日本国憲法上において、国民に課した義務にはどんなものがありますか?

Q.日本国憲法上において、国民に課した義務にはどんなものがありますか?

日本国憲法において、国民に課された義務は明確に条文で定められたものがいくつかあります。以下が代表的なものです:


1. 教育を受けさせる義務(第26条第2項)

「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」

  • 子どもに対して「普通教育」を受けさせる義務です。

  • 主に親や保護者が対象となります。


2. 勤労の義務(第27条第1項)

「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」

  • 国民は働くことが「権利」であると同時に「義務」とされています。

  • 実際の強制労働とは別で、「勤労の尊重」や「労働の社会的意義」の観点から規定されています。


3. 納税の義務(第30条)

「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」

  • 国民は、所得や消費に応じて、法律に従って税金を納める義務があります。


まとめ

義務の名称 憲法条文 内容
教育を受けさせる義務 第26条第2項 子どもに普通教育を受けさせる義務
勤労の義務 第27条第1項 働くことは国民の義務
納税の義務 第30条 法律に従って税金を納める義務




Q.日本国憲法において、国民に保障された権利にはどんなものがありますか?

日本国憲法では、国民にさまざまな基本的人権が保障されています。これらの権利は、大きく分けて以下のように分類できます。


日本国憲法における国民の権利一覧

1. 自由権

国家による不当な干渉を排除し、個人の自由を保障する権利です。

権利 憲法条文 内容
思想・良心の自由 第19条 思想や信念を持つ自由
信教の自由 第20条 宗教を信じたり、信じなかったりする自由
表現の自由 第21条 言論・出版・集会・結社などの自由
学問の自由 第23条 学問を研究・発表する自由
居住・移転・職業選択の自由 第22条 どこに住み、どんな職業を選ぶかの自由
奴隷的拘束及び苦役からの自由 第18条 奴隷的拘束・強制労働の禁止
住居・通信の秘密 第35条 家宅捜索や通信の秘密の保護
法の下の手続きによる自由 第31条 正当な手続きなしに自由を奪われない


2. 平等権

差別されずに平等に扱われる権利です。

権利 憲法条文 内容
法の下の平等 第14条 人種・信条・性別・社会的身分などにより差別されない


3. 社会権

国家が積極的に関与して、国民の生活を保障する権利です。

権利 憲法条文 内容
生存権 第25条 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利
教育を受ける権利 第26条 子どもが教育を受ける権利
勤労の権利 第27条 働くことができる権利
労働基本権(労働三権) 第28条 団結権・団体交渉権・団体行動権(ストライキなど)


4. 参政権

政治に参加する権利です。

権利 憲法条文 内容
選挙権・被選挙権 第15条、第44条 公務員を選び・選ばれる権利
国民投票権(憲法改正) 第96条 憲法改正に参加する権利


5. 請求権

国や公務員に対して、特定の行為を求めることができる権利です。

権利 憲法条文 内容
裁判を受ける権利 第32条 司法に訴えることができる
国家賠償請求権 第17条 公務員の違法行為によって損害を受けたときに賠償を請求できる
損害賠償請求権 民法や刑法とあわせて運用
刑事補償請求権 第40条 無罪になった場合に補償を受けられる


? 補足:人権は永久不可侵

第11条・第97条では、「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」と明言されています。


まとめ表(分類と条文)

分類 主な権利 主な条文
自由権 思想・表現・信教の自由など 第18?23条、31条など
平等権 法の下の平等 第14条
社会権 生存権・教育・勤労など 第25?28条
参政権 選挙権・国民投票など 第15条・第44条・第96条
請求権 裁判請求・国家賠償など 第17条・第32条・第40条