平均勤続年数を国際比較しなさい

Q.平均勤続年数を国際比較しなさい。

国際比較のため、社員・雇用者が「同一雇用主(又は職場)で働き続けた平均年数(勤続年数/在籍年数)」および「雇用関係の継続年数(職務継続年数/ジョブ・テニュア)」を示すデータを整理します。なお、国によって定義(正社員・全労働者・企業規模・カウント基準)が異なるため、厳密な比較には注意が必要です。


主なデータ

以下は代表的な国・地域のデータ例です。

国/地域 平均勤続(雇用主同一/在籍年数) 備考
日本 10.9 年(2001年頃) International Labour Organization+2OECD+2 OECD が1990年代?2000年代初期に報告したデータ。日本では大企業で「終身雇用」的慣行の影響も指摘されています。 OECD+1
アメリカ合衆国 6.6?6.7 年(2002年頃) International Labour Organization+2slidetodoc.com+2 比較的短い値で、転職・離職の頻度が高いとされる米国の労働市場構造が反映されています。 International Labour Organization
複数の 経済協力開発機構(OECD)加盟国平均 若年層(15?29歳):約 2.4 年、中年層(30?54歳):約 10.1 年、高年齢層(55?64歳):約 18.8 年(2019年時点) OECD 年齢階層別に見ると、年齢が上がるほど在籍年数が長くなる傾向があります。
欧州の複数国(例) 例えば、ある調査でギリシャでは平均約 13 年(2023年時点)との報告あり、デンマークでは約 7.5 年と比較的短め。 Statista 欧州でも国ごとに大きな差があります。


考察・ポイント

  • 日本の10 年以上という数字は、米国の6?7 年と比較するとかなり長めです。これは「終身雇用」や企業文化・制度の違いが影響していると考えられます。

  • ただし、この「平均勤続年数」はあくまで「同一雇用主での継続年数(在籍年数)」であり、転職回数、契約社員・派遣社員の割合、パート・非正規雇用の扱い、企業規模や業種などにより大きく異なります。

  • また、最新のデータでは「平均勤続年数」が国際的に下降傾向にある、という指摘があります。たとえば、OECD報告では「2012年?2019年の間に、ほとんどの国で平均ジョブ・テニュア(job tenure)が減少した」旨が報告されています。 OECD+1

  • 年齢階層別では、若年層の勤続年数が短く、中高年層では長くなる傾向があり、平均値だけでは世代・雇用形態の違いを見落とす可能性があります。


限界・補足

  • 定義の違い:国・調査によって「勤続年数」「在籍年数」「same employer tenure」「job tenure」の定義が異なります。

  • 時期のズレ:多くのデータは1990?2000年代初期のもので、最近の変化を十分に反映していません。

  • セクター・企業規模・正規・非正規の違い:大企業でのデータと中小企業・非正規雇用混在のデータでは大きな差があります(例:日本では大企業での在籍年数が長めという報告あり) OECD+1

  • 比較可能な最新データが限られており、国際的に最新・完全に揃ったデータベースは少ない状況です。





Q.一般労働者層と管理職者層とでは違いはありますか?

とても良い質問です。
はい、一般労働者層と管理職層では平均勤続年数に明確な差があります。
以下で、日本・海外のデータや背景要因を踏まえて整理します。


1. 勤続年数の層別傾向(一般論)

平均勤続年数の傾向 主な理由
一般労働者(非管理職) 短め(概ね 6?10年) 転職・契約更新・雇用形態(非正規・派遣・期間雇用)による流動性が高い。
管理職層(課長・部長など) 長め(概ね 15?20年以上) 長期勤続を前提とした昇進制度・社内キャリア形成。昇進までに一定の在職年数が必要。


つまり、管理職層のほうが圧倒的に平均勤続年数が長いのが世界的な共通傾向です。


2. 日本のデータ例

日本では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」や「労働力調査」から層別の傾向が分かります。

区分 平均勤続年数(概算) 備考
一般職(総合職・事務・販売など) 9?11年 男女差あり(男性のほうが長い)。
管理職(課長級・部長級) 18?22年 年齢層が高く、昇進時点での勤続が長期。
非正規雇用(契約社員・パートなど) 4?6年 雇用期間・更新制限の影響が大きい。


出典:厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」および労働政策研究・研修機構(JILPT)報告。

傾向:

  • 日本では「年功的昇進」が依然として強く、課長・部長層になるころには勤続20年前後というケースが一般的。

  • 一般社員層は、入社後10年前後で転職・離職・キャリア転換をするケースが増加傾向。

  • 女性管理職の少なさや、非正規雇用の拡大も層間の平均勤続年数差を広げている要因です。


3. 海外の傾向(米国・欧州)

一般労働者層 管理職層 傾向の要約
米国 約 4?6年 約 10?12年 「転職文化」が浸透しており、一般層は非常に流動的。管理職層も比較的流動的だが、日本ほどの長期在籍は少ない。
ドイツ 約 8?10年 約 14?16年 長期雇用の文化が残るが、若年層の転職増加で差がやや縮小。
フランス 約 7年 約 13年 管理職でも流動性が高い業界では短め。
韓国 約 9年(全体)/管理職は15年超 日本に近い年功的昇進文化。


出典:ILO「Job tenure by occupation and age group」(2023), OECD Employment Outlook (2022)。


4. 背景要因のまとめ

要因 影響
昇進制度(年功序列 vs 能力主義) 日本・韓国では勤続を重視する昇進制度 → 管理職層の在籍年数が長期化。米国・北欧では能力評価・転職昇進型 → 管理職でも比較的短期。
労働市場の流動性 流動性が高い国ほど全層の勤続年数が短く、層間差も縮まる傾向。
雇用契約の安定度 正社員中心の国(日本・ドイツ)は差が大きく、非正規雇用比率の高い国(米・英)は全体的に短い。



5. まとめ

管理職層は一般労働者層より平均勤続年数が明確に長い。
これは日本に限らず、ほぼすべての国に共通する傾向ですが、
その差の大きさは「昇進制度」と「労働市場の流動性」に強く依存しています。