アメリカが56.4%、フランスやドイツ、英国などが50%台前半?半ばであるのに対し、日本は50%前後(例: 50.5%)と、相対的に低い水準にあることが示されています。


まとめ

海外主要国の労働分配率は、概ね55%?70%程度の範囲にありますが、日本はこれらの国々と比較して、相対的に低い水準にある傾向が指摘されています。

この背景には、各国の経済構造や、企業が生み出す付加価値(生産性)と賃金の関係性の違いなどが影響しています。例えば、日本は、付加価値生産性(労働時間あたり名目GDP)自体が低いことに加え、人件費の伸びがそれを上回らないため、労働分配率が低くなっているという分析もあります。