現在の国家の支出における国債の利払い額はいくらぐらいですか?

Q.現在の国家の支出における国債の利払い額はいくらぐらいですか?

日本政府の2025年度以降の国債に対する利払い額について、最新の試算を整理しました。


利払い額の現状と将来見通し

? 2025年度(2025年4月〜2026年3月)


? 将来見通し(2028年度/2028年3月期まで)


まとめ

会計年度 利払い(利息のみ) 国債費(利息+元本償還)
2025年度(〜2026年3月) 約10.5兆円 約28.2兆円
2028年度(〜2029年3月) 約16.1兆円 約35.3兆円

現時点(2025年度)は、利払い費10兆円規模、国債費は28兆円超という状況です。今後、金利上昇の影響で利払い費は50%超のペースで増加する見通しとなっています Reuters Japan+3Bloomberg.com+3東洋経済オンライン+3


なぜ上がるのか?

  1. 日銀の金融政策正常化による市場金利の上昇。

  2. それに伴う、普通国債(10年債など)の利率の上昇。

  3. 増え続ける国債残高との相乗効果で、利払い費・国債費とも増加が加速しています 財務省


? 結論

  • 現在(2025年度)は利払い約10.5兆円、国債費は28兆円弱。

  • 金利上昇のペースが続けば、数年以内に利払いは16兆円、国債費は35兆円超に達する見込みです。




Q.国債10年利回りが2%まで上昇した場合と3%まで上昇した場合はどうなりますか?

日本の国債10年利回りが**2%または3%**まで上昇した場合、政府の利払い費(国債費のうち利息部分)は大きく増加します。以下にその影響を概算とともに解説します。


前提データ(2025年時点)

  • 国債残高:約 1,000兆円

  • 平均金利(現状):約 0.9%

  • 利払い費(2025年度予算ベース):約10.5兆円

  • 新規・借換発行額:年間約 200兆円以上

  • 既発債の利回りは一気に変わらず、徐々に新発債に反映される


仮定:10年利回り上昇の影響の考え方

  1. 10年利回り = 国債の新発債の基準利率

  2. すべての借換債に即座に反映されるわけではないが、数年で全体の利払いに影響が出てくる。


シミュレーション

● シナリオ@:10年利回りが 2% まで上昇した場合

  • 仮に国債残高のうち**半分(500兆円)**に2%が適用されると:

    • 年間利払い費:約10兆円(= 500兆円 × 2%)

  • 残り500兆円は既存金利0.9%で:約4.5兆円

  • 合計利払い費:約14.5兆円(+約4兆円の増加)


● シナリオA:10年利回りが 3% に上昇した場合

  • 同様に500兆円に3%適用で:15兆円

  • 残り500兆円分の0.9%:4.5兆円

  • 合計利払い費:約19.5兆円(+約9兆円の増加)


まとめ表

10年利回り水準 想定利払い費(試算) 現在比の増加額
0.9%(現状) 約10.5兆円 ?
2.0% 約14.5兆円 +約4兆円
3.0% 約19.5兆円 +約9兆円

※単純モデルの概算。実際は借換タイミング、債券の平均残存年数、利率差分などにより緩やかに影響。

政策的インパクトと注意点

  • 日本の税収(2025年度予算)は70兆円前後なので、利払い費の急増は予算圧迫の大きなリスク。

  • 利払いが20兆円規模になると、「防衛費」「教育費」「社会保障費」などに圧縮圧力がかかる可能性も。

  • 日銀の利上げ(金融正常化)との連動で、財政負担が急増しかねません。


? 結論

  • 10年利回りが2%:利払い費は約14.5兆円

  • 3%:約19.5兆円

  • 現状より4〜9兆円の増加が見込まれ、これは国家予算にとって深刻な圧力です。




Q.シナリオ別の財政バランスシートを試算してください。

以下に、日本の財政収支におけるシナリオ別(国債10年利回り 1% / 2% / 3%)の財政バランスシート試算を示します。


前提条件(2025年度ベース)

項目 金額
一般会計歳入(税収) 約 73兆円
一般会計歳出(合計) 約 112兆円
国債費(元利合計) 約 28.2兆円(うち利払い10.5兆円)
プライマリーバランス赤字 約 -11兆円(利払いを除いた歳入歳出差)
国債残高(長期債) 約 1,000兆円


シナリオ別財政バランスシート試算

? シナリオ0:現状維持(利回り 1.0%)

項目 金額(兆円)
税収(歳入) 73
歳出(政策経費) 84
利払い費(1.0%) 10.5
国債費(利払い+償還) 28.2
歳出合計 112
財政赤字(歳出−歳入) -39
プライマリーバランス -11



シナリオ1:金利上昇(利回り 2.0%)

項目 金額(兆円)
税収(歳入) 73
歳出(政策経費) 84
利払い費(試算) 約14.5
国債費(利払い+償還) 約32.2
歳出合計 約116
財政赤字(歳出−歳入) -43
プライマリーバランス -11

※金利上昇は主に利払い費の増加に影響(償還費は不変と仮定)


シナリオ2:金利急上昇(利回り 3.0%)

項目 金額(兆円)
税収(歳入) 73
歳出(政策経費) 84
利払い費(試算) 約19.5
国債費(利払い+償還) 約37.2
歳出合計 約121
財政赤字(歳出−歳入) -48
プライマリーバランス -11



比較まとめ

シナリオ 利回り 利払い費 歳出総額 財政赤字 プライマリーバランス
現状 1.0% 10.5兆円 112兆円 -39兆円 -11兆円
シナリオ1 2.0% 14.5兆円 116兆円 -43兆円 -11兆円
シナリオ2 3.0% 19.5兆円 121兆円 -48兆円 -11兆円


考察とリスク

  • プライマリーバランスは利払いを除いた指標のため、金利上昇では変化しませんが、実際の赤字額(財政赤字)は大幅に増加

  • 金利3%では、利払い費だけで税収の25%以上を占めることになります。

  • 金融政策の正常化(利上げ)と国債依存財政の矛盾が露呈する懸念。


補足

この試算は単純モデルであり、実際には:

  • 平均金利の変動は緩やか(すべての国債が即座に影響受けない)

  • 税収や経済成長への影響(デフレ・インフレ)もある

  • 社会保障費の増加など、歳出構造も同時に動く