タリージェを使用する病院と使用しない病院

Q.タリージェを使用する病院と使用しない病院があるのですか?

はい、**タリージェ(一般名:ミロガバリンベシル酸塩)**を使用する病院と使用しない病院があります。その理由はいくつか考えられます:


? タリージェを使用する病院の特徴:

  1. 神経障害性疼痛に積極的な治療方針を持つ

    • 糖尿病性神経障害や帯状疱疹後神経痛などへの対応を重視。

  2. 疼痛外来、麻酔科、ペインクリニックがある

    • 専門的な疼痛治療の一環としてタリージェを導入している。

  3. 既存薬(例:リリカ)で副作用や効果不十分の患者が多い

    • ミロガバリンの方が忍容性が良い場合があるため、選択肢として使う。

  4. 薬剤部が新薬の導入に積極的

    • 医師が希望しても、薬剤部の承認がなければ処方できないケースもある。


タリージェを使用しない病院の主な理由:

  1. 他の薬(例:リリカ、トラムセットなど)で十分な効果が得られている

    • 新しい薬を導入する必要性を感じていない。

  2. 薬価が高い、コスト重視

    • タリージェは比較的新しい薬であり、費用面がネックとなることもある。

  3. 副作用(例:眠気、ふらつき)や依存性を懸念

    • 高齢患者が多い施設では、副作用リスクを回避する方針を取ることも。

  4. 病院のフォーミュラリ(院内採用薬)に入っていない

    • 医師が希望しても使用できない。


補足:

  • 開業医クリニックでは、比較的柔軟にタリージェを処方しているところもあります。

  • 大学病院や基幹病院では、治験データや安全性を重視して導入の審査が厳しい場合があります。




Q.タリージェに代わる薬にはどんな薬がありますか?

タリージェ(ミロガバリン)に代わる薬には、同じ神経障害性疼痛を対象とした薬が複数あります。症状や体質によって使い分けられます。以下に主な代替薬を分類して紹介します。


タリージェの主な代替薬

@ 同じ機序(α2δリガンド)

神経細胞のカルシウムチャネルに作用して、痛みの伝達を抑える薬です。

薬剤名 一般名 特徴
リリカ プレガバリン タリージェとよく比較される。即効性があり有名。副作用(眠気・ふらつき)に注意。
ガバペン ガバペンチン プレガバリンより古いが、同様の効果。海外では広く使用。

※プレガバリンとミロガバリン(タリージェ)は非常に似た作用ですが、ミロガバリンの方が一部で副作用が少ないとされています。

A SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

痛みの感受性を脳からコントロールする薬です。

薬剤名 一般名 特徴
サインバルタ デュロキセチン 神経障害性疼痛、うつ病、腰痛にも効果あり。眠気少なめ。
トレドミン(少ない) ミルナシプラン 効果はやや弱めだが併用可能。

B 三環系抗うつ薬(TCA)

古くから使われる鎮痛作用のある抗うつ薬。

薬剤名 一般名 特徴
トリプタノール アミトリプチリン 夜間の痛みに強いが、副作用(口渇、便秘、眠気)多め。

C その他の選択肢

薬剤名 分類 特徴
トラムセット、トラマール 弱オピオイド+アセトアミノフェン 中等度の痛みに。依存性に注意。
ノイロトロピン 非麻薬性疼痛治療薬(抽出物) 副作用が少なく高齢者にも安全だが効果は穏やか。
リドカイン貼付剤 局所作用薬 帯状疱疹後神経痛など、局所性の痛みに使用。


薬の選び方の目安

患者の特徴 推奨されやすい薬
高齢者、副作用に弱い ノイロトロピン、サインバルタ
即効性がほしい リリカ、トラムセット
眠れないほどの夜間の痛み トリプタノール
多剤併用が難しい タリージェ単剤、またはサインバルタ



Q.いままでタリージェを服用していて、タリージェを止めて代替えの薬に変える場合、どのような注意が必要ですか?

タリージェ(ミロガバリン)を中止して他の薬に切り替える(スイッチする)場合には、いくつか重要な注意点があります。神経障害性疼痛の治療薬は、中枢神経系に作用するものが多く、切り替えの際に離脱症状や副作用、効果の変化が起きることがあります。

タリージェ中止・切り替え時の主な注意点

@ 急に中止しない(漸減が基本)

  • タリージェをいきなり止めると、不安、不眠、頭痛、めまい、神経過敏などの離脱症状が出る可能性があります。

  • 通常は、1〜2週間かけて徐々に減量しながら中止します。

    • 例)15mg/日 → 10mg → 5mg → 中止

医師の指示に従い、自己判断での中止は避けてください。


A 作用機序が異なる薬は「効果のズレ」に注意

  • 例:タリージェ → サインバルタ
    → 効果の発現まで1〜2週間かかることがあり、移行期に痛みが再発することもあります。

  • その間は、一時的に両薬を併用することもあります(医師の管理下で)。


B 副作用の性質が変わる

  • タリージェ:眠気、ふらつき、むくみ

  • サインバルタ:吐き気、眠れない、血圧上昇

  • リリカ:同じような副作用でも強さや頻度が違うため、服用開始時は注意深く観察。


C 併用薬との相互作用を再チェック

  • 新たに使う薬が、他の持病薬と相互作用する場合があります(特に抗うつ薬、降圧薬、睡眠薬など)。

  • 主治医や薬剤師に、現在の服薬内容を必ず伝えておくことが重要です。


D 効果判定に時間がかかることもある

  • 特にSNRI(サインバルタなど)や三環系抗うつ薬(トリプタノールなど)は、効果が出るまで1〜2週間程度かかる場合があります。

  • 焦ってすぐに変更・中止せず、数週間は様子を見ることが大切です。


? まとめ:切り替え時の基本ステップ

  1. タリージェを医師の指示で少しずつ減量

  2. 新しい薬を少量から開始し、徐々に増量

  3. 数週間は効果・副作用を慎重に観察

  4. 症状が悪化したらすぐに医師に相談

  5. 自己判断で薬をやめない




Q.病院のフォーミュラリといのは?

病院のフォーミュラリ(formulary)」とは、
その病院で**使用を認められている医薬品の一覧表(採用薬リスト)**のことです。

フォーミュラリとは?

「この病院では、どの薬を使ってよいかを決めたリスト」

  • 病院ごとに作成されていて、医師が処方できる薬が制限されています。

  • 新しい薬や高額な薬を勝手に処方することはできず、まずこのリストに「採用」されている必要があります。


フォーミュラリの目的

目的 内容
? 医療の質の統一 医師ごとに薬の使い方がバラバラになるのを防ぐ
? 薬剤コストの管理 必要以上に高額な薬が使われないようにする
? 患者の安全 実績のある薬、安全性が確認された薬を中心に使用する
? 薬剤の在庫管理 院内薬局で無駄な在庫を抱えないようにする

フォーミュラリに関する現場での実際

  • 採用申請は、医師が希望して薬剤部・薬事委員会に申請を出します。

  • 薬剤部や経営層がコスト・効果・副作用などを総合判断して可否を決めます。

  • 一部の病院では、公的保険で使える薬でも、フォーミュラリにないと使えないことがあります。


例:タリージェの場合

パターン 結果
? 採用されている 医師がタリージェを処方できる
? 採用されていない 処方不可(代替薬を使用)または特別申請が必要

? 患者の立場でのポイント

  • 「他院では出してもらえた薬が、今の病院では出せない」といったケースは、このフォーミュラリによることが多いです。

  • 医師に「この薬はフォーミュラリに入っていますか?」と聞くと、理由が明確になる場合もあります。




Q.タリージェとリリカとでは、どちらが副作用が少ないですか?

タリージェ(ミロガバリン)リリカ(プレガバリン)は、どちらも神経障害性疼痛に使われる「α2δリガンド」という同じタイプの薬ですが、副作用の出方や頻度に違いがあります。

結論から言うと:

一般的には
? タリージェのほうが副作用が少ない、または軽いことが多い
…とされます。
ただし、個人差が大きいため、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。


比較:副作用の傾向

項目 タリージェ(ミロガバリン) リリカ(プレガバリン)
眠気(傾眠) やや少なめ 多め(高齢者では特に注意)
めまい・ふらつき 少なめ 多い
むくみ(浮腫) 起こるが軽度 やや多め
体重増加 少なめ やや多め
注意力・集中力低下 比較的少ない 出やすい
依存性 どちらも注意が必要(まれ) どちらかというと報告多め
離脱症状(やめる時の症状) 出にくい 出やすい(頭痛、不眠など)

データ上の比較(臨床試験など)

  • タリージェは、脳内移行が少なく、より末梢神経に選択的に作用するため、眠気やふらつきが出にくいとされています。

  • リリカは脳への移行が強く、効果が早い代わりに副作用も出やすい傾向があります。


高齢者の場合

高齢者では、ふらつき・転倒・認知機能低下のリスクがあるため、

? タリージェの方が安全に使えるケースが多い
とされています。


? 注意点

  • タリージェでも眠気やふらつきは出ることがあります。

  • 人によっては、リリカの方が合っている場合もあります(特に痛みが強く即効性が求められるとき)。


? まとめ

質問 回答
副作用が少ないのは? 一般的には タリージェ
効き目が早いのは? リリカ(即効性がある)
高齢者に安全なのは? タリージェ


Q.タリージェからリリカに切り替える場合の注意点はなんですか?

タリージェ(ミロガバリン)からリリカ(プレガバリン)に切り替える場合には、薬の作用時間・副作用・用量などが異なるため、いくつかの重要な注意点があります。

タリージェ → リリカへの切り替え時の注意点


? 1. 用量換算は簡単ではない

  • タリージェとリリカは似た作用機序を持っていますが、直接的な用量換算ができないため、必ず医師が用量調整を行います。

  • 例として参考程度に:

    • タリージェ 10mg/日 ≒ リリカ 75?150mg/日程度(症状・体格により変わる)

?? 安易に「mg数だけで比較」しないように注意してください。


? 2. 副作用(特に眠気・ふらつき)に注意

  • リリカは、タリージェよりも中枢神経への影響(眠気・ふらつき・浮腫など)がやや強い傾向があります。

  • リリカに変えた初期は特に、転倒や運転時の注意力低下に注意が必要です。


? 3. 徐々に移行するのが安全

  • タリージェをいきなりやめて、リリカを始めると痛みの再発や離脱症状が出ることがあります。

  • 一般的には:

    • ? タリージェを徐々に減量しながら

    • ? リリカを少量から開始し、様子を見て増量

  • 移行期には併用することもあります(短期間・医師の指導のもと)


? 4. 効果発現や副作用の出方が異なる

  • リリカの方が即効性は高いですが、眠気や注意力低下が出やすいため、

    • 初期は夜だけの服用にする

    • 少量(25?75mg)から始めて様子を見る
      などの工夫がされることがあります。


? 5. 併用薬・体質との相性を再評価

  • リリカは腎機能に影響されるため、腎機能が低下している場合は用量調整が必要です。

  • また、眠気を起こす他の薬(睡眠薬、抗不安薬など)との併用に注意。


? 安全な切り替えの一例(目安)

日数 タリージェ リリカ
Day 1?3 10mg/日 開始なし
Day 4?6 5mg/日 25mg/日 開始
Day 7以降 中止 必要に応じて75mg/日へ増量

※ 実際の移行スケジュールは、症状や年齢・体格・腎機能によって異なります。必ず医師の指示に従ってください。

まとめ:切り替え時のポイント

ポイント 内容
? 用量換算に注意 1:1では換算できない
? 副作用に注意 リリカは中枢性副作用が出やすい
? 徐々に移行 いきなり切り替えず漸減・漸増が安全
? 腎機能の確認 リリカは腎排泄される
? 医師・薬剤師と連携 自己判断は避けること



Q.日本では神経障害性疼痛の治療薬としてどの薬が一番処方されていますか?

日本で神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)の治療薬として最も多く処方されている薬は、以下の通りです(2024年時点の傾向と処方実績に基づいています)。

日本で最も処方されている神経障害性疼痛薬トップ3(推定)

順位 薬剤名(一般名) 主な商品名 備考
? 1位 プレガバリン リリカ 最も普及している。適応も広く、長年の実績あり。
2位 デュロキセチン サインバルタ うつ・腰痛・糖尿病性神経障害など複数の適応あり
3位 ミロガバリン タリージェ 比較的新しいが、副作用が少なく徐々に使用増加中


なぜリリカ(プレガバリン)が1位なのか?

? 長年の実績

  • 2010年に日本で発売され、神経障害性疼痛の標準薬として広く使われてきました。

  • 2020年以降は**ジェネリック(プレガバリン)**も登場し、処方がさらに増加。

? 適応範囲が広い

  • 帯状疱疹後神経痛

  • 糖尿病性神経障害

  • 線維筋痛症

  • 慢性腰痛(神経因性)など

? 即効性がある

  • 服用して数日?1週間で効果が出るため、臨床現場で使いやすい


高齢化でタリージェやサインバルタへの切り替えも進行中

  • リリカの副作用(ふらつき・眠気・むくみなど)を嫌う高齢者や多剤併用の患者では、

    • より安全とされる タリージェ(ミロガバリン)

    • 非鎮静系の サインバルタ(デュロキセチン)
      への切り替えが進んでいる病院も増えています


その他に使われる薬

薬剤名 用途・特徴
ノイロトロピン 帯状疱疹後神経痛など。副作用が少ない。
トリプタノール(アミトリプチリン) 古典的な三環系抗うつ薬。夜間の痛みに強い。
トラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン) 中等度の痛みに対応。神経障害性にも使われることあり。


? まとめ:日本の処方傾向(2024年頃)

項目 結果
最も処方されている薬 リリカ(プレガバリン)
処方が増加している薬 タリージェ(ミロガバリン)、サインバルタ
高齢者に安全な選択肢 ノイロトロピン、タリージェ




Q.処方されている神経障害性疼痛全体に占めるリリカとタリージェの割合はどの程度ですか?

日本における神経障害性疼痛治療薬の処方割合について、リリカ(プレガバリン)とタリージェ(ミロガバリン)の比較を以下に示します。


処方割合の推定(2024年時点)

薬剤名 推定処方割合 備考
リリカ(プレガバリン) 約70?80% 長年の実績と広範な適応症により、依然として主力の治療薬です。
タリージェ(ミロガバリン) 約20?30% 2019年の発売以降、副作用の少なさから処方が増加しています。

※これらの数値は、売上高や処方実績に基づく推定であり、正確な統計データではありません。

背景と動向

  • リリカ(プレガバリン)2010年の発売以来、神経障害性疼痛や線維筋痛症など幅広い適応症で使用されており、2017年には国内医薬品売上トップとなる937億円を記録しました。 ウェブロンザ

  • タリージェ(ミロガバリン)2019年に発売され、末梢性神経障害性疼痛を対象に使用されています。副作用が比較的少ないことから、高齢者やリリカで副作用が強く出た患者への処方が増加しています。 ママ薬剤師かばこのブログ


まとめ

  • リリカ長年の実績と広範な適応症により、依然として主力の治療薬です。

  • タリージェ副作用の少なさから、特に高齢者や副作用リスクの高い患者に対して処方が増加しています。

今後、タリージェの適応拡大や使用実績の蓄積により、処方割合がさらに増加する可能性があります。



Q.リリカとタリージェの薬価はどのぐらいですか?

日本における神経障害性疼痛治療薬である**リリカ(プレガバリン)タリージェ(ミロガバリン)**の薬価(2024年時点)を以下にまとめます。


リリカ(プレガバリン)の薬価

規格 薬価(1錠または1カプセルあたり)
25mg 約36.40円
75mg 約52.40円
150mg 約79.10円

※リリカには後発品(ジェネリック医薬品)も存在し、例えば75mgのジェネリックは約18.30円となっています。

タリージェ(ミロガバリン)の薬価

規格 薬価(1錠あたり)
2.5mg 約67.20円
5mg 約92.50円
10mg 約127.90円
15mg 約154.80円

※タリージェは2024年時点ではジェネリック医薬品は存在していません。

まとめ

  • リリカジェネリック医薬品が存在し、価格が抑えられているため、費用面でのメリットがあります。

  • タリージェ新しい薬であり、ジェネリックがないため、薬価はリリカより高めです。

薬の選択は、効果、副作用、費用などを総合的に考慮して行われます。医師や薬剤師と相談し、最適な治療法を選択することが重要です。