「真床追衾」という秘儀とは

Q.「真床追衾」という秘儀は、具体的にはどういうことをやるのですか?

「真床追衾(まとこおふすま)」とは、日本神話に登場する神聖な儀式や概念の一つです。主に『古事記』や『日本書紀』において、神々が夫婦となる際の象徴的な表現として使われています。

「真床追衾」の意味と具体的な内容

「真床追衾」は、漢字の意味から考えると以下のように解釈されます。

  • 「真床」(まとこ)…「真の床」、すなわち神聖な寝床

  • 「追衾」(おふすま)…「覆い被せる寝具」

これらを合わせると、「神聖な床で寝具をまとい、共寝をすること」となります。

具体的な場面

『古事記』では、天照大神の孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上に降臨し、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)と結婚する際に、「真床追衾」を用いて一夜を共にしたと記されています。これは、単なる婚姻の儀式ではなく、神々の間で行われる神聖な結びつきを象徴する行為です。

また、この表現は神話だけでなく、古代の皇室や貴族の婚礼儀式にも影響を与えたと考えられています。具体的な動作としては、

  1. 神聖な寝床を用意する(儀式的な布団や寝所)

  2. 神の加護を祈る(祝詞などを唱える)

  3. 夫婦が同じ寝具の下に入る(結婚の象徴)

という流れになったと考えられます。

まとめ

「真床追衾」は、神話における神聖な婚姻の儀式であり、現代でいう「結婚の儀」や「夫婦としての結びつきの確認」に相当します。ただの物理的な寝具ではなく、「神聖な結びつき」を象徴する重要な儀式のひとつだったのです。




Q.大嘗祭とは?

大嘗祭(だいじょうさい)とは?

大嘗祭は、日本の天皇が即位後に初めて行う最も重要な宮中祭祀の一つで、新天皇が五穀豊穣を神々に感謝し、国家の安寧を祈る儀式です。特に、天照大神をはじめとする神々に新穀を捧げ、天皇自らもそれを食することで、神と一体化し、新たな天皇としての地位を確立する意味を持っています。


大嘗祭の特徴

  1. 即位後に一度だけ行われる

    • 大嘗祭は、即位した天皇が一生に一度だけ行う特別な儀式です。

    • 通常の「新嘗祭(にいなめさい)」は毎年行われるのに対し、大嘗祭は即位後初めて行う新嘗祭の特別版にあたります。

  2. 新たな稲の収穫を神に供える

    • その年に収穫された新穀(米)を天照大神などの神々に捧げ、天皇自らも食すことで、五穀豊穣と国の安寧を祈ります。

  3. 大掛かりな儀式と特別な「悠紀田」と「主基田」

    • 祭のために、全国の特定の地域から「悠紀田(ゆきでん)」と「主基田(すきでん)」が選ばれ、それぞれの土地で収穫された米が供えられます。

    • これらの田は、占い(亀卜)によって決定されます。

  4. 「大嘗宮(だいじょうきゅう)」で行われる

    • 一時的に宮中に設営される「大嘗宮」と呼ばれる特別な建物で、大嘗祭は厳かに執り行われます。

    • その後、大嘗宮は解体されます。


大嘗祭の流れ

  1. 前準備

    • 亀卜(きぼく:亀の甲羅を使った占い)で「悠紀田」「主基田」を選定

    • 田で収穫された新穀を準備

    • 大嘗宮を設営

  2. 本祭(大嘗宮での儀式)

    • 夕(よい)の儀:天皇が神々に新穀を供え、自らも食する

    • 暁(あかつき)の儀:夜明け前に再び神に新穀を供え、食する

  3. 儀式終了後

    • 大嘗宮は解体され、通常の宮中祭祀へと戻る


大嘗祭の意義

  • 天皇の神聖性を強調
    天皇が日本の神々と直接つながり、「現人神(あらひとがみ)」としての役割を果たす重要な儀式です。

  • 五穀豊穣と国家安泰の祈り
    国全体の繁栄と農業の発展を願う祭祀でもあります。

  • 古代から続く伝統
    奈良時代以降ほぼすべての天皇が執り行ってきた儀式で、日本の皇室の伝統を象徴しています。


現代の大嘗祭

  • 直近では、2019年(令和元年)に**今上天皇(徳仁天皇)**が即位した際に大嘗祭が行われました。

  • 費用は国費で賄われ、一部は「宮廷費」、一部は「内廷費」で負担されました。


まとめ

大嘗祭は、新天皇が即位後に一度だけ行う、神聖な新嘗祭の特別版。神々に新穀を捧げ、自らも食し、天皇としての神聖な役割を確立する儀式である。
長い歴史を持ち、皇室の伝統を今に伝える重要な祭祀といえます。