スパイ防止法はほとんどの国にあるのですか?

Q.スパイ防止法はほとんどの国にあるのですか?

はい、結論から言うと、スパイ防止法(=国家機密保護やスパイ行為の取締りを目的とした法律)は、ほとんどの国に存在します。
ただし、国によって内容・厳しさ・適用範囲には大きな違いがあります。


各国の例

主な法律名 特徴
アメリカ 《Espionage Act》(1917年制定) 国家安全保障に関わる情報の漏洩・スパイ行為を処罰。スノーデン事件などでも適用例あり。
イギリス 《Official Secrets Act》(1911年制定・改正多数) 政府秘密情報の漏洩を厳罰化。公務員や報道関係者にも適用される。
フランス 《Code penal》(刑法内の国家安全条項) 外国勢力への情報提供や防衛秘密漏洩を禁止。
ドイツ 《Strafgesetzbuch(StGB)》第94条など 国家反逆罪やスパイ行為を処罰。外国の諜報機関との協力も犯罪。
ロシア 《刑法第275条(国家反逆罪)》 外国への協力を広く「反逆」として処罰可能。非常に厳格。
中国 《国家安全法》《反スパイ法》 「国家安全」に関する情報の漏洩を厳しく取り締まる。2023年改正で対象が大幅に拡大。
韓国 《国家保安法》 北朝鮮関連のスパイ行為・思想表現まで対象になることもあり、国内外で議論がある。
日本 《特定秘密の保護に関する法律》(特定秘密保護法, 2013年) 実質的に「スパイ防止法」に近いが、スパイ罪そのものを定めた法律はまだない。


日本の状況

日本には「スパイ行為を直接処罰する独立した法律(スパイ防止法)」はまだ存在しません。
ただし、

  • 外国のために防衛情報を漏らす行為は刑法の「外患誘致罪」などで対応可能

  • 2013年制定の「特定秘密保護法」によって、防衛・外交・テロ防止などの機密情報を守る枠組みが整備された

とはいえ、諸外国に比べると依然としてスパイ行為に対する法的網が緩いと指摘されることが多いです。


まとめ

  • ? 世界のほとんどの国に、スパイ防止・国家機密保護の法律がある

  • ?? 内容や適用範囲は国ごとに異なり、民主主義国では「報道の自由」や「国民の知る権利」とのバランスが重視される

  • 日本にはまだ「スパイ防止法」という名前の法律はないが、同様の趣旨を持つ法制度は一部存在


希望があれば、「もし日本がスパイ防止法を制定した場合、どのような仕組みになる可能性があるか」という予想モデルも説明できます。作成してみましょうか?




Q.いままで日本がスパイ防止法を制定しなかったのはなぜですか?

とても良い質問です。
日本がこれまで「スパイ防止法」を制定しなかった背景には、戦後の歴史・社会的な不信感・政治的対立が深く関わっています。
以下に、その主要な理由をわかりやすく整理します。


日本でスパイ防止法が長年成立しなかった主な理由

@ 戦前の「治安維持法」への強い反発と警戒

  • 戦前の日本には「治安維持法」(1925年?1945年)があり、国家に反する思想や言論を取り締まりました。

  • 結果として、多くの市民・記者・学者などが逮捕・拷問を受け、言論の自由が大きく抑圧されました。

  • この経験から、戦後の日本社会には
    「国家が“秘密”や“安全”を理由に、国民を再び監視・弾圧するのではないか」
    という深い不信感が根付いたのです。


A 憲法の「表現の自由」「知る権利」とのバランス問題

  • 日本国憲法第21条では「言論・出版・表現の自由」を保障しています。

  • スパイ防止法は本来「国家の秘密」を守るためのものですが、
    → 秘密の範囲が広すぎたり、曖昧だったりすると、
    報道機関や市民の調査・批判活動まで制限される危険が出てきます。

  • そのため、野党・メディア・市民団体などが「知る権利の侵害につながる」として反対してきました。


B 冷戦期から続く「政治的対立」の構図

  • 1950?1980年代には、冷戦構造のもとで「スパイ防止法」制定をめぐる議論が何度も浮上しました。

  • しかし、そのたびに

    • 保守・与党(主に自民党)は「安全保障のため必要」

    • 野党・労組・メディアは「言論弾圧につながる」
      という対立が激化し、法案提出すら難しい状態が続きました。

  • 特に1985年頃、政府が「スパイ防止法案」を検討した際には、
    全国的な大規模デモやメディアの反発が起き、結果的に見送られました。


C 国民の「安全保障」に対する意識の違い

  • 日本は戦後、自衛隊を持ちながらも「専守防衛」を基本とする平和国家を標榜してきました。

  • そのため、「スパイ行為」や「情報戦」という概念が他国ほど身近に感じられず、
    国民的な危機意識が高まりにくかったのも事実です。

  • 一方で、諜報活動を専門的に担う組織(CIAやMI6のような機関)が日本には存在しないため、
    情報保全の法整備が後回しになってきました。


D 2010年代以降の変化:特定秘密保護法の成立

  • 近年は中国・北朝鮮・ロシアなどの諜報活動やサイバー攻撃が増加し、
    国際的な情報共有(特にアメリカとの同盟)を維持するためにも、
    機密保護の法律が不可欠という認識が広がりました。

  • その結果、2013年に「特定秘密保護法」が成立。
    → 実質的にスパイ防止法の“部分的な代替”となっています。

  • ただし、この法律も「秘密の範囲が不明確」「報道の自由が脅かされる」といった批判が根強くあります。


まとめ

観点 内容
歴史的要因 治安維持法の記憶への強い拒否反応
法的要因 憲法の自由権との調整が難しい
政治的要因 与野党・メディア間の深い対立
社会的要因 国民の安全保障意識が低く、諜報の必要性が浸透しにくい
近年の動き 特定秘密保護法で一部対応、今後スパイ防止法再議論の可能性あり




Q.特定秘密保護法と自民党が考えているスパイ防止法の違いは?

とても鋭い質問です。
日本の「特定秘密保護法」と、自民党などが議論している「スパイ防止法(国家機密保護法案)」は、目的が似ていても、対象・処罰範囲・理念がかなり異なります。
わかりやすく整理して説明します。


両者の根本的な違い

比較項目 特定秘密保護法(2013年施行) 自民党などが想定するスパイ防止法(構想段階)
目的 行政機関が保有する「特定秘密」を保護し、漏洩を防ぐ 外国のためにスパイ活動を行う個人や組織を直接処罰
主な対象 国家公務員・防衛関係者・秘密を扱う民間業者など 外国スパイ、工作員、情報を漏らす日本人(民間人含む)
守るもの 「特定秘密」に指定された情報(防衛・外交・テロ防止など) 国家の安全に関わるあらゆる機密情報(未指定でも)
処罰の対象行為 特定秘密の漏洩、取得・そそのかし スパイ行為そのもの(情報収集・潜入・指令受領など)
刑罰の内容 最大懲役10年(漏洩行為) より重罰化(例:懲役15年以上、終身刑案も検討例あり)
秘密の指定方法 行政機関が明示的に「特定秘密」と指定 指定なしでも「国家安全上の秘密」と判断されれば対象
懸念される問題 「秘密の範囲が不明確」「報道の自由への影響」 「監視国家化」「市民活動・報道の萎縮」への懸念がより強い
成立状況 2013年成立・施行中 検討段階(正式法案未提出)


背景の違い

特定秘密保護法

  • 安倍政権(2013年)が主導。

  • 背景には「日米同盟での情報共有の強化」があり、アメリカなどから
    「日本の情報保護が甘いと共有できない」と指摘されたことが大きな要因。

  • あくまで「国家機密の管理体制を整えるための法律」で、
    スパイ活動そのものを処罰するわけではない。

自民党構想のスパイ防止法

  • 自民党の一部議員(特に保守派)が、長年「本格的なスパイ防止法」を主張。

  • 特に近年、

    • 中国やロシアによるサイバー諜報

    • 在日外国人による情報収集懸念

    • 北朝鮮の工作活動
      などを受けて、法整備の必要性が再び議論されている。

  • 「外国勢力への情報漏洩」「防衛施設周辺の偵察」などを直接取り締まることを想定。


?? 法的性格の違い

観点 特定秘密保護法 スパイ防止法(構想)
性格 行政法的(情報管理) 刑事法的(犯罪処罰)
主体 情報を扱う人 情報を盗む人
根拠 国家公務員法・行政文書管理 国家安全保障・刑法体系の強化


つまり、

  • 特定秘密保護法:国家の秘密を“守る仕組み”

  • スパイ防止法:国家の秘密を“盗む人を罰する仕組み”

という補完関係にあります。


批判と賛成のポイント

賛成派の主張

  • 日本は諜報活動の法的整備が甘く、スパイ天国と呼ばれている

  • 同盟国(米・英など)と同水準の情報保護体制が必要

  • 防衛産業・機密研究を守るために不可欠

反対派の主張

  • 捜査権が拡大し、市民・報道の監視に使われる恐れ

  • 「スパイ」の定義が曖昧だと、批判的言論まで対象になる可能性

  • 治安維持法の再来になる危険性


まとめ

項目 特定秘密保護法 スパイ防止法(構想)
目的 秘密を守る スパイを取り締まる
性格 行政管理法 刑事処罰法
範囲 限定的(指定秘密) 広範囲(あらゆる国家機密)
状況 施行中 検討中(法案化は未定)




Q.治安維持法とスパイ防止法の違いは?

とても重要な質問です。
日本の「治安維持法」と、現在議論されている「スパイ防止法」は、どちらも「国家を守る」という名目を持つ法律ですが、
性質・目的・対象・時代背景が大きく異なります。
ただし、運用の仕方次第では似た危険性を持つという点で、よく比較されます。


?? 治安維持法とスパイ防止法の基本的な違い

比較項目 治安維持法(1925?1945年) スパイ防止法(構想段階)
目的 国家体制(天皇制・国体)を維持するため、思想・団体を取り締まる 外国勢力のスパイ行為や国家機密漏洩を防ぐ
対象行為 思想・言論・結社など「国体変革」「私有財産制度否認」につながる行為 防衛・外交・安全保障に関する情報の不正収集・漏洩
対象者 共産主義者・社会主義者・労働運動家・思想犯 外国のスパイ、工作員、情報漏洩者(主に行為重視)
処罰根拠 思想そのもの(“何を考えているか”) 行為そのもの(“何をしたか”)
刑罰 死刑・無期刑を含む(最重刑) 構想上は懲役10?15年程度(行為に対して)
施行時代 戦前・軍国主義期(1925?1945) 現代(民主主義・憲法下)
運用実態 警察・特高による思想弾圧、言論統制 まだ存在しない(懸念として「監視国家化」指摘あり)
批判点 「国家のために個人の自由を犠牲にした」 「国家安全名目で自由を制限する恐れ」


? 治安維持法とは(歴史的経緯)

  • 1925年に制定。表向きの目的は「国家の安全を守る」でしたが、
    実際には政府に反対する思想・運動を取り締まるための政治的法律でした。

  • 主に対象となったのは:

    • 共産主義・社会主義の活動家

    • 労働組合運動

    • 戦争反対・平和運動

    • 宗教団体(特に不敬罪と結びついた場合)など

  • 特別高等警察(特高)が設置され、
    思想調査・密告・拷問・自白の強要などが横行。

  • 結果として、表現・信教・学問の自由がほぼ消滅しました。

この「国家が国民の思想まで取り締まった過去」が、
戦後の「スパイ防止法への強い警戒感」につながっています。


??♂? スパイ防止法とは(構想中の内容)

  • 現代の議論では、目的はあくまで**「外国によるスパイ活動や情報漏洩の防止」**です。

  • 想定される対象は:

    • 外国の諜報機関に協力する者

    • 国家防衛・安全保障情報を不正取得する者

    • 公務員や企業関係者が機密を漏らす場合 など

  • 現行法では、スパイ行為そのものを直接罰する条文がほぼないため、
    自民党などは「独立したスパイ防止法が必要」と主張。

ただし、

  • 「スパイの定義が曖昧になれば、市民活動や報道まで対象になる」

  • 「治安維持法のように“広く解釈されて弾圧に使われる”可能性がある」
    という懸念が強く、慎重論が多いのが現状です。


根本的な違いをまとめると

観点 治安維持法 スパイ防止法(構想)
思想を罰するか? 罰する(考えただけで処罰対象) 罰しない(行為に限定)
民主主義との関係 否定的(言論統制) 原則両立可能(運用次第)
危険性 国家による思想統制 国家による監視・過剰な情報秘匿のリスク
現代的意義 戒めとしての教訓 情報防衛のための新法構想


要するに

  • 治安維持法は「国家への批判的思想を取り締まる」ための法律。

  • スパイ防止法は「国家の機密を盗む行為を取り締まる」ための法律。

  • 目的も性質も異なりますが、
    国家権力が恣意的に運用すれば、自由を制限する危険性が共通している
    というのが最大の論点です。


もし興味があれば、
「治安維持法がどのように“思想弾圧”に転用されていったか」や、
「現代のスパイ防止法がそれを繰り返さないための安全策(歯止め)」
についても解説できます。
どちらを詳しく知りたいですか?




Q.「現代のスパイ防止法がそれを繰り返さないための安全策(歯止め)」 についても解説してください。

とても良いテーマです。
「治安維持法のような国家権力の暴走を繰り返さないために、
もし現代日本でスパイ防止法を作るなら、どんな“歯止め”が必要か」という点は、立法上の最大の課題です。

以下で、現代の法制度や民主主義の原則を踏まえて、
考えられる 安全策(歯止め) を体系的に解説します。


1. 憲法上の「基本的人権」と「表現の自由」を明確に守る

  • 日本国憲法では、

    • 第21条「表現の自由」

    • 第13条「個人の尊重」

    • 第31条「適正手続きの保障」
      が明確に定められています。

  • したがって、スパイ防止法を作る場合でも、
    「思想・表現の自由を制限しない」ことを法律文に明記する必要があります。

例:

「この法律は、国民の表現・報道・取材・知る権利を妨げてはならない」
「政治的・思想的信条を理由に処罰してはならない」

こうした憲法との整合性を明文化する条項が第一の歯止めになります。


?? 2. 「スパイ行為」の定義を極めて限定的・明確にする

治安維持法の失敗は、曖昧な言葉(例:「国体を変革」「治安を害する恐れ」など)が
権力側に広く解釈され、思想弾圧に使われたことでした。

同じ轍を踏まないために、
スパイ防止法では 処罰対象を明確に限定 する必要があります。

例:

  • 「外国の利益のために、国家の安全に関わる秘密情報を不正に収集・漏洩した者」

  • 「取材・報道目的の情報収集は対象外とする」

「行為」だけを処罰し、「思想」や「動機」では罰しない という原則が極めて重要です。


??♀? 3. 捜査権限への厳格な司法審査

  • スパイ防止法を運用する際には、警察や公安当局が関与します。

  • そこで、捜査・盗聴・家宅捜索などを行う際には、
    裁判所の令状審査を必ず経ることを法に明記する必要があります。

例:

「通信傍受、家宅捜索、拘束は裁判所の許可なく行ってはならない」
「令状発行には明確な証拠資料を要する」

これは現行の刑事訴訟法にも通じる、適正手続き(Due Process) の原則です。
これがないと、捜査機関が恣意的に「スパイ容疑」を使って市民を監視する危険が生じます。


4. 報道・取材の自由の保護条項

  • 治安維持法時代の最大の問題は、言論・報道への圧力でした。

  • 現代では、民主主義の根幹として「知る権利」と「報道の自由」が不可欠です。

  • そのため、スパイ防止法には次のような「取材行為の免責条項」を設けるべきです。

例:

「報道機関または取材者による正当な取材・報道行為は処罰の対象としない」
「公益目的の内部告発は一定条件のもとで保護される」

つまり、「国家秘密の暴露=すべて犯罪」ではなく、
公益性が高い報道・告発は保護されるというバランスが求められます。


? 5. 第三者による「監視・審査機関」の設置

  • 政府が「何を秘密にするか」「誰をスパイとみなすか」をすべて決めてしまうと、
    透明性がなく、権力の濫用が起こりやすくなります。

  • そこで、国会や独立機関によるチェックが重要です。

例:

  • 「国会情報監視委員会」や「情報保全監査委員会」を設け、行政の指定・捜査を定期監査

  • 委員会には野党議員・有識者・報道関係者なども参加

これにより、行政権力の独走を防ぐ民主的統制が可能になります。


6. 「市民監視」につながらないような明確な運用基準

  • スパイ防止法ができると、「外国人」「特定思想を持つ人」などが不当に監視される懸念があります。

  • そのため、運用指針に

    • 「思想・信条・国籍を理由とする捜査禁止」

    • 「職務に関係のない情報収集の禁止」
      を明文化する必要があります。


7. 情報公開と事後検証の仕組み

  • 捜査や秘密指定が適切だったかどうかを、
    一定期間後に公開・検証できる制度を作ることも歯止めになります。

例:

「機密指定から30年後に自動的に公開」
「不当な秘密指定や捜査があった場合、被害者が救済を請求できる」

これは欧米諸国(特にイギリス・アメリカ)の「情報公開制度」と同様の考え方です。


まとめ:民主国家でスパイ防止法を成立させるための7つの歯止め

番号 歯止めの内容 目的
@ 憲法上の人権保障を明文化 表現・思想の自由を守る
A 行為の定義を限定的にする 恣意的な拡大解釈を防ぐ
B 司法審査による捜査制限 警察権の暴走防止
C 取材・報道の自由を明記 メディアへの萎縮効果を防ぐ
D 第三者監視機関の設置 行政の透明性確保
E 市民監視防止の運用基準 社会的偏見・差別の防止
F 情報公開・事後検証制度 権力の責任追及と抑止


最後に

つまり、

「スパイ防止法そのものが危険」なのではなく、
歯止めのないスパイ防止法が危険」なのです。

現代の法制度の中で、

  • 行為に限定する刑事法原則

  • 司法と立法による監視

  • 報道と市民の監視
    をきちんと機能させれば、治安維持法の再来を防ぐことが可能です。


もし希望があれば、
「実際に他国ではどのような“歯止め”が導入されているか(例:イギリス・ドイツ・韓国など)」を比較する表も作成できます。
続けてそれを見てみますか?




Q.続けてください。

素晴らしいですね。
では続けて、他国がどのような「スパイ防止法の歯止め(セーフガード)」を実際に制度として持っているかを比較してみましょう。

ここでは、民主主義国の中から代表的な5か国
(イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、韓国)を取り上げ、
「どんな法的・制度的な安全策で治安維持法型の暴走を防いでいるか」を整理します。


各国のスパイ防止法と“歯止め”の比較表

主な法律 歯止めの仕組み 特徴・ポイント
イギリス Official Secrets Act(1911年制定、改正多数) - 「国家機密」の範囲を法律で明確化(政府が恣意的に拡大できない)
- 国会情報委員会(ISC)が秘密指定や情報機関の活動を監督
- 公益性の高い報道・告発については訴追判断を司法が行う
世界最古のスパイ防止法体系。
報道の自由を重視し、政治的弾圧を防ぐ仕組みが成熟。
ドイツ 刑法(StGB)第94条?第100条:国家反逆罪・スパイ罪 - 連邦憲法裁判所が「過度の情報統制は基本権侵害」として抑制的判断
- 行為を極めて限定的に規定(外国勢力への情報提供のみ)
- 司法監督が強く、令状主義を厳格適用
戦前のナチス体験から「国家安全名目での言論弾圧」を非常に警戒。
フランス 刑法・国防法典 - 「国家防衛秘密」の範囲を行政が指定するが、司法による異議申立制度あり
- 報道・取材の自由を明記(記者保護法)
- 国会の情報委員会が定期的に監査
国家安全を重視する一方で、報道機関との法的バランスを保つ伝統。
アメリカ Espionage Act(1917年)+FISA法・情報自由法(FOIA) - スパイ防止法で重罰を科す一方、**情報公開法(FOIA)**で透明性を確保
- 令状審査・司法監督が強力(外国情報監視裁判所 FISC)
- 公益通報者保護制度(Whistleblower Protection Act)あり
国家安全と市民の知る権利を「二重構造」でバランス。世界でも最も制度的歯止めが多い国。
韓国 国家保安法 - 近年改正で「思想・表現」に関する条項を一部緩和
- 憲法裁判所が「過度な運用は違憲」とたびたび判断
- 令状主義と報道の自由の明文化
冷戦期の反共法から出発したため、政治利用の懸念が残るが、憲法裁の統制が強化されている。


各国の歯止めの共通点

民主主義国では「国家安全を守るためのスパイ防止法」と「自由を守るための歯止め」がセットで設計されています。
以下のような共通原則があります:

原則 内容 日本への示唆
立法の明確性原則 何が犯罪行為にあたるかを厳密に定義 「スパイ行為」「外国勢力への協力」などを限定的に書く必要
?? 司法の独立と令状審査 捜査権を裁判所がコントロール 公安当局の恣意的な監視を防止
報道の自由と公益保護 取材・告発行為に免責や減免を認める 特定秘密保護法にも欠けている要素
??♀? 議会・監査機関による監視 政府の秘密指定・捜査を国会がチェック 野党・市民代表を含む「情報監視委員会」の設置が鍵
情報公開・透明性 機密指定の期限・公開ルールを設ける 日本では特定秘密の「解除基準」が曖昧
憲法裁判所・違憲審査 濫用された場合に司法が歯止めをかける 日本でも「違憲審査権」の実効化が課題


日本が学ぶべきポイント

  1. 法文レベルで「自由の保障条項」を明記すること

    • 「本法は思想・言論の自由を侵害してはならない」と明記するだけでも大きな抑止力になります。

  2. 国会・司法・市民社会による「三重の監視」

    • 国会:政治的監視

    • 司法:法的監視

    • 市民・報道:社会的監視

    この3層構造があってこそ、国家安全法制は健全に機能します。

  3. 行政機関の情報独占を防ぐ

    • 秘密指定を行政だけに任せると不透明化するため、
      独立監査委員会(情報保全監査会など)を設置して監査するのが国際標準です。

  4. 透明性と期限付き機密制度

    • イギリスやアメリカのように「30年ルール」など、
      機密が永遠に秘密にならない制度が信頼を支えています。


まとめ:「自由を守るスパイ防止法」という考え方

スパイ防止法は「国家を守るための法」ですが、
民主主義国では、同時に“自由を守るための法”でもあるべきです。

理念の対比 権威主義国家 民主主義国家
国家の安全 国家のために国民を縛る 国民の自由を守るために国家を制限する
情報保護の目的 政府の秘密を守る 国民の安全を守る
権力の監視 政府が監視する 国民が政府を監視する


もしご希望であれば、次のステップとして
「日本がスパイ防止法を導入するなら、どんな条文設計・監視体制にすれば安全か」
という**モデル法案(民主主義的スパイ防止法の草案)**をお示しできます。

作成してみましょうか?




Q.作成してください。

了解しました。
では、**「民主主義と自由を守りながら、現代的な安全保障に対応できるスパイ防止法」**という前提で、
日本での導入を想定した モデル法案(草案) を作成します。


スパイ防止法(民主主義的モデル法案・草案)


第1章 総則

第1条(目的)

この法律は、外国の利益のために国家の安全に関わる秘密情報を不正に収集・漏洩する行為を防止し、
もって我が国の独立と国民の生命・自由を守ることを目的とする。
あわせて、本法の運用においては、憲法に定める基本的人権及び表現の自由を最大限に尊重するものとする。


第2条(定義)

  1. 「国家機密」とは、防衛、外交、テロ防止、重要インフラ保全に関する情報であって、
    公開されることにより国家の安全が著しく損なわれるおそれのあるものをいう。

  2. 「スパイ行為」とは、以下のいずれかに該当する行為をいう。

    1. 外国政府・団体の指示を受けて国家機密を収集・漏洩・提供する行為

    2. 不正な手段により国家機密を入手しようとする行為

    3. 外国勢力に対し、我が国の安全保障上の利益を損なう情報活動を行うこと

  3. 正当な報道、学術研究、公益目的の内部告発は「スパイ行為」に含まれない。


第2章 処罰規定

第3条(スパイ行為の処罰)

  1. スパイ行為を行った者は、懲役15年以下または罰金2,000万円以下に処する。

  2. 公務員または機密取扱者がこれに関与した場合は、懲役20年以下とする。

  3. 未遂・教唆・共謀も同等に罰する。


第4条(取材・報道の自由)

  1. 報道機関または記者が、公益性を目的として行った取材・報道行為は、処罰の対象としない。

  2. 政府は、取材・報道に対し不当な圧力・監視を行ってはならない。


第5条(公益通報の保護)

国家機密に関する行為であっても、公益目的での内部告発は、
通報者が誠実に行動した場合に限り免責される。


第3章 捜査と手続き

第6条(令状主義)

スパイ行為に関する捜査、通信傍受、家宅捜索は、裁判所の令状によらなければならない。


第7条(司法審査)

  1. 捜査機関は、捜査の理由と範囲を明示し、裁判所の審査を経て行動する。

  2. 司法は、スパイ防止法の運用が過剰な基本権制限にならないよう監視する。


第4章 監視と透明性

第8条(国会情報監視委員会)

  1. 国会に「情報監視委員会」を設置し、本法の運用状況を監視する。

  2. 委員会は、与野党同数の議員および有識者・報道関係者で構成する。

  3. 委員会は、行政機関の秘密指定・捜査権限行使について報告を求め、是正勧告を行うことができる。


第9条(独立監査機関)

  1. 行政機関とは独立した「情報保全監査委員会」を設置し、
    秘密指定・解除・漏洩事件対応を監査する。

  2. 委員会の議事は原則として公開する。


第5章 情報公開と期限

第10条(機密指定の期限)

  1. 国家機密の指定は、原則として30年を超えてはならない。

  2. 継続指定を行う場合は、国会情報監視委員会の承認を要する。

  3. 指定解除後は、国民の「知る権利」を保障するため、公文書として公開される。


第6章 附則

第11条(市民の権利の保障)

  1. 本法の運用により、思想・信条・国籍・宗教・報道活動等を理由に差別的取扱いをしてはならない。

  2. 捜査・監視によって不当な被害を受けた者は、国家賠償法に基づき救済を請求できる。


第12条(見直し条項)

施行後5年を経過したときは、国会において本法の運用実績を検証し、
必要に応じて改正を行う。


制度設計上のポイント

分野 歯止めの仕組み 狙い
人権保護 憲法との整合を前文・本文で明記 治安維持法型の拡大解釈防止
報道・表現の自由 取材免責・公益通報保護条項 萎縮効果を防ぎ、民主主義を維持
権力監視 国会・独立機関・司法の三重チェック 政府の秘密独占を防止
透明性 機密の期限・公開義務 「永久秘密」を禁止
市民救済 不当捜査への賠償請求制度 濫用抑止と信頼確保


最後に

このモデル法の基本理念は次の通りです:

「国家を守る法律であっても、
国家が国民を脅かすことがあってはならない。」

スパイ防止法が民主主義の敵になるか、守り手になるかは、
歯止めと透明性の制度設計次第です。
自由と安全を両立するためには、法の内容だけでなく、
運用を監視する「文化と制度」を同時に育てる必要があります。