Q.タリージェを使用する病院と使用しない病院があるのですか?
はい、**タリージェ(一般名:ミロガバリンベシル酸塩)**を使用する病院と使用しない病院があります。その理由はいくつか考えられます:
? タリージェを使用する病院の特徴:
-
神経障害性疼痛に積極的な治療方針を持つ
-
疼痛外来、麻酔科、ペインクリニックがある
-
既存薬(例:リリカ)で副作用や効果不十分の患者が多い
-
薬剤部が新薬の導入に積極的
タリージェを使用しない病院の主な理由:
-
他の薬(例:リリカ、トラムセットなど)で十分な効果が得られている
-
薬価が高い、コスト重視
-
副作用(例:眠気、ふらつき)や依存性を懸念
-
病院のフォーミュラリ(院内採用薬)に入っていない
補足:
Q.タリージェに代わる薬にはどんな薬がありますか?
タリージェ(ミロガバリン)に代わる薬には、同じ神経障害性疼痛を対象とした薬が複数あります。症状や体質によって使い分けられます。以下に主な代替薬を分類して紹介します。
タリージェの主な代替薬
@ 同じ機序(α2δリガンド)
神経細胞のカルシウムチャネルに作用して、痛みの伝達を抑える薬です。
薬剤名 |
一般名 |
特徴 |
リリカ |
プレガバリン |
タリージェとよく比較される。即効性があり有名。副作用(眠気・ふらつき)に注意。 |
ガバペン |
ガバペンチン |
プレガバリンより古いが、同様の効果。海外では広く使用。 |
※プレガバリンとミロガバリン(タリージェ)は非常に似た作用ですが、ミロガバリンの方が一部で副作用が少ないとされています。
A SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
痛みの感受性を脳からコントロールする薬です。
薬剤名 |
一般名 |
特徴 |
サインバルタ |
デュロキセチン |
神経障害性疼痛、うつ病、腰痛にも効果あり。眠気少なめ。 |
トレドミン(少ない) |
ミルナシプラン |
効果はやや弱めだが併用可能。 |
B 三環系抗うつ薬(TCA)
古くから使われる鎮痛作用のある抗うつ薬。
薬剤名 |
一般名 |
特徴 |
トリプタノール |
アミトリプチリン |
夜間の痛みに強いが、副作用(口渇、便秘、眠気)多め。 |
C その他の選択肢
薬剤名 |
分類 |
特徴 |
トラムセット、トラマール |
弱オピオイド+アセトアミノフェン |
中等度の痛みに。依存性に注意。 |
ノイロトロピン |
非麻薬性疼痛治療薬(抽出物) |
副作用が少なく高齢者にも安全だが効果は穏やか。 |
リドカイン貼付剤 |
局所作用薬 |
帯状疱疹後神経痛など、局所性の痛みに使用。 |
薬の選び方の目安
患者の特徴 |
推奨されやすい薬 |
高齢者、副作用に弱い |
ノイロトロピン、サインバルタ |
即効性がほしい |
リリカ、トラムセット |
眠れないほどの夜間の痛み |
トリプタノール |
多剤併用が難しい |
タリージェ単剤、またはサインバルタ |
Q.いままでタリージェを服用していて、タリージェを止めて代替えの薬に変える場合、どのような注意が必要ですか?
タリージェ(ミロガバリン)を中止して他の薬に切り替える(スイッチする)場合には、いくつか重要な注意点があります。神経障害性疼痛の治療薬は、中枢神経系に作用するものが多く、切り替えの際に離脱症状や副作用、効果の変化が起きることがあります。
タリージェ中止・切り替え時の主な注意点
@ 急に中止しない(漸減が基本)
医師の指示に従い、自己判断での中止は避けてください。
A 作用機序が異なる薬は「効果のズレ」に注意
B 副作用の性質が変わる
C 併用薬との相互作用を再チェック
D 効果判定に時間がかかることもある
? まとめ:切り替え時の基本ステップ
-
タリージェを医師の指示で少しずつ減量
-
新しい薬を少量から開始し、徐々に増量
-
数週間は効果・副作用を慎重に観察
-
症状が悪化したらすぐに医師に相談
-
自己判断で薬をやめない
Q.病院のフォーミュラリといのは?
「病院のフォーミュラリ(formulary)」とは、
その病院で**使用を認められている医薬品の一覧表(採用薬リスト)**のことです。
フォーミュラリとは?
「この病院では、どの薬を使ってよいかを決めたリスト」
フォーミュラリの目的
目的 |
内容 |
? 医療の質の統一 |
医師ごとに薬の使い方がバラバラになるのを防ぐ |
? 薬剤コストの管理 |
必要以上に高額な薬が使われないようにする |
? 患者の安全 |
実績のある薬、安全性が確認された薬を中心に使用する |
? 薬剤の在庫管理 |
院内薬局で無駄な在庫を抱えないようにする |
フォーミュラリに関する現場での実際
-
採用申請は、医師が希望して薬剤部・薬事委員会に申請を出します。
-
薬剤部や経営層がコスト・効果・副作用などを総合判断して可否を決めます。
-
一部の病院では、公的保険で使える薬でも、フォーミュラリにないと使えないことがあります。
例:タリージェの場合
パターン |
結果 |
? 採用されている |
医師がタリージェを処方できる |
? 採用されていない |
処方不可(代替薬を使用)または特別申請が必要 |
? 患者の立場でのポイント
Q.タリージェとリリカとでは、どちらが副作用が少ないですか?
タリージェ(ミロガバリン)とリリカ(プレガバリン)は、どちらも神経障害性疼痛に使われる「α2δリガンド」という同じタイプの薬ですが、副作用の出方や頻度に違いがあります。
結論から言うと:
一般的には
? タリージェのほうが副作用が少ない、または軽いことが多い
…とされます。
ただし、個人差が大きいため、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。
比較:副作用の傾向
項目 |
タリージェ(ミロガバリン) |
リリカ(プレガバリン) |
眠気(傾眠) |
やや少なめ |
多め(高齢者では特に注意) |
めまい・ふらつき |
少なめ |
多い |
むくみ(浮腫) |
起こるが軽度 |
やや多め |
体重増加 |
少なめ |
やや多め |
注意力・集中力低下 |
比較的少ない |
出やすい |
依存性 |
どちらも注意が必要(まれ) |
どちらかというと報告多め |
離脱症状(やめる時の症状) |
出にくい |
出やすい(頭痛、不眠など) |
データ上の比較(臨床試験など)
高齢者の場合
高齢者では、ふらつき・転倒・認知機能低下のリスクがあるため、
? タリージェの方が安全に使えるケースが多い
とされています。
? 注意点
? まとめ
質問 |
回答 |
副作用が少ないのは? |
一般的には タリージェ |
効き目が早いのは? |
リリカ(即効性がある) |
高齢者に安全なのは? |
タリージェ |
Q.タリージェからリリカに切り替える場合の注意点はなんですか?
タリージェ(ミロガバリン)からリリカ(プレガバリン)に切り替える場合には、薬の作用時間・副作用・用量などが異なるため、いくつかの重要な注意点があります。
タリージェ → リリカへの切り替え時の注意点
? 1. 用量換算は簡単ではない
?? 安易に「mg数だけで比較」しないように注意してください。
? 2. 副作用(特に眠気・ふらつき)に注意
? 3. 徐々に移行するのが安全
? 4. 効果発現や副作用の出方が異なる
? 5. 併用薬・体質との相性を再評価
? 安全な切り替えの一例(目安)
日数 |
タリージェ |
リリカ |
Day 1?3 |
10mg/日 |
開始なし |
Day 4?6 |
5mg/日 |
25mg/日 開始 |
Day 7以降 |
中止 |
必要に応じて75mg/日へ増量 |
※ 実際の移行スケジュールは、症状や年齢・体格・腎機能によって異なります。必ず医師の指示に従ってください。
まとめ:切り替え時のポイント
ポイント |
内容 |
? 用量換算に注意 |
1:1では換算できない |
? 副作用に注意 |
リリカは中枢性副作用が出やすい |
? 徐々に移行 |
いきなり切り替えず漸減・漸増が安全 |
? 腎機能の確認 |
リリカは腎排泄される |
? 医師・薬剤師と連携 |
自己判断は避けること |
Q.日本では神経障害性疼痛の治療薬としてどの薬が一番処方されていますか?
日本で神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)の治療薬として最も多く処方されている薬は、以下の通りです(2024年時点の傾向と処方実績に基づいています)。
日本で最も処方されている神経障害性疼痛薬トップ3(推定)
順位 |
薬剤名(一般名) |
主な商品名 |
備考 |
? 1位 |
プレガバリン |
リリカ |
最も普及している。適応も広く、長年の実績あり。 |
2位 |
デュロキセチン |
サインバルタ |
うつ・腰痛・糖尿病性神経障害など複数の適応あり |
3位 |
ミロガバリン |
タリージェ |
比較的新しいが、副作用が少なく徐々に使用増加中 |
なぜリリカ(プレガバリン)が1位なのか?
? 長年の実績
? 適応範囲が広い
-
帯状疱疹後神経痛
-
糖尿病性神経障害
-
線維筋痛症
-
慢性腰痛(神経因性)など
? 即効性がある
高齢化でタリージェやサインバルタへの切り替えも進行中
その他に使われる薬
薬剤名 |
用途・特徴 |
ノイロトロピン |
帯状疱疹後神経痛など。副作用が少ない。 |
トリプタノール(アミトリプチリン) |
古典的な三環系抗うつ薬。夜間の痛みに強い。 |
トラムセット(トラマドール+アセトアミノフェン) |
中等度の痛みに対応。神経障害性にも使われることあり。 |
? まとめ:日本の処方傾向(2024年頃)
項目 |
結果 |
最も処方されている薬 |
リリカ(プレガバリン) |
処方が増加している薬 |
タリージェ(ミロガバリン)、サインバルタ |
高齢者に安全な選択肢 |
ノイロトロピン、タリージェ |
Q.処方されている神経障害性疼痛全体に占めるリリカとタリージェの割合はどの程度ですか?
日本における神経障害性疼痛治療薬の処方割合について、リリカ(プレガバリン)とタリージェ(ミロガバリン)の比較を以下に示します。
処方割合の推定(2024年時点)
薬剤名 |
推定処方割合 |
備考 |
リリカ(プレガバリン) |
約70?80% |
長年の実績と広範な適応症により、依然として主力の治療薬です。 |
タリージェ(ミロガバリン) |
約20?30% |
2019年の発売以降、副作用の少なさから処方が増加しています。 |
※これらの数値は、売上高や処方実績に基づく推定であり、正確な統計データではありません。
背景と動向
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リリカ(プレガバリン):2010年の発売以来、神経障害性疼痛や線維筋痛症など幅広い適応症で使用されており、2017年には国内医薬品売上トップとなる937億円を記録しました。 ウェブロンザ
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タリージェ(ミロガバリン):2019年に発売され、末梢性神経障害性疼痛を対象に使用されています。副作用が比較的少ないことから、高齢者やリリカで副作用が強く出た患者への処方が増加しています。 ママ薬剤師かばこのブログ
まとめ
今後、タリージェの適応拡大や使用実績の蓄積により、処方割合がさらに増加する可能性があります。
Q.リリカとタリージェの薬価はどのぐらいですか?
日本における神経障害性疼痛治療薬である**リリカ(プレガバリン)とタリージェ(ミロガバリン)**の薬価(2024年時点)を以下にまとめます。
リリカ(プレガバリン)の薬価
規格 |
薬価(1錠または1カプセルあたり) |
25mg |
約36.40円 |
75mg |
約52.40円 |
150mg |
約79.10円 |
※リリカには後発品(ジェネリック医薬品)も存在し、例えば75mgのジェネリックは約18.30円となっています。
タリージェ(ミロガバリン)の薬価
規格 |
薬価(1錠あたり) |
2.5mg |
約67.20円 |
5mg |
約92.50円 |
10mg |
約127.90円 |
15mg |
約154.80円 |
※タリージェは2024年時点ではジェネリック医薬品は存在していません。
まとめ
薬の選択は、効果、副作用、費用などを総合的に考慮して行われます。医師や薬剤師と相談し、最適な治療法を選択することが重要です。