Q.かつて国際貢献税を新しく課税する案が出されたことがありましたか?
はい、日本において「国際貢献税」やそれに類する税の導入が議論されたことは過去にあります。特に「国際連帯税」という名称で検討が進められてきました。
主なポイントとしては以下の通りです。
- 国際人道税(国際航空券連帯税)の提唱: 1998年に租税法研究者の金子宏氏が国際航空運賃を課税標準とする「国際人道税(International Humanitarian Tax)」を提唱しました。これは、国際人道的な使途に充当する目的税として構想されました。実際にフランスなど複数の国で航空券に課税する形で国際連帯税が導入されています。
- 外務省からの要望: 外務省は、政府開発援助(ODA)だけでは不十分な地球規模課題への対応のため、国際連帯税(国際貢献税)の導入を税制改正要望として提出したことがあります。これは、SDGs(持続可能な開発目標)達成に必要な開発資金確保への貢献という観点から検討されています。
- 「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」: この法律には、国際連帯税についても検討を行うことが明記されています。
- 国際連帯税創設を求める議員連盟: 超党派の国会議員によって、国際連帯税の推進を目的とした議員連盟が設立されています。
- 議論の背景と課題: 国際貢献税や国際連帯税の議論の背景には、政府開発援助(ODA)の減少や、貧困、感染症、気候変動といった地球規模課題解決のための新たな資金源の必要性があります。しかし、新たな目的税の創設は、税の本質や納税者の理解、国際的な協調、課税回避の可能性など、多くの課題が伴うため、導入には至っていません。
このように、かつて国際貢献を目的とした新しい税の導入が検討され、現在も「国際連帯税」という形で議論が続けられています。