高速増殖炉の冷却材の選択肢について |
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Q.高速増殖炉の冷却材として溶融ナトリウムが使用されますが、溶融ナトリウム以外の冷却材は考えられない のですか? 高速増殖炉(FBR)の冷却材として溶融ナトリウムが主に使用される理由は、その特性がFBRの運転条件に非常に適しているためです。しかし、溶融ナトリウム以外の冷却材も研究されており、いくつかの代替冷却材が提案されています。それぞれの冷却材にはメリットと課題があります。 1. 溶融ナトリウムが選ばれる理由
しかし、溶融ナトリウムには以下の課題もあります。
2. 溶融ナトリウム以外の候補以下に、溶融ナトリウムの代替冷却材として考えられている物質と、それぞれの特徴を示します。 (1) 鉛や鉛-ビスマス合金
(2) ガス冷却材(ヘリウムなどの不活性ガス)
(3) 溶融塩(フッ化塩、塩化塩)
(4) 水
3. 選択肢の制約冷却材の選択は、以下の要件を満たす必要があります。
4. まとめ溶融ナトリウムは現在でもFBRにおける最適な冷却材として位置づけられていますが、鉛-ビスマス合金やガス冷却材、溶融塩などの代替冷却材も研究されています。それぞれ特性が異なるため、将来的には用途や設計に応じた冷却材が選択される可能性があります。
「高速増殖炉」と呼ばれる理由は、「高速」という言葉が炉内での中性子のエネルギー特性を表しているためです。 1. 「高速」の意味「高速増殖炉」の「高速」は、中性子のエネルギーが高い(高速中性子)ことを指します。具体的には、高速中性子はエネルギーが1 MeV以上の範囲にあり、以下の特性を持っています:
2. 「高速でない増殖炉」について「高速でない増殖炉」、つまり「熱中性子増殖炉」の概念も存在します。これには中性子を減速させ、エネルギーを低下させた「熱中性子」を利用します。一般的な軽水炉や重水炉が熱中性子炉の一種です。
3. なぜ高速中性子が有利なのか高速中性子を使うことで、以下のメリットがあります:
4. 現実的な違い現在、商業用に実用化されている炉のほとんどは熱中性子炉(軽水炉)です。以下は、熱中性子炉と高速増殖炉の比較です:
5. 「高速」を付ける理由
6. 結論「高速」を付ける理由は、中性子のエネルギーが高速であることが増殖炉の特性や性能に大きく関係しているためです。理論的には「高速でない増殖炉」も考えられますが、現時点で実現可能な増殖炉としては高速中性子を利用する設計が最も効率的で現実的な選択肢となっています。 |