金正日がしたこと

Q.金正日という人は、どんなことをしましたか?

金正日(キム・ジョンイル、1941年または1942年生まれ、2011年死去)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の第2代最高指導者です。彼は1994年に父である金日成の死後、国家の実質的な最高権力者として政権を握り、2011年に亡くなるまで統治しました。

以下に、金正日が行った主なことを整理します:


政治体制の強化

  • 個人崇拝の強化:父・金日成と自身への個人崇拝を徹底しました。ポスター、銅像、歌などを通して、国民の忠誠を求めました。

  • 「先軍政治(軍事優先)」:軍を国政の中心に据える方針を採り、国家資源の多くを軍に集中させました。

  • 情報統制と監視社会の徹底:国民への厳格な情報統制を行い、反体制的と見なされた者には労働教化所への送致や処刑などの厳罰を加えました。


経済政策とその影響

  • 1990年代の経済危機と飢饉:「苦難の行軍」と呼ばれる深刻な食糧難(1990年代後半)では、数十万人から数百万人が餓死したとされます。

  • 外貨獲得活動(違法なものも含む):偽札製造、麻薬密輸、武器販売など、国家ぐるみでの外貨獲得工作が行われたと報告されています。


核・ミサイル開発の推進

  • 核兵器開発:2006年に北朝鮮初の核実験を実施。国際社会から強い非難と経済制裁を受けました。

  • ミサイル実験:弾道ミサイルの開発と発射実験を繰り返し、地域の安全保障に大きな影響を与えました。


外交戦略

  • 瀬戸際外交(Brinkmanship):核・ミサイルを交渉材料とし、援助や制裁解除を引き出す戦略を繰り返しました。

  • 6者協議などへの参加:核問題をめぐる国際協議(日本・韓国・米国・中国・ロシア・北朝鮮)に一時的に参加しましたが、進展は限定的でした。


後継体制の準備

  • 金正恩の後継者としての育成:死去の数年前から、三男・金正恩を後継者として登用し、体制を引き継がせました。


まとめ

金正日は、強権的な体制と軍事優先政策を通じて北朝鮮の体制を維持しましたが、経済の疲弊や人権侵害、国際的な孤立を深めた指導者でもあります。その統治は、核・ミサイル開発と厳しい内部統制を特徴とし、今日の北朝鮮の姿に大きな影響を残しています。



Q.金正日は国際的犯罪を命じませんでしたか?

はい、金正日政権下の北朝鮮は、国家ぐるみで国際的な犯罪行為に関与していたと広く報告されており、多くは金正日自身がそれらを命じたか、少なくとも黙認・統率していたと見られています。

以下に主な国際的犯罪とされる事案を紹介します:


1. 日本人拉致事件

  • 1970?1980年代にかけて、日本人を北朝鮮が拉致しました。公式に認められているだけでも17人(日本政府認定)。

  • 金正日自身が2002年の日朝首脳会談(小泉訪朝)で初めて拉致を認めたことは非常に重大です。

    • これは、国家の最高指導者として拉致を指示あるいは容認していた証拠とも見られています。

  • 拉致被害者の一部は工作員の訓練や語学指導のために利用されていたとされています。


2. 偽札製造(スーパーノート)

  • 米ドルの**高品質な偽札(通称「スーパーK/スーパーノート」)**を国家が製造・流通させていたとされています。

  • アメリカや国際社会では、これを国家的な経済犯罪とみなしています。

  • 金正日政権が外貨不足を補う手段として主導していたと広く推測されています。


3. 麻薬密輸

  • 北朝鮮はアヘン・覚醒剤などの麻薬を国家規模で製造・密輸していたという証言や資料があります。

    • 脱北者や摘発事件の証言によれば、国家安全保衛部(秘密警察)や外交官が関与していたケースも多数。

  • 特に1990年代の「苦難の行軍」以降、外貨を稼ぐ手段として金正日が指示したと見られています。


4. 兵器・武器の違法輸出

  • 国際制裁下にもかかわらず、ミサイル技術や小火器を中東・アフリカ諸国に密輸していたことが判明しています。

  • これにはテロ組織や反政府武装勢力との取引が含まれる可能性もあります。


5. テロ支援(大韓航空機爆破など)

  • 1987年、大韓航空機爆破事件では北朝鮮の工作員(金賢姫ら)が関与し、乗客115人全員が死亡。

  • これは金正日が後継体制を固めていた時期に起きており、彼の命令によるものとされる説が有力です。

  • 北朝鮮は長年「テロ支援国家」としてアメリカの指定を受けていました。


? まとめ

金正日は、国家による拉致、偽札、麻薬密輸、兵器取引、テロ支援といった国際的犯罪に深く関与していたとみられています。これらは単なる一部の暴走ではなく、国家政策の一環として組織的に行われていたとされ、金正日本人の関与は極めて高いと国際社会では広く認識されています。




Q.北朝鮮はいまも拉致をしていますか?

現在(2025年時点)、北朝鮮が新たに日本人などを拉致しているかどうかについては、確かな証拠は確認されていません。しかし、以下のような重要な点があります:


? 1. 新たな拉致の証拠は「公にはない」

  • 日本政府や国際社会は、現在進行中の拉致の明確な証拠をつかんではいません

  • ただし、北朝鮮の極端な情報統制と秘密主義のため、「新たな拉致がない」と断定することも困難です。


2. 未解決の拉致被害者が多数

  • 日本政府は、拉致被害者として認定した17人のうち、5人しか帰国していないとしています。

  • 北朝鮮は「8人死亡、残りは入国していない」と主張していますが、日本政府はこの説明を否定しています。

  • また、認定されていないが拉致の可能性が高い「特定失踪者」も数百人規模にのぼっています。


3. 拉致問題が完全に終わったとは言えない理由

  • 北朝鮮は過去に「拉致はすでに解決済み」と繰り返し主張していますが、日本政府や遺族会は強く反発しています。

  • 国連やNGOの報告でも、北朝鮮は外国人の拘束や失踪に関与し続けている疑いがあると指摘されています。


4. 他国(韓国、タイなど)でも拉致被害の報告がある

  • 韓国、タイ、ルーマニア、レバノンなどの国々も、自国民が北朝鮮に拉致されたと主張しています。

  • これらのケースは1970〜1980年代が中心ですが、近年も北朝鮮工作員が国外で活動している疑いが絶えません。


?? 5. 現在も続く「国外での拉致・拘束リスク」

  • 拉致とは異なりますが、北朝鮮は自国民の「国外からの連れ戻し」や暗殺工作を続けており、

    • たとえば、金正男(キム・ジョンナム)の暗殺(2017年)はマレーシアで行われました。

    • 脱北者や反体制者が国外で拉致や殺害の対象になることもあるため、こうした工作活動は現在も続いている可能性が高いと見られています。


? 結論

  • 新たな日本人拉致が行われていると断定できる証拠はありません。

  • しかし、未解決の拉致被害者が多数残されており、北朝鮮の秘密主義を考えると、拉致問題は「現在進行形」と言えます。

  • 日本政府は今も拉致問題の全面解決を外交の最優先課題のひとつとしています。




Q.北朝鮮は現在も工作員を養成していますか?

はい、北朝鮮は現在も工作員(スパイや特殊任務を担う人員)を養成・運用していると広く見られています。明確な証拠は限定的ですが、脱北者の証言、韓国政府の情報、国際的な諜報活動の動きなどから、工作員育成は現在も続いているとほぼ確実視されています。


北朝鮮の工作員養成の実態(現在も継続中とされる理由)

1. 工作員の育成機関が存在

  • 北朝鮮には次のようなスパイ養成機関があります:

    • 金正日政治軍事大学(旧:赤星政治軍事大学)…エリート工作員の育成

    • 偵察総局(朝鮮人民軍所属)…サイバー戦、暗殺、情報収集などを担当

    • 国家保衛省(旧・国家安全保衛部)…対外スパイ活動、監視、取り締まり

  • ここで選抜された人材が、語学・地理・文化・暗号・潜入技術・変装術などを徹底訓練されています。


2. サイバー工作員の育成と派遣(現代型スパイ活動)

  • 近年は物理的なスパイだけでなく、**サイバー空間での工作活動(ハッキング・仮想通貨の窃盗・情報収集)**が活発です。

  • ラザルス(Lazarus)グループ」と呼ばれる北朝鮮の国家支援型ハッカー集団が有名。

  • 彼らは:

    • 金融機関へのハッキング

    • 仮想通貨取引所への攻撃

    • スパイウェアの開発・配布
      などを行っているとされ、外国に出張・移住する形で世界各地に潜伏している可能性も指摘されています。


3. 韓国・日本への浸透工作の継続

  • 韓国では現在も北朝鮮のスパイ摘発事件が継続的に発生しています(2023年にも複数の摘発例)。

  • 日本でも、過去に工作員が日本人拉致に関与していたことが判明しており、今も「潜伏工作員」がいる可能性が否定できません。


4. 海外工作員ネットワークの維持

  • 北朝鮮は、外交官、貿易代表部、労働者派遣先(建設・ITなど)などを通じて、各国に事実上の工作員を送り込んでいると見られています。

  • 中国、ロシア、中東、東南アジア、アフリカなどに拠点を持ち、

    • 外貨獲得

    • 情報収集

    • 脱北者の追跡

    • 密輸
      を行っているとの情報があります。


まとめ

内容 現在も継続とされる理由
?? スパイ育成施設の存在 軍や保衛省の中に専門機関がある
?? サイバー工作 仮想通貨盗難・情報戦で世界的に確認
?? 海外派遣・潜伏 外交官・労働者・企業を装って各国に存在
?? 対日・対韓活動 近年も摘発例あり。情報収集や拉致の可能性も否定できず


現在の北朝鮮は、**サイバー戦・経済戦・心理戦も含めた「総合的な工作活動」**に力を入れており、物理的なスパイ活動と併せてハイブリッド型の工作体制を築いています。