森友学園問題で財務省が公文書の一部を廃棄

Q.森友学園問題で財務省は公文書に一部を廃棄したのですか?

はい、森友学園問題において、財務省は公文書の一部を改ざんし、また交渉記録を廃棄していたことが明らかになっています。Reuters Japan+1NHK+1

公文書の改ざん

2018年3月、財務省は森友学園への国有地売却に関する14件の決裁文書で、数十か所の改ざんが行われていたことを認めました。改ざんされた内容には、安倍晋三首相(当時)や昭恵夫人、複数の政治家の名前、「本件の特殊性」などの記述が含まれており、これらは削除されていました。 万菱+6日本共産党+6Reuters Japan+6

財務省は、これらの書き換えが2017年2月下旬から4月にかけて行われたと報告しています。 日本共産党+2ハフポスト+2Reuters Japan+2

交渉記録の廃棄

また、財務省は森友学園との国有地売却に関する交渉記録を「破棄した」と国会で答弁していましたが、2018年5月にこれらの記録が存在していたことが判明しました。これらの交渉記録は、2013年から2016年にかけてのもので、職員の個人パソコンや紙のメモとして保管されていたものです。 NHK+4Reuters Japan+4Reuters Japan+4

財務省は、これらの交渉記録を決裁文書の改ざんと同時期に廃棄していたことを認めています。 ハフポスト+4Reuters Japan+4財務省+4

これらの行為は、公文書管理法の趣旨に反するものであり、国会や国民に対する説明責任が問われる重大な問題となりました。



Q.財務省の責任は?

森友学園問題における財務省の責任は、次の3つの観点から重大とされています:


1. 公文書の改ざんという法治国家の根幹を揺るがす行為

  • 財務省理財局(当時の局長は佐川宣寿氏)は、2017年に森友学園への国有地売却に関する決裁文書の内容を改ざん。

  • 改ざんは、国会審議や政治家の関与についての記述(例:安倍昭恵氏に関する言及など)を削除する目的で行われたとされています。

  • これは、公文書管理法や国家公務員法に反する可能性が高く、信頼性のある行政運営に対する重大な背信行為です。


2. 交渉記録の廃棄と虚偽答弁

  • 財務省は、国会に対して「交渉記録は残っていない」と繰り返し答弁していましたが、後に職員のパソコンやメモから記録が発見されました。

  • 意図的な破棄や記録の隠蔽は、公文書管理法と情報公開制度に反する行為であり、国民の知る権利を侵害しています。


3. 内部告発者の悲劇(赤木俊夫氏の自死)

  • 決裁文書改ざんに関わらされた近畿財務局の職員・赤木俊夫氏が2018年に自死。遺書には「すべて財務省本省の指示だった」との記述があり、強い精神的圧力を受けていたとみられています。

  • この件では、赤木氏の妻が真相解明を求めて国を提訴。2021年には当時の財務省理財局長・佐川氏を訴える民事訴訟も行われました(のちに国が請求を認諾し、実質的に幕引き)。


最終的な処分と問題点

  • 政府は当時、佐川氏を含む財務省幹部ら20人を懲戒処分または訓告としました。

  • しかし、刑事責任を問う動き(検察審査会など)では「不起訴」とされ、真相究明が不十分との批判が根強く残っています。


結論

財務省は、組織的隠蔽、国会に対する虚偽答弁、公文書改ざんという複数の観点から、国家機関としての信頼を大きく損ないました。
しかし、関係者への刑事罰や明確な政治的責任の所在は曖昧なままであり、現在でも「なぜここまでの不正が行われたのか」という根本的な疑問は解消されていません。



Q.公文書の破棄を命じたのは誰ですか?具体的に答えてください。

公文書(具体的には、森友学園との国有地取引に関する決裁文書)の改ざんや破棄を「直接命じた人物」について、明確な証拠に基づいて司法的に特定された者はいません

ただし、以下に基づき「誰が命じたのか」「誰が関与したのか」についての情報を整理します。


事実に基づく構図と関与者

1. 佐川宣寿(さがわ のぶひさ)元理財局長

  • 決裁文書の改ざん・交渉記録の不存在を国会で答弁。

  • 2017年2月の国会で「価格交渉はしていない」「資料は破棄済み」と発言。

  • その後、その答弁に合わせる形で文書の書き換えが行われたことが財務省の調査で判明。

  • 佐川氏は「自分の判断で文書の改ざんを理財局の職員に指示した」と説明していますが、「上からの指示はなかった」としています。

赤木俊夫氏の遺書には「本省(=理財局)からの強い指示があった」と記されています。


2. 太田充(おおた みつる)元理財局次長

  • 佐川氏の下で、理財局内の業務を取りまとめていた。

  • 改ざん当時、局内の幹部だったため、「実行部隊」として関与していた可能性が指摘されましたが、明確な指示者として名指しされた記録はありません。


3. 麻生太郎財務大臣(当時)

  • 最終的な政治責任を問われる立場ではありましたが、「一部職員による不適切な行為」として組織的責任を否定。

  • 麻生氏自身が改ざんや破棄を「命じた」証拠は存在しません。


「赤木ファイル」の記録

2021年に公表された「赤木ファイル」では、改ざんの経緯と本省からの強い圧力の存在が記録されています。

  • 書き換えの指示は、理財局の複数の上司から段階的に伝達された。

  • 赤木氏は、改ざん作業を命じられたとされ、自殺に追い込まれた原因とされています。


? 結論

直接的に「破棄」や「改ざん」を命じた人物として、確定的に責任を問われたのは佐川宣寿・元理財局長ですが、組織全体(特に本省=東京の財務省理財局)による“上からの圧力”があったことは極めて明白です。

なお、検察は佐川氏らを不起訴とし、刑事責任は問われていません(一部では検察審査会が「不起訴不当」と判断)。



Q.なぜ検察は佐川氏らを不起訴としたのですか?

佐川宣寿・元理財局長らが不起訴とされた理由について、検察(大阪地検特捜部)は主に以下のような判断を下しました:


? 不起訴の主な理由(大阪地検特捜部による判断)

1. 公文書偽造罪・虚偽公文書作成罪が「成立しにくい」

  • 改ざんされた文書は、内容を書き換えたとはいえ、最終的に国の正式な意思決定として承認された文書(=決裁済み文書)であるため、形式上は「虚偽」と言い切れないと判断されました。

  • 決裁権者が再決裁していないとはいえ、改ざん後の文書も「財務省内部の管理文書」であり、刑法上の「虚偽公文書」とみなすには法的に難があるとされた。

つまり、「内容は問題があるが、形式的には罪に問えない」というロジック。


2. 公務員職権濫用罪も「適用困難」

  • 改ざんや記録破棄が「部下への不当な命令」であったとしても、明確な違法性や、直接的な違法目的(たとえば、自己利益の追求など)が認定しにくいとされました。

  • また、被害者とされた赤木俊夫氏の自死について、因果関係が法的に明確に立証できなかったとも説明されています。


3. 「政治的圧力」や「指示」の存在が立証できなかった

  • 検察の捜査では、当時の安倍首相や麻生財務相など政治家の関与・指示は確認されなかったとされています。

  • また、佐川氏が「上からの指示はなかった」と一貫して供述しているため、それを覆す証拠も乏しかった。


検察審査会の反応

  • 2020年7月、大阪第一検察審査会は、佐川氏について「不起訴不当」と議決。

    • つまり「起訴しなかったことは妥当ではない、再捜査せよ」とする市民の判断です。

  • しかし、再捜査後も結局「再び不起訴」とされました(=強制起訴には至らず)。


批判と疑問点

この不起訴処分に対しては、強い批判がありました:

批判点 内容
形式主義的判断 「決裁済みだからOK」という検察の立場は、実態を無視しているという批判。
被害者軽視 赤木俊夫氏の自死や遺族の訴えが軽視されたとの声。
政治的配慮 安倍政権への配慮・忖度があったのではないかとの疑念。

? 結論

検察は、佐川氏らの行為が「社会的に問題であること」は認めつつも、現行の法律の枠内では刑事責任を問うのは困難という立場を取りました。

しかし、法の不備・運用の限界が浮き彫りになったことは明らかであり、「不起訴=無罪」ではないという点を多くの専門家が強調しています。



Q.検察審査会の議決文を紹介してください。

森友学園問題に関連して、佐川宣寿・元財務省理財局長らが不起訴処分とされたことに対し、大阪第一検察審査会は2020年7月に「不起訴不当」と議決しました。これは、検察の不起訴判断に対し、再捜査を求める市民の意思表示です。しかし、再捜査の結果、再び不起訴とされ、強制起訴には至りませんでした。この議決文の詳細は、裁判所の公式ウェブサイトや関連資料で確認できます。