日本学術会議の任命拒否 |
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Q.日本学術会議の任命拒否はどのように行われたのですか? 日本学術会議の任命拒否問題は、2020年に発生した政治的・社会的に大きな議論を呼んだ出来事です。以下にその経緯と具体的な流れを整理して説明します。 ■ 背景日本学術会議は、科学者の代表機関として1949年に設立され、内閣総理大臣の所轄下にあります。会員は約210人で、任期は6年。3年ごとに半数が改選されます。 ■ 問題となった経緯(2020年)1. 推薦と任命のプロセス
2. 任命を拒否された6人
3. 政府の説明
■ 批判と影響1. 学問の自由への懸念
2. 憲法との関係
■ 現在の状況(2025年時点までの動向)
■ まとめ
日本学術会議の任命拒否問題に関して、2020年の国会では菅義偉首相(当時)と野党議員との間で活発な論戦が展開されました。以下に主な答弁内容を整理してご紹介します。 菅首相の答弁内容
野党の追及と批判
このように、国会では任命拒否の法的根拠や手続きの正当性、学問の自由への影響など、多岐にわたる論点で激しい議論が交わされました。
日本学術会議の任命拒否が「違法かどうか」という点については、法的な明確な結論は出ていません。これは司法判断(裁判)で決まるべき問題でもありますが、現時点で最高裁判所などによる判決は出ていません。ただし、法律・憲法・過去の運用に照らして疑義が多く指摘されているため、違法性が強く疑われている事案と言えます。 以下に、違法性の有無に関する主な論点を整理します。 ■ 日本学術会議法の条文とその解釈? 学術会議法第7条第2項:
→ これに反する形で首相が任命を拒否した点について、「違法性があるのでは」との見解が多数派です。 ■ 政府側の主張(任命拒否の正当性)
→ ただしこの法解釈の変更は国会で明示的に議論されておらず、密室での変更・解釈変更の手続きの妥当性も疑問視されています。 ■ 学者・法律家の意見
■ 裁判での争い
■ 結論(現時点)
日本学術会議の任命拒否問題に関連して、現在進行中の裁判は主に以下の2件です。 1. 行政文書の不開示処分取消訴訟および国家賠償請求訴訟
2. 個人情報の不開示処分取消訴訟および国家賠償請求訴訟
これらの訴訟は、学問の自由や政府の説明責任、情報公開制度の在り方など、民主主義の根幹に関わる重要な問題を提起しています。
はい、菅義偉元首相には、日本学術会議の任命拒否について、国民に理由を説明する責任があると考えるのが、憲法や民主主義の原則、行政の説明責任から見て妥当です。以下、その理由を詳しく説明します。 ■ 1. 憲法的視点:学問の自由と説明責任? 憲法第23条:「学問の自由は、これを保障する」
? 憲法第15条:「公務員の選定及び罷免は国民固有の権利」
■ 2. 学術会議法の趣旨と従来の運用
■ 3. 行政の基本原則:説明責任と透明性
→ 菅首相は「人事のことだから説明できない」と答弁しましたが、公務に関連する判断であれば説明責任は免れません。 ■ 4. 国会での説明拒否は、国民軽視と受け止められた
■ 5. 結論:説明責任を果たしていない=政治的・倫理的問題
ご参考までに:
日本学術会議の任命拒否問題に対し、多くの学者や法学者が憲法や法制度の観点から強い批判を表明しています。以下に、主な意見をまとめます。 ■ 木村草太教授(東京都立大学・憲法学)木村教授は、憲法23条が保障する「学問の自由」には、個人の研究の自由だけでなく、学術機関の自律性も含まれると指摘しています。その上で、日本学術会議の推薦に基づく任命を拒否することは、学術機関の自律を侵害し、学問の自由を脅かす行為であると批判しています。 朝日新聞 ■ 江藤祥平准教授(上智大学・憲法学)江藤准教授は、憲法23条が制定された背景には、明治憲法時代の滝川事件や天皇機関説事件など、国家権力による学問の自由の侵害があったと述べています。そのため、研究者の人事は大学などの自主的な判断に基づいて行われるべきであり、今回の任命拒否はその原則に反すると批判しています。 朝日新聞 ■ 岡田正則教授(早稲田大学・行政法)任命を拒否された6名のうちの1人である岡田教授は、行政法の観点から、首相や官房長官が日本学術会議法の趣旨を理解せず、法律を無視した行為を行っていると批判しています。また、任命拒否の理由を明らかにしない政府の姿勢は、法治主義に反すると述べています。 毎日新聞 ■ 松宮孝明教授(立命館大学・刑法学)松宮教授も任命を拒否された6名のうちの1人であり、今回の任命拒否は違法であると指摘しています。また、任命拒否の背景には、政権の学術軽視の姿勢があると述べ、政府の対応を批判しています。 法学館憲法研究所 ■ 憲法研究者有志の声明複数の憲法研究者が連名で声明を発表し、任命拒否は日本学術会議法の解釈を誤っており、憲法23条の趣旨を十分に踏まえていないと批判しています。また、任命拒否の理由が明らかにされていないことは、学問の自由や立憲主義を脅かすと指摘しています。 朝日新聞 これらの意見から、学者や法学者の多くが、任命拒否は学問の自由や法治主義に反する行為であり、政府の対応は不当であると考えていることがわかります。また、任命拒否の理由が明らかにされていないことや、政府の説明責任の欠如も強く批判されています。
日本学術会議の任命拒否問題に対して、国際的にも多くの批判や懸念が表明されました。以下に、主な国際的な反応をまとめます。 国際人権団体の反応Human Rights Now(HRN)東京を拠点とする国際人権NGO「Human Rights Now」は、2020年10月6日に声明を発表し、菅首相による6名の任命拒否は国際人権法に違反すると強く非難しました。声明では、任命拒否が日本学術会議法の政府自身の解釈に反し、学問の自由や表現の自由を侵害していると指摘しています。また、政府に対し、6名の候補者を速やかに任命し、学問の自由を尊重するよう求めています。 認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ Human Rights Now 海外メディアの報道『Nature』誌英国の科学誌『Nature』は、2020年10月8日に社説を掲載し、任命拒否問題を取り上げました。社説では、日本政府が学術会議の推薦を拒否したことは、学問の自由を脅かす行為であり、政府と学術界の関係に悪影響を及ぼすと懸念を示しています。また、政府に対し、学術界の独立性を尊重するよう求めています。 『Mainichi Japan』英語版『毎日新聞』の英語版は、2020年10月2日に、菅首相が6名の学者の任命を拒否したことを報じました。記事では、政府が任命拒否の理由を明らかにしていないことや、拒否された学者の中には政府の政策に批判的な意見を持つ者が含まれていることを指摘しています。 ? 国際学術団体の反応日本文化人類学会(JASCA)日本文化人類学会は、2020年10月7日に緊急声明を発表し、6名の任命拒否は日本学術会議の存在意義を脅かすものであり、多様な学術的立場に基づく政府への提言活動に支障をきたすと懸念を示しました。また、政府に対し、任命拒否の具体的な理由を明らかにし、6名の候補者を任命するよう求めています。 まとめ日本学術会議の任命拒否問題は、国内外で学問の自由や表現の自由、学術機関の独立性に対する懸念を引き起こしました。国際人権団体や海外メディア、学術団体からは、政府の対応に対する批判や懸念の声が上がり、政府に対して透明性のある説明や適切な対応を求める動きが広がりました。
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