年中同じタイヤを使う場合、夏タイヤのままがいい?それとも冬タイヤのままがいい?

Q.1年中同じタイヤを使う場合、夏タイヤのままがいいですか?それとも冬タイヤのままがいいですか?

夏タイヤと冬タイヤを年間を通して同じものを使う場合、どちらが良いかというご質問ですね。結論から言うと、どちらもおすすめできません

しかし、あえてどちらかを選ぶとすれば、住んでいる地域の気候条件や走行する路面状況によって判断が変わってきます。

それぞれのタイヤを年間通して使用した場合のメリットとデメリットを比較してみましょう。

夏タイヤを年間通して使用する場合

メリット:

  • 燃費が良い: 冬タイヤに比べて転がり抵抗が少ないため、燃費が向上します。
  • ドライ路面での走行安定性・ハンドリングが良い: ドライ路面でのグリップ力が高く、走行安定性やハンドリング性能に優れます。
  • 静粛性が高い: 冬タイヤに比べてパターンノイズが少なく、静かです。
  • 夏場の摩耗が少ない: 夏の高温路面でも冬タイヤほど摩耗しません。

デメリット:

  • 冬場の雪道・凍結路面で非常に危険: これが最大のデメリットです。雪道や凍結路面ではまったくグリップせず、スリップしやすく非常に危険です。事故のリスクが格段に上がります。
  • 低温での性能低下: 気温が7℃以下になると、夏タイヤのゴムは硬化し、グリップ力が低下します。雪が降っていなくても、冬場の低温路面では制動距離が伸びるなどの性能低下が見られます。

冬タイヤを年間通して使用する場合

メリット:

  • 冬場の雪道・凍結路面での安心感: 冬場の雪道や凍結路面でも高いグリップ力を発揮し、安全に走行できます。
  • 低温での性能維持: 低温でもゴムが硬化しにくく、グリップ力を維持します。

デメリット:

  • 燃費が悪くなる: 夏タイヤに比べて転がり抵抗が大きいため、燃費が悪化します。
  • 夏場の摩耗が激しい: 夏の高温路面では、冬タイヤの柔らかいゴムが過度に摩耗し、寿命が非常に短くなります。
  • 夏場のドライ路面での走行安定性・ハンドリングが悪い: 柔らかいゴムと深い溝のため、ドライ路面での走行安定性やハンドリング性能が低下します。カーブでのふらつきや制動距離の伸びなどが考えられます。
  • 静粛性が低い: 夏タイヤに比べてパターンノイズが大きく、走行音が大きくなります。
  • タイヤ代が高くつく可能性: 摩耗が早いため、結果的にタイヤの買い替えサイクルが短くなり、長期的に見るとタイヤ代が高くつく可能性があります。

どちらかを選ぶとしたら?

基本的に冬場の積雪や路面凍結がない地域に住んでいるのであれば、夏タイヤのままの方がまだ現実的です。 しかし、それでも冬場の低温時には性能が低下し、万が一の降雪時には非常に危険であることは肝に銘じておく必要があります。

逆に、少しでも冬に積雪や路面凍結の可能性がある地域に住んでいるのであれば、夏タイヤのままでは命に関わる危険性があります。 その場合、冬タイヤを年間通して使用する方が安全面では良いと言えますが、上記デメリット(燃費、摩耗、走行性能、静粛性)を許容できるかという問題になります。

最も推奨されるのは

最も推奨されるのは、季節ごとに適切なタイヤ(夏タイヤと冬タイヤ)に履き替えることです。 これが、安全性、経済性、走行性能のすべてにおいてバランスの取れた選択です。

もし、タイヤ交換の手間や費用が気になるのであれば、オールシーズンタイヤという選択肢も検討できます。ただし、オールシーズンタイヤは夏タイヤと冬タイヤの中間的な性能を持つため、本格的な雪道や凍結路面では冬タイヤほどの性能は期待できませんし、夏のドライ路面では夏タイヤほどの性能は出ません。

ご自身の地域の気候、運転頻度、走行する路面状況、そして何を最も重視するか(安全性、経済性、走行性能)によって、判断が変わってきます。