Ｑ．どうしてトルコ人の移民が多いのですか？

トルコ人の移民が多い理由は、主に以下の歴史的、経済的、政治的な要因が関係しています。

1. 労働力不足を補うための出稼ぎ労働者の受け入れ

特にドイツなどのヨーロッパ諸国では、第二次世界大戦後に急速な経済成長が進む一方で、労働力が不足していました。1950年代から1960年代にかけて、ドイツをはじめとするヨーロッパの国々は「ゲストワーカー制度（Gastarbeiter）」を導入し、外国人労働者を受け入れるようになりました。トルコもその対象国であり、1961年にはトルコとドイツの間で正式な労働協定が結ばれ、多くのトルコ人が出稼ぎに向かいました。当初は一時的な滞在を想定していたものの、多くの移民が現地に定住し、その後も家族を呼び寄せる形で移民が増加しました。

2. 経済的要因

トルコは1960年代から1980年代にかけて経済的な問題を抱えており、特に農村部では生活水準が低かったため、より良い生活と仕事の機会を求めて多くの人がヨーロッパ諸国に移住しました。トルコの経済成長が安定する前の時期は、海外に働きに出ることで家族を支えることが一般的でした。

3. 政治的要因

トルコ国内での政治的な不安定さや抑圧も、移民を増加させた要因の一つです。1970年代から1980年代にかけて、トルコでは軍事クーデターや政情不安があり、これに伴って多くの人々が政治的亡命を求めました。また、1980年の軍事クーデター後、多くの左翼活動家やクルド人などが政治的な迫害を逃れるために国外に移住しました。

4. 国際的な移民の波

トルコは地理的に中東とヨーロッパの中間に位置しており、移民や難民の通過地点でもあります。特にシリア内戦以降、トルコは難民の受け入れ国としても重要な役割を果たしており、トルコ人自身の移住とともに、難民をヨーロッパに送り出す拠点にもなっています。

5. トルコ系移民のコミュニティの発展

トルコ人移民が増加した結果、ヨーロッパ各地にトルコ系のコミュニティが形成され、これがさらに移民を促進しました。新たに移住してきた人々が家族や知人を呼び寄せたり、トルコ系のビジネスが発展することで、経済的にも支えられる移民の流れが続いています。

6. 教育・技術移民

近年では、教育や専門職を求めて移住するトルコ人も増えています。特にヨーロッパやアメリカなどでは、高度な教育や技術を持った人々を受け入れる政策があり、これに伴ってトルコからの移住者が増加しています。

このように、トルコからの移民の流れは、出稼ぎ労働者としての需要、経済的な理由、政治的な状況など、複数の要因が組み合わさって生まれたものです。